矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

デイリーコラム


2025.06.04

「6G時代におけるネットワーク・ビジョンと実証:『Network for AI』の実現を目指したロボット共同開発プロジェクト」①

https://www.docomo.ne.jp/binary/pdf/info/news_release/topics_250519_c1.pdf

1. 概要
2030年頃の商用化を目標に研究開発を進めている第6世代移動通信システム(6G)は、単なる技術的進化にとどまらず、社会構造および人間・機械間関係性を根本から再定義するための基盤インフラとして位置付けられている。これに対し、NTTドコモは6Gにおける5つの価値を提唱し、中でも「AIのためのネットワーク(Network for AI)」の価値から、AI・ロボット・機械が人間と共存しながら最大限に性能を発揮できるネットワークインフラの実現を目指している。ドコモはまた、複数の企業と連携して開発した3種のコンセプトロボットを通じて、6Gにおける技術的方向性および実効性の検証を行っている。

 

2. ドコモが掲げる「6Gが目指す5つの価値」
ドコモは、2020年1月に『ドコモ6G ホワイトペーパー』を公表し、2030年の商用サービス実現を見据えた次世代通信システムのコンセプトを公開した。その後、国内外キャリアやベンダーとの協力を通じて、実証実験、標準化、技術要件の策定などを継続的に推進している。ドコモが提示した「6Gの5つの社会的・技術的価値」は以下である。

 

(1)サステナビリティ(Sustainability):IOWN(光電融合を基盤とする低消費電力・高速通信技術)およびAIによるネットワーク制御を組み合わせ、エネルギー効率の最大化とカーボンニュートラルの実現を図る。
(2)効率化(Efficiency):ネットワーク構造の簡素化、運用効率の向上、周波数資源の最適利用などを通じて、コストと性能の両立を目指す。
(3)顧客体験(Customer Experience):感覚伝達型の新しいコミュニケーション、精密な測位・センシング、障害耐性と継続性を備えた通信など、6Gならではの差別化された顧客体験の提供を志向する。
(4)AIのためのネットワーク(Network for AI):AI・ロボット・機械が自律的に学習・判断可能な環境を構築し、人と調和的に共働する「社会的AI」のネットワークレベルでの実現を目指す。
(5)コネクティビティ・エブリウェア(Connectivity Everywhere):衛星通信やHAPSなどの非地上系ネットワークと地上系ネットワークの統合により、場所を問わず安定した接続性を確保する。

 

とりわけ「Network for AI」は、高信頼・低遅延・多接続といった特性が要求される「超知能(ASI: Artificial Super Intelligence)」時代の中核アーキテクチャであり、単なるAI基盤を超えて、人間・機械間協働の基盤を提供する構造として期待されている。

 

2025.06.03

「さくらインターネット、フルマネージドの生成AI向け実行基盤「さくらの生成AIプラットフォーム」を提供開始」(5/14)

さくらインターネットは2025年5月14日、生成AIアプリケーション向けのフルマネージド型実行基盤「さくらの生成AIプラットフォーム」の提供を開始した。

https://www.sakura.ad.jp/corporate/information/newsreleases/2025/05/14/1968219471/

 

本サービスは、ユーザの選択次第で基盤からアプリケーションまで、国産サービスのみで揃えることもできる。

 

ITに関しては海外のサービスを利用するケースが多い。日本の文化、慣習にも強いと推測される国産サービスの発展を期待したい。(小山博子)

2025.06.02

「NEC、自然関連財務情報開示タスクフォース(以下 TNFD)レポートの作成にAgentic AIを活用すると発表」

NECは、年内に開示予定の自然関連財務情報開示タスクフォース(以下 TNFD)レポートの作成にAgentic AIを活用すると発表した(5/20)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000929.000078149.html

 

TNFDレポート作成業務に向けてAgentic AIを適用し、調査、リスク・機会抽出、リスク評価、執筆・レビュー、広報の5つのタスクを実行する機能を開発する。既に一部で活用しており、調査では専門ガイダンス読込にかかる時間を92%削減したという。

 

この取り組みはNECの「クライアントゼロ」(自社をゼロ番目のクライアントとして新技術を実践するもの)として行われる。
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特定業務向けの生成AIサービスは次々に発表されている。今年は情報を追いかけるのも容易ではなくなるペースのようだ(忌部佳史)

2025.05.30

「エヌ・エフ・ラボラトリーズ:Purple Flairを開発」

NTTコミュニケーションズの子会社であるエヌ・エフ・ラボラトリーズは、2025年5月15日、実践型サイバーセキュリティ学習システム「Purple Flair(パープルフレア)」を開発したと発表した。「Purple Flair」はAI技術を活用し、学習者一人ひとりの理解度や進捗に応じた問題を出題するアダプティブラーニング機能を備えている。これにより、個別最適化された学習環境を提供を可能となる。
同システムでは、ワンクリックでクラウド上に実践環境を構築でき、学習者はブラウザーのみで演習に取り組むことができる。AIが操作履歴を解析してスキルを判定し、最適なアドバイスや適切な難易度の演習問題を提供することで、初心者から上級者までスキル向上を支援する。日本のサイバーセキュリティ人材の不足が深刻化する中、実践的なスキル習得のハードルを下げる可能性がある。
お知らせ | N.F.Laboratories Inc.
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「Purple Flair」は、AIを活用したアダプティブラーニングと実践環境の提供により、初心者から上級者まで幅広い層に対応できる点が強みである。企業における研修や教育現場での活用が進めば、サイバーセキュリティ人材の裾野を広げる有力な手段となるだろう。(小田 沙樹子

2025.05.29

「NTTデータ マーケティング系のAIエージェントサービスを発表(5/19)」

NTTデータは、AIエージェントサービス「LITRON Marketing(リトロンマーケティング)」を2025年6月から提供開始すると発表した(5/19)
同社はLITRON Marketingにより、マーケティング業務の負荷を最大6割削減することを見込むという。
具体的には、マーケティング戦略の企画~評価まで一気通貫で自律的に支援・代行するとしている。
https://nttdata.com/global/ja/news/release/2025/051900/
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同社は2027年度末までに、このサービスで累計100億円の売上を目指している。矢野経済の調査では生成AIの利用はまだユーザ企業に浸透しているとはいえないなか、今後の注目はAIエージェントへと移っている。早期の市場確立を期待したい。

2025.05.28

「国立研究開発法人情報通信研究機構、VRで飛行体験をすることで高所恐怖が低減されることを実証(5/14)」

国立研究開発法人情報通信研究機構未来ICT研究所 脳情報通信融合研究センターの研究グループは、VR空間で低空を自由に飛行する体験によって、VRで高所を歩行した際の恐怖反応が低減することを実証した。「自分は飛行できるので落下しても危険ではない」という行動ベースの予測を形成し、恐怖反応を抑える点が特徴であり、新たな恐怖消去法につながる成果となっている。

https://www.nict.go.jp/press/2025/05/14-1.html

本研究はVRを用いている点では曝露療法と共通するが、その核は繰り返しではなく行動予測である。曝露療法は、不安を引き起こす状況を複数回経験させて恐怖を徐々に弱める方法である。本実験は一回の飛行体験で高所恐怖が低減した点が曝露療法とは異なる。

この成果の背景には、最新のVRゴーグルがもたらす高い没入性能があると感じている。私も先日Apple Vision Proを試したが、ゴーグルを装着するだけで現実に近い体験が得られた。これほどの技術なら確かに本当に空を飛べるようになるという感覚を持つことも納得できる。現実世界で空を飛ぶ体験を整備するのはハードルが高い。一方で、VRなら室内で簡便に再現できる。こうした技術進歩が、恐怖症治療の選択肢を大きく広げるだろう。(今野慧佑)

2025.05.27

「NTT西日本グループ:Cybersecurity Primary Careを開始」

NTT西日本グループは、2025年5月より自治体や企業向けに「Cybersecurity Primary Care」を開始する。これは、日常の健康管理という「プライマリ・ケア」の考え方をサイバーセキュリティに取り入れたもので、特別な対策ではなく日常的な管理として捉える発想に基づいている。セキュリティ相談窓口をはじめ、セキュリティ診断、ASM(Attack Surface Management)、SOC(Security Operation Center)などを通じ、総合的な支援を提供する。

この取り組みの背景には、近年高度化するサイバー攻撃と国内のセキュリティ人材不足がある。こうした社会課題に対し、NTT西日本グループは、利用者に寄り添う「セキュリティのかかりつけ医」として、予防から復旧まで一貫した支援を行う。2025年10月からは、段階的に新規提供と既存サービスの拡充を予定しており、「健康管理」「予防」「検査・診断」「治療」といったカテゴリで幅広く展開される計画となっている。

地域社会のサイバーセキュリティ意識を高める「Cybersecurity Primary Care」の取り組み開始について ~NTT西日本グループが「セキュリティのかかりつけ医」として自治体や企業のセキュリティを総合的にサポート~|ニュースリリース|NTTビジネスソリューションズ

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セキュリティ対策を「かかりつけ医」に例えることで、サイバーセキュリティをより身近で相談しやすい体制に構築している点は興味深い。今後、同サービスがどれほど企業や自治体に利用されていくか、注目していきたい。(小田 沙樹子

2025.05.26

【FinTech Journalで月1回、連載してます】

FinTech Journalさんで月1回連載しているのですが、最近新しい記事を掲載頂きました。

生成AIについて、プロンプトなどの「使う技術」にフォーカスが当たることが多い。しかしながら、「ゴミを入れてもゴミしか出てこない」とはよく言ったもので、そもそものデータ自体が整備されていなければ、どんなに使う技術が向上しようと、精度向上には結びつきません。というわけで、本稿ではデータクレンジングを含めたデータマネジメントがより一層重要になるよーというお話を展開してます。

お陰さまで多くの方にご笑覧、共感頂いていると聞いており有難い限りです。少しでも皆さまのお役に立ちましたら幸いです。

 

https://www.sbbit.jp/article/fj/162579

2025.05.23

「相模鉄道、スマートデバイスで移動支援を強化」

相模鉄道は日立製作所の移動制約者ご案内業務支援サービスを2025年5月1日から運用開始した。このサービスは駅係員が車いすや白杖利用者の列車乗降サポート業務をスマートデバイス上で完結できるものである。

ホームドアのICタグにスマートデバイスをかざすだけで乗車位置入力が可能となり、ヒューマンエラーを防止。2026年上期には全駅でホームドア整備が完了予定であり、利用者の安全確保を強化する。

相模鉄道が日立の移動制約者ご案内業務支援サービスを導入:2025年5月12日

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かつて毎日のように利用していた路線において、スマートデバイスを活用した車いすや白杖利用者への支援が進んでいることに感心を覚えた。これからもITの力によって地域の安心・安全な移動環境の整備が進むことを期待したい。(小田沙樹子)

2025.05.22

量子コンピュータ時代に備え、安全かつ高速な電子署名技術が登場(NTT)

日本電信電話株式会社(NTT)は、スイスETH Zurich、米UC Berkeley、フィンランドAalto University、イタリアBocconi University、米JPMorgan社との共同研究により、わずか2ラウンドの通信で複数関係者による署名を安全に実現する世界初の耐量子閾値署名(しきい値署名、threshold signature)方式「Ringtail」を開発した。本技術は、管理者が一人である場合に起こりうる「単一障害点リスク」の排除や、電子投票システム、政府機関における行政サービス、企業システム・財務管理、暗号資産ウォレット、分散型金融(DeFi)、分散型自律組織(DAO)など、次世代Web3.0インフラにおける中核的なセキュリティソリューションとなることが期待される。

 

耐量子(Post-Quantum)とは、今後迫りくる量子コンピュータのアルゴリズムによって解読されないように設計された暗号アルゴリズム的特性を指す。量子コンピュータは、現在の公開鍵暗号方式を従来の古典的アルゴリズムと比べ高速で解読できるため、これに対抗可能な新たな暗号技術が数学的な安全性を担保する形で設計されている。(曺 銀瑚)

 

暗号インフラは一度導入されると後から変更することが極めて困難なため、量子コンピュータの実用化を見据えた事前対策が不可欠である。特に企業や政府システム、金融産業における重要機能を担う閾値署名においては、分散環境と多数承認の要件を満たす必要があり、2ラウンドで高効率・高安全性を実現する「Ringtail」技術の登場は注視すべきだ。

 

従来のシステムでは、単一管理者が全権を握る電子署名方式が持つ限界が指摘されてきた。承認システムの分散化、暗号資産ウォレットにおける単一鍵の分散管理や盗難対策といったニーズに応える手法が閾値署名だ。閾値署名では秘密鍵を複数に分割し、あらかじめ定めた数以上の協力があって初めて有効な署名が生成される仕組みである。

 

今回、NTTが開発したRingtail技術は ▲高い安全性:将来の量子コンピュータによる攻撃に対する耐性を確保 ▲効率性:署名プロセスにおいて関係者間の通信を2ラウンドで完結させて応答遅延を克服し、通信量を最小化することで実用的な速度を確保 ▲グローバル実証:アジア・欧州・北米・南米・オセアニアの5大陸にまたがる環境における署名生成を実証し、分散環境下における高い実用性を確認した。

 

本次世代分散署名技術は多人数承認を必要とするあらゆるセキュリティシステムや、脱中央集権型Web3.0インフラへ適用できると見込まれる。なお、単なる暗号化手段にとどまらず、ネットワークアーキテクチャ全体の信頼性を根本から強化する分散型暗号技術サービスとして、行政・金融・ブロックチェーン分野における基盤インフラとして活躍することが期待される。(曺 銀瑚)

 

https://group.ntt/jp/newsrelease/2025/05/12/250512a.html

 

2025.05.21

ソニー銀行が勘定系システムを刷新、ほぼ全システムがクラウド化へ。その狙いはどこにある?

ソニー銀行は、同社の勘定系システムを刷新、2025年5月から新勘定系システムとして、富士通の勘定系ソリューション「Fujitsu Core Banking xBank(クロスバンク)」を採用、稼働を開始すると発表した。

富士通によると、同ソリューションはクラウドネイティブなアプリケーション構造を持っており、ネット銀行らしくさまざまな商品・サービス、取引機能をマイクロサービス化して実装、ビジネスアジリティの強化を図ったとする。ニュースリリースから察するに従来の勘定系システムはオンプレミスをベースとし、周辺システムのみ先行してクラウド化を進めてきたようだ。今回の新勘定系を契機に、勘定系を含むほぼ全システムのクラウド化を実現したとしている。

新勘定系ソリューションの特徴の1つとして、クラウドべースの強みである、スケーラビリティやマイクロサービスアーキテクチャに加えて、外部APIを挙げており、フロントチャネルの追加や外部接続先の追加が容易になった点を挙げる。

 

■ニュースリリース

富士通のソリューションを採用したソニー銀行様の新勘定系システムが稼働開始 : 富士通

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さて、リリースではシステムの全体像を掲載しているが、外部APIについて、どのようなAPIを公開しているかが気になるところ。通常、銀行のAPIは大きく参照系と更新系に区分され、どのようなAPIを公開するかによって、当該銀行の姿勢が見えるといってもよい。

参照系をメインとして更新系のAPIが少ないとすれば、それは中身がクラウド化されただけで、APIを通じて新たなアプリケーションを構築するサードパーティ側からすれば、メリットは少ないといえる。他方、更新系APIについても積極的に公開しているとすればメリットは大きく、コスト削減等以外でクラウド化した意味があるといえよう。そうした意味では、本システムに刷新した狙いは単にコスト削減やスケーラビリティなどに留まるのか、外部との連携によるイノベ―ティブな取組みなどを見据えたものなのか見えてこず、少し残念なところである。(山口 泰裕)

 

注)

参照系・・・口座情報を参照するためのAPI

更新系・・・口座の振込や振替など、資金移動を伴う取引を行うためのAPI

2025.05.20

「パナソニックは新型ゲーミングネックスピーカーを発表」

パナソニック株式会社は、ワイヤレスゲーミングネックスピーカー「SC-GNW30」を2025年6月中旬より発売すると発表した。本製品は4つのスピーカーを搭載し、耳を塞がずに迫力のサラウンドサウンドを実現。低遅延2.4GHz専用無線技術により映像と音のずれを抑え、快適なゲームプレイ環境を提供する。
新たにHDMI接続とBluetooth®接続に対応したことで、PCや家庭用ゲーム機、テレビ、スマートフォンなど多様なデバイスで使用可能となった。専用アプリ「SOUNDSLAYER Engine」もWindows PC専用からMacOS、Android™、iOSと対応範囲を拡大している。

 

https://news.panasonic.com/jp/press/jn250512-1

 

少し前までゲームプレイにおいてワイヤレス機器は画面と体験の遅延が没入感を阻害すると懸念されていた。しかし技術進化により、マウスやキーボードを含めゲーム環境のワイヤレス化が進んでいる。今回発表された「SC-GNW30」は長時間プレイでも耳を塞がず音の臨場感を提供し、ゲーマーにとって快適性と没入感を同時に実現できる点が魅力である。(今野慧佑)

2025.05.19

【今週の”ひらめき”視点】知財の黒字幅、前年割れ。知財で稼ぐ未来の実現に向けて基盤研究の強化を

当社代表が最新のニュースを題材に時代の本質、変化の予兆に切り込みます。

5月12日、財務省が2024年度の国際収支状況の速報を発表した。モノの輸出額から輸入額を引いた貿易収支は4兆480億円の赤字、サービス収支は2兆5767億円の赤字、配当や利子所得など海外との投資取引を示す第1次所得は41兆7114億円の黒字、経常収支の総計は30兆3771億円(前年度比116.1%)の黒字となり、昨年に続き過去最大を更新した。

経常収支の押上要因の1つが円安を背景としたインバウンドである。39百万人(前年度比134.7%)に迫る訪日外国人旅行者からの“受取”は8兆8805億円、一方、その1/3に留まる出国者による“支払”は2兆1940億円、結果、旅行収支の収支尻は対前年度比158%、6兆6864億円の黒字となり、サービス収支の赤字幅の縮小に貢献した。まさに“観光で稼ぐ日本”の姿が見えてくる。円安は海外直接投資からの収益増にも貢献、第1次所得収支の黒字は4年連続で拡大、41兆7114億円となった。こちらも“海外で稼ぐ日本”が数字に反映されている。

経常収支から読み取れるトレンドは肌感覚で感じる日本経済の構造変化そのままである。ただ、気になる点もある。コロナ禍の2020年、当社は上場会社の経営企画担当者に向けて「アフターコロナにおける日本経済の成長ビジョン」を問うアンケートを実施した。そこで支持された日本の将来像は“研究開発型の科学技術立国”であり“文化、コンテンツ、ソフト立国”である。つまり、“知財で稼ぐ日本”が日本の目指すべき未来となる。ところが、知的財産権等使用料の受取は7兆9495億円、収支は3兆3739億円といずれも“旅行”の数値を下回るとともに、収支は前年を割り込んだ(前年度比97.6%)。

2024年3月、科学技術振興機構(JST)は日本の研究力の低下を警告した緊急シンポジウムを開催した。会議は「論文数は多いが“トップ10%被引用論文数”が少ない」という事実から出発、「論文引用率の低さは特許と相関する」として、「研究テーマそのものが遅れている」と結論づける。そのうえで「基盤研究における競争的資金への極端な偏りが問題であり、海外の大学並みに競争的資金の5倍程度の公的資金による経常的な研究費の予算化が必要である」と提言した。インバウンドへの過度な依存を押さえ、自立した未来を築くためにも基盤研究に対する国レベルにおける投資の在り方を早急に見直す必要がある。


今週の“ひらめき”視点 5.4 – 5.15
代表取締役社長 水越 孝

2025.05.16

「道路システムのDX推進:国土交通省が方向別交通量データをAPIで提供」

国土交通省は、データ活用による施策の効率化・高度化やオープン・イノベーションを目指す「xROAD」の取組として、道路関係データのオープン化を推進している。その一環として、2025年5月12日より、全国約2,600箇所の直轄国道で機械観測された方向別交通量データ(5分値・1時間値)を取得できるAPIの公開を開始した。提供する交通量データは、5分値は過去1ヶ月分、1時間値は過去3ヶ月分が対象となる。

方向別交通量データは、日本道路交通情報センター(JARTIC)のウェブサイトを通じて提供されるAPIを使用し、交通量データと観測地点の位置情報データを組み合わせて取得することができる。交通量を地図上で確認したい場合は、「道路データプラットフォーム」も利用可能となっている。

報道発表資料:全国の直轄国道の交通量データを取得可能なAPI を公開開始します<br>~<ruby>xROAD<rp>(</rp><rt>クロスロード</rt><rp>)</rp></ruby> の取組として、道路関係データのオープン化を推進~ - 国土交通省

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リアルタイムかつ高精度な交通量データのオープン化により、渋滞予測、都市計画、物流の最適化など、さまざまな分野での利活用が期待される。一方で、こうしたデータの活用を促進するためには、民間事業者との継続的な連携や、活用事例の共有を通じた知見の蓄積などが重要となるだろう。(小田沙樹子)

2025.05.15

【経済産業省はウラノス・エコシステム・プロジェクト制度に基づき2プロジェクトを選定(5/9)】

経済産業省は、「ウラノス・エコシステム・プロジェクト制度」に基づいて、産業データ連携の促進に向けた優良な取組として自動車・蓄電池のCFP・DDデータ及び電力データに関連する2プロジェクトを選定した(5/9)

 

経済産業省は、企業や業界、国境をまたぐ横断的なデータ連携・システム連携の実現を目指す取組として、「ウラノス・エコシステム(Ouranos Ecosystem)」を推進している。ライバルは欧州のGAIA-X、CATENA-Xなどである。

 

参考:2021 データ・プラットフォーム戦略研究 ~欧州GAIA-Xの与える影響~
https://www.yano.co.jp/market_reports/C62126300

 

拡大の取組としてウラノス・エコシステム・プロジェクト制度があり、今回、下記2つのプロジェクトが選定された。

 

1.自動車・蓄電池のカーボンフットプリントおよびデューデリジェンスのデータ連携プロジェクト

2.電力データ提供プロジェクト

 

欧州電池規則に押される形で進められたウラノス・エコシステムであるが、日本から世界市場をリードしていくような動きを期待したい。(忌部佳史)

2025.05.14

【NTTコミュニケーションズは西武ライオンズ 「音響XR技術を活用した新しい野球観戦」の実現に向けた実証実験を実施】

NTTコミュニケーションズは西武ライオンズとの共創の一環として「音響XR技術を活用した新しい野球観戦」の実現に向けた実証実験を実施すると発表した(5/12)

音響XR技術対応のオープンイヤー型イヤホン「耳スピ」を用いて、球場の生音声とリアルタイム音声解説を高い臨場感で体験できるイベントを開催するという。

オープンイヤー型イヤホンは耳を塞がない構造であるため、球場ならではの臨場感や周囲のファンとのコミュニケーションを妨げることなく、音声解説を楽しむことが可能。

さらにNTT ExCパートナーによる音響XR技術を活用した音響加工とリアルタイム配信により、解説者の声があたかも隣の席から聞こえてくるような臨場感を再現し、ファンエンゲージメントの更なる向上をめざすとしている。

https://ntt.com/.../press.../news/article/2025/0512.html

YanoICTには野球ファンも多く、ICTを使った取組は個人的に歓迎したいところです。

(忌部佳史)

2025.05.12

【懸賞金 総額約8億円💰 NEDO懸賞金活用型プロジェクト「GENIAC-PRIZE」開始】

NEDOは、生成AIの利活用促進を目的とした新たな懸賞金活用型プロジェクト「GENIAC-PRIZE」を2025年5月9日から開始すると発表した。

GENIAC-PRIZEでは、生成AIによる解決が望まれる以下の4テーマそれぞれに即した具体的なニーズに基づく生成AIサービスに成果に応じた懸賞金を授与する。これにより、生成AIサービスの開発と実導入を促すとしている。

賞金総額は4テーマの合計額で総額約8億円。

2025年5月から12月が応募者による開発、実証等の期間となっており、2026年1月から3月に審査、表彰式は2026年3月末となっている。

 

テーマ

・製造業における暗黙知の形式知化

・カスタマーサポートの生産性向上

・官公庁における審査業務(特許審査業務をモデルとする)の効率化

・安全性向上に資する技術開発

 

仮に4テーマで分けるなら1テーマあたり2億円。懸賞金の多寡にはさまざまな意見はあろうが、ベンチャー企業の発掘や技術力のある有望人材とのアクセスなど懸賞金を超える価値があるはずだ。その成果に期待したい。

 

https://www.meti.go.jp/press/2025/05/20250509002/20250509002.html

2025.05.09

NTTがNTTデータ完全子会社化を発表

NTTは5/8、NTTデータ(グループ)を完全子会社化すると発表した。投資総額は2.37兆円を見込むという。 

取材を通じ、NTTデータは他のNTTグループ企業とは異なる独特の企業風土を持っていると感じている。今回の狙いは下記とされているが、NTTという巨大企業のの子会社になることで、はたして意思決定の迅速化につながるかはやや疑問が残るところだ。

 

■NTTデータ 子会社化の狙い 

①機動的な成長投資によるグローバルソリューションのポートフォリオ強化 

②NTTグループのリソースおよびケイパビリティの連携強化 

③意思決定の迅速化およびコスト競争力の向上

2025.05.07

【トルコランプ作り体験に行ってきました】

先日友人たちとトルコランプ作りの体験に行ってきました。トルコランプとは、モザイクガラスで彩られたガラスのランプのことです。体験では、ランプのガラス部分に自分たちで好きなように模様を考え、モザイクガラス貼っていく作業をしました。約2時間半の体験時間になるのですが、作業に没頭したためか、あっという間に体験が終了しました。その後お店の方コーティングなどの仕上げの作業をしていただきます。体験の1か月後に友人たちとお店に引き取りに行き、みんなで完成品の見せあいをしました。各々の個性が出ており、どれも素敵なトルコランプとなりました。体験に没頭する時間、出来上がりを見るワクワク感、癖になりそうでほかの体験もしてみたい気持ちでいっぱいです。次は器づくりをしたいなと思っております。 

※2024年12月現在の近況報告です。

2025.05.02

【NEC、持続可能なデータセンター運用を実現するオープンソース”CDIM”を公開】

NECは2025年4月28日、次世代データセンター向けにオープンソースソフトウェア「Composable Disaggregated Infrastructure Manager」(CDIM)をGitHubに公開した。

 

2030年にはICTが世界の電力消費の20%を占め、それに伴いデータセンターの電力消費も増加すると予測されている。そのようななか、Composable Disaggregated Infrastructure(以下、CDI)を活用することで、必要な時に必要なコンピューティングリソースを柔軟に接続し、効率的な利用が可能になる。CDIMは、CDIにおける煩雑な運用管理を簡素化し、マルチベンダー環境の互換性を維持することを支援する。

同製品の特徴は下記の通り。

■特長
統合管理機能: サーバーやデバイスの増加に伴う管理の複雑さを軽減。
構成変更機能: Infrastructure as Code (IaC) によりシステム全体の構成をコードで一元管理。
マルチベンダー対応: プラグイン機構により異なるリリースベンダー間での互換性を確保。

2025.04.30

【発刊裏話】2025 衛星データ活用ビジネスの実態と展望 ~分野別/用途別の衛星データ活用実態の徹底分析~

2025年度に入ってすぐに、いわゆる「トランプ関税(相互関税、一律関税など)」が発動され、世界経済を大きく揺るがしています。多くの産業分野では、このインパクトは甚大です。しかし宇宙関連ビジネスでは、関税よりも「政府効率化省(DOGE)」の動きが注目されます。
政府効率化省(DOGE)は米政府予算に大ナタを振るっており、NASA予算も御多分に漏れないと見られています(イーロン・マスク氏は返り血を浴びる感じ)。これは米国での話ですが、日本にも影響すると考えています。さらに2030年度に向けた展望では、「ドローン」の存在が大きな変動要因となってくると見ています。
現状では運用面での課題もあって、ドローン活用基盤は万全ではありません。しかし5年先となると、これが大きく動く可能性があります。そうなると、衛星よりも柔軟性が高いドローンの方が社会課題の解決に資する部分が大きい感じもします。
衛星データ活用をテーマにしたレポートを発刊しておいて何ですが、「衛星vsドローン」の行方には注目しています(業務の棲み分けが図られる可能性が大きい)。(早川泰弘/小田沙樹子)

2025.04.28

【アナリスト便り】「2025衛星データ活用ビジネスの実態と展望~分野別/用途別の衛星データ活用実態の徹底分析~」を発刊

2025年4月21日、「2025衛星データ活用ビジネスの実態と展望~分野別/用途別の衛星データ活用実態の徹底分析~」を発刊しました。
本レポートでは、日本における宇宙関連ビジネスの現状を踏まえた上で、分野別・業務別の衛星データ利活用状況、関連市場規模及び規模推移、2030年に向けたマーケット展望、衛星データ活用サービスと競合するドローンサービスの研究などを行いました。
近年では、米スペースX社に代表される民間宇宙企業が台頭し、人工衛星の打ち上げコストの低廉化及び、打ち上げ頻度の増加が進展しております。これにより、いわゆる衛星コンステレーションに代表される大量の衛星打ち上げが可能になり、衛星データの入手コストが低下。合わせて、衛星データを解析する生成AIを始めとしたデータ解析技術の進展もあり、ここ数年で様々なソリューションが登場しています。
衛星データ需要は従来、官需に依存していました。具体的には、自治体業務(土地測量、
家屋異動判読、耕作放棄地確認、防災関連など)における現場での人手不足(技術者・技能者)や予算不足があり、その解決策の一つとして衛星データ活用が活性化しています。つまり、このような外部環境変化及び技術の進展が、衛星データ活用サービスの賦活化に大きく作用していると考えます。
今回は新規テーマとして発刊したマーケティング資料ですが、ぜひ関連マーケット評価、分析における基礎資料として活用してください。(早川泰弘/小田沙樹子)

2025.04.25

【今週の"ひらめき"視点】総人口の減少幅、過去最大。地域間競争で日本の縮小は反転しない

当社代表が最新のニュースを題材に時代の本質、変化の予兆に切り込みます。

4月14日、総務省は「2024年10月1日時点における外国人を含む日本の総人口が1億2380万2千人、前年比55万人減(▲0.44%)、死亡者が出生児を上回る“自然減”は89万人で過去最大」と発表した。総人口のうち日本人は1億2029万6千人で前年比89万8千人減(▲0.74%)、外国人は350万6千人、同34万2千人増(+9.8%)。外国人の増加は傾向的ではあるが、現状では“焼石に水”と言えよう。

総人口に占める割合は東京がトップで11.5%、これに神奈川7.5%、大阪7.1%、愛知6%、埼玉5.9%、千葉5%と続く。首都圏1都3県で29.9%、首都圏+大阪+愛知で43.0%、都市部の寡占状況は変わらない。年齢別では文字通り“少子高齢化”が加速、15歳未満の総人口に占める割合は11.2%と過去最低(前年比34万3千人減)、65歳以上は29.3%と過去最高(同1万7千人増)、とりわけ75歳以上の割合は16.8%(同70万人増)に達している。

こうした中、各自治体は自身の人口減少に歯止めをかけるべく、移住・定住促進策や子育て支援の手厚さ、独自性で競い合っている。しかしながら、都道府県別で人口増となったのは東京と埼玉のみで、いずれも“社会増”。すなわち、他地域からの流入であって“自然減”を“社会増”が上回った結果である。東京は首都ゆえの圧倒的な求心力と子供関連施策の充実ぶりが奏功していると言えるが、その東京であっても2023年の婚姻件数は2019年比で▲17%(全国平均は▲21%)、自然減の反転は期待できない状況にある。

自治体間競争を否定するものではない。しかし、“移動”で全体が増えるわけではない。この構造は“ふるさと納税”と類似する。確かに都市から地方への流れは生み出した。個別にみれば恩恵を受けた自治体は少なくない。一方、返礼品コストや地方交付税による減収補填を鑑みると全自治体の行政サービス財源の総和は減少している。日本が人口置換率2.07を割り込んだのは1974年だ。半世紀もの無策の結果が今である。その今から半世紀後、2075年の人口は約8700万人と推定される。50年後の日本はどうあるべきか、この問いを出発点に目先の奪い合いを越えた、持続的で総合的な施策を考えてゆきたい。


今週の“ひらめき”視点 4.13 – 4.17
代表取締役社長 水越 孝

2025.04.23

【12月の一大イベント】

皆さんのところにサンタクロースは来ましたか?私はいつの間にか提供する側に回ってしまいました。 

息子は現在3歳なのですが、今回のクリスマスでようやく「いい子のところにサンタさんがプレゼントを置いてくれる」という概念を知ったようで、12月に入ったあたりから、カレンダーを持ち出しては「クリスマスまであとどのくらい?」と聞いてくる毎日でした。いい子かどうかはサンタさんが決めるんだから、貰えるか分からないよ、と言いますが、都合の悪いことは華麗にスルー。本人は指折りXデーを待ち望んでいました。やれやれと思いつつこちらもバレないように前日までの準備を終え、当日を迎えました。結果は大成功…ではありましたが、本人が6時前に起きた(我が家は平日7時起き)のは誤算でした。準備から考えると色々大変でしたが、プレゼントで嬉しそうに遊んでいる姿を見られたので良しとします。 

 

※2024年12月現在の近況報告です。

2025.04.21

【カメラレンズの沼】

少し前にミラーレス一眼カメラを購入しました。私が購入したものはエントリーモデルなので比較的安価ではあるのですが、かつて持っていたデジカメと比較すると数倍の値段の高額であり、本体だけでなくレンズ価格の高さに驚いています。私としては初のレンズ交換式のカメラであり、設定の複雑さに苦労しつつも画質の綺麗さや一眼レフ特有のボケ感の面白さにはまっています。汎用的なレンズで十分かと思っていましたが、広角レンズ、望遠レンズなど色々と使ってみたい欲に駆られており、これがレンズの“沼”かと楽しい反面少し恐ろしさも感じています。 

※2024年12月現在の近況報告です。

2025.04.18

【今年のベストバイ商品】

今年買って良かったものは?と聞かれたら、間違いなく「着る毛布」と答えます。もちろん部屋にエアコンはありますが、暖房をつけると頭がボーっとなってしまうので、それ以外の選択肢を探していました。そんな時にネットで見つけた、お値段以上の着る毛布。これまで椅子やソファに座っている時でも、普通の毛布に包まっていたので、全身カバーできて身動き取れることに感動しています。唯一の欠点は、オンラインでの打ち合わせや取材時の格好です。バスローブ型なので、この人は何を着ているのだろう、と変に思われることを避けるため、カメラをオンにするときは脱いでいます。いつかフォーマルな着る毛布が出てくれることを願います。(宮村 優作)

※2024年12月現在の近況報告です。

2025.04.16

【発刊裏話】2025 eKYC・公的個人認証/当人認証ソリューション市場の実態と展望

今後のeKYC市場において、マイナンバーカードの利用拡大は重要な観点となります。2025年2月現在の人口に対する交付枚数率は77.6%となり、順調に普及は広がっています。健康保険証や運転免許証との一本化なども普及の後押しになると思われます。
一方で、マイナンバーカードの利用拡大には、イメージの改善が必要との意見を取材させていただく中で何度か耳にしました。マイナンバーカードを持ち歩くことや本人確認に利用することに漠然とした不安を感じるユーザーがまだ多いとのことでした。コンビニ等での証明書発行やふるさと納税のワンストップ申請のように、利便性の高いサービスの提供していくことで、マイナンバーカードの利用を促していくようです。(石神明広)

2025.04.14

【アナリスト便り】「2025 eKYC・公的個人認証/当人認証ソリューション市場の実態と展望」を発刊

2025年3月28日「2025 eKYC・公的個人認証/当人認証ソリューション市場の実態と展望」を発刊いたしました。eKYCはさまざまな確認手法がありますが、今後法改正などにより、本人確認書類のICチップを読み取る方式での利用が拡大していく流れにあります。導入事業者もさまざまな業界に広がりつつあり、銀行などの金融機関に加え、買取事業者やマッチングサービス、シェアリングサービスなどでのeKYC導入が進んでいます。特にマッチングアプリについては、デジタル庁が本人確認の厳格化を求める方針も示していることや、ロマンス詐欺などの拡大により、導入が広がる見込みです。
eKYCに関するレポートの発刊は3度目になりますが、今回から市場規模における業界別・確認方式別の割合を算出しております。市場動向の把握や今後の戦略策定にご活用いただければ幸いです。(石神明広)

2025.04.11

【発刊裏話】2025年版 自治体向けソリューション市場の実態と展望』

自治体ソリューション市場という観点から、マイナンバーカードに関する取り組みについても調査を行っています。
2024年は、マイナンバーカードと健康保険証の一体化が大きな話題となり、私自身も病院を受診する際にマイナンバーカードを利用する機会が増えてきました。こうした状況からも、マイナンバーカードの活用が徐々に広がっていることを実感しています。
一方で課題に感じているのは、マイナンバーを「横断的に活用する」場面での使い勝手の難しさです。自治体ソリューションとは分野が異なりますが、確定申告がその一例です。現在はマイナンバーカードを活用することで申告書の入力の手間を削減することができます。私自身、レポートの執筆期間中に申告を行いましたが、最終的には紙の郵送による手続きを選択しました。理由は、提出に必要な書類の中に紙での処理が前提となっているものが多く、全体を紙でまとめた方が効率的だったためです。
書類の電子化は着実に進んでいるものの、確定申告のように複数分野にまたがる手続きでは、一部にアナログ処理が残っていることで、最終的に全体を紙で処理せざるを得ないケースも少なくありません。
こうした現状を踏まえると、マイナンバーの利便性を十分に引き出すためには、システム間の連携強化や業務全体のデジタル化をいかに進めていくかが、今後の大きな課題になると感じています。(今野 慧佑)

2025.04.09

【アナリスト便り】「2025年版 自治体向けソリューション市場の実態と展望」を発刊

3月26日に『2025年版 自治体向けソリューション市場の実態と展望』を発刊いたしました。
現在、市場では基幹業務システムの標準化が進められており、2024年度は標準準拠システムへの移行期限である2025年度末まで残り2年となる重要な年です。移行作業が本格化したことで、2024年度は市場全体が大きく動いた一年となりました。2025年度は、移行作業のピークを迎える見通しであり、2024年度を上回る規模で市場に影響を与えると予測されます。
また、自治体DXに取り組む自治体も増加しており、窓口業務のデジタル化や行政手続きのオンライン化に対応するツールの導入も拡大しています。
本調査では、こうした自治体向けソリューション市場の現状を整理するとともに、今後の展望についても分析しています。本資料が、皆様の事業展開における一助となれば幸いです。(今野 慧佑)

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