矢野経済研究所ICT・金融ユニットでは、研究員が日々ICT関連分野の調査/研究をしています。2019年度は「平成を振り返って/未来に想いを寄せて」をテーマに、リレーコラム形式でICT・金融ユニットのメンバーが順に綴っていきます。第1回目の執筆者は、リテールソリューションや屋内位置情報ソリューションなどを調査をしている野間です。
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平成の時代はICT化が急速に進展した時代であった。平成2年、1990年にはPCのUIを劇的に革新したWindows3.0、翌年1991年にはWindows3.1が市場に投入された。その後95年にはWindows95が登場、今度はインターネットが劇的に普及することになる。この間世界のICT業界を席巻したのはマイクロソフトとインテルである。その後平成19年、2007年には初代iPhoneがアップル社から発表され、瞬く間にスマートフォンが市場に普及した。さらにスマートフォンの普及に合わせてGAFAがプラットフォーマーとしてこの世の春を謳歌することになる。
この間、日本では多くのPCメーカーが撤退、国産携帯電話はガラケーと呼ばれ、世界のデファクト競争から脱落した。プラットフォーマーに至っては、世界に挑戦できる企業すら現れることがなかった。かように、平成の時代とは日本の企業が世界のICT化の競争から脱落し、それとともに、経済も長い停滞を続ける時代となった。(野間博美)
矢野経済研究所の代表取締役社長 水越が明日26日(水)の朝に、モーニングCROSSにコメンテーターとして出演します。ご覧になった方は感想などもお寄せ下さい。
■日時:2019年6月26日(水)午前7:00~8:00(全時間)
■番組名:TOKYO MXテレビ「モーニングCROSS」(毎朝のニュース・情報の生ワイドショー)
http://s.mxtv.jp/morning_cross/
■チャンネル:地上波9チャンネル(091ch)
■出演内容:コメンテーターとして全時間出演
※他の共演者:森井じゅん(公認会計士)
■MC:堀潤氏、宮瀬茉祐子氏
矢野経済研究所は、株式会社フジクラとコラボし、明日、6月26日(水)に「脱炭素×Vehicle」をテーマとしたアイディア創発ワークショップを開催いたします。残席わずかとなっております。ご検討中の方は、お早めのお申込をおすすめいたします。
当日のアジェンダは①ミニセミナー、②ラウンドテーブル、③ワークショップを予定しております。
①専門研究員によるミニセミナーの後、②ラウンドテーブルで1つのテーマについて深く学び、③ワークショップでは”脱炭素コミュニティにおけるVehicle(移動・輸送)”について考えることをめざします。 ミニセミナーとラウンドテーブルでは、下記テーマを扱います。
・CASE:Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared &Services(カーシェア)、Electric(電気自動車)
・リユース・リサイクル:車載電池リサイクル
・シェア:自動車賃貸市場(リース・レンタカー・カーシェア・定額制)
ミニセミナーでは、当ユニットの主席研究員 森 健一郎が登壇し、CASEについて講演いたします。皆様のご来場、お待ちいたしております。詳細のご確認・お申込みは以下のURLをご覧ください。
http://www.yano.co.jp/seminar/2019/0626/0626.html
【概要】
◆開催日時 2019年6月26日(水)14:00~17:30(開場 13:30) ※ネットワーキング懇談会 17:30~18:30
◆会場 フジクライノベーションハブ「BRIDGE」 東京都江東区木場1-1-1 フジクラ東京R&Dセンター7F(受付:2F)
◆参加費 ワークショップのみ:無料 ネットワーキング(軽食・飲み物あり):1,000円(税込)
先日、NTTドコモから「Disney Mobile on docomo」終了の案内が届きました。
2012年の販売開始以来、ずっと同シリーズを使い続けている私には大変ショッキングなニュースでした(現在3台目)。
スマホケースをディズニーにすればディズニーモバイルなのでは?
違います。
カメラのシャッター音がミッキーの声、限定グッズ等がもらえる抽選(当選して素敵なグッズを頂きました)、特別な壁紙など、ディズニーモバイルには夢があります。
ですが、このままさようなら、ではありません。
ディズニーマーケットをはじめとする各種アプリ、コンテンツのサービスおよびサポートの提供終了は2021年8月。
2020年には新アトラクション、新エリアがオープンすると発表されています。
これまで同様、プレ招待に応募できる機会があるのではないでしょうか。
新規ディズニーモバイルユーザは増えず、既存ユーザは他機種に乗り換え始める。
となれば当選確率は従来よりも高い?
と淡い期待を胸に、その日を待ちたいと思います。(小山博子)
矢野経済研究所は、株式会社フジクラとコラボし、6月26日(水)に「脱炭素×Vehicle」をテーマとしたアイディア創発ワークショップを開催いたします。
当日のアジェンダは①ミニセミナー、②ラウンドテーブル、③ワークショップを予定しております。
①専門研究員によるミニセミナーの後、②ラウンドテーブルで1つのテーマについて深く学び、③ワークショップでは”脱炭素コミュニティにおけるVehicle(移動・輸送)”について考えることをめざします。 ミニセミナーとラウンドテーブルでは、下記テーマを扱います。
・CASE:Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared &Services(カーシェア)、Electric(電気自動車)
・リユース・リサイクル:車載電池リサイクル
・シェア:自動車賃貸市場(リース・レンタカー・カーシェア・定額制)
なお、ミニセミナーでは、当ユニットの主席研究員 森 健一郎が登壇し、CASEについて講演いたします。 ご関心のある方はぜひご来場いただければと思います。 詳細のご確認・お申込みは以下のURLをご覧ください。
http://www.yano.co.jp/seminar/2019/0626/0626.html
【概要】
◆開催日時 2019年6月26日(水)14:00~17:30(開場 13:30) ※ネットワーキング懇談会 17:30~18:30
◆会場 フジクライノベーションハブ「BRIDGE」 東京都江東区木場1-1-1 フジクラ東京R&Dセンター7F(受付:2F)
◆参加費 ワークショップのみ:無料 ネットワーキング(軽食・飲み物あり):1,000円(税込)
先日、隠岐の島に足を運びました。雄大な自然に圧倒されつつ、休暇を満喫してきました。
ちょうどしゃくなげなどの花がきれいに咲いている頃で、花の香りに誘われ、いたるところに虫、虫、そして虫でした。
せっかくなので、ICTを活用した対策ができないか、とスマホで色々探してみたところ、虫除けアプリを発見しました。
虫除けアプリは、基本的に虫が嫌いな音をスマホから流すことで、虫除けをする仕組みとなってます。早速使用してみたところ、なんだか私が気持ち悪くなってしまい、虫を撃退する前に私が撃退されてしまいました。
効果は定かではありませんが、機会がございましたらぜひ試されてみてはいかがでしょうか。
皆様、良い週末をお過ごしください。(宮川典子)
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今回のHuawei問題は米国政府から嫌疑をかけられた中国共産党政権との癒着についてHuawei側が明確な回答をしなかった(出来なかった)ことが消費者に多大な不安を与えてしまったのは事実で、仮に制裁が解除されたとしても、同社製品に向けられた疑惑を晴らさない限り信頼を回復する事は難しい。
今回はトランプ大統領の強権発動によって事態はより世間の関心を集めてしまっているが、米国の貿易赤字のみならず、米国企業のIT企業(Google、Facebook、Twitter等)が中国市場から事実上排除されている現状を考慮すれば米国の対応を一方的に糾弾できないのも確かである。
しかし、端末以上に大きな影響となっているのは5G(第5世代移動体通信システム)のインフラ構築で日本を含む世界の通信事業者で同社製品を採用する見通しだったこともあり、スケジュールの遅延、調達価格の高騰、ネットワーク品質の低下といった問題が起こっている。5Gに関してHuaweiは多くの特許を有している事も大きく影響してくるかもしれない。
*全文は以下よりご覧いただけます
Huawei製スマートフォンの仕向地別の構成比は中国が約9,000万台で全体の44%に達する。米国市場は元々少なく2018年はごく少数に留まっている。一方、日本、ASEAN諸国、インドを含むアジア市場や欧州市場等でもシェアを急拡大させており、存在感は高まるばかりであった。
Huawei製スマートフォンが市場で出荷台数を伸ばした背景には、
①販売力
②商品力
③ブランド力
の全てが備わっていた訳だが、今回の件で商品力とブランド力は大きく毀損した。
またスマートフォン以外にタブレット、Wi-Fiルーター、WindowsモバイルPCなども手掛けており、今後はスマート家電分野への進出も計画されていた。
報道されているように、Googleとの取引が不可能となったことでAndroidOSについて、今後発売が予定されている新製品へのAndroid搭載が不可能となった。また既存製品のOSのアップデートが出来なくなる可能性や、Googleが提供する各種サービスが使用できなくなる可能性も指摘されている。また、同社製品が数多く搭載する(米)Qualcomm製チップセットの調達も不可能となり、市場へ競争力のある製品の導入が難しくなった。
更に追い打ちをかけるように(英)ARMのCPU製造におけるライセンス供給の停止に加え、SDアソシエーションの会員名簿からHuaweiの名前が削除されており、ハードウェア製造においても大きな影響が出始めている。今後、更に他のライセンスを使用できなくなる懸念も生じる。
Huaweiも既に対策を講じており、部品在庫の積み増しを図っているもののあくまで短期的なものである。またOSやチップセットも自社開発を表明しているが実現性に疑問が出始めている。
一方で中国国内ではHuaweiを擁護する動きが活発化しており、同社製品の購買運動や同社の元従業員が無償で働くといった本来、中国人には希薄だった団結感や愛国心が生まれている点は注目に値する。
Huaweiが市場から排除される事による市場への影響だが、政治的要因があまりにも強い事から全く見通せない。
同社にとって最大市場である中国市場ではApple製品の不買運動が懸念される。一方で制裁を逃れた中国メーカー各社は漁夫の利を得るべく攻勢をかける筈でXiaomi(シャオミ/小米科技)、OPPO(オッポ/欧珀)、Vivo(ヴィーヴォ、ビボ)といった大手メーカーは恩恵を得られる可能性が高い。
米国市場では既にHuaweiは排除されており、影響は軽微である。日本市場では大手通信事業者各社が夏季商戦向けに採用を強化していたところなので出鼻を挫かれた格好である。MVNO各社も新製品の販売延期を発表しており、他社製品での穴埋めを迫られている。
ASEAN、インド市場ではHuaweiはサムスン電子、OPPO、Vivo、Xioamiといったメーカーと厳しい競争を強いられており、後退を余儀なくされる。
欧州市場では、サムスン電子、Apple、LG等にとって有利な状況なものの、OPPO、Xiaomiが進出し始めており、新興勢力が大きくシェアを伸ばすチャンスとなるかもしれない。
アフリカ市場ではHuweiは先行するTRANSSION(伝音)を追撃すべく攻勢を掛けていたが、やはり後退を余儀なくされる。一方で途上国では価格が優先されることもあり、自社開発のOS、チップセット開発に成功し、上手く製品に反映されれば芽はあるかもしれない。
スマートフォン市場は出荷台数が頭打ちの状況にあり、Huaweiの問題が市場にどのような影響を齎すかは読みにくい状況にあるが、もしHuaweiのスマートフォンが市場から消える状況になれば市場バランスは大きく変貌することになるかもしれない。(賀川勝)
*全文は以下よりご覧いただけます
2019年5月、米国トランプ大統領はアメリカ企業が安全保障上の脅威がある外国企業から通信機器を調達することを禁止する大統領令に署名し、禁輸措置対象リストに中国の大手IT企業Huawei(ファーウェイ/華為技術)が掲載され、同社に対しアメリカ製ハイテク部品やソフトウェアの供給を禁止した結果、Huaweiの移動体通信端末、ネットワーク機器のビジネスが窮地に立たされている。これまでHuaweiはスマートフォンのバックドア問題や5Gにおける機器導入問題、同社副会長兼CFOのカナダ司法当局による逮捕といった問題を抱えていた。
Huaweiは2018年のスマートフォン出荷台数が2億台を超え、四半期ベースの出荷台数では既に(米)Appleを超える世界シェア2位のメーカーとなっており、世界シェアトップのサムスン電子も視野に入り始めていただけに今回の問題は同社にとって大きな痛手である。(賀川勝)
*全文は以下よりご覧いただけます
初めまして、2019年1月より入社しICT・金融ユニットに配属となりました石神と申します。以前は愛知県の金融機関に勤めており、どうしたら預金を預けてもらえるか、資金需要のある企業はいないか、投資信託に興味を持ってもらえるにはどうしたらいいかということを日々考えて仕事をしておりました。皆様が何を求めているかを考えるという点は研究員と共通していると考えております。金融機関で働いた経験を活かして、他の研究員とは違った観点からも調査を行い、皆様のお力になれるよう精進して参ります。これから、どうぞよろしくお願いいたします。(石神明広)
日本マイクロソフトは、中堅中小企業向けクラウド型ERP「Microsoft Dynamics 365 Business Central」の販売体制に関する記者説明会を開催した(6/5)。
日本マイクロソフトが事務局に、パシフィックビジネスコンサルティング(PBC)と日本ビジネスシステムズが主幹事となり、導入支援を行うパートナー企業を育成するコンソーシアム「Cloud ERP Partners for SMB」(CEPS)を共同で設立した。
同製品を3年間で1,000社に導入することを目指し、CEPS内で導入支援のスペシャリストを1,000名育成するという。
国内企業の99%以上が中堅中小企業であることから、潜在顧客は数多く存在するとみられる。PBCの取締役 業務管理本部長の荻田篤史氏は、現状で引き合いが多く発生していると話しており、コンソーシアムの規模とスペシャリストの人数で導入件数が変わってくると考えられるため、CEPSの今後の動向に注目したい。(星 裕樹)
アジアのITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)は欧米の後を5年遅れて付いてくるとおもったら大間違い。アジアには、欧米の国々のような自動車文化は根付いておらず、でもだからこそ欧米を見ていては見えてこない何かがあるような気がする。アジアのITSは前夜の前夜のそのまた前夜くらい。「アジアITSイブイブイブ」です。
今回のアジアは日本。トヨタ自動車東日本の工場見学です。筆者は平成最後の月(2019年4月)、自動車問題研究会(http://www.jimonken.jp/index.html)の試乗会に参加。複数のブランドのクルマを乗り継ぎながら、東京から常磐道を通って宮城県黒川郡大衡村の同社工場に向かいました。
トヨタ自動車東日本は2012年に誕生しました。関東自動車工業、セントラル自動車、トヨタ自動車東北の3社が結集して設立。東北を拠点に世界に向けてコンパクトカーを製造しています。
3.11の翌年設立という事もあり、同社の歩みは、東北の復興と重なる部分が多く見受けられます。①ものづくり、②地域連携、③ひとづくり、の3本の柱を目指しているということですが、そのひとつひとつが東北という地域を考えてのものとなっているからです。
まず「①ものづくり」については、現在同社の東富士工場(静岡県裾野市)で製造している小型車「ポルテ」や、トヨタMaaS車両の先陣を切ったともいわれている「ジャパンタクシー」を、東北の工場(宮城大衡工場と岩手工場)での製造に移管するという噂があります。もしそうなれば東富士工場の従業員約千百人も東北に異動するかもしれません。東北を愛知、九州に続くトヨタ第3の拠点にすべく動いていることが明白です。
次に「②地域連携」については、地域の自治体と東北電力など地元企業らが連携してのエネルギーマネジメント「F-グリッド構想」及び「地域コミュニティのスマート化」を実施することにより、地域の「防災」「環境」「交通」等の未来のスマートシティ計画を推進しています。既に非常時地域送電システムを運用中。
最後の「③ひとづくり」については、同社が工場内に設立した東日本学園で技術者を育成中です。東北6県の工業高校生15名と地元企業の5名、計20名を対象に生産技術や機械設備についての専門教育を実施。10年後にはモノづくりの中核を担う人材が200名、20年後には400名輩出され、トヨタ自動車東日本だけでなく、東北一帯の中長期的な地域振興に貢献することを目指しているとのこと。
東北地域においてもMaaS、スマートシティ、人材育成といった自動車産業の未来が動き出していることを感じながら、帰りは東北道を通り東京に戻りました。(森健一郎)
矢野経済研究所では、企業様からのご依頼に基づき、オリジナルの市場調査の業務も行っております。
弊社の既存レポートでは知りたい内容が充分に満たせない、単なる調査結果だけではなくコンサルテーションも頼みたい、といった要望にも対応いたします。
HPやメール、お電話等でご相談頂ければ、担当者からご連絡させて頂きます。費用の見積もりまでなら無料で対応いたしますので、市場データの収集やコンサルティングなどでお困りの方は是非お気軽にご相談ください。
詳細は、下記をご覧ください。
日立製作所が開催する「Hitachi IR Day 2019」に行ってきました(6/4)。東原 執行役社長 兼CEOを始め、IT・エネルギー・インダストリー・ライフ・モビリティの各セクターによるプレゼンでキーワードとなったのは「Lumada(ルマーダ)」でした。
Lumadaとは、同社のデジタル技術を活用したソリューション/サービス/テクノロジーの総称です。ITセクターでは、2021年度までの3年間でLumada事業に1,500億円以上の投資を計画しています。また、他セクター全体では2021年度のLumada事業の売上高を2018年度比120.5%の4,000億円と設定しました。
同社は、「2021中期経営計画」で売上収益の年成長率3%超、調整後営業利益率10%超を掲げており、その成長エンジンとして重要になってくるのがLumadaであることは間違いないでしょう。今後どのようなユースケースが生まれ、Lumada事業がどのように広がっていくのか楽しみです。
(星 裕樹)
MaaS事業者は、どのような車両ラインアップを揃えるかがサービスの魅力につながると考えている。ウーバーのライドシェアサービスのように、契約したドライバの保有車両をうまく利用する場合もある。タクシー配車サービスの場合は、同じデザインのタクシーを取り揃えることでブランディングを図っていく。P2Pシェアリングでは、貸し手と借り手が「たまにはこんなスポーツカーに乗ってみたい!」「いいですよ」というネット上の交渉で乗る車両が決定する。MaaS市場において、C(消費者)はクルマを選ぶうえで能動的な決定権を持つため、Cの好みに合わせられる多様性は重要だ。
比べてアイドル市場においては前述したように、もはや複数人のグループが多く、中には20人以上いることもある。メンバー各人の得意分野、個性を尊重して生かし、ユーザを飽きさせない。個人の怪我やトラブルによる一時的な離脱は他のメンバーで補完し、むしろそうしたトラブルすらもコンテンツとして活用するのが現代風だ。単純にメンバーの数が多いだけでなく、「aちゃんとbちゃんが一緒になるとこうなるが、aちゃんとcちゃんが一緒だとだとこうなる」的にメンバーの関係性にまで踏みこんで、混じりあう色を見せていくコンテンツの多様化に工夫している。
MaaSもアイドルも、Cのサービス選択にはネットのサイトやSNSを多用している。MaaSのシェアカーサービスでは、スマホのサービスサイトに寄せられた客の声がドライバのランクを決め、逆に客もドライバから評価される。アイドルではテレビ、CD、DVD、YouTube動画像などに加えてSNSのTwitterやFaceBookやブログを活用してファンを飽きさせないようにもっていく。
そのどちらも運用にはAIが活用されている事であろう。
MaaS市場とアイドル市場の比較をざっくり行ったが、なんだか方向性の明確でないものになってしまった。いつもB2Bばかりやっていた筆者が、たまにB2Cに触れて考えて興奮してしまったに違いない。しかもアイドルだからなあ。興奮して間違いも多いかもしれない。なんだか自信がなくなってきた。
もしかするとB2B主体の自動車産業の従事者においても、B2C色の強いMaaS事業に従事するようになったらきっと訳わからない混乱が、企業組織としてだけでなく、個人の脳の中でも起こってしまうかもしれないと思ったりする。
自動車産業の人も筆者のように、自信がなく、集中できなくなり、右往左往し、先が見えなくなってしまうのだろうか。
けれども企業人といったって、結局は、一匹の人間という動物として、限りある命あるうちに、精一杯鼻をきかせながら思考し、行けるところまで進んでいくしかないのだろうとも思う。だってAIではないのだから。AIにできない仕事をやっていくのだから。AIのできない思考で行けるところまで行ってしまうしかないのだから。でも、方向性はこれでいいのか。AIにできない仕事を探すってこうしたことではないのではないか。などとも思う。
こうした思い自体が「おいおい、市場調査と製造業を一緒にするなよ」とかいう批判にさらされたら、あっという間に恥ずかしくて消え入ってしまいそうだ。AI研究者の方か、読者に「しょせん市場調査屋さんの考え」などといわれたらうつむいて凍ってしまいそうだ。
自動車産業のようなB2Bに関わる方、アイドル産業をはじめとするB2Cに関わる方、当コラム読者の方にとって、ほぼ役に立たない与太話となった。お代はタダだが、読んでいる時間はお戻しできないのでご容赦ください。しかし調査会社も面目を保たねばならないので、最後に結んでおく。
MaaS時代の自動車産業は、どうやらこれまでになくB2Cの色合いが濃いものになっていきそうだ。当ユニットの自動車担当チームのメンバーとしては、これまでのようにITS、コネクテッドカー、車載HMI、車載ソフトウェアなど車載IT分野を追いながら、そこにB2Cの視点を加味していく事を考えていきたい。(森健一郎)
*全文は以下よりご覧いただけます
MaaS市場が注目されている。特にここにきて注目されているサービスのひとつに「0円タクシー(写真はDeNAのもの。18年12月のどん兵衛とのコラボ)」がある。契約スポンサーが乗客の料金を負担するため、乗客は無料で乗れるシステム。ただし、乗客の個人情報は吸いとられる。契約スポンサーの広告料は有料であり、タクシー会社はそこから多くの利益を得る仕組みだ。
比べてアイドルのYouTube動画も無料で閲覧可能であり、そこからユーザが個人情報を吸い取られる点も0円タクシーと同じだ。ただしライブや握手会は有料で、熱烈なコアユーザーは同じCDを複数枚購入したり、大量のグッズ購入もあるとか。そこから多くの利益を得る仕組みだ。
「0円タクシー」も「アイドル」も「無料で使わせる。けれど一部のコアな層(0円タクシーの場合は契約スポンサー)からは多くの利益を得る」という点でビジネスモデルに似ている点あり、ではないか。どちらもユーザから収集した情報をAI解析することで、次のコア層ビジネス創出につなげようと考えている点でも似ている。アイドル産業ではAIがファンの書き込みを解析して、アイドルのTwitterを運用することもできる模様。もっともライブや握手会などは、アナログな人間が絡まないとできないものである。
某「女性アイドルグループ」のYouTube新曲動画を観て、筆者は驚いた。おじさんにとってのアイドルは80年代であり、ひらひらのスカートでピンの歌い手というイメージだった。比べて2020年代間際のアイドルは20人以上の群像であり、マイクでなくヘッドセットを付け、空いた両手をぶんぶん振り回しながら全米NBAハーフタイムショーのチアのように跳ねまわっている。しかもテレビにはあまり出ず、CD販売よりも、ライブやライブ会場でのグッズ販売で利益を得ている模様。どこで切っても同じCDではなく、ファンが独特の楽しみ方をデザインできるライブこそがビジネスになってきたという事だ。
このように、ここ40年で完全にビジネスモデルが変わってしまったアイドル産業に比べて、自動車産業の変化はこれからの20年で大きく動くのではないだろうか。ガソリンエンジン車→EV、手動運転→自動運転、クルマの保有→シェアリング・・・などなど。特に話題のシェアリングではクルマを「保有すること」ではなく、「シェアして体験する」ことがビジネスモデルになっていく。それを一言でいえば「モノ→コト」の移行だ。
MaaSの話でなくて恐縮だが、昨年(2018年)11月、パナソニック創業100周年記念「100BANCH(ヒャクバンチ)」展示会でホーム用3Dプリンタ(写真はパナソニック)を見た。
その際に聞いた話では、これからの時代は、店舗で「これがほしい!」というデザインの商品を見つけたらデータだけ買って帰るようになるそうだ。買ったデータを自宅の3Dプリンタに入れれば、店舗の製品と同じものを自宅で作れるということ。これは「モノ→コト」でなく、「モノ→データ」であろうか。価値はモノだけにあるのではなく、買いたいと思うものを見つけに出かける喜びと、買いたいものに出会う喜び。そして自宅の3Dプリンタを使い自らの手で作り出す喜びになるのだ。やはり、これも「モノ→コト」シフトといえるかもしれない。
少量生産のMaaS車両もユーザ需要に合わせて3Dプリンタで作る時代が来るのではないか。そこにはオーナーカー量産製造にはない、非常にパーソナルな趣味嗜好のデザインが存在するかもしれない。あるいは「ある地域独特の需要(雪が多いとか、川が氾濫しやすいとか)」「ある高齢者独特の需要(身体的な補完)」に対応するデザインかもしれない。逆に非常にパーソナルな趣味嗜好の世界こそがオーナーカーの生き残る道となることもありうる。
3DプリンタはAIで制御御可能だ。だが、規格外の需要を見つけ出してデザイン化するのは案外アナログな仕事といえる。アイドル産業において、ファンが独特の楽しみ方をデザインできるライブこそがビジネスになってきたように。そして、規格外の需要を現場に設置するのはさらに人間臭い仕事になるのではないか。
「MaaS市場もアイドル市場も、ユーザから収集した情報をAI解析することで、次のコア層ビジネス創出につなげようと考えている点でも似ている」ということを書いた。現在のインターネットでも、グーグルやYouTubeなどで利用者が検索したキーワードや項目についてAIが解析を行い、利用者の興味のありそうなものを探り当てたうえでレコメンド広告を打つ。両市場ともに、ユーザのニーズを汲んで展開することで、さらなる需要を生み出そうと試みる。
MaaS市場ではモビリティの乗員の趣味、スケジュール、病歴、興味、購買履歴、活用履歴を踏まえて提供すべきモビリティサービスを変化させたり、乗員に与えるレコメンド情報を変えたりする。アイドル市場では番組視聴者やライブ参加者の声、リクエストを元にした番組・イベントを企画する。こうしたユーザ情報解析こそがサービスの魅力を決定するといっていい。
ただしMaaS市場の場合は乗員情報に加えて、車両情報、道路情報、エネルギー情報などが総括的に分析されることになる。こうした解析はまさにAIの得意とするところではないか。
アイドル市場の場合は、視聴者や参加者の生の声そのままでは、多分それほどおもしろい企画を作れないのではないか。なぜなら視聴者や参加者の声は「今あるものがおもしろいか、魅力的か」であり、この後に何を求めているのかは、彼ら自身さえもが気付いていない、潜在的なニーズであることが多いからだ。それを探るためにはユーザの中でも最も尖がったユーザの声なら役立つかもしれない。AIで尖ったユーザの声をどうして見つけるか? AIは尖ったユーザを見分けることができるのか? しかもファンは飽きやすい。先月の魅力は、今月にはもう通用しないかもしれない。ここについては、今のところ「プロの目利き」「プロの嗅覚」といった、人間に従属するアナログなものに頼るしかないのかもしれない。
*全文は以下よりご覧いただけます
ITSカーエレクトロニクスを調査領域とする筆者がここ数か月関わっているのは「MaaS市場予測」である。当ICT・金融ユニットは、調査分野としてはIT市場担当で、ほぼB2Bビジネスだ。企業のオフィス向けや工場向けなどに供給されるIT市場を調査分析する。筆者はその中でITSカーエレクトロニクス担当のチームにいるが、それもTier1やソフトウェアメーカがOEM(完成車メーカ)に供給しているB2Bビジネスが中心となる。
ところがMaaS市場に関してはB2Cビジネスの要素が強い。MaaSとは、これまで自家用車だけに頼っていたモビリティが、クルマを保有せずにシェアカーサービスを使用したり、鉄道や自転車とシームレスに連動して予約・決済できるようにしたりすることだ。これまでの自動車産業では、ほとんどのプレーヤはOEMに向けて、OEMの求めるものを作るB2Bビジネスがほとんどだった。だが、MaaS市場では、最終的にモビリティサービスを利用するC(Consumer=消費者)に向けてモノを作らなければならない。自動車産業においてこれまで未経験の、B2Cビジネスならではの、人間の気持ちやニーズを考えることが重要になってきたという。
ところで「MaaS市場予測」をやりながら、疲れた時癒されていたのが某「女性アイドルグループ」のYouTube新曲動画だった。気が付くと筆者はMaaSとアイドルの間を行ったり来たりしているうちに両者を比較するようになっていた。いまやアイドル市場は、若者を中心としたものから、中年から高齢者に至るまでの広い層を受け皿とする最先端のB2Cビジネスとなっている。おじいちゃん、おばあちゃん向けのアイドル市場も成立しているのだ。比べてMaaS市場は、B2B主体だった自動車産業の中でB2Cを重要視する新市場であり、重なる部分も少なくないのではないか。
この両者の重なる点、異なる点などが目につき、筆者には面白く感じられたため、これをテーマに書こうと考えた。さらにそのどちらもが、ITの未来ともいえるAI導入を推進しているというので、その可能性についても比較していく。(森健一郎)
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家庭用プリンタを買い替えました。事前の調べで買おうと決めていたプリンタの前に立つと、別のブランドの販売員の方が話しかけてこられました。購入検討していたプリンタの倍の金額のものを勧めるのは如何か、と思い、その日は結局購入をせずに帰宅。とはいえ帰宅後色々調べなおし、後日、勧めて頂いたプリンタよりもローエンドのプリンタを購入しました(もちろん販売員さんのメーカです)。仕様を眺めていて気になったのは重量。10㎏近いものもあり、(捨てられる場所まで距離があるので)粗大ごみに捨てるときに困るな、と思いました。高機能になったがゆえなのか、以前よりも重量感のあるプリンタが増えたなと感じました。(小山博子)
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働き方改革関連法が2019年4月より順次施行されます。どの会社も残業抑制への対応へ苦慮されてるものと想像します。会議を減らす、強制消灯など、いろいろな打ち手があるのでしょうが、最終的には業務やプロジェクトの本質を理解することが最も大切なのかなと私は感じています。
我々の業務はリサーチであれコンサルであれ、都度、プロジェクトに沿って中身を検討しなければなりません。本質的に解決しなければならないものは何か、それに対する最善の方法は何か、美しい最善手を設計できれば、自ずと業務効率も上がるはず。
とはいえ、仕事に不確実性が混じりこむのは避けられず、どうにもならない事態に直面するビジネスパーソンも少なくないと思います。残業できずに会社を追い出された哀愁漂うサラリーマンが、喫茶店の電源席を狙って徘徊する光景が目に浮かぶのは私だけでしょうか・・・。ウォーキング・デッドのようにならないよう、皆様気を付けましょう。(忌部佳史)
アジアのITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)は欧米の後を5年遅れて付いてくるとおもったら大間違い。アジアには、欧米の国々のような自動車文化は根付いておらず、でもだからこそ欧米を見ていては見えてこない何かがあるような気がする。アジアのITSは前夜の前夜のそのまた前夜くらい。「アジアITSイブイブイブ」です。
今回のアジアは日本。常磐道高速道路です。平成最後の月(2019年4月)、自動車問題研究会(http://www.jimonken.jp/index.html)の試乗会に参加。複数のブランドのクルマを乗り継ぎながら、東京から常磐道を通って宮城県に向かいました。
常磐道高速道路を走ると、路側側に「横風注意」「動物注意」のカンバンが目につきます。特に「動物注意」は多く、場所によってシカ、イノシシ、サル、タヌキのイラスト付き。さらには「この先帰還困難区域」のカンバンがあったり(写真あり)、常磐道最後のインターチェンジには「放射線量モニター」があったりします。この辺りはさすが東北の入り口という感じ。3.11の爪痕を感じさせながらも、未来に向けてきっちりと対応している印象を与えます。
3.11の津波警報の際に、住民の中にはこの高速道路の上に上り、あるいは国道の盛り上がりの上に上り、津波被害も免れた人も少なくないといいます。今では高速道路に上るための階段が敷設されている模様。また3.11では、この周辺の農地は海水の塩をかぶって使えなくなりましたが、ここにきて塩に強いトマトの畑として復活してきています。
常磐道をさらに行くと仙台港行の出口に差し掛かかりました(写真あり)。トヨタ自動車様御用達的なインターチェンジだという声もありますが、東北の貿易港としてはここにきて日本海側の酒田港や新潟港(北陸ですが)が勢いを増してきている模様。何といっても日本海こそが米中貿易をつなぐ生命線であり、3.11の際にも滞った物流を解決に導いたのは「新潟港⇔いわき市」ルートだったといいます。その点からいっても宮城県内の製造業は、仙台港に続いて日本海側の酒田港の活用に向かっている模様。
三井アウトレットパークの巨大な観覧車を目にしつつ行くと、やがて日韓ワールドカップで有名になった宮城スタジアムが見えてきました。来年のオリンピックでも使われることになるはずです。時代は平成から令和に移りましたが、東北は新たな役割を担うために変化を遂げている印象でした。(森 健一郎)
(参考;http://www.asahi.com/special/10005/TKY201201280535.html
朝日新聞「高速道路を避難場所に 国交省、一体整備容認へ」)
TISが提供する「エンタープライズ・クラウド運用サービス」は、顧客のプラットフォームの違いを意識せずに、顧客が必要とする運用を、高品質かつスピーディーにサービス提供するサービスである。
同サービスは①クラウド利用ガイドライン、②統合運用管理基盤、③エンタープライズ運用サービスの3つで構成されており、主な特徴は、マルチクラウド対応、オーダーメイドの運用サービス、24時間365日対応のサポート体制などである。同社が得意とする金融業界向けをはじめ、各業界向けのテンプレートがあることは、サービスの利用しやすさや、安心感につながり、他社との差異化要素のひとつになっていると推察する。
次に、顧客が同サービスを選定する理由についてみる。主な選定理由には、これまでの実績はもちろん、クラウド利用ガイドラインの提供なども挙げられる。クラウド利用ガイドラインは、大規模展開を想定したクラウド活用・運用ルール整備のための「クラウド利用ガイドライン」の作成を同社が支援するものである。顧客は、管理基準、セキュリティルールを事前に決めておくことで、展開時の効率性とガバナンスを両立させることが可能になる。また同サービスがマルチクラウド対応であるため、顧客はAWS版テンプレート、Azure版テンプレートなど、プラットフォームごとの特性を反映したテンプレートをベースに、Fit&Gapを行うことができ、ルール決めの工数を削減できるなどといったメリットを享受できる。
同社が提供するサービスは幅広く、既に何らかの形で同社と接点のある企業は多い。しかし、AWSプレミアコンサルティングパートナー、またMSPを取得しているということが、全くの新規顧客を獲得することにもつながっているようで、サービスの利用者は急速に拡大している。
同社は上流工程から下流工程までをすべて提供できる技術力・ノウハウ等が強みのひとつになっているが、工程の一部だけを同社に依頼することももちろん可能である。こうしたカバー範囲、選びやすさが、同サービスが支持される理由のひとつであると考える。
2019年7月にはセキュリティテンプレートも含め「エンタープライズ・クラウド&セキュリティ運用サービス」として現サービスのリニューアルを行う予定となっている。
日立システムズが提供する「クラウド向け統合運用サービス」は、クラウド、オンプレミスなど環境の違いを問わず、ユーザのビジネスニーズにフィットするIT基盤の構築・運用・保守までをトータルでサポートする運用サービスである。同サービスは、「ガイドライン作成」や「クラウド基盤設計・構築」、「クラウド統合運用」など複数のメニューから成るが、これらを単体で利用することも、いくつかを組み合わせて利用することもできる。
同サービスの主な特長は、20年以上にわたり日立グループのソフトウェアサポートで培ってきたノウハウ・技術力をベースに、ハイブリッドクラウド・マルチクラウドにも対応できること、様々なサービスを組み合わせ、ユーザのニーズにワンストップで応えるオーダーメイドのソリューションを提供できること、24時間365日体制の有人コンタクトセンタがあること、それらを支える多数のエンジニアが在籍していることなどである。
特に、日立グループの一員としてSIを含め、日々、様々な案件に対応し、優れた技術力・ノウハウを培っている同社エンジニアの存在は、同サービスにとって大きな強みのひとつになっている。また、これらのエンジニアがユーザの業務課題に寄り添い、ユーザ目線でともに運用スタイルを作り上げていくことは、他社との差異化要素のひとつになっており、ユーザもこうした柔軟性や日立ブランドに対する信頼感などを理由に同社サービスを選定することが多いようである。例えば、本サービスは、同社が提供するSaaS型サービスなどと組み合わせることもできることは柔軟性を示す一例といえる。
次に、最近のユーザ状況についてみる。同社では、明確なターゲットは定めてはいないようだが、医薬系のユーザが増加基調にあると言う。それ以外では情報通信業や流通業、製造業などのユーザが多いと推察する。また、金融・公共などにも拡大の兆しがあるようだ。同社は、AWSサミットへの出展などで顧客を拡大させ、今後も顧客の導入支援、設計構築・運用をトータルでサポートしていく意向である。
同社は、Amazon Web Servicesなどを中心に認定技術者の育成を強化している。こうして学んだ先端アーキテクチャと、これまで培ってきたノウハウ等の集積を強みに、今後もサービスの利用者を拡大させていくだろう。(小山博子)
*関連資料『2019 クラウドコンピューティング(IaaS/PaaS)市場の実態と展望』
https://www.yano.co.jp/market_reports/C60124500
*全文は以下よりご覧いただけます
●重要性が増す運用サービス
矢野経済研究所では、2019年3月に『2019クラウドコンピューティング(IaaS/PaaS)市場の実態と展望』を発刊した。2018年の市場規模は前年比133.3%と、市場は順調に成長している(矢野経済研究所推計)。この市場拡大の要因のひとつは、充実しつつあるマネージドクラウドサービスにあると考える。
近年、市場ではハイブリッドクラウド化、マルチクラウド化が進みはじめ、ユーザは用途や目的に応じて最適なクラウドを活用できるようになった。しかし、クラウドサービスの運用は複雑化し、マネージドサービスプロパイダには、単なる運用以上のことが求められるようになってきた。オンプレミスに残すべきもの、クラウドに移行すべきものの目利きや、Amazon Web ServicesやMicrosoft、Googleなどが次々にリリースする最新サービスの効果的な活用方法など、ユーザからのニーズは多岐にわたる。マネージドクラウドサービスベンダも後者については、全方位で追いかけるベンダ、得意分野を追求するベンダなど各社各様だが、運用だけでなく構築からワンストップで提供するベンダ、マルチクラウドに向けて対応可能なプラットフォームの拡大を図るベンダなどが増加基調にある。今後、基盤の運用が複雑化していくことが見込まれる中、マネージドクラウドサービスの重要性はさらに増していくだろう。
本稿では、市場で存在感を高めていくであろう4つのマネージドクラウドサービスについて、取材を行った。簡単にではあるが、以下で、各サービスについてみてみることとする。
●NECソリューションイノベータ「マネージドクラウドサービスfor AWS」
NECソリューションイノベータが提供する「マネージドクラウドサービスfor AWS」は、同社独自のクラウド運用基盤とAWSのマネージドサービスを連携し、AWS上に構築されたシステム監視から日々の運用、障害対応等を、MSPを取得したプロフェッショナルが実施するサービスである。同社は、AWSのマネージドツールを積極的に取り込むことで、システム構築と密に連携し、AWS環境に対する高品質な運用サービスを提供する。
同サービスは主にマネージメントサービス、運用サービス、監視・通報サービス、サービスデスクサービスからなる。サービスの主な特徴は、24時間365日有人でのシステム監視・サービスデスクやAWSの各種マネージドサービスを活用したきめ細かい管理、NECの自動化技術を活用した構築と運用の連携による複雑なシステム管理の効率化などである。また、同社はもともと基幹システムの運用に長けており、この経験を活かした運用品質がコアコンピタンスのひとつになっている。なお、この点は同サービスの選定理由として挙げられることも多い。
さらに、顧客に訴求することこそ少ないものの、クラウドセキュリティの第三者認証、ISO27017などを取得している点も他社との差異化要素のひとつになっている。
次に同社のターゲットについてみる。主な顧客は金融業や製造業などであるようだが、最近は金融業、自治体での需要も拡大基調にあるようで、このあたりを注力業種として考えているものと思われる。
また、今後は、AIやRPAなどを活用し、サービスの効率化を図っていくことも視野に入っていると推察する。
拡販戦略のひとつとして、公開事例を増やすことなどが挙げられるが、同社の事例は運用だけに留まらず、設計段階から関わっていくものも多い。同社は全体最適化が図れることなどを顧客に訴求することで、サービスの利用者を増やしていくものと考える。(小山博子)
*全文は以下よりご覧いただけます
矢野経済研究所では、基本的に少人数で、皆様がお気軽にご参加いただけるような価格で、月1~2回ワッツセミナーを開催しております。当社の現役研究員およびOB(社内マイスター)、企業を定年退職された客員研究員(社外マイスター)、そして社外の現役経営者・専門分野担当者らが、単独であるいはこれらの組み合わせで講師を担当し、様々なテーマを取り上げています。
第55回目は、blockhive OU(ブロックハイブ)の創設者 日下氏と当社のICT・金融ユニットの研究員である山口が登壇し、『「ブロックチェーン」で何ができる!? 何が起こる!? ~潜在的な国内の市場規模は67兆円?! 仮想通貨の基盤から全産業に関わるインフラへと広がる可能性の有無~』についてお話いたします。皆様のご参加をお待ちしております。
【概要】
開催日時:2019年6月5日(水)15:00~17:00(開場 14:30)
会場:中野坂上セントラルビル 6F
受講料:5,000円(税別)
詳細・お申込みは以下のURLをご覧ください。
LINE Payが5月20日から29日までの期間限定で、「300億円祭り」を開催している。LINEユーザ間で「無料で1,000円を送金できる」キャンペーンで、送金された側は6月30日までに本人確認を済ませれば1,000円を受け取ることができる。なお、期間中に受け取れる上限金額は、一人当たり1,000円までとなっている。
LINE Payは2014年よりモバイル送金・決済サービスを展開しており、2018年8月から利用金額に応じて還元率を高くするインセンティブプログラム「マイカラー」制度のアップグレードなどを実施している。2016年にはJCBと提携し、決済方法をQRコード/バーコードだけでなく、LINE PayカードやQUICKPayにも拡大させた。
今回のキャンペーンでは、LINEユーザをはじめとするLINE Payユーザの獲得に加え、すでにLINE Payを利用しているユーザの「本人確認」を促す狙いがうかがえる。本人確認をするには銀行口座の登録や写真付きの身分証明書の写真を送信する必要がある。本人確認をすることで、LINEユーザ間の送金や口座からの出金が可能となり、LINE Payがよりユーザの生活に浸透することなどが期待できる。
私もすでにLINE Payを利用しているが、本人確認のハードルは低くないように感じる。多くの人が日常的に使い、確立されたコミュニケーションツールとなっているLINEではあるが、「1,000円」という金額がどの程度ユーザ獲得に結び付き、本人確認までを促していけるのか、大いに注目していきたい。
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*関連資料「2019年版国内キャッシュレス決済市場の事態と将来展望」
https://www.yano.co.jp/market_reports/C60123700
矢野経済研究所の代表取締役社長 水越が明日24日(金)の朝に、モーニングCROSSにコメンテーターとして出演します。ご覧になった方は感想などもお寄せ下さい。
■日時:2019年5月24日(金)午前7:00~8:00(全時間)
■番組名:TOKYO MXテレビ「モーニングCROSS」(毎朝のニュース・情報の生ワイドショー)
http://s.mxtv.jp/morning_cross/
■チャンネル:地上波9チャンネル(091ch)
■出演内容:コメンテーターとして全時間出演
※他の共演者:塚原由莉(lamire編集長)
■MC:堀潤氏、宮瀬茉祐子氏
矢野経済研究所ICT・金融ユニットでは、研究員が日々ICT関連分野の調査/研究をしています。そんな研究員たちの、「一番記憶に残っているIT(IT技術/ツール/ウェブサイトなど)」は、一体何でしょう?リレーコラム形式でICT・金融ユニットのメンバーが順に綴っていきます。第15回目の執筆者は、スマートフォンやVRなどを調査をしている賀川です。
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さすがのiPhoneも市場では頭打ちになっており、世界シェア2位の座をファーウェイに譲る事となった。これ以上の数的拡大を図るには腰を据えて新興国対策を進める必要があるが、スマートフォン市場が成熟した現在、商品力とブランド力、マーケティング力を身に着けた中国メーカーと対峙しなければならず、非常に困難な戦いを強いられるのは間違いない。その点では新興国で販売していた中古iPhoneを今後どうするのか大いに関心を持っている。
個人的には従来からのAppleファンを蔑ろにしているようにも見受けられ、大画面化に突き進むのも構わないが、これまで支持されてきた製品にももう一度向き合って欲しいと考えている。(賀川勝)
○本コラムのシリーズ①はこちらよりご覧いただけます
矢野経済研究所ICT・金融ユニットでは、研究員が日々ICT関連分野の調査/研究をしています。そんな研究員たちの、「一番記憶に残っているIT(IT技術/ツール/ウェブサイトなど)」は、一体何でしょう?リレーコラム形式でICT・金融ユニットのメンバーが順に綴っていきます。第15回目の執筆者は、スマートフォンやVRなどを調査をしている賀川です。
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移動体通信の調査を実施する中で最も衝撃的だったプロダクトはApple「iPhone」を置いて他にない。国内販売が開始された初日に手に入れた事を思い出す。
当時、取材先企業でも話題の中心はiPhoneであり、「初年度はどれくらい売るでしょうか?」とか「タッチパネルのインターフェイスは受け入れられますかね?」「iPhoneの台数はいつ頃頭打ちになりますかね?」といった質問を受けた事が記憶に残っている。個人的には所有欲を満たす筐体デザインと質感の高さ、誰でも簡単に扱える直感的なインターフェイスを実現した点を高く評価している。
AppleはiPhoneの発売にあたり日本のNTTドコモの「i-mode」に代表されるモバイルインターネットサービスを徹底的に研究したとされる。それは販売奨励金を軸とした端末の販売方法や、コンテンツ・アプリケーションの品揃えから流通方法迄、広範囲に及んだとされる。その成果が「App Store」であり、同社が端末販売以外に莫大な収益を上げる原動力となったのは衆知の通りである。(賀川勝)
YanoICT(矢野経済研究所ICT・金融ユニット)は、お客様のご要望に合わせたオリジナル調査を無料でプランニングいたします。相談をご希望の方、ご興味をお持ちの方は、こちらからお問い合わせください。
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