矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

デイリーコラム


2023.12.04

【アナリストオピニオン】5Gスマホを復活させたHuaweiは再び浮上するか?②

Hisilliconが7nmプロセスSoCを開発

2023年9月に発表されたHuaweiの最新スマートフォン「Mate60」「Mate60Pro」は5G・衛星通信に対応し、更にHuawei傘下のHiSilicon製の新型SoC「Kirin 9000s」を搭載したことが大きな話題となった。当初、政治情勢を考慮したのか新型SoCの存在は伏せられていた。新SoC「Kirin 9000s」は7nmプロセスで製造されたものとみられている。今回、存在が表面化した新SoCは新設計ではなく、規制前に製造されていた「Kirin 9000」シリーズの派生型とされる。当初5Gに対応したSoCの製造は5年以上掛かるとみられていたのにも関わらず、僅か3年で対応してきたことに対し、市場では大きな驚きをもって迎えられている。

対応出来た最大の要因として、HisiliconからSoCの開発・製造を受託している(中)中芯国際集成電路製造(SMIC)が同業の世界最大手である台湾積体電路製造(TSMC)から上級エンジニアを含む開発チームをヘッドハンティングしたことが挙げられている。
更に上級エンジニア経由で半導体製造に必要とされるオランダASML社製の極紫外線ソグラフィ(EUV)、深紫外線リソグラフィ(DUV)といった米国から禁輸措置に指定されている機器を入手したとされ、新SoCはヘッドハンティングされた開発チームに拠って開発されたものと予測されている。(賀川勝)

※全文は以下よりご覧いただけます

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/394

2023.12.01

【アナリストオピニオン】5Gスマホを復活させたHuaweiは再び浮上するか?①

Huaweiが5Gスマホ販売を再開

2020年秋、米中貿易摩擦の影響で(中)華為技術(Huawei)は米国商務省から「エンティティリスト」に登録され、5G無線通信に対応した半導体及び半導体製造装置の同社への売却を禁止された。現在では更に(中)ZTEも制裁対象に加えられ、2022年11月以降、米国市場では中国企業の通信機器全般の販売が禁止されている。(一部例外あり)

米国による制裁措置の結果、Huaweiは2020年10月以降、同社製スマートフォンに搭載するチップセット(SoC)の調達が不可能となった。更に(米)Google「AndroidOS」のアップデートを含むサポートも受けられなくなり、同社のスマートフォンは西欧、東南アジアをはじめとする世界市場での出荷停止を余儀なくされた。 Huaweiは影響を最小限に留めるため、同社が若年層向けに展開していたサブブランド「Honor」を別会社化した上で売却する措置を取ったものの、Huaweiは西欧市場をはじめとする世界の主要市場からの撤退を強いられた。最終的には中国市場など一部市場にて独自OS「HarmonyOS」を搭載した4Gスマートフォンを販売継続する程度となった。Huaweiのスマートフォン出荷台数はピーク時の2億2,000万台から4,000万台への縮小している。
同時にHuaweiの基地局ビジネスも影響を受けたが、影響は西側諸国の一部の契約を失った程度に留まり、減少分は中国国内5G投資に充てられ、結果的に5G向け基地局の設置数は2022年には300万局を超え、世界トップの5G市場となっている。(賀川勝)

※全文は以下よりご覧いただけます

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/394

2023.11.29

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2023.11.27

【アナリストオピニオン】パナソニックグループにおけるAIを巡る取組み動向――人材育成およびAIガバナンス③

3.AI人材の活用傾向および事例

(1)活用傾向
2018年以降、B2B系の事業会社がAI活用を多く手掛けており、例として空港での窓口係員の業務負担低減・効率化に貢献する顔認証ゲート や、問い合わせ窓口におけるチャットボット活用のように、コスト削減や業務効率化に関連した案件が多い傾向にある。
また、省エネ制御や故障予知などでは、従来、人が担ってきた業務をAIがより高いレベルで対応できるようになってきた点において、AIは「プラスアルファ」の位置づけにある。
また今後、民生機器向けでは「こんな機能があったら便利」などのニーズに応える形でAIの適用先が増えていくものとみる。ただし、適用に際してお客様価値とコストとのバランスをみていく必要があると指摘する。

(2)活用事例
育成したAI人材を積極的に活用し、全社のデータ活用による価値創出や底上げに貢献している。具体的には、工場や物流拠点、店舗等における人・モノの動線抽出・分析、レイアウト・工程・スケジュールの最適化により、業務のムダを発見・改善につなげる取組みを行っているほか、デバイス系を手掛ける事業会社では少量多品種を生産しているため、ニーズや社会動向等を踏まえたマーケット変動要因に基づく需要予測、製造状況の変動要因に基づく在庫予測が重要となる。
また、エアコンや業務用空調、冷蔵ショーケースなどを手掛ける事業会社では、省エネ制御や保守・メンテ時期の予測についてAIを活用しリモートで手掛ける取組みもある。このほか、AIを活用した新材料開発(マテリアル・インフォマティクス)やセキュリティゲートにおける顔認証技術の適用、IoTサイバーセキュリティなど幅広い領域で取組んでいる。

4.AIガバナンスに係る取組み

パナソニック ホールディングスは、民生機器を取扱っているため、よりセンシティブにAIの品質問題や倫理問題を取扱う必要があると認識。そこで2022年8月に顧客への約束としてAI倫理原則を策定、公表している。最近では生成AIが登場するなか、透明性や説明責任、顧客のプライバシー保護などの重要性が増してきている。
そうしたなか、同社では事業会社ごとの判断スピードを緩めることなく、かつグループ全体で必要なサポートを整備していく、メタ・ガバナンスの体制を採っている。サポートの一例として製品開発の各フェーズで活用することを想定した、AI製品・サービスの特性にあわせて必要十分なチェックリストを自動生成する 「AI倫理チェックシステム」を各事業会社に提供する。また、全社横断のAI倫理委員会では、全社の案件一覧を把握、高いリスクが予想される案件や相談があった際には早急に対応できるような体制を整えている。

※全文は以下よりご覧いただけます。

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/393

2023.11.24

【アナリストオピニオン】パナソニックグループにおけるAIを巡る取組み動向――人材育成およびAIガバナンス②

2.AI人材の育成方法

(1)概要
パナソニック ホールディングスでは、2016年のカリキュラム開始当初は、画像認識を中心にディープラーニング技術の習得に力を入れてきたものの、2018年からはデータ分析領域も強化しており、Kaggleの最高位であるGrandmasterの称号を持った社員によるハンズオンの講義や、クロスアポイントメント制度の活用で大学教授を招聘し人材育成を進めている。

(2)具体的な育成方法
具体的には、エンジニア向けに入門~エキスパートに至るまで5つに区分したレベルを設定し、レベルや分野に応じた研修を提供している。まず「入門」は新人研修の一環として組込み、デジタルネイティブな世代が増えているとして、AIについても新人の段階から最新情報を学ぶ機会を設けている。また、「基礎」~「実践」では、Kaggleの最高位であるGrandmasterの称号を持つ社員がデータサイエンティスト育成講座を用意。「上級」 では、応用講座として実務に生きるテクニックをコンペ形式で学ぶことで、実践力を養成するほか、OJTでより実践力を磨いていく。
そして最上位の「エキスパート」の育成に際しては、グループ横断型のエキスパート養成所として「REAL-AI」を設置。立命館大学 兼パナソニック客員総括主幹技師(クロスアポイントメント制度を活用)の谷口忠大教授や中部大学の山下隆義教授を招聘し、トップ人材の育成と先端技術の現場展開を加速させていく形で人材育成を進めている。
このほか事業会社を超えた社内のAI人材同士のネットワークを構築すべく、Kaggleコミュニティをはじめとするオンラインコミュニティ を設けているほか、年に1回の大規模なAIフォーラムでの技術交流会も実施。 また、社内イントラ内に誰でも気軽に技術相談ができる場を整備、エキスパートが対応するなど、グループ内でのAI技術者のレベルアップに関する環境を整備している。
こうしたエンジニアを対象としたAI人材の育成に留まらず、全社員を対象にAIを正しく活用し、顧客に価値を届けるためのリテラシー研修として「AI倫理基礎eラーニング」を提供、8万人が受講しており、今後、海外法人まで広げていく考えである。

※全文は以下よりご覧いただけます

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/393

2023.11.22

【アナリストオピニオン】パナソニックグループにおけるAIを巡る取組み動向――人材育成およびAIガバナンス①

1.事業戦略

(1)事業戦略
パナソニック ホールディングスでは、デジタルやAIを通じてサプライチェーンやくらしへの貢献、理想の社会やくらしの実現に貢献すべく、モビリティやホーム、B2B領域まで幅広い領域で事業展開をしている。特にAIについては、2016年から事業をよりよくするためのツールと位置付け、AI人材を育成してきた結果、一定の成果を得たとして、2023年6月に新たなAI技術戦略を発信している。
具体的には、まず「Scalable AI」として、同社は幅広い領域で事業会社を保有しているからこそ得られる様々なデータを強みに、多様な事業・現場へ適したAIをわずかな学習データで素早く届けられるようにする基盤モデルの構築や、AIモデルを実世界の多様な機器で簡単に使えるようにするためのエッジAI、ロボティクスなどの技術により、AIの社会実装加速を目指している。 次に「Responsible AI」として、特に近年生成AIの社会への浸透を受け、AI活用に係る倫理面での課題に対する世界的な意識が高まるなか、 家電をはじめとした民生事業を手掛ける企業として人間中心のAI活用を実現するための責務を打ち出した。
同社におけるAIの活用体制について、ホールディングス内にテクノロジー本部 デジタル・AI技術センターを設置し、各事業会社の抱えるAIに関連する案件について支援する形で連携体制を敷く。このほかAI人材の育成やAI倫理のガバナンスなども手掛けている。

(2)強み
パナソニック ホールディングスは、強みとして、まずグループ全体で 1,500人に上るAI人材を抱えている点がある。過去にセキュリティカメラの開発を手掛けてきた人材がいるほか、ADAS向けには画像認識に長けた技術者も多いことから、特に画像認識を得意とする技術者が多い傾向にある。現在は、時系列分析などデータ分析の技術者の強化も進んでいる。
同社は、2016年ころからAI人材の育成に取組んでおり、レベルや分野に応じて画像認識技術やデータ分析を中心に多彩なカリキュラムを整備。グループ全体でAI人材を1,500人程度抱えており、そのうち、世界トップクラスのエキスパート人材も抱える。なお、同社のAI人材1,500人は、ライブラリを活用しPythonプログラミングができるレベルのエンジニアをさしている。

※全文は以下よりご覧いただけます

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/393

2023.11.20

【個別調査のご案内】

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2023.11.17

【ランニングにはスマホアプリ】

健康を意識して年始からランニングを始めました。7月に入っても続いていることに、自分のことながら驚いています。なぜ続いているのか考えてみると、ランニング用のスマホアプリがモチベーション維持に寄与している気がします。走った距離やペース、心拍数が一目でわかるため、自身の成長が実感できるようになりました。また、今月累計走行距離が積みあがるのも楽しいです。当面の目標は安定して1km5分以内で走ることと、ランニングを習慣化することです。先月は走った疲労で体調を崩したので本末転倒でしたが、無理のない範囲で今年1年間は頑張ってみようと思います。(宮村優作)
 
※2023年7月上旬時点での近況報告です
2023.11.15

【アナリストオピニオン】インフラ保全で進むITテクノロジー活用!④

社会インフラ向けITソリューションの普及イメージ

今後のインフラ保全では、維持管理・運用業務にIT技術を活用するしかないと考える。
極論すると、「使わないインフラは保全もしない」といった対応も考えられるが、この考えが社会的・政治的に容認されるとは思えず、結局のところ、インフラ保全でのIT活用ニーズは高まっていくと見る。但し、当該マーケットが急激に伸びるといったことではなく、従来型インフラ保全と連動しながら、社会インフラ向けITソリューションが安定的に浸透すると予想する。

【分野別の社会インフラ向けITソリューションの普及イメージ】

道路分野
NEXCOグループでは、スマートメンテナンスハイウェイ(SMH)構想により、高速道路の老朽化対策にICTや機械化を積極的に導入している。
台帳ソリューションやカメラ画像による近接目視点検を補完する技術が普及。
点検困難箇所では、ロボット対応が始まっている他、分析・評価段階ではAI・画像解析技術を使い、修復箇所の判定を行う取り組みも進んでいる。
鉄道分野
走行中の車両のデータを溜めて、予防保全的なアプローチを検討している。
港湾分野
ROV(Remotely Operated Vehicle:遠隔操作無人探査機)を用いた設備・施設点検が進展している。桟橋上部工点検用ROVでは、撮影画像に位置情報を付加することで3D化による精度向上につながっている。
ROVを用いた桟橋下面調査、UAV(ドローン)を用いた点検診断、非接触型肉厚測定装置を用いた測定システムの導入も始まっている。
河川分野
河川管理では、防災目的での流量や水位、降雨量などの定点監視(遠隔モニタリング)が行われている。さらに監視カメラとセンシング(水位計など)を併用して監視精度を高めるとともに、防災シミュレーションを探る動きも進む。
広域センシング技術を使った河道/堤防の効率的な点検・診断、ITを活用した河川関連構造物監視・点検の自動化といった仕組みも研究されている。
ダム分野
運営・管理/保守・点検分野においてIT/IoTの利活用が増える方向。
ダムITで期待されるのはIoTモニタリング。特に、人手による点検では効率が悪い、もしくは危険箇所での適用拡大が見込まれ、目視と経験に依存していた既存業務を、画像・センサーデータとクラウド、AI、ドローンなどを活用した座組に転換する取り組みが研究されている。
水関連(上水道、下水道、浄水場など)分野
水関連インフラでは、設備・機器の維持管理業務でのIT活用があり、近年ではIoTモニタリングが増えている。
中でも、下水道ポンプ監視(マンホールポンプ監視)に着目。下水道のマンホールポンプは設置場所が辺鄙な場合も多く、運用管理の効率化を図る取り組みとして、既にIoT型の遠隔モニタリングシステムを導入している自治体もある。
防災分野
防災分野では、危険個所監視などで「IoT×センサーネットワーク」や「ドローン活用」が、また減災分野では河川やアンダーパスなどでの「監視カメラソリューション」や「IoT×画像データ×AI」などが普及し始めている。
インフラマネジメント分野
将来的に、インフラの劣化診断を行う現場技術者の絶対数が不足すると予想され、診断判定などでAI/解析ソリューション活用が広まりつつある。
AIによる判断精度を向上させるためにはデータ量を増やす必要があり、そうなると、必然的にIoTへと向かわざるを得なくなる。当然、老朽インフラでの予防保全/予知保全への期待が出てくる。
現場作業支援分野
膨大数のインフラ設備の点検に対応して、音声による巡視点検や保全記録、日報・報告書作成の自動化(音声のテキスト化/台帳ソリューション)などの実装が始まっている。
ハンズブフリーで点検結果を入力することで、記録用紙を持たずに巡視点検記録の作成が可能になる。また点検中に異常箇所を発見した場合、これを撮影し、その場で概要を音声入力し、報告書への写真添付とコメント入力が注目される。(早川泰弘)
 

※全文は以下よりご覧いただけます。

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/392

2023.11.13

【アナリストオピニオン】インフラ保全で進むITテクノロジー活用!③

社会インフラ向けITソリューションの普及が始まる

前述したように、インフラの保全・維持管理では、現場での人手不足/技術者の高齢化対応は待ったなしである。その一方で、「設備が古い(老朽インフラではIT化する意味がない、更新・新設対応)」「対象設備が多すぎる(橋梁では15m以上でも全国に17万箇所」「自治体にはIT技術者がいない/少ない」「費用対効果に懐疑的(既存の方法で充分ではないか)」「現場作業者のITリテラシィ不足」などが課題として指摘されている。
今後、社会インフラの維持・管理コストの膨張が予想されるなか、国や自治体の財政状況などを勘案すると、全ての老朽インフラを新設・更新する事は不可能である。このような制約下において、どのような対応を取ればベストかの模索が続いている。

ここで老朽インフラの維持・管理コストの低減策、さらには人手不足の解消策として期待されるのが、「ITを活用した社会インフラ保全」である。尚、ここで述べているのは、交通管制システムなどに代表されるような「従来型の社会インフラIT(レガシー社会インフラIT)」ではなく、IoTやデータ解析に基づいた次世代保全ソリューションなどに代表される「ITベンダーが提供するインフラ向けのITソリューション」である。

社会インフラ向けITソリューションを考えた場合、2020東京五輪関連でのインフラ投資(高速道路、幹線道路、鉄道、空港など)に一服感のある首都圏・関東エリアがある一方、2025年の大阪万博が控える近畿エリア、リニア新幹線特需のあるJR東海案件がある中部エリアなど、より西に向かってインフラ投資の盛り上がりが期待される。尚、2025年頃には、「IoT×ドローン×AI/映像解析」による次世代保全や防災向け画像解析ソリューションが進展すると見ている。

個別分野では、コロナ過でIT投資が落ち込んだ鉄道や空港、道路のほか、(改正水道法が成立して3年ほど経つ)民営化/民間活用に踏み出す自治体が出てきた水関連分野などでは、老朽インフラ対応/コスト削減意向が根強くあり、2023~2024年頃からは拡大基調が加速する可能性がある。(早川泰弘)

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2023.11.10

【アナリストオピニオン】インフラ保全で進むITテクノロジー活用!②

投資余力のある交通インフラ大手からIT導入が進んでいく

インフラ保全向けIT活用に関しては、自治体よりも交通インフラ大手(NEXCOグループ、JRグループ/私鉄大手など)が、保有インフラの維持・管理業務の効率化、人手不足対応/省人化、現場技術者の高齢化に伴うノウハウ・技能継承問題の解決などを睨んで強化しており、短期的にはここが主戦場になる。

保全用途以外でも、関連領域でのIT活用が進んでいる。

道路関連での画像モニタリング/画像解析では、高速道路・有料道路の逆走・高齢者運転での車の異常行動把握などで画像モニタリング活用/画像解析が進んでいる。また、危険運転予兆の検知といった安全強化面でのIT活用も検討されている。

鉄道では、踏切や駅構内/ホームモニタリング、ホーム転落モニタリング、乗客の異常行動、車内モニタリングなどを中心に、監視カメラ/画像解析ソリューションを使って、駅全体及び車両内のモニタリングによるトラブル予防、駅務管理の高度化などが進んでいる。
特に車内モニタリングではここ数年、京王線や九州新幹線などでの犯罪行為や迷惑行為があり、その防止・抑止力向上を目的に監視カメラの設置が急速に進んでいる。また行政サイドとしても、京王線での乗客刺傷事件を受け、「防犯カメラの設置など、安全対策の強化を進める考え」を示している。首都圏の電車では、社内への防犯カメラ設置率はJR東日本と東急で100%となっているが、その他の鉄道会社はまだ未導入車両も多く、全体としてはバラつきがある。(早川泰弘)

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https://www.yanoict.com/opinion/show/id/392

2023.11.08

【アナリストオピニオン】インフラ保全で進むITテクノロジー活用!①

老朽インフラの増加とIT活用

日本では今後、東京五輪前後に建設した老朽インフラの増大が見込まれている(下表参照)。
ここで、老朽インフラの保全・運用管理業務での省コスト化/省人化を考えた場合、IT活用は不可避である。具体的には、IoTとセンサーネットワークを中心としたデータ収集、収集データの分析(画像解析、AIなど)、分析結果を基にした次世代保全ソリューション(予防保全など)などを組み込んだインフラ保全が考えられる。

また日本では、新設インフラ向けでのIT適用よりは、既設インフラへのセンサーシステムやIoTやクラウドの導入、より簡便な非破壊検査の適用など、後付け設置対応が主体となる。

このようにインフラ保全においては、ITを活用した保全業務シフトは中・長期的に見て間違いない方向である。これまでも、橋梁やのり面(危険個所)、コンクリート構造物の劣化診断などにセンサーシステムや画像解析技術を活用して、日常的な負荷や変異などをセンシングする仕組みが開発されており、その中のいくつかは実証段階を経ている。

しかし現状では、IoT用のセンサーシステムやデバイスは高価であり、加えてデータ解析には高度な知見(統計解析に加え、土木工学的な知見も求められる)が必要となるため、インフラ保全向けITの普及には、まだ時間を要すると見る。

一方、防災向けIT活用では、橋梁などのインフラ構造物モニタリングほどの精緻・大量データが必要ではなく、かつ保全用途向けのようなアルゴリズム開発も必要ないことから、比較的早期の普及が予想される。既に、アンダーパスでの冠水監視、マンホールポンプの遠隔モニタリング、河川氾濫予測などにIoTモニタリングシステムの導入が始まっている。(早川泰弘)

※全文は以下よりご覧いただけます。

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/392

2023.11.06

【街ができてゆく】

私の住んでいる地域の近くで、大型商業施設の建設工事が進んでいます。周辺は駅前にもかかわらず、民家も疎らで、田畑が広がるようなエリアでした。そのあたり一帯が市街化調整区域(市街化を抑制すべき区域)に指定されていたことが大きな要因でしたが、9年ほど前に都市計画の一環で、一部が市街化区域(優先的に市街化を図るべき区域)に変更となったことで、商業施設の建築が可能となりました。そこから少しずつ計画は進んでいき、2022年12月にようやく着工しました。2024年夏に完成予定だそうです。一度着工されてからは早いもので、既に建物の柱部分が次々と建てられています。今住んでいるエリアは、人口密度の少ない、落ち着いた雰囲気が良いところだと思っていますが、大規模な商業施設ができるのは、それはそれで楽しみだったりします。(山内翔平)
 
※2023年7月上旬時点での近況報告です
2023.11.01

【動画制作もスマホ1つで簡単に】

最近、ストップモーションを作りました。10年ほど前にもストップモーションではありませんが、動画制作を経験したことがあります。当時はパソコンの無料ソフトを使って、四苦八苦しながら制作しました。今回はスマートフォンにストップモーション専用のアプリをダウンロードしたのですが、触ってみるとシンプルなデザインで、とにかく簡単に作ることができました。始める段階では多大な労力をかけて制作する覚悟でしたが、結果的に数日でそれっぽいものが完成しました。10年前の苦労が嘘のようです。スマートフォン1つで何でもできる時代に感謝しかありません。(今野慧佑)
 
※2023年7月上旬時点での近況報告です
2023.10.30

【アナリストオピニオン】DXの普及と原点回帰③

取り組みの苦労にも価値を見出す

DXを具体化できているか否かは別にして、経営者にとって、自社はDXと呼べるような変革に取り組めたか/できなかったかと区別して認識できる土壌がうまれたのは意義深い。なかにはアナログな方法で差別優位性を維持する企業もあるだろうから、DXを選択しない企業があっても構わない。意志を持ってDXを選択しないのも正しい判断だ。
閉塞感続く日本経済においては、変革へ向け未来志向で戦略検討してきた苦労にこそ価値があると信じている。実利を得なければ意味がないという意見もあるだろうが、ビジョンの弱さは昔から指摘されていたことだ。多くの企業がDXを契機にそこへ意識を向けられたことは否定するものではないだろう。

さて、そうはいっても私自身はIT分野のアナリストである。興味本位でDXの次はどのような波が襲ってくるだろうかと期待してしまう。個人的にはデータドリブンの概念を煮詰めて、なにか新たなバズワードがでてくるような気がするがどうだろう。データドリブン、ここでは人を介さずデータが次のアクションのトリガーとなる動きのことを指しているが、今後はそうした仕組みの実現があらゆる分野で求められていくと感じている。そこで主役になるのは生成AIであろうか。それとも別のものであろうか。(忌部 佳史)

2023.10.27

【アナリストオピニオン】DXの普及と原点回帰②

他社を眺めても・・・

前述した通り、期待感が剥がれたからといって、実態としてそれが悪いことを示すとは限らない。剥がれた理由の第一は、DXの認知が多くの企業で進んだためであり、相変わらずITベンダは忙しい状況にある。期待から実践へと推移したがゆえにバズワードが萎んでいくのは当然の結果といえよう。
しかし、剥がれた理由には、DXなど他社もできてないではないか、という落胆ないしは安堵によるものも一定数ありそうに感じている。心配なのはこのケースだ。

ずいぶん昔、SaaSやクラウドなどが登場する前には、ERPなど3文字英語がITマーケットをけん引していた。そのころはERPパッケージを買えば会社が変わると思っていたのに変わらなかった、という嘆き節があった。背景には、他社も入れてるからウチも入れよう、でも業務を変える気は更々ない(だからERPパッケージの導入効果も限定的)というものだ。とはいえ、そもそもERPは今日では非競争領域という扱いだ。非競争領域のIT化であれば、導入して思ったより効果がでなかったとしても、そこは割り切ってしまう見方もできるだろう。
しかしDXは事業の中核に影響するものだ。本質的に他社横並びで比較するものではない。「あの会社は力を入れてやってるようだが、どうも投資した効果は出せてない」「DXと騒いだあの会社、結局何も変わってないではないか」こういう目線で見ること自体、本質的にはDXとの相性が悪い。つまり、後者の剥がれた理由には、自社の事業がよく見えていないのではないか、という危険を感じるのである。
まとめれば、期待感が剥がれ落ち、だれもが知るキーワードになった今こそ、自社にとってのDXとはなんなのだという原点回帰が重要になると感じている。(忌部 佳史)

2023.10.25

【アナリストオピニオン】DXの普及と原点回帰①

剥がれ落ちるDXへの期待感

2023年も残り数か月となったが、DXをはじめとする昨今のITによる経営革新の流れが急激に冷え込んでいるような印象を持っている。もう少し正確にいえば、IT投資そのものはすこぶる堅調だが、DXなどのバズワードに対する期待感が急速に剥がれ落ちているような気がするのだ。
具体的な調査事実に基づけば、最新の法人ITユーザアンケート結果(「2023 国内企業のIT投資実態と予測」)では、DXへの意識は確実に浸透しているのが実態だ。決して実需としてDX投資が緩んでいるわけではない。とはいえ浸透が進むということは、レイトマジョリティ層へと普及していくことを意味しており、それは同時に意欲ある先行ユーザ層にとっては“期待”と称するものではなくなっていることも意味している。

このようなことはこれまで何度もあった。SaaS、クラウド、ビッグデータ……などなど。ITベンダのマーケティング用語だなどと呼ばれることもあるが、技術的転換を分かりやすくインパクトあるキーワードで表現することは個人的には悪いこととは思ってない。実際にITの移り変わりは恐ろしく速いのに対し、相変わらずユーザ企業の多くは腰が重たいからだ。実際の導入は慎重でも構わないが、せめて概念や考え方くらいはスピーディに展開できないと日本中が停滞企業に満ちてしまうのではないかとすら感じる。(忌部 佳史)

2023.10.23

【商業施設のこだわりが垣間見える】

今年4月にオープンし何かと話題の東急歌舞伎町タワーに行ってきました。東急歌舞伎町タワーはホテルや劇場、映画館、飲食店などが入る複合施設です。建物の中に入ってみると、内装にネオンのような電飾を取り入れるテナントもあり、新宿の歌舞伎町らしさを感じました。商業施設などと比較していいか難しいですが、基本的に商業施設は画一化された内装が多い印象です。私の主観ですが、歌舞伎町に行く方々はいい意味で雑多な感じやネオン街を見たいと思っている人も一定数いると思います。東急歌舞伎町タワーは新しい施設ですが、その雑多な感じ・ネオン街のイメージのある歌舞伎町に溶け込んでいるのではないかなと思いました。歌舞伎町に進出するにあたっての東急の覚悟とこだわりを勝手ながら感じました。

私は商業施設などの内装や店揃えなどを見ることが大好きなのですが、今後オープンする施設があれば、どのような思いで作ったのかというところまで考えながら見てみたいです。(小田沙樹子)

※2023年7月上旬時点での近況報告です

2023.10.20

【Tシャツ購入の裏側】

CHUMS(チャムス)というアウトドアブランドをご存じでしょうか。ブービーバードで有名なブランドです(ペンギンではありません)。ここ1-2年、ブービーバードに惹かれてTシャツなどを購入しています。このCHUMS、さまざまなブランドとのコラボも積極的に手掛けており、コーヒー機器メーカーのKalitaや亀田製菓の柿の種、日テレなど、実にさまざま。実はこの執筆している、あと10分後(7/8 12:00~)にオリオンビールとのコラボレーションTシャツがオリオンビール社のHP上で販売開始となります。

両社のコラボは2021年から開催されており、毎年3月5日(さんごの日)に必ずコラボレーションTシャツが販売され、即完売するほど人気を博しています。なお、売上の一部は沖縄の美ら海のサンゴ保全活動に寄付されています。

さてあと3分、2分、1分….結果は、、、、無事、2種類のTシャツを購入できました(((o(*゚▽゚*)o)))ワーイ(山口泰裕)

※2023年7月上旬時点での近況報告です

2023.10.18

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2023.10.16

【ハリーポッターの楽しみ方】

「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京―メイキング・オブ・ハリー・ポッター」に行ってきました。駅前からテンションが上がる仕様になっており、ドキドキワクワクは最高潮。施設内で体験できるもの(魔法)の中には、ITを使ったものも多そうです。時に、施設内には2カ所のショップがありますが、エントランス付近のショップの品ぞろえは7,000点以上。見ているだけでも楽しいです。登場人物をモチーフにしたグッズは外国の方にも人気が出るように、ということを考えてデザインされたものなのだそうです(スタッフさん談)。優しい色合いも素敵で、ノートセットを買いました。ハーマイオニーのノートを使ったら頭が良くなるかも、と思っています。(小山博子)
 
※2023年7月上旬時点での近況報告です
2023.10.13

【新マーケティングサービスのご案内】

矢野経済研究所では新たなマーケティングサービスとして、市場調査にご関心のある方を対象とした「B2B市場調査入門 出張セミナー」と、ユーザーヒアリングから戦略を導き出す「戦略的CS調査サービス」を開始いたしました。経営の根幹を担う、顧客の維持・拡大や業績向上には、マーケティングの活用が重要となります。是非お気軽にご相談ください。

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詳細は以下のURLよりご覧頂けます。

https://www.yano.co.jp/market_reports/industryNews.php?id=124

2023.10.11

【ショートレポートのご案内】

矢野経済研究所では、独自に収集したマーケットデータを1,000円で提供しております。

弊社が発刊する年間約250タイトルのマーケットレポートごとに、一部の内容をまとめたショートレポートです。

マーケットレポートに比べて詳細な内容は掲載されていませんが、その要約版、入門的な情報として活用できる内容となっております。

毎月10~20タイトルのレポートが随時追加されていきますので、是非ご期待ください。

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詳細は下記URLよりご覧いただけます。

https://www.yano.co.jp/shortreport/index.php

 

2023.10.06

【スケジュール通りにはなかなか進まない】

先月(5月)、友人とコロナ禍後では初めてハイキングに行きました。久しぶりだったので、軽いコースを歩いて、PM4時には宴会を見込んでいました。
8時に新宿駅をスタートし、御岳神社周辺を歩いて、順調にスケジュールを消化。予定通り、16時には御嶽駅の隣の駅近の酒蔵(清流ガーデン澤乃井園)に到着しました。
スケジュール通りに事が進むのは珍しいなと思っていたら、最後に落とし穴が。
結構混んでいたのですが、空いているテーブルを見つけて着席。さあ、何か注文しようと思って売場の方を見ると、いくつの窓口が閉まっています。
お店の人に聞くと、「料理は4時でラストオーダー、お酒なら5時まで注文できますよ」とのこと。夕方に宴会予定だったので、昼食はみんな軽めです。筆者はCVSおにぎり1個と、チョコレート、グミなど。空腹だったので、立川駅で食事をして帰りました。
 
※2023年6月下旬時点での近況報告です
2023.10.04

【スマートウォッチのその次は】

スマートウォッチを最近、購入しました。以前は、歩数など健康管理がメインとなる、いわゆるスマートバンドを使っていました。比較すれば、スマートウオッチの方がガジェット的な面白さがあって、適当にアプリをインストールしてみたりなどして遊んでいます。スマホをマナーモードにしてデスクに置きっぱなしでも、腕に振動で伝えてくれるのは地味に便利だなぁと感じています。
難点はバッテリーの持ちの悪さ。丸一日で使い切ってしまうので、一泊二日の旅行では帰宅するまでは持ちませんでした。
スマートバンドのさらにその前は、光をあてれば止まることなく動くタイプのシンプルな腕時計をしていました。電池など気にする必要がないというのは毎日身に着けるなら大きなメリット。そのうち一周廻ってシンプルな腕時計に戻すかもしれないなぁ…とふと思いつつ、もう少しガジェットで遊んでみようと思います。(忌部佳史)
 

※2023年7月上旬時点の近況報告です

2023.10.02

【NTTコミュニケーションズ AIによる認知機能の早期把握サービス「脳の健康チェックplus」を開始】

NTTコミュニケーションズは9月21日、認知機能の低下をAIによって早期に把握する新サービス「脳の健康チェックplus」の有償提供を開始すると発表した。「認知症で不安になる本人・家族・企業が少なくなる社会へ」をコンセプトに、世界アルツハイマーデーである当日9月21日から開始する。

使い方は専用のナビダイヤル「0570-012354」に発信し、当日の日付やAIが提示する即時記憶、ワーキングメモリを試す質問に答えると、回答内容や話し方からAIが認知機能の低下を5段階で評価する。人間ではわからない微妙な声の高さ、間も読みとることができるという。このAIはNTTコミュニケーションズと日本テクトシステムズが共同開発した、認知機能みまもりAI「M-KENSA」を利用している。

同社は2022年9月から同様のサービス「脳の健康チェックフリーダイヤル」を提供してきた。従来のサービスでは20秒程度の通話で認知機能低下の有無を判断するもので、無償ということもあり開始から1週間で30万ものコールに達した。それからパートナー企業の検討も進み、より精緻に判断できるよう本サービス展開に至った。今後は企業や自治体との連携を進め、利用者の履歴管理機能やSMSによる案内機能を追加、保険商品の開発にも活用できるようにする。

高齢化が避けられない課題となっている現在、認知症患者も増加することが予想される。認知症の進行は認知症予備軍の軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)時点で適切な予防策をとることが有効で、本サービスによって状況を把握して行動変容を促すことができるようになる。本サービスは医療行為ではなく、あくまで認知機能の低下を判断するものだが、数分の通話で完結するというお手軽さもあり、自分での利用だけでなく周りの人への紹介でサービスを広げていくこともできそうだ。(宮村優作)

2023.09.29

【富士通 日本初のRISE with SAPのプレミアムサプライヤーに認定】

富士通は9月19日、独SAPが提供するRISE with SAPのプレミアムサプライヤーに国内企業として初めて認定されたことを発表した。会見には富士通 執行役員SEVP 高橋美波氏やSAP アジア太平洋日本地域プレジデント ポール・マリオット氏、SAPジャパン 代表取締役社長 鈴木洋史氏が登壇した。
 
今回プレミアムサプライヤーとなったことで、富士通はクラウドERPソリューション「RISE with SAP, premium supplier option via Higher with Fujitsu」をFujitsu Uvanceの新オファリングとして提供できるようになった。RISE with SAPは既存のSAP ERPからSAP S/4HANA Cloudへ移行するための支援ツールやプラットフォームを1つに取りまとめたマネージドサービスである。富士通はSAPに代わってSAP S/4HANA Cloudのインフラ環境やBASIS環境の構築・運用を行えるほか、富士通が提供しているSAP関連のソリューションも併せて提供できるようになる。
2024年度から国内企業を対象にスタートし、2026年度までにグローバルで200社に新オファリングを届ける想定だ。
 
富士通が取り組むFujitsu Uvanceには7つの重点分野があり、今回のパートナーシップはホリゾンタル領域のBusiness Applicationでの新オファリングとなる。Fujitsu Uvance全体では2025年度までに売上高7,000億円を目標に掲げ、ホリゾンタル領域の30%をSAP事業で獲得するとしている。
 
富士通は去年、メインフレームの製造・販売から撤退すると発表した。国内のメインフレーム市場を支えてきた同社の撤退は衝撃的だったが、長年培ってきたミッションクリティカル領域の知見はこのSAPとのパートナーシップでも大きなアドバンテージとなるだろう。
(宮村優作)
 
2023.09.27

弊社研究員によるセミナー登壇のお知らせ

10月3日(火)に弊社主催のWHATSセミナー(ミニセミナー)にて、ICT・金融ユニットの小田が、「生命保険の営業職員アンケートの果解説と今後の展望」と題してセミナーを実施します。

https://www.yano.co.jp/seminar/whats/2023/1003_3.html

こちらでは、2023年7月にリリースしました、「生命保険の営業職員アンケート調査を実施(https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3295)」に係る調査結果をベースに解説を行う予定です。18万円のレポートの内容をギュギュっと圧縮、5,000円で聞くことが可能です(QAあり)。

ぜひご検討ください!

2023.09.25

【アナリストオピニオン】待ったなしの技能伝承、工場におけるAI自動化を拒むハードルと押さえるべきポイント③

工場におけるAI導入において押さえるべきポイント
さて、工場においてAIを導入する上では、少なくても次の5つの質問に対する明確な答えを持つ必要がある。

■取組み①:人材教育
5つの質問に回答するためには筆者は少なくても3つの取組みが必要と考える。本稿では、自動車工場を例として、OEM(=自動車会社)の取組みをベースに記載したい。まず1つ目のポイントは「人材教育」である。人材教育を通じて、①~③の質問に対する回答が可能となる。AI導入の前に前提として工場に関係なく問題発見能力(=解決すべき問題の明確化)や問題解決能力を身に着けることで①は解決できる。
次に実際に工場のIoT化に際してボトルネックの探索(=②)やボトルネックの解決に際してのデータの取得(=③)に際しては、ベンダーの協力が必要となる。ここで重要なのは基本的にOEM各社は積極的にAIに係る専門人材を新卒、中途問わず採用活動を進めており、内製化の傾向にある点である。このためベンダーはAIを活用したソリューションやモデルを納入する際に、OEMとともに徹底した形式知化を通じたモデル化と併せて、導入後の運用や保守、その後の横展開の検討を含めて、OEM側で対応できるようにスキルトランスファーを行うことが必要となる。そうした意味でも「人材教育」があたる。

■取組み②:データ取得環境の整備
さて、問題発見能力や問題解決能力、ベンダーからのスキルトランスファーでスキルを身に着けたとしても、データの取得ができないのでは機能不全に陥る。冒頭でも記載の通り、工作機械の耐用年数は長く、センサー内臓であれば問題ないものの、内臓されていない機械も多くあるため、AIなどの導入に際しては、工作機械の状況によってはセンサー情報を取得するための環境整備が必要となる。
例として豊田自動織機は、工場にある射出成形機向けに、AI/機械学習を活用した自動補正システムを構築するうえで、工作機械に情報分析基盤を実装、データを取得するための環境として工作機械のIoT化をテーマとしたプロジェクトを進め、環境を整える取組みを進めてきた。
AIの活用に際しては、出来るところから始めることも可能であるが、豊田自動織機のようにデータ取得環境を整備することでその後の取組みを一気に加速させるやり方もある。

■取組み③:ホワイトボックス化
最後にベンダー経由でAIを導入したとしても最終的に自分たちで使いこなす必要がある。モデルがブラックボックスでは自社で精度を上げるべく、制御値をはじめとしたパラメータの調整などを行う必要が生じた際に導入ベンダーに依頼する必要があり、改善スピードが落ちることになる。そこでOEMは推論モデルのロジックなども含めて現場側で必要に応じて手を加えられるように、納得いくまで議論を重ねながらホワイトボックス化を進めている。
特に製造業は自動車に限らず製造物責任を課されているため、何かトラブルが発生した際には事業者側が説明する必要がある。ブラックボックスのAIでは何が起きたのか説明がしきれないため、AIをホワイトボックス化し、現場側である程度、手を加えられるように操作性を含めて取組まなければならない。
(山口 泰裕)

※全文は以下よりご覧いただけます。

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/389

2023.09.22

【アナリストオピニオン】待ったなしの技能伝承、工場におけるAI自動化を拒むハードルと押さえるべきポイント②

自動化において立ちふさがる複数のハードル

工場では現在も多くの職人芸が生きている。まず1つ目のハードルは職人芸の可視化。AIなどを導入する場合には、そうした職人の勘や経験による「微妙な調整」などを再現する必要がある。AIに学習させるうえでは経験や勘を形式知化する必要があり、各種パラメータを取得、職人とともにモデル化のうえ、AIに落とし込んだ後、検証を重ねながら職人芸に近づけていくことになる。

しかしながら、ここで2つ目のハードル「データの取得できる工作機械と取得できない機械が混在」が現れる。AIにおけるパラメータの取得に際して、工場の工作機械は耐用年数が17~18年と言われ、場合によっては30年にも及び、長期間にわたって稼働している。当該機械のうち、新しい工作機械は元々、センサーなども内蔵されている一方、古い機械はセンサーなど実装されておらず、そもそもデータの取得が課題となることも多い。当然ながら工場内の全ての工作機械が同じ耐用年数ではないため、機械Aはセンサー非内蔵、機械Bはセンサー内臓など、さまざまな工作機械が稼働している。こうした混在した環境下で課題解決に挑むことになる。

こうした課題は一例に過ぎないが、どうだろうか。工場のIoT化やスマート工場などを実現するためには、乗り越えるべき課題は幾つもあることがお分かり頂けたのではないだろうか。(山口 泰裕)

※全文は以下よりご覧いただけます。

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/389

 

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