矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

Daily column

2 18
2026
「事故防止を目的に「健康支援×運転」を結びつける動き」
自動車事故の予防文脈において、ドライバーの健康状態を起点に安全運転を促す取り組みが広がっている。特に損害保険会社やテレマティクス関連企業の間では、認知機能や脳健康、PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)などの健康支援サービスと連携する動きが活発化している。   直近ではアクサ損害保険が2026年1月、自動車保険契約者向けに「スマート脳ドック」「MVision health」「あたまの健康チェック」の特別価格紹介を開始したと発表しており、疾病起因事故や高齢運転者の認知機能低下に対応し、脳・認知の定期チェックを促す施策として位置づけるとのことである。 損保ジャパンは2025年10月、東京医科大学発スタートアップMEDEMILと業務提携を行うと発表しており、ドライブレコーダー等の運転挙動データと眼球運動解析「MEDEMIL Drive®」を組み合わせ、運転能力を科学的に多角評価する枠組みの構築を目指すとした。高齢ドライバーの安全運転支援や職業運転者の就労継続、ライドシェア領域まで視野に入れた展開になるとのことである。 損保系に限らず、運行管理プラットフォーム側の連携も動いている。都築電気は2026年1月、クラウド型動態管理サービス「TCloud for SCM」とharmoの運輸向け健康支援ソリューションの統合提案を開始したと発表しており、将来的な機能・データ連携も見据え、PHR×運行管理で“健康起因の事故ゼロ”と現場の負荷軽減を狙うとのことである。   背景には、運転寿命の延伸とドライバー不足の深刻化がある。健康リスクを放置すれば事故や逸走、急な離職につながる一方、早期の気づきと支援により「運転を続けられる期間」を伸ばせる可能性がある。  今後の焦点は、これらの仕組みが“現場で使い続けられるか”である。導入の発表で終わらせず、日々の運用にきちんとなじむか。その「定着」が、この取り組みの価値を決めるだろう。
2 17
2026
「組立型保険が広がる-多様な生き方に寄り添うかたちの保険」
近年、生命保険で必要な保障を組み合わせる“組立型”の設計が改めて広がっていると感じる。背景には、ライフスタイルの変化や医療環境の多様化があるとみられる。 例えば大手生保では、日本生命の「ニッセイ みらいのカタチ」が複数の保障から選んで組み合わせる商品として長く展開されており、明治安田生命の「ベストスタイル」も特約を組み合わせ、更新タイミングで見直しができる“組立総合保障”として位置づけられている。富国生命の「未来のとびら」は、主契約に縛られず特約を自由に選ぶ複合型保障で、死亡・介護・就業不能・がんなどを必要に応じて組み合わせられる点が特徴である。   こうした設計は“パッケージのまま加入する”という従来型から、“生活の変化に合わせて保障を足し引きする”という考え方へのシフトともいえる。世帯構成や働き方が多様化する中で、死亡保障より医療・介護・就業不能を重視する家庭も増え、保障の優先順位は個人ごとに異なる。組立型はその違いに対応しやすい。 また、組立型が増えているのは医療分野でも同様だ。アフラックは2025年12月、新医療保険「あんしんパレット」を発売し、特約1つから加入できる柔軟な設計を打ち出した。治療給付金・通院・先進医療などを目的別に選べ、既存保険の“足りない部分だけ”補う使い方も想定されている。  医療環境の変化(入院の短期化や外来・通院中心の治療の増加、先進医療の普及など)も、この流れを後押ししていると考えられる。従来の「入院日額」中心では拾い切れない費用が増え、診断一時金型・月額型治療給付・通院保障のニーズが高まっている。   もっとも、組立型の“選べる自由”は“選ぶ難しさ”とも表裏一体であるといえる。営業職員や保険ショップで相談しながら、自分の生活に必要な保障は何かを整理することが欠かせない。組立型保険の拡大は、多様な生き方に合わせて“保障をつくる”という発想が定着しつつあることの表れである。今後はさらに、保障の選び方を分かりやすくする工夫や、比較しやすい情報提供が求められるだろう。
2 16
2026
【今週の"ひらめき"視点】2025年の経常収支、過去最高を更新。海外投資収益の拡大が寄与
当社代表が最新のニュースを題材に時代の本質、変化の予兆に切り込みます。   2月9日、財務省は2025年の国際収支状況(速報)を発表した。輸出は半導体部品や食料品が好調で107兆7,630億円(前年比+2.5%)、輸入はエネルギー価格の下落もあり108兆6,118億円(同▲0.1%)、差し引き8,487億円の赤字となったが赤字幅は前年比+2兆8,115億円と改善された。サービス収支は、旅行収支の6兆3,429億円、アニメ等のコンテンツを含む知的財産収支における3兆1,732億円の黒字を巨大IT企業への支払など所謂“デジタル関連支出”が飲み込み、3兆3,928億円の赤字となった。 結果、「貿易・サービス収支」は4兆2,415億円の赤字、一方、経常収支全体は31兆8,799億円の黒字、2年連続で過去最高を更新した。海外子会社からの配当など直接投資収益が拡大したことにより第一次所得収支が前年比104.7%、41兆5,903億円と過去最高となったことが主因である。 日本貿易振興機構(ジェトロ)の「2025年度海外進出日系企業実態調査」(2025年11月)によると2025年に黒字を見込む海外進出日系企業の割合は66.5%(前年比+0.6%)、大企業では7割を越える。地域別ではUAEが83.3%、豪州、韓国、ブラジル、南アフリカ、インドも75%を越える。一方、トランプ関税の影響を受ける米国やメキシコ、低成長が続く中国、インドネシアでは3割以上が営業利益の悪化を見込む。しかし、後者にあっても黒字企業の割合は6割を越える。第一次所得収支で稼ぐ国際収支の構造は不変ということだ。 自由貿易への信任が失われつつある中、産業政策の論点は“経済安全保障”に向かう。確かにここ数年、パンデミック、相手国の政治・経済環境の急変、地政学リスクの拡大など、海外投資の不確実性とリスクが顕在化した。仕入先や販路の分散が難しい中小企業、新興国の成長コストに耐えられない企業にとって“撤退”の判断は止むを得ない。ただ、国内回帰ですべてが解決するわけではない。グローバル経済におけるプレゼンスの拡大もまた戦略的BCPであり、すなわち経済安全保障投資である。要するに個々の企業の収益力向上こそが総体としての安全保障の礎になるということである。 今週の“ひらめき”視点 2026.2.8 - 2.12 代表取締役社長 水越 孝
2 13
2026
「『東京ポイント』の付与が開始、開始日に受け取ってみた」
2026年2月2日より、「東京アプリ生活応援事業」が始まっています。同事業は、物価高が続く中で都民の生活を応援することを目的に実施され、都内在住者は「東京アプリ」のダウンロードおよびマイナンバーカードによる本人確認を完了することで、11,000円分の「東京ポイント」を受け取ることができます。   私も、開始日にアプリのダウンロードとマイナンバーカードによる本人確認を行い、数日後に無事ポイントを受け取ったのですが、マイナンバーカードによる本人確認で少し躓きました。本人確認の際に、マイナンバーカードを作成したときに決めた「利用者証明用電子証明書」の暗証番号と「券面事項入力補助用」の暗証番号(どちらも4桁の数字)が求められるのですが、この後者の番号を完全に忘れてしまっていたのです。結局、何とか正しい番号にたどり着き、本人確認を終えられましたが、3回間違えるとロックがかかり、区役所等での手続きが必要になるとのことで大変緊張感がありました(私が正解にたどり着いたのは3回目)。ちなみに、この2つの暗証番号は同じ数字を使うことも可能であるそうなので、どうしても片方を思い出せない方は同じ数字を試してみると良いかもしれません。   受け取った「東京ポイント」は民間決済事業者のサービスと交換でき、2026年2月10日時点では楽天ペイ(楽天キャッシュ)、Vポイント、dポイント、au PAY、メルカリポイントとの交換が可能になっているほか、PayPayポイント、WAON POINTも交換先に追加されることが発表されています。各事業者では、「東京ポイント」からの交換でポイント増量キャンペーンや、抽選で追加ポイント進呈キャンペーンなどの施策も展開されているので、交換前のご確認をおすすめします。

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11 28
2025
2025 SDV時代における車載アプリケーション市場の徹底研究 ~アーキテクチャとビジネスモデルの将来像~
従前より車載ソフトウェア市場をウォッチしてきたが、今回は車載アプリケーション側にフォーカスした調査を実施した。車載アプリケーションについて、従来より各ドメイン(車両制御/ADAS系/ボディ系/情報系)に紐づく形でアプリケーションが存在し、サイロ化の状態にある。E/Eアーキテクチャもドメインベースで機能ごとに分割する形で構成してきた。 そうしたなか、トヨタ自動車のビークルOS「Arene」をはじめとしたビークルOSの登場に伴い、ドメイン間の連携をとるための統合化層(HAL)を設け、当初は情報系およびボディ系の一部をカバーしてきたものの、徐々にADAS系へとカバー範囲が拡充していくにつれ、サイロは縮小しドメイン間の連携に向けた動きが徐々に出てきている。 また、アプリケーションも徐々にAIや生成AIを取り込みながら、ドメイン間の連携などの進化も背景に、コンシェルジュサービスやIVIを用いたサービスを筆頭に、よりパーソナライズされたアプリケーションが出てくる可能性がある一方、アプリケーションの開発に際しては、スマートデバイスのそれと異なり、安全確保に係る各種規制を押さえた開発が必要となる。本レポートにおいてはアプリケーションの広がりと併せて主たる規制などについても取り上げた。 本調査においては、車載アプリケーション市場について、車載アプリケーションと車載プラットフォーム(ビークルOSなど)に区分したうえで、各々の市場について市場規模と併せて、アーキテクチャの変遷など以下3点を中心に明らかにする。 (1)車載アプリケーション市場の市場規模(2021年~2030年) (2)プラットフォームサービスおよびアプリケーションに関するアーキテクチャおよびその変遷(2018年~2030年) (3)車載アプリケーションにおけるビジネスモデル

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