某自治体さんのスタートアップさんに関する外部審査員を同イベント開始当初から毎年、受けています。ちなみに審査員名は伏せられておりますので、某自治体としてます。
コロナ禍前は審査会も対面だったのですが、コロナ禍以降、オンラインでの審査になっている点はちょっと残念なところ。
とはいえ、毎年、さまざまな領域で活躍しておられるスタートアップさんのプレゼンを聞いては、目の付け所と行動力に驚いています。今年もバラエティに富んだ複数社のプレゼンを拝聴、緊張感ある質疑応答をしておりました。当然ながら点数をつける必要があり、毎度審査基準を眺めながら悩んでおります。
点数に関係なく、いずれのスタートアップさんも今後の産業を担っていく存在になって欲しいなぁと願ってやみません。
今年は、これまで別々に発刊してきた「PLM市場の実態と展望」と「CAD/EDA市場の実態と展望」のレポートを1冊に統合して発刊しました。両分野のメーカ・ベンダの方々にお話を伺うなかで印象に残ったのは、分野は違っても同じ話題に行き着く場面が多かったことです。
PLMの取材では「AIに参照させるデータをどう整えるか」、CADの取材では「設計ツール単体ではなく、解析や製造とどうつなぐか」という話を多く伺いました。入り口は違っても、どちらも「データをつなぐこと」がテーマになっていました。
また、AIの進化の速さにも驚かされました。EDAの分野では、数年前に2030年代に到達することを見込まれていた「完全自律」の設計AIが、今年すでにEDA大手から発表されています。その分、ユーザ企業側でAIを使いこなすための知識や人材をどう確保するかという課題は、より切実になっているように感じます。
2026年10月7日、『2026 PLM/CAD/EDA市場の実態と展望』を発刊いたしました。
2026 PLM/CAD/EDA市場の実態と展望 | 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所
本レポートは、これまで別々に発刊してきた「PLM市場の実態と展望」と「CAD/EDA市場の実態と展望」を1冊に統合し、PLM/CAD/EDAを横断して国内市場を俯瞰できる内容としました。
近年、これらの市場ではAIの実装が一段と進み、関心は搭載の有無から「どこまで自律的に使えるか」へ移っています。EDAではAIが自らツールを動かす段階に入り、PLMではAIを機能させる前提として、他システムとのデータ連携が注目されています。 また、クラウド/SaaS型での提供の広がりや、AIの利用量に応じた従量課金の登場など、提供形態・料金形態も多様になりつつあります。 さらに、導入した3D環境の定着や、人手不足を背景とした設計業務の標準化・技能継承など、ユーザ企業の課題への対応も各分野で求められています。
本レポートでは、こうした変化を踏まえ、市場の現況と将来展望を分析しました。マーケット研究や事業戦略の検討、製品選定にぜひお役立てください。
当社代表が最新のニュースを題材に時代の本質、変化の予兆に切り込みます。
10月1日、酒税法が改正、ビール類の酒税は350ml缶あたり54.25円に一本化された。ビールは約9円の減税、一方、発泡酒や第3のビール(新ジャンル)は約7円の増税となる。また、沖縄では1972年の本土復帰時に施行された特別措置法による県内向けビールの酒税軽減措置も廃止となる。
ビールの販売数量のピークは1994年、以降、価格競争が激化する中、大手メーカーは麦芽の使用率による税率差に着目、相次いで発泡酒を開発、2000年にはビール類市場のシェア3割を奪う(課税数量ベース、国税庁より)。2004年にはもう一段の税率差を狙って麦芽の代わりに大豆やえんどう豆などを使った第3のビールを投入、消費者の低価格需要に応える。こうした状況に国は「類似する酒類間の税率格差が商品開発や販売数量に影響を与えている」とし、“税収中立”のもと2020年から段階的に税率調整を実施、今回の改正はその総仕上げである。
業界はこの日に向けて対応を進めてきた。ただ、ブランドごとに戦略は分かれる。実質的な値上げとなるビール類の“ビール”化を進める一方、従来の製法を維持するブランドも少なくない。各社は発泡酒や第3のビールならではの味わいで差別化をはかるとともに糖質ゼロ、プリン体ゼロ、低カロリーといった機能性を付加することで“ビール代替需要”とは一線を画す市場も開拓してきた。あえて“ビール”化させる合理性はないとの判断である。
この10月に値上げされる食品は3千品目を超える。ビール類における発泡酒のシェアは44%(2024年度、課税数量ベース)、発泡酒や第3のビールを愛飲してきた消費者にとって増税の影響は小さくない。需要量への影響も懸念される。そもそもビール類の市場縮小は傾向的だ。ビール、発泡酒それぞれのピークと2024年度を比較すると前者は67%減、後者は27%減、ビールと発泡酒の合計は41%減である※。個性豊かなクラフトビール、RTD(缶チューハイや缶ハイボールなど)、低価格訴求のPBなど、消費者の選択肢は多い。加えて、あえてお酒を飲まない“ソバーキュリアス”なライフスタイルも広がる。「とりあえずビール」の時代はもう来ない。嗜好の分散、ニーズの多様化、進行する酒離れ、問われるのはまさに個々の商品力ということだ。
※酒類課税数量におけるビールのピークは1994年、7,413千kl、発泡酒は同2002年、2,646千kl、ビール+発泡酒の最大値は1994年、7,444千kl(国税庁)
今週の“ひらめき”視点 2026.9.20 - 10.01
代表取締役社長 水越 孝
CEATECのオンラインセミナーの配信がスタートしています。
私はJEITAのセミナー「ITトレンド調査 ~AI活用の実践知とITプラットフォームの展望~」で登壇させて頂いています。
テーマは「中堅・中小企業向けAI活用成功ロードマップ」。
よく聞くスモールスタートですが実は…。
10/30(金)23:59まで無料で閲覧頂けます。ぜひご視聴ください。
ITトレンド調査 ~AI活用の実践知とITプラットフォームの展望~ | CEATEC 2026 ( Official Website )
矢野経済研究所では、企業様からのご依頼に基づき、オリジナルの市場調査の業務も行っております。
弊社の既存レポートでは知りたい内容が充分に満たせない、単なる調査結果だけではなくコンサルテーションも頼みたい、といった要望にも対応いたします。
HPやメール、お電話等でご相談頂ければ、担当者からご連絡させて頂きます。費用の見積もりまでなら無料で対応いたしますので、市場データの収集やコンサルティングなどでお困りの方は是非お気軽にご相談ください。
詳細は、下記をご覧ください。
生成AIの活用が広がる中、EC業界では、AIを業務支援に活用する段階から、AIエージェントが商品を検索・比較し、購買を支援する「Agentic Commerce」への対応に向けた動きが始まっています。
矢野経済研究所が実施した「2026 EC事業者における生成AI・AIエージェント活用実態とAgentic Commerceへの対応意向調査」(2026年9月30日発刊予定)では、生成AIを継続的に活用している企業は78.3%に達しました。また、AIエージェントを実際の業務で活用する企業に加え、すでにAgentic Commerceへの対応を進める企業も確認されており、EC事業者のAI活用は「生成AI」から「AIエージェント」、さらに「Agentic Commerce」へと段階的に高度化していることがうかがえます。
特に注目されるのが、Agentic Commerceへの対応によって期待する効果です。「商品情報の最適化により、AIエージェントによる推薦・比較対象として選ばれやすくなる(露出機会の増加)」をはじめ、「売上・コンバージョン率の向上」、「AIエージェント経由での新規顧客接点・販売チャネルの拡大」などへの期待がみられました。
これまでのECでは、検索結果や広告、ECモールなどを通じて消費者に商品を見つけてもらうことが重要でした。一方、AIエージェントが購買行動に関与するようになれば、消費者に代わってAIが商品情報を理解し、条件に合った商品を比較・推薦する場面が増える可能性があります。そのためEC事業者にとっては、商品をECサイトに掲載するだけでなく、「AIに商品を正しく理解してもらい、推薦・比較の対象として選ばれる」ための商品情報の整備が重要になります。
実際、AI時代に向けて今後重点的に投資したい分野では、「ECシステム・ECプラットフォームの機能強化」、「PIM(商品情報管理システム)の導入・強化」、「商品情報・商品コンテンツの整備」などが上位に挙がりました。AIツールそのものだけでなく、AIが活用できる商品情報やEC基盤、システム連携への投資も重視されています。
Agentic Commerce対応企業では、今後さらに対応範囲を拡充する意向もみられており、今後はAIエージェントを前提としたEC環境の整備が進むことが予想されます。
Agentic Commerceは、単なる新しいAI技術の導入ではなく、消費者の商品発見や比較、購入といった購買プロセスそのものを変える可能性があります。今後のEC市場では、「人に見つけてもらう」だけでなく、「AIに理解され、推薦される」ための商品情報・EC基盤の整備が、新たな競争軸の一つになることが期待されます。
2026年9月11日、経済産業省はGX戦略地域(第1弾)を公表した。GX戦略地域制度は、地域に存在する産業資源を核として新たな産業クラスターの形成を目指す制度であり、認定地域にはGX経済移行債等による支援や規制・制度改革等が講じられる。
今回発表されたのは4類型(表1)のうち①コンビナート等再生型、②データセンター集積型、③脱炭素電源活用型の3類型で、計18地域が認定された。④脱炭素電源地域貢献型(GX地域共創補助金)は、今後審査が行われる予定である。
②データセンター集積型は、AI関連需要の拡大を背景に、電力供給と立地の両面から国内のデータセンター(以下、DC)整備を計画的に進めることを狙いとした類型で、第1弾では9地域(10地点)が認定された(表2)。
今回の認定で特に重視されたのは、GW級の集積拠点を形成できるかという点である。DCには電力・通信インフラの効率的な整備が求められるため、小規模DCを各地に点在させるより、一定規模のDCを集積させる方が望ましい。今後見込まれるAIワークロードの増加に対応するには、大規模な電力供給が可能か、段階的な新設・増設に対応できる土地があるか、という点が鍵になる。
具体的な各地域の今後の計画は公表されていないが、認定地域の中にはすでに大型DC計画が公表・進展している地域もある。ワット・ビット連携をはじめ、DCの地方分散は着実に進み始めていると言える。
一方で、DC事業者側は必ずしも地方分散に前向きとは限らない。データそのものが都市部で発生する以上、需要地からの距離による通信遅延の大きさや、現地作業人員の確保の難しさも相まって、都市部近郊に優位性を見出し、地方展開を選ばない事業者があるのが実情である。もっとも、遅延を許容できるワークロードや、その地域で発生するデータ処理には地方DCが適している。さらに、IOWN APN等の技術が進展すれば遅延が改善され、コスト面で優れる地方が都市部よりも優位に立てる可能性がある。
近年のDC市場は新規参入が相次ぎ、活況を呈している。一方で、DCが周辺環境に与える影響への懸念も一部で取り上げられるようになった。DC市場の発展は、AI・GXという国の成長戦略そのものの発展に直結するため、持続的な発展を遂げていくことを期待したい。
////////////////////////////////////////
国内DC市場の概況やDC事業者による地方分散への意見等を、2026年2月末に発刊した調査資料『2026年版 クラウド基盤(IaaS/PaaS)・データセンターサービス市場の動向と展望』で言及しております。
興味ございましたらご一読いただければ幸いです。
////////////////////////////////////////
◆表1.GX戦略地域制度の類型
| 類型 | 内容 |
| ①コンビナート等再生型 | コンビナートを活用し、新たなGX関連産業の集積を形成する取組 |
| ②データセンター集積型 | 今後10年程度で、GW級のデータセンター集積地を形成する取組 |
| ③脱炭素電源活用型 | 脱炭素電源(再エネ・原子力)を活用した産業団地を整備し、脱炭素電源立地地域における産業立地モデルを創出する取組 |
| ④脱炭素電源地域貢献型(GX地域共創補助金) | 脱炭素電源を活用し、当該電源の立地地域に貢献する事業者の設備投資を後押しする取組 |
◆表2.②データセンター集積型の認定地域(第1弾)
|
都道府県 |
認定自治体 |
|
北海道※ |
石狩市 |
|
北海道※ |
苫小牧市 |
| 秋田県 | 秋田市 |
| 宮城県 | 富谷市 |
| 栃木県 | 矢板市 |
| 茨城県 | 常総市/つくば市 |
| 富山県 | 南砺市 |
| 香川県 | 綾川町/坂出市/丸亀市 |
| 福岡県 | 北九州市/直方市/鞍手町 |
| 鹿児島県 | 薩摩川内市 |
※北海道は2地点でそれぞれGW級のデータセンター集積を目指す
【アナリスト便り】「2026 量子コンピュータ市場の現状と将来展望」を発刊②の続き
日立製作所が、製造業の顧客向けに設計業務を支援する「設計ナレッジシステム」を開発し、「HMAX Industry」の新たなラインアップに追加するとともに、提供を開始したことを発表しました(2026年9月10日)。
本システムは、日立のモノづくりの知見を基盤に、形式知化プロセス(AIエージェント)と日立独自の形状認識技術を融合。「暗黙知→形式知→組織の資産」の循環を創出し、設計品質の継続的な向上の実現を目指すものです。近年は、熟練技術者の不足や技術継承を課題とする企業が多く、それらの企業がAIを活用し、暗黙知の形式知化に取り組む動きは見られますが、なかなか成果に結びつかないとも聞きます。
本システムは、日立ハイテクで行ったテストにおいて、曲げ作業や打ち抜き・切断加工が困難な作業の箇所や寸法不備等を自動で100%抽出(板金・製缶図面の検図記録(3年分)の不備案件に対してプロトタイプ版で設計ルールを抽出した結果)し、不具合のある設計データが後工程に流出する回数を減らすなど高い効果を確認したそうです。
ひとつでも多くの熟練者の「暗黙知」が組織の財産になる動きが広がることを期待します。
9/10(木)に、ICT・金融ユニットの金融チームが発刊するマーケットレポートの試読会を開催しました。
今回は弊社東京本社にて、金融・保険関連を中心とした27タイトルのレポートをご用意しました。ご参加いただいた皆様には、レポートを直接手に取って試し読みいただくとともに、私たち研究員との情報交換や交流の場としてもご活用いただきました。
金融・保険領域では初めての試みとなるレポート試読会でしたが、想定を上回る21名の方にご来場いただきました!
ご参加いただいた皆様、また今回はご都合がつかなかったもののご参加を検討いただいた皆様、この場を借りて御礼申し上げます。
当日、ご来場いただいた方から次のようなお声もいただきました。
・隣接テーマのレポートを閲覧できてよかった
・複数のテーマのレポートをまとめて試し読みできてよかった
・担当研究員と直接話ができるいい機会だった
開催にあたっては、運営面での改善点もありましたが、少しでも皆様のお役に立つ機会となっていれば幸いです。
当ICT・金融ユニットでは、エンタープライズや金融、自動車×ITなど幅広いテーマのレポートを発刊しております。今後もこうした機会を設けることができればと考えております。
警察庁は8月28日、警察官がウェアラブルカメラを装着して活動する試行結果を公表した。職務質問や交通取締り等の現場において、カメラの映像が事件の状況確認や公務執行妨害事案での有力な証拠として活用されたことから、同庁は「有用性が認められた」と評価し、本格導入に向けた予算確保や運用ルールの策定作業を進める方針である。
試行では職務執行の客観的検証や若手警察官への指導教材としての効果が確認された一方、装着する警察官からは機器のさらなる軽量化が求められている。また、市民側から「監視」に対する反発や録音・撮影への拒否反応も見られ、記録範囲の画定や撮影データの保存・利用基準といった具体的指針の整備が今後の課題として浮き彫りとなった。
警察官にウェアラブルカメラ、本格導入へ 「有用性を確認」(CNET Japan) - Yahoo!ニュース
ウェアラブルカメラの導入は、法執行の透明性確保と警察官自身の身の安全を守る双方の観点から有用性が高い。北米等の先行市場では不可欠な装備として定着しており、日本市場においても警備・公共安全分野での映像DXの契機となる。
一方で、日本市場ならではの課題も浮き彫りとなっている。街頭防犯カメラの普及状況にも表れている通り、国内では諸外国と比べ「監視されること」への心理的抵抗感が根強く、人口あたりのカメラ設置台数も低水準にとどまる。このことからも、今後はハードウェアの軽量化・長時間バッテリー化に加え、現場での恣意的な録画停止を防ぐ厳格なガイドライン策定や、プライバシー保護とセキュアなデータ管理基盤の構築といった対応が重要となるだろう。
当社代表が最新のニュースを題材に時代の本質、変化の予兆に切り込みます。
9月8日、新宿区の吉住区長は、民泊営業の規制を強化する改正条例案を来年の定例区議会に提出する旨、発表した。具体的には営業日数の上限を年間180日から120日に引き下げるとともに住宅地および学校周辺における民泊の営業を禁止する。騒音やごみ問題など住環境の悪化が背景にある。この7月、観光庁は自治体判断による民泊営業の規制強化を容認する通知を出しており、同様の問題が顕在化している少なからぬ自治体が新宿に追随する可能性がある。
所謂“民宿”ではなく、“民泊”と位置付けられるビジネスモデルは2007年創業の米スタートアップ“Airbnb”のオンライン仲介プラットフォームに始まる。日本では国策としてのインバウンド拡大戦略と規制緩和の流れの中で国家戦略特区法改正(2016年)、民泊新法(2018年)を整備、空き家・空き室の有効活用ニーズとも相まって急速に拡大した。当初から住環境への影響は懸念された。しかし、急増する宿泊需要への対応と新市場育成の視点から利用者側の利便性、快適性の確保が優先された。
深刻化する住環境問題に加え、需要構造も変わった。日本人の利用者が急増し、コロナ前の2019年4-5月期の90,089人から2026年4-5月期には2.6倍の235,591人へ、利用率も26.9%から37.6%へ拡大した。円安を背景にインバウンド市場も変わりつつある。メインターゲットは富裕層、IHG、ハイアット、ヒルトン、マリオットなど外資系ホテルグループのラグジュアリーブランドの開業ラッシュが続く。リピーターの増加は観光目的も変えつつある。東京~富士山~京都~大阪といった“ゴールデンルート”から地方へと広がり、体験型・参加型のコト消費へのニーズが高まる。
2026年7月15日時点で稼働中の民泊は全国で42,070件、うち東京23区が40%を占め、これに札幌、名古屋、京都、大阪を加えると58%が都市部に集中する。全国的には前年比125%と拡大基調にあるが、一方、廃業率は全国平均で36%、とりわけ都市部で高く、東京23区と地方・郊外の主要自治体(保健所設置市)を合わせた対象地域の廃業率は44%に達する。今、民泊市場は大きな転換期にある。まずは供給サイドの意識改革が必要だ。宿泊サービス業は単なる“遊休不動産の利活用ビジネス”ではない。宿泊事業者としての経営ビジョン、マーケティング戦略、ガバナンスを確立することが健全かつ持続的な成長への条件である。
※民泊に関するデータは“民泊制度ポータルサイト”(国土交通省)より
今週の“ひらめき”視点 2026.9.6 - 9.10
代表取締役社長 水越 孝
矢野経済研究所では、企業様からのご依頼に基づき、オリジナルの市場調査の業務も行っております。
弊社の既存レポートでは知りたい内容が充分に満たせない、単なる調査結果だけではなくコンサルテーションも頼みたい、といった要望にも対応いたします。
HPやメール、お電話等でご相談頂ければ、担当者からご連絡させて頂きます。費用の見積もりまでなら無料で対応いたしますので、市場データの収集やコンサルティングなどでお困りの方は是非お気軽にご相談ください。
詳細は、下記をご覧ください。
今回『2026 高精度測位補正サービスの市場動向』において、初めて高精度測位補正サービス市場を担当しました。 調査を始めた当初は、正直なところサービスの全体像をイメージすることが難しく、補正方式にもさまざまな種類があるため、理解するまでに苦労した部分もありました。
現在の主な活用分野は建設や農業で、建機の自動制御や測量、スマート農業などで既に実用化が進んでいます。市場の将来性を考えたとき、大きな鍵を握るのは自動運転分野だと感じています。
もちろん課題もあります。衛星信号を利用する以上、トンネル内や都市部の一部環境では位置測位が難しくなる場面もあります。また、電子基準点網の整備状況など、海外とのインフラ環境の違いも含め、実用化に向けて乗り越えるべきハードルは少なくありません。
本レポートで整理した通り、足元では自動車メーカー各社がカメラやLiDARを優先していると考えられ、需要創出の見通しは不透明です。しかし、高精度地図やLiDARなど他の技術と組み合わせながら活用が進めば、将来的には自動運転を支えるインフラの一つになる可能性を秘めていると個人的には見ています。建設・農業に続く成長分野として立ち上がる時期を、今後も注視していきたいと思います。
▼高精度測位補正サービスについて整理した調査レポートです
2026年8月28日に『2026 高精度測位補正サービスの市場動向』を発刊いたしました。
本レポートでは、GNSSによる測位で生じる誤差を補正する情報を提供し、センチメートル級の高精度な測位を実現する「高精度測位補正サービス市場」の動向を整理しています。
高精度測位補正サービスは、建設分野におけるICT施工や測量、農業分野におけるスマート農業を中心に活用が進んでいます。
市場参入事業者は限られており、今後どのような用途で需要が拡大するのかが注目されています。本レポートでは主要事業者の動向に加え、市場規模の推計や将来展望についても取りまとめました。
今後の市場動向を読み解くうえで、本レポートをご活用いただければ幸いです。
また、本取り組みにて構築されるDCは、超高発熱サーバーの冷却にも対応できる「液冷方式」を採用している。発熱体(GPUチップ等)の上に設置された金属板(コールドプレート)に、冷媒となる液体を循環させてサーバーを冷却する。最新のGPUは、高性能化に伴い消費電力量も発熱量も大きくなっており、従来の空冷方式のみでは冷却性能に限界があった。液冷方式を空調設備と併用することで、最新のGPUサーバーの冷却にも対応する。
今回の取り組みが奏功し、「分散型DC」というモデルが確立されれば、これまでDCに求められていた要件のうち、広大な用地面積は必須ではなくなる。これはDC建設においてより多くの立地の選択肢をもたらすが、一方で電力確保は引き続き重要な要件となる。狭くとも十分な電力が確保できる土地(変電所や送電線に近い等)が新たな適地として価値を帯びてくるならば、データセンターの建設競争は新たな局面を迎えると考えられる。(熊谷 波留弥)
当社代表が最新のニュースを題材に時代の本質、変化の予兆に切り込みます。
8月28日、厚生労働省は人口動態統計速報を発表、2026年1-6月期の出生数は342,068人、前年同期比+0.8%、上半期としては11年ぶりに前年を上回った。出生率※はコロナ禍による婚姻数減の影響を受けて2022年から2024年にかけて前年比▲5%台の減少が続いてきたが、2025年は▲2.2%と下げ止まった。2024年以降、婚姻数が持ち直したことが背景にある。
とは言え、出生率1.14は過去最低、前年比マイナスは10年連続だ。2023年に国立社会保障・人口問題研究所が発表した将来推計人口の中位推計は2025年の出生率を1.25に置いていた。悲観シナリオとされた低位推計は1.10、現実はむしろこちらに近く、出生数の減少トレンドは中位推計に対して15年程度先行している。出生数と死亡数の差である自然増減は19年連続でマイナス、2025年は2年連続で▲90万人を超えた。人口減少に歯止めはかかっていない。
こども家庭庁はこの5月から8月にかけて15歳から39歳までの男女を対象に「若者10万人の総合調査」を実施、8月31日、その途中経過を公表した。設問は生活満足度や社会参画意識など広範に及ぶが、結婚に関する集計結果には驚かされた。未婚者のうち「結婚するつもりはない」との回答者は35.1%に達する。“収入への不安”や“自由時間の減少”が結婚に対するハードルの上位にあがるが、そもそも「結婚したいと思わない」との回答がそれらを上回り、「結婚するつもりはない」人の53.1%、未婚者全体の18.6%に達している。既に若者人口が減っている現状にあってこれでは出生率は上がるまい。
2021年、国土交通省は「国土の長期展望」の最終とりまとめを発表、2050年には居住地域の約5割が少子高齢化地域となり、全市区町村の約3割が人口半数未満となること、全人口の7割が災害リスクの高い地域に居住していることを前提とし、「コンパクト+ネットワーク」による持続可能な地域づくりの必要性を訴える。人口減少を所与の条件と受け止め、そのうえで地域の豊かさを実現する必要があるということだ。首都の優位性、東京の経済力、TOKYOの先進性の取り込み競争(副首都構想)では解決しない。優先すべきは“多様な豊かさ、多彩な個性をもった新たな地域生活圏の形成”と“自然災害と人口減少に応じた国土の適正管理”である。
※出生率(合計特殊出生率)とは、1年間における15歳から49歳までの女性の各年齢別の出生率を合計した数値で一人の女性が一生に産む子どもの数の平均値。人口を維持するためには2.07が必要となる。
今週の“ひらめき”視点 2026.8.30 - 9.3
代表取締役社長 水越 孝
8月27日、NTTドコモビジネスは東京電力パワーグリッドと提携し、液冷式コンテナ型DC(データセンター)を用いたDC分散化に向けた取り組みを開始すると発表した。NTTドコモビジネスはコンテナ型DCを複数設置・運営可能な「コンテナDCパーク」を東京23区内に展開し、東京電力パワーグリッドは保有する設備や電力技術・ノウハウをNTTドコモビジネスに提供する。その第一弾として、東京都大田区にコンテナ型DCパークを展開し、2027年秋にサービス開始を目指す。
生成AIの利用拡大に伴い、データセンターへの需要は急増している。外部システムとの連携やリアルタイム処理が求められるビジネス用途では、通信時の遅延を少しでも減らす必要があることから、利用者の多い都市部に近接することが求められていたが、従来の「建屋型DC」では、用地確保から建設・稼働に至るまでに時間を要することや、大規模な電力確保が必要であることが課題となっていた。
今回の取り組みで主役となる「コンテナ型」には、上記課題にも対応しうる、従来型DCにない特長がある。コンテナ型DCは、文字通りコンテナ(箱)を1単位として、コンテナ1基の中にサーバー、電力、冷却、監視といった基本的な機能をすべて備えている。工場で製造したものを現地に据え付ける方式のため、従来よりも短納期で設置できるほか、コンテナ単位での小規模な増設にも対応可能で、電力容量の確保に向けた調整もしやすくなるのも利点だ。 (熊谷 波留弥)
2026年8月、インターネットイニシアティブ(IIJ)は、「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度」(以下、SCS評価制度)への対応を支援する「IIJ SCS評価制度アセスメントソリューション」を、提供開始したことを発表しました。
矢野経済研究所では、5月に、「2026 AI時代のサイバーセキュリティ市場の現状と展望」(2026 AI時代のサイバーセキュリティ市場の現状と展望 | 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所)を発刊しています。SCS評価制度はあっても、「何をどうすれば良いのか」がわからず、関心はあるが対策にはつながらない、そんなユーザーの状況が明らかになりました。
今回IIJが提供するサービスは、まさにそうした課題を解決するサービスで、同社が培ってきたセキュリティサービスの運用実績やコンサルティングの知見を活かし、SCS評価制度の★3および★4取得に向けた現状評価から施策検討までを支援するものになっています。企業のセキュリティ対策の前進が期待できると考えます。
IIJ、セキュリティ対策評価制度への対応を支援する「IIJ SCS評価制度アセスメントソリューション」を提供開始 | IIJについて | IIJ
今回『2026 保険に関する消費者の理解度・意識調査』を発刊するにあたり、保険に関する基礎的な知識を消費者がどの程度持っているのかを調査してみました。私は日ごろから保険業界を見ていることもあり、業法改正の話や保険に関するニュースなどを自然と追っていますし、業界関係者の方と話す際にも当然のようにそうした話題が出てきます。しかし、それは一般消費者にとってどの程度身近な話なのだろうか。そう感じ始めたことが、今回の調査のきっかけでした。今年施行された業法改正、特に比較推奨販売ルールの適正化についても、そもそも顧客自身がこうした変化を認識しているのか、どこに理解のハードルがあるのかを把握したいと考え、アンケートを実施しました。
実際に調査してみると、保険商品や保険用語に関する20問の理解度を測る設問では、平均正答率は55.1%と約半分にとどまりました。また、2026年6月に施行された改正保険業法についても、64.8%が「全く知らなかった」と回答しており、認知度は3割強にすぎませんでした。
さらに興味深かったのは、アンケート回答者が自身の保険加入時の行動について、どのようなタイプだと認識しているかを尋ねた設問です。「自分はしっかり理解して契約している」と考えている層のほうが、「大まかに理解した気になれば契約する」層よりも正答率で下回る結果となりました。理解しているつもりと実際の理解度は必ずしも一致せず、そのギャップが数字として表れる結果となりました。
今回の調査を通じて感じたのは、保険会社や代理店にとって重要なのは説明の「量」を増やすことではなく、「何を説明したか」よりも「何が伝わったか」という視点ではないかということです。制度の運用が本格化するこれからこそ、消費者の理解や受け止め方に目を向けた情報発信やコミュニケーション設計が、より一層重要になっていくのではないかと感じています。
▼最新のアンケート結果を活用した調査レポートです
2026 保険に関する消費者の理解度・意識調査 | 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所
2026年8月28日、『2026 保険に関する消費者の理解度・意識調査』を発刊いたしました。
本レポートは、Webアンケート調査を通じて、保険に関する消費者の理解度や意識の実態を明らかにした調査レポートです。
2026 保険に関する消費者の理解度・意識調査 | 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所
今回の調査では、保険用語や保険商品に関する20問の設問を用いて理解度を測定し、「全体」「年代別」「自己認識タイプ別」の3つの視点から分析を行いました。どの用語で理解が進んでいるのか、またどの層で誤解や認識不足が生じやすいのかを定量的に把握できる内容となっています。
なかでも注目したのは、「理解しているつもり」と実際の理解度とのギャップです。自己認識タイプ別に分析した結果、自身を「しっかり理解して契約するタイプ」と認識している層のほうが、必ずしも高い正答率を示すわけではないという興味深い結果が得られました。
また、2026年6月に施行された改正保険業法についても、消費者の認知度や受け止め方を独自に調査しています。比較推奨販売ルールの見直しなどによって想定される募集プロセスの変化について、消費者がどのように感じているのかを把握できる内容となっています。
保険会社や保険代理店をはじめ、消費者理解や募集品質向上に取り組む皆さまにとって、参考となる調査結果をまとめています。ぜひご活用いただければ幸いです。
当社代表が最新のニュースを題材に時代の本質、変化の予兆に切り込みます。
2013年、第2次安倍政権のもとでスタートした海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)がいよいよ存続の岐路にある。2026年3月末時点における累積投資額は1,588億円、EXIT済案件の損失55億円(投資額599億円)、投資中案件の減損計上258億円(投資額989億円)、これにファンドの運営経費を加えた累積損失は540億円、2022年に策定した“最低達成すべき投資計画”(累積損失426億円)は未達、政府は令和9年度の財政投融資要求を行わない方針を固めた。
失敗の要因は複合的でありクールジャパン機構の蹉跌に今更驚きはない。所管官庁である経産省はあたかもこれを見越したかのごとく2024年には“エンタメ・クリエイティブ産業政策研究会”を新たに立ち上げ、昨年6月には「コンテンツ産業の海外売上高20兆円に向けた5ヵ年アクションプラン」を策定、8月20日、“クールジャパン機構、廃止へ”との報道が流れる中、「エンタメ・クリエイティブ産業戦略2026」を発表した。
政策目標は「2033年に海外売上高20兆円」を達成する、そのために官民の叡智を結集、予算執行の一元化をはかり、大規模・長期・戦略的な官民投資を実現する。また、事業の執行に際しては「不断に政策の効果検証を継続するとともに、責任を持って成果が出るまでやり抜く」との覚悟も表明、クールジャパン機構“敗戦”へのリベンジの色合いも滲む。IP(知財)の価値を最大化、民間の売上3倍・投資3倍、分野やバリューチェーンを横断した予算配分の全体最適化、高付加価値な海外需要の取り込み、クリエイターへの対価還元、、、散りばめられた威勢の良いポジティブワードそれ自体に異論はない。
とは言え、映画監督の是枝裕和氏が指摘したとおり※1、そもそも創作の動機はビジネスとしての「勝ち筋」だけではないし、世界的にも見劣りする文化・芸術関連予算とのバランスの悪さは否めない。政府予算に占める文化支出額の比率は0.1%、フランスは同0.9%、韓国は同1.2%※2である。数字は2020年のものであるが趨勢は変わらない※3。文化財、芸術、芸能の保全、保護、継承のための財政基盤は極めて脆弱だ。経産省の言葉どおり“創造力で稼ぐ国”を目指すのであれば省庁の枠を越えた次元において“持続可能な文化のバリューチェーン”戦略こそが求められる。それにつけてもまずはクールジャパン機構の総括である。
※1:2026年4月2日、第2回コンテンツ産業官民協議会、資料10より
※2:令和2年度「文化行政調査研究」諸外国における文化政策等の比較調査研究事業より
※3:2026年度の文化支出(予算)は文化庁予算1,073億円に国際観光旅客税から文化庁に配分される224億円の計1,297億円、政府予算(一般会計)に対する文化支出の割合は0.1%
今週の“ひらめき”視点 2026.8.23 - 8.27
代表取締役社長 水越 孝
ワークスアプリケーションズがHUEのパートナー向けに、「HUE認定制度」と育成プログラム「HUE Partner Basecamp」を開始することを発表しました(2026年8月18日)。本制度では、HUEに関する知識と実務経験を有するプロフェッショナルの育成・認定を一体的に支援します。同社は、これにより、HUEを活用した業務変革を担う人材の育成を加速するとともに、パートナーとの共創基盤を強化し、パートナーの競争力向上と、顧客への提供価値向上を目指すと言います(https://www.worksap.co.jp/about/news/20260818-07/)。
矢野経済研究所では8月末にERPのレポートを発刊予定です。その中でもパートナーについて言及しています。AI時代のベンダー、パートナーは互いにこれまでとは異なることも求めているようです。ワークスアプリケーションズが目指す「業務変革を担う人材の育成」加速は、今後の市場にとって非常に重要と考えます。
YanoICT(矢野経済研究所ICT・金融ユニット)は、お客様のご要望に合わせたオリジナル調査を無料でプランニングいたします。相談をご希望の方、ご興味をお持ちの方は、こちらからお問い合わせください。
YanoICTサイト全般に関するお問い合わせ、ご質問やご不明点がございましたら、こちらからお問い合わせください。