矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

Daily column

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2026
【今週の"ひらめき"視点】気候変動と食料安全保障。問題のしわ寄せは弱者に集中する
当社代表が最新のニュースを題材に時代の本質、変化の予兆に切り込みます。   3月16日、国立環境研究所をはじめとする研究チームは、気候変動緩和策が将来の飢餓リスクに与える影響について大気汚染軽減効果を考慮した研究成果を発表した。気候変動緩和策は、温暖化による作物収量の低下を抑える効果がある一方、バイオエネルギー作物や大規模植林などと土地利用が競合することによる収量減少リスクを伴う。従来、後者が前者を大きく上回るとされてきたが、対流圏オゾン濃度の低下を計算条件に加えると気候変動緩和策によって増加する飢餓リスク人口の約15%が相殺される、とのことである。 気候変動が世界の食料安全保障に与えるメカニズムは極めて複合的、連鎖的であり、産業政策、貿易構造、食文化、生態系、地理的条件からの影響も大きい。また、収量やアクセスの問題のみならず、「主要穀物のタンパク質と微量栄養素の含有量減少による“隠れた飢餓”を誘発させる。また、熱ストレスによる食欲低下といった生理学的な影響も懸念される」という(国際農林水産業研究センター、2025.10.08より)。 気候変動に伴う被害がもっとも早く、そして、深刻化するのは皮肉にもCO 2 排出量の少ない地域、言い換えれば経済基盤の弱い途上国だ。13日、バヌアツの気候変動大臣は上智大学での講演で「世界の温室効果ガスの0.00016%しか排出していないバヌアツは、激甚化した1つのサイクロンでGDPの64%を失う」と語った。主食である根菜類の生産や漁業への影響も大きい。干ばつ、水不足、疫病、治安の悪化により食料供給システムが崩壊、慢性的な飢饉に苦しむアフリカの温室効果ガスの排出量も世界の4%に過ぎない。 そう、気候変動や食料安全保障の問題は“弱者から”顕在化する。昨年5月、東京科学大学が発表した調査※によると、過去一年間に「栄養バランスの取れた食事をとる経済的余裕がなかった」「同じ世帯の大人が経済的理由で食事の量を減らしたり、抜いたりしたことがある」といったフードセキュリティが脅かされている人(=食料危機層)の割合は43.8%、食料危機層の人ほど猛暑など異常気象のために体調を崩す人の割合も高く、すなわち気候変動に対してより脆弱である。OECDによると日本の相対的貧困率は2021年時点で15.4%、昨今の物価高はこの比率を更に助長しているものと推察される。傾向は他国でも同じであろう。短期的な物価高対策はもちろん、持続的かつ戦略的な気候変動対策が急務である。 ※出典:「日本におけるフードセキュリティの実態と気候変動対策への支持」、調査実施者:東京科学大学未来社会創成研究院ウェルビーイング創成センター、実施時期:2025年2月、サンプル:18歳から79歳の全国の男女10,330人   今週の“ひらめき”視点 2026.3.15 - 3.19 代表取締役社長 水越 孝
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2026
【アナリスト便り】「2026 AI時代における広告主のデジタル広告運用に関する実態調査」」を発刊
2026年2月27日 、新刊レポート「 2026 AI時代における広告主のデジタル広告運用に関する実態調査 」 を発刊しました。 生成AIの普及やAI Overviews(AIによる概要)の登場により、ユーザーの情報接触経路は変化し、広告主の集客施策やデジタル広告の予算配分にも影響が生じつつあります。一方で、生成AIは広告運用におけるクリエイティブ制作やターゲティング最適化などへの活用も進んでおり、広告効果向上の手段として注目されています。 本調査では、AIの導入およびAIを起点とした市場環境の変化が、広告主企業のデジタル広告戦略にどのような影響を与えているかを定量的に把握することを目的として、国内広告主企業(n=600)を対象にWebアンケート調査を実施しました。具体的には、AI活用レベル、年間広告予算規模、業種別の観点から、AIとデジタル広告運用との関係性を分析しています。 本調査を通じて、AIを要因とした広告予算配分への変化や今後の方向性、企業間における対応格差の実態、さらにはデジタル広告市場の将来的な構造変化を明らかにします。 本レポートは、ネット広告業界における最新トレンドに着目した新刊のマーケティング資料であり、広告主、広告代理店、メディアなどの業界関係者が今後のデジタル広告戦略を策定する際の基礎資料となることを目的としています。ぜひご活用いただければ幸いです。
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2026
「IOWN APNと画像認識AIを用いた遠隔外観検査の実証に成功」
2026年2月19日、日東工業、NTT西日本、NTTドコモビジネスは、IOWN APN(APN:All-Photonics Network)を活用し、約300km離れた関東のデータセンターと静岡県掛川工場を接続した遠隔AI外観検査の共同実証の成功を発表した。画像認識AIによる画像解析およびロボットアーム制御を遠隔環境で実施し、ローカル環境と同等水準の速度・品質での運用が可能であることを確認したとしている。IOWNは、光技術を中心とする次世代のネットワーク・情報処理基盤の実現をめざすNTTの構想である。   https://www.ntt.com/about-us/press-releases/news/article/2026/0219.html IOWN構想とは: https://group.ntt/jp/group/iown/   製造現場では人手不足や製品の多様化により、外観検査の効率化が求められている。一方でAI検査の導入には工場ごとの設備整備が必要となるため負担も大きかった。今回の実証では、IOWN APNを用いて工場とデータセンターを接続し、AIをデータセンター側で運用する遠隔AI外観検査の有効性を確認した。   実証は掛川工場で撮影した製品画像をデータセンターへ転送→画像認識AI「Deeptector®」で不具合を検出→ロボットがシールを貼付する仕組みで行われた。ネットワークの遅れが検査に影響しないことが確認されたほか、データの一元的管理による運用の効率化や工場間の検査ばらつきの抑制につながる結果を確認した。   IOWN APNを活用した遠隔AI検査は現時点では実証段階にあるが、製造分野におけるデータセンター活用型AI運用の一例として位置づけられる取り組みといえる。製造現場ではロボットや自動化、AIの活用が進む中で、リアルタイム制御やデータ集約を支えるネットワーク要件も高度化しており、IOWN APNはこうした環境を支える基盤技術の一つとして位置づけられる可能性がある。また、弊社ではIOWNおよび光ネットワーク関連動向を整理したマーケティングレポート『2025年版 APN(オール光ネットワーク)の実態と展望』を発刊しており、関連ユースケースを含め継続的な調査を行っている。

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2026
2026 AI-DV(AI定義車両)市場の実態と展望 ~SDV/車載ソフト市場の構造大変革、産業OS・都市OS化を目指す未来~
本レポートは従来、『車載用ソフトウェア市場の実態と展望 vol.2 OEM、Tier.1、2編』と題して継続してきたレポートの最新版である。従来の車載ソフトウェア市場の動向を押さえるとともに、2028年以降、クラウドベンダーの存在感が高まってきた際に、車載ソフトウェア市場にどのような影響を与えるのか、OEMやTier.1、2に加えて、クラウドベンダー等との意見交換を通じて、シナリオを検討、2035年までの方向性を提示していく。 特にCASEからSDVへと移り変わるなか、AIエージェントを筆頭にAIを積極的に取入れていく動きが勃興、まだ定義はかなり曖昧ではあるものの、「AI-DV」との言葉が出始めており、タイトルの変更を行った。本レポートでは、OEMおよびサプライヤーの視点から制御系や車載IT系、SDV、今後勃興が想定されるAI-DVの構成比がどのように移り変わっていくのか、また実際のアーキテクチャの変遷を含め、以下4点について明らかしていく。 (1)車載ソフトウェア市場の市場規模 (2)車載ソフトウェア市場における制御系/車載IT 系/SDV/AIDV 別シェア (3)車載ソフトウェア市場における参入企業別シェア (4)車載ソフトウェアに関するアーキテクチャ(2018年/2025年/2028年/2030年)

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