矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

デイリーコラム


2018.06.07

【アナリストオピニオン】新しい自動車所有方法?米国で自動車のサブスクリプションサービスが拡大③

ボルボのサブスクリプションサービス「Care by Volvo」は、新型SUVのXC40を月額600USドルで提供するものである。費用には、保険、定期点検、消耗品、ロードサイドア シスタンスが含まれる。ただし、2年間のサブスクリプションで、走行距離15,000マイル/年までが割り当てられるが、これを超過すると0.25USドル/マイルの追加料金となる。
また、月額700USドル/月では、9.5インチ縦型ディスプレイのインフォテイメントシステムのSensus Proナビゲーション、ハンズフリー自動リアハッチ、360°サラウンドビュ ーカメラ、ヘッドライトが進行方向に向くアクティブ・ベンディング・ライト(ABL)、20インチホイールなどにアップグレードされたモデルになる。
XC40の初年度の販売台数の10%をサブスクリプションで提供したいとしていたが、すでに4カ月でその数値を達成している模様。

Care by Volvo

Clutchは自動車サブスクリプションサービスを自社で運営するとともに、サブスクリプションサービスのプラットフォームを前述のPorscheやBMWにも提供しているほか、ニュージャージーのFlip Auto、マイアミエリアを拠点とするFlexWheels等、他の地域のカーサブスクリプションサービス事業者にも提供している。

clutchatlanta.com

flipauto.com

FlexWeelsはプレミアムカーを対象としていることもあってか、Clutchの提供するデザインとは異なっている。同社のサブスクリプションサービスでは、Discovery, Premier, Dynamicの3種類の月額設定があり、最も安いDiscoveryの1年プランで1,100USドル/月(Audi A3, Cadillac CTS, Mercedes Benz C300, Jaguar XE)、最も高いDynamicの1年プランは2,600USドル/月(Porsche Panamera, Maserati Quattroporte, Jaguar XJL)としている。

Flexwheels.com

Flexdrive(上記のFlexWheelと混同しやすいが)もまた、米国内3都市(アトランタ、オースティン、フィラデルフィア)でカーサブスクリプションサービスを提供する企 業だが、各地の提携自動車ディーラーから中古車両の供給を受けており、ブランドや車種はさまざまである。Flexdriveでの費用例は、アトランタでは2017年日産Altima(日本のティアナの兄弟車)が219USドル/週、オースティンでは2015年Smart fortwoが114USドル/週、フィラデルフィアでは2016年スバルCrosstrek(日本ではXV)が199USドル/週となっている。1週間だけの利用も可能である。
前述のFord Canvasと同じく提供する車両は中古車だが、Canvasでは長期サブスクリプションを優遇する制度であるのに対して、サブスクリプション期間を1週間単位に設定している。

flexdrive.com

○本シリーズの①は下記URLよりご覧いただけます

(https://www.yanoict.com/daily/show/id/114)

○本シリーズの②は下記URLよりご覧いただけます

(https://www.yanoict.com/daily/show/id/113)

○全文は下記URLよりご覧いただけます

(https://www.yanoict.com/opinion/show/id/233)

2018.06.06

【アナリストオピニオン】新しい自動車所有方法?米国で自動車のサブスクリプションサービスが拡大②

キャデラックの親会社であるGMでは、自動運転技術のCruise Automation、ライドシェアのSidecar、配車サービスのLyftなどの企業に出資しており、Lyftドライバーを対象 に自動車リースの優遇サービスも提供している。LyftのドライバーがGM車をリースして週に65回以上Lyftのライドシェアを提供するとリース料金が無料になり、実質無料で自 動車を保有することが可能になる(ガソリン代のみ負担)。ライドシェア提供が週に40回以下の場合には99USドル/週+走行距離に応じて20セント/マイルの支払いが必要だが 、ライドシェア提供回数が増えるにつれて走行距離の費用が削減されてゆく仕組みになっている。 なお、GMが立ち上げたカーシェアリングサービスMavenでもUberドライバー向けに車両を179USドル/週で貸し出すサービスも提供している。Mavenは米国内11都市でカーシェア (1時間単位の貸し出し)を展開。

maven.com

フォードは、サンフランシスコエリアで開始したサブスクリプションサービス「Canvas」をロスアンゼルスエリアにも拡大。費用のモデルでは、基本料金50USドル/月+車 両月額329USドル/月(2015年Ford Fiesta)で合計379USドル/月としており、保険やワランティ、ロードサイドアシスタンスと走行距離500マイル/月分が含まれる。Canvasサブ スクリプション期間は1-12カ月までを選択でき、長期間であるほど優遇される制度となっている。OEMが主体となって運営されている他のサービスと異なる点は、Canvasはフォ ード・モーター・クレジット・サービスが主体となって、主にリースアップ車両を提供することで他社に比べて月額を低く抑えている点である。

drivecanvas.com

ポルシェ(ノースアメリカ)では、アプリ上の操作でMacanやBoxsterに乗り換えられるサブスクリプションサービス「Porsche Passport」をアトランタエリアで提供。 Boxster、Cayman、Macan S、Cayenneに乗れる「Launch」プランは2,000USドル/月、911 Carrera S, Panamera 4S, Macan GTS, Cayenne S E-Hybridに乗れる「Accelerate」は 3,000USドル/月としている。両プランとも保険や登録費用、メンテナンス費用を含む。Porsche Passportは、後述するClutchとのパートナーシップで提供されている。

porschepassport.com

BMWも「Access by BMW」をテネシー州ナッシュビルで実験中である。他社同様、保険、メンテナンス、ロードサイドアシスタンスが付帯した車両サブスクリプションサービ スを月額固定で提供するものである。Access by BMWの場合は、車両を無制限に変更することができ、大人数を乗せる必要がある場合にはSUV、週末のドライブにはコンバーチ ブルと必要に応じた車種をその都度アプリから調達でき、コンシェルジュがユーザーの好みのラジオ局などをプリセットしたうえで納車する。
Access by BMWには2段階のメンバーシップが用意されており、基本プランの「Legend」が2,000USドル/月で4シリーズ、5シリーズ、X5 、M2クーペに乗車可能で、上位プランの 「BMW M」は3,700USドル/月でM4コンバーチブル、M5セダン、M6コンバーチブル、X5M、X6Mに乗ることができる。

○本シリーズの①は下記URLよりご覧いただけます

(https://www.yanoict.com/daily/show/id/114)

○全文は下記URLよりご覧いただけます

(https://www.yanoict.com/opinion/show/id/233)

2018.06.05

【アナリストオピニオン】新しい自動車所有方法?米国で自動車のサブスクリプションサービスが拡大①

米国では、UberやLyftなどのライドシェアサービスの利用が拡大して、さらにカーシェアが浸透する今後の社会では、自動車販売台数が影響を受けるとの懸念が広がってい る。一方で、新たなテクノロジーが次々に導入される自動車は価格が上昇しているのに加え、購入者はセダンよりもクロスオーバーを選ぶなど以前よりも高額な自動車が売れている。

今後は「所有から利用へ」ということで、カーシェアも急浮上しているが、常に自分専用の自動車が利用可能である「所有」に対する安心感はいまだ根強い。
こうした自動車が高額化する背景もあって、自動車購入にローンよりもリースが選ばれる傾向が高まっており、米国の新車購入者の3割がリースを利用しているという。燃費性 能の向上、ハイブリッドやダウンサイズエンジン、ハイブリッドやEV等パワートレインの進歩、車載カメラや自動ブレーキなど安全装置の進歩、車載インフォテイメントのス マホ連携やコネクティビティなどといった近年のテクノロジーの進歩のスピードに追い付くためには、3年で乗り換える方が得策だと考えるドライバーが増えたためとみられて いる。

こうしたなか、自動車の新しい所有形態として「サブスクリプション」が広がりつつある。サブスクリプションサービスは、カーメーカーにとっても新たな収益獲得方法とし て試されている方式である。
キャデラックは、どの車種にでも乗り替えできるサブスクリプションサービスを展開。月額1,800USドルに登録費用や税金、保険、定期点検・保守などの 車両費用に加え、OnStar(緊急通報、24時間コンシェルジュ)、Sirius XM衛星ラジオ、4G LTE車内Wi-Fiが含まれ、走行距離は無制限で1年間に18台まで車両を交換できる。 従来の自動車リースよりも乗り換えの自由度が高く、レンタカーよりは所有の要素が強いサービスである。提供エリアはニューヨーク、ロサンゼルス、ダラスの3都市。
高級セダンCadillac CTS-Vを頭金ゼロの36か月リースした場合、月額は約1,000USドル/月程度になる。保険料金(米国の自動車保険料は高い)や保守費用を考慮すれば、 1,500USドル/月は法外な価格では無いばかりか、雪が降る地域であれば、冬の間はSUVのEscaladeに交換ということもできる。

Cadillac CTS-V, Book by Cadillac

○全文は下記URLよりご覧いただけます

(https://www.yanoict.com/opinion/show/id/233)

2018.06.04

「情報銀行」に向けた土台作り、急速に進行中

6月1日、政府が「プラットフォーマー」と呼ばれる巨大IT企業を念頭に、大量の個人データを不当に囲い込んだり、優位な立場を使って不当な取引をしたりできないような措置を講じるべく規制を検討しているとのニュースが駆け巡った。

このニュース、もう少し深読みすると、総務省や経産省が中心となって議論を進めている「情報銀行」に向けた取組みに繋がっているとみるのが妥当であろう。既に大手SIerを中心に、政府の議論を注視しつつ、情報銀行の構築に向けたソリューションの開発を進めていると小耳に挟んだ。

私も同じく市場レポートを創らないとなぁと思いながら、動向を注視している。ちょうど欧州のGDPR(EU一般データ保護規則)も情報銀行の後押しになると考えられ、日本での上記の議論も意外とスピーディーに進む可能性があろう。となれば、同時進行で開発が進むSIerのソリューションを導入した、実際の情報銀行に関する取組みが出てくる日はそれほど遠くないのかもしれない。

(山口泰裕)

2018.06.01

【イベントレポート】AWS Summit Tokyo 2018(5/31-6/1開催)

AWS Summit Tokyo 2018(5/31-6/1開催)に行ってきました。毎年参加しているイベントのひとつですが、参加者の盛り上がりは年々ヒートアップしているように感じられました。

DAY1基調講演では、ゲストの一人としてSOMPOホールディングス株式会社 グループCDO常務執行役員 楢崎 浩一氏が登壇しました。同社はAWS上にデジタルサンドボックスを構築。2017年度は42件のトライアルを行い、うち10件をサービス化したそうです。デジタルの急速な進展に伴い、保険業界でも自動運転、IoT、AIなど新しいリスクについてこれまで以上の速さで考えていく必要性が高まっています。トライアルしやすい環境、柔軟な環境はなくてはならないものでしょう。

(小山 博子)

2018.05.31

【個別調査のご案内】

矢野経済研究所では、企業様からのご依頼に基づき、オリジナルの市場調査の業務も行っております。

弊社の既存レポートでは知りたい内容が充分に満たせない、単なる調査結果だけではなくコンサルテーションも頼みたい、といった要望にも対応いたします。

HPやメール、お電話等でご相談頂ければ、担当者からご連絡させて頂きます。費用の見積もりまでなら無料で対応いたしますので、市場データの収集やコンサルティングなどでお困りの方は是非お気軽にご相談ください。

詳細は、下記をご覧ください。

http://www.yanoict.com/service/service_e

2018.05.30

【スマートフォンでの写真撮影②写真つきでご紹介】

以前、写真アプリのsnowを紹介したのですが、社内から「実際にsnowを使用した写真を掲載した方がわかりやすいのでは」との意見をいただきました。「読者の皆様は私の顔写真を見て楽しいのか?」などの疑問はさておき、先日より私もICTサイトのアナリスト一覧に加わったので、今回はそのアナリスト写真を使用してsnowをご紹介いたします。

前回もご紹介させていただきましたように、snowを使用すると肌が白く、目は大きく、と可愛く写真に写ることができます。ぜひ添付いたしました写真を注視していただき、snowの偉大さ、そして私の進化の具合をご確認ください。

(宮川 典子)

2018.05.29

【レポートサマリーのご紹介 監視カメラ世界市場に関する調査を実施(2018年)】

監視カメラ世界市場の概況

■中国企業は世界市場全体の半数以上を占め、日米欧韓の主要企業は対抗策を講じる
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は監視カメラ/モニタリング用カメラの世界市場を地域別(日本/欧州/北米/中国/アジア/中近東その他)に調査し、主要カメラメーカーの動向やIP化、HD化、リモートメンテナンス、クラウドカメラサービスなどの次世代動向を踏まえ、将来展望を明らかにした。

監視カメラ世界市場の注目トピック

■価格下落によりシステムビジネスへシフト
市場の拡大の中で価格の下落が顕著である。ここ2か年で▲5%~▲10%といった監視カメラ本体における価格下落もみられることから、すでに監視カメラ本体では利益確保が出来ない時代になってきたともいえる。このような状況下、特に日米欧韓の主要メーカー各社では、「付加価値ビジネス」「提案型ビジネス」「監視カメラをシステム全体として捉えたシステムビジネス」「画像解析の拡充」「マーケティング活用」「顔認証や入退室システム連携などのシステムビジネスの拡大」、などのシステムビジネスの方向へと移行する傾向が顕著となってきている。

監視カメラ世界市場の将来展望

現在の監視カメラ世界市場は中国が半数近くのシェアを占め、トップ集団にも中国企業が多い。
日米欧韓の主要企業は生き残りのために新たな機能を加え、対抗しようと試みている。新機能としては、2014年に全方位カメラが黎明を迎え切り出し画像での高画質化、動線把握活用が動き出した。また2017年は4K監視の時代の黎明期といえ広域監視・切り出し・分割活用が動き出した。さらに将来は、各種センサーとの連携によりM2M(Machine to Machine:機器間通信)/IoTを構成していくことが予測される。またソフトウェアの面でも、顔認証・動作解析・異常行動解析・滞留把握・混雑把握などがカメラに組み込まれ、監視以外のマーケティングなどへの活用が本格化していく。

調査対象:監視カメラメーカー、代理店、SIer 、レンズや監視用DVRなど関連機器メーカ ー等

調査期間:2017年10月~2018年3月

調査方法:当社専門研究員による直接面談、ならびに電話・email等によるヒアリングを併用

※監視カメラ市場とは:本調査における監視カメラとは監視カメラ製品をさし、IPカメラとアナログカメラに大別される。IP(ネットワーク)カメラとは、IP 機能を内蔵し、単独でインターネット網に接続して使用可能な業務用カメラをさす。これに対して、アナログカメラは、同軸ケーブルによってモニタや録画機器と物理的につなげる必要がある。一般的に、アナログカメラはIPカメラに比べ安価である。
※市場に含まれる商品・サービスとは:監視カメラ 監視カメラ用レンズ

【図表:監視カメラ世界市場規模推移】

矢野経済研究所推計
注:メーカー出荷数量ベース
注:2017年見込値、2018年予測値

○詳細は下記URLよりご覧いただけます

(https://www.yanoict.com/summary/show/id/505)

2018.05.28

ローソンの無人決済サービス「ローソンスマホペイ」

 

ローソンの無人決済サービス「ローソンスマホペイ」を利用しに行ってみました。私が行った場所はローソンゲートシティ大崎店ですが、2018年5月現在、3店舗で実験中です。

お店に行ってスマホアプリを立ち上げて、まずは利用する店舗名を店頭のQRコードで指定します(BTで自動認識も可能)。

次にお店で好きな商品を手に取って、スマホでバーコードをスキャンします。商品選びが終わると決済方法を選んで(私の場合、初めてなのでクレジットカードを登録する時間が必要でした)決済します。最後にお店を出る時には、スマホに表示されたQRコードを、店頭に設置されているスキャナに読み取らせてお店を後にするだけです。尚、レシートはスマホに表示されるので、画面で確認することができます。

やってみると非常に簡単で、少量の買い物ならあっという間に済んでしまいます。近所の住民や勤めている方なら、利用しない手はないと思います。お店の人手不足対策にも効果はあると思いますが、利用者にとってはレジに並ぶ必要がなく、スピーディに買い物ができることから、顧客満足度も上がる可能性が高いと感じました。

ただ、慣れないことなので、何となく店内やお店を出ても、誰かに咎められるのではないか、と少々びくびくしたことは否定しません・・・(逆に万引き対策が心配・・・)

https://www.lawson.co.jp/spapp/lsmahopay/

(野間 博美)

2018.05.25

【締切迫る!】「私と市場調査」作文コンテスト 作品募集中

 

現在矢野経済研究所では創立60周年を記念し、「私と市場調査」をテーマにした作文コンテストを開催しております。賞金総額は100万円、締切は5月31日です。皆さまからのご応募、お待ちしております!

 

・テーマ:「私と市場調査(マーケティングリサーチ)」

・募集期間:2018年4月16日(月)~ 5月31日(木)当日消印有効

・応募資格:とくに規定はありません

・賞および賞金:最優秀賞30万円(1名)、優秀賞5万円(6名)、入選2万円(15名)、社長賞10万円(1名)

 

※詳細は下記のURLよりご覧いただけます。

https://www.yano.co.jp/60thanniversary/contest/index.php

2018.05.24

屋内位置情報サービス

最近はスマホをチラチラ見ながらオフィス街を歩いている就活生をよく見かけます。恐らく地図を見ながら歩いているのだと思いますが、最近はこれもごく当たり前の風景になりました。

スマホとGPSの普及によって、今の自分のいる位置を把握することは以前より大変容易になりました。しかし、実はこれは屋外に限られていることにお気づきになっていますか?屋外にはGPSの電波が広く届いており、地図のソフトもスマホに標準搭載されているのでできることなのです。

しかし、例えば広い商業ビルや駅、空港など、屋内ではいかがでしょうか。自分の位置がわからずにお困りになったことはありませんか?こうした以前では当たり前だった状態が、屋外が便利になったために、より不自由を感じられるのではないでしょうか。

そこで最近注目されている技術に、屋内位置情報サービスがあります。GPSを利用できない屋内において、人やモノの位置を把握するためのシステムです。技術としては、BluetoothやWi-Fiなど、様々なものを活用していますが、今のところは到底普及しているとは言えず、今後の市場として期待されてる段階です。いつか普及が進めば、スーパーの欲しいものの場所までスマホが誘導してくれる、などということも可能になりそうです。

尚、当社では、この市場に関するレポートも発刊しておりますので、ご興味のある方は是非ご確認ください。

https://www.yanoict.com/summary/show/id/496

(野間 博美)

2018.05.23

【矢野ICTアナリスト通信】相槌の頻度とタイミング

私達の仕事は取材に伺うことも多いのですが、最近、「相槌って奥が深いなあ」としみじみ感じます。相槌をうつごとに対話相手の心情や言葉に影響を与えるし、その結果、会話の経過や着地も、内容の充実度も変わってしまう。

過去、日本認知科学学会で発表された「相槌の頻度とタイミング」についての論文では、相槌の素早さによる対話相手の心情分析が紹介されました。対話相手からの相槌が2番目に早いのは賛成の時、3番目は中立の時、4番目は理解できていない時、5番目は不賛成の時。さて、1番目はどんな時でしょう?答えは、1番目も「不賛成のとき」。不賛成のとき、「その話を早く終わらせたくて相槌を行う」「賛成の言葉を発し難いので相槌が遅れる」という2つのケースがあることが紹介されました。確かにそうかも!…と思うと同時に、取材時間には限りがあるので、出来るだけスムーズに沢山質問したいのも事実。「素早く相槌を打ちながら、表情とうなづきで賛成の意を示そう!」と思ったのでした。

(加藤佳奈)

2018.05.22

セールスフォース・ドットコムが小規模・スタートアップ企業向けにSales Cloud、Service Cloudを簡単・安価に利用できるSalesforce Essentialsの提供を開始

セールスフォース・ドットコムが小規模・スタートアップ企業向けにSales Cloud、Service Cloudを簡単・安価に利用できるSalesforce Essentialsの提供を開始しました(5/15~)。

5ライセンスまで、また初めてSalesforceを利用する企業に限るという条件こそありますが、ワールドワイドで実績十分な同社サービスを月額3,000円(ユーザ1人あたり/税別)で利用できることは、ビジネススピードを加速させたい企業にとって非常に魅力的だと思います。

そうはいってもSalesforceだし、操作性が難しいのでは?という懸念もあります。ですが今回同社は、本サービスに関連するTrailhead(ガイド付き学習パス)について、全て日本語対応を終えた上でリリースしています。このようなところからも同マーケットに対する同社の本気をうかがえます。

Salesforce Essentialsでは、もちろん同社のAI、Einsteinの機能も活用できます。小規模・スタートアップ企業はAIに興味・関心はあるけれど手軽に利用できるものはない、そんな状況であったかと思います。本サービスをきっかけにAIはもちろん、リソースなどの問題でなかなかビジネスのデジタル化を進めることができなかった小規模企業等でITの利活用が進んでいくことが期待されます。

(小山 博子)

2018.05.21

【「WHATSセミナー」WEB配信開始のお知らせ】

先日より、矢野経済研究所が運営する『WHATSセミナー』を、ファシオが提供する映像配信サービス『Deliveru(デリバル)』を活用しオンデマンド配信を開始いたしました。

時間と場所を選ばない”オンデマンドセミナー”、日程の都合がつかない、実施場所まで遠いなどの理由で受講ができない方も、ご自身のPCやタブレットPC、スマートフォンなどで、”いつでも”、”どこでも”セミナーを受講できます。ぜひご検討ください。

※WHATSセミナーとは、矢野経済研究所の現役研究員およびOB(社内マイスター)、企業を定年退職された客員研究員(社外マイスター)、そして社外の現役経営者・専門分野担当者らが、単独であるいはこれらの組み合わせで講師を担当し、様々なテーマを取り上げているセミナーです。基本的に少人数で、月に1~2回開催しております。

※下記URLよりWHATSセミナーの詳細をご覧いただけます。

https://www.yano.co.jp/seminar/whats/

2018.05.18

アジアでの撮影&独り言「アジアITSイブイブイブ」日本編⑥

 

アジアのITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)は欧米の後を5年遅れて付いてくるとおもったら大間違い。アジアには、欧米の国々のような自動車文化は根付いておらず、でもだからこそ欧米を見ていては見えてこない何かがあるような気がする。アジアのITSは前夜の前夜のそのまた前夜くらい。「アジアITSイブイブイブ」です。

今回のアジアは5月8・9・10日に福岡県博多市で開催された「第16回アジア太平洋地域 ITSフォーラム(通称 APフォーラム)」(写真あり。)です。

http://www.itsap-fukuoka.jp/

福岡は福岡空港、博多港など入国ルートも多く、また地理的にも距離が近いためフェリーで韓国と行き来できたり、旅行代金の安さ、移動時間の短さなどのメリットも多く、アジアからの訪日外国人によるインバウンド需要が多いのが特徴。また福岡を中心とした北九州では2017年に159万台のクルマを生産しており、道路幅も広く連結バスが余裕で走行できるなどの点からしても福岡でアジア全域のITSフォーラムが開催されるのはよくハマる感じ。

2035年には福岡県の人口の1/3が65歳以上になり、彼ら高齢者は国に免許を返納するので、特に農村部過疎地に住む高齢者を自動運転カーでいかに補完できるか――が問題だそうです。こうした問題を県だけのものとしてではなく、広くアジア全域と共に考え生きていく・・・というのが福岡らしさでしょう。

日本にありながら「独立的」な空気が漂っているのが福岡の魅力。ちなみに西日本鉄道の講演では「福岡県は日本で最も美男美女が多い県でも知られている」とのことでしたが・・・。

(森 健一郎)

2018.05.17

【TV出演のお知らせ】

矢野経済研究所の代表取締役社長 水越が明日18日の朝に、モーニングCROSSにコメンテーターとして出演します。

ご覧になった方は感想などもお寄せ下さい。

■日時:2018年5月18日(金)午前7:00~8:30(全時間)

■番組名:TOKYO MXテレビ「モーニングCROSS」(毎朝のニュース・情報の生ワイドショー)

http://s.mxtv.jp/morning_cross/

■チャンネル:地上波9チャンネル(091ch)

■出演内容:コメンテーターとして全時間出演

■MC:堀潤氏、宮瀬茉祐子氏

■他の出演者:秦 万里子(作曲家)、尾原和啓(IT評論家)

2018.05.16

【アナリストオピニオンのご紹介 インバウンド戦略が重要性を増す地方経済③】

訪日外国人はリピーターも増え、かつてのゴールデンルートから様々な地方へと分散してきている。比較的日本文化を楽しむ傾向のある欧米人と比較して、台湾やタイからの観光客は、日本人の生活を体験することを重視しており、SNSを通じた口コミ情報などを参考に行き先を計画するようになり、それは日本人が考える観光地に留まらず極めて多様化してきている。また、SNSの影響で、彼らの行きたいところのポイントの一つは、如何に「インスタ映え」するかでもある。従って、地方では、如何にSNSをうまく活用して地元の資産を観光資源化するための戦略が極めて重要な課題となっているのである。また、多様な国から訪れる外国人対応には、多言語化はもちろん、人手不足のなか、様々な効率化、省人化が求められるようになっており、IT化は不可避の状況となっている。

地方の観光業は従来、極めてドメスティックで行政主導の仕事であると見られていたが、今やグローバルで最先端のIT技術を活用できるDMOへの変化が期待されており、その成否は地方経済そのものの運命を分かつまでに重要性を増しているといっても過言ではない。

○本シリーズの①は下記URLよりご覧いただけます

(https://www.yanoict.com/daily/show/id/95)

○本シリーズの②は下記URLよりご覧いただけます

(https://www.yanoict.com/daily/show/id/96)

○全文は下記URLよりご覧いただけます

(https://www.yanoict.com/opinion/show/id/232)

2018.05.15

【アナリストオピニオンのご紹介 インバウンド戦略が重要性を増す地方経済②】

また、こうしたインバウンドの影響は地価にも影響を及ぼしている。国土交通省の2018年1月1日付の公示価格は3年連続で上昇しているが、上昇率のトップ3は外国人にスキーリゾートが人気の北海道倶知安町が占めている。また、大阪では長らくキタの梅田が最も高い地域であったが、今回はミナミの心斎橋が逆転し、大阪で最も高い地価となった。これは関空から近いミナミの中でも、道頓堀周辺は外国人に特に人気のエリアであり、このことが地価のアップに影響したとされている。

このように、インバウンドはもはや国内の消費において次第に大きなポジションを占めるようになり、人口減少で衰退が危惧される地方の各地域においても、インバウンド誘致が重大な関心事になっている。

しかし、元来地方の観光業は産業としては未熟とされ、特にマーケティング面に関しては大きく出遅れているのが実態である。こうした中で地方創生のために求められているのがDMO(Destination Management Organization:デスティネーション・マネージメント・オーガニゼーション)の存在であり、具体的にはどこの国のどういった層をターゲットとし、どのように自分たちの観光資源をPRして訪問を促すのかという観光マーケティング戦略が重要視されるようになってきた。

○本シリーズの①は下記URLよりご覧いただけます

(https://www.yanoict.com/daily/show/id/95)

○全文は下記URLよりご覧いただけます

(https://www.yanoict.com/opinion/show/id/232)

2018.05.14

【アナリストオピニオンのご紹介 インバウンド戦略が重要性を増す地方経済①】

我々のような一般人が外国人観光客を「インバウンド」と当たり前のように呼ぶようになって久しい。少なくとも私には、ほんの数年前に初めて聞いたような記憶がある。しかし今では、国内のあらゆるところで外国人観光客を目にしない日はないし、「インバウンド」と言えば、観光業界に属さない人間でも外国人観光客のことをイメージすることが常識になっている。

私が働いている大阪ではその影響は計り知れない状態である。勤務先のオフィス周辺はいわゆるオフィス街で、以前なら外国人はおろか、日本人の旅行客すらほとんど見かけるような場所ではなかった。しかし、周辺にホテルができたこともあって、以前ならまず目にすることがなかった外国人観光客を、今は見かけない日はないほどである。オフィスの向かいにあるコンビニのレジに、朝から中国人の行列ができていることも、今では全く珍しくない状態だ。

こうしたインバウンドの効果は、次第に日本の経済そのものへの影響を強めている。観光庁が先日発表した訪日外国人消費動向調査によると、2017年累計の訪日客による旅行消費総額(速報)は4兆4,161億円と16年(3兆7476億円)に比べて17.8%増加した。初の4兆円超えとなり、通年ベースでの過去最高を更新した。
国・地域別では、中国が消費額全体の38.4%を占め最大だった。中国の消費額は14.9%増の1兆6,946億円。次いで台湾が9.5%増の5,744億円だった。

訪日外国人の1人当たり消費額は1.3%減の15万3921円だった。中国人の1人当たり消費額は0.5%減の23万382円だったとされている。
また、日経新聞社が発表したインバウンド消費額が県内総生産の「消費」に占める割合では、沖縄が最も大きく6.3%、2番は東京で4.2%、3番は大阪で同じく4.2%となっている。また、このインバウンドの消費額を5年前と比較すると、沖縄では8.5倍、東京では4.2倍、大阪では5.1倍になっているという。

○全文は下記URLよりご覧いただけます

(https://www.yanoict.com/opinion/show/id/232)

2018.05.11

【ICT・金融ユニット研究員が紹介したいスイーツ②】

スイーツ部の宮川です。入社時からもぐもぐと5kgの脂肪と少しの知識を蓄えた私が、息抜きのおやつをご紹介いたします。

写真は先日ローソンで発売した「Uchi Café x GODIVA ショコラパフェ(450円)」と「Uchi Café x GODIVA ショコラマカロン(350円)」です。ゴディバを手軽に味わえるお値段となっており、ささやかな自分へのご褒美にうってつけです。数量限定のため弊社周辺のローソンでは激戦が繰り広げられておりますが、激戦を勝ち抜いた末においしくいただくことができました。

ちょっとした贅沢を満喫したのもつかの間、息抜きが終わったので午後ももうひとがんばりします。皆様、よい週末をお過ごしください。

(宮川 典子)

2018.05.10

【個別調査のご案内】

矢野経済研究所では、企業様からのご依頼に基づき、オリジナルの市場調査の業務も行っております。

弊社の既存レポートでは知りたい内容が充分に満たせない、単なる調査結果だけではなくコンサルテーションも頼みたい、といった要望にも対応いたします。

HPやメール、お電話等でご相談頂ければ、担当者からご連絡させて頂きます。費用の見積もりまでなら無料で対応いたしますので、市場データの収集やコンサルティングなどでお困りの方は是非お気軽にご相談ください。

詳細は、下記をご覧ください。

http://www.yanoict.com/service/service_e

2018.05.09

新日鉄住金ソリューションズが語ったDataRobotによる機械学習の自動化

第2回AI・人工知能EXPO(4/4-4/6)を訪れた(4/5)。

新日鉄住金ソリューションズのブースでは、機械学習を自動化するプラットフォーム「DataRobot」を展示した。同社は国内で先駆けて販売代理店を務め、DataRobotの導入支援や運用などのサービスを提供する。なお、本製品の開発は米DataRobot, Inc.が行う。

まず、DataRobotの概要について紹介する。DataRobotを用いると、統計について高度な知識を必要とせず、ワンクリックで高精度なモデルを作成することができる。データを投入すると、内蔵された1000種類以上の予測モデルの雛形から、問題を解決するのに適したモデルを自動で構築し、精度の高い順に表示する。

次にDataRobotの事例を紹介する。DataRobotは、2種類のグループに分類する作業である2値分類を得意領域としている。本製品が導入された三井住友カードでは、顧客の与信管理などに活用する。導入後、これまで数カ月の作業時間が必要であったデータ分析は、数日~1週間程度で完了するようになった。現在、新日鉄住金ソリューションズがDataRobotの導入を支援した約30社の顧客のうち、1/3程度を金融業界の企業が占めている。

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DataRobotが普及すれば、統計知識に精通していない社員でも、自動で予測モデルを構築できるようになる。そのため、DataRobotは、データサイエンティストが不足している現状を打破する可能性を秘めているといえる。

(井上圭介)

2018.05.08

開業したばかりの東京ミッドタウン日比谷に立ち寄ってきました

先日、近くを通りがかったので、先日開業したばかりの東京ミッドタウン日比谷に立ち寄ってみました。非常に贅沢に空間を利用しており、レトロな内装などは日比谷という立地を生かしつつ、近未来の商業施設をイメージさせるものでした。映画専用のフロア以外では、全てのフロアにレストランやカフェなどの飲食店が配置されており、ショップが中心であった今までの商業ビルとは、大きく方向性が異なっているように感じられました。

例えば、1Fのレクサスのショールームには、何故かカフェや物販のコーナーが広く展開されており、自動車の販売店とは思えぬコンセプトで作られているようです。

アメリカではAmazonの影響、いわゆるアマゾンエフェクトによって、小売業のみならず、小売業などを誘致してきた不動産業界にも大きな打撃が与えられているといいます。もちろん日本国内においても、リアルの店舗は今後ECの影響から逃れることはできません。

スマホ片手に出不精になった消費者を相手に、いかにしてお店まで足を運んでもらうか、小売業だけでなく、不動産業界にとっても生き残りをかけた戦いが続くことを予感させる体験でした。

https://www.hibiya.tokyo-midtown.com/jp/

(野間 博美)

2018.05.07

日本マイクロソフトが示す働き方改革の実践事例

日本マイクロソフトは、最新の働き方改革の実践事例に関して記者発表会を開催した(4/26)。

まず代表取締役社長の平野拓也氏は、自社における「より活躍する働き方」の実践に向けた注力領域として、①データドリブン 意思決定と行動、②組織横断の巻き込み力、③働き方の見える化と改善――の三点を挙げた。具体的な内容をそれぞれ以下のように述べた。

① 「データドリブン」について、現場の社員がオンラインで経営会議に加わり、経営陣は現場の最新情報を共有している。さらに、検討課題について様々なデータソースからデータを集約・分析するツール「Power BI」を利用し、経営会議の場で分析し、意思決定を行っている。

② 「巻き込み力」とは、部門を越えて連携する能力を指す。同社では、チャットや音声通信、会議、ファイル共有などの機能をもつMicrosoft Teamsを活用することで、社内のみならず、顧客とも連絡を密にできる体制を構築している。

③ 「働き方の見える化と改善」に際して、組織全体の働き方を可視化・分析するサービス「Workplace Analytics」を活用している。これにより、社員の時間の使い方を把握することが可能になる。たとえば、営業成績が優秀な社員と一般的な社員について、社外との1週間あたりの共同作業時間を比較した場合、「優秀な社員は12.4時間を費やす一方、一般社員は8.7時間に留まった」という結果が得られた(写真)。優秀な社員の行動を自身の働き方に取り入れることは、労働生産性向上の一助となりうると指摘した。

次に、同社の顧客である日本郵船株式会社の取り組みについて取り上げる。

日本郵船グループの各社にコンピューターサービスを提供する、株式会社NYK Business Systemsの代表取締役社長、班目哲司氏が登壇した。班目氏は、「日本郵船は、Office365やWindows10、Power BIなどを含む統合ソリューション『Microsoft 365 Enterprise E5』の採用を決定しており、順次導入していく」と述べた。使用者は、日本郵船グループに所属する、世界43カ国の社員32,000名に上るという。

導入の背景には、日本郵船グループが掲げる目標「全社員データアナリスト化」があると班目氏は明かす。実際に「潮流や海水温度、船の設備状況をはじめとするデータをPower BIによって分析し、燃費削減などに応用していきたい」と意気込みを語った。

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日本郵船グループが掲げた「全社員データアナリスト化」という標語が印象に残った。Power BIのような、操作性の高い分析ツールが多くの社員に普及していけば、データ分析は専門家のデータサイエンティストのみに求められる能力ではなく、一般社員にも必要とされる普遍的なスキルの一つとなっていくのだろうか。

また、データ分析に留まらず、データクレンジングを含めた「データの整備」の領域についても、全社員がスキルを身につけられるだろうか。日本郵船のデータ活用に注目していきたい。

(井上圭介)

2018.05.02

【アナリストオピニオンのご紹介 デジタルサイネージのキラーサービスとは②】

デジタルサイネージ×都市サービスの高度化

横断的アクションプランではIoT時代の技術進歩の成果を踏まえ、訪日外国人等のスムーズな移動、観光、買い物等の実現に向け、スマートフォン、交通系ICカードやデジタルサイネージ等と、共通クラウド基盤を活用した多様なサービス連携(個人の属性・言語等に応じた情報提供や支払手続の簡易化等)をめざす“IoTおもてなしクラウド”事業を推進している。

都市サービスの高度化に関する進捗についてみると、平成28年度は、IoTおもてなしクラウドを活用し、千葉・幕張・成田地区におけるスムーズなホテルのチェックイン、美術館へのチケットレス入場、デジタルサイネージによる自国語での観光情報・経路案内等の提供、レストランでのスムーズなサービスの提供、多言語翻訳などの実証実験が行われた。この実験の課題を受け、平成29年度はおもてなしクラウドの情報仲介機能に必要な要件・ルールや第三者提供に係る同意取得等の在り方・ルール、利用者のインセンティブとなる利益の還元方法などの検証が行われた。さらに平成30年度になると、おもてなしクラウドの実用化に向け、おもてなしクラウドへの情報登録方法等、実運用に必要なプロセスの検証(例えば旅行代理店や航空会社等と連携し、旅行の流れの中で、自然にストレスなく属性登録できる仕組みの検証)や、自発的に属性登録するようなキラーサービスの検証が行われる方向性である(総務省「都市サービス高度化ワーキンググループ第8回_平成29年11月_配布資料8-1_IoTおもてなしクラウド事業について」より)。

IoTおもてなしクラウド事業が“訪日外国人等”のスムーズな移動としているように、こと、国内に限っていうならば、自国語での観光情報・経路案内等の提供や多言語翻訳などはインバウンド以外の需要を期待しにくい。2020年東京大会以降の我が国の持続的成長も見据えるのであれば、日本人にとってもメリットのあるサービスの提供がデジタルサイネージ市場のさらなる拡大につながる。この点からもどのようなキラーサービスが生まれるのかが市場にとってひとつの鍵になりそうだ。

もっとも、デジタルサイネージの規格については国際標準化を目指しており、それが果たされれば多言語翻訳などに対するニーズも高まる。この場合、地図情報などの交通系・移動系サービスがキラーサービスになることが考えられるが、それらに性別や年齢などを登録することには違和感もある。交通系でキラーサービスになる可能性が高いのは、飛行機を利用したサービスになるだろう。もっとも、キラーサービスとするには飛行機は敷居が高い。となると決済系が候補になりそうだ。しかし、日本のキャッシュレス決済比率は海外諸国と比較するとまだ低く、デジタルサイネージとの連携を考える上では更なる拡大が期待される。

【図表:キャッシュレス決済比率の各国比較(2015年)】

出所:経済産業省 商務・サービスグループ「キャッシュレスの現状と推進」(平成29年8月)

○本シリーズの①は下記URLよりご覧いただけます

(https://www.yanoict.com/daily/show/id/89)

○全文は下記URLよりご覧いただけます

(https://www.yanoict.com/opinion/show/id/231)

2018.05.01

【アナリストオピニオンのご紹介 デジタルサイネージのキラーサービスとは①】

気付けばデジタルサイネージ

先日、タクシーに乗ると前方座席の背に小型のデジタルサイネージが設置されていた。また、久しぶりに行った劇場では紙のポスターがデジタルサイネージに変わっていた。身近なところでは、電車内のデジタルサイネージのパネル枚数が増えている。などというように、近年、デジタルサイネージは目覚ましいスピードで増え、市場は拡大し続けている。

では、いまなぜデジタルサイネージ市場が急速に拡大しているのか。その一因は2015年7月に総務省が公表した「2020年に向けた社会全体のICT化アクションプラン」にある。同プランの目的は、2020年東京オリンピック・パラリンピック(2020年東京大会)に向けて我が国のICTに関わるサービスやインフラの高度化を図り、世界に日本のICTを発信するとともに、2020年東京大会以降の我が国の持続的成長も見据えた2020年に向けた社会全体のICT化の在り方について検討を行うことにある。

【図表:2020年に向けた社会全体のICT化 アクションプラン 概要】

出所:総務省「2020年に向けた社会全体のICT化推進に関する懇談会(第7回)配布資料(平成29年6月)
資料7-3「アクションプランの進捗状況」

図表で示したように、同プランは、大きく8つの分野ごとのアクションプランと、2つの各分野横断的なアクションプランから成り、デジタルサイネージはこの両方に関係する。ここでは各分野横断的なアクションプランのうち、「都市サービスの高度化」についてみる。

○全文は下記URLよりご覧いただけます

(https://www.yanoict.com/opinion/show/id/231)

2018.04.27

【ICT・金融ユニット研究員が紹介したいスイーツ①】

新しいシリーズとして、スイーツ部を立ち上げてみました。

日々のプロジェクトに猛然と立ち向かっていては身体がもちません。ゆる~いスイーツコラムもたまにはどうぞ。

さて、桜の季節は華やかなスイーツが店頭に並び、スイーツ好きとしてはついつい迷ってしまいますよね?私は結果的に毎日、順々に食べていく日々が続いています。

そうした中で今回、ご紹介するスイーツは「苺みるくの和ぱふぇ」。セブンイレブンで発売中♪

外見は写真の通り、練乳や抹茶のホイップに加えて、苺果実入りのソース、柔らかな白玉が載っており、その下には苺のムースと練乳寒天が隠れています。和をテーマにしていますので、見た目は重そうな感じを受けますが、甘さも味も控えめ。自己主張するものも皆無ですが、全てを一緒に食べると上品な甘さでまとまりがあります。

ペロリと口にすることができますので、疲れた頭に程よい糖分を運んでくれるのではないでしょうか。10時、3時、夕方、いずれの時間帯に食べても、そのあとの食事にはほとんど響きませんのでご安心を。

(やまぐち)

2018.04.26

AIにできない仕事⑫  AIは寿命逆算スパンで思考できないのでは・・・

AI(人工知能)がやがて人間の仕事の多くを代替していくって本当でしょうか。でも、AIにもできない仕事があるのでは?

厚生労働省が2017年9月に発表した高齢者調査では、100歳以上の高齢者が全国で6万7824人に上り、20年間でなんと約6.7倍も増え、今後も増える模様。ここにきて「百歳人生を生きるヒント」(五木寛之 著)がベストセラーになったり、人生を百歳で考える視点が見受けられるようになりました。

人生が80年だからこうしようと考えてきたのに、人生100年といわれては、どうにも戸惑ってしまいます。筆者は60歳なのですが、よく人が60歳近くなった時「あと何年の人生だから・・・」と逆算して、ならば「これだけに集中したい」といった人生設計を行うようになる気持ちが理解できます。「体が動く内にこれをやっておきたい」という思いです。(イラストあり・イラストはイメージです)

思えば20代のころ、こうした思考は無かったと記憶しています。もっとわけのわからない理由のない全能感に満たされていて、「なんでもやってやろう、なんでも見てやろう(エッチ)」という感じでした。

しかし最後20年間に何かに集中する事により、人の人生は充実することがあるのではないでしょうか? またそれゆえに他者の終わりの20年を尊重することもできるような気がします。

しかし、AI。これには寿命がありません。「終わる」という概念を持たずに導き出す結論とは、寿命を持つ人間の思いとは随分かけ離れたものになるのではないかなあ・・と思います。AIは経営判断、人材育成、といったコンサル業務に強いようですが、寿命を持つ人間の存在を理解しての結論は出せるのでしょうか。

AIにできない仕事のヒントはこの辺りにもあるかもしれません。

(森 健一郎)

2018.04.25

マンホールブーム

マンホールがブームになっているそうです。全国のマンホールの写真を撮影して収集する人も増えており、地方自治体側も様々な個性的なマンホールのデザインを考案しており、ざっと調べただけでもカラフルなものが大量に出てきます。撮影した写真を投稿するサイトもあまた存在しており、私の義兄も先日一緒に行った旅行先ではパチリパチリとマンホールの写真を撮りまくっていました。

こうしたマンホールブームに便乗したわけではないのでしょうが、NTTドコモさんがマンホール型の基地局を開発したそうです。観光地や景勝地など、景観を損ねないようにアンテナを設置したい場所や、人が多く集まり通信速度が低下しやすい場所などで、2018年度内に本格導入する計画とのことで、日本初の取り組みということです。

新設される基地局は、従来のように幅広いエリアをカバーする役割から、ピンポイントで電波の弱い特定のエリアを補強する役割に変化しています。そうした携帯電話事業の競争環境の中で、一から基地局のインフラを整備しつつ参入する楽天さんの携帯電話事業の戦略に大変注目しています。

(野間博美)

2018.04.24

【TV出演のお知らせ】

矢野経済研究所の代表取締役社長 水越が明日25日の朝に、モーニングCROSSにコメンテーターとして出演します。

ご覧になった方は感想などもお寄せ下さい。

■日時:2018年4月25日(水)午前7:00~8:30(全時間)

■番組名:TOKYO MXテレビ「モーニングCROSS」(毎朝のニュース・情報の生ワイドショー)

http://s.mxtv.jp/morning_cross/

■チャンネル:地上波9チャンネル(091ch)

■出演内容:コメンテーターとして全時間出演

■MC:堀潤氏、宮瀬茉祐子氏

■他の出演者:北条かや(著述家)、古谷経衡(文筆家)

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