【アナリストオピニオン】生成AIの活用が進むデジタルマーケティング市場②
生成AIが市場拡大に影響
今後も市場が拡大していく要因の1つとなっているのが生成AIの存在である。これまでAIは技術の難易度が高く、自社開発はおろかAIが組み込まれたサービスを利用するのもハードルが高かった。しかし、こうした状況も生成AIの登場によって一気に変化した。
生成AIの代表的なサービスの1つであるChatGPTも高性能でありながら利用が無料であったり、低価格によるAPI連携が可能である。もちろん、ファインチューニングなど追加の調整・学習には作業が必要であるため、その場合はコストが発生するが、それでも従来のAIと比較すれば低コストで活用することが可能である。これは自社で提供するサービスにAI機能を追加することが容易になっているということでもある。
これまで先端技術が活用されるようなツールは導入に係るコストが大きく、投資可能な大企業による利用が中心であった。しかし、生成AIに関しては中小企業向けのコンパクトなツールであっても機能を設けることができる。例えば、中小企業を主なターゲットとしてCRMプラットフォームを展開しているHubSpotも2023年9月に生成AIを搭載した新機能群「HubSpot AI」を発表した。生成AIの活用よってコンテンツの下書き作成、画像の制作、ブログ記事のアイデア出し、ウェブサイト構築、レポート作成といった作業をわずかな時間で完了させるという。
また、国内でMAを展開するシャノンも2024年2月にChatGPTと連携したコンテンツ作成を支援する「シャノン コンテンツアシスタント」の提供を開始した。利用に応じた専用のテンプレートが設けられているため、誰でも簡単にコンテンツのたたき台を作成することができる。サービスプランは月額12,000円/15,000円/20,000円の3つとなっており、安価に利用することができる。
企業規模によらず、ツールが活用されるようになっていく中でも特に効果が大きいのは中小企業だろう。中小企業においてはこれまで全くデジタルマーケティングを行ってこなかったという企業も少なくない。こうした企業がツールを導入すれば、それだけでも効果は大きいが、加えて生成AIを活用すればデジタルマーケティングに関する知見が少なくても最適なコンテンツの生成が行えるようになる。
このように利用が拡大されていくことが予想されるデジタルマーケティングツールだが、ベンダが生成AIの機能を設ける際に重要になるのは、ユーザーが使いこなせる機能になっているかという点だろう。生成AIの特徴の1つに誰でも簡単に自然言語によって指示を出せるという点がある。しかし、それでもChatGPT等の対話型AIや各画像生成AIではそのプロンプトの内容によって出力の精度は大きく異なる。生成AIは出てきて間もない技術であり、その活用には慣れていないケースがほとんどである。こうした状況の中で高度なスキルを要する機能が設けられてもユーザーとしては手に負えない。そのため、セールスフォースのようなワンクリック自動生成やシャノンのような専用テンプレートが設けられているのは重要である。
デジタルマーケティングツールの導入は大企業に加えて、デジタル化を推進する中小企業にも広がっている。この流れは生成AIの登場によってさらに加速してく。更なるCX向上を目指す企業や新たな施策を開始する企業が現れることで、ツールの導入も増加するため、今後も市場は堅調に伸びていくと予想する。
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