矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

デイリーコラム


2020.07.15

【アナリストオピニオン】新型コロナウイルス対応はユーザー意識の改革とInsurTech 普及のチャンス②

コロナ対応にみる戦略の違い

■保険金・給付金および死亡保険金の支払対応
新型コロナウイルス感染症により影響を受け、生命保険協会は金融庁の要請を受け、2020年3月に「新型コロナウイルス感染症に係る特別取扱いについて」との記載を公表。同文面において①保険料払込猶予期間の延長、②保険金等各種支払に関する措置――との措置を明らかにした。同措置を受け、生命保険会社各社は、措置を受け保険料の払込猶予期間を概ね6か月と設定したほか、契約者貸付についても利息免除(年0.0%)で対応している。

また、同ウイルスが指定感染症に定められたことで、災害死亡保険金等で対応している生命保険会社も多く存在する。災害死亡保険金は、死亡保険金等を割り増しして支払う災害割増特約等を含めたもので、同ウイルスを直接の原因として死亡・高度障害状態に該当した場合に支払うものとなっている。

一方、生命保険会社で対応が分かれたのが、「オンライン診療」を対象とした給付金の支払有無である。生命保険会社(全42社)のコロナ対応のリリースやお知らせなどを基に集計したところ、明確に「オンライン診療を対象」と明記した事業者は9社(21.4%)に留まった。なお、各社ともに「医療機関と同等とみなせる施設」などとの記載もあり、オンライン診療が同記載などに入るかどうかは生命保険会社によって対応が分かれる可能性がある。

■顧客サポートの充実は生命保険会社をPayerからPatnerに変えるチャンス
生命保険協会において、保険金や給付金の支払に関する措置を公表しているため、全ての生命保険会社が対応している一方、顧客サービスは各社によって違いがある。

生命保険会社によって、付帯サービスとしてドクターや医療従事者が相談を受ける「電話健康相談サービス」を提供しており、今回、コロナウイルスも対象に加わった。調査した6月1日時点で、42社のうち17社(40.5%)が同サービスを通じてコロナウイルスに関する相談を受け付けている状況にある。なお、ここでいう「なし」とは、同ウイルス対応の関連リリースの中で掲載が見当たらなかったことを意味している。

また通常、特定の保険に対する付帯サービスとして提供しており、特定の保険契約者および家族向けに提供しているが、アクサ生命をはじめ一部の事業者は、サービスの提供範囲を特定の保険者に留まらず、全ての契約者および家族向けに無償提供を始めている。

実は同サービスの提供範囲を広げるのには戦略的な狙いがあると筆者はみている。従来、保険会社に対して自身の健康相談を行うユーザーは限定的であり、サービスの認知度も低かった。しかし、同ウイルスを機に同サービスの認知度を上げることで、生命保険会社とユーザーとの距離が一気に縮まる可能性がある。

加えて、法人向けを強みとする保険会社においてもユニークな取組みを手掛ける事業者もある。大同生命では、中小企業福祉事業と協業し、雇用調整助成金電話相談・社労士紹介サービスを提供。雇用調整助成金の申請に際しては、書類が多いうえに分かりにくいとの声もあるなか、積極的に顧客に寄り添ったサービスを手がけている。

InsurTechによって生命保険会社は、関連事業会社と協業しながら健康増進~疾病管理まで一貫して寄り添う戦略を進める一方、ユーザーは「生命保険会社は給付金や保険金を支払ってくれる会社(=Payer)」との認知に留まっており、今回の取組みを機に「生命保険会社は(コロナウイルスを含めて)自身の健康相談にも乗ってくれる会社(=Partner)」としてユーザーの意識を変える大きなチャンスでもある。このように健康相談サービスの提供範囲を広げる取組みは、ユーザーの意識をPayerからPartnerに変える戦略的な意図が垣間見られる(山口泰裕)。

※全文は以下よりご覧いただけます

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/288

図表:オンライン診療を対象とした給付金の支払有無
図表:健康相談電話サービス等によるサポートの有無
2020.07.13

【アナリストオピニオン】新型コロナウイルス対応はユーザー意識の改革とInsurTech 普及のチャンス①

新型コロナウイルス感染症の影響を受け、生命保険業界においても契約者対応に向けた多彩な取組みを打ち出している。そこで今回、生命保険協会に所属する全42社について、2020年3月~5月までのニュースリリースやお知らせを基に、営業・対応状況(コールセンター/オンライン)に加えて、保険料払込猶予への対応や保険金・給付金および死亡保険金等支払対応の有無、顧客サポートサービスの提供有無、内容などについて集計してみた。本稿では集計結果などを基に、今回の件をいかに「禍転じて福となす」か考察してみたい。

コロナを機に営業チャネルの強化、分散を

従来、生命保険会社の営業は、営業職員チャネルや代理店チャネルなどをメインとしてきたものの、新型コロナウイルス感染症の影響によりいずれのチャネルも自粛となり、各社ともに新契約が軒並み減少に陥っている状況にある。また、法人を強みとする生命保険会社においては、同ウイルスの影響により中小企業の景況感は悪化した点も、新契約の減少要因となっている。

一方、こうした中、ライフネット生命では、4月の新契約が大幅に伸長している状況にある。背景としては、同ウイルスの拡大によってユーザーがリスクを認識、保険を求めるニーズが出てきた点に加えて、外出自粛要請およびそれに伴う保険会社の営業自粛により、ユーザー自身が対面での相談を控えた点など影響を及ぼしたものとみられる。

緊急事態宣言の解除に伴い、対面営業も自粛解除となったものの、リスクマネジメントの観点も含めて、対面営業に留まらず新たな営業チャネルとしてオンラインの強化が喫緊の課題として浮き彫りになったといえる(山口泰裕)。

※全文は以下よりご覧いただけます

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/288

※画像はイメージです

2020.07.10

【政府、行政機関にとってもパブリック・クラウドは重要】

6月16日、行政情報システム研究所が「行政機関におけるパブリック・クラウドの活用に関する調査研究 報告書」を公開しました。
本報告書は、調査対象を「パブリック・クラウド」に限定していること、パブリック・クラウドの調達や契約手法までも整理されている点が注目されています。
また、弊社のクラウド基盤に関するレポートでもシェアNo.1のAmazon Web Services (AWS)が調査研究に参加しているため、実用性の面でも太鼓判を押せる報告書です。
 
今、公共分野におけるパブリック・クラウドの利用はこれまで以上のスピードで進んでいます。
報告書は100ページ以上。少しきついな、という場合はAWSジャパンブログでハイライトも紹介されています。
ユーザ(公共以外も)、ベンダ双方にとって興味深い内容の報告書だと思います(小山博子)。
 
●一般社団法人行政情報システム研究所
「行政機関におけるパブリック・クラウドの活用に関する調査研究」
https://www.iais.or.jp/reports/labreport/20200331/cloud2019/

●AWSジャパンブログ
https://aws.amazon.com/jp/blogs/news/aws-ais-public-cloud-report/

●矢野経済研究所
「2020 クラウドコンピューティング(IaaS/PaaS)市場の実態と展望」
https://www.yano.co.jp/market_reports/C62100400

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2020.07.08

【IT×好み】「外したくない」を叶えてくれるプラットフォーム②

矢野経済研究所 ICT・金融ユニットでは、研究員がリレー形式でコラムを執筆しています。 今年度のコラムのテーマは「IT×○○」です。「IT×金融」のFinTechをはじめ、多くの「IT×○○」が誕生しています。 研究員が、今まで耳にしたなかで面白かった「IT×○○」や、あったら面白そうな「IT×○○」について綴ります。 3人目の投稿者はクラウドコンピューティング(IaaS/PaaS)などを担当している小山です。

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以前、伊勢丹×SENSYで貴方好みのワインや日本酒を提案する、という企画がありました。その派生で、例えばチーズケーキならサイズ、甘みの強弱、レアかベイクドか、ふんわりかもっちりか、などを自分の好みで選択していき、最後にお勧めのチーズケーキ(店名)が表示される、またお勧めされたケーキを食べて「好み」と感じたら、そう登録することでそのお店の味に近いお店が表示される、的なサービスがあれば良いのに、と思います。もちろん、ポテトチップなど他のお菓子バージョンも欲しいです。ビジネスモデルは広告料的なものが妥当でしょう(ユーザの嗜好に合わせた選ばせないおやつのサービスはあるのですが、私は選んで、その中でも当たりを食べたいです)。
​実現すれば、予算や、相手の好み、雰囲気などからお勧めの手土産やお返しを紹介するサービスにも派生しそうです。そのようなサービスであれば、コミュニティがあり、あのお店でチーズケーキが好きならこれもお勧め、など情報交換もできそうです。
​確かに、お店を開拓する楽しみもありますが、最近は1個あたりの値段がそこそこするケーキも多く、「外したくない」を叶えてくれるプラットフォームがあれば、と思います(小山博子)。

※第一回は以下よりご覧いただけます

https://www.yanoict.com/daily/show/id/628

2020.07.06

【IT×好み】「外したくない」を叶えてくれるプラットフォーム①

矢野経済研究所 ICT・金融ユニットでは、研究員がリレー形式でコラムを執筆しています。 今年度のコラムのテーマは「IT×○○」です。「IT×金融」のFinTechをはじめ、多くの「IT×○○」が誕生しています。 研究員が、今まで耳にしたなかで面白かった「IT×○○」や、あったら面白そうな「IT×○○」について綴ります。 3人目の投稿者はクラウドコンピューティング(IaaS/PaaS)などを担当している小山です。

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私は、自他とも認めるお菓子好き(和洋甘辛問いません)で、先日もIT×お菓子をテーマに記事を書くことを考え、調査すること数日。これが、想像以上になく、結果、別のテーマで執筆しました。例えば工場をIoT化する、写真をケーキにプリントする(ラテやパッケージも含む)などは見かけるのですが、お勧めのお菓子を教えてくれるような、あったら嬉しいサービスは見つけることができませんでした(小山博子)。

2020.07.03

【個別調査のご案内】

矢野経済研究所では、企業様からのご依頼に基づき、オリジナルの市場調査の業務も行っております。
弊社の既存レポートでは知りたい内容が充分に満たせない、単なる調査結果だけではなくコンサルテーションも頼みたい、といった要望にも対応いたします
HPやメール、お電話等でご相談頂ければ、担当者からご連絡させて頂きます。費用の見積もりまでなら無料で対応いたしますので、市場データの収集やコンサルティングなどでお困りの方は是非お気軽にご相談ください。
詳細は、下記をご覧ください。
http://www.yanoict.com/service/service_e

2020.07.01

【電気圧力鍋のすすめ】

巷で話題の電気圧力鍋が手に入り、QoLが向上しています。一般的な鍋で作る煮物は火の面倒が大変で、気合いを入れて取り掛かっていましたが、電気圧力鍋は具材と調味料を全て入れてボタンを押すだけで完了。数十分後には、芯まで味が沁みながら煮崩れしていない煮物が完成しています。味の違いを最も感じたのは白いご飯。もっちりふっくら、甘みのあるご飯が炊けるので炊飯器には戻れなくなってしまいました。一家に一台、是非おすすめしたい逸品です(星裕樹)。

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2020.06.29

【TV出演のお知らせ】

矢野経済研究所の代表取締役社長 水越が明日30日(火)の朝に、モーニングCROSSにコメンテーターとして出演します。ご覧になった方は感想などもお寄せ下さい。

■日時:2020年6月30日(火)午前7:00~8:00(全時間)

■番組名:TOKYO MXテレビ「モーニングCROSS」(毎朝のニュース・情報の生ワイドショー)

http://s.mxtv.jp/morning_cross/

■チャンネル:地上波9チャンネル(091ch)

■出演内容:コメンテーターとして全時間出演

※他の共演者:谷本有香氏(Forbes JAPAN Web編集長)

■MC:堀潤氏、宮瀬茉祐子氏

2020.06.26

【モバイルPASMOへの期待と迷い】

2020年3月にモバイルPASMOがリリースされました。SuicaではなくPASMOユーザーの私としては、待ち望んでいたサービスです。「これで定期券をスマホに入れることができる」と思ったものの、スマホを落としたらダメージが大きすぎると今になって躊躇っています。元々、音楽プレイヤーをスマホとは別に持ち歩いていたり、キャッシュレス決済をスマホ決済ではなくクレジットカードで済ませてしまう私としてはスマホにサービスを集約してしまうことに二の足を踏んでしまいます。定期券を鞄から出す手間を削減できるという気持ちと、今のままでいいかと考えてしまう気持ちの間で揺れてしまっており、果たしてモバイルPASMOを使うことができるのだろうかと思ってしまいます(石神明広)。
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2020.06.24

【無料で遊ぶ、矢野経済研究所の歩き方】

無料で、マーケットに関するニュースレターやメールマガジンを受け取ったり、マーケットレポート紹介コンテンツを見ることができる方法をご存知ですか?
もし弊社からの情報が欲しい!という方がいらっしゃいましたら、YRI Webメンバー登録をしてみてください。
ご登録頂きますと、矢野経済研究所発信の各種業界およびマーケットに関するニュースレターやメールマガジン、矢野経済研究所が独自で企画した最新市場調査資料(マーケットレポート)新刊のお知らせ等各種情報の受信、マーケットレポート紹介コンテンツの閲覧等、メンバー限定のサービスを利用することができます。
http://www.yano.co.jp/regist/

2020.06.22

【在宅勤務から始まった社会人四年目】

月日の流れは早いもので社会人四年目になって数か月が経過しました。

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、社会人四年目のスタートは在宅勤務から始まりました。 在宅勤務をしてみると、出勤・移動せずに済む、私服で作業できる、などの点がメリットと感じました。

一方で、周囲に人の目がないため、職場と同様に自宅で集中して仕事を進めることには少し課題がある、という所感です。 在宅勤務に取組む中で、自宅でも集中力を上げる鍵を見つけられればと考えています(井上圭介)。

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2020.06.19

【アナリストオピニオン】COVID-19をチャンスにできなかったドローンデリバリー③

米国では規制が障壁に

米国でもまた、レストランの多くが営業停止に追い込まれ、それまでデリバリーを行っていなかったレストランでもデリバリーサービスに対応するようになった。
米国のデリバリードローンは、マターネット(Matternet)やジップライン(Zipline)が有名だが、前者はスイス、後者はアフリカと両社とも活動の場は米国以外であった。中でも、ジップラインは、アフリカのルワンダやガーナで医薬品や輸血用血液などのドローン輸送ですでに実績がある。

そんななか、ドローンの実用化に積極的に取り組むノースカロライナ州では、病院間の医療用資材輸送にドローンが活用されつつある。一方で、2019年にはフードデリバリーのパイロットテストが行われているが、まだ実用化には至っていない。

さらに、宅配大手のUPSは、医療従事者の接触拡大を防ぐ目的で医薬品のドローン配送に乗り出している。ドラッグストア大手のCVSと組み、処方箋薬などの医薬品をフロリダ州の大規模リタイアメント・コミュニティThe Villagesの住民に届けるもの。The Villagesは、自動運転バンタクシーVoyageの走行でも有名である。

米国連邦航空局(FAA)が人々の頭上を飛んでモノを輸送することを許可するのは、緊急時のみである。例えば、災害で分断された人々への医療物資供給や人命救助等であって、ハンバーガーとドリンクではないのである。また、全ての機体に識別番号を割り当て、どこを飛行しているかを把握するためFAAが目指すRemote IDもまだ整備されていない。
本来であれば、ソーシャルディスタンスを保って人間同士の接触を最低限に抑えたいこんな時期こそ、ドローン活躍の場となるはずである。しかし、米国では規制が障壁となって医薬品以外を運ぶドローンデリバリーは許認可が取得しにくい状況である。

そして、米国内でフードデリバリーを実現しているのは米国のドローン企業をではないフライトレクス(Flytrex)である。同社はノースダコタ州でドローン配送サービスの開始を発表している。DaaS(Drone-as-a-Service)企業のEASE Dronesやグランドフォークス市等との連携で、食品や医薬品などを提携店から家庭へとドローンで配達するものである。フライトレクスは、本国のアイスランドで家庭の裏庭まで直接届けるドローン配送サービスを提供している。米国ノースダコタへの進出は、COVID-19感染拡大に対応するものである。飲食店の多くが、デリバリーやテイクアウトでの提供が求められ、ドローンによる配送は不必要な接触を減らし、感染抑制に繋がるとする主張はまさに米国内企業も訴えるところである。
まさにその観点から、ドローン事業者側では、テクノロジーを活用することでもっと多くのことが可能だと考えており、障害物検知・回避機能を伴った自律飛行(操縦自動化)など日々テクノロジーのレベルアップが図られている。

他方、規制側は、デリバリーで肝要となるBVLOS(目視での視界を超える範囲外)飛行には依然慎重で、夜間の飛行も制限されている。

ドローンはフードデリバリーを担えるか

世界の主要経済圏を巻き込んだCOVID-19感染拡大で経済活動が停滞する中、マスクや消毒薬などの感染予防アイテムはもとより、世界的に小麦粉とイーストが品薄になり、米国では銃と弾薬がバカ売れするなど、思わぬ波及効果も及ぼしている。

これまでの生活様式に変化が訪れる可能性を示唆視する「アフターコロナ」「ウィズコロナ」が言われているが、フードデリバリーにとっては特殊なブースト期であり、ほとぼりが冷めれば需要が減退するとみる人々もいるが、一度デリバリーの利便性を経験した人々は、頻度こそ少なくなってもまた利用するだろう。少なくとも、今回のStay Homeを機に初めてデリバリーサービスを利用した人々は増えている。また、従来は来店客のみを対象として料理を提供していた店舗がデリバリーメニュー開発のきっかけを与え、顧客のデリバリー慣れを促したことから、拡大したフードデリバリーはある水準で定着すると思える。

しかし、そのデリバリーをドローンが担うようになるまでには、視界外飛行での安全性など、まだまだクリアすべき課題は多い。そして何より、フードデリバリーでも利益が出るような仕組み必要になるだろう(古舘渉)。

※全文は以下よりご覧いただけます

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/287

2020.06.17

【アナリストオピニオン】COVID-19をチャンスにできなかったドローンデリバリー②

中国のフードデリバリーとドローン活用

中国のフードデリバリーでは、テンセントが出資する美団外売(Meituan Waimai)とアリババ傘下の餓了么(Ele.ma)が有名である。外食店にとっては、新型コロナ感染防止の観点から店内での飲食が禁止されるなか、デリバリーが生命線になっている。

両社とも、自走式配送車両やドローンを活用する無人配送は2018年ごろから構想してきた。
そして、COVID-19をきっかけに、中国では上空から人の集まりを監視したり、赤外線センサーで体温計測をしたり、消毒薬の散布を行ったりといった用途にドローンが活用されている。

中国でデリバリードローンを展開するANTWORK(迅蟻)は、COVID-19の拡大に伴い、医療機関への医薬品やテストサンプルなどの輸送を行っており、浙江省の病院で300回以上の輸送を実施したという。同社でも、当初はフードデリバリーなどの日常的な配送に着目していたが、医薬品輸送に求められるタイムリー性などの面でよりドローンによる配送に相応しいと判断した。昨年2019年10月に、中国航空局から都市部でのドローン輸送の許可を取得し、奇しくも今回のCOVID-19流行が初めての実用の場となった。
ANTWORK社は、日本のブルーイノベーションと開発で提携、テラドローンとはパッケージシステム販売で提携している。

Huaweiは、最新スマートフォンP40を2020年4月8日に発売したものの、小売店舗は軒並み営業停止中であった。そこで、美団外売と連携して、最短30分で近くの携帯電話ショップからデリバリーする方法をとった。

通販大手の京東(JD.com)でも、3月に新発売となったApple製品の販売に合わせて顧客の玄関口で旧品の下取りサービスを行っている。京東もまた、早くからドローンデリバリーに着目している企業の一社でもある(古舘渉)。

※全文は以下よりご覧いただけます

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/287

2020.06.15

【アナリストオピニオン】COVID-19をチャンスにできなかったドローンデリバリー①

活況を呈するフードデリバリー

新型コロナウィルス感染者が世界中で猛威をふるうなか、ドローンによる配送が改めて注目されている。マシーンを介在した自動化で人間同士の接触を最小限に抑制できるうえ、Stay Homeで急増したオンラインショッピングやフードデリバリー需要にも応えることができる。

ライドヘイリングのUberでは、人々が出かけなくなった分ライドシェア配車による収益は減少したが、Uber Eats(フードデリバリー)が減少分をカバーしたという。2020年第1四半期のUberへの配車リクエストは対前年比3%ダウンとなったのに対して、フードデリバリー注文は54%アップとなった。主力であるライドヘイリングは、長引く世界規模の都市閉鎖を受け2020年4月の配車リクエストはグローバルで80%ダウンである。

いち早くCOVID-19の影響を受けた中国湖北省の武漢市は、2020年1月23日に都市閉鎖となり、きわめて厳格な外出制限が実施された。都市間で対応に差はあるが、スーパーへの買い物は3日に1回など外出が厳密に管理され、通勤の必要がある職種には通行許可証が発行された。海外からの帰国者は特に外出が厳密に制限され、毎日の訪問を受けるなどということもあったという。ピーク時には、中国国内7億6千万人が外出制限の対象となった。

中国都市部の居住区(団地)は、外部からの侵入者を防ぐために柵で囲われたゲーテッド・コミュニティになっているところが多いが、今回は逆に居住者を閉じ込めるための柵に役割が変わった。ゲートでは出入りする人々全員の体温が測定され、通行の履歴が管理された。柵で囲われていなかった地方の小規模マンションにも、一夜にして柵が建設された。高速道路を含む主要な道路も正式な許可証なしでは通行できなくなった。
そのため、ネットスーパーでの食料品購入やフードデリバリーが活況を呈した(古舘渉)。

※全文は以下よりご覧いただけます

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/287

2020.06.12

【ワッツセミナー(6/23)のご案内 ICT・金融ユニットはデジタルマーケティング市場について講演】

矢野経済研究所は、2020年6月23日(火)にオンラインライブ配信にてワッツセミナーを開催いたします。
当日の講演は以下の通りです。

『vol.66 アフターコロナの菓子業界
開催日時:2020年6月23日(火)13:00~14:00
受講料:5,000円(税別)
詳細・お申込みはこちら


『vol.67 飲料用容器市場の現状
開催日時:2020年6月23日(火)14:30~15:30
受講料:5,000円(税別)
詳細・お申込みはこちら


『vol.68 デジタルマーケティング市場の実態と展望
開催日時:2020年6月23日(火)16:00~17:00
受講料:5,000円(税別)
詳細・お申込みはこちら


ICT・金融ユニットからは宮川が登壇し、デジタルマーケティング市場について講演いたします。
 
「デジタルマーケティング市場の実態と展望 ~DMP/MAツールの活用実態について~」
 
DMP市場においては、顧客をセグメント化して管理するのではなく、顧客個人を軸としたデータ管理を行うプライベートDMPの利用が確実に増えている。CDPを利用することにより、ユーザー企業は顧客個人を軸にデータをリアルタイムに収集し活用していくことで、顧客がどのような経緯で自社サイトに到着し、自社サイトでどのようなコンテンツを閲覧したのか、といったカスタマージャーニーを追いやすくなる。さらに、顧客ひとりひとりを軸としているため、広告、メール、DMなどの配信チャネルの使い分けなど、マーケティング施策をより高い確度で実施できる。
1.DMP/MA市場概況(市場規模、動向、各社の動向等)
2.今後の展望(※アフターコロナのデジタルマーケティング等)
※お申込みはこちらよりお願いいたします

https://www.yano.co.jp/seminar/whats/2020/0623_3.html

2020.06.10

【IT×アンケート調査】 時間は短く費用も安く②

矢野経済研究所 ICT・金融ユニットでは、研究員がリレー形式でコラムを執筆しています。 今年度のコラムのテーマは「IT×○○」です。「IT×金融」のFinTechをはじめ、多くの「IT×○○」が誕生しています。 研究員が、今まで耳にしたなかで面白かった「IT×○○」や、あったら面白そうな「IT×○○」について綴ります。 2人目の投稿者は、事業創造コンサルティンググループのユニット長も務める野間です。

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一方、現在のWebを使ったアンケート方式ですと、対象者は最初にモニターとして事前に登録されていますので対象者の抽出は一瞬です。封筒、アンケート票の印刷は不要、封かん作業も不要、郵送不要、もちろん返送も不要です。さらにWebのアンケートでは、回答者自身が回答結果を入力してくれますので、回収したアンケートの入力も不要です。またコストに関しても印刷代、郵送代等一式が不要になります。紙のアンケートなら2か月程度かかっていたアンケート集計結果が、早ければ僅か1日で得ることができます。

アンケート調査をする機会は一般の人にはそう多くはないと思いますが、この説明だけでどれほど効率化されたか、何となく想像がつきませんか(野間博美)?

○前回のコラムは以下よりご覧いただけます

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/617

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2020.06.08

【IT×アンケート調査】 時間は短く費用も安く①

矢野経済研究所 ICT・金融ユニットでは、研究員がリレー形式でコラムを執筆しています。 今年度のコラムのテーマは「IT×○○」です。「IT×金融」のFinTechをはじめ、多くの「IT×○○」が誕生しています。 研究員が、今まで耳にしたなかで面白かった「IT×○○」や、あったら面白そうな「IT×○○」について綴ります。 2人目の投稿者は、事業創造コンサルティンググループのユニット長も務める野間です。

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私が個人的に感じている、ITの活用によって劇的な変化がもたらされた業界を挙げるとするなら、それは自身が身を置いている調査業界の一つの方法であるアンケート調査です。

かつて消費者向けのアンケート調査と言えば、郵送による紙のアンケートが中心でした。業界では今でも多くの郵送アンケートが実施されてはいますが、それに取って代わる存在になりつつあるのがWebによるアンケート調査です。

まず、従来から実施されてきた紙のアンケート調査の主な作業の流れを説明すると、調査対象者のリスト準備→封筒への宛名の印刷→アンケート票の印刷→アンケート票の封かん→郵送→アンケートの記入→アンケート票の返送→一票、一票の入力→集計という流れになります。件数にもよりますが、最低でもざっと2か月程度は必要になります。また、郵送費、印刷費、返送費、入力の人件費など、諸々の費用も必要になってきます(野間博美)。

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2020.06.05

緊急調査「新型コロナ収束後の世界と企業経営」の調査結果速報

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、新型コロナウイルスが企業の当期業績に与える影響と収束後の経営環境変化を予測すべく、第一線で活躍する企業経営者、ビジネスパーソンに大規模なアンケート調査を実施しました。
 

【調査結果サマリー】
1.新型コロナによる通期業績への影響
収束時期が6月中であれば通期売上高の減少は計画比で8%にとどまる。しかし収束が10~12月期にずれ込むと、下振れは27%まで拡大する。(図1参照)打撃の大きい宿泊・飲食サービスに限ると、6月収束でも30%減、年末収束では54%減収となる。(図2参照)

業績悪化の直接的要因は外出自粛、休業要請による需要減とそれに伴う国内取引先からの受注減。さらに、在宅勤務による営業活動の制約や、イベントや展示会中止による営業機会の喪失が業績に大きな影響を及ぼしている。

2.新型コロナを契機とした新たな取り組み
55%が在宅勤務、テレワークをスタートさせたと回答。フレックス制度・裁量労働の導入(15%)、副業の容認など働き方の多様化を進めている。

事業面では生産・販売体制の見直しや事業の多角化など、ビジネスポートフォリオの見直しに取り組むほか、回答者の38%が研究開発投資の拡充を課題として挙げ、34%が中国での生産態勢の見直しを指摘した。

3.世界はどう変わるか
94%が社会のIT化が加速し産業の新陳代謝が進むと回答。自国第一主義の定着・強化(49%)を予測する回答も多かった。
安定・節約志向が高まり、家計はより防衛的になる。一方、都市への人口集中がリスクとして認識されることなどから、地方が活性化するとの回答も41%あった。

【調査要綱】
・2020年4月22日~5月18日
・大手・中堅企業の経営者、ビジネスパーソンを対象にwebアンケートを実施
・有効票、810票

尚、当社では本アンケート調査の詳細分析に各業界担当の理事研究員による未来予測を加えた戦略レポートを6月末に出版する計画です。
貴社の経営戦略、成長戦略の策定にお役立ていただければ幸いです。

<お問い合わせ先>
矢野経済研究所 未来企画室
品川、戸間
Email:mirai@yano.co.jp

2020.06.03

【DMの精度向上を実感】

よく行く百貨店から届くDMの精度向上を実感しています。その百貨店が一年ほど前に某会社のSaaSを導入したことはリリースを読み、知っていました。効果を実感するまでには一年ほどかかるだろう、と楽しみにしていたのですが、これが本当に凄い。それまでは、欲しいDMが届かなくなったり、ピントのずれたDMが届いていたのですが、今やすっかりそんなことはなくなりました。時折、いつも買うお店よりも価格がやや上の案内も届きますが、この「やや上」であるところにアップセルへの期待を伺わせます。先日は新規出店のチョコレートショップのDMが届き、1,000円以上買うと先着900名におまけをプレゼント、と書いてありました。行かないわけがない。我ながらちょろいな、と思います(小山博子)。

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2020.06.01

【日本の中古重機・建機 used in Japan】

以前、あるテレビ番組を見ていましたら、クレーン車などの中古の
重機や建機のオークションを行っていました。世界各国からバイヤーが来日し、競り落とそうと駆け引きを繰り広げており、その日だけで600台強が出品され売れ残りナシ。取引額は確か合計22億円近くだったそう。
さて、インタビューを受けたバイヤーによると、日本の中古重機・建機は、使い方やメンテナンスが行き届いており、信頼性が高く、非常に人気が高いのだそうです。made in Japanならぬ、used in Japanといったところでしょうか。
重機や建機は過酷な環境下で動いている一方、センサー等を含めたIoTを取込みながら高度化を進めている分野でもあります。
価値をいかに落とさずに、「次」に引き渡していけるのか。中古の世界でも「やはり日本品質は違うな」との価値観を維持していくうえで、今後、益々、自動運転なども含めてITの果たす役割は大きいと言えそうです(山口泰裕)。

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2020.05.29

【公演中止で感じたこと】

私は音楽や演劇などが好きで週末頻繁に劇場に行くのですが、新型コロナであらゆる公演がキャンセルになり、チケット払い戻しとなりました。これがけっこう面倒で、発券と同じコンビニ店舗に持ち込んで現金を受け取ったり、書類同封で郵送し後日振替払出証書が返送され郵便局で換金したり、購入方法によって手続きが異なり受付期間も決まっています。チケット制度は不便なもので、キャッシュレス化・ペーパーレス化が進むことを期待しています。もっともそれ以上に、文化・エンターテイメントは生活に欠かせないものだということに気づかされています(小林明子)。
※画像はイメージです

2020.05.27

【TV出演のお知らせ】

矢野経済研究所の代表取締役社長 水越が明日28日(木)の朝に、モーニングCROSSにコメンテーターとして出演します。ご覧になった方は感想などもお寄せ下さい。

■日時:2020年5月28日(木)午前7:00~8:00(全時間)

■番組名:TOKYO MXテレビ「モーニングCROSS」(毎朝のニュース・情報の生ワイドショー)

http://s.mxtv.jp/morning_cross/

■チャンネル:地上波9チャンネル(091ch)

■出演内容:コメンテーターとして全時間出演

※他の共演者:調整中

■MC:堀潤氏、宮瀬茉祐子氏

2020.05.25

テレワーク時の電話は誰が取るか

新型コロナウイルスの感染防止により、テレワークによる勤務が推進されている。急遽テレワークの制度を導入した企業に発生する問題の一つとして挙げられるのが、社内の外線電話の電話番を誰がするのかという点である。多くの企業では、輪番制により対応する、個人の携帯電話に転送するといった方法が一般的かと思われる。担当専門外の思い付きではあるが、外線電話の取次ぎを外部委託するサービスの導入も解決法の一つになるのではないだろうか。委託先が外線の一次受付を代行して行い、必要に応じて自社の担当者にチャットやメールで要件を伝えてくれる。担当者は内容に応じてメールや電話の折り返し等で対応する。そもそも社内の外線対応をなくしてしまうという発想である。活用場面はテレワークに限らず、外線電話の取次ぎを外部に委託することで社員は電話対応から解放され、業務の効率化にもつながるという。

また、メールやチャットの普及に伴い固定電話を取る機会が減り、電話に出ることに抵抗を感じる「固定電話恐怖症」を訴える社員が増えてきているという。固定電話を設置しない家庭も増加しており、知らない人からの着信に不安を覚えるようである。外線電話の外部委託はそういった社員の救世主にもなるのだろうか。(石神 明広)

2020.05.22

【コロナウイルスが蔓延して境界線について考える】

最近、「境界線」という言葉をよく思うことがあります。世界中に蔓延するコロナウイルスは、野生動物からの感染だとするならば、現在のウイルスは野生と文明の境界線を越えてしまった行為がもたらしたものだと考えらえるからです。

中・韓・日間での人の移動、さらにアジア、さらに欧米への移動への厳しい制限も、それを下しきれなかった判断力のなさ――などがメディアで報じられていますが、それも境界線をどう引くか、どう考えるかということでしょう。

通勤電車に乗ると、9割くらいの乗客がマスクをしています。これは自分の菌を他者にうつさないようにするだけのものではなく、他者のものを自分の体内に取り込まないようにするためのもの。これも境界線でしょう。

かつて、電車に乗っていて、隣の席の乗客がゴホゴホ咳をしていたので、逆隣りの友人に「向こうの席に移ろうか?」といったら、友人に「自分たちはひとつの世間という水槽の中で一緒に生きている仲間だ。誰かが風邪をひいて、自分にうつっても仕方ないと思って生きるべきだ」といわれ、「この人の境界線の方が素敵だな」と思ったものでした。しかし、今のコロナウイルスの世界の中でそれがいえるかどうか――は微妙なところでしょう(森健一郎)。

※画像はイメージです

2020.05.20

【IT×不便益】 不便益という考え方

矢野経済研究所 ICT・金融ユニットでは、研究員がリレー形式でコラムを執筆しています。 今年度のコラムのテーマは「IT×○○」です。「IT×金融」のFinTechをはじめ、多くの「IT×○○」が誕生しています。 研究員が、今まで耳にしたなかで面白かった「IT×○○」や、あったら面白そうな「IT×○○」について綴ります。 1人目の投稿者はユニット長の忌部です。

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「不便益」というものを研究している方が、京都大学にいらっしゃるというのをテレビで見かけた。“富士山の頂上に登るのは大変だろうと,富士山の頂上までエレベーターを作ったら,山登りの意味がない”、というように、不便だからこそ得られる益を「不便益」と定義しているとのことである。この概念をシステムデザインに活かすことで、例えば、日常生活にあえてバリアを作りこみ身体能力を衰えさせない空間づくりなど、新たな価値を生み出すことができる。

ITといえば、ひたすら便益を追求してきた、便益の権化のような存在だと思うが、真逆の発想でシステムデザインができるというのがすごく新鮮であった。

新型コロナ以降、テレワークが普及するようになったが、「オフィスに行く」という不便は、多くの益をもたらしていたようにも感じられる。ちょっとした雑談があり、電車の中吊り広告で時代を感じたりなど。ITが奪ってきた不便益、きっとほかにもあるんでしょうね。(忌部佳史)

2020.05.18

【IT×香り】 無機質なITに香りがあったらどうなるだろうか

矢野経済研究所 ICT・金融ユニットでは、研究員がリレー形式でコラムを執筆しています。 今年度のコラムのテーマは「IT×○○」です。「IT×金融」のFinTechをはじめ、多くの「IT×○○」が誕生しています。 研究員が、今まで耳にしたなかで面白かった「IT×○○」や、あったら面白そうな「IT×○○」について綴ります。 1人目の投稿者はユニット長の忌部です。

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矢野経済研究所はさまざまな分野を調査フィールドにしているが、入社する若手社員に希望を聞くと、悲しいことにITは人気が低い。どうやらその要因は、姿・形が見えにくいことにあるようで、確かに、化粧品や産業機械に比べれば、ERPやクラウドなんてものは、抽象的で掴みどころがなく、論理的で無機質な印象を持たれても不思議ではない。

せめてこの無機質な印象だけでもなんとかならないかと、たまに思うのが、香りである。IT×香りと書いてしまうと、焼き鳥の匂いをITを使って遠隔地で再現するというような話に思われるかもしれないが、そうではない。ITそのものに香りが欲しい、という趣旨である。工場には工場の匂いや香りがあるように、システムから、いかにもそのシステムらしい香りが漂うようなことがあれば、少しは無機質なシステムの印象が和らぐのではないだろうか。スイート製品だと、いろいろな香りが混ざって、気持ち悪くなるかもしれないが…。(忌部佳史)

2020.05.15

【アナリストオピニオン】「オートモーティブワールド2020」レポート コロナウイルス感染直前のAMワールドで感じたCASE対応動向③

オートモーティブワールド2020~専門技術セミナー

本展示会では専門技術セミナー(有料)も充実しており、専門の講師の講演を聴講する事が可能で、最新の技術やマーケット動向を知る事が出来る。コネクテッドカー、MaaS(Mobility as a Service)、自動運転/ADAS、EV/FCV(燃料電池車)といった、自動車業界注目のトピックを扱う専門技術セミナーが全80講演(同時開催展除く)開催された。
今回の取材は、「スマートシティ」「車載HMI」「自動運転カーによるシェアリングサービス」等のセミナーについて実施した。

■スマートシティ
トヨタ自動車が「CES2020」にて、東富士工場の跡地で新たにスマートシティを建設することを発表したため、それを受けて今回の講演でもスマートシティにふれる企業が複数あった。
だがどの企業もトヨタ「ウーブン・シティ」や、グーグル「IDEA」のような具体性はなく、「スマートシティ内を走行するモビリティーとはどのようなものになるか」「MaaSの先に見えるスマートシティ」というレベルにとどまっていたのではないか。

■車載HMI
ボッシュでは「スマートシティでのモビリティーとは、個人データ収集とその解析・活用」として、液晶ディスプレイとカメラ、AIからなる革新的なサンバイザー「バーチャルバイザー」をアピールしていた。

■自動運転カーによるシェアリングサービス
RIDECELL社は、当初「2020年までには無人走行車(レベル4以上の自動運転カー)が動いている」といわれていた予測に比べて、現実はかなり遅れてしまっている」というところから話し始めた。
だが「無人走行車が、EVになり、シェアリングサービスで活用されるようになった場合、そこから普及の可能性は広がっていく」という趣旨で述べていた。

オートモーティブワールド2020~最後に

今回の展示会、専門技術セミナー講演を通して感じたことは、間違いなく訪れるCASE時代を生き伸びるために、各社が単独でがんばるのではなく、相互に補完関係を築きあげられる相手との企業提携・企業再編に乗り出す具体的な動きであった。
ただし、この世界的な自動車市場減少と、コロナウイルス被害による影響が、大きな重荷となって自動車及び周辺産業にのしかかり、それがCASE時代到来の時期をかなり遅くしてしまうのではないか・・・・・・という危惧がある。
だが、ビジネスは形が整ってから参入したのでは成功しない。「限られる投資をどこに向けるべきなのか」を見すえたうえで、CASEの未来をうまく掴んでほしいと願っている。(森健一郎)

2020.05.13

【アナリストオピニオン】「オートモーティブワールド2020」レポート コロナウイルス感染直前のAMワールドで感じたCASE対応動向②

オートモーティブワールド2020~各社の展示状況

■CASE時代サバイバルのための企業再編

日本電産(Nidec。次の写真)はもともと自動車におけるモーター専門メーカーとして、Tier1に納品してきたTier2である。ただし2014年にホンダエレシス(現・日本電産エレシス)を、2019年にオムロンオートモーティブエレクトロニクスを買収。それまでの車載モーターだけの自動車関連事業から、「アクティブセーフティ」や「ボディ電装」「EPS」「電源制御」などの、より大きなユニットベースでの受注が可能となったことで一気に急成長の流れに乗った。さらにCASEにおける「E」の部分、EV車両に搭載されるトラクションモータシステム「E-Axle」を、2019年に中国の自動車メーカー・広州汽車の量産 EV「Aion S」に提供した模様。 同社のモーター専用メーカーから、ユニットベースでのカーエレメーカーへのシフトは、前述したようなM&Aにより実現したといえる。CASEに向けての新機軸は、自社保有技術力だけで実現できるとは限らない。同社のようなM&Aこそがもっとも効率よくCASE時代に適合した部品メーカーになりうる手段といえるのかもしれない。2019年には車載事業を専門とする日本電産オートモーティブを設立した。

 

企業再編で一気に次世代に向けて動き出したのは日本電産ばかりではない。ケーヒンはもともと本田技研工業のTier1としてパワートレイン、シャシー、エアコンなどの部品を手掛けていたホンダ系列の部品メーカーであった。しかし、2019年に日立製作所と本田技研工業は、ケーヒンを他のホンダ系部品メーカ2社(ショーワ、日信工業)と共に、日立オートモーティブシステムズ(日立AS)と統合化すべく踏み切った。4社の統合により売上高1兆7000億円規模の巨大サプライヤが誕生。また日立グループと本田技研工業との間には強いパイプができた模様。具体的にはCASEにおける「A」の部分、自動運転向け開発のために、IT、ソフトウェア、パワトレ、シャシー、ボディ、ADASという要の部分を一体化できることになったのだ。

CASE時代を前に動いた部品メーカー再編はこればかりではない。
ここ2年の間に国内のTier1らが大きく動き出している。アイシン精機とアイシン・エィ・ダブリュとの経営統合。アルパインとアルプス電気との経営統合。富士通テンのデンソーグループ入り。デンソーとアイシン精機が設立した電動駆動モジュール開発会社「BluE Nexus(ブルーイー ネクサス)」。目立つところだけでもこのように数多い。
さらに再編は国境を越えてカルソニックカンセイと仏マレリの合併、クラリオンの仏フォルシアグループ入り、もある。
CASE対応のためには大きな投資が必要であり、より大きなユニット、より大きなソリューションでのビジネスが求められるようになる。そのための部品メーカー再編が今回の展示の中でも目についた。

■車載ソフトウェアでも進む企業提携・企業再編
CASEを前にした企業再編はハードウェアだけではない。ソフトウェアメーカーにも及んでいる。
CASEでは「C(コネクテッドカー)」はもちろんのこと、「A」「S」「E」の全てがコネクテッドとなり車両側とクラウド側とがつながる事で成立する。そして、クラウド側でのAI解析や、車載側での決済、車載センサの高速AI処理など、ソフトウェア技術が自動車の重要な部分を担うようになっていく。そして、ソフトウェアにおける激烈な競争に打ち勝つためには単独の技術だけでは不足するため、技術提携や企業買収が巻き起こることになる。
今回の展示会場にも、ソフトウェア企業における多くの企業再編の跡が見え隠れしていた。ただしソフトウェアの場合は工場ラインが存在しないため、もう少し自由にゆるやかに企業提携というスタイルが多い印象だ。
次の写真は、検証サービスベンダであるVERISERVE がCASEの「S」であるモビリティーサービスの検証ビジネスに参入したことを表したものである。同社は元々SCSKの子会社として設立され、その後自動車のテスト事業で大きく成長したが、2019年に再びSCSKによるTOBが成立した。

海外からも、思いもかけないITベンダが自動車市場に向けて参入してきた事例がある。下記の写真はマイクロソフトが自社ブースにおいて映していた「MaaS発展に向けた支援策」の一部である。CASEのS(シェアカー。MaaSサービス)を重要視していることは明らかでありながらも、「自らはサービス事業者にも、プラットフォーマーにもならない。」としている。
取り組み内容としては、MaaS版リファレンスアーキテクチャーをパートナー企業と開発して、それを無償提供し、次世代MaaSプラットフォーマーを人材面、技術面で支援していく試みとなる模様。その上で、MaaS分野におけるパートナーとのエコシステムを強化し、自社ビジネスはそこから生み出すということだ。

マイクロソフトは誰もが知るPCのOS「Windows」で1980年代から大きく成長した企業である。OSを中核として、様々なアプリケーションが生まれ、発展し、インターネット関連ビジネスの普及へとつながっていった。
現在、自動車のECUの世界においても、PCの「Windows」や、スマートフォンの「iOS」「Android OS」のように標準化・プラットフォーム化を推進しようという動きが出てきている。そのひとつが欧州から始まったプラットフォーム「Autosar」である。
国内でもAutosar仕様に準拠したソフトウェアプラットフォームを開発・販売している企業がある。前述のSCSKもその1社だ。
また名古屋大学の高田広章教授が中心となって設立したAPTJも同じく、オールジャパンで日本独自のソフトウェアプラットフォームを立ち上げようと、「Julinar SPF」を開発した。2018年から6社のパートナーソフトウェア企業(ヴィッツ、キヤノンITソリューションズ、サニー技研、東海ソフト、富士ソフト、菱電商事)を通して販売している(下記写真)。

デンソーが立ち上げたオーバスでも、AutosarのAP(Adaptive Platform)で用いるサービス指向通信(SOME/IP)をCP(Classic Platform)でも対応できるようにする「AUBIST SOME/IP」のデモンストレーションを披露していた。2020年度内にプロトタイプを提供し、2021年度の正式提供を目指している模様。
オーバスは2016年に設立されたデンソー、イーソル、日本電気通信システムとの合弁会社である。2019年にはデンソーから、パートナーであるイーソルに向けて、出資が行われている。

自社だけの技術力では覚束ない。国内の、海外の、ハードウェアの、そして今後自動車の中核となるITソフトウェアの互いを補えあえる相手を見つけての企業提携・企業再編こそが、CASE時代の自動車産業でのサバイバルに備えるために必要なのだ(森健一郎)。

【写真:日本電産(Nidec)のアピールするカーエレクトロニクス部品】
【写真:ケーヒンのアピールするパワートレイン部品】
【写真:VERISERVEのアピールするモビリティーサービス検証ビジネス】
【写真:マイクロソフトのアピールするMaaS発展に向けた支援策】
【写真:APTJのアピールするJulinar SPFサービス】
2020.05.11

【アナリストオピニオン】「オートモーティブワールド2020」レポート コロナウイルス感染直前のAMワールドで感じたCASE対応動向①

※:CASE
       Connected=つながるクルマ
        Autonomous=自律運転
         Shared=共有するモビリティ
          Electric=電動車・EV

オートモーティブワールド2020~全体

■開催概要
オートモーティブ ワールド 2020」は、2020年1月15日~17日の3日間、東京ビッグサイトにて開催された。同展示会は「第34回 ネプコン ジャパン」等と同時開催されており、来場者数は単独で38,992名、同時開催展と合計で67,169名となった。自動車関連展示会では世界一の1,017社が出展した。
期間中は展示会とあわせてコネクテッドカー、MaaS、自動運転/ADAS、EV/FCV(燃料電池車)といった、自動車業界注目のトピックを扱う専門技術セミナーが全80講演(同時開催展除く)開催された。今回の講演も満員が相次ぎ、特に基調講演では会場内に聴衆が入りきれず、別会場にて同時ビデオ講演が実施された。

■コロナウイルス感染拡大中も続いているCASE対応
2020年4月現在、コロナウイルス「感染」拡大を防ぐため、多くの展示会やセミナー、講演会が中止・延期となっている。今回のテーマ「オートモーティブ ワールド 2020」はわずかに開催時期が早かったため、講演会は前述したように満員御礼が相次ぐ盛況で取り行われた。現在から考えると夢のような状況に思える。もちろん今後できるだけ早く回復することで、これが当たり前な状況に戻ることを願ってやまない。
自動車産業でもコロナウイルス「感染」の影響は甚大で、世界の多くの自動車工場が生産停止に追い込まれており、これでは販売台数の悪化も避けられない。しかし、注意すべきは、コロナウイルス「感染」以前の2019年から世界の自動車市場は既にダウンしていたということだ。
2019年の世界新車販売台数は9,100万台と対前年比95%程度に減少した。特に中国新車販売台数は2,570万台と対前年比93%に減少した。期待の新興国においても同様である。インドが370万台と対前年比84%。ASEAN5か国でも335万台と対前年比97%。日本・米国・西欧はほぼ横ばい推移だったものの、これからモータリゼーションの盛り上がりが期待されていた新興国が減少したのである。たしかに2019年には米中貿易戦争、中国の自動車不況、英国のEU離脱など、世界経済にマイナス影響を与える多くの出来事があった。

自動車業界関係者からは「コロナウイルスの影響で20年も世界販売台数減少となりそうだ」「目先の自動車が売れなくなってはCASEの未来に思いをはせることもできない」などの声も出てきた。

さらには「販売台数減少がCASE対応によるOEMのコスト増に重くのしかかってきた」「新車販売台数減少にはMaaSシフト(CASEのS。Shared。クルマを買わずにシェアして使用すること)による影響もある」「新車が売れない状況下でOEMがCASE関連スタートアップ企業への投資を引き上げるのではないか」という具合に現状、自動車産業にとってCASEは逆風的な存在となっているのかもしれない。
だが逆に、ここで誰も彼もがと押し寄せてきていたCASEプレーヤが選別され、強い逆風に耐えられる強い企業がわかり、本当のCASEの姿が見えてくるかもしれない。長期的視点で見ればCASEこそは間違いなく10年後、20年後の自動車産業・自動車向けIT産業の目玉となることは今も変わらないのだから。

既に世界の自動車販売が減少化しつつある中で、それがCASEに向けてどの様に影響していくのかを把握し、どうすればその影響下でも自動車産業を成長させていけるかを考える必要がある。

ここではコロナウイルス「感染」直前の「オートモーティブワールド2020」展示会・セミナーにおける各社のCASE関連動向をまとめた。1月開催の展示会を記事にするのにはやや遅れた感があるが、コロナウイルスの影響が収まった時、再びCASEに対する熱い視線が戻ってくるものと考え書いていく。(森健一郎)

【写真:ライブビデオ講演会場で実施された基調講演】
2020.05.08

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