矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

Daily column

4 19
2019
地域通貨は離島で流通しやすい?
先日、地域通貨を電子化するソリューション「Welcome!STAMP」を提供するギフティを取材した。代表的な成功事例には長崎県内関係離島市町や東京島しょ地域などでの導入が挙げられる。 こうした成功事例を見て、学生時代(観光学部)に「地域通貨は離島では流行りやすい」と学んだことを思い出した。ここでは地域通貨の普及が進む要因について軽くふれていきたいと思う。 ご存知のとおり、地域通貨は地域限定で発行、利用されている通貨のことである。地域通貨を活用することで、観光客の消費額増加や、地域経済の活性化などの効果が見込まれる。加えて、「使わないともったいない」と、観光客のリピートにもつながりやすい。 しかしながら、地域経済活性化に向けて地域通貨を導入したものの、失敗しているケースはよく目にする。それは、地続きで地域ごとの区切りが曖昧であることや、地域内でも事業者がそれぞれの方針を持ち、地域通貨を利用できる場所がわかりづらいことなどが要因として挙げられる。そもそも決済手段である地域通貨は、利用できる場が少ないなど、利便性が低ければ利用されない。つまり、「ここの店舗は使えるけれど、あそこのお店では使えない」ということが頻繁に起こると、流通しづらいのである。 一方で、離島ははじめから利用できる地域が明確に区切られ、分かりやすい。地続きの場所と比較すると決済シーンも少なく、参入事業者も多くない。そのうえ、参入事業者は「地域を盛り上げたい」という共通の想いを抱いているケースが多い。そのため、離島は比較的地域通貨が流通しやすい環境となっている。 現状、全国には多岐にわたる地域通貨が存在する。そうした地域通貨が流通しているかは、その通貨自体の認知度や、もちろん運営に関する補助金の有無なども関係してくる。地域通貨をはじめ、今後も地方創生に向けた取組みに大いに着目していきたい。(宮川典子)
4 16
2019
【AIにできない仕事⑯MaaSとアイドルAI比較 「その1.コア層マーケティング」】
AI(人工知能)がやがて人間の仕事の多くを代替していくって本当でしょうか。でも、AIにもできない仕事があるのでは? 車載ITを調査領域とする筆者がここ数か月関わっているのは「MaaS市場予測」です。これまで自家用車だけに頼っていたモビリティ(移動)が、クルマを保有せずにシェアカーサービスを使用したり、鉄道や自転車とシームレスに連動して予約・決済できるようにしたり。特にここにきて注目されているサービスのひとつに「0円タクシー(写真あり。18年12月のどん兵衛とのコラボ)」があります。契約スポンサーが乗客の料金を負担するため、乗客は無料で乗れるシステム。ただし乗客の個人情報は吸いとられ、サービス構築のためのデータとして使用されます。契約スポンサーの広告料は有料であり、タクシー会社はそこから多くの利益を得る仕組みです。 ところで「MaaS市場予測」をやりながら、疲れた時癒されていたのが某「女性アイドルグループ」のYouTube新曲動画でした。YouTube動画は無料で閲覧可能ですが、そこから個人情報は吸いとられ、有料ビジネス立案構築のためのデータとして使用されます。もちろんライブや握手会は有料で、熱烈なコアユーザーはひとりでCD複数枚購入、大量のグッズ購入もあるとか。そこから多くの利益を得る仕組みです。 「0円タクシー」も「アイドル」も「無料で使わせる。けれど一部のコアな層(0円タクシーの場合は契約スポンサー)からは多くの利益を得る」という点でビジネスモデルに似ている点あり、ではないでしょうか。どちらもユーザから収集した情報をAI解析することで、次のコア層ビジネス創出につなげようと考えている点でも似ています。AIがファンの書き込みを解析して、アイドルのTwitterを運用することもできる模様。もっともライブや握手会はもっともアナログな人間が絡まないとできないもので、ここはAIにできない仕事といえそうです。(森健一郎)

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2019
2018/2019年版 FX(外国為替証拠金取引)市場の動向と展望
FX市場は拡大しており、預り残高は1兆円を優に超える規模となり、口座数は600万口座超となった。また、取引高も相場動向に影響を受けるが4,000兆円規模で推移している。 2017年、「店頭FXのレバレッジを10倍に規制?」ということに端を発した問題は、2018年末に「決済リスク管理の強化」に落ち着いた。現在各社は、19年施行の日次データの報告、20年施行のストレステストを通じた自己資本の拡充に向けて体制整備を整えつつ収益構造の変革を進めている。近々では、マネーロンダリングへの対応やサイバーセキュリティ対応へ向けた取組みがなされている。 こうした激変期の中、各社の対応状況を掲載すべく例年に比べ発刊時期を遅らせた。 本調査レポートでは、従来の定性・定量情報に加え、「決済リスク管理の強化策」、「RegTechの対応」についても盛り込み、注目を集めている「仮想通貨事業への取組みとFX事業との相乗効果や影響」についてヒアリングを敢行した。 今後、各社がどのような戦略をもち、FX市場を成長・発展させていくのか、市場動向やマーケットサイズを踏まえつつ、有力企業を通して各社の戦略や将来展望をまとめた。
12 27
2018
2018 銀行における次世代決済サービスの実態と将来展望
経済産業省が発表した「キャッシュレス・ビジョン」をはじめ、2020年の東京オリンピック・パラリンピックやその先を見据え、キャッシュレス化社会の実現に向けてカード業界が盛り上がりを見せている。昨今、特に地方銀行を中心にデビットカード発行に参入しており、今後も多くの銀行が参入を予定している。また、銀行の中には、イシュアに加えて、加盟店開拓まで手掛ける銀行が幾つか登場するなど、注目すべき動きも出てきている。また、2017年には横浜銀行の「はまペイ」や飛騨信用組合の「さるぼぼコイン」をはじめとした「銀行Pay」が登場、今後も複数の銀行が参入を予定している。 そこで本調査レポートでは、デビットカード市場(ブランドデビット、J-Debit、銀行Pay)に焦点を当て、ブランドデビット発行事業者や銀行Pay発行事業者などの実態について調査した。 市場の算出に際しては、ブランドデビット、J-Debit、銀行Pay別に市場規模を算出しているほか、J-Debitとブランドデビットでのシェアやブランドデビット提供事業者のシェアについても算出している。カード会社の取組みを網羅的に把握することで、キャッシュレス化の推進に対する課題を分析、決済インフラのあり方を展望した。
12 27
2018
2019年版 MaaS市場の実態と将来予測 -サービス化する自動車産業1 市場分析編-
これまでのMaaS市場についての情報は、新聞、雑誌、セミナーなど情報量は多いが、切り方や、概念や市場規模がバラけているという印象であった。 そこで今回のレポートでは「米国SAEの分類に準じてMaaSのサービス分野を設定した」ことと「MaaSプレーヤがどのようなデータを活用してサービスを構築しているか」という横串・縦串を使って、国内MaaS市場を徹底的に分析した。 当レポートにより、~2030年までの国内MaaS市場を11のSAEサービス分類に近い形で予測することが可能になった。 またMaaSが自動車産業をどのように変えていくかを考察。大変化の中で、日本OEMがいかにGAFAや海外OEMとのプラットフォーム競争でサバイバルするかについて明示していく。 日々大量に配信されるMaaS関連情報に1本の芯が通ったように感じるのではないか。 今回だけではない。将来にわたっても活用しやすく編集した。「単一のモビリティ」か「マルチモーダル」かなど、新プレーヤの性格分類にはめ込んで見ていくことができる。 CASEによりもたらされる自動車産業大変革。その果実がMaaSだとすれば、当レポートは、変化を乗り切り果実を手に入れるための戦略立案の一助になるものと確信している。

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