矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

Daily column

9 29
2023
【富士通 日本初のRISE with SAPのプレミアムサプライヤーに認定】
富士通は9月19日、独SAPが提供するRISE with SAPのプレミアムサプライヤーに国内企業として初めて認定されたことを発表した。会見には富士通 執行役員SEVP 高橋美波氏やSAP アジア太平洋日本地域プレジデント ポール・マリオット氏、SAPジャパン 代表取締役社長 鈴木洋史氏が登壇した。   今回プレミアムサプライヤーとなったことで、富士通はクラウドERPソリューション「RISE with SAP, premium supplier option via Higher with Fujitsu」をFujitsu Uvanceの新オファリングとして提供できるようになった。RISE with SAPは既存のSAP ERPからSAP S/4HANA Cloudへ移行するための支援ツールやプラットフォームを1つに取りまとめたマネージドサービスである。富士通はSAPに代わってSAP S/4HANA Cloudのインフラ環境やBASIS環境の構築・運用を行えるほか、富士通が提供しているSAP関連のソリューションも併せて提供できるようになる。 2024年度から国内企業を対象にスタートし、2026年度までにグローバルで200社に新オファリングを届ける想定だ。   富士通が取り組むFujitsu Uvanceには7つの重点分野があり、今回のパートナーシップはホリゾンタル領域のBusiness Applicationでの新オファリングとなる。Fujitsu Uvance全体では2025年度までに売上高7,000億円を目標に掲げ、ホリゾンタル領域の30%をSAP事業で獲得するとしている。   富士通は去年、メインフレームの製造・販売から撤退すると発表した。国内のメインフレーム市場を支えてきた同社の撤退は衝撃的だったが、長年培ってきたミッションクリティカル領域の知見はこのSAPとのパートナーシップでも大きなアドバンテージとなるだろう。 (宮村優作)  
9 25
2023
【アナリストオピニオン】待ったなしの技能伝承、工場におけるAI自動化を拒むハードルと押さえるべきポイント③
工場におけるAI導入において押さえるべきポイント さて、工場においてAIを導入する上では、少なくても次の5つの質問に対する明確な答えを持つ必要がある。 ■取組み①:人材教育 5つの質問に回答するためには筆者は少なくても3つの取組みが必要と考える。本稿では、自動車工場を例として、OEM(=自動車会社)の取組みをベースに記載したい。まず1つ目のポイントは「人材教育」である。人材教育を通じて、①~③の質問に対する回答が可能となる。AI導入の前に前提として工場に関係なく問題発見能力(=解決すべき問題の明確化)や問題解決能力を身に着けることで①は解決できる。 次に実際に工場のIoT化に際してボトルネックの探索(=②)やボトルネックの解決に際してのデータの取得(=③)に際しては、ベンダーの協力が必要となる。ここで重要なのは基本的にOEM各社は積極的にAIに係る専門人材を新卒、中途問わず採用活動を進めており、内製化の傾向にある点である。このためベンダーはAIを活用したソリューションやモデルを納入する際に、OEMとともに徹底した形式知化を通じたモデル化と併せて、導入後の運用や保守、その後の横展開の検討を含めて、OEM側で対応できるようにスキルトランスファーを行うことが必要となる。そうした意味でも「人材教育」があたる。 ■取組み②:データ取得環境の整備 さて、問題発見能力や問題解決能力、ベンダーからのスキルトランスファーでスキルを身に着けたとしても、データの取得ができないのでは機能不全に陥る。冒頭でも記載の通り、工作機械の耐用年数は長く、センサー内臓であれば問題ないものの、内臓されていない機械も多くあるため、AIなどの導入に際しては、工作機械の状況によってはセンサー情報を取得するための環境整備が必要となる。 例として豊田自動織機は、工場にある射出成形機向けに、AI/機械学習を活用した自動補正システムを構築するうえで、工作機械に情報分析基盤を実装、データを取得するための環境として工作機械のIoT化をテーマとしたプロジェクトを進め、環境を整える取組みを進めてきた。 AIの活用に際しては、出来るところから始めることも可能であるが、豊田自動織機のようにデータ取得環境を整備することでその後の取組みを一気に加速させるやり方もある。 ■取組み③:ホワイトボックス化 最後にベンダー経由でAIを導入したとしても最終的に自分たちで使いこなす必要がある。モデルがブラックボックスでは自社で精度を上げるべく、制御値をはじめとしたパラメータの調整などを行う必要が生じた際に導入ベンダーに依頼する必要があり、改善スピードが落ちることになる。そこでOEMは推論モデルのロジックなども含めて現場側で必要に応じて手を加えられるように、納得いくまで議論を重ねながらホワイトボックス化を進めている。 特に製造業は自動車に限らず製造物責任を課されているため、何かトラブルが発生した際には事業者側が説明する必要がある。ブラックボックスのAIでは何が起きたのか説明がしきれないため、AIをホワイトボックス化し、現場側である程度、手を加えられるように操作性を含めて取組まなければならない。 (山口 泰裕) ※全文は以下よりご覧いただけます。 https://www.yanoict.com/opinion/show/id/389
9 22
2023
【アナリストオピニオン】待ったなしの技能伝承、工場におけるAI自動化を拒むハードルと押さえるべきポイント②
自動化において立ちふさがる複数のハードル 工場では現在も多くの職人芸が生きている。まず1つ目のハードルは職人芸の可視化。AIなどを導入する場合には、そうした職人の勘や経験による「微妙な調整」などを再現する必要がある。AIに学習させるうえでは経験や勘を形式知化する必要があり、各種パラメータを取得、職人とともにモデル化のうえ、AIに落とし込んだ後、検証を重ねながら職人芸に近づけていくことになる。 しかしながら、ここで2つ目のハードル「データの取得できる工作機械と取得できない機械が混在」が現れる。AIにおけるパラメータの取得に際して、工場の工作機械は耐用年数が17~18年と言われ、場合によっては30年にも及び、長期間にわたって稼働している。当該機械のうち、新しい工作機械は元々、センサーなども内蔵されている一方、古い機械はセンサーなど実装されておらず、そもそもデータの取得が課題となることも多い。当然ながら工場内の全ての工作機械が同じ耐用年数ではないため、機械Aはセンサー非内蔵、機械Bはセンサー内臓など、さまざまな工作機械が稼働している。こうした混在した環境下で課題解決に挑むことになる。 こうした課題は一例に過ぎないが、どうだろうか。工場のIoT化やスマート工場などを実現するためには、乗り越えるべき課題は幾つもあることがお分かり頂けたのではないだろうか。 (山口 泰裕) ※全文は以下よりご覧いただけます。 https://www.yanoict.com/opinion/show/id/389  

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2023
2023 メタバースの市場動向と展望
2021年~2022年は、国内企業がメタバース事業に積極的に資金を投入し、様々な取り組みが行われた。一般企業のみならず自治体や行政もメタバースを活用した取り組みに参加し、多様な分野でメタバースを活用した実証実験やサービスが提供された。 メタバースの認知は穏やかに広がっていたが、去年一気に加速し、メタバースがブームとなった。しかし、2023年は去年に比べて熱狂的なブームが落ち着き、またコロナという特殊な状況もなくなった。このような変化はメタバースの活用を真剣に検討してきた事業者においてはビジネス展開を加速するための環境が整ったと言える。 活用分野では、単なるメタバース空間でのコミュニケーションだけではなく、仮想店舗や企業のDXなど、より生産性が伴う領域でメタバースの活用が増えている。また、UGC(User-Generated Content:ユーザー生成コンテンツ)によるCtoCを志向し、デジタルコンテンツのマーケットをローンチするプラットフォーマーが増えている。 さらに、メタバースと生成AI、Chat GPT、EC、NFTなどを掛け合わせることで多様なニーズが今後広がる可能性があると予想される。 本レポートでは、メタバースを活用したビジネス事例を各分野別にまとめると共に、国内の参入企業の事業動向および市場の今後を展望する。

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