矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

デイリーコラム


2019.12.27

【年末年始休業のお知らせ】

矢野経済研究所は、明日12月28日(土)から1月5日(日)まで年末年始休業となります。そのため、次の営業日は1月6日(月)です。

2019年も残すところ数日となりました。
今年は5月に令和へ改元し、10月より消費税増税とポイント還元が実施されるなど、イベントの多い一年となりました。来年は東京オリンピック・パラリンピックが開催され、更なる変化が予想されます。

このページは、矢野経済研究所の研究員が、ICT業界動向や調査研究などについて、コメントを発信しています。来年も楽しんでいただけれますと幸いです。

皆様よいお年をお迎えくださいませ。

2019.12.26

cookie情報はどう使われている?

先日道後温泉へと足を運びました。あいにく道後温泉本館は工事中で建物の一部にしか入ることはできなかったのですが、いい思い出になりました。旅行前にスマホで観光情報を検索したのですが、ちょうどDMPMA市場の調査を進めていたこともあって、道後温泉のツアーや観光情報に関する広告が表示されるたびに「きっとCookie情報かなにか利用されたんだな」と思った次第でした。

Cookie情報の利用について、欧州のGDPRやカリフォルニア州のCCPA、フィリピンのLGPD、中国のCS法など、各国で規制が進んでいます。日本でも個人情報保護法の見直しが行われ、Cookie情報の利用規制について検討が行われている最中です。

DMP/MA市場において、Cookie情報は顧客がどのような経緯で自社のHPに到達し、自社のHPでどのコンテンツを見たか、というカスタマージャーニーを追う際などに使われています。カスタマージャーニーをもとに、どのチャネルで、どれくらいの頻度で、どの時間帯で、どんなコンテンツ配信するか、を個別に最適化していく、パーソナライズ化の取り組みが加速しています。パーソナライズ化は顧客体験の質を高めることができる一方、顧客から「なぜそんなことまで知っているの?」と不信感を抱かれる可能性もあります。そのため、企業側は情報を取得する個人に対し、どのような目的で、何に用いられるのか、などを適切に開示し、対処していく必要があります。加えて、情報を提供した個人が何かしらのメリットを得られるような仕組みづくりに取り組んでいかなければなりません。

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今年も残りわずかとなりました。

取材にご協力いただきました皆様をはじめ、弊社アンケート等にご協力いただきました皆様、誠にありがとうございました。心より感謝申し上げます。

皆様、良いお年をお迎えください。(宮川 典子)

2019.12.25

Happy Holidays!

今朝サンタが来ていたお家も多いことでしょう。

みなさま楽しいクリスマスの一日をお過ごしください。

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年末になりましたが、2019年に発刊した、ICT・金融分野の市場調査レポートをご紹介します。
最新のタイトル一例は以下の通りです。

「2019年版 クレジットカード市場の実態と展望」

「2019 国内企業のIT投資実態と予測」

2019 IoT/M2Mマーケット ~5Gで加速するIoTマーケットの中期展望~

2019 ドローン(UAV/UAS)の世界市場と将来予測

2019年版 DMP/MA市場 ~デジタルマーケティングツールの活用実態とビジネス展望~

業界で関心の高いテーマを取り揃え、担当の研究員が独自の調査により最新の市場動向をまとめています。

以下のリンクから、詳細をご覧いただき、来年の貴社のビジネスの参考にしてください。

https://www.yanoict.com/market/report

2019.12.24

【アナリスト通信】人生100年時代における就職

春、新卒社員が配属されてきて、彼ら及び彼らの友人の生々しい就職活動の話をききました。成功談よりも、むしろ入社後1年未満でやめてしまった友人の話のほうが胸に残りました。人が何かを決断する話はいつの時代も生々しく迫力あります。

人生100年時代ですから、新卒の人達はこれから50年近く働くのでしょう。たった今の企業規模や景況が良くても、何十年か先にどうなっているかわかりません。終身雇用でなくなるかもしれないし。むしろ起業に応援の声が上がっているし。

就職のプロでもないのに、他人事だと語ってしまいお恥ずかしい。考えてみれば自分のことほどわからないですよね。「市場調査ビジネスの将来展望」という調査レポートは見たことないしなあ。(森健一郎)

2019.12.23

【無料で遊ぶ、矢野経済研究所の歩き方】

無料で、マーケットに関するニュースレターやメールマガジンを受け取ったり、マーケットレポート紹介コンテンツを見ることができる方法をご存知ですか?

もし弊社からの情報が欲しい!という方がいらっしゃいましたら、YRI Webメンバー登録をしてみてください。

ご登録頂きますと、矢野経済研究所発信の各種業界およびマーケットに関するニュースレターやメールマガジン、矢野経済研究所が独自で企画した最新市場調査資料(マーケットレポート)新刊のお知らせ等各種情報の受信、マーケットレポート紹介コンテンツの閲覧等、メンバー限定のサービスを利用することができます。

http://www.yano.co.jp/regist/

2019.12.20

【アナリスト通信】QRコード決済サービス市場調査の御礼

先日、QRコード決済サービス提供事業者様を取材しました。各QRコード決済サービスの特徴や戦略、加盟店数、加盟店開拓の手法などをヒアリングしております。
取材をご快諾いただいた方々へ、ありがとうございました。
来年、QRコード決済サービスの市場調査資料を発刊する予定です。引き続き調査を進め、皆様のお役に立てるような情報を提供できるよう努めます。どうぞよろしくお願いいたします。(井上圭介)
2019.12.19

【TV出演のお知らせ】

矢野経済研究所の代表取締役社長 水越が明日20日(金)の朝に、モーニングCROSSにコメンテーターとして出演します。ご覧になった方は感想などもお寄せ下さい。

■日時:2019年12月20日(金)午前7:00~8:00(全時間)

■番組名:TOKYO MXテレビ「モーニングCROSS」(毎朝のニュース・情報の生ワイドショー)

http://s.mxtv.jp/morning_cross/

■チャンネル:地上波9チャンネル(091ch)

■出演内容:コメンテーターとして全時間出演

※他の共演者:坂田 薫氏(化学講師)

■MC:堀潤氏、宮瀬茉祐子氏

2019.12.18

【アナリストオピニオン】CASE時代の「人馬一体」 ―モビリティとは生きることなのだ―③

馬の時代から主役はコト(モビリティ)だった

筆者の反論とは、かいつまんでいえば前述のようなものだった。筆者は内心大得意。「どうですか、鈴木さん。CASEはこんなにも、クルマを別次元の存在にもっていけるんですよ。ご理解いただけましたでしょうか、ふふん」という感じであった。

さらに余裕をかまして、「鈴木さん、どう思われますか?」ときいてみた。ところが、カーガイ鈴木さんは、何となく「ほんとにそうかなあ?」というあいまいな表情だ。それを見ていると、何だか筆者も不安になり、もう1度考え直してみた。

たしかにCASEにより自動車産業は大きく変わる。周辺産業にも影響を及ぼすはずだ。だが、カーガイ鈴木さんは自動車産業について話していたのではなく、あくまでも自分の愛車について話していたのではないか? 愛車についてだけ考えるならば、それがコネクテッドになろうが、自動運転できるようになろうが、EVになろうが愛車であり続ける。愛する犬がチワワからシェパードに変わったからといって愛犬であるのと同じように。またシェアリングはそもそも愛車ではないのだから関係ない。

では、鈴木さんが言うように、オーナーカーにおいては、「CASEの進化といっても電卓の進化と一緒」くらいのものであるのか?

自動車に限定してしまえばそうなのかもしれない。だが、今起こっている100年に1度の大変化とは、単に自動車の、自動車産業の変化ではないのかもしれない。トヨタ自動車がかつてCESにおいて「トヨタをモビリティカンパニーに変革します」と掲げていた。ならば100年に1度の変化で変わるのは、自動車ではなく、モビリティではないのか。

これまでの100年で変わったものは「馬→馬車→自動車」という変化だったのではないであろうか。1908年にT型フォードが世に出てから、わずか20年の間に、米国の大通りから馬と馬車の姿を完全に払しょくしてしまった話は有名だ。
そして、これからの100年はMaaSの概念のとおり、オーナーカーばかりでなくシェアカー。四輪乗用車ばかりでなく2人乗りの小型モビリティ、バス、バイク・スクーター、電動自転車、電動キックボード、ドローン、空飛ぶタクシー、航空機、鉄道、船舶等の多様なモビリティがマルチモーダルに連携しあい、ユーザはスマートフォンで予約・決済して自由に移動できるようになっていく。それらはやがて都市交通システムとしてスマートシティ構築の一部を担うようになる。

つまりこれまでの100年は馬から自動車への変化、これから100年の変化は自動車から移動(モビリティ)への変化という事だ。これからの100年は乗り物がなんであるかに関わらず、移動するという行為こそが主役になっていくのだ。

考えてみれば馬の時代から、人は移動したいから何かに乗ったにすぎないのである。馬の時代から主役は移動(モビリティ)という「コト」であり、自動車をはじめとする乗り物は時代に即して主役を支えてきた脇役にすぎない。そうした視点からすれば、鈴木さんの愛するオーナーカーも脇役の一つでしかない。また筆者が得意になって語った次世代自動車も脇役のひとつでしかない。
繰り返すが、次の100年の主役は移動(モビリティ)という「コト」である。

モビリティは「どう考えるのか、どう生きるのか」に影響与える

これからの時代の主役は移動(モビリティ)という「コト」であることは前述した。 それでは移動(モビリティ)という「コト」とは、いったいどのようなものなのか? 馬の時代から、人が空気の粒子を切り裂きながらまだ見ぬ目的地に向って進んでいくのが移動なのは同じことである。しかし、これからの100年における移動(モビリティ)という「コト」には、新たな意味が加わってくるのではないであろうか。

それは「移動(モビリティ)がITと融合しあうことで、新たな価値を生み、人間の考え方や、ものの見方に大きく影響を与える」ということだと考えられる。たった今の香港事情について、我々はテレビやネットを通して知ることができる。香港事情は国境を越えたのだ。それを可能にしたのは、様々なモビリティを活用して現地に出向き、様々なIT機器を用いて情報を世界中に発信している報道機関である。

かつて筆者はトランプ就任期(2017年1月)に米国ラスベガスで開催されていた「CES2017」に行き、現地在住の人に「最終投票の前に、もうトランプだとわかっていた」「日本ではトランプ優勢の報道はなかったのか」と問いただされ驚いたことがある。日本にいては、本当のことは伝わりにくいのであろう。
また2019年1月「CES2019」で米国に出かけたときには、現地のTVでは「メキシコ・米間の壁」報道が1日中絶えまなく放送されており、現地の人はこれからどうなるのかじっと見守っていた。しかし、その間も日本のニュースではさほど重大視されることもなく日々は過ぎていったように感じたものだった。

このインターネットが世界中をつながっている現代においても、実際に足を運ぶと情報の内容が違ってくる。またSNSでひとつの意見ばかりが畳みかけられる傾向のある現在、移動(モビリティ)という「コト」が新たな視点を生み、それが人間の考え方や、ものの見方に大きく影響を与える可能性をもっているのではないか。

特に大きな政治事件に限らない。「人口が集中し、異文化や異民族や多様な価値観がせめぎあう都市空間において、どう生きていけばいいのか」についての情報は、ITから入ってくる情報だけでなく、ドアを開けて、何らかのモビリティで移動を開始することにより、新たな視点・発想が生まれてくるのではないのか。
逆に「過疎化し、意図的に捨てられていく地方の中で、人間がどう生きるのか」を考えるにも、何らかのモビリティで高齢者が村を飛び出し移動を開始したところから、他地域の人間との関係が新たに生まれたり、外部の人間を地方に呼び込んだりして、新たなアイデア・つながり・可能性が生まれてくるのではないのか。それに高齢者が移動するようになると健康が増進し老人医療費が下がるという良い面もある。

かつて馬の時代、「人馬一体」といわれていた。それが馬車の時代になり、自動車の時代になり、モビリティの時代になっても、「乗り物」そのものに限定されることなく、「移動」という一点においてはやはり「人馬一体(人モビリティ一体)」なのである。ただし、この場合、一体というのは肉体だけが一体となることをさすのではなく、生きるための思考がモビリティの影響を大きく受けるということである。
「モビリティは思考の道具」であり、それを設計することは「考え方を設計する事」なのだ。「モビリティが走る町は生きる場所」であり、それを設計することは「生き方を設計する事」なのだ。

突き詰めると、これからの100年のモビリティは「人間がどう考えるのか、どう生きるのか」に大きく影響与える「コト」になっていくのではないだろうか。

「モビリティ(移動すること)とは生きる事」なのだ。してみると、70代のカーガイ鈴木さんの愛車というのは自動車時代の「人馬一体」であり、鈴木さんは四輪の鉄の馬と共に人生を謳歌したに違いない。(森健一郎)

※全文は以下よりご覧いただけます

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/277

2019.12.17

【アナリストオピニオン】CASE時代の「人馬一体」 ―モビリティとは生きることなのだ―②

CASEはクルマを異次元に持っていく

筆者の反論とは、かいつまんでいえば次のようなものだった。

まずCASEのCだが、コネクテッドカー(ConnectedCar)の略である。通信モジュールを搭載して外部のクラウドとつながるクルマを指す。またコネクテッドカーで使える「テレマティクス保険」などの新たなアプリケーションをも意味する。コネクテッドカーにより、クルマ側をエッジコンピュータとして、無線でつながったセンター側をクラウドとして、まるでPCと同じように「エッジ⇔クラウド」情報のやりとりができるようになった。
鈴木さんのいう電卓の処理レベルではない。コネクテッドカーでは、外部のクラウド環境と通信でつながる本格的なITシステムが構築されるのだ。大変化である。

次にCASEのAだが、自動運転(Autonomous Vehicle)の略である。自動運転でも、レベル2のADAS(安予防安全置)システムであればカーガイが保有する愛車(オーナーカー)にも普通に搭載されていく。だがレベル4以上の無人自動運転カーの場合は、オーナーカーではなく、ロボットタクシーやロボット配送車のような業務用車両(ロボットカーのシェアサービス含む)から展開されることになりそうだ。なぜならカーガイの愛車に搭載されるのは、完全に安全性が確保されてからという事であり、それには道路など周囲のインフラシステムとの連携が必須となるため、膨大なコストと時間がかかってしまうからだ。比べてロボットカーでは、安全面にかけるべき負担は軽くて済む。まずは高速道路や一部の特区において、各種サービス事業者の業務車両として動き出すことになる。
鈴木氏のいう愛車とは異なる進み方だ。

さらにCASEのSだが、シェアリング(Sharing)の略である。クルマを保有することから、シェアして使いたい時だけ活用することへのシフト。いわゆる「モノ売りからコト売りへのシフト」である。海外のUberやDiDi、Grabのような大規模ではないが、日本においても、JAPAN TAXIのようなタクシー配車、パーク24のようなカーシェアなどのサービス事業者が動き出してきた。だが、それより注目すべきは、ここにきて客送サービスだけでなく、ウーバーイーツのような配送などの業務用サービスも動き出してきていることだ。「物流業界」はもちろんのこと「建設・住宅業界」や「医療業界」が大きな興味を示していることがあげられる。つまりこれらの業界では、モビリティサービスを自社ビジネスに組み込んでしまおうと考えているのだ。たとえば医療業界では「病院のベッド不足や、過疎地の病院通いの足を補うための検診・診療・入院カー」などが動き出しそうだ。むしろ電車やバスなどの公共交通とカニバリしそうな客送よりも、業務用・配送用のほうが、より新市場を切り開くことができるかもしれない。
このあたりが、オーナーカーにこだわるカーガイ鈴木さんの意識の範疇外といえよう。

最後にCASEEだが、電気自動車(EV)の略である。この「ガソリンカー→EV」の変化は、そのエネルギー源が変わったという点において、電卓の電源が「コンセント→乾電池→太陽電池」に移行したのと同じように見える。しかし、EVがコネクテッドカーとつながることにより、将来的にクルマの存在意義そのものが変わっていくかもしれない。
通信でつながることにより、都市全体のエネルギーマネジメントシステムにおいて、EV内蓄電池の電力をも含めて考えることが可能になるからだ。つまりクルマが電力システムの一部になる。現在でも、被災地にEVやFCVが「走る蓄電池」として出かけていき、洗濯機や冷蔵庫、電子レンジといった家電やスマホ充電やテレビなどのメディア用に電気を供給するケースがある。
これらはクルマを移動手段としてだけ考えてきた、カーガイ鈴木さんの意識の範疇外といえよう。

このようにCASEは、クルマをこれまでとは異次元の世界に運んでいくのだ、と筆者は反論した。(森健一郎)

※全文は以下よりご覧いただけます

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/277

2019.12.16

【アナリストオピニオン】CASE時代の「人馬一体」 ―モビリティとは生きることなのだ―①

CASEの進化といっても電卓と一緒だろ?

先日、ある70代のカーガイにきかれた。ちなみにここでいうカーガイとは、「愛」を付けてクルマを呼ばずにはいられない愛車男のことを意味する。
カーガイ曰く「最近CASEとか騒いでいるけどさあ、100年に一度の大変革とかいうけど、実はたいしたことないんじゃないの?」

そのカーガイは自動車業界で長らく生きてきた大先輩である。仮に鈴木さんとしよう。
たしかに18年あたりから、新聞・雑誌・Webの自動車関連記事では、CASEという単語を目にしない日はない。自動車産業に「CASE」という名の100年に1度の大変革の波が押し寄せているという内容であり、自動車業界が危機感を感じ新たな投資・提携などに乗り出している…などは世間の一般常識となっているはずだ。
だというのに鈴木さんは「たいしたことない」とおっしゃる。
さらに鈴木さん曰く、「俺はかつての電卓と同じことだと思うんだよね。そこんところどうなの?」

一瞬、質問の意味が分からずに「どういうことですか?」ときいた。
すると鈴木さんは「だって電卓にしたって60年代までは今のPCくらいの大きさがあったのに、すぐに小型化が進んで、80年代には今みたいな手のひらサイズになっただろ。しかも当初は電源コード付きだったものが、乾電池になり、太陽電池式になった。たしかに変化したけれど、それでも電卓であることは全く同じだっただろう」という。

いわれてみれば電卓はそんな具合に変化を遂げてきたことを思い出した。「たしかにそうですね」と私は答えた。
すると次に彼は「だから電卓と同じだと思うんだ。CASEによる自動車の大変化といっても、案外電卓と変わらない。俺の愛車がガソリンエンジンから電池とモーター制御になっても、高速道路で手放し運転できる機能が搭載されても、俺の愛車であることはちっとも変わらないよ。ケース、ケースってやたらと大騒ぎして何なんだろうね」ということであった。
たしかに鈴木さんが自分の気に入った愛車を好きに走らせるシーンだけをとってみれば、CASEの大変化といってもそんなものに見えるかもしれない。

だが、当然ながら、CASEやMaaSを調査担当分野とする筆者にとって、それを認めるわけにはいかないのである。そこで反論を試みた。「ちょっと待ってください。CASEによる変化はもっとすごいものですよ。自動車が変わるだけでなく、他の産業も巻き込んでの大変化になるんですよ」(森健一郎)

※CASE(Connected=つながるクルマ、Autonomous=自律運転、Shared=共有するモビリティ、Electric=電動車・EV)

※全文は以下よりご覧いただけます

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/277

2019.12.13

「Pepper PARLOR」に行ってきました

東急プラザ渋谷にオープンした「Pepper PARLOR」に行ってきました(12/11)。
入口には5台ほどPepperが並び、それぞれの前にある端末で商品を注文します。
カード決済のみとなっており(現金決済は別窓口で対応)、決済までを店舗の入り口で済ませ、カウンターでレシートを見せて商品を受け取ります。
用意するのに時間がかかる商品の場合はカウンターでタグが渡されるので、席で商品が運ばれてくるのを待ちます。
店員はロボットだけではなく、「現金の方はこちらです」といった店内の案内や商品の用意、配膳は主に人手でやっていました。
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人手をかけずに注文をとることから決済を行えるので、人手不足の解消や人件費の削減が期待できるとは思うのですが、無表情なPepperに見守られながら注文するのはなんだか緊張しました。
今回のような取り組みでロボットが適している業務、やはり人が行うべき/行った方がリピーターの獲得につながりやすい業務の線引きが少し明確になったのではないかと思いました。
(宮川典子)
2019.12.12

【アナリストオピニオン】SDLを知らずしてサービスを語るなかれ③

IoTがけん引するも、結局は原点回帰が重要か

Webサービスやスマホを経由したサービスでは、各人が画面のどこをタッチしたなどといったデータが蓄積され、それを分析することでインターフェイスの変更などを常時行い、顧客の体験価値を最大化するための取り組みがおこなわれるようになった。インターネット経由ですぐに変更を反映できる強みをフル活用しているともいえる。
音楽であればCDは売上を落とし、代わりにサブスクリプションサービスが伸びてきた。そこでは消費者の音楽視聴体験をいかに高めるかがカギとなっている。小売店はECサイトを拡充し、店舗とECを組み合わせた購買体験の向上などに四苦八苦している。冒頭でiPhoneの事例を出したが、モノも続々とネットワークに接続されるようになり、自動車は今後、コネクテッドカーが主流になる。この流れは不可逆に思え、IoTやネットの普及は技術面からSDLの実現をサポートする役割を果たしたといえるだろう。

しかしながら、我々の世界はまだまだ従来型のモノ中心の経済で動いているのも事実である。この文章を読んでる方も、そのほとんどは顧客や消費者のサービス体験をどう変えていったらよいのか分からないでいるはずだ。「当社の製品にネットワーク接続機能を入れても、そのコストに見合うだけの何ができるのか」「従来型のビジネスモデルを変更してイニシャルコストからサブスクリプションにして本当に大丈夫なのか」などなど、これまでの成功モデルの廃棄を迫られるのだから結論がすぐに出ないのは無理のないことである。不安を抱えつつも、大いに検討し、新しい未来に向かってチャレンジしていかねばならない。

一方で、そのチャレンジは、IoTを無理やり適用しているだけなのでは、と感じる時がある。あなたのチャレンジは、IoTを用いた形だけのサービス化になっていないかという疑問である。

ものづくりの場においても、サービス化の概念が入り込んでおり、今日では、ものづくりとは設計情報の転写である、という考え方がなされている。つまり、開発者の考えた設計思想は図面化され、それを工場で実際のモノへと転写する。市場において消費者はモノを購入しているわけだが、実はその裏側では(というより、寄り添うように)開発者の思想や世界観をモノの利用を通じて体験する。
すなわち、そもそもモノそれ自体、サービスの塊として存在しているのであって、本質は開発者の思いであり、IoTは道具の一つにすぎないのではないかと思えるのである。

近年のAIやIoTの発展は、モノづくりからコトづくりへとシフトする世の中における、キーツールの役割を演じさせられ、普及してきた。ところが一方で、それらを具体的な成果物として世の中に送り出せたのは、どれほどあるだろうか。矢野経済研究所では当該分野の市場動向をウォッチしているが、多くない成功事例の陰に、山のような失敗事例が積み上げられていると感じる。
新製品開発が難しいのは当然ともいえるが、果たしてそのなかに、安易にIoTでサービス化するようなことがなかったか、いまいちど原点に立ち返り、考えてみる必要があるのではないだろうか(忌部佳史)。

※全文は以下よりご覧いただけます

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/276

2019.12.11

【アナリストオピニオン】SDLを知らずしてサービスを語るなかれ②

知らずに済まない“SDL”という概念

SDL(サービス・ドミナント・ロジック)とは、モノ中心の経済活動を、サービスの目線からすべてを捉えなおそうとする試みで、モノ含めてあらゆるものがサービスの一環であるという考え方に立脚した概念・モノの見方である。2004年にスティーブン・バーゴらによって提唱された。

これまで、経済の主流は製造業であり、モノが中心であった。企業は製品を製造し、販売することで売上を上げ(交換価値)、販売後は基本的には企業の手を離れるのが常であった。アフターマーケットとして“保守サービス”を提供する場合もあるが、それはモノに付随したオマケのような存在であり、サービスはモノに従属する売り物の一つという存在であった。
モノを持たないピュアなサービス業(医療や教育など)においても、マーケティングの発想を持ち込む場合は、モノに対比して考えることが通常であり、モノに対するサービスの特殊性として、生産と消費の同時性、非在庫性などといった特徴がフォーカスされるに過ぎなかった。要するに、サービスは常にモノの脇役として機能していたのである。

SDLは視点を大きく転換し、サービスこそが主役である、モノはサービスを媒介する存在にすぎないと主張した。また、価値を発揮するのは販売時点ではなく、消費者の使用プロセス、実践の場こそが価値創造の現場であるという考え方を提唱した。

自動車で例えれば、自動車はドライブや移動というサービスを媒介するモノに過ぎず、また、その価値は顧客が自動車を購入した時点ではなく、乗車体験しているプロセスにおいて創造されると捉えよ、と主張したのである。

こうした、体験や経験価値に重きを置く考え方は、今となっては当たり前と感じさせる概念であろうが、モノ中心の世界観に置かれていた当時においては、価値転換を感じさせる考え方だった。そして、SDLにおいては、消費者は企業にとっての共創者と位置づけられ、企業は価値の提案しかできず、価値の創造はユーザが一緒になって生み出すもの(共創)だと提唱した。この顧客志向な考え方もまた、DXやデザイン思考などで重要視されている概念に通じるといえるだろう(忌部佳史)。

※全文は以下よりご覧いただけます

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/276

2019.12.10

【アナリストオピニオン】SDLを知らずしてサービスを語るなかれ①

不可逆なサービス経済化の流れ

製造業のサービス業化、モノからコトへの転換、DX(デジタルトランスフォーメーション)、サブスクリプションエコノミーなど、昨今、サービスを中軸に据えた動きが注目されている。IT業界においては、コンピュータ・ハードウェアがIaaSやPaaSとしてサービス化されたり、iPhoneがサービス体験型のモノとして新たな価値を示すなどしてきたが、昨今では、製造業、例えば自動車産業においてはMaaS(Mobility as a Service)が重要キーワードになるなど、その裾野は広がり続けている。

クラウドの進展、リーンスタートアップの勃興、IoTの普及、デザイン思考、サービスサイエンスの研究など、さまざまな源流から集まった知見やトレンドが合わさり、大きなうねりとなって社会・経済を襲っているわけだが、今回はその源流の一つ、2004年に提唱されたSDL(サービス・ドミナント・ロジック)という重要な概念について振り返り、今一度、サービスとは何かを考えてみたい。(忌部佳史)

※全文は以下よりご覧いただけます

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/276

2019.12.09

cookie規制の強化、日本を含め世界各国で

インターネットイニシアチブ(IIJ)が開催するcookie規制強化に関する勉強会に行ってきました(12/5)。 

まず、cookieとはウェブサイトの顧客番号札のようなもので、ウェブサイトが初訪問の利用者に唯一識別番号(=cookie)を渡すことでブラウザを一意識別できるようになっています。

cookieに関する問題点として、プライバシー上の懸念が挙げられます。「サードパーティcookie」(広告エージェントなど第三者が設定するcookie)を利用して収集したインターネット上の活動履歴を分析することで、利用者のプロファイル(性別、年齢、趣味嗜好など)が推論でき、広告エージェントなどにプロファイルが露出してしまうからです。

そこで、フランスやドイツなどのEU加盟国を始め、米国・カリフォルニア州やブラジルなどでcookie利用の規制を強化しており、日本でも「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直し 制度改正大綱(骨子)」(20191129日)においてcookie規制に関する言及がなされました。

骨子段階では一定のサードパーティcookieが規制の対象になる模様で、今後については2019年中に大綱が決定され、2020年の通常国会で個人情報保護法の改正案が提出される見通しです。 

個人情報保護法の改正により個人としてはもちろん、広告エージェントやウェブサイトを運営する企業など法人として影響が及ぶ範囲も広いため、来年の改正案提出に向けての動向に注目する必要があります。(星裕樹)

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※写真は、IIJ ビジネスリスクコンサルティング本部 副本部長 鎌田博貴氏

2019.12.06

【アナリスト通信】バスツアーで気づいたこと

はとバスツアーに参加しました。温泉でも食べ放題でもなく、東京スカイツリーと帝国ホテルランチという電車でも良いのでは?というコースですが、スヌーピーと東京スカイツリーがコラボしたイベント、料理長スヌーピーによる帝国ホテルランチとなれば話は別です。料理長スヌーピーの可愛さにメロメロ…はさておき、参加して気が付いたことがあります。日頃取材でお世話になっている企業様のいくつかがとても近い距離にあるということです。駅が違うので全く実感がなかったのですが、バスで移動しながら見慣れていたり、迷ったことを思い出したり、新たな発見でした。しかし私が徒歩で移動すれば迷子の可能性は高く、仮にこれらの企業様への訪問日が重なろうとも素直に電車を利用します。(小山博子)

2019.12.05

【ショートレポートのご案内】

矢野経済研究所では、独自に収集したマーケットデータを1,000円で提供しております。
弊社が発刊する年間約250タイトルのマーケットレポートごとに、一部の内容をまとめたショートレポートです。
マーケットレポートに比べて詳細な内容は掲載されていませんが、その要約版、入門的な情報として活用できる内容となっております。
毎月10~20タイトルのレポートが随時追加されていきますので、是非ご期待ください。
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詳細は下記URLよりご覧いただけます。
https://www.yano.co.jp/shortreport/index.php

2019.12.04

【リレーコラム】令和と書いて「へんかのおもしろさ」と読みたい

矢野経済研究所ICT・金融ユニットでは、研究員が日々ICT関連分野の調査/研究をしています。2019年度は「平成を振り返って/未来に想いを寄せて」をテーマに、リレーコラム形式でICT・金融ユニットのメンバーが順に綴っていきます。11人目は、MaaSやネットワークカメラ市場をみている森です。

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さて令和元年だ。「令をかかげて和をなす」と読めば、車載IT担当者としては欧州の掲げる「標準化」、米国の掲げる「プラットフォーム化」を連想してしまう。自動車産業は「CASE」をキーワードとする世界的大変化の渦中にある。企業は大変化に対応しなくては生き残れず、しかし単独では難しいので、標準化やプラットフォーム化を掲げることで仲間を募り、一緒に大変化しようと試みている。出来たところだけが生き残れるのだ。そして個人的にも大変化が求められている。何せ所帯を持って30年なので、自分も周囲も30年かけてため込んだ多様なものの重さがある。家庭・組織・社会から求められるものも色々と重くなってきているのだ。「令和」と書いて「へんかのおもさ」と読みたい。むしろ一歩進んで「へんかのおもしろさ」と読めれば、もっといいだろう。(森健一郎)

2019.12.03

【リレーコラム】平成と書いて「まさかのへんか」と読む

矢野経済研究所ICT・金融ユニットでは、研究員が日々ICT関連分野の調査/研究をしています。2019年度は「平成を振り返って/未来に想いを寄せて」をテーマに、リレーコラム形式でICT・金融ユニットのメンバーが順に綴っていきます。11人目は、MaaSやネットワークカメラ市場をみている森です。

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個人的なことで恐縮だが、平成元年に思いもよらず所帯を持った。同じ年に秋篠宮文仁親王が川嶋紀子様との婚約を発表。また東京株式市場は連日高値を記録しており、このまま4万円を突破するかどうかで大騒ぎしていた。バブル期絶頂で、世間が何かとめでたい年だったのだ。

しかし、海外に視点を向ければ、ソ連がアフガニスタンから撤退して崩壊に向かって進み出した年だ。北京では天安門事件があり中国が資本主義経済に向かって進み出した年でもある。国内はいかにも「平成」だったが、海外ではまさかの大変化。そして個人的にもまさかの大変化の始まりの年であった。「平成」と書いて「まさかのへんか」と読みたい(森健一郎)。

2019.12.02

【アナリスト通信】ウイスキーへのAI活用

最近、ある方と会食をした際に、二次会のバーでお勧め頂いた ウイスキーを口にしました(ほぼ初めて)。 度数40度、これは2日酔いか?!と少し身構えたのですが、 帰りは若干の浮遊感はあれ、意外と頭はすっきりしていました。 翌日もほぼ全く2日酔いはなく、「良いウイスキーとはこういう ものか」と体感できました。

さて、スウェーデンのウイスキー蒸溜所Mackmyraではマイクロソフトなどと 協業、世界初のAIを活用したウイスキーを開発したそうですが、 そちらも次回、飲む機会がありましたら、飲み比べをしてみたいと 思います。(山口泰裕)

2019.11.29

【新マーケティングサービスのご案内】

矢野経済研究所では新たなマーケティングサービスとして、市場調査にご関心のある方を対象とした「B2B市場調査入門 出張セミナー」と、ユーザーヒアリングから戦略を導き出す「戦略的CS調査サービス」を開始いたしました。経営の根幹を担う、顧客の維持・拡大や業績向上には、マーケティングの活用が重要となります。是非お気軽にご相談ください。

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詳細は以下のURLよりご覧頂けます。

https://www.yano.co.jp/market_reports/industryNews.php?id=124

2019.11.28

【アナリストオピニオン】金融サービスの拡大 窓口はバンクから“ネオ”バンクへ③

住信SBIネット銀行

2018年10月にネオバンク事業部を新設。パートナー企業やその顧客に対して新しい価値を創造するため、『NEOBANK®』の提供に取り組んでいる。『NEOBANK®』は、パートナー企業の顧客がパートナー企業のサービスを利用する際に、付随する銀行サービスを同社が提供するものである。

パートナー企業の金融サービス提供までの流れとしては、まず、預金の受入れや貸付などの契約を銀行に代わって行う、パートナー企業の銀行代理業のライセンス取得をサポート。次に、パートナー企業と銀行代理店契約を結び、最適な金融サービスを提供する。こういった段階を踏むことによって、パートナー企業は自社で銀行と同レベルの高いセキュリティ機能を備えた預金、決済、融資などのサービスを構築する手間とコストを省くことが可能であり、顧客のロイヤリティ醸成と囲い込み強化を図ることが可能となる。単なる金融プラットフォームの貸し出しではなく、コンサルティングを通じてパートナー企業の金融機能強化をオーダーメードで実現する。

同社はオープンAPI(Application Programming Interface)に積極的に取り組んでおり、口座情報等を参照する更新系、振込等の実際の資金の移動を伴う更新系、本人認証等の多岐に渡ったAPIを提供可能としている。パートナー企業は、APIを接続することによって、同社の預金機能、決済機能、融資機能等を活用する。

現在、パートナー企業に提供している銀行サービスは一部となっているが、今後拡大していく方針としている(石神明弘)。

※全文、関連資料の概要は以下よりご覧いただけます

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/275

https://www.yano.co.jp/market_reports/C61111300

【図表:住信SBIネット銀行の取り組み事例】
2019.11.27

【アナリストオピニオン】金融サービスの拡大 窓口はバンクから“ネオ”バンクへ②

以下では、パートナー企業に対して、ネオバンクの仕組みを提供している、新生銀行グループ、住信SBIネット銀行の取り組みについて紹介する。

 

新生銀行グループ

2019年5月にネオバンク・プラットフォームの提供を発表し、2019年度中に提供を開始する。資金移動業の登録をしているアプラスが中心となり、決済、為替、与信機能等の金融サービスを、FinTech企業等との協業により提供する。
企業のアプリに、プラットフォーム上の決済サービスを組み込むことにより、例えば、顧客が店頭で買いものをする際に資金が足らなければ、販売店の後払いサービスや融資サービスが提供可能となる。また、多数の会員を抱える企業においては、会員間の送金や資金決済機能に加えて、コミュニケーションツールを通じたコミュニティーの形成も可能となる。各企業に必要な機能だけを提供することで、企業にあった金融・決済サービスを提供する。

非金融事業者が金融・決済機能を提供するためには、資金移動業の登録や膨大なシステム投資等が必要であり、サービスの提供までに長期間の準備を要する。同社がこのサービスを提供することによって、安価かつ短期間での金融・決済サービスの提供を実現する。

ネオバンク・プラットフォームを活用することで、非金融事業であっても、自社のサービスと組み合わせて以下のような金融サービスが提供可能になると想定している(石神明弘)。

※全文、関連資料の概要は以下よりご覧いただけます

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/275

https://www.yano.co.jp/market_reports/C61111300

【図表:新生銀行グループのネオバンク・プラットフォームの活用で、提供可能になる金融サービス】
2019.11.26

【アナリストオピニオン】金融サービスの拡大 窓口はバンクから“ネオ”バンクへ①

金融業界において、銀行以外の企業・事業者が金融サービスを提供する事例が増えてきている。送金分野では、2010年4月の資金決済法の施行に伴い、銀行以外の事業者に為替取引が認められることとなり、2019年9月末現在で67の事業者が資金移動業者の登録を行い、現金やポイントでの送金サービスを提供している。スマートフォンアプリの普及により、個人間においてもより気軽に送金可能なサービスの需要が高まっているといえる。資金移動業者が扱える金額は少額取引(円貨に換算して100万円に相当する額)と定められているが、この規制の上限を緩和する動きもあり、今後も増加していくものと見られている。

このような動きの中、ネオバンクと呼ばれる金融サービスの提供方法に注目が集まっている。ここでは、ネオバンクおよびネオバンクに関する取り組みを行っている企業について紹介する。

ネオバンクとは、銀行の免許を持たない事業者が、銀行と同じような金融サービスを提供することを指す。提携した既存銀行のプラットフォーム上に独自のインターフェースを構築し、モバイルを通じてオンライン上の決済や預金機能等を提供する。

事業者としては、自社のサービスと金融サービスを組み合わせることで、顧客利便性の向上と取引の拡大を見込む。既存銀行としても、自社のチャネルではアプローチできない顧客に対して、ネオバンクを提供する事業者のサービスを通して、顧客・取引の拡大が見込める。海外においても預金、融資、為替の分野においてネオバンクの台頭が見られ、今後日本においても、取り組みが活性化していくものと見られている(石神明弘)。

※全文、関連資料の概要は以下よりご覧いただけます

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/275

https://www.yano.co.jp/market_reports/C61111300

2019.11.25

資生堂×IT

​S/PARK(エスパーク)に行ってきました。S/PARKは、2019年4月に横浜にオープンした、誰でも自由に訪れることができる美の複合体験施設です。最先端の研究施設である「資生堂グローバルイノベーションセンター」の1階と2階に開設され、“美のひらめきと出会う場所”をテーマとしています。2Fのミュージアムゾーンではタッチパネルを触りながら化粧品のボトルをデザインしたり、手元の文字を目の前のサイネージに飛ばしてみたり、自分が時空を旅する動画の主人公になって、各時代に流行したヘアやファッションをバーチャルに体験することができたりなどITを駆使した様々な体験をすることができます(IT以外の体験も色々あります)。

個人的にはIoTとコスメの展示が面白かったです。IoTで自分の肌の状態を知り、そこに気温や乾燥、湿度などの気象データを組み合わせ、自分だけのコスメを得る。肌にあう化粧品探しに悩む人は多く、あうならお金をかけるという人もまた多いので、市場性もあるように思いました。

1Fにはカフェもあり、野菜中心の体に良いものを食べることができます。私は気になったターメリックラテを飲んでみました。体がとてもあたたまり、美味しかったです。(小山博子)
2019.11.22

【ショートレポートのご案内】

矢野経済研究所では、独自に収集したマーケットデータを1,000円で提供しております。
弊社が発刊する年間約250タイトルのマーケットレポートごとに、一部の内容をまとめたショートレポートです。
マーケットレポートに比べて詳細な内容は掲載されていませんが、その要約版、入門的な情報として活用できる内容となっております。
毎月10~20タイトルのレポートが随時追加されていきますので、是非ご期待ください。
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詳細は下記URLよりご覧いただけます。
https://www.yano.co.jp/shortreport/index.php

2019.11.21

【アナリスト通信】ポイントカードのデジタル化で便利になった?

毎日ポイントカードを持ち歩くのが面倒になり、スマホのアプリで管理できるものは全てアプリに移行しました。これまで財布とは別に厚さ5㎝ほどのカードケースを持ち歩いていたため、荷物が減って楽!と思いきや、別の問題が発生しました。行きつけのドラッグストアは、店舗限定のポイントとは別に共通ポイントが貯まる「ポイント2重取り」ができる店舗。まず、店舗限定のポイントカードをアプリで立ち上げ提示し、そのあとに共通ポイントのアプリを立ち上げて提示、支払いはQRコード決済でアプリを立ち上げQRコードを表示、、、いやいや、手間がかかりすぎます(泣)真の意味でスマートにお会計ができるサービスの台頭が待ち遠しいです(星裕樹)。

※関連資料のご案内

https://www.yano.co.jp/market_reports/C61102400

2019.11.20

【アナリストオピニオン】顧客セグメントではなく、顧客個人を軸としたデータ管理へ –CDPベンダー トレジャーデータの紹介②

以下では、CDPベンダーであるトレジャーデータについて紹介していく。

トレジャーデータでは、2017年7月よりカスタマーデータプラットフォーム「TREASURE CDP(現:Arm Treasure Data CDP)」を提供している。Arm Treasure Data CDPはクラウド型データマネジメントサービスであり、クッキーIDやIDFA等のログデータや広告配信ログに加えて、個人を特定する各種データ(カスタマーID、氏名、eメールアドレス、住所等)も取り扱うことができる。各種データの保管期間に制限は設けていないため、顧客一人ひとりに紐づいた行動ログデータや属性データを長期間保管、分析を行うことが可能である。そのため、顧客セグメントに応じた広告配信ではなく、顧客一人ひとりに個別に対応した、各種のマーケティング施策を実行できる。

また、同製品は400以上のシステムと提携しているため、柔軟に他システムと接続できる。企業内の別システムに保管されているデータを統合できるため、オペレーションの煩雑さの解消、コストの削減などが見込める。加えて、パッケージ化されたサービスであるため、エンジニアがコードを開発する必要もない。

2019年4月には、同製品の機能拡張を発表しており、UIの改良のほか、外部ツールとの連携強化を実施した。なかでも、TAPAD社のクロスデバイスソリューションとの連携を強化したことで、複数のデータソース(デバイス)のID統合を実現する。現在一人平均7台のデバイスを持っているといわれており、これらのデバイスのWeb行動データなどを一つのIDに統合することで、個人の嗜好や特徴に関するデータの精度向上につなげていきたいと考えている。(宮川 典子)

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*全文は以下よりご覧いただけます

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/274

*関連MR『2019年版 DMP/MA市場 ~デジタルマーケティングツールの活用実態とビジネス展望~』

https://www.yano.co.jp/market_reports/C61113400

2019.11.19

【アナリストオピニオン】顧客セグメントではなく、顧客個人を軸としたデータ管理へ –CDPベンダー トレジャーデータの紹介①

近年、一般消費者の購買行動は変化しつつあり、商品の購入前に情報収集・価格比較をオンライン上で行うほか、企業と様々なチャネル接点を持つようになっている。そのため、企業側は顧客一人ひとりに対してパーソナライズされたコンテンツを提供して顧客体験の質の向上に取り組む必要性が高まってきている。配信するコンテンツを顧客ごとにパーソナライズすることで、適切な顧客に、適切な情報を、適切なタイミングで提供し、顧客体験の質の向上につなげていく。

一方で、パーソナライズ化が過ぎれば自分に関する情報を過度に把握されていると感じ、顧客の離反を招く可能性もある。企業は、顧客側にいかに不快感・不安感を感じせることなく、企業の好感度をあげることができるか、がポイントとなってくる。

また、日本の人口減少による働き手の減少や働き方改革の推進を背景に、企業側は効率的に営業活動を展開していく必要に迫られている。効率的に営業活動を進めつつ、顧客体験の質の向上に取り組もうとした際、人手で数万人~数百万人の顧客へパーソナライズされたコンテンツを配信するのは現実的ではなく、MA(Marketing Automation)やDMP(Data Management Platform)をはじめとするマーケティングツールの活用が進んでいる。

デジタルマーケティングツールのなかでも、顧客を基軸に属性データや行動データを収集・蓄積・統合するプラットフォームであるCDP(Customer Data Platform)の利用が進みつつある。CDPを活用することで、顧客をセグメント化して管理するのではなく、顧客個人を軸としたデータ管理を行うことができる。

CDPは社内のサイロ化された1stパーティーデータの収集、2nd/3rdパーティーデータとの連携、統合・分析を行い、MAなどの各種ツールを活用してマーケティング施策を展開する。顧客個人を軸にデータをリアルタイムに収集し、活用していくことで、顧客がどのような経緯で自社サイトに到着し、自社サイトでどのようなコンテンツを閲覧したのか、といったカスタマージャーニーを追いやすくなる。さらに顧客一人ひとりを軸としているため、より確度の高いマーケティング施策が実施できる。なお、日本では2017年頃よりCDPが登場したが、現状はプライベートDMPといわれることも多い。(宮川 典子)

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*全文は以下よりご覧いただけます

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/274

*関連MR『2019年版 DMP/MA市場 ~デジタルマーケティングツールの活用実態とビジネス展望~』

https://www.yano.co.jp/market_reports/C61113400

2019.11.18

【TV出演のお知らせ】

矢野経済研究所の代表取締役社長 水越が明日19日(火)の朝に、モーニングCROSSにコメンテーターとして出演します。ご覧になった方は感想などもお寄せ下さい。

■日時:2019年11月19日(火)午前7:00~8:00(全時間)

■番組名:TOKYO MXテレビ「モーニングCROSS」(毎朝のニュース・情報の生ワイドショー)

http://s.mxtv.jp/morning_cross/

■チャンネル:地上波9チャンネル(091ch)

■出演内容:コメンテーターとして全時間出演

※他の共演者:富永京子(立命館大学准教授/社会学者)

■MC:堀潤氏、宮瀬茉祐子氏

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