矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

デイリーコラム


2025.10.02

「相模鉄道、タッチ決済サービスを導入へ」

相模鉄道は2025年9月17日、三井住友カードの公共交通向け決済システム「ステラトランジット」を採用し、2026年春から相鉄線全線でクレジットカードなどのタッチ決済サービスを順次導入することを発表した。

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相模鉄道の取り組みについては、以前5月23日にも紹介した。かつて沿線に居住していた元ユーザーとして、つい注目してしまう。今回は、クレジットカードによるタッチ決済の導入の発表である。

恐らく2027年に開催予定の国際園芸博覧会も見据えた対応とも受け取れるが、訪日客への配慮だけでなく、日常利用者にとっても利便性が高まる可能性がある。切符購入や交通系ICカードへのチャージといった手間が減ることで、利用のしやすさが向上することが期待される。

導入は2026年春以降とされており、まだ少し先の話ではあるが、すでにJR線・東急線との相互乗り入れを開始している相鉄において、乗り入れ先との決済連携がどのように進めていくか注目したい。

なお、タッチ決済は他の路線でも導入が進んでいるものの、実は私はまだ試したことがない。今回の発表をきっかけに、実際に利用してみたいと思っている。(小田 沙樹子)

2025.10.01

「SBIによる音楽フェス買収の意義」

SBIホールディングス社は、音楽フェスティバル「MUSIC CIRCUS」を主催するMUSIC CIRCUS社を連結子会社化すると発表した(9月10日)。
https://www.sbigroup.co.jp/news/2025/0910_15722.html

 

SBIグループは「メディア・IT・金融の融合」という戦略的構想に基づき、「プラットフォーム×IP・タレント×先端技術×制作機能」を掛け合わせたドメインにおいて「発掘」「拡散」「投融資」を連動させるネオメディア生態系の構築を目指すとしている。

 

今回の連結子会社化によるシナジーの一つとして『Web3技術を活用した「ネオメディア生態系」のリアルイベントへの実装』が挙げられている。イベントチケットをNFT化し転売防止や付加価値を提供したり、デジタル通貨やNFTを活用した会場内キャッシュレス決済、来場証明やデジタルグッズとしてのPOAPの発行など、リアルとデジタルを融合させた次世代イベント体験創出を狙っている。

 

一時期の勢いを失ったWeb3であるが、米国などでは仮想通貨が一定のポジションを築くなど足元では広がっているようにも見える。まだまだ使いきれてない魅力をいかに体現していけるかに懸かっているのだろう(忌部佳史)

2025.09.30

【発刊裏話】「2025年度版 業務用車両向けテレマティクスサービス市場の実態と展望 ~デジタコ・ドラレコを中心とした動態管理システムの動向分析~」

今回は4年ぶりの発刊ということで、初めて本テーマを担当させていただきました。
業界動向を把握するうえでは、インターネット上の情報収集ももちろん参考になりますが、やはり市場に参入されている皆様のお声を直接伺うことが、何よりの学びにつながります。それこそが、弊社の強みでもあると改めて感じました。

今回は17社にご取材させていただき、その他にも意見交換の機会を多くいただきました。ご協力いただいた企業の皆様、またご検討いただいた企業の皆様に、心より感謝申し上げます。

さて、今回のレポートでは、特にデジタコと動態管理ソリューションに焦点を当てています。
もともとデジタコやドライブレコーダーなどのデバイスベンダーは、機器販売を中心に事業を展開していましたが、近年では業務支援インフラとしてのソリューション提供へと領域を広げつつあります。一方で、動態管理ソリューション事業者も、SIerや専業ベンダーに加え、損害保険会社など異業種の参入が進んでおり、両者の境界が徐々に曖昧になってきている印象です。

ユーザー側に目を向けると、トラックや営業車、社有車などにおいては、法制度対応だけでなく、安全運転管理や業務効率化の観点からもニーズが高まっています。また、日本郵便の点呼問題なども含め、システムによる課題解決が求められている状況です。

こうした中、市場はレッドオーシャン化が進み、各社のサービスや機能が拮抗してきているように感じています。
市場が活性化することは非常に良いことですが、その一方で、差別化の難しさも感じています。今後、各社が拮抗したままなのか、それとも頭ひとつ抜け出す企業が現れるのか——。
初めての担当ではありましたが、今後の市場動向から目が離せません。

2025.09.29

【今週の"ひらめき"視点】社会インフラの老朽化、加速。“現場”のイノベーションを急げ

当社代表が最新のニュースを題材に時代の本質、変化の予兆に切り込みます。

 

埼玉県八潮市で起きた下水道管路の破損による道路陥没事故から7か月、国土交通省は腐食しやすい箇所など優先的に実施すべき約813kmに対する特別重点調査の結果を発表した。原則1年以内の対策を必要とする「緊急度Ⅰ」の延長は約72km、応急措置を実施したうえで5年以内の対策を実施すべきとされた「緊急度Ⅱ」は約225kmに及んだ。また、対応済の4箇所を含め6箇所の空洞も発見された。インフラ老朽化の深刻さは想像以上だ。

下水道管だけではない。高度成長期以降に建設、整備された社会インフラの老朽化が加速する。2040年3月には道路・橋の約75%、トンネルの約52%、河川管理施設の約65%、港湾施設の約68%、そして、下水道管渠の約34%が建設後50年を越える。国交省は不具合が発生してから対応する事後保全に要する2048年度の費用を最大12.3兆円、一方、発生前に予防措置を講じる予防保全費用を同6.5兆円と推計している。コスト的にも予防措置が圧倒的に有利であり、悲劇を繰り返さないためにも対策が急がれる。

とは言え、人手が足りない。建設業の就業者数は1997年の685万人をピークに減少、2024年には477万人へ、1997年比で約3割、208万人減少している。そして、高齢化だ。65歳以上の高齢従業者はこの20年で約2倍、昨年時点で80万人に達する。また、発注側である地方公共団体の土木部門の職員も1996年度の19万4千人から2024年度には13万9千人へ、こちらも約3割減少している(総務省)。

昨年4月、建設業にも罰則付き時間外労働規制が適用された。加えて、猛暑だ。国交省は地方整備局発注の土木工事を対象に「夏季休工」制度を導入する方針だ。安全性を高め、多様な働き方を認め、人手不足の緩和を図りたい考えだ。とは言え、工期の延長は避けられない。少子高齢化、働き方改革、地方、財政、そして、気候変動、、、社会インフラの老朽化は “時代”が抱える構造問題の縮図だ。一方、この時代ゆえの武器もある。ICT、AI、ドローン、ロボットなど、先端テクノロジーを活用した現場のスマート化をどこまで実現できるか。産官学一体となった取り組みが急務である。


今週の“ひらめき”視点 9.21 – 9.25
代表取締役社長 水越 孝

2025.09.26

【アナリスト便り】『2025年度版 業務用車両向けテレマティクスサービス市場の実態と展望 ~デジタコ・ドラレコを中心とした動態管理システムの動向分析~』を発刊

本日、2025年9月26日に『2025年度版 業務用車両向けテレマティクスサービス市場の実態と展望 ~デジタコ・ドラレコを中心とした動態管理システムの動向分析~』を発刊いたしました。
本レポートは、2021年10月に発刊した『2020年度版 商用車テレマティクス/コネクテッドカー市場予測』のリニューアル版となります。
今回は「業務用車両向けテレマティクス」という観点から、デジタルタコグラフやドライブレコーダーなどのハードウェア(デバイス)と、それらを活用してGPSと通信により位置情報を把握するシステムの両面に着目しました。この位置情報を把握する仕組みは、すでに動態管理ソリューションとして機能しており、近年ではその役割が広がっています。具体的には、安全運転管理や日報作成など、業務効率化を支援する機能が加わり、より高度な業務支援インフラとしての側面も強まっています。さらに、物流業界では働き方改革や法改正の影響により、運行実態の把握がますます重要視されるようになっており、こうした背景からデジタコの有用性が改めて評価されています。
本レポートでは、事業者の取り組みに焦点を当てることで、各社の動向がより明確に見える構成とし、弊社独自の視点による比較分析も実施しました。
加えて、デジタコの出荷台数に着目し、市場規模の推移や出荷台数シェアについて弊社推定に基づき整理しています。
車両を活用する企業・組織に向けて、テレマティクス関連のサービスやソリューションを提供されている市場関係者の皆様にとって、本レポートが少しでもご参考になれば幸いです。

2025.09.25

「PayPay、WeChat Payとの連携を開始」

PayPayは、2025年9月中旬以降より、中国のキャッシュレス決済サービス「WeChat Pay」との連携を開始することを発表した。WeChat Payは、月間アクティブユーザー数14億を超える中国のコミュニケーションアプリ「WeChat」の中で提供する決済機能であり、今回の連携によりWeChat Payのユーザーは、日本国内のPayPay加盟店にて同サービスを利用した決済が可能になる。
https://about.paypay.ne.jp/pr/20250904/01/

 

中国本土からの訪日外国人は、2025年上半期の累計で470万人以上を記録している。今後も、2025年10月13日まで開催している大阪・関西万博や、中国・中華圏における旧暦の正月である春節の期間中などにおいて観光客の増加が見込まれている、

 

PayPayは、インバウンド需要の取り込みを目指す加盟店への支援を目的として、サービス提供開始時から海外キャッシュレス決済サービスの利用者がPayPay加盟店で決済できる環境の整備を進めてきた。現在は、WeChat Payを含めて14の国と地域・26サービスと連携可能となっている。
訪日外国人が普段利用している決済サービスを日本国内でも利用できる環境は整いつつあることから、今後はそれらを利用できることの認知度の向上が課題と考える。海外のキャッシュレス決済アプリに日本国内のPayPay加盟店で利用できるクーポンを配信するなどの施策が実施できれば、訪日外国人による決済はさらに拡大すると予想する。

2025.09.24

「GビズIDの民間サービスでの活用 7グループ(13社)が公募に参加」

2025年8月29日、デジタル庁はGビズIDの民間サービスでの活用事例等の募集および実証的接続実験の実施に関する公募結果を公表した。7グループ(13社)を実証的接続実験採択者として年度末まで実証を行う。

 

https://www.digital.go.jp/news/f4060720-b504-4849-8d8b-7d865863e763

 

GビズIDは、事業者(法人・個人事業主)が1つのアカウントで様々な事業者向け行政手続システムへのログインすることを可能にする認証基盤である。2025年3月末時点でアカウント発行累計数は125万者、接続サービス数は210サービスに達しており、補助金申請、社会保険手続等の行政手続サービスへの共通ログイン手段として活用されている。
一方で民間サービスとの接続は行われていなかったことから、民間サービスとGビズIDとの実証的な接続実験を行うべく公募を行っていた。
GビズIDは、ID発行時に一度だけ代表者の身元確認を行えばその後の各手続での本人確認書類提出が不要になるなど、普及すれば利便性は高いと思われる。個人の共通IDと同様に事業者の共通IDに対する需要はあると考えられ、実証の結果に期待したい。

2025.09.22

【今週の"ひらめき"視点】上場会社の非公開化、経営陣は一般株主に対して誠実であれ

当社代表が最新のニュースを題材に時代の本質、変化の予兆に切り込みます。

 

9月16日、芝浦電子は台湾の電子部品メーカー国巨(ヤゲオ)によるTOBへの“賛同”を表明した。当初、芝浦電子はヤゲオからのTOB提案を拒否、ヤゲオは“同意なき買収”に踏み切る。これに対してミネベアミツミが友好的買収者(ホワイトナイト)として名乗りをあげ買収合戦となる。しかし、ミネベアミツミへの応募は設定したTOB成立の下限50.01%に届かず撤退、ヤゲオはもう1つのハードルであった外為法もクリア済みだ。ヤゲオのTOB期限は10月3日、芝浦電子はヤゲオ傘下となり、上場廃止となる公算が高い。

今年は年初から春先にかけて牧野フライス製作所に対するニデックによる“同意なき買収”の成否が注目を集めた。牧野フライスは買収防衛策の発動とアジア系投資ファンドをホワイトナイトとして擁立、なんとかニデックから逃げ切ることに成功した。これまでホワイトナイト側が負けた事例は記憶にない。それだけに芝浦電子を巡る攻防でのミネベアミツミの敗退は上場会社に対するM&Aの在り方に一石を投じたと言っていいだろう。

昨年は94社の社名が東京証券取引所のリストから消えた。ここ数年、株式の非公開化が止まらない。目立つのはMBOだ。上場維持コストの増加や“物言う株主”からのプレッシャーなど上場ゆえの負担と制約から逃れ、経営の自由度を取り戻したいとの経営陣の思惑がある。ただ、株価算定においてはそもそも利益相反の懸念が残る。7月、東証はMBOや支配株主による完全子会社化等に関する上場規定を改正、一般の投資家や少数株主に不利益が生じないよう公正な手続きと合理的な株価算定を義務付けた。

12日、旧村上ファンド系の投資ファンドはソフト99コーポレーションのMBOによるTOB価格が「PBR1倍を下回っており少数株主の利益を損なう」として対抗TOBの実施を発表した。12月からはトヨタグループの再編も始まる。狙いはグループ各社の大株主である豊田自動織機の非公開化だ。TOBの実施主体はグループ15社を株主に持つトヨタ不動産、豊田章男氏、トヨタ自動車が設立するSPCであり、形を変えた“持ち合いの強化”との批判も燻る。いずれにせよ利益相反を伴うM&Aにおける手続きの透明性と株価の公正性はこれまで以上に厳しく問われるはずだ。言い換えれば、日本の上場会社も既にグローバルM&A市場の只中にあって、もはや身内に閉じた助け合いは通用しないということである。

【関連記事】
「3月期決算、株主総会ピークへ。過去最多となった株主提案の行方は?」今週の"ひらめき"視点 2025.6.8 – 6.12
「ニデックvs牧野フライス、工作機械業界の未来を巡る攻防」今週の"ひらめき"視点 2025.1.26 – 1.30


今週の“ひらめき”視点 9.14 – 9.18
代表取締役社長 水越 孝

2025.09.19

「FinTech Journalにおいて損保ジャパンの中計を解説」

損保会社さんの中計について先月から解説しています。今回は損保ジャパンさん。

攻めたタイトルになっていますが、筆者としては毎回、各社を応援したい気持ちで書いています。

https://www.sbbit.jp/article/fj/170814

 

さて、SOMPOホールディングスは、2024年5月に「新中期経営計画(2024~2026年度)」を発表しました。眺めてみますと、自動車保険金不正請求などへの対応や情報漏えい事案などに関する業務改善計画を進めており、中計にも色濃く反映させている印象を受けました。

 

今回のポイントは次の3つ。

ポイント(1): 不正請求対策に向けた保険金サービスの変革
ポイント(2):組織や評価など多角的に営業体制を変革
ポイント(3):人材の募集傾向の変化

 

お手すきの時にご笑覧頂けますと幸いです。山口 泰裕)

2025.09.18

「銀行における副業解禁広がる」

2025年9月1日、高知銀行が副業制度の導入を発表した。嘱託やパートを含む全従業員が対象となる。銀行における従業員への副業解禁の取組みが広がっている。メガバンクではみずほ銀行が2019年、三井住友銀行が2024年に副業を認めている。地方銀行・第二地銀においても副業を解禁する銀行が増加傾向にある。

 

https://www.kochi-bank.co.jp/news/013437.html

 

副業解禁の理由としては、銀行業務では得られないスキルの向上や外部の人材との交流、人口が減少する地域への人材供給などが挙げられる。業務としては保有資格やスキルを活かした講師や執筆、WEBコンテンツ制作、農業などを想定しており、副業先との雇用契約を結ばない個人事業主型での働き方を認めるケースが多い。

銀行に限らず人材の確保に苦戦する企業は多い。副業を認めることで離職率の低下を図る狙いもあると考えられ、今後も副業解禁の流れは拡大していくだろう。(石神 明広)

2025.09.17

「10周年を迎えたGMOサイン」

GMOグローバルサイン・ホールディングスが提供する「GMOサイン」が今年、10周年を迎えました。

電子契約サービスは、最初こそ採用して良いものか、という空気もありましたが、今や民間企業だけではなく、自治体でも導入が広がっています。

GMOサインの魅力のひとつはサインをした後の管理(保管や検索など)のしやすさだと思っています。

矢野経済研究所で電子契約サービス市場の研究を始めてから7-8年ですが、その間、サービスは増えたり減ったりしています。

10周年という数字にはサービス品質の高さ、ユーザーからの信頼が現れているように感じました。(小山 博子)

2025.09.16

【今週の"ひらめき"視点】“地元に閉じるな、地方から世界へ”が地方の未来を変える

当社代表が最新のニュースを題材に時代の本質、変化の予兆に切り込みます。

9月6日、筆者は徳島県海陽町「まぜのおかオートキャンプ場」で開催された「Startup Camp」に今年もまた参加させていただいた。徳島市内からバスで南へ2時間、道中の“田舎”の深さは半端でない。「ビジネスの話も、人生の話も、自然の下で、素直に話せる。」「ありのままの自分で参加して欲しい。」との主催者「一般社団法人徳島ニュービジネス協議会」(会長:島隆寛)からのメッセージがリアルに響く。


参加者は、国内初の円建ステーブルコインの資金移動業者JPYC㈱の岡部典孝代表、東証グロース上場企業イシン㈱の明石智義会長、Peatix Japan㈱の藤田祐司代表、シェイクスピアの演出家としても著名な㈱トゥービーの木村龍之介代表など、DeNAへの投資やふるさと納税の提唱者として知られる日本テクノロジーベンチャーパートナーズ投資事業組合の村口和孝代表の人脈を中心とした起業家やベンチャーキャピタリスト、地元経済を支える経営者、行政、研究者、金融機関、学生たちなどだ。

今年の主題は“少年のように未来を語る1日”。会場はステーブルコインや生成AIが社会や産業に与えるインパクトからスタートアップの資金調達まで、それぞれの最前線で活躍する錚々たる登壇者の議論で盛り上がった。筆者は徳島ヴォルティス㈱の福島義史常務、徳島インディゴソックス球団の南啓介代表、㈱がんばろう徳島の臼木郁登社長と、スポーツビジネスと地域創生をテーマに語りあった。講演とパネルディスカッションの後は恒例のBBQパーティー、参加者同士楽しい時間を過ごさせていただいた。

今、各地で地域の課題解決と経済の持続的成長を目指して、様々な取り組みが進行中だ。とは言え、決して容易ではない。プロスポーツを誘致すれば地域が活性化するわけではない。地元を盛り上げるためには試合に“勝つ”ことが前提であり、世界で勝てる競技、世界に通用する選手を育てることで資本、才能、人の循環が生まれる。これは筆者が担当したトークセッションの言わば結論であるが、「世界で活躍する起業家を地方から輩出することで地方が豊かになる」との村口氏の持論にも通じる。管理者を必要としない分散型インターネットや生成AIによるイノベーションに立地上の制約はない。その意味で徳島はもちろんすべての地域にTOKYOと同じチャンスがある。がんばれ、地方たち。


今週の“ひらめき”視点 9.7 – 9.11
代表取締役社長 水越 孝

2025.09.12

「ゆうちょ銀行がトークン化預金の取扱開始」

ゆうちょ銀行は2025円9月1日2026年度中にトークン化預金の取扱を開始すると発表した。ディーカレットDCPが提供するプラットフォームを利用し発行する。

https://www.jp-bank.japanpost.jp/aboutus/press/2025/pdf/pr25090101.pdf

 

トークン化預金とは銀行預金にブロックチェーンなどの技術を活用し、預金をデジタル上で取り扱えるようにしたものを指す。ゆうちょ銀行の検討するトークン化預金も同様であり、決済における即時性と透明性を兼ね備えたものを想定しているという。ゆうちょ銀行が発行体となり、ゆうちょ銀行の決済用預金として決済機能の提供を可能とすることで、預金保険の対象とし、信頼性をもたせる。まずは2026年度中を目途にNFTやセキュリティトークンの取引に連動する決済手段の提供開始を予定している。

 

ゆうちょ銀行の預金残高は2024年度末現在で約190兆円に達しており、日本における銀行の第二位の預金量をほこる。ゆうちょ銀行の預金がトークン化預金へと置き換われば、市場へのインパクトはあるだろう。(石神 明広)

2025.09.11

「auペイメント、auフィナンシャルサービスの合併が発表」

2025年9月1日、auペイメントとauフィナンシャルサービスが、2026年7月1日付(予定)で合併することが発表された。本合併は、決済事業戦略の一元化と事業推進の加速を目的に、auペイメントを存続会社とした吸収合併の形で実施される。
https://www.au-payment.co.jp/news/news2025/r20250901_2.html

 

auペイメントはコード決済サービス「au PAY」のサービス運営事業、auフィナンシャルサービスはクレジットカード「au PAYカード」事業やローン事業などを展開しており、両社ともにKDDIグループおよびauフィナンシャルグループに属する事業者である。

 

KDDIグループでは2019年2月より、スマートフォンを入口として、利用者に総合的な決済・金融体験を提供する「スマートマネー構想」を掲げている。同構想の一環として、同年4月には中間金融持株会社であるauフィナンシャルホールディングスを設立し、銀行・決済・資産運用・保険を集約したauフィナンシャルグループを構築した。
auフィナンシャルグループは、スマートマネー構想に基づいて、au PAYを軸として「貯める」「支払う」「増やす」「借りる」「備える」といった利用者のお金に関わる活動をワンストップでサポートするサービスの拡充を進めている。今回の合併も、グループとして提供するサービス間の連携強化や、クロスユースの促進を目指した施策であると言える。

 

キャッシュレス決済の定着により市場の競争は激化しており、キャッシュレス決済事業者各社は「経済圏」の構築によるユーザーの囲い込みに注力しているが、競合グループにおいてはコード決済、クレジットカードなどの各サービスをそれぞれ別の会社が運営する形式が主流である。その中で、auフィナンシャルグループが先行して合併という施策を打ったことで、今後は競合においても合併を含めたグループ再編の動きが加速する可能性が考えられる。(都築 励)

2025.09.10

AWS、自動車業界における自社の取り組みに関する勉強会を開催  

アマゾン ウェブ サービス ジャパン(以下、AWSジャパン)は、「第3回 自動車業界におけるAWSの取り組み(生成AI活用)に関する記者勉強会」を、2025年8月21日(木)に開催した。   AWSジャパンは、「ソフトウェア・ディファインド・ビークル(SDV)」の実現に向けた取組みが加速する自動車業界において、SDVの実現に向けたクラウドの必要性や果たす役割、自動車業界の変革にAIがどういった影響をもたらすのかなどについて、深堀していくことを目的として、この勉強会をシリーズで開催している。       

 

2025年5月、7月にもそれぞれ、「AWSの自動車業界向けの取り組み・支援について」、「SDV領域におけるAWSの取り組み」をテーマとして開催した。第3回目となる今回は、「自動車業界におけるAIの活用状況、最新の生成AI活用事例紹介」をテーマとして取り上げた。 

 

当日は、AWSジャパンの岡本氏(エンタープライズ技術本部 自動車・製造グループ本部長)、梶本氏(自動車事業本部 プリンシパルソリューションズアーキテクト)の2名が登壇し、自動車業界におけるAI需要の高まりに加えて、企業における生成AIの活用実例を紹介した。  

 

具体例として、AIのリーズニングモデル(注1)を用いてパーソナライズされた最適ルートプランニングや、AIエージェントを活用したIVI(車載インフォテインメントシステム)の仕様変更対応によるリードタイム短縮などを挙げた。最後には参加者からの質問にも応じた。

 

今回の勉強会は、AWSからみた自動車業界における生成AI活用の現状と可能性を示す場となり、参加者にとっても最新知見を把握する貴重な機会となった。 (鈴木 蒼)

 

(注1)AIが事実や情報に基づいて論理的に考え、問題を解決するための結論・結果を導き出すこと

2025.09.09

DX総合EXPO開催 インターセクトが示す「業務特化AI」の実装力

DX総合EXPO/ビジネスイノベーションJapanが、7月23~25日の3日間、千葉県の幕張メッセにて開催された。展示会には280社が出展し、出展者によるセミナーやトップ企業の経営幹部が登壇する特別講演も実施するなど、盛況なイベントとなった。  

 

当展示会では、出展企業の1つであるインターセクト株式会社が、業務特化型のAIエージェントを手軽に構築できる汎用プラットフォーム「Askhub」を展示していた。

 

Askhub」は、AIエージェントが自律的かつ、自由度高くタスクを遂行することを可能にするAIエージェントプラットフォームとなっており、『高いカスタマイズ性』、『シンプルさ』、『組織運用性』の3点を強みにしている。カスタマイズ性では、8,000を超える外部ツールとの連携が可能であり、シンプルさについては、誰もがAIエージェントの構築が可能な点にある。プラットフォーム内のチャットで、AIアシスタントに業務内容を指示するだけで、AIアシスタントが自動的にプロンプトや社内データ、外部ツールなどの最適設定を行い、AIエージェントを構築する。構築されたAIエージェントは、AIアシスタントの指示・設定に従い、ファイルの作成や編集、検索、WEB探索等のタスクを自律的に遂行する。インターセクトの担当者は、このシンプルさが、AIエージェントの導入や運用のハードルを大きく下げると期待を寄せている。

 

さらに、同プラットフォームは、独自開発した検索拡張生成(RAG)を搭載し、回答精度の向上を実現している。AI-OCRを活用した、画像等を含むデータの抽出や、ベクトル検索とキーワード検索のハイブリッド検索による、関連性の高い情報の抽出が可能である。 

 

今回の展示会は、使用する部署(ターゲット)別や製品別の7つの専門展で構成されていた。従来は個人的な利用のフェーズにあった生成AIの活用や業務の自動化が、組織的な運用のフェーズへと移行している印象を受けた。それぞれの現場課題に即した具体的な提案が多く見られ、生成AIの“実装フェーズ”へのシフトを実感した展示会だった。

 

多くの企業がAIツールの導入や運用にハードルを感じている。しかし、「Askhub」を活用することで、そのハードルが低くすることができる。チャットで指示を出すと、AIアシスタントが最適な設定を行い、使い慣れたツール上で AIエージェントが自律的にタスクをこなしてくれる。そのため、業務効率化の幅がかなり広がると感じた。 (鈴木 蒼)

2025.09.08

【今週の"ひらめき"視点】パレスチナ人道危機、深刻化。唯一の解決策“2国家共存”に道筋を

当社代表が最新のニュースを題材に時代の本質、変化の予兆に切り込みます。

 

8月20日、イスラエル国防省はイスラエルの占領下にあるヨルダン川西岸地区における新たな入植計画を承認した。“新たな”と記したが、「E1計画」と名付けられたこの計画は国際社会からの反発を受けて20年間凍結されてきたものである。実現すればエルサレムの南北、東エルサレムと西岸がともに分断されることになり、パレスチナの地域としての一体性は失われる。

パレスチナ自治政府は“2国家解決構想を破壊する”と非難、英仏独をはじめ日本も「即時撤回を求める」と声明した。そもそもイスラエルによる入植地の建設は国際法上認められるものではなく、国際司法裁判所(ICJ)もイスラエルのパレスチナ占領政策を違法と断じている。一方、極右勢力と連立するネタニヤフ政権は入植地拡大による占領政策を加速、2国家共存という政治的解決策の無効化をはかる。

この2月、筆者が運営に関わるシェア型書店「センイチブックス」(調布市)で上映会を開催させていただいたジャーナリスト 川上泰徳氏のドキュメンタリー「壁の外側と内側」が、劇場用に再構成されて全国の映画館で上映されることになった。8月30日、渋谷ユーロスペースにてあらためて本作を観た。イスラエル軍と入植者たちによる暴力と排除に踏みにじられるヨルダン川西岸の現実は私たち日本人の想像を絶する。イスラエルの刑務所に収監された夫に会うことは出来ない。それでも、摘んできた野のバラを飾ることでささやかな日常を維持する妻の姿に胸を打たれる。

映画では、武力による占領と非人道行為への加担を拒否するイスラエルの若者の姿もあった。破壊と飢餓に苦しむガザの惨状は世界が知るところである。しかし、多くのイスラエル国民は“不都合な真実”から目を逸らしたままであるという。「言論統制があるのか」との筆者の問いに、川上氏は「大手メディアの萎縮が主因」と言い切った。アラブ人は暴力の加害者としてのみ記事になる、国全体がそうした空気の中にある、ということだ。9月1日、湾岸協力会議(GCC)の外相会合に出席した岩屋外相が2国家解決の実現に向けてGCCと連携する旨、表明した。パレスチナ国家を承認した国は150か国を越える。フランス、英国、カナダも承認する方針だ。日本も続け。

■ご参考
映画 『壁の外側と内側 パレスチナ・イスラエル取材記』 公式WEBサイト


今週の“ひらめき”視点 8.31 – 9.4
代表取締役社長 水越 孝

2025.09.05

三井住友海上、天候指数保険の販売を開始

三井住友海上火災保険は2025年8月27日、気候変動によって企業が被る経済的損失を補償する「天候指数保険」の販売開始を発表した。同保険は、気温や降水量などの天候データに基づいて保険金が支払われる、いわゆるパラメトリック保険であり、従来の損害査定を必要とせず、迅速な支払いが可能な仕組みとなっている。

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パラメトリック保険は、国内ではまだ一般的とは言えず、地震保険など一部の分野で導入されている程度という認識である。しかし今回、三井住友海上が天候リスクに対してこの仕組みを導入したことで、パラメトリック保険の活用が広がる契機となる可能性がある。

近年、国内でも異常気象が頻発しており、猛暑・豪雨による操業停止や物流の遅延、農作物の品質低下など、企業活動への影響が顕在化している。こうした事象は、従来型の保険では損害査定が難しく、補償までに時間を要するケースも多い。迅速かつ客観的な支払いが可能なパラメトリック保険の重要性は、今後さらに高まると考えられる。

2025.09.04

【発刊裏話】「2025年版 IoT/M2Mマーケット~遠隔モニタリング実装が進むIoT/M2M、マルチキャリア需要への期待も高まる~」

ここ数年、IoT/M2Mマーケットは大きく伸びています。また2030年を超えた市場見通しでも、引き続き高い伸長が継続すると予想されます。

この背景には、技術の進展やサプライヤーサイドの努力も奏功していますが、最も大きな影響があったのは、「コロナ禍による社会全体での意識変容(遠隔・リモートを受容する意識が定着)」と、「対処しがたい人手不足の深化」があると判定します。

こう書いてしまうと、ITベンダー等の不断の努力、ユーザ企業の地道なDXへの取り組みを蔑ろにしているように聞こえますが、現実として「外部環境の変化がIoT/M2M需要を喚起した」部分が大きいと考えます。

ゴチャゴチャと書きましたが、要約すると「社会情勢や周辺環境の変容は、日々、ウォッチしないといけないな」と、改めて認識したところです。

2025.09.03

【アナリスト便り】「2025年版 IoT/M2Mマーケット~遠隔モニタリング実装が進むIoT/M2M、マルチキャリア需要への期待も高まる~」を発刊

2025年8月27日、「2025年版 IoT/M2Mマーケット~遠隔モニタリング実装が進むIoT/M2M、マルチキャリア需要への期待も高まる~」を発刊しました。

本レポートでは、IoT/M2Mビジネスの現状を踏まえた上で、分野別のIoT/M2Mの利活用状況、関連市場規模及び規模推移、2031年に向けたマーケット展望を実施。併せて、「バックアップ回線の現状把握(IoTネットワークの冗長性)」、「IoT×ドローン」、「IoT×生成SI」、「IoT×デジタルツイン/CPS」といった観点でのマーケット研究も行いました。

コロナ禍を経て、社会では「遠隔・リモート志向」が定着。併せて「人手不足の深刻化」が進展したことで、当該マーケットには強い追い風が吹いています。これにより、従来はIoT/M2M活用に慎重であったユーザ企業でも、導入に向けた意識変容が進展したと思われます。さらに、IoT/M2Mと親和性の高い生成AIを始めとしたデータ解析・活用テクノロジーの進展も、ここ数年に登場した様々なIoTソリューションのバックボーンになっています。

このような外部環境の変化及び周辺テクノロジーの進展が、IoT/M2Mビジネスの賦活化に大きく作用したと考えます。

定番テーマの「IoT/M2Mマーケット」ですが、ぜひ貴社のマーケット分析における基礎資料として活用してください。

2025.09.02

LINE上での東海道・山陽・九州新幹線の予約およびPayPayでの支払が可能に

2025年8月28日、LINEヤフーとPayPayは、JR東海・JR西日本・JR九州が10月4日より提供を開始する新幹線予約サービス「LINEからEX」において、LINEから東海道・山陽・九州新幹線の予約が可能となり、決済手段として「PayPay」が利用できるようになることを発表した。
https://about.paypay.ne.jp/pr/20250828/01/

 

同サービスでは、LINE上で公式アカウント「東海道・山陽・九州新幹線予約」を友だち追加することで、すぐに新幹線を予約できる。提供開始時点での支払方法はPayPayのみとなっており、クレジットカード情報の登録なども不要である。

 

JR東海・JR西日本・JR九州は、新幹線のネット予約・チケットレス乗車サービスであるEXサービス(「エクスプレス予約」および「スマートEX」)の利用を推進しており、2024年度にはEXサービスの会員数が1,600万人を超えた。予約件数全体に占めるネット予約の比率も6割近くに達しており、今後さらなる拡大を狙っている。
一方、PayPayをはじめとしたコード決済事業者は、対面での決済処理を伴わないオンライン決済を重点領域として位置付けており、同領域での利用拡大に向けて精力的に取り組んでいる。このことから、今回の取組みは各社の目指す方向性が合致した形と言える。特に、若年層などクレジットカードを持たない利用者や、オンラインにカード情報を入力することへの抵抗感からネット予約を避けていた利用者の取り込みが期待される。

2025.09.01

円建てのステーブルコイン発行へ JPYCが資金移動業登録

JPKCは2025年年8月18日資金移動業者の登録を得た。これにより、日本円と1:1で連動する電子決済手段、ステーブルコインが発行可能な資金移動業者となった。同社は今まで前払式支払手段として日本円建トークン「JPYC Prepaid」を発行しており、より幅広い利用シーンに対応可能な日本円建ステーブルコイン「JPYC」の発行を開始する。

https://corporate.jpyc.co.jp/news/posts/first-yen-stablecoin-jpyc

 

ステーブルコインは法定通貨などの特定の資産と連動することで価格の安定性を実現する電子決済手段である。既に米国のCircle社が米ドル建てのステーブルコイン「USDC」を発行するなど、他通貨では利用されている。円建てのステーブルコインが普及すれば、日常の決済における選択肢の一つとなるだろう。(石神 明広)

2025.08.29

【発刊裏話】2025 ERP市場の実態と展望

2025年のERP市場も大きく伸びました。市場を牽引した理由のひとつには保守切れを迎えるシステムからの乗り換え・更改なども挙げられます。保守切れを迎えるシステムと言うとやはりSAP 2027年問題を想起します。もちろん、SAP以外のシステムからの乗り換え案件もありますが、目立つのはSAPからの乗り換え案件です。その影響ゆえか、SAPのシェアもじわじわと縮小しています(矢野経済研究所推計)。しかしながらSAPはパートナー販売も好調です。ERP市場は安定しているという声もありますが、まだまだ揺れ動いていると感じました。

https://www.yano.co.jp/market_reports/C67109600

2025.08.28

【アナリスト便り】「2025 ERP市場の実態と展望」を発刊

8月25日に『2025 ERP市場の実態と展望』を発刊しました。今年、注目動向で取り上げたのは、クラウド、AI/生成AI/AIエージェント、GX(グリーントランスフォーメーション)、デジタルインボイス、106万円の壁、新リース会計基準です。クラウドに関しては、思っていた以上にSaaSが伸長した印象です。Fit to Standardもなじみはじめていますし、これから製品も増え、さらに存在感を増していくと考えます。

2025.08.27

「富士通、2030年度に1万物理量子ビットの量子コンピュータ開発をめざす」

富士通は2025年8月1日、実用的な量子計算の実現に向けて2030年度に1万物理量子ビット超の超伝導型量子コンピュータの構築をめざして研究開発を開始すると発表した。
具体的には、NEDOの公募テーマの1つである「量子コンピュータの産業化に向けた開発の加速」の採択先として、上記目標の実現に向けて、まずは理化学研究所とともに2027年度までに大規模化技術の開発を通じて、設計指針の確立をめざす。その後は、理研との共同研究の成果を踏まえ、250論理量子ビットの動作に加えて、同社が開発する初期のFTQC(early-FTQC)のアーキテクチャである「STARアーキテクチャ」を使用し、材料物性などの分野において実用的量子計算の実現をめざしていく構えである。
 
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量子コンピュータの開発をめぐっては、富士通やIBM、Googleなどが進める「超電導方式」やIonQやOIST発スタートアップであるQubitcoreなどが取組む「イオントラップ方式」、日立製作所などが取り組む「シリコン方式」のほか、中性子方式や光方式などさまざまな方式による開発競争が行われている。
そうしたなか、富士通が採用する「超電導方式」は冷却が必要となるため、量子ビットの増加に比例して冷却装置の規模が拡大していく点が普及に向けた課題の1つ。本リリースにおいては極低温で動作する増幅器の開発をはじめとした対策も含んでいる。現時点において超電導方式に取組み事業者各社は冷却装置の拡大抑制に向けた取組みも始まっているものの、現実解は見いだせていない。富士通と理研が大きな壁を突破できるのか楽しみである。(山口 泰裕)
2025.08.26

「FinTech Journalにおいて東京海上の中計を解説」

FinTech Journalの(ほぼ)月一連載において、東京海上日動火災保険の中計を取り上げました。
同社の中計を眺めた結果、次の3つのポイントを中心に解説してます。お手すきの先にご笑覧くださいませ。
 
 
ポイント1:新たな保険およびソリューションの開発
ポイント2:販売チャネルの強化、エンベデッド型販売
ポイント3:IT基盤やクラウド化、生成AI
 
既に業界関係者の方を中心にお読み頂いていると漏れ聞いており、有難い限りです。(山口 泰裕)
2025.08.25

【発刊裏話】2025年版 コード決済市場の実態と展望

皆さまの中でも、コード決済を日常的な決済手段として普段から利用されている方も多いのではないでしょうか。私自身も日用品の買い物や飲食店での支払いなど、ほぼ毎日利用しています。
普段、支払いに利用するだけだと少し気づきづらいかもしれませんが、現在はコード決済アプリから決済以外にも様々なサービスを利用することができるようになっています。というのも、多くのコード決済事業者はグループ内外の金融機関、証券会社などと協業し、サービスを連携することで、決済アプリから保険、銀行、投資といった金融サービスを利用可能とする「スーパーアプリ化」に向けた取組みを進めており、アプリの機能が日々追加されている状況です。
皆さまも普段お使いのコード決済アプリを一度ゆっくり眺めてみると、新たな発見があるかもしれません。

2025.08.22

【アナリスト便り】「2025年版 コード決済市場の実態と展望」を発刊

2025年7月30日に『2025年版 コード決済市場の実態と展望』を発刊いたしました。コード決済は、各事業者が展開した大規模なキャッシュバック・ポイント還元キャンペーンや、コロナ禍において現金のやりとりによる接触を避けるという機運を背景に浸透し、現在も利用が拡大しています。当初は実店舗での対面決済を中心に利用が拡大してきましたが、近年はオンラインをはじめとした新たな領域への拡大が進んでいるほか、2023年に解禁された給与デジタル払いにコード決済事業者が参入するなど、市場は変化を迎えている状況です。
そうした状況をふまえ、本レポートでは、コード決済事業者や、決済ゲートウェイを提供するマルチコード決済サービス事業者の動向を分析し、市場の実態を明らかにするとともに、将来を展望いたしました。本資料が貴社の事業戦略立案の一助となれば幸いです。

2025.08.21

池田泉州ホールディングス 事業者向けデジタルバンクの開始

2025年7月22日、池田泉州ホールディングスは2025年7月28日よりデジタルバンク「01(ゼロワン)銀行」のサービス提供を開始すると発表した。

https://www.senshuikeda-hd.co.jp/news/pdf/20250722.pdf

 

2023年9月にデジタルバンク事業の開始を発表し、2025年2月に銀行業を取得していた。事業内容は中小企業を対象としたデジタルバンク事業であり、「事業者が普段から利用するクラウドサービスを提供する PFer(プラットフォーマー)と連携した新しい金融サービスを提供する」としている。

地方銀行がデジタルバンクを開業するのは、ふくおかフィナンシャルグループの「みんなの銀行」、東京きらぼしフィナンシャルグループの「UI銀行」に次いで3行目である。みんなの銀行とUI銀行が個人をターゲットとしているのに対し、01銀行は事業者をターゲットとしている。

クラウドサービスとの連携によって事業者に対してどのようなサービスを提供していくのか、今後の取組みに注視していきたい。(石神 明広)

2025.08.20

【発刊裏話】2025年版 防災DX市場の実態と展望

今回の調査を通じて、印象に残ったのが「正常性バイアス」という心理的傾向についての話です。正常性バイアスとは、非常時に直面しても「自分は大丈夫だ」「これまでも問題なかったから、今回も大丈夫だろう」と考え、危険を過小評価してしまう心理のことを指します。この傾向によって、避難などの適切な行動が遅れてしまうリスクがあります。科学的な裏付けがあるわけではありませんが、実際に大きな災害を経験すればするほど、このバイアスが強まるのではないかという感覚を持ちます。

私自身、東日本大震災を仙台で経験していますが、その体験があるからこそ、災害時に「多少のことでは命に関わるような事態にはならないだろう」と、どこかで油断してしまう可能性を感じています。備蓄や避難所の確認など一定の備えはしていますが、いざという時に正常性バイアスが働いてしまえば、それらの対策も十分に機能しません。今回の調査は、災害への向き合い方を見直すという意味でも良いきっかけになりました。(今野 慧佑)

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