矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2018.01.23

屋内位置情報システム市場に関する調査を実施(2017年)

屋内位置情報システムは、製造業を中心とした業務分野での採用拡大を予測。

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屋内位置情報システムの市場背景と概況

国内の屋内位置情報システム市場では、市場に参入していた企業の一部が既にサービスを停止している一方で、新規に市場に参入する企業も登場しており、未だ市場は拡大に向けての方向性を模索している状況である。現在、中心技術であるBLEでは屋内での測位の精度の面で十分ではないことなどから、市場参入企業の多くが期待していたB2C分野での採用の広がりが見られなかったところにその要因があると考える。

2016年度の国内の屋内位置情報システム市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比55.4%増の14億3,000万円と推計した。2017年度の同市場規模は、21億5,000万円になる見込みである。これは前年度比50.3%増と、前年度に続き高い成長率を示しているが、現時点では、期待されるほど大きな数値とは言い難く、市場は未だ黎明期であると言わざるを得ない。

【国内の屋内位置情報システム市場規模推移と予測】
【国内の屋内位置情報システム市場規模推移と予測】
  • 矢野経済研究所推計
  • 注:屋内位置情報関連サービス/ソリューション提供事業者の売上高ベース
  • 注:2017年度は見込値、2018年度以降は予測値
  • 注:屋内位置情報システムとは、「屋内測位技術」および「屋内地図情報」を利用した屋内向けの位置情報活用サービス/ソリューションを指す。

分野別の実績をみると、現時点で最も導入実績が多いのは工場などの製造業分野であり、市場の過半数を占めている状況である。屋内位置情報システムはB2B利用での導入が効果的であると言われており、製造業はその条件に完全に一致している。次いで多いのが、オフィス向け分野であり、これは従業員の入退室管理や現在所在地の特定などの目的で導入するものである。このニーズにおいては、昨今の「働き方改革」が追い風になっているという見方もある。

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屋内位置情報システムの市場の注目すべき動向

■B2C分野での屋内位置情報活用の障壁
2015年の調査ではB2C分野への屋内位置情報システム採用の期待も大きかったが、現時点ではB2C分野への期待は大きく後退している。不特定多数の消費者をサービス対象とするB2C分野では、例えば消費者にスマートフォンアプリのインストールに加えてBluetooth®をオンにさせておくなど、サービス活用までに高い障壁が複数存在することになるが、それらを消費者に強要することは基本的に難しいことが判明してきた。

一方で、工場やオフィスなどB2B分野でのクローズな組織の中では、組織にとってのベネフィットが明確に訴求できれば、B2C分野より導入の障壁が低くなる。業務用分野での採用に参入各社は希望を感じており、導入による費用対効果が明確で、かつ大きいことが重要になると考える。

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屋内位置情報システムの市場の将来予測

今後期待される屋内位置情報システム事業の方向性として、まず位置データの分析のみではなく、それによって導かれる改善策の提案を図っていくというものがある。これは、位置情報を収集することで、B2B分野での業務プロセスを改善して業務効率を上げるという、より付加価値の高いソリューションへのシフトを進めたいという考えである。さらに、位置情報を活用することで、フォークリフトやAGV(Automated Guided Vehicle)などの自動運転、自動制御などを実現したいという動きもある。この流れの延長線では、製造業分野での、人の位置情報データ収集に留まらず、工具などモノの位置情報を把握することで、IoTソリューションとしての展開にまで進化させることが期待されている。

2018年度の国内の屋内位置情報システム市場規模(事業者売上高ベース)は前年度比42.8%増の30億7,000万円、2020年度には52億5,000万円、2022年度には78億5,000万円に成長すると予測する。こうした成長を予測する背景としては、自動車分野をはじめとした一定規模の設備導入予算を有した製造工場への導入が進展していくことや複数の大手自動車メーカーの工場への導入が決定したこと、UWB技術などを利用した屋内位置情報システムが順調にさまざまな製造業に広く導入されていくことなどが挙げられる。

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

第1章 総論

  • 調査結果の概要
  • 総括

第2章 市場動向

  • 市場概況
  • 参入企業一覧
  • 市場規模推移
  • 各社の強みと差別化ポイント
  • 適用技術と採用の理由
  • 競合技術の評価と採用の可能性
  • 販売戦略
  • ターゲットユーザー
  • 需要分野構成
  • 現状の技術面の課題
  • 現状の販売面での課題
  • 今後の事業展開の方向性
  • 市場の展望

第3章 導入事例研究

  • 工場・物流
  • オフィス
  • 店舗・流通
  • 自治体
  • イベント・展示会
  • 病院
  • 大学・学校
  • 鉄道・交通
  • 美術館・博物館
  • 宿泊施設

第4章 技術動向

  • 携帯電話基地局
  • 無線LAN(Wi-Fi)
  • BLE(Bluetooth Low Energy)
  • 二次元コード、ARなど
  • RFID
  • UWB
  • 可視光
  • 赤外線
  • 超音波
  • 高感度GPS
  • IMES
  • 自律航法(PDR:Pedestrian Dead Reckoning)
  • 地磁気
  • 技術別団体の取組み
  • 実証実験の動向

第5章 主要企業の動向

  • アジアクエスト株式会社
  • 株式会社アプリックス
  • 株式会社インテック
  • 株式会社NTTドコモ
  • クウジット株式会社
  • 国際航業株式会社
  • サイトセンシング株式会社
  • 株式会社ジェナ
  • 株式会社タグキャスト
  • タメコ株式会社
  • パナソニックソリューションテクノロジー株式会社
  • 株式会社日立ソリューションズ
  • フィリップス ライティング ジャパン合同会社
  • マルティスープ株式会社
  • 株式会社ユビセンス

…ほか

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調査要綱

調査対象:屋内位置情報関連サービス/ソリューション提供事業者、その他関連企業等
調査期間:2017年9月~12月
調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用

※屋内位置情報システムとは:本調査における屋内位置情報システムとは、「屋内測位技術」および「屋内地図情報」を利用した屋内向けの位置情報活用サービス/ソリューションを指す。屋内測位技術とはGPS衛星等の無線信号が届かない建物内や地下街でも測位可能な技術であり、主にRFIDや無線LAN(Wi-Fi)、BLE(Bluetooth Low Energy)、UWB(超広帯域無線)、IMES(Indoor Messaging System)、音波(非可聴音)、PDR(歩行者自律航法)等を、屋内地図情報とは駅・空港や大規模な商業施設などでのナビゲーション用途で使用される位置情報と連動した施設内の電子地図情報を対象とした。
なお、2015年の調査時より付随する一部サービスを対象外としたため、市場規模の再算出を行なっている。そのため、かつての公表値とは乖離がある。

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野間 博美(ノマ ヒロミ) 理事研究員
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