矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

Daily column

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2026
「AI競争のもう一つの焦点 技術を支える資本とインフラ」
生成AIの進展に伴い、企業が利用できるAIモデルやサービスの選択肢も広がっている。一方、AIの開発・運用には、先端半導体やデータセンター、電力に加え、巨額の資金が必要となる。米外交専門誌『Foreign Affairs』は、こうした資本・インフラ面から米中のAI競争を論じている。同誌は、これらを長期的に確保・維持できるかどうかが、今後のAI産業を左右すると指摘する。   米国と中国は、異なる産業基盤を背景にAIの開発・普及を進めている。米国ではOpenAI社やAnthropic社などの民間企業が先端AIモデルの開発を主導し、大手テクノロジー企業による投資を民間資本市場が支えている。一方、中国は政府の産業育成策と製造業基盤を生かし、AIインフラの整備や産業現場への技術導入を進めている。モデルの提供方式にも違いがある。 米国の主要企業が商用APIやクラウドを通じてモデルを提供する一方、中国ではDeepSeekなどが、自社運用や改変が可能なオープンウェイトモデルを公開している。こうした提供方式の違いは、海外の企業や金融機関がAIの導入形態や提供事業者を選ぶ際の判断材料にもなる。   AIインフラへの投資も拡大している。 同誌によると、米国の主要テクノロジー企業が2026年に予定する設備投資は総額6,000億ドルを超え、その相当部分がAI関連インフラに充てられる見通しだ。中国でも政府主導の大規模なデータセンター整備が計画されている。こうした投資の拡大は半導体やクラウド分野にも及び、金融面では資金調達と投資採算性が重要な論点となっている。 特にデータセンターや電力設備の整備には多額の資金と時間を要するため、AIサービスの需要拡大が十分な収益につながり、投資を回収できるかが問われる。   AIサービスを支えるインフラや供給体制は、金融機関や一般企業の導入判断にも関わる。 米国企業の商用AIサービスを利用すれば、自社でモデルを運用する負担を軽減できる一方、料金や提供条件は外部事業者に左右される。これに対し、オープンウェイトモデルは自社環境での運用や業務に応じた調整が可能だが、その分、計算資源の確保や保守・管理が必要となる。さらに、各国の輸出規制や半導体の供給状況も、サービスの継続的な利用に影響する可能性がある。特に安定稼働が求められる金融機関では、モデルの性能や費用に加え、運用基盤の確保と供給条件の変化に対応できる体制が重要となる。   参考: Foreign Affairs "Empires of AI: The Rise and Fall of a New Global Order"
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2026
【今週の"ひらめき"視点】免税制度、来月からリファンド方式に。インバウンド需要への影響は?
当社代表が最新のニュースを題材に時代の本質、変化の予兆に切り込みます。   10月15日、高島屋は増収増益となった中間決算を受け、通期業績見通しを上方修正、2027年2月期営業収益を4月に発表した5030億円から5091億円(前期比103.4%)へ、営業利益を同575億円から590億円(同110.2%)へ引き上げた。好調なインバウンド需要に加え、国内顧客売上高も堅調に推移、為替効果に押し上げられた海外事業も寄与する。 直近9月も好調だ。伸び率はやや鈍化したものの店頭売上高は前年比+2.4%となった。けん引役はやはりインバウンド、件数こそ前年並み(前年比+0.3%)であったが単価は同+12.5%と伸長、免税売上高は同+12.8%となり売上増に貢献した。中国からの訪日客数減を受けて客数は伸び悩むものの円安を背景としたインバウンドによる高額品需要は旺盛で三越伊勢丹の9月免税売上高も前年比+36.5%を記録した。 11月1日、インバウンド需要を支える免税制度が「リファンド方式」に変わる。現行制度では店頭で旅券等を提示、税抜き価格で商品を購入する。一方、リファンド方式では一旦、税込価格で商品を購入、事業者は購入記録情報を国税庁に送信、出国時に税関が購入者と対象商品を検査・確認したうえで消費税分が返金される。今回の変更は現行制度の隙をついた不正な免税転売の横行が契機となったが、リファンド方式それ自体は多くの国で採用されており、海外旅行に慣れた人にとって違和感はないだろう。 ただ、旅行中の支出増、出国時の手続き、返金までのタイムラグといったネガティブ要件もある。店側においても承認送信事業者※とのシステム連携等における初期費用、店舗スタッフへの教育など新制度への対応コストも発生する。一方、消耗品と一般物品の区分がなくなるなど簡素化もはかられる。また、従来 “特定商業施設内”に限定されていた免税カウンターの設置に関する制約もなくなる。つまり、地域の商店街や観光地全体を免税エリアとすることが可能だ。観光客にとっても小規模店にとってもメリットは大きい。一時的な混乱はあるだろう。しかし、需要そのものが縮小するわけではない。百貨店や大型商業施設はもちろん、地域全体で免税売上、すなわち、“物品輸出”の拡大戦略を講じていただきたい。 ※承認送信事業者:免税店に代わって旅券情報や購入記録情報を国税庁へ電磁的に送信することができる国税庁長官または所轄税務署長の承認を受けた事業者 今週の“ひらめき”視点 2026.10.18 - 10.22 代表取締役社長 水越 孝
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2026
「最後発のコード決済『teppay』、JR東日本は改札の外で勝てるか」
2026年10月20日、JR東日本はモバイルSuicaアプリにおいて、コード決済サービス「teppay(テッペイ)」の提供を開始した。モバイルSuicaの利用者はアプリを更新するだけで利用でき、新たなアプリの導入や登録が不要な点が特徴となっている。   最大の変更点は「2万円の壁」を超えた支払いが可能になる点である。これまでSuicaの残高は2万円が上限であったが、「teppay」では、マイナンバーカードで本人確認をすると残高から最大30万円までの支払いが可能となる。さらに、JR東日本グループのクレジットカード「ビューカード」を連携すれば、カードの利用限度額まで支払える仕組みも提供する。これにより、これまでSuicaでは困難であった高額決済にも対応している。 また、個人間送金にも対応し、受け取った残高はモバイルSuicaへチャージして、鉄道運賃の支払いや定期券購入などに活用できる。2027年春には、モバイルPASMOへのサービス展開も予定しており、異なるアプリ間での送金にも対応する。   市場の状況を見ると、JR東日本がコード決済市場に参入した理由が窺える。モバイルSuicaの発行枚数は2026年10月時点で4,500万枚を超え、「移動・少額決済のデバイス」として確かな地位を築いている。他方、経済産業省が発表した2025年のキャッシュレス決済による決済額162.7兆円のうち、交通系を含む電子マネーによる決済額は6.0兆円となっており、コード決済(16.6兆円)に大きく差をつけられている。「teppay」は、この状況に対するJR東日本の打開策と言える。   一方で課題も多い。コード決済市場において先行するPayPayなどは、すでに多くの人の日常の支払いに定着している。「teppay」はそこに最後発として加わる立場で、シェアの獲得は容易ではない。また、サービス開始直後には、SNSで「ビューカードの登録でエラーが出た」「アプリの起動から支払い画面までが遅い」といった声も投稿された。JR東日本は11月4日から、20%ポイント還元などの大規模なキャンペーンを実施予定としているが、キャンペーンで集めた利用者を定着させられるかは、UI/UXの改善をはじめとした使い勝手の向上にかかっている。   今後のシェア獲得の鍵は、「日常的なユーザー接点」にあるだろう。4,500万枚超が発行されているモバイルSuicaの利用者には通勤・通学で毎日アプリを開く習慣があり、さらにPASMOへの展開が実現されれば、首都圏の交通利用者の多くを取り込める可能性がある。このユーザー接点をいかに日常生活まで拡大し、移動と消費のシームレスな接続を実現できるかが重要になると考える。

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2026
2026 EC事業者における生成AI・AIエージェント活用実態とAgentic Commerceへの対応意向調査
国内EC事業者を対象に、生成AI・AIエージェントの活用実態と、Agentic Commerceへの対応状況・今後の意向、AI・デジタル基盤への投資動向を調査・分析した市場調査資料です。 生成AIやAIエージェントの活用が進展する中、EC業界では、商品情報の作成や業務効率化などに加え、AIが商品探索・比較・購入を支援する「Agentic Commerce」への対応が注目されています。 本調査では、生成AIを継続的に活用している企業が78.3%に達したほか、Agentic Commerce対応企業の71.1%が、今後「現在の対応範囲をさらに拡充していきたい」と回答しており、今後のEC市場におけるAgentic Commerceの影響力は拡大していくと見込まれます。 また、Agentic Commerceへの対応で期待する効果では「商品情報の最適化による露出機会の増加」が50.2%で最も高く、今後重点的に投資したい分野では、「ECシステム・ECプラットフォームの機能強化」が50.2%と最も高くなっている一方、「PIM(商品情報管理システム)の導入・強化」が37.1%、「商品情報・商品コンテンツの整備」が31.9%となり、AIエージェントに推奨されるための商品情報やEC基盤の整備が重視されています。 本調査では、AI活用レベル、EC売上規模、BtoB・BtoC、業種、取扱商材などの企業属性別に、生成AI・AIエージェントの活用状況やAgentic Commerceへの対応、AI・デジタル基盤への投資動向を分析するとともに、ECプラットフォーム事業者やAIソリューションベンダーへの期待を分析し、EC市場関係者のマーケティングや事業戦略立案に活用できる情報を提供します。 全301頁。2026年9月30日、矢野経済研究所発行。
9 ⁄ 16
2026
2026 量子コンピュータ市場の現状と将来展望
2020年、2021年に『量子コンピュータ市場の現状と将来展望』を発刊したが、当時、技術進化は日本を含むグローバルで研究開発が猛スピードで進む一方、活用面では手探りの状態にあった。しかしながら5年を経て2026年に調査した結果、研究開発面および活用面において以下のような変化が見られた。 まず研究開発面は急速に進展しており、ハードウェア側についてエラー訂正はもちろん、古典コンピュータとの連携における入出力問題のほか、キャリブレーションなどについても解決に向けて進んでいる。ソフトウェア側もさまざまなアルゴリズムや既存アルゴリズムの改善などに取組んでおり。NISQのみならず、Early-FTQCに向けたアルゴリズムの開発に向けた取組みも進められている。 次に活用面でも試行錯誤が進み、2025年~2026年にかけて本番環境に近い形でのPoCや、実際に量子コンピュータを活用した製品が登場するなど、活用の方向性が徐々に見えてきており、市場が育ってきている状況にある。また、実際に利用企業についても広がりを見せ始めており、いわゆる材料化学や創薬などを中心に初期から取組むイノベーターに加えて、2025~2026年にかけてCAE領域を中心にアーリーアダプターへと普及し始めている。 このように、5年間で急速に進展している量子コンピュータ業界について、市場規模や活用ロードマップなどをアップデートすべく、全27社(うち海外企業13社)に取材を敢行。具体的には、富士通や日立製作所、Jij、QunaSys、Quemix、Fixstars Amplifyなどの日本企業に留まらず、D-Wave、Equal1、Atom Computing、PlanQC、Quantum Machines、Classiq Technologiesなど、米国やカナダ、英国、ドイツ、フィンランド、韓国など、世界各国の注目企業に取材を行った。
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2026
2026年版 車載HMI市場動向調査 -AI-DV時代におけるHMIの付加価値競争の行方-
近年、自動車の価値は、単なる「移動手段」から「移動空間における体験価値」へと大きく転換しており、その中核を担う技術が車載HMI(Human Machine Interface)である。デジタルコックピットやIVI(In-Vehicle Infotainment)の進化に伴い、操作インターフェイスはタッチ、音声、ジェスチャーを組み合わせたマルチモーダル化が進展しており、HMIはブランド価値や顧客体験を左右する重要な差別化要素となっている。 また、電動化(EV)、自動運転、コネクテッド化の進展は、車載HMIの高度化を加速させている。特にEV市場では、走行性能に加えて車内体験が競争力を左右する重要な要素となり、OTA(Over-the-Air)による継続的な機能アップデートを前提としたソフトウェア中心の製品開発が一般化しつつある。さらに、Android Automotive OSをはじめとする車載プラットフォームの普及や、生成AI・音声AIを活用したインテリジェントアシスタントの進化により、競争の軸は個別製品からエコシステム全体へと移行している。今後は、ディスプレイの大型化・高機能化、HUD・AR技術の普及、さらにはパーソナライズやウェルネスサービスの拡充を背景に、HMIの役割は一層拡大すると見込まれる。 本資料では、これらの市場環境の変化を踏まえ、車載HMI市場の構造、主要OEM・サプライヤーの戦略、技術トレンドを体系的に整理するとともに、今後の市場機会と事業の方向性について考察する。

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