矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

Daily column

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2025
NTTコミュニケーションズ、データ利活用マーケティング支援を本格展開
 NTTコミュニケーションズ(以下NTT Com)は6月4日、NTTドコモ(以下ドコモ)が保有するデータを活用し、企業や自治体に対するマーケティング支援事業を本格的に展開すると発表した。データの収集・分析や施策立案、改善まで一貫して取り組む。  背景には、データやAIを活用したマーケティングのニーズの高まりがある。デジタルツールの利用が一般的となり、ユーザーごとのデータ収集が可能になった一方、利活用のノウハウを持った人材が不足しているという。こうした状況を受け、具体的には▽マーケティング戦略の策定支援▽顧客データ基盤構築▽顧客や市場の分析▽顧客接点の高度化-の4つのフェーズで支援する。  NTT Comによる支援の特長の一つとして、ドコモの保有するデータを用いた顧客分析が挙げられる。具体的には、クライアントの持つ顧客データと、1億人規模のdポイントクラブ会員のデータを掛け合わせてインサイトを導き出し、より効率的なアプローチを検討するという。また、携帯電話の基地局運用データを基に人流などを推計する統計データ「モバイル空間統計」もドコモグループならではのサービス。一定エリアにおける国内居住者や訪日外国人の人口増減を調べることができ、観光客の宿泊の有無や、イベント来訪者の属性などの調査に活用できるという。  実際にNTT Comは今年3月から、広島県観光連盟、早稲田大学、インテージ、電通総研と共同で、広島県の観光マーケティングの実証実験を実施。モバイル空間統計でインバウンド客の動態把握をした結果、イタリアやスペインからの来訪率が高いものの、約3割が日帰りしていることが判明した。同観光連盟では今後、この2カ国を対象に宿泊者の誘客に向けた施策を検討するとしている。  NTT Comビジネスソリューション本部事業推進部の徳田泰幸マーケティングインテグレーション推進室長は「NTTグループで保有する知見を活かし、効果的なマーケティングを実現していきたい」と話している。( 川口 御生 )
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2025
「あいおいニッセイ同和損保ら3社、レンタカー事故削減への実証実験を開始」
あいおいニッセイ同和損保、トヨタレンタリース札幌、ナビタイムジャパンの3社は、テレマティクス技術を活用したレンタカー事故削減の共同実証実験を2025年5月26日より開始したと発表した。背景には、訪日外国人の増加や国内の観光需要の回帰によってレンタカーの利用が増加し、レンタカー事故が増えていることがある。年間5000件超のレンタカー事故対策は喫緊の課題となっている。 本実証では、あいおいニッセイ同和損保のテレマティクス自動車保険「タフ・見守るクルマの保険 NexT」をベースにした「レンタカー版 NexT アプリ」を活用する。安全運転度合いに応じたインセンティブ提供で事故削減効果を検証する。 news_2025052601419.pdf ----------------------- テレマティクスを活用した安全運転診断は今後の事故予防には有効であると考える。 他方、訪日外国人によるレンタカー利用という点に注目したい。訪日外国人にとって、標識の違いや左側通行など日本特有の交通ルールに不慣れなことが事故の一因となる可能性が高い。 今回アプリを活用するのであれば、多言語機能を備え、「運転後」だけではなく「運転前」のルール理解を促す仕組みをレンタカー貸出時に組込むのも一案だろう。そのうえでテレマティクス技術と補完しあうことで、より一層、事故予防に寄与する可能性があるのではないだろうか。( 小田 沙樹子)
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2025
高臨場のライブビューイングを実現、NTT Comとヤマハが新技術
 NTTコミュニケーションズ とヤマハは5月28日、臨場感の高いライブビューイングを実現する共同開発技術「GPAP over MoQ」の実証実験を実施した。遠隔地でもライブ会場と連動した舞台演出が可能になるほか、音声などを転送する際の遅延を最小0.1秒程度に抑えることができる。    背景にあるのは、映画館などで配信するライブビューイングの市場規模の拡大だ。注目を集める一方、配信時に主に衛星通信などを利用するため、映像や音声を転送するとライブ本会場との間でタイムラグが生じ、双方向でのやり取りが難しい現状があった。  「GPAP over MoQ」はこうした課題を解決する。ヤマハの開発システム「GPAP」、 NTTコミュニケーションズ の研究するメディア転送技術「MoQ」を組み合わせている。   具体的には GPAPは舞台演出に関するデータをwav形式に統一し、記録・再生する。従来、音声や照明といったデータは異なるフォーマットで保存していたため、複雑な信号処理を必要とするシンクロ再生はハードルが高かったという。 他方、 MoQは次世代プロトコルで、インターネットを利用し配信すると発生する3秒程度の遅延を抑えることができる。こうした二つの技術を掛け合わせることで、ライブ会場と同様の空間を遠隔地でも再現し、コール&レスポンスができるようになる。    同日、ヤマハ銀座店で行われた実験では、実際に同店内の2会場をつないで音楽ライブ配信を行った。観客の手拍子やコールも演奏とほぼずれることはなく、演奏者も「距離や場所の制約を越えて空気感を共有できた」と感想を示していた。    今後 NTTコミュニケーションズ はMoQのW3C/IETFでの国際標準 仕様化をめざすとともに、26年度中の有償提供に向けて取り組んでいくという。 ヤマハはGPAPを利用したこれまでの実証実験から、双方向でのコミュニケーションに対する反響の高さに注目。「コミュニケーションという文脈で、より付加価値を高めていきたい」としている。( 川口 御生 )

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2025
2025 AIで進化するMEO市場のビジネスモデル分析と将来展望
スマートフォンの普及と共にユーザーの検索行動が、位置情報を活用する形へと変化し、Googleビジネスプロフィール(GBP)の運用は企業にとって必須となっている。2020年以降は、コロナ禍を契機に特に店舗事業者においては、営業時間や営業形態の頻繁な変更に対応するため、正確な情報を即時に反映できる体制の整備が求められるようになり、MEO市場の成長はさらに加速した。 近年では、MEOが単なるローカルSEO施策にとどまらず、ローカルマーケティング全体の最適化へと進化しており、特にリアル店舗を展開する事業者にとっては、「MEO対策」、「口コミ管理」、「SNS連携」、「ローカル広告」をワンストップで最適化する取り組みが主流となっている。さらに、AIを活用したデータ分析や店舗運用の効率向上が加速しており、MEO市場はより高度な進化を遂げている。 一方で、競争激化に伴うMEO施策の価格下落と成果の低下、Googleマップへの依存度が高い市場構造、さらにAI活用の拡大によってMEO施策の差別化が困難になっている点などが、業界全体の課題として認識されている。 本調査では、こうした状況を踏まえ、国内主要MEO事業者の戦略および市場動向を分析し、今後注目される領域と市場の将来性について展望する。

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