矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

デイリーコラム


2020.03.16

【ショートレポートのご案内】

矢野経済研究所では、独自に収集したマーケットデータを1,000円で提供しております。
弊社が発刊する年間約250タイトルのマーケットレポートごとに、一部の内容をまとめたショートレポートです。
マーケットレポートに比べて詳細な内容は掲載されていませんが、その要約版、入門的な情報として活用できる内容となっております。
毎月10~20タイトルのレポートが随時追加されていきますので、是非ご期待ください。
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詳細は下記URLよりご覧いただけます。
https://www.yano.co.jp/shortreport/index.php

2020.03.13

【アナリストオピニオン】ITとオフィスの複雑な関係②

主要都市のオフィス需給は益々逼迫しており、東京等では供給量も大きく増えているにも関わらず、空室率は空前の低水準であるという。その要因としてIT系企業の人員の増加に伴う需要が強く、2019 年に竣工した東京の主なビルでも IT 企業の入居が目立つという。このように各地のオフィス需給のひっ迫は IT系企業の需要拡大による部分が大きく、人手不足が続くなか、若くて有能な人材を確保するには、良好なオフィス環境が必要であり、立地だけではなく内装や共用スペースを重視するテナントも増えているという。たとえばオフィス内にカフェを作ったり、ミーティングや協業するためのフリースペースを多く作るなど、通常の執務スペースだけではない、プラスアルファのオフィス需要が需要に貢献しているそうである。

本来時間や場所の制約を取り払い、自由な働き方も促進するのがITの特徴であるにもかかわらず、IT業界でも全員がますます一か所に集まって、大規模なオフィス空間を利用しているとは、何とも皮肉な現象である。特に働き方改革のひとつのソリューションとして期待されているのがリモートワークであるにも関わらず、である。日本は総じて国土の面積が狭く、通勤が比較的容易であることから、リモートワークが普及しづらいと言われてきた。しかし、育児や介護中の従業員にとっては、オフィスに毎日通勤することなく働けるリモートワークは好ましい働き方である。しかし、一方でオフィスの環境が益々充実すれば、それを享受できないリモートワーカーには逆に不利益になるようにも思われる。

また、リモートワークは地方創生に少なからず貢献すると期待されてきたが、実際には東京一極集中は益々進んでいる状況である。通勤に伴う様々なロスは大きな社会的コストになっており、通勤時間によるロス、ラッシュアワーに伴うロス、都心の一等地に大量のオフィスを構えるロスなどは、日本に特有のものである。しかし、フリーアドレスオフィスは、その解決策としてはあまりに微力であると感じさせられる。

日本には世界的に競争力のあるIT系企業は少ない。名ばかりの働き方改革ではなく、真の意識改革がなければ、日本のIT系企業の競争力は一向に高まらないのではないかと感じさせる話題であった。(野間博美)

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全文は以下よりご覧いただけます

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/281

関連資料「2020 屋内位置情報ソリューションの可能性展望」

https://www.yano.co.jp/market_reports/C61117400

2020.03.12

【アナリストオピニオン】ITとオフィスの複雑な関係①

先日まで屋内位置情報ソリューションのレポートを作成していた。GPSとスマホの普及により、屋外ではいつでも簡単に自分の位置が把握できるようになり、今や位置情報と地図情報は我々の生活では欠かせないツールとさえなっている。しかし、GPSの電波が届かない屋内においては、未だ位置情報は殆ど普及していないのが現状である。都会の広大な地下街において、スマホ片手に自分の今いる位置がわからなくなって困った方も多いのではないだろうか。現在、一般消費者が屋内で位置情報を把握する方法としては、スマホに搭載されているBluetoothやWi-Fiなどを利用する他、多様な技術があるのだが、まだデファクトとなる技術も定まっておらず、普及の目途が全く立たないような状況である。

コンシューマ向けにはそのような屋内の位置情報市場ではあるが、一方で業務用途での普及が先行しつつあり、工場やオフィスにおいては、次第に実績が積み上がりつつある。中でも、ここに来て急速に導入が進展しているとされるのがオフィス分野である。その背景として働き方改革などの影響から導入が進んでいるフリーアドレスオフィスの影響があるという。従来のように席が固定しているオフィスの場合、見える範囲なら相手の在席状況で、見えない範囲ならば例えば内線電話等で、用のある相手の所在を確認することができた。しかし、フリーアドレスになることで、用のある相手の所在はおろか、在席していてもその場所がわからなくなってしまったのである。だが、屋内位置情報システムを導入することで、フロア内にいる全社員の居場所が把握できるようになり、用のある相手が今いるのかいないのか、いるならどこにいるのかなどが一目で分かるようになるのである。相手の居場所がわかれば、訪ねて行って直接面と向かって話すことができるようになり、フリーアドレスのひとつのデメリットを解消できるようになる。屋内位置情報のベンダーに依れば、フリーアドレスの拡大ともに、大手企業からの引き合いが日々大量に来ているという。

フリーアドレス化のメリットには、コミュニケーションパフォーマンスが高くなる、コラボレーションが促進される等の他に、ひとりあたりのオフィススペース削減の効果も大きいという。最近はフリーアドレスを採用したというIT系企業の話を良く聞く上に、ペーパーレス化の効果もあるだろうから、IT業界のオフィス需要は年々減少しているのではないか思い、少し調べたところ状況は大きく異なっていた。(野間博美)

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全文は以下よりご覧いただけます

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/281

関連資料「2020 屋内位置情報ソリューションの可能性展望」

https://www.yano.co.jp/market_reports/C61117400

2020.03.11

民泊のICT利用が進んだ背景は?

先日「おもてなしICT」市場についてのレポートを発刊しました。
民泊においても、ICT利用は広まっており、業務の省人化/無人化が取り組まれております。
ICT化が進んだ要因として、住宅宿泊事業法(民泊新法)など、法整備が進んだことが挙げられます。法整備が進んだことで、民泊事業者を含む宿泊施設のオーナーなどは①人を配置する、もしくは②ICTを活用する、のどちらかの方法でコンプライアンス遵守に取り組む必要があります。​
もともと投資商品として考えられていた民泊ビジネスは、
無人運営が普通で、「いかにコストをかけずに運用するか」という点が重視されていました。そのため、運営事業者はコスト面の観点から、ICTツールを選択し、導入を進めています。
 
では、実際にセルフチェックインやスマートロックなどのICTツールを導入する際、選定のポイントはどこになるのでしょうか?
続きはレポートに掲載しております。機会がございましたら、ぜひご覧いただけますと幸いです。(宮川典子)
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関連資料
2020.03.10

【3/24(火)まで募集中】士業に対する会計パッケージソフトの導入実態調査

ただいま、「士業に対する会計パッケージソフトの導入実態調査」の参加企業様を募集しております。
 
本調査はマルチクライアント調査企画となっており、1社様で受託調査をされるよりもご負担少なくご発注頂ける調査です。
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以下のフォームより、お気軽にお問合せください。
2020.03.09

【無料で遊ぶ、矢野経済研究所の歩き方】

無料で、マーケットに関するニュースレターやメールマガジンを受け取ったり、マーケットレポート紹介コンテンツを見ることができる方法をご存知ですか?
もし弊社からの情報が欲しい!という方がいらっしゃいましたら、YRI Webメンバー登録をしてみてください。
ご登録頂きますと、矢野経済研究所発信の各種業界およびマーケットに関するニュースレターやメールマガジン、矢野経済研究所が独自で企画した最新市場調査資料(マーケットレポート)新刊のお知らせ等各種情報の受信、マーケットレポート紹介コンテンツの閲覧等、メンバー限定のサービスを利用することができます。
http://www.yano.co.jp/regist/

2020.03.06

ちょっとしたチップもキャッシュレスの時代?

少し前に南アフリカに行ってきました。
南アフリカに到着して早々、空港でチップをふっかけられました。
日本人とは異なる体格の男性に迫られちょっと怖かったのですが、「チップの支払いは日本円でも、USドルでも、ランド(現地通貨)でもいいよ。何ならPayPalでもOKさ」と言われ、驚くとともに感心してしまいました。
なぜなら、レストランやカフェじゃない、なんでもないところで現金以外でチップを受け取ると言っているからです。(もちろん、本気で言ったのかどうかはわかりませんが
北欧ではホームレスの方もキャッシュレスに対応しているという記事をみたことはあったのですが、南アフリカでもキャッシュレス化がここまで進んでいるのかもしれないのか…と人知れず感激してしまいました。​
 
なお、上記のような経験をしましたが、南アフリカはとても素敵な国でした。雄大な自然とおいしい料理、明るく優しい人々、何をとっても最高でした。
では、皆様よい週末をお過ごしください。(宮川典子)
2020.03.05

【新マーケティングサービスのご案内】

矢野経済研究所では新たなマーケティングサービスとして、市場調査にご関心のある方を対象とした「B2B市場調査入門 出張セミナー」と、ユーザーヒアリングから戦略を導き出す「戦略的CS調査サービス」を開始いたしました。経営の根幹を担う、顧客の維持・拡大や業績向上には、マーケティングの活用が重要となります。是非お気軽にご相談ください。
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詳細は以下のURLよりご覧頂けます。
https://www.yano.co.jp/market_reports/industryNews.php?id=124

2020.03.04

YanoICTが調査協力、AI白書2020発売中!

『AI白書2020』(制作:IPA、発行:角川アスキー総合研究所)が3月2日に全国の書店等で発売されました。

矢野経済研究所は、第3章「利用動向」の一部分を担当しました。第3章には、国内・海外のAI利用動向、企業におけるAI利用動向アンケート調査結果、中国のAI最新動向などが掲載されています。

536ページからなるAI白書2020には、AIの技術動向や利用動向、制度政策動向、有識者による対談など多くの内容が盛り込まれており、この1冊で幅広い知識を手に入れることができます。

全国の書店等に順次並ぶ予定ですので、是非お手に取ってみてください。

最後になりますが、弊社担当の原稿作成にあたり、アンケート調査にご協力頂いた計541社の担当者様、ヒアリングにご協力頂いた企業の皆様に御礼申し上げます。(星 裕樹)

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https://www.ipa.go.jp/ikc/publish/ai_hakusyo.html

※IPA…独立行政法人情報処理推進機構

2020.03.03

雛祭り×IT 「hinadan」

本日3月3日は雛祭りです。

雛祭り×ITといえば、2017年にリリースされた雛壇飾りアプリ「hinadan」が挙げられます。

https://apps.apple.com/jp/app/hinadan/id1199778491

正しい場所に雛人形を雛壇に飾っていくゲームができるアプリです。

80代の若宮正子さんが製作しました。

引き続き、日本の年中行事においても進展する、IT化に注目していきたいと思います。

2020.03.02

【もはやオンライン決済サービスプロバイダーはオンラインには留まらない】

2月末に市場調査資料「2020年版 オンライン決済サービスプロバイダーの現状と将来予測」を発刊した。

https://www.yano.co.jp/market_reports/C61125600

オンライン決済サービスプロバイダーとは、主にECにおける決済手段を提供する事業者を指し、決済代行業者がメインプレーヤーとなっている。決済代行業者は、EC事業者と決済機関の間に立ち、クレジットカード決済などの様々な決済手段を用意し、審査や契約手続き、売上入金管理などの決済に関する業務を代行するサービスを提供する。決済代行業者のほかには、後払い決済サービス提供事業者、FinTech系のペイメントサービスプロバイダーなどが含まれる。

オンライン決済サービスプロバイダーが、オフラインの決済手段の提供に注力する動向もみられる。最近、QRコード決済がリアルの加盟店に普及している。こうしたことを背景に、オンライン決済サービスプロバイダーが、実店舗に対して、複数のQRコード決済を可能にする端末を提供する動きも出ている。

このように、オンライン決済サービスプロバイダーは、事業展開をオンラインに留めることなく、オフラインへと拡張しつつある。(井上圭介)

2020.02.28

皆さんはどんな服装で仕事をしていますか?

日本の大手SIerが服装の自由化に舵を切り、富士通の時田社長はジャケットの下にTシャツ姿がトレードマークになっているようです。研究員としていろいろな企業に訪問しますが、基幹システム系はネクタイが基本だったり、スタートアップ企業の社長はTシャツだったり、企業文化が伝わってくるようです。弊社に規定はありませんが、ICTのメンバーは特に男性は保守的で、年中ワイシャツとパンツです。案外「毎朝服を選ばないでいいから楽」という非・オシャレ発想なのか、若手社員も同様なのは先輩社員からの同調圧力なのか…?私は好きな服装のほうが仕事もしやすいと思うのですが。皆様の職場はいかがでしょうか。(小林明子)

2020.02.27

【募集中:士業に対する会計パッケージソフトの導入実態調査】

2020.02.26

財布を忘れて生体認証に期待

先日の金曜日、バタバタと退勤したところ社内に財布を忘れてしまいました。気づいた時には時すでに遅し、財布なしで休日を過ごすことに。現金、運転免許証、交通系ICカード、クレジットカードとあらゆるものが手元にないため、何をするにも不便でたまりませんでした。交通系ICカードもクレジットカードもスマホに登録しておけば幾分か楽になったはずただ、そうなるとスマホに機能が集まりすぎて、スマホを忘れた時や充電が切れた時が心配でなりません。デバイスや持ち物に頼らずとも、身体一つでなんでもできる世の中になるのは何年後の世界でしょうか。(星 裕樹)

2020.02.25

【無料で遊ぶ、矢野経済研究所の歩き方】

無料で、マーケットに関するニュースレターやメールマガジンを受け取ったり、マーケットレポート紹介コンテンツを見ることができる方法をご存知ですか?
もし弊社からの情報が欲しい!という方がいらっしゃいましたら、YRI Webメンバー登録をしてみてください。
ご登録頂きますと、矢野経済研究所発信の各種業界およびマーケットに関するニュースレターやメールマガジン、矢野経済研究所が独自で企画した最新市場調査資料(マーケットレポート)新刊のお知らせ等各種情報の受信、マーケットレポート紹介コンテンツの閲覧等、メンバー限定のサービスを利用することができます。

http://www.yano.co.jp/regist/

2020.02.24

矢野経済研究所は、中国全業種・有望企業情報オンラインを提供しています。

このサービスで、中国企業、約1,500万社から有望な取引候補や競合企業の最新・詳細情報を素早く入手することができます。掲載・提供される各企業の情報は中国産業界の事情を熟知した専門研究員が長年に蓄積した独自の調査手法で収集・作成しており、貴社の事業立案や製品拡販戦略の基礎資料として最適です。
<中国全業種・有望企業情報オンラインサービスの特徴>
知りたい企業の情報を素早く入手可能なデーターベースを実現
製造業やサービス業を含む全業種(90業種)の主要企業を網羅
各官公庁を含む幅広い情報ソースから、業種や企業ごとに適切な情報をピックアップし、詳細且つ信頼性が高く、使い勝手の良いデータとして提供
*新サービスのご案内「中国全業種・有望企業情報オンライン」
http://www.yano.co.jp/digital/china/

2020.02.21

【アナリストオピニオン】世界レベルの活用へ HPの3Dプリンティング③

また、②アライアンスパートナーとの共同提案の推進の例には、デロイトトーマツコンサルティングとの取り組み、「3Dプリンタ適合性診断プログラム」が挙げられる。このプログラムでは、財務効果についても試算できる点に特徴がある。本プログラムは、3Dプリンタで造形するに適した部品等の選定を課題とするユーザに応える取り組みと言える。こうした共同提案は、市場状況の変動とともに、別の取り組みや、新たな企業との提案へと広がっていく可能性もある。

加えて大事なのは、③DfAM(最適設計)の認知拡大である。3Dプリンタの力を特に活かすことができるのは、3Dプリンタでなければ造形できないようなものを造形する時である。しかし、未だ従来部品を従来通りの設計で造形し、思ったような効果を得られなかったとする企業がある。つまり、DfAM(最適設計)に対する認知が不足しているということである。既に同社は、最適設計により、質量流量向上やコスト削減が図れた事例を公開しているが、今後さらに認知拡大に努めていく必要があるだろう。

こうしてみると、同社の2020年度の取り組みは、3Dプリンタ活用の入口に対する取り組みにも見える。それだけ、導入したばかりの企業や、採用手前の企業の前に立ちはだかっている壁は高い。しかし、この壁さえ超えてしまえば、カイゼンに強みを持つ日本のこと。あっという間に世界の3Dプリンタ活用レベルに追いつくのではないだろうか。否、追い越すかもしれない。そうした意味でも、日本HPの2020年度の取り組みに期待したい。(小山博子)

※3:3D プリンティングソリューションを活用した大規模なプラスチック製および金属製パーツの設計、製造、配送を支援するプロダクションパートナーのグローバルコミュニティ。

※全文は以下よりご覧いただけます

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/280

2020.02.20

【アナリストオピニオン】世界レベルの活用へ HPの3Dプリンティング②

デジタルマニュファクチャリングの推進を強化

同社は、2019年度にJet Fusionシリーズのラインアップを大幅に拡充した。最初に投入されたHP Jet Fusion4200シリーズが試作・小ロット生産用途としてミドルと位置付けるとするならば、それよりもライトに利用できる、機能性試作の用途に長けたHP Jet Fusion500シリーズと、ミドルよりも大量生産に長けたHP Jet Fusion5200シリーズの上市である。ラインアップの拡充は、アプリケーションの幅をも広げた。これにより、サービスビューロだけでなく、自動車、電機メーカなど製造業での採用が大きく広がり、国内市場でもこれまで以上のスピードで出荷台数を伸ばし始めた。しかし、ラインアップ拡充だけでは、足りない。ユーザの多くが使い方、作り方を課題にしているからである。それが2020年度の取り組みにつながる。

事業説明会で3Dプリンティング事業について説明した日本HP 3Dプリンティング事業部 事業部長 秋山仁氏も、「いきなり3Dプリンタを買う企業は少なく、サービスビューロで利用してから購入するケースが増加している」と述べた。したがって、①サービスビューロ各社との取り組みの強化が重要であることは明白だが、同社の装置は、3D造形サービスビューロの国内大手、DMM.comが2017年に採用を決め、DMM.comは翌年にはサービスを拡充させている。また、2019年10月には、HPの3D プリンティングソリューションを活用したグローバル規模のデジタルマニュファクチャリングコミュニティ「HP Digital Manufacturing Network※3」に、国内初の企業としてSOLIZE Productsが加盟した。日本よりも進んだ海外のノウハウを得る機会ができたと言える。(小山博子)

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※全文は以下よりご覧いただけます

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/280

2020.02.19

【アナリストオピニオン】世界レベルの活用へ HPの3Dプリンティング①

後発のHP

2020年1月、日本HPの事業説明会に出席した。日本HPはPCとプリンティング事業にフォーカスした会社で、「事業展開のスピード向上」と「革新的な製品の提供」をキーワードに、生産から物流、販売、サポートにいたるまで、PC・プリンティング事業に最適化した事業基盤の構築を進めている。同社のプリンティング事業は大別すると2つに分かれる。一つは商業印刷、出版、パッケージ印刷を中心に新たなビジネスの創造やブランドオーナーへの価値提案を進めるデジタルプレス事業、もう一つが今回テーマとする3Dプリンティング事業である。

HPが3Dプリンティング事業を開始したのは2016年で、日本では翌2017年から販売が始まった。位置づけ的には後発と言えるだろう。しかし、後発ゆえにユーザニーズを十分にヒアリングした上で製品化したため、同社が提供する3Dプリンタは、発売当初から最終製品/量産を睨んだ仕様になっており(もちろん同社の技術力があってこその製品化だが)、ユーザからの期待も膨らんだ。

HP Jet Fusion 3Dプリンティングソリューションは、設計から試作、製造までのものづくりの工程に変革を起こすものとして、当時、既存3Dプリンティングによる造形方式と比較し、最大10倍のスピード※1と半分のコスト※2で高い品質のパーツを生産することが可能であると発表された。市場からの期待が高まるHPの装置は、世界市場で瞬く間に出荷台数を伸ばし、同社はシェア上位企業に加わった。2014年の3Dプリンタブーム以降、3Dプリンタ市場に参入した企業はいくつかあるが、シェア上位企業にまで成長したメーカは少ない。このことから、同社装置がユーザニーズに適うものであったことがうかがえる。実際、性能、価格など含め、非常にバランスの良い装置のひとつと言える。

しかし、国内の出荷台数の伸びは、世界市場と比較すると、緩やかであったとみる。これは、国内ユーザ(候補を含む)の動きにも連動していると考える。最近の国内ユーザの動向をみると、3Dプリンタを活用し、効果を得ている企業では利用が加速しているが、導入したばかりの企業や、採用手前の企業の前に立ちはだかっている壁、特にアプリケーションに関する壁は高そうだ。何をどのように作ることで3Dプリンタの性能を最大限に引き出せるのか、これをユーザ1社だけで考えることは難しいだろう。2020年度の日本HPは、こうしたユーザに寄り添い、デジタルマニュファクチャリングを推進するための取り組みを強化していく。その柱となるのが、①サービスビューロ各社との取り組みの強化、②アライアンスパートナーとの共同提案の推進、③DfAM(最適設計)の認知拡大である。

※1:HP Jet Fusion 3Dプリンティングソリューションと、販売価格10万ドル~30万ドルのFDM(熱溶解積層方式)/SLS(粉末焼結積層造形)の造形速度の平均値の比較。2016年4月時点のHP社内における試験とシミュレーションの結果に基づく。
※2:上記1と同様の結果に基づく。

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※全文は以下よりご覧いただけます

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/280

2020.02.18

冬物コートを着るのはいつ?

12月に入って、急に寒い日が増えました。
冬に突入したと思い、実家から冬物コートを取ってきました。しかし翌週からは暖かい日があり、そもそもハーフコートも要らない日もあります。12/10過ぎでもコート無し出勤の日がありました。
家を出るときは大概ぬくぬくしており、「コートだと電車内で暑いかな?(筆者は1時間弱地下鉄に乗ってます)」と心配するのが日常になってます。
こんな状況ですが、さて今年はいつから冬物コートを着たのか?
次回にご報告します(12/16)。(早川泰弘)
2020.02.17

【新マーケティングサービスのご案内】

矢野経済研究所では新たなマーケティングサービスとして、市場調査にご関心のある方を対象とした「B2B市場調査入門 出張セミナー」と、ユーザーヒアリングから戦略を導き出す「戦略的CS調査サービス」を開始いたしました。経営の根幹を担う、顧客の維持・拡大や業績向上には、マーケティングの活用が重要となります。是非お気軽にご相談ください。
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詳細は以下のURLよりご覧頂けます。
https://www.yano.co.jp/market_reports/industryNews.php?id=124

2020.02.14

義理チョコには賛成?それとも反対?

本日はバレンタインです。
弊社では義理チョコを渡す文化はありませんが、皆様の会社ではどうでしょうか?
企業によっては、「職場内バレンタインデー禁止令」を設けるなど、ここ数年で義理チョコ文化に対する否定的な意見をよく聞くようになりました。
株式会社Wizleapでは、職場におけるバレンタインの文化についての意識調査の結果を発表しました。
その結果、義理チョコ・クッキーの配布を禁止することに「賛成」が50.54%、「反対」が14.38%、「どちらとも言えない」が35.09%という結果でした。​
同調査では、3割近くの職場では、女性はバレンタインをあげるという風習・暗黙のルールがあるようで、実際に6割の女性は職場でバレンタインのチョコやクッキーを渡す予定だと回答しています。
個人的に、自分の意に反した出費はできるだけ控えたいので、義理チョコ文化の禁止には賛成です。
これからますますこの風潮は強まるのでしょうか?来年も動向を気にしていきたいと思います。
皆様、良い一日をお過ごしください。(宮川典子)
*ご参考までに
2020.02.13

【リレーコラム】データの観点からみた平成と令和②

矢野経済研究所ICT・金融ユニットでは、研究員が日々ICT関連分野の調査/研究をしています。2019年度は「平成を振り返って/未来に想いを寄せて」をテーマに、リレーコラム形式でICT・金融ユニットのメンバーが順に綴っていきます。13人目は、InsurTech市場やFinTech市場をみている山口です。

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②令和――情報銀行の登場により個人情報は有料化、売買へ

ところが令和になると、ユーザーと事業者との関係性に変化が起きる可能性が高い。具体的には、情報銀行の登場によって個人情報の提供に際しては個人の許可が必要になるとともに、個人情報の受け渡しにも従来の無償から有料化へと変化をもたらす可能性がある。

実際に情報銀行で取扱われる個人情報には、健康情報や医療データなどの機微情報に加え、将来的にはWebサイトの閲覧履歴やSNSのデータなども取り扱われる可能性があるといわれている。

こうした変化の波は技術面でも課題を引き起こしている。
例えばブロックチェーンと個人情報の関係である。GDPR(一般データ保護規則)上、個人には自らの情報の削除権が認められている一方、ブロックチェーンは性質上、一度記録されると削除できない仕組みとなっているため、削除権を行使することを想定した場合、ブロックチェーンを活用したシステムを構築する際には、PDSとの併用など工夫が必要となる。
さて、データの取扱いに際して、規制と捉える一方、新たなブルーオーシャンが産まれる可能性がある。令和の時代も平成とは異なる新たなビジネスが、それを支える技術が生まれていくに違いない。(山口泰裕)

2020.02.12

【リレーコラム】データの観点からみた平成と令和①

矢野経済研究所ICT・金融ユニットでは、研究員が日々ICT関連分野の調査/研究をしています。2019年度は「平成を振り返って/未来に想いを寄せて」をテーマに、リレーコラム形式でICT・金融ユニットのメンバーが順に綴っていきます。13人目は、InsurTech市場やFinTech市場をみている山口です。

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①平成――高い利便性と引き換えに個人情報を提供

私たちは検索やブログの執筆、SNSでの発信などを通じて、(機微情報を狭義とした場合)広義での個人情報を事業者に対して無償で提供することに違和感を覚えることは(多分)なかった。他方、事業者は個人が発信するデータを収集、積極的に分析・活用し、広告配信をはじめ、さまざまな利便性を私たちに提供することで、win-winの関係を構築してきた。

お題が「平成を振り返る」なので、データ収集に関する技術面やビジネス面に関する変化について簡単に触れてみたい。

まず技術面では、膨大なユーザー情報の収集、分析に伴い、データの持ち方においても従来のDWHではカバーしきれなくなってきた。その結果、Hadoopなどの新たなストレージ技術や、データマネジメントをはじめとした周辺技術が登場、著しい発展を受け、近年では「データレイク」や「データリザヴァー」といった概念が登場している。

次にビジネスの面では、ビッグデータを活用した多彩なマーケティング手法が登場。企業からは適切にユーザーにレコメンドしすぎると、「なぜ自分のことをそんなに知っているのか」と嫌悪感を抱くため、一定の割合で「あえて外した情報」を提供することで、嫌悪感を回避するなどの工夫を図っているとの声も多い。

このようにユーザーは個人情報を提供する代わりに、技術の発展を背景に高い利便性を享受することで、個人と事業者との関係が成り立ってきたのが、データの観点から見た平成といえるだろう。(山口泰裕)

2020.02.10

入社三年目の心意気

昨年は、市場調査資料を作成し、調査の報告会実施などを経験しているうちに気付けば年末となり、あっという間の一年でした。任される仕事も少しずつ増えており、これが新卒の入社三年目に求められるレベルかと、日々実感している所存です。
現在、市場調査資料「2020年版 オンライン決済サービスプロバイダーの現状と将来予測」の発刊(2月末予定)に向けて、準備を進めております。今年度私が執筆する最後の調査資料となる予定です。皆様のお役に立てるような資料とするため、調査に励む心意気でございます。
2020.02.07

【ショートレポートのご案内】

矢野経済研究所では、独自に収集したマーケットデータを1,000円で提供しております。
弊社が発刊する年間約250タイトルのマーケットレポートごとに、一部の内容をまとめたショートレポートです。
マーケットレポートに比べて詳細な内容は掲載されていませんが、その要約版、入門的な情報として活用できる内容となっております。
毎月10~20タイトルのレポートが随時追加されていきますので、是非ご期待ください。
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2020.02.06

大阪リージョン稼働 オラクルのデュアル・リージョン戦略

日本オラクルのOracle Cloud次世代データセンターに関する記者説明会に出席しました(2/3日開催)。

昨年Oracle Generation 2 Cloudの東京リージョンを開設したオラクルが、大阪リージョンを開設。運用が始まりました。オラクルの競合、AWSも大阪ローカルリージョンをフルリージョンに拡張中ですが、こうした動きを見ても、国内におけるクラウド、またディザスタリカバリ等に対する需要の拡大を感じます。

説明会に登壇した日本オラクル 最高経営責任者 ケネス・ヨハンセン氏、クラウド事業戦略統括 竹爪慎治氏によると、Oracle Generation 2 Cloudの主な差別化要素は、テクノロジと価格、クラウド・セキュリティ、データ・プラットフォームの3点。ずっとエンタープライズと向き合ってきた同社が開発段階からセキュリティファースト、データ中心のセキュリティと意識し、重視してきたセキュリティ品質は今後進展するデータを活用したDXにおいても安全をもたらしてくれるでしょう。

西日本を強みとするパートナーとの関係も一層強固なものになりそうで、西日本においてもOracle Cloudの存在感が高まっていくことが期待されます。(小山博子)

2020.02.05

【アナリストオピニオン】産業向けIoTの本命は「製造」or「運輸・物流」or「自動車」?③

産業向けIoTの本命は?

IoT/M2Mでは、ソリューションビジネスへの転換を伴いつつ、本格的に普及する兆しも出ている。

現状でも確実にIoT/M2Mマーケットが存在するのは、「製造設備の状態・稼働監視」「エレベータ/建機などの状態・稼働監視」「エネルギー設備の状態・稼働監視」「自動車の状態監視・運行監視」「業務用機器(自販機、MFP、医療機器など)の状態・稼働監視」「機械警備/セキュリティ」「インフラ設備の遠隔モニタリング)」などである。

この中で本命視されるカテゴリーはどこであろうか?
「製造/製品?」「自動車?」「スマートシティ?」「運輸・物流?」「建設?」「防犯・セキュリティ?」「流通・サービス?」・・・いろいろ考えられる。この命題を考える上で、IoTが生み出す価値、並びにその価値がどの分野・用途で有効であるかを整理してみる(下図参照)。

全体を俯瞰してみると、「製造/製品(大型機器)」及び「運輸・物流」におけるIoT普及可能性が高いと判断できる。

特に工場では、基本的に毎年の設備保全予算を用意しており、この部分をIoTシステム運用コストに転換することで、安定的にIoTシステムの維持管理が可能になると考える。つまり産業向けIoTの本命は、「製造/製品(工場)」になると考える。

尚、コネクテッドカーをIoT機器(デバイス)と考えると、「自動車」も本命の一つになる。

5Gの登場が、産業向けIoT拡大での転機になるか?

日本でも産業分野における5G活用が加速する見通しで、2020年代の中頃になると、既存4G/LTEや有線ネットワーク、無線LANなどの既存ネットワークを代替する形で、産業用「5G×IoTネットワーク」が普及してくると考える。

5Gに関しては現在、通信キャリアを中心にITベンダー/SIer、各種研究機関、ユーザ事業者などが連携して様々な実証を行っており、課題抽出や検証が進み、PoCに入る案件も少なくない。

しかし従来と変わらないモデル/価値であるならば、あえて5Gネットワークにする理由がない。むしろ信頼性やコスト面では、レガシーネットワークシステムに優位性がある。

このように考えると、IoTでの5G活用を促進する上では、既存の仕組みを上回る価値を創出することが必要であり、ある意味では「アイデア勝負」の部分がある。そうなると、既存ベンダーとは全く違ったレイヤーが登場する可能性がある。つまり「5G×IoT」は、IoTマーケット構造、特にベンダー構造を変革する可能性を秘めたテクノロジーと言える。

この点を背景に、現在、様々なベンチャー企業が5G系ソリューション開発に注力しており、数年先には、今とは全く違った景色になる可能性もあろう。(早川泰弘)

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https://www.yanoict.com/opinion/show/id/279

【図表:IoTが生み出す価値と用途】
2020.02.04

【アナリストオピニオン】産業向けIoTの本命は「製造」or「運輸・物流」or「自動車」?②

IoTは回線ビジネスからソリューションビジネスに転換

ここ数年での「M2M⇒IoT」シフトにより、展開領域に変化が起きている。中でも大きな変化は、従来の「機器・設備の稼働状況の把握/見える化」が、IoTシフトに伴い「データ収集/収集データの分析」に力点が移った点がある。

つまり従来の回線ビジネスから、ソリューションビジネスへのシフトが進み、一部では量を求めないビジネス構造に転換している。そのためIoTビジネスは、大企業ベースのM2Mから、中小・零細、個人事業者も対象となるビジネスになった。

さらに近年はIoTとM2Mの垣根が低くなり、M2MはIoTにおける主要要素の一つといった位置づけになっている。これに合わせてITベンダー/SIerや通信キャリアでは、M2Mの名称を冠した組織が消える傾向にある。

IoT普及での課題

IoT社会の実現には、技術面や法規制・制度面などに加えて、社会的(人の意識)な面での変化も必須である。

現状では、社会や企業、個人がIoT社会(データが取られ、流通し、蓄積・分析される)を受容するか否か不明瞭である。例えば、自動車で注目される自動運転やコネクテッドカーでは、「人が運転しないことを社会が許容するのか」「運転情報が第三者に見られることを厭わないか」「商用車ドライバーが過剰管理と感じないか」などが問われてくる。さらに自動運転タクシーとなった場合は、運転手の雇用問題なども出てくるであろう。

この他にも、工場IoTでは「工場外に製造データを出したくない」「工場内では無線は使いたくない」といった意見も根強くある。また工場では、システム投資に数百万円~数千万円を投下することを許容するのかといった疑問もある。

IoT社会の実現には、このような社会的要因や社会の構成員である「人の意識」の変革も必要となってくる。IoTによる社会変化を受容し、IoTのイノベーションを実現していくためには、技術革新とともに社会制度の変革、さらには意識変革が必要であろう。言い換えれば、IoTの進歩と併せて社会の仕組み/人の意識を変革するアプローチも併用しないと、本当の意味でのIoT社会は到来しない。(早川泰弘)

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2020.02.03

【アナリストオピニオン】産業向けIoTの本命は「製造」or「運輸・物流」or「自動車」?①

IoTとM2M

M2Mは比較的投資規模の大きなビジネスである。そのため投資体力があり、投資効果が比較的明確な領域で展開する大企業/公益事業者が主体となっている。このためM2Mビジネスは、展開分野の広がりは限定的で、中小・零細事業者への浸透には課題がある。

一方、IoTではM2Mと比べてスモールスタートが容易で、相対的な投資規模が小さくてすむ。そのため、トライアルユーザを含めてビジネス領域は多岐に渡る(ターゲットが多岐に渡る)。

さらにIoTでは、スマートフォンやタブレットを活用したシステム構築が可能であるため、投資面やシステム構築面から見たハードルの低さといった特徴がある。この両者の差異点は以下の通り。(早川泰弘)

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【図表:IoTとM2Mの違い】

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