矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

Daily column

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2026
「長引く円安」
コロナ禍の最中である2022年3月頃から始まった円安基調は、4年が経過した2026年5月現在でも継続し、同年5月8日現在では1㌦が155~160円の超円安である。 為替変動の影響はグローバル企業の業績に大きな影響があるが、近年の海外事業は現地生産型が増えたので、国内生産&輸出時代よりは為替の影響は減っている。尚、為替動向を見る場合、国際決済はドル主体なのでドル円動向に注目する。 為替変動の影響を円高と円安に分けて考察する。 円高では、鉱物資源や原油、部品・半製品などの原材料調達コストが低下する。そのため、輸入や輸入品を扱う企業にはメリットは大きい。しかし輸出企業では逆風になる。現地価格を維持しようとすれば、輸出価格(製品価格)を下げる必要があり、企業の利益は減る。また外貨建て資産を円にしようとした場合、円高では資産が目減りすることになる。 一方で円安では、原材料や輸入品価格の上昇があり、特に輸入品を扱い且つ、値上げが難しい業界やエネルギー企業、原材料消費型産業(運輸・物流業、素材メーカーなど)にはデメリットが大きい。その一方で、輸出企業の利益アップ効果は大きい。またインバウンド系産業(旅行業、観光業、宿泊業、外国人向けサービス業など)では、円安による訪日外国人客の増加効果が見込まれる。 以前は「円安=経済には追い風」であったが、日本メーカーの海外生産が増えたこともあり、以前ほどの円安メリットは受けていない。またGDPの国際比較を考えた場合、通常は米ドル換算となるため、単純化すると「円高で日本のGDPが増える」、「円安で日本のGDPが減る」といった事が起こる。 2023年に「日本とドイツのGDP逆転劇」も、ドイツ産業の高い生産性といったファンダメンタルに加えて、円安による名目GDPの目減り(ドル建て換算)が大きな要因であった。
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2026
「海事産業におけるサイバーセキュリティの重要性を改めて感じた”Sea Japan 2026”」
少し前になりますが、4月に東京ビッグサイトで開催されていた海事産業の展示会「Sea Japan 2026」に参加してきました。きっかけは、ホルムズ海峡を巡る緊張など、地政学リスクを背景に船舶の航行が滞り、物流に影響が及ぶニュースを目にする機会が増えたことです。日本は輸入依存度が高い国であり、海運の安定性が揺らぐことによる影響は決して小さくありません。こうした理由を背景に、近年の海事産業の動向を確認したいと思い、会場を訪れました。 会場では、環境対応や自動化、デジタル化など、様々なテーマで企業が出展していましたが、全体を通じて特に印象に残ったのが「セキュリティ」というキーワードでした。外航分野では、Starlinkに代表される低軌道衛星通信の活用が進んでおり、従来の静止衛星通信と比べて、陸上に近い感覚で常時通信が可能になりつつあります。船舶が「つながる」ことは、運航管理や効率化の面で大きなメリットをもたらす一方で、新たなリスクも生み出していると感じました。 船舶はAISなどにより位置情報が可視化されています。もし通信やシステムがサイバー攻撃を受け、誤った情報が伝達されるような事態が起これば、船舶の安全運航だけでなく、物流全体に深刻な影響を及ぼす可能性があります。戦争や紛争によって航路が止まるケースとは異なり、サイバーリスクによって「見えない形で物流が止まる」可能性が、現実のものとして意識されるようになってきました。 地政学リスクを完全に回避することは難しい一方で、サイバーセキュリティについては、技術や運用によってリスクを下げる余地があります。輸入依存度の高い日本にとって、海運の安定は経済活動の基盤です。Sea Japan2026は、海事産業におけるセキュリティ対策の重要性が、今後さらに高まっていくことを改めて認識させる展示会でした。

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2026
2026 AI-DV(AI定義車両)市場の実態と展望 ~SDV/車載ソフト市場の構造大変革、産業OS・都市OS化を目指す未来~
本レポートは従来、『車載用ソフトウェア市場の実態と展望 vol.2 OEM、Tier.1、2編』と題して継続してきたレポートの最新版である。従来の車載ソフトウェア市場の動向を押さえるとともに、2028年以降、クラウドベンダーの存在感が高まってきた際に、車載ソフトウェア市場にどのような影響を与えるのか、OEMやTier.1、2に加えて、クラウドベンダー等との意見交換を通じて、シナリオを検討、2035年までの方向性を提示していく。 特にCASEからSDVへと移り変わるなか、AIエージェントを筆頭にAIを積極的に取入れていく動きが勃興、まだ定義はかなり曖昧ではあるものの、「AI-DV」との言葉が出始めており、タイトルの変更を行った。本レポートでは、OEMおよびサプライヤーの視点から制御系や車載IT系、SDV、今後勃興が想定されるAI-DVの構成比がどのように移り変わっていくのか、また実際のアーキテクチャの変遷を含め、以下4点について明らかしていく。 (1)車載ソフトウェア市場の市場規模 (2)車載ソフトウェア市場における制御系/車載IT 系/SDV/AIDV 別シェア (3)車載ソフトウェア市場における参入企業別シェア (4)車載ソフトウェアに関するアーキテクチャ(2018年/2025年/2028年/2030年)

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