矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

Daily column

2 20
2026
「老朽インフラの維持管理で注目されるITモニタリング➁」
■ITモニタリング対象 インフラモニタリングでの主対象となる橋梁、道路及びトンネルの概況を記載する。主要インフラである橋梁及びトンネルでは、2020年以降に建設後50年を超えるものが急速に増える見通しであり、この両施設がインフラモニタリングで最大のターゲットになる。   ◇橋梁 ・橋長2m以上の橋梁数は全国で約70万橋 ・管理者別構成は、市町村68%、政令市7%、都道府県19%、国4%、高速道路会社2% ・市町村が管理する橋梁(約48万橋)の中で、通行止めや通行規制が掛っているところが約2,000ケ所。この数は、毎年10%以上の割合で増えている(5年で倍増) ・現在では、町の50%、村の70%で土木技術者がいない、もしくは不足していると見られる ・2020年代以降、全国橋梁で一斉に建設後50年超となることから、予防保全的な橋梁マネジメントニーズが不可欠になった   ◇トンネル ・道路トンネル数は全国で約10,300本 ・管理者別構成は、市町村23%、政令市3%、都道府県46%、国13%、高速道路会社15% ・国交省及び高速道路事業者が管理しているトンネルのうち、高度経済成長期に建設されたものが全体の25%を占める ・国交省が策定した「道路トンネル定期点検要領(2014年6月)」では、定期点検の実施頻度を5年に1回としている   ◇道路 ・道路タイプ別では、高速道路9,351km、一般国道66,657km、都道府県道143,046km、市町村道1,066,459kmで、道路総延長は1,285,431k ・全体の83.0%が市町村道で圧倒的な比重。以下、11.1%が都道府県道、一般国道は5.2%、高速自動車国道は0.7%と構成比的には若干程度 ・高速道路及び直轄国道などでは、ほぼインフラの維持管理に向けた取り組みがなされている。しかし市町村道などでは予算的な制約もあって、維持管理でのカバー率は低い   ※続くかもしれない
2 19
2026
「老朽インフラの維持管理で注目されるITモニタリング①」
日本のインフラストックは累計800兆円超と言われているが、その老朽化が急速に進展している。民間の鉄道や高速道路事業者などでは、維持管理(安全・安心)・モニタリングへの資本投下は一定水準が維持されているが、一方で行政(国や自治体など)の関連予算は中・長期的には厳しい状況が予想される。そのため老朽インフラ対応では、特に地方自治体を中心とした行政の取り組みは課題になる。   現在、日本の債務残高(国と地方を含めた長期債務残高)は1,000兆円を超えており、これに借入金や政府短期証券を含めるとゆうに1,500兆円前後にたっする規模になる。このため、債務残高のGDP比では主要先進国の中では極端に大きな比率を占めている。加えて、日本の高齢化率(65歳以上人口比率)は世界トップクラスで、当然、今後の社会保障関連予算の膨張も見込まれる。 このような財政状況ではインフラの新設は難しく、必然的に既設インフラの長寿命化が重要になる。しかし目視点検をベースとした座組では、人的・予算的な制約もあって、全インフラを点検することは不可能である。現実には、点検や保全対応ができないインフラも出ている。   ここでIoTを始めとしたITテクノロジーをベースとした「ITモニタリングビジネス」が注目される。この仕組み(予防保全的な仕組み)の導入で、インフラの維持管理に係る保全コストの抑制、業務効率の向上・省人化、さらには老朽インフラ対応問題の改善が期待できる。つまり既設インフラの寿命延長を実現することで、従来とは違ったメンテナンスサイクルを創出するのである。 ※続く
2 18
2026
「事故防止を目的に「健康支援×運転」を結びつける動き」
自動車事故の予防文脈において、ドライバーの健康状態を起点に安全運転を促す取り組みが広がっている。特に損害保険会社やテレマティクス関連企業の間では、認知機能や脳健康、PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)などの健康支援サービスと連携する動きが活発化している。   直近ではアクサ損害保険が2026年1月、自動車保険契約者向けに「スマート脳ドック」「MVision health」「あたまの健康チェック」の特別価格紹介を開始したと発表しており、疾病起因事故や高齢運転者の認知機能低下に対応し、脳・認知の定期チェックを促す施策として位置づけるとのことである。 損保ジャパンは2025年10月、東京医科大学発スタートアップMEDEMILと業務提携を行うと発表しており、ドライブレコーダー等の運転挙動データと眼球運動解析「MEDEMIL Drive®」を組み合わせ、運転能力を科学的に多角評価する枠組みの構築を目指すとした。高齢ドライバーの安全運転支援や職業運転者の就労継続、ライドシェア領域まで視野に入れた展開になるとのことである。 損保系に限らず、運行管理プラットフォーム側の連携も動いている。都築電気は2026年1月、クラウド型動態管理サービス「TCloud for SCM」とharmoの運輸向け健康支援ソリューションの統合提案を開始したと発表しており、将来的な機能・データ連携も見据え、PHR×運行管理で“健康起因の事故ゼロ”と現場の負荷軽減を狙うとのことである。   背景には、運転寿命の延伸とドライバー不足の深刻化がある。健康リスクを放置すれば事故や逸走、急な離職につながる一方、早期の気づきと支援により「運転を続けられる期間」を伸ばせる可能性がある。  今後の焦点は、これらの仕組みが“現場で使い続けられるか”である。導入の発表で終わらせず、日々の運用にきちんとなじむか。その「定着」が、この取り組みの価値を決めるだろう。
2 17
2026
「組立型保険が広がる-多様な生き方に寄り添うかたちの保険」
近年、生命保険で必要な保障を組み合わせる“組立型”の設計が改めて広がっていると感じる。背景には、ライフスタイルの変化や医療環境の多様化があるとみられる。 例えば大手生保では、日本生命の「ニッセイ みらいのカタチ」が複数の保障から選んで組み合わせる商品として長く展開されており、明治安田生命の「ベストスタイル」も特約を組み合わせ、更新タイミングで見直しができる“組立総合保障”として位置づけられている。富国生命の「未来のとびら」は、主契約に縛られず特約を自由に選ぶ複合型保障で、死亡・介護・就業不能・がんなどを必要に応じて組み合わせられる点が特徴である。   こうした設計は“パッケージのまま加入する”という従来型から、“生活の変化に合わせて保障を足し引きする”という考え方へのシフトともいえる。世帯構成や働き方が多様化する中で、死亡保障より医療・介護・就業不能を重視する家庭も増え、保障の優先順位は個人ごとに異なる。組立型はその違いに対応しやすい。 また、組立型が増えているのは医療分野でも同様だ。アフラックは2025年12月、新医療保険「あんしんパレット」を発売し、特約1つから加入できる柔軟な設計を打ち出した。治療給付金・通院・先進医療などを目的別に選べ、既存保険の“足りない部分だけ”補う使い方も想定されている。  医療環境の変化(入院の短期化や外来・通院中心の治療の増加、先進医療の普及など)も、この流れを後押ししていると考えられる。従来の「入院日額」中心では拾い切れない費用が増え、診断一時金型・月額型治療給付・通院保障のニーズが高まっている。   もっとも、組立型の“選べる自由”は“選ぶ難しさ”とも表裏一体であるといえる。営業職員や保険ショップで相談しながら、自分の生活に必要な保障は何かを整理することが欠かせない。組立型保険の拡大は、多様な生き方に合わせて“保障をつくる”という発想が定着しつつあることの表れである。今後はさらに、保障の選び方を分かりやすくする工夫や、比較しやすい情報提供が求められるだろう。

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11 28
2025
2025 SDV時代における車載アプリケーション市場の徹底研究 ~アーキテクチャとビジネスモデルの将来像~
従前より車載ソフトウェア市場をウォッチしてきたが、今回は車載アプリケーション側にフォーカスした調査を実施した。車載アプリケーションについて、従来より各ドメイン(車両制御/ADAS系/ボディ系/情報系)に紐づく形でアプリケーションが存在し、サイロ化の状態にある。E/Eアーキテクチャもドメインベースで機能ごとに分割する形で構成してきた。 そうしたなか、トヨタ自動車のビークルOS「Arene」をはじめとしたビークルOSの登場に伴い、ドメイン間の連携をとるための統合化層(HAL)を設け、当初は情報系およびボディ系の一部をカバーしてきたものの、徐々にADAS系へとカバー範囲が拡充していくにつれ、サイロは縮小しドメイン間の連携に向けた動きが徐々に出てきている。 また、アプリケーションも徐々にAIや生成AIを取り込みながら、ドメイン間の連携などの進化も背景に、コンシェルジュサービスやIVIを用いたサービスを筆頭に、よりパーソナライズされたアプリケーションが出てくる可能性がある一方、アプリケーションの開発に際しては、スマートデバイスのそれと異なり、安全確保に係る各種規制を押さえた開発が必要となる。本レポートにおいてはアプリケーションの広がりと併せて主たる規制などについても取り上げた。 本調査においては、車載アプリケーション市場について、車載アプリケーションと車載プラットフォーム(ビークルOSなど)に区分したうえで、各々の市場について市場規模と併せて、アーキテクチャの変遷など以下3点を中心に明らかにする。 (1)車載アプリケーション市場の市場規模(2021年~2030年) (2)プラットフォームサービスおよびアプリケーションに関するアーキテクチャおよびその変遷(2018年~2030年) (3)車載アプリケーションにおけるビジネスモデル

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