矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

Daily column

10 21
2024
【今週の"ひらめき"視点】中国経済、内需失速。構造改革を急ぎ不況の輸出に歯止めを
当社代表が最新のニュースを題材に時代の本質、変化の予兆に切り込みます。 10月14日、中国税関総署が1-9月期の貿易総額が前年同期比+3.4%、うち輸出が前年比+4.3%、輸入が+2.2%となった、と発表した。今年上半期(1-6月期)の貿易総額の伸び率が+6.1%、輸出+6.9%、輸入+5.2%であったことを鑑みると、夏場以降の低迷が顕著である。とりわけ、輸入の落ち込みが大きく、9月単月では+0.3%へ鈍化している。 内需の低迷、デフレ圧力の強まりは国家統計局発表の物価指数でも確認できる。9月の消費者物価指数(CPI)は前年比+0.4%、食品が+3.3%となる一方、非食品価格は▲0.2%とマイナスに転じている。生産者物価指数(PPI)も減速、9月は▲2.8%とこの半年で最大の下落率となった。 こうした状況の中、当局も従来型の産業振興投資から個人消費の喚起に本腰を入れる。年内に発行が予定されている2兆元規模の特別国債のうち1兆元を家計に振り向ける。住宅購入時の頭金規制の緩和、ローン金利の引き下げなど住宅購入支援のもう一段の強化や子育て関連消費への補助なども対象とする。とは言え、単発的な景気刺激策では効果は限定的だ。地方と都市の格差を是正し、安定した内需の拡大をはかるためには雇用、税制、社会保障、地方政府の債務問題など、産業政策や社会基盤そのものの構造改革が急務である。 この7月、若者の失業率は17%に達した。そんな若者世代が支持するのは「消費降級」と呼ばれる消費スタイルだ。高級ブランドや新車の販売が失速する中、彼らが支持するのは中古品市場である。国慶節の大型連休、今年はコロナ禍前を上回る延べ20億3千万人が移動した。期間中の出入国者も1300万人を越えた。とは言え、国内旅行に限ってみると自家用車を使った近隣への節約型旅行が主流であり、国内線の航空運賃は軒並み下落した。中国の成長が1%鈍化すると近隣諸国のGDPも0.21%下がるとされる(世界銀行)。アジアへの不況の連鎖を防ぐとともに、政治的安定という意味においても実効性の高い構造改革に期待したい。 今週の“ひらめき”視点 10.13 – 10.17 代表取締役社長 水越 孝 中国経済、内需失速。構造改革を急ぎ不況の輸出に歯止めを | 今週の"ひらめき"視点 | ニュース・トピックス | 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所 (yano.co.jp)
10 18
2024
【アナリストオピニオン】金融経済教育における保険会社の取組状況③
保険も資産運用の一部であるものの、保険について学んだのは3割弱 生命保険会社が中心となって保険に関する学びの場を提供しているものの、実際に保険について学ぶ機会はどの程度あったのだろうか。実際に検証すべく今回、弊社が8月末に発刊したレポート「 2024年版 生命保険とお金に関する意識調査-購買行動や価値観から読み解くZ世代の特徴- 」において、18歳~29歳/30歳~39歳/40歳~49歳の3世代を対象に生命保険に関する興味・関心度合いや加入意向などを問うアンケートを実施した。アンケートの中で、保険について学ぶ機会の有無を問う設問を用意し回答してもらった。 【図表:生命保険を教わる機会(世代別)】 出所:矢野経済研究所『2024年版 生命保険とお金に関する意識調査-購買行動や価値観から読み解くZ世代の特徴-』(2024年8月発刊)より抜粋   その結果、保険について学ぶ機会がなかったとする回答が各世代とも7割となった。余談であるが、筆者自身も保険については社会人まで特に学ぶ機会はなく、当社の仕事のために勉強を始めたというのが正しい。 話を戻そう。現在、貯蓄性の高い外貨建ての保険商品なども話題となる中で、「保険について学ぶ機会がなかった」とする回答が約7割と、一部の生命保険会社が学ぶ機会を提供しているものの、実際には多くの国民には届いていない状況にある。 金融経済教育の重要性が求められるなか、保険について学ぶ機会が乏しいままでは、本来はポテンシャルがあったとしても、「知らない」という理由だけで保険は敬遠されてよいのだろうか。 投資機運の今だからこそ、生命保険に関する教育機会が増えることを願う 今は新NISAが始まったことで投資による資産の形成が注目され始めている。生命保険会社でも、学校の出張教育だけではなく、新社会人やこれから社会人となる高校生や大学生などに対しても学ぶ機会を積極的に提供してみてはどうだろうか。 また学習指導要領の改訂により学校の授業で金融に関することを教えるようになってきている。しかし教鞭をとる先生は保険について詳しいわけではないだろう。不安な形で教えることがないようにするためには、やはりまずは大人たちへの保険に関するリテラシーの向上が必要なのではないだろうか。 先生だけではない。親の立場である大人もなんとなく保険に加入しているだけで実際子どもと会話できるほど詳しくないケースもあるだろう。周囲の大人が保険について詳しくない状態では、子どもも保険について身近でないまま成長してしまうだろう。「資産の形成や金融について話題となっている今こそ、保険についても学ぶ機会を増やしていってほしい」と保険に関する調査に携わる者として切に願う。(小田沙樹子) ※全文は以下よりご覧いただけます。 https://www.yanoict.com/opinion/show/id/418  
10 16
2024
【アナリストオピニオン】金融経済教育における保険会社の取組状況②
保険会社による金融教育の一部を紹介 さて、資産の形成や投資などが注目されているが、金融教育の中には当然ながら「保険」も含まれている。多くの場合、投資や資産運用などに注目が集まるものの、保険について学ぶ機会は提供されているのだろうか。 実は生命保険会社の一部で、金融経済教育が注目される前から独自で出張教育などに取組んでいる。少し各社の取組について概観してみたい。 【図表:生命保険会社の取組状況】 公開情報を基に矢野経済研究所作成 上記表以外にも、例えばジブラルタ生命では2024年4月に吉本興業と金融リテラシー教育分野での協業を発表している。協業を通じて、幅広い年齢層に「笑って楽しくお金のことを学ぶ」機会を提供していきたいとしている。 具体的には、特に若い世代の方々に、お金のことをもっと身近に感じてもらうことを目的として、今夏に金融教育イベント「開校!笑金スクール!」を BS よしもと並びに両社のオウンドメディアにて配信や吉本興業の所属タレントとジブラルタ生命が協同して、中学生をおもな対象とした金融教育コンテンツの開発に取組むとしている。各生命保険会社の取組や今回のジブラルタ生命と吉本興業の協業などから、生命保険会社は若年層への教育を強化していることが分かる。(小田沙樹子) ※全文は以下よりご覧いただけます。 https://www.yanoict.com/opinion/show/id/418  
10 11
2024
【アナリストオピニオン】金融経済教育における保険会社の取組状況①
「貯蓄から投資へ」のスローガンの下、投資を促進する動きがある。投資を促進していく上で国は金融リテラシーを高めることも重要として、金融経済教育に力を入れ始めている。投資や資産運用などに注目が集まるものの、金融教育の中には当然ながら「保険」も含まれている。「保険」に関する教育状況はどうなっているのだろうか。生命保険会社による金融教育の取組状況と当社が生活者向けに行ったアンケート結果から保険に関する学びの機会の現状を見ていきたい。 「貯蓄から投資へ」が加速する今、金融経済教育にも注力する動き 国が金融経済教育に力を入れ始めている。老後2,000万円問題が取り上げられ、投資の有用性が話題となった。さらに岸田政権では、「貯蓄から投資へ」の流れを加速させている。岸田総理は2023年6月に「資産所得倍増元年-貯蓄から投資へ」をタイトルにしたメッセージを発信している。メッセージ内には資産形成を促す考えが記載されており、以下に参考として該当部分を抜粋のうえ掲載する。 “今年を「資産所得倍増元年」とし、「貯蓄から投資へ」のシフトを大胆かつ抜本的に進めていきます。「人生100年時代」。個々人の生き方、働き方も多様になり、それぞれのライフプランにあわせた資産形成が重要になっています。皆様が、ご自身のライフプランにあわせた資産形成を進められるよう、政府一丸となって取り組んでいきます。” 実際、岸田総理はNISAの抜本的な拡充やiDeCoの加入可能年齢引き上げなどに取組むことで、多くの人が資産の形成に取組めるよう体制を整備している。しかし、より多くの人に資産の一部を投資に振り向けてもらうために、今まで以上に国民が正しい金融リテラシーを身に着けるための環境を整える必要があろう。 2024年1月から新NISAが始まり話題となったことで、投資経験がない人もまずはやってみるという機会となっているだろう。しかし、金融リテラシーを持ち合わせていなければ運用は難しい。実際に8月に令和版ブラックマンデーと呼ばれた株価の乱高下が発生した結果、資産形成や投資に関する経験の少ない個人投資家たちは処分売りに走るなどパニックに陥った。 本来、投資の基本は「長期・積立・分散」であり、事が起こった際に冷静に経済情勢を見極めるために必要な知見を身に着けておかなければパニックに陥ってしまう。そこで重要になるのが金融経済教育である。実際に政府は民間企業と協力し、2024年8月に「金融経済教育機構(J-FLEC)」を設立、資産形成をはじめとした金融に関する知識を普及させるための取組みを開始した。(小田沙樹子) ※全文は以下よりご覧いただけます。 https://www.yanoict.com/opinion/show/id/418

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7 31
2024
2024年版 NTN・衛星通信市場総覧 ~宇宙・成層圏通信網で拡大・発展する5G通信~
従来からの衛星ビジネスは静止衛星(GEO)を中心に提供されていた「衛星通信」「衛星放送」「気象衛星」と主に中軌道衛星(MEO)で提供される「衛星測位システム」が中心だった。これらは国家が主導される形で展開されてきたが、民間主導で低軌道上に大量に打ち上げられた「衛星コンステレーション」(LEO)によるサービスが注目を集めている。半導体、エネルギー技術、IT技術の向上を背景に衛星打ち上げコスト、衛星製造コストの低廉化が進んだことが大きい。代表的な例が(米)Space-X(社)「Starlink」で、同社は2023年夏時点で5,000基以上の低軌道衛星を打ち上げ、世界60カ国以上で商用サービスを展開している。衛星コンステレーションで提供されるサービスは大きく ①衛星ブロードバンドサービス ②リモートセンシング(地表測定、気象観測、資源探査等)に大別される。 衛星通信サービスは移動体通信向け基地局整備が及ばない僻地での通信環境構築に向いており、レガシー化が進むGSM網の補完としての役割を期待されている他、日本では基地局からのバックボーン回線の利用が進められ、更に基地局整備が出来ていない山岳部や離島、航空機内、船上での通信サービスを実現している。将来的にはBeyond5G,,6Gへの活用が期待されており、既存の携帯電話サービスを補完する新たなインフラとして期待されている。 衛星通信サービスの開発・運用に於いては国内企業が積極的に関わっており、特に通信技術の開発と商用化に向けた取り組みでは現在最先端にあるが、宇宙産業はこれまで米国主導で展開されてきた経緯がある一方、EU、ロシア、中国、インド等も市場を虎視眈々と狙っている。 当資料では、2030年以降の6Gでの展開を視野に入れ、衛星サービス、衛星通信サービスを提供する事業者の取り組み状況、需要拡大が見込まれるアプリケーション動向、規格策定・技術開発動向を調査し、市場規模の把握をテーマに調査を行うものとする。

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