矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

Daily column

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2026
「マイナンバーカードで使うステーブルコイン JPYCのオフライン決済を実証」
福岡市の照葉積水ハウスアリーナ。ライジングゼファーフクオカのホームゲームが開かれた会場の売店で、来場者がレジの前に立つ。財布やスマートフォンの代わりにマイナンバーカードを端末にかざすと、決済はその場で完了する。支払いに使われているのは円ではなく、円連動型ステーブルコインJPYCである。   このシーンは、三井住友カード(SMCC)とマイナウォレットが1月下旬に共同実施したステーブルコイン決済の実証の一部である。両社はマイナンバーカードをウォレットのように利用する決済モデルの検証に向けたの連続的な実証実験プログラムを設計し、初回の実証をライジングゼファーフクオカのホームゲーム会場で実施した。事前にマイナンバーカードで利用者登録と本人認証を済ませた実証参加者は、会場内の売店などでカードを端末にタッチするだけで決済ができる。決済端末には、従来から三井住友カードが展開するstera端末が使用された。   今回の実証の特徴は、ステーブルコイン決済に伴う手続きを大きく圧縮した点にある。通常、ステーブルコインを利用する場合は専用ウォレットアプリのインストール、ウォレット作成、認証手続きなどが必要となる。今回の実験では、こうした工程を新たなアプリや専用端末を導入せずに、マイナンバーカードによる本人認証と既存のカード決済端末インフラを組み合わせる形で実現した。利用者にとっては、従来のカードのタッチ決済に近い操作で利用できる構成となっている。   同実証は今後、商業・観光・公共施設など多様なオフライン環境へと拡大される予定である。また、自治体と連携したデジタル地域通貨の配布や公共料金支払いなど、行政分野での活用可能性についても検討が進められている。   https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000822.000032321.html   ※当社では、日本およびグローバルステーブルコイン市場に関するレポート「 2026年版 ステーブルコイン市場の実態と展望 」を発刊しており、最新動向の調査・分析を継続しています。
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2026
「ビザ、ステーブルコイン連動カードを100カ国超へ拡大  ―カード決済網がステーブルコインを取り込み始めた」③
3. この構造において、消費者が体験する決済の形は従来のカード決済と大きく変わらない可能性がある。一方で決済プロセスのバックエンドでは、ステーブルコインウォレットとカードネットワークが接続されることで、ブロックチェーン基盤の資産が既存の決済網と接点を持つ形となる。 ビザは現在、ステーブルコインを活用したオンチェーン精算の可能性も検証している。一部の取引については、USDコイン(USDC)を用いてブロックチェーンネットワーク上で精算する仕組みがすでに運用されており、銀行間送金をブロックチェーン基盤の精算に置き換える実証も進められている。 決済産業では近年、カードネットワーク、オンライン決済インフラ、ステーブルコイン基盤の精算インフラが相互に接続される事例が見られる。今回の取り組みも、ビザとストライプ傘下のステーブルコインインフラ企業ブリッジによる連携の一例と位置付けられる。カード決済ネットワークとステーブルコインインフラの結合は、ブロックチェーン基盤の資産が既存の金融インフラの構造の中へ段階的に取り込まれていく動きの一端として捉えることができる。   ※当社では、日本およびグローバルステーブルコイン市場に関するレポート「 2026年版 ステーブルコイン市場の実態と展望 」を発刊しており、最新動向の調査・分析を継続しています。
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「ビザ、ステーブルコイン連動カードを100カ国超へ拡大  ―カード決済網がステーブルコインを取り込み始めた」②
2 . 近年、ステーブルコインは暗号資産の投資手段というより、国境を越えた資金移動のインフラとして利用される事例が増えている。特に為替変動が大きい、あるいはドルへのアクセスが制限されている一部の国では、ドルの代替手段や海外送金手段として利用されるケースも報告されている。 今回の発表のもう一つの軸がストライプだ。ストライプは米国の決済インフラ企業で、開発者が提供されるAPIを通じてオンラインサービスにカード決済機能を直接統合できるプラットフォームである。電子商取引やSaaS企業が自社で決済システムを構築することなく、決済処理や精算を実行できる環境を提供することで成長してきた。B2B決済インフラに強みを持ち、消費者向け決済プラットフォームで知られるペイパル(PayPal)と並び、グローバルオンライン決済市場の主要事業者として言及されることが多い。 ストライプは、2024年10月ステーブルコインインフラ企業ブリッジを約11億ドルで買収すると発表し、審査を経て2025年2月に買収を完了した。ブリッジはステーブルコインを基盤とした決済・精算インフラを提供する企業であり、今回のビザとの協力拡大も、こうした事業拡張の流れの中で位置付けられる。 こうした動きは日本市場とも無関係ではない。ストライプは日本を含む複数の国で決済インフラを提供しており、日本企業の中にもストライプを通じて海外決済を受け取ったり、オンライン決済システムを構築したりする事例が少なくない。事業者の立場から見ると、「ステーブルコイン連動カード」の拡大は新たな決済手段の登場というより、カードネットワークとブロックチェーンベースの決済インフラが結び付くことで、決済や精算の選択肢が広がる動きと捉えることができる。また日本では2023年、ステーブルコインに関する法制度が整備され、銀行、資金移動業者、信託会社などが発行主体となり得る枠組みが整えられた。近年は主要金融機関がステーブルコインの活用可能性を検討する動きも見られており、海外で進むカードネットワークとステーブルコインインフラの結合事例は、日本の金融市場においても制度や事業モデルの接点を考える上で参考となる可能性がある。   ※当社では、日本およびグローバルステーブルコイン市場に関するレポート「 2026年版 ステーブルコイン市場の実態と展望 」を発刊しており、最新動向の調査・分析を継続しています。

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2026 AI-DV(AI定義車両)市場の実態と展望 ~SDV/車載ソフト市場の構造大変革、産業OS・都市OS化を目指す未来~
本レポートは従来、『車載用ソフトウェア市場の実態と展望 vol.2 OEM、Tier.1、2編』と題して継続してきたレポートの最新版である。従来の車載ソフトウェア市場の動向を押さえるとともに、2028年以降、クラウドベンダーの存在感が高まってきた際に、車載ソフトウェア市場にどのような影響を与えるのか、OEMやTier.1、2に加えて、クラウドベンダー等との意見交換を通じて、シナリオを検討、2035年までの方向性を提示していく。 特にCASEからSDVへと移り変わるなか、AIエージェントを筆頭にAIを積極的に取入れていく動きが勃興、まだ定義はかなり曖昧ではあるものの、「AI-DV」との言葉が出始めており、タイトルの変更を行った。本レポートでは、OEMおよびサプライヤーの視点から制御系や車載IT系、SDV、今後勃興が想定されるAI-DVの構成比がどのように移り変わっていくのか、また実際のアーキテクチャの変遷を含め、以下4点について明らかしていく。 (1)車載ソフトウェア市場の市場規模 (2)車載ソフトウェア市場における制御系/車載IT 系/SDV/AIDV 別シェア (3)車載ソフトウェア市場における参入企業別シェア (4)車載ソフトウェアに関するアーキテクチャ(2018年/2025年/2028年/2030年)

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