矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

Daily column

10 23
2020
【アナリストオピニオン】現場の人手不足を解消するITソリューション市場が442億円規模に拡大、withコロナ時代でも遠隔/リモートをキーワードに拡大基調を予測!②
各種テクノロジーの進展で、人手不足の解消や就労環境を改善する試みが広がる 日本では、2015~2017年にかけて現場(フィールドワーク)での人手不足感が強まり、業種によっては「給料を上げても人が集まらない」「若手が入ってこないため、年々、平均年齢がアップする」「技術継承が出来ず、廃業せざるを得ない」といった悲鳴も聞かれるようになった。 この点はコロナ禍の中でも続いており、例えば、介護や生活支援/生活衛生関連のサービス業や警備員、建築・土木系の技能工などは、有効求人倍率の高止まりが起きている。 そのため、このフィールドワークで顕在化している課題を解消する取り組みとして、ITや通信、デバイス、ロボット、ドローンを始めとしたテクノロジー活用機運が高まってきた。これにより、作業効率/生産性の向上や就労環境の改善、健康経営/安全な職場環境の実現、研修/トレーニング体制の高度化などが実現してきた。 ここで、上記のフィールドワーク向けソリューションで注目される用途と実現する成果、利活用する技術などを纏めてみた。 ①入力作業のデジタル化(台帳ソリューションなど) 例えば、日報や台帳作成を、従来の「紙と鉛筆」からデジタル入力化するソリューション。また、スマホによる介護記録や介護情報の伝達・確認など、チャット感覚で記録や情報伝達を行うソリューションもある。 ②作業手順の提示/マニュアルソリューション 例えば、設備・機器/施設などの保全作業手順(作業マニュアル)を、作業者が持つスマートグラスやHMD、タブレットに表示する。また、画面表示に加えて、音声を使った工場での組み立て作業の遠隔指示ソリューションなどもある。高度な保全業務がある業種や、比較的頻繁に作業者が変更する業種などがターゲットになる。 ③遠隔作業支援/リモートサポート 現場で問題が発生した際に、現場画像・データや音声、テキスト情報などを遠隔地にいる指示者(ベテラン作業者)が見て現場作業者に助言・指示する。主にメンテナンス業務において利活用される。 HMD&スマートグラスを使うと現場作業者はハンズフリーで作業を行え、作業中の視点移動が大幅に減ることで作業効率が向上する。 ④安全・安心サポート スマートデバイスを使って作業者の転倒/転落、危険な場所への立ち入り警告など、安全な職場環境づくりをサポートする。特に、高齢作業者や夜間・閉所・高所での単独作業者の行動をモニタリングし、転倒信号を検知してアラートを発するなどで、安全環境を実現する。また、ドローンを使った危険箇所での作業者の安全管理もある。 ⑤遠隔健康管理/ヘルスケアモニタリング 過酷作業現場での熱ストレス(熱中症の危険性、高温下作業など)や身体的負荷(心拍数/心拍間隔、脈拍、体温など)をウェアラブルデバイスなどで測定し、事前設定した通知条件に該当した場合、管理者にアラートを出すような仕組み。近年は、特に熱中症対応で注目される。 ⑥ドライバーの健康管理 ドライバーのバイタルデータ(心拍数、体温、心拍間隔など)をウェアラブル型センサーなどで把握し、日常的な体調管理を支援する。また、飲酒運転や眠気防止といったドライバーの安全運転を支援するソリューションもある(飲酒や居眠りの有無を検知・アラート)。 ⑦位置情報をもとにした作業効率化 作業者や資材・原材料などの位置情報を把握し、作業手順の効率化やスペースの有効活用を実現。また、危険箇所への侵入監視など、位置情報を基にした作業者の安全管理ソリューションもある。 ⑧ビジュアルツールを使った業務効率化 現場でのレイアウト変更や増改築時に、3D CADデータやAR・VR/MRなどを使って、設計段階から具体的イメージを実寸大で体感して、業務効率の向上を図る(導入前に模擬練習/研修を行える)。 ⑨ロボットによる作業支援(協働ロボットなど) 業務用/協働ロボットなどを活用して、現場作業者の業務負担(単純作業、長時間作業、重い資材の運搬・危険物の運搬・危険個所通過、介護業務など)を低減する。他にも、床下や狭い場所での設備点検など、作業者が入りづらい箇所をロボットが点検する。 ⑩コミュニケーションロボット/業務用サービスロボット 病院や介護施設などでの入院患者/入所者と会話を行うコミュニケーションロボット、流通やアミューズメント施設などでの案内ロボット、イベント紹介を行うコミュニケーションロボット、店舗でオーダーや配膳を行う業務用サービスロボットなどの普及が加速し始めている。特に、withコロナ時代での対人接触を忌避する上で、ロボットの再評価が進む。 ⑪ドローンソリューション 主に現場監視/点検支援となる。広い建設現場での作業者の位置把握や進捗管理支援、インフラ設備点検支援、防災用途(河川やダム、のり面などの危険個所監視)、作業現場での安全管理支援などでの活用が期待される。 ⑫フィールドワーカー向けの研修/トレーニング支援 ベテラン作業者が担っていた、新人研修の全部もしくは一部を代替するソリューションがある。これは、遠隔地から新人作業者への指導・指示(HMD&スマートグラスなど)を行ったり、新しい機器の導入時にAR/VRを使って操作方法を教えたり、ベテラン作業者が持つノウハウや知見の可視化/継承ソリューションなどが代表例である。 ( 早川泰弘 )
10 21
2020
【アナリストオピニオン】現場の人手不足を解消するITソリューション市場が442億円規模に拡大、withコロナ時代でも遠隔/リモートをキーワードに拡大基調を予測!①
コロナ禍の逆風はあるものの、人手不足は日本経済の構造問題 昭和から平成、令和にかけて、現場作業者の中核を担っていた団塊世代が70歳代に突入した2017年直前から(多くの現場作業者が離職すると想定される年齢)、様々な産業分野で人手不足が顕在化した。特に、「勘と経験」による部分が大きな職人の世界でこの傾向が強まった。そして団塊世代が後期高齢者(75歳以上)になる2025年頃にかけて、さらにこの傾向は加速する。 現在、国内での就業者数自体は拡大しているが、これは女性及び65歳以上の前期高齢者の就業が伸びているためで、現場作業者の中心となる「15~64歳の男性就業者数」は、ここ10年では微減基調が続いている(総務省統計局:労働力調査)。 今回のコロナ禍により、一時的には人手不足の緩和(有効求人倍率の低下など)が起きたが、基本的に少子高齢化をベースとした日本の人口動態は不変で、中・長期的に人手不足は避けられず、この点は依然として日本経済のアキレス腱になっている。 ( 早川泰弘 )

Main Contents Topics

10 23
2020
2020 米中摩擦で揺れる中国スマホメーカーの展望
2020年は新型コロナウイルス(COVID-19)が世界的な猛威を振るい、世界経済そして移動体通信サービスに於いても大きな影響を齎しているが、それ以上に移動体通信市場に大きな影響を及ぼしているのは米中摩擦である。世界最大の携帯電話基地局メーカーであり、世界第二位のスマートフォンメーカーに成長した華為技術(Huawei)はグループ企業を含めて米国商務省に「エンティティリスト」登録されたことで、基地局ビジネス、端末ビジネスで大きな痛手を負う事となった。過去、ZTE(中興通訊)にも制裁を課した際には莫大な制裁金を支払い和解したものの、Huaweiは抵抗を続けている。 中国政府は「一帯一路」戦略で海外進出を加速させ、通商面でも影響力を高めていることに、西側諸国は大きな脅威を感じ始めている。一方で中国のスマートフォンメーカー各社は世界市場で大きな存在感を高めているが、Huaweiをはじめとする中国メーカーは日本の部品メーカーにとって重要な顧客でもあり、その動向は決して目を離すことは出来ない。 本資料は中国のスマートフォンメーカーを対象に各社の製品ラインアップとハードウェア、商品戦略、参入市場等を検証しながら、制裁対象となった場合の影響を測定する。またHuawei、ZTEに関しては基地局ビジネスの動向についても調査を実施する。また、今後の米中関係のカギを握る米国大統領選挙の結果次第では状況が大きく変わることから、市場予測について「現状維持(制裁継続)」と「制裁解除」2つのシナリオで予測を行った。

YanoICT(矢野経済研究所ICT・金融ユニット)は、お客様のご要望に合わせたオリジナル調査を無料でプランニングいたします。相談をご希望の方、ご興味をお持ちの方は、こちらからお問い合わせください。

YanoICTサイト全般に関するお問い合わせ、ご質問やご不明点がございましたら、こちらからお問い合わせください。

東京カスタマーセンター

03-5371-6901
03-5371-6970

大阪カスタマーセンター

06-6266-1382
06-6266-1422