GMOグローバルサイン・ホールディングスが提供する「GMOサイン」が今年、10周年を迎えました。
電子契約サービスは、最初こそ採用して良いものか、という空気もありましたが、今や民間企業だけではなく、自治体でも導入が広がっています。
GMOサインの魅力のひとつはサインをした後の管理(保管や検索など)のしやすさだと思っています。
矢野経済研究所で電子契約サービス市場の研究を始めてから7-8年ですが、その間、サービスは増えたり減ったりしています。
10周年という数字にはサービス品質の高さ、ユーザーからの信頼が現れているように感じました。(小山 博子)
当社代表が最新のニュースを題材に時代の本質、変化の予兆に切り込みます。
9月6日、筆者は徳島県海陽町「まぜのおかオートキャンプ場」で開催された「Startup Camp」に今年もまた参加させていただいた。徳島市内からバスで南へ2時間、道中の“田舎”の深さは半端でない。「ビジネスの話も、人生の話も、自然の下で、素直に話せる。」「ありのままの自分で参加して欲しい。」との主催者「一般社団法人徳島ニュービジネス協議会」(会長:島隆寛)からのメッセージがリアルに響く。
参加者は、国内初の円建ステーブルコインの資金移動業者JPYC㈱の岡部典孝代表、東証グロース上場企業イシン㈱の明石智義会長、Peatix Japan㈱の藤田祐司代表、シェイクスピアの演出家としても著名な㈱トゥービーの木村龍之介代表など、DeNAへの投資やふるさと納税の提唱者として知られる日本テクノロジーベンチャーパートナーズ投資事業組合の村口和孝代表の人脈を中心とした起業家やベンチャーキャピタリスト、地元経済を支える経営者、行政、研究者、金融機関、学生たちなどだ。
今年の主題は“少年のように未来を語る1日”。会場はステーブルコインや生成AIが社会や産業に与えるインパクトからスタートアップの資金調達まで、それぞれの最前線で活躍する錚々たる登壇者の議論で盛り上がった。筆者は徳島ヴォルティス㈱の福島義史常務、徳島インディゴソックス球団の南啓介代表、㈱がんばろう徳島の臼木郁登社長と、スポーツビジネスと地域創生をテーマに語りあった。講演とパネルディスカッションの後は恒例のBBQパーティー、参加者同士楽しい時間を過ごさせていただいた。
今、各地で地域の課題解決と経済の持続的成長を目指して、様々な取り組みが進行中だ。とは言え、決して容易ではない。プロスポーツを誘致すれば地域が活性化するわけではない。地元を盛り上げるためには試合に“勝つ”ことが前提であり、世界で勝てる競技、世界に通用する選手を育てることで資本、才能、人の循環が生まれる。これは筆者が担当したトークセッションの言わば結論であるが、「世界で活躍する起業家を地方から輩出することで地方が豊かになる」との村口氏の持論にも通じる。管理者を必要としない分散型インターネットや生成AIによるイノベーションに立地上の制約はない。その意味で徳島はもちろんすべての地域にTOKYOと同じチャンスがある。がんばれ、地方たち。
今週の“ひらめき”視点 9.7 – 9.11
代表取締役社長 水越 孝
ゆうちょ銀行は2025円9月1日2026年度中にトークン化預金の取扱を開始すると発表した。ディーカレットDCPが提供するプラットフォームを利用し発行する。
https://www.jp-bank.japanpost.jp/aboutus/press/2025/pdf/pr25090101.pdf
トークン化預金とは銀行預金にブロックチェーンなどの技術を活用し、預金をデジタル上で取り扱えるようにしたものを指す。ゆうちょ銀行の検討するトークン化預金も同様であり、決済における即時性と透明性を兼ね備えたものを想定しているという。ゆうちょ銀行が発行体となり、ゆうちょ銀行の決済用預金として決済機能の提供を可能とすることで、預金保険の対象とし、信頼性をもたせる。まずは2026年度中を目途にNFTやセキュリティトークンの取引に連動する決済手段の提供開始を予定している。
ゆうちょ銀行の預金残高は2024年度末現在で約190兆円に達しており、日本における銀行の第二位の預金量をほこる。ゆうちょ銀行の預金がトークン化預金へと置き換われば、市場へのインパクトはあるだろう。(石神 明広)
2025年9月1日、auペイメントとauフィナンシャルサービスが、2026年7月1日付(予定)で合併することが発表された。本合併は、決済事業戦略の一元化と事業推進の加速を目的に、auペイメントを存続会社とした吸収合併の形で実施される。
https://www.au-payment.co.jp/news/news2025/r20250901_2.html
auペイメントはコード決済サービス「au PAY」のサービス運営事業、auフィナンシャルサービスはクレジットカード「au PAYカード」事業やローン事業などを展開しており、両社ともにKDDIグループおよびauフィナンシャルグループに属する事業者である。
KDDIグループでは2019年2月より、スマートフォンを入口として、利用者に総合的な決済・金融体験を提供する「スマートマネー構想」を掲げている。同構想の一環として、同年4月には中間金融持株会社であるauフィナンシャルホールディングスを設立し、銀行・決済・資産運用・保険を集約したauフィナンシャルグループを構築した。
auフィナンシャルグループは、スマートマネー構想に基づいて、au PAYを軸として「貯める」「支払う」「増やす」「借りる」「備える」といった利用者のお金に関わる活動をワンストップでサポートするサービスの拡充を進めている。今回の合併も、グループとして提供するサービス間の連携強化や、クロスユースの促進を目指した施策であると言える。
キャッシュレス決済の定着により市場の競争は激化しており、キャッシュレス決済事業者各社は「経済圏」の構築によるユーザーの囲い込みに注力しているが、競合グループにおいてはコード決済、クレジットカードなどの各サービスをそれぞれ別の会社が運営する形式が主流である。その中で、auフィナンシャルグループが先行して合併という施策を打ったことで、今後は競合においても合併を含めたグループ再編の動きが加速する可能性が考えられる。(都築 励)
アマゾン ウェブ サービス ジャパン(以下、AWSジャパン)は、「第3回 自動車業界におけるAWSの取り組み(生成AI活用)に関する記者勉強会」を、2025年8月21日(木)に開催した。 AWSジャパンは、「ソフトウェア・ディファインド・ビークル(SDV)」の実現に向けた取組みが加速する自動車業界において、SDVの実現に向けたクラウドの必要性や果たす役割、自動車業界の変革にAIがどういった影響をもたらすのかなどについて、深堀していくことを目的として、この勉強会をシリーズで開催している。
2025年5月、7月にもそれぞれ、「AWSの自動車業界向けの取り組み・支援について」、「SDV領域におけるAWSの取り組み」をテーマとして開催した。第3回目となる今回は、「自動車業界におけるAIの活用状況、最新の生成AI活用事例紹介」をテーマとして取り上げた。
当日は、AWSジャパンの岡本氏(エンタープライズ技術本部 自動車・製造グループ本部長)、梶本氏(自動車事業本部 プリンシパルソリューションズアーキテクト)の2名が登壇し、自動車業界におけるAI需要の高まりに加えて、企業における生成AIの活用実例を紹介した。
具体例として、AIのリーズニングモデル(注1)を用いてパーソナライズされた最適ルートプランニングや、AIエージェントを活用したIVI(車載インフォテインメントシステム)の仕様変更対応によるリードタイム短縮などを挙げた。最後には参加者からの質問にも応じた。
今回の勉強会は、AWSからみた自動車業界における生成AI活用の現状と可能性を示す場となり、参加者にとっても最新知見を把握する貴重な機会となった。 (鈴木 蒼)
(注1)AIが事実や情報に基づいて論理的に考え、問題を解決するための結論・結果を導き出すこと
DX総合EXPO/ビジネスイノベーションJapanが、7月23~25日の3日間、千葉県の幕張メッセにて開催された。展示会には280社が出展し、出展者によるセミナーやトップ企業の経営幹部が登壇する特別講演も実施するなど、盛況なイベントとなった。
当展示会では、出展企業の1つであるインターセクト株式会社が、業務特化型のAIエージェントを手軽に構築できる汎用プラットフォーム「Askhub」を展示していた。
「Askhub」は、AIエージェントが自律的かつ、自由度高くタスクを遂行することを可能にするAIエージェントプラットフォームとなっており、『高いカスタマイズ性』、『シンプルさ』、『組織運用性』の3点を強みにしている。カスタマイズ性では、8,000を超える外部ツールとの連携が可能であり、シンプルさについては、誰もがAIエージェントの構築が可能な点にある。プラットフォーム内のチャットで、AIアシスタントに業務内容を指示するだけで、AIアシスタントが自動的にプロンプトや社内データ、外部ツールなどの最適設定を行い、AIエージェントを構築する。構築されたAIエージェントは、AIアシスタントの指示・設定に従い、ファイルの作成や編集、検索、WEB探索等のタスクを自律的に遂行する。インターセクトの担当者は、このシンプルさが、AIエージェントの導入や運用のハードルを大きく下げると期待を寄せている。
さらに、同プラットフォームは、独自開発した検索拡張生成(RAG)を搭載し、回答精度の向上を実現している。AI-OCRを活用した、画像等を含むデータの抽出や、ベクトル検索とキーワード検索のハイブリッド検索による、関連性の高い情報の抽出が可能である。
今回の展示会は、使用する部署(ターゲット)別や製品別の7つの専門展で構成されていた。従来は個人的な利用のフェーズにあった生成AIの活用や業務の自動化が、組織的な運用のフェーズへと移行している印象を受けた。それぞれの現場課題に即した具体的な提案が多く見られ、生成AIの“実装フェーズ”へのシフトを実感した展示会だった。
多くの企業がAIツールの導入や運用にハードルを感じている。しかし、「Askhub」を活用することで、そのハードルが低くすることができる。チャットで指示を出すと、AIアシスタントが最適な設定を行い、使い慣れたツール上で AIエージェントが自律的にタスクをこなしてくれる。そのため、業務効率化の幅がかなり広がると感じた。 (鈴木 蒼)
当社代表が最新のニュースを題材に時代の本質、変化の予兆に切り込みます。
8月20日、イスラエル国防省はイスラエルの占領下にあるヨルダン川西岸地区における新たな入植計画を承認した。“新たな”と記したが、「E1計画」と名付けられたこの計画は国際社会からの反発を受けて20年間凍結されてきたものである。実現すればエルサレムの南北、東エルサレムと西岸がともに分断されることになり、パレスチナの地域としての一体性は失われる。
パレスチナ自治政府は“2国家解決構想を破壊する”と非難、英仏独をはじめ日本も「即時撤回を求める」と声明した。そもそもイスラエルによる入植地の建設は国際法上認められるものではなく、国際司法裁判所(ICJ)もイスラエルのパレスチナ占領政策を違法と断じている。一方、極右勢力と連立するネタニヤフ政権は入植地拡大による占領政策を加速、2国家共存という政治的解決策の無効化をはかる。
この2月、筆者が運営に関わるシェア型書店「センイチブックス」(調布市)で上映会を開催させていただいたジャーナリスト 川上泰徳氏のドキュメンタリー「壁の外側と内側」が、劇場用に再構成されて全国の映画館で上映されることになった。8月30日、渋谷ユーロスペースにてあらためて本作を観た。イスラエル軍と入植者たちによる暴力と排除に踏みにじられるヨルダン川西岸の現実は私たち日本人の想像を絶する。イスラエルの刑務所に収監された夫に会うことは出来ない。それでも、摘んできた野のバラを飾ることでささやかな日常を維持する妻の姿に胸を打たれる。
映画では、武力による占領と非人道行為への加担を拒否するイスラエルの若者の姿もあった。破壊と飢餓に苦しむガザの惨状は世界が知るところである。しかし、多くのイスラエル国民は“不都合な真実”から目を逸らしたままであるという。「言論統制があるのか」との筆者の問いに、川上氏は「大手メディアの萎縮が主因」と言い切った。アラブ人は暴力の加害者としてのみ記事になる、国全体がそうした空気の中にある、ということだ。9月1日、湾岸協力会議(GCC)の外相会合に出席した岩屋外相が2国家解決の実現に向けてGCCと連携する旨、表明した。パレスチナ国家を承認した国は150か国を越える。フランス、英国、カナダも承認する方針だ。日本も続け。
■ご参考
映画 『壁の外側と内側 パレスチナ・イスラエル取材記』 公式WEBサイト
今週の“ひらめき”視点 8.31 – 9.4
代表取締役社長 水越 孝
三井住友海上火災保険は2025年8月27日、気候変動によって企業が被る経済的損失を補償する「天候指数保険」の販売開始を発表した。同保険は、気温や降水量などの天候データに基づいて保険金が支払われる、いわゆるパラメトリック保険であり、従来の損害査定を必要とせず、迅速な支払いが可能な仕組みとなっている。
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パラメトリック保険は、国内ではまだ一般的とは言えず、地震保険など一部の分野で導入されている程度という認識である。しかし今回、三井住友海上が天候リスクに対してこの仕組みを導入したことで、パラメトリック保険の活用が広がる契機となる可能性がある。
近年、国内でも異常気象が頻発しており、猛暑・豪雨による操業停止や物流の遅延、農作物の品質低下など、企業活動への影響が顕在化している。こうした事象は、従来型の保険では損害査定が難しく、補償までに時間を要するケースも多い。迅速かつ客観的な支払いが可能なパラメトリック保険の重要性は、今後さらに高まると考えられる。
ここ数年、IoT/M2Mマーケットは大きく伸びています。また2030年を超えた市場見通しでも、引き続き高い伸長が継続すると予想されます。
この背景には、技術の進展やサプライヤーサイドの努力も奏功していますが、最も大きな影響があったのは、「コロナ禍による社会全体での意識変容(遠隔・リモートを受容する意識が定着)」と、「対処しがたい人手不足の深化」があると判定します。
こう書いてしまうと、ITベンダー等の不断の努力、ユーザ企業の地道なDXへの取り組みを蔑ろにしているように聞こえますが、現実として「外部環境の変化がIoT/M2M需要を喚起した」部分が大きいと考えます。
ゴチャゴチャと書きましたが、要約すると「社会情勢や周辺環境の変容は、日々、ウォッチしないといけないな」と、改めて認識したところです。
2025年8月27日、「2025年版 IoT/M2Mマーケット~遠隔モニタリング実装が進むIoT/M2M、マルチキャリア需要への期待も高まる~」を発刊しました。
本レポートでは、IoT/M2Mビジネスの現状を踏まえた上で、分野別のIoT/M2Mの利活用状況、関連市場規模及び規模推移、2031年に向けたマーケット展望を実施。併せて、「バックアップ回線の現状把握(IoTネットワークの冗長性)」、「IoT×ドローン」、「IoT×生成SI」、「IoT×デジタルツイン/CPS」といった観点でのマーケット研究も行いました。
コロナ禍を経て、社会では「遠隔・リモート志向」が定着。併せて「人手不足の深刻化」が進展したことで、当該マーケットには強い追い風が吹いています。これにより、従来はIoT/M2M活用に慎重であったユーザ企業でも、導入に向けた意識変容が進展したと思われます。さらに、IoT/M2Mと親和性の高い生成AIを始めとしたデータ解析・活用テクノロジーの進展も、ここ数年に登場した様々なIoTソリューションのバックボーンになっています。
このような外部環境の変化及び周辺テクノロジーの進展が、IoT/M2Mビジネスの賦活化に大きく作用したと考えます。
定番テーマの「IoT/M2Mマーケット」ですが、ぜひ貴社のマーケット分析における基礎資料として活用してください。
2025年8月28日、LINEヤフーとPayPayは、JR東海・JR西日本・JR九州が10月4日より提供を開始する新幹線予約サービス「LINEからEX」において、LINEから東海道・山陽・九州新幹線の予約が可能となり、決済手段として「PayPay」が利用できるようになることを発表した。
https://about.paypay.ne.jp/pr/20250828/01/
同サービスでは、LINE上で公式アカウント「東海道・山陽・九州新幹線予約」を友だち追加することで、すぐに新幹線を予約できる。提供開始時点での支払方法はPayPayのみとなっており、クレジットカード情報の登録なども不要である。
JR東海・JR西日本・JR九州は、新幹線のネット予約・チケットレス乗車サービスであるEXサービス(「エクスプレス予約」および「スマートEX」)の利用を推進しており、2024年度にはEXサービスの会員数が1,600万人を超えた。予約件数全体に占めるネット予約の比率も6割近くに達しており、今後さらなる拡大を狙っている。
一方、PayPayをはじめとしたコード決済事業者は、対面での決済処理を伴わないオンライン決済を重点領域として位置付けており、同領域での利用拡大に向けて精力的に取り組んでいる。このことから、今回の取組みは各社の目指す方向性が合致した形と言える。特に、若年層などクレジットカードを持たない利用者や、オンラインにカード情報を入力することへの抵抗感からネット予約を避けていた利用者の取り込みが期待される。
JPKCは2025年年8月18日資金移動業者の登録を得た。これにより、日本円と1:1で連動する電子決済手段、ステーブルコインが発行可能な資金移動業者となった。同社は今まで前払式支払手段として日本円建トークン「JPYC Prepaid」を発行しており、より幅広い利用シーンに対応可能な日本円建ステーブルコイン「JPYC」の発行を開始する。
https://corporate.jpyc.co.jp/news/posts/first-yen-stablecoin-jpyc
ステーブルコインは法定通貨などの特定の資産と連動することで価格の安定性を実現する電子決済手段である。既に米国のCircle社が米ドル建てのステーブルコイン「USDC」を発行するなど、他通貨では利用されている。円建てのステーブルコインが普及すれば、日常の決済における選択肢の一つとなるだろう。(石神 明広)
2025年のERP市場も大きく伸びました。市場を牽引した理由のひとつには保守切れを迎えるシステムからの乗り換え・更改なども挙げられます。保守切れを迎えるシステムと言うとやはりSAP 2027年問題を想起します。もちろん、SAP以外のシステムからの乗り換え案件もありますが、目立つのはSAPからの乗り換え案件です。その影響ゆえか、SAPのシェアもじわじわと縮小しています(矢野経済研究所推計)。しかしながらSAPはパートナー販売も好調です。ERP市場は安定しているという声もありますが、まだまだ揺れ動いていると感じました。
https://www.yano.co.jp/market_reports/C67109600
8月25日に『2025 ERP市場の実態と展望』を発刊しました。今年、注目動向で取り上げたのは、クラウド、AI/生成AI/AIエージェント、GX(グリーントランスフォーメーション)、デジタルインボイス、106万円の壁、新リース会計基準です。クラウドに関しては、思っていた以上にSaaSが伸長した印象です。Fit to Standardもなじみはじめていますし、これから製品も増え、さらに存在感を増していくと考えます。
皆さまの中でも、コード決済を日常的な決済手段として普段から利用されている方も多いのではないでしょうか。私自身も日用品の買い物や飲食店での支払いなど、ほぼ毎日利用しています。
普段、支払いに利用するだけだと少し気づきづらいかもしれませんが、現在はコード決済アプリから決済以外にも様々なサービスを利用することができるようになっています。というのも、多くのコード決済事業者はグループ内外の金融機関、証券会社などと協業し、サービスを連携することで、決済アプリから保険、銀行、投資といった金融サービスを利用可能とする「スーパーアプリ化」に向けた取組みを進めており、アプリの機能が日々追加されている状況です。
皆さまも普段お使いのコード決済アプリを一度ゆっくり眺めてみると、新たな発見があるかもしれません。
2025年7月30日に『2025年版 コード決済市場の実態と展望』を発刊いたしました。コード決済は、各事業者が展開した大規模なキャッシュバック・ポイント還元キャンペーンや、コロナ禍において現金のやりとりによる接触を避けるという機運を背景に浸透し、現在も利用が拡大しています。当初は実店舗での対面決済を中心に利用が拡大してきましたが、近年はオンラインをはじめとした新たな領域への拡大が進んでいるほか、2023年に解禁された給与デジタル払いにコード決済事業者が参入するなど、市場は変化を迎えている状況です。
そうした状況をふまえ、本レポートでは、コード決済事業者や、決済ゲートウェイを提供するマルチコード決済サービス事業者の動向を分析し、市場の実態を明らかにするとともに、将来を展望いたしました。本資料が貴社の事業戦略立案の一助となれば幸いです。
2025年7月22日、池田泉州ホールディングスは2025年7月28日よりデジタルバンク「01(ゼロワン)銀行」のサービス提供を開始すると発表した。
https://www.senshuikeda-hd.co.jp/news/pdf/20250722.pdf
2023年9月にデジタルバンク事業の開始を発表し、2025年2月に銀行業を取得していた。事業内容は中小企業を対象としたデジタルバンク事業であり、「事業者が普段から利用するクラウドサービスを提供する PFer(プラットフォーマー)と連携した新しい金融サービスを提供する」としている。
地方銀行がデジタルバンクを開業するのは、ふくおかフィナンシャルグループの「みんなの銀行」、東京きらぼしフィナンシャルグループの「UI銀行」に次いで3行目である。みんなの銀行とUI銀行が個人をターゲットとしているのに対し、01銀行は事業者をターゲットとしている。
クラウドサービスとの連携によって事業者に対してどのようなサービスを提供していくのか、今後の取組みに注視していきたい。(石神 明広)
今回の調査を通じて、印象に残ったのが「正常性バイアス」という心理的傾向についての話です。正常性バイアスとは、非常時に直面しても「自分は大丈夫だ」「これまでも問題なかったから、今回も大丈夫だろう」と考え、危険を過小評価してしまう心理のことを指します。この傾向によって、避難などの適切な行動が遅れてしまうリスクがあります。科学的な裏付けがあるわけではありませんが、実際に大きな災害を経験すればするほど、このバイアスが強まるのではないかという感覚を持ちます。
私自身、東日本大震災を仙台で経験していますが、その体験があるからこそ、災害時に「多少のことでは命に関わるような事態にはならないだろう」と、どこかで油断してしまう可能性を感じています。備蓄や避難所の確認など一定の備えはしていますが、いざという時に正常性バイアスが働いてしまえば、それらの対策も十分に機能しません。今回の調査は、災害への向き合い方を見直すという意味でも良いきっかけになりました。(今野 慧佑)
7月31日に『2025年版 防災DX市場の実態と展望』を発刊いたしました。
近年、気候変動の激化や大規模災害の頻発に加え、自治体職員の減少が進む中で、防災DXの重要性は一段と高まっています。AIやIoTなど先端技術の進展により、自治体や民間企業における防災への取り組みにも変化が生まれつつあります。一方で、これらのユーザが防災DXソリューションを導入するにあたっては、コスト面での負担が大きく、限られた予算の中で十分な投資を行うことは容易ではありません。
本調査では、防災DXの取り組みをめぐる政策動向、参入事業者の展開状況、自治体・民間における導入実態を整理し、今後の市場成長性と課題を展望しています。本資料が、皆様の事業展開における一助となれば幸いです。(今野 慧佑)
IoTプラットフォーム「SORACOM」を始めとする、IoT関連サービスを手掛けるソラコム主催の「SORACOM Discovery2025」が16日、東京ミッドタウンで開かれ、IoTの活用事例に関する基調講演などが行われた。このうち自動車メーカーのスズキは、電動車いすの足回りを始めとするさまざまな技術を、ロボットの足回りユニットとして提供する取り組みについて紹介した。電動車いすの足回りを再現した「電動モビリティベースユニット」に、通信機を取り付けて企業に提供し、走行データなどを収集。各企業が開発したロボットの形態、稼働状況を把握しロボットの運用支援を行うとともに、さらなる開発に向けたフィードバックを進める方針という。
スズキは50年以上にわたり電動車いすに関する技術開発を担っており、自動車品質の塗装や荷物運搬の牽引力を備えた足回りユニットを提供できる。国内で人手不足の進行により、多くの業界でロボット活用の必要性が指摘される一方、既存のロボットだと坂道や段差などを走行できず活用現場が限定的になるという課題があった。
スズキとソラコムは2024年2月、モビリティサービス分野におけるIoT先進技術の活用に向けた合意書を締結。スズキはソラコムのIoT技術を活用しながら、電動モビリティベースユニットの事業領域拡大に向けニーズを探っている。このベースユニットには、具体的にはソラコムの無線通信回線サービス「SORACOM Air」、IoTデバイスからデータやファイルを収集・蓄積するサービス「SORACOM Harvest」といったサービスが使われている。車両のリアルタイムの稼働状況といったデータをスズキの社内クラウドに連携。スズキは集めたデータを分析し、パートナー企業のロボットの適切な運用・保守を続けるだけでなく、収集データを今後の製品開発に反映させていく。ソラコムの技術でIoT化を実現した電動モビリティベースユニットを活用することで、スズキは既存のロボットの足回り技術の課題解決を図ろうとしている。
これまでスズキは複数社に対し、ソラコムの技術を活用しIoT化を実現した電動モビリティベースユニットを提供している。スズキは各社と連携し、いちごの収穫や資材の運搬、除雪ロボットの足回りとしての活用を検討しているとする。除雪ロボットに関しては、私有地といった大型の除雪車が入らないようなスペースで活用でき、好評を得ているという。電動車いすのサイズの場合、小回りが利くことから幅広い業務での活用が期待できそうだ。(川口御生)
矢野経済研究所は、8月9日(土)から17日(日)まで夏季休業となります。そのため、次の営業日は8月19日(月)です。
皆様、お体にお気をつけてお過ごしください。
楽天ペイメントと楽天少額短期保険(楽天少短)は2025年7月17日より、「楽天ペイ」アプリにおいて「熱中症のほけん」を提供することを発表した。
https://payment.rakuten.co.jp/news/2025071700/
利用者は、楽天ペイアプリ内に表示される「熱中症のほけん」のアイコンから楽天少短のWebサイトに遷移して加入申込を行い、楽天ペイ(オンライン決済)でスムーズに支払まで完了できる。保険料の支払金額に対しては最大2.5%の楽天ポイントが還元されるほか、支払時に楽天ポイントを利用することもできる。
近年、楽天ペイメントをはじめとするコード決済事業者各社は、グループ内外の金融機関、証券会社、FinTech企業などとの協業により、決済アプリを起点として様々な金融サービスを提供する「スーパーアプリ化」に向けた取組みに注力しており、今回の「熱中症のほけん」の提供もその一環として位置付けられる。他のコード決済サービスにおいても、決済アプリから保険、銀行、投資といった金融サービスへの導線が設けられており、決済とそれらのサービスのクロスユースを促す動きは今後も継続するとみる。また、決済データと各種金融サービスの利用データを連携させ、パーソナライズされた情報を各ユーザーに配信するなど、サービス間での相互送客に向けた取組みが進むことも想定される。
一方で、アプリへの過度な機能追加は、画面の視認性を損ない、ユーザーの利用体験を悪化させる恐れもある。そのため、今後は「多様なサービス提供」と「アプリの分かりやすさ・使い勝手」の両立が課題になると考える。
東京都は、町会・自治会運営の活性化や効率化に向けた取組みの支援を目的とした「町会・自治会デジタル化推進助成」の申請受付を、2025年7月14日より開始した。
https://www.seikatubunka.metro.tokyo.lg.jp/chiiki_tabunka/chiiki_katsudo/chiikiryoku/0000002500
具体的な助成内容は、①電子回覧板の導入及び利用に要する経費、②QRコードを用いた決済システムを利用した町会費の徴収の導入及び利用に要する経費となっており、それぞれの初期費用、システム利用料、決済手数料などを最長12ヵ月間助成する。
特に町内会費の徴収に関しては、キャッシュレス決済が浸透しつつある現在でも、依然として現金が中心であり、集金担当者にとっては現金の紛失リスク、煩雑な会計処理などにより時間的・精神的な負担がかかる作業となっている。コード決済事業者においても、2024年6月にPayPay、2025年7月に楽天ペイが町内会・自治会への導入に対応するなど課題解決に向けた取組みが進んでいる状況であり、今回の助成により導入が加速する可能性はある。
一方で、町内会・自治会の会員には高齢者も多く、高齢者はキャッシュレス決済を日常的に利用していないケースも考えられるため、一気にコード決済のみでの徴収に切り替えることは難しいと想定される。その場合、集金担当者は現金とコード決済の2つを並行して管理することが必要になり、より負担がかかってしまう可能性もある。ただコード決済を導入するのではなく、導入後の運用プロセスの設計や、将来的な徴収方法の検討などを含めた長期的な視点が求められるのではないだろうか。
2025年7月14日、NECは、徳島県および電脳交通との3者による自動運転技術を活用したロボットタクシーの実証運行が、国土交通省の「地域公共交通確保維持改善事業」(注1)に採択されたと発表した。この取り組みは、地域住民の移動支援を目的に、2025年度中に複数回の実証運行を行う計画である。NECは事業の企画・運営と自動運転に関するハードウェア・ソフトウェアの提供、電脳交通はAIによる動的配車を提供し、徳島県内での道路運送車両法のレベル4(注2)認可を取得したロボットタクシーの導入を目指す。
NEC、徳島県および電脳交通によるロボットタクシーの実証運行について | NEC公式プレスリリース
本ケースは、都市部ではなく地方を舞台とした取り組みであるため、地域の高齢化や公共交通の空白地帯といった課題解決に直結する点が期待される。
今後、実証を通じてユーザーの受容性や制度面の課題を明らかにし、持続可能なモデルとしてどこまで展開できるかが注目ポイントとなる。自治体とテック企業によるモビリティの共創がどう進むのか、注視していきたい。(山内 翔平)
(注1):国土交通省 地域公共交通確保維持改善事業
(注2):道路運送車両法レベル4:運転者を必要としない自動運転を可能にする
AWS Summit Japanが6月25、26の両日、千葉県の幕張メッセで開催された。
160を超えるセッションなどが行われ、このうち岩崎電気は自社製品とAWSの生成AI技術を組み合わせて開発した、カメラ付き照明による冠水検知システムなどを紹介した。これは道路や河川の状況を遠隔で監視するシステムで、生成AI技術を用いることにより、カメラの映像から冠水や積雪といった道路状況を遠隔で検知する。異常事態などの発生時にはユーザーにアラート等で知らせることで、監視業務の負担を軽減する。
具体的には、岩崎電気のカメラ付き照明器具とクラウド型統合管理システム「ENEPEACE」、AWSの「Amason Bedrock」を基盤システムとし、Amason Bedrockを介して適切なモデルを選択している。まずカメラ付きの照明器具から道路などの画像を取得、「ENEPEACE」に実装された生成AIが1分間隔で自動的に状況を把握する。生成AIを用いることで、ユーザーが把握したい状況を自由に指定することができ、「道路冠水」などプロンプトに応じた検知が可能となる。
従来、岩崎電気ではカメラ付きの道路照明のほか、道路冠水をセンサで検知するシステム等をそれぞれ提供してきた。一方、人が長時間画像を監視する必要があったり、詳細な画像検知が難しかったりと省力化に課題が残っていた。
課題解決のきっかけとなったのは、昨年のAWS Summit Japanだった。岩崎電気の担当者が生成AIの事例を知り、自社サービスに生かせないかと検討。企画から約2カ月でプロトタイプが完成したという。カメラと照明が一体となっていることで、鮮明なカメラ画像を取得することができるようになったほか、常時監視が不要になり監視員の労力削減につながったとしている。同社は「天気予報といった外部データを活用し災害発生の事前予測などにも取り組んでいきたい」としている。(川口 御生)
今回の「2025 車載用ソフトウェア市場の実態と展望vol.1協力会社編」に関する執筆の期間中、ぎっくり腰になりかけました。ゲーミングチェアで仮眠を取るなど不摂生が祟ったようです(´;ω;`)ウッ…
「なりかけ」だから問題ないでしょう?と思うなかれ。いつ逝くか不安に怯えつつ、整形外科に通ったりと2-3週間くらい常時腰を気にしながら生活をしておりました。弊社は在宅勤務も可能ですので、そちらも活用しつつ、何とか落ち着きました。
回復後、同僚から「ふんばるず」なるものが効果があるといわれて、藁にも縋る思いでハリネズミくんを相棒に迎え入れました。その効果もあってか、腰のほうは何とか回復、取材に執筆に集中することができました。時々、よろしくない姿勢を取っていると、相棒が落ちてしまうのはご愛敬。
また新たなレポートの執筆活動がはじまりますが、ハリネズミくんにも手伝ってもらい、腰は何とか守りたいものです。
2025年7月15日に「2025 車載用ソフトウェア市場の実態と展望vol.1協力会社編~SDVを巡る半導体メーカーを中心とした攻防と中国の動向~」を発刊いたしました。本資料は車載用ソフトウェア市場に関する2分冊(協力会社編/OEM・Tier.1、2編)のうちの、協力会社編となります。
従来、協力会社編では、ソリューションベンダーを中心に取り上げてきたのですが、昨今、大手を中心に自動車会社がSoC(System-on a chip)も手掛けるようになってきたことを踏まえ、新たに半導体メーカーも対象として組み入れました。
車載用ソフトウェアを巡っては、従来、制御系/車載IT系(=情報系)で区分してきましたが、IT系半導体メーカーを中心に、SDV関連ソリューションを相次いで提供、車載IT系を飲み込みそうな勢いとなっています。こうした状況を市場規模でも表現しました(購入してからのお楽しみ)。
また、17社におよぶ企業さまとご意見交換をさせて頂きながら、車載用ソフトウェアのアーキテクチャの変遷(2012年→2018年→2025年→2028年)および開発環境に関する変遷(2018年以前→2025年→2028年→2032年)について当社の仮説を提示することができました。
2023年に発刊しました協力会社編のレポートから、多くの事業者さまにご協力頂き、大幅に内容をアップデート、よりディープなものになったと自負しております。
ぜひお手に取っていただけますと幸いです。
デジタルマーケティング市場を調査するにあたって、何回か展示会に足を運びました。そこで改めて実感したことですが、やはりデジタルマーケティングの展示会はパワフルだと思いました。色々と勉強したい私にとって、声をかけてくれることは非常にありがたいです。その一方で、通路によっては歩きづらいほどお声がけをいただき、その熱気に戸惑ってしまうこともありました。もっとも、展示会は出展社や来場者が少ないと寂しいので、盛り上がっているに越したことはありません。今回は会期の初日に訪れたため、ひときわエネルギッシュな雰囲気に包まれていたのでしょう。今後はもう少し落ち着いてそうな、後半に伺おうと思います。
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