矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

デイリーコラム


2025.06.13

改正NTT法 各社がコメントを発表

いわゆる改正NTT法について通信キャリアがコメントを発表した(5/21)。NTTは単独で、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルは3社共同でのコメントとなっている。

 

NTTはこれまで重荷になっていたユニバーサルサービス責務の緩和やNTT東西の業務規制緩和などを歓迎するとともに、グループの機動的・効率的な経営を阻害しないようコメントした。
一方、3社コメントはNTTがこれまで構築した電柱等設備類の公共性を改めて担保されたことに賛同する一方、NTTのグループ一体化について公正な競争環境を阻害するとし、慎重さ政策議論が行われるよう要望した。
https://group.ntt/jp/newsrelease/2025/05/21/250521b.html
https://newsroom.kddi.com/news/detail/kddi_nr_s-39_3922.html

 

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どちらのコメントも従来より各社が主張していたもので特別なものではないが、法改正をうけ、NTTにはIOWN構想を筆頭にグローバルでの活躍が責務といってよいだろう。国内の金のなる木を太らせることに価値はない。(忌部佳史)

2025.06.12

「PayPay、バーチャルカード『PayPay残高カード』を提供開始(05/21)」

PayPay株式会社は、PayPayカード株式会社と提携し、2025年5月21日より、バーチャルカード「PayPay残高カード」の提供を開始した。このカードは、PayPayアプリ上で発行可能であり、Visa加盟のオンラインショップでの利用が可能である。年会費は無料であり、クレジットカードのような審査は不要である。決済額は「PayPay残高」や「PayPayポイント」から即時に差し引かれ、残高を超える決済はできない。

 

https://about.paypay.ne.jp/pr/20250521/01/

 

PayPayによる決済を導入していないオンラインショップにおいてもPayPay残高で決済可能となることで、PayPayの利便性は更に向上するであろう。5月15日には三井住友カード株式会社の「Olive」との連携も発表されており、コード決済のみならず、カード決済、ポイントサービスを強化していく姿勢がうかがえる。(石神明広)

2025.06.11

大日本印刷株式会社、日本加除出版株式会社、株式会社Hexabase(ヘキサベース)、生活者がメタバース上でAIに悩みを相談することの有効性を確認(5/21)

2025年3月、大日本印刷、日本加除出版、Hexabaseは、自治体窓口を三次元仮想空間で再現したメタバース役所において、AI相談員が住民の悩みに応える実証実験を実施した。期間中に105名が来場し、計75件の相談が寄せられた。調査では約85%がAIとの対話を自然と評価し、約65%が心理的負担の軽減を感じた。AI相談員は家庭・離婚分野を強みにしていたが、今後は対象領域を拡大し、幅広い生活課題へ対応する方針である。また、複雑な案件では内容をAIが職員へ引き継ぎ、人とAIの"ハイブリッド"な運用の実現を目指す。

 

https://www.dnp.co.jp/news/detail/20176724_1587.html

 

自治体職員の減少は深刻な課題になっている。そうした中でも現状のサービスを維持・向上させていくためにはデジタルの活用は必須になっている。国も自治体に対して窓口DXの推進を促しており、徐々にデジタル化が進んできている。申請書類の記載をなくす「書かない」、オンライン申請で完結する「行かない」、予約やキャッシュレスによる「待たせない」、案内を分かりやすくする「迷わせない」がキーワードになっている。本実証実験は住民からの相談をAIが仮想空間上で対応するという内容になっており、これらのキーワードを実現する方法になっている。

こうした利便性という点以外にもAI相談員の価値はあると考えている。AIが一次対応を担うことで相談の敷居が下がる場合があるのではないか。例えば、職員に直接打ち明けにくいプライベートな悩みでも、まずAIに相談できれば心理的負担を軽減しやすいということもあるだろう。
また、アンケートではAIカウンセラーによる空間内での相談はどう感じたかという設問を設けている。最も多い回答だったのが「実際のカウンセリングルームのような心地よさを感じた」(40%)だった。これも興味深い点である。相談だけならばチャットで十分だと思っていたが、メタバース上で実施することが利用者の安心感を高める役割を担っているようだ。これはメタバースの強みであり、将来的には内容に応じて空間や相談員のアバターを変化させることで、より相談しやすい環境を提供することも可能だろう。
職員減少が加速している現在、こうした先端技術を活用して住民サービスを向上させることが不可欠になっている。しかし、活用すればよいというものではなく、職員負担の軽減も併せて検討しなければならない。本リリースでも今後の展開として職員への相談内容の引き継ぎについて言及されている。窓口業務において住民から聞き取った内容をデジタル化しても、支援を開始するために職員が別のツールに入力し直していては負担が増えるばかりである。自治体DXではフロントヤードからバックヤードまで一貫したデジタル化という点もポイントになっていく。

2025.06.10

「設立からたった10年で取扱残高が3,500億円を突破」

FOLIOホールディングスの取扱残高が3,500億円を突破したという。

 

■ニュースリリース

FOLIOとAlpacaTechによる多面的なアプローチで金融ソリューションを拡充当社グループの取扱残高が3,500億円を突破(FOLIOホールディングス)|ニュースリリース|SBIホールディングス

 

実は設立前から見知っているFOLIO社のニュースを目にしてついつい取り上げたくなった。きっと上記数値はただの途中経過であり、すぐに超えていくことは分かりつつも、驚異的な成長を遂げる同社について本コラムで取り上げておきたいと思う。

 

本コラムを目にしている皆さんはFOLIOをご存じだろうか。証券会社の方はさておき、簡単に同社のことを本リリースをベースに紹介しておこう。FOLIO社は、主に2つの事業を展開している。まず一般顧客向けにAI投資「ROBOPRO」を提供しており、トランプ大統領就任による荒れ相場ながら2025年5月12日にサービス開始来の最高値を更新したとする。

次に、こうした「ROBOPRO」をベースとした投資一任プラットフォーム「4RAP(フォーラップ)」を銀行や証券会社など向けに投資一任運用ソリューションとして提供している。これまでに運用ソリューションの一部であるAI運用エンジン(子会社のAlpacaTech社と開発)をSBI岡三アセットマネジメントや三井住友DSアセットマネジメントの提供する投資信託に対して提供するなど、導入金融機関が抱える顧客の口座・預り残高を活用した投資一任運用サービスの普及に取り組んでいる。

 

さて、FOLIOは私が『2017 FinTech市場の実態と展望』において初めて取り上げた。が、実は取り上げる以前から創業者である甲斐氏にはお会いしていた。某大手FinTech企業のCFOから「面白いやつがいる」と紹介を受け、設立以前に面談をさせていただいており、当時はまだFOLIOを設立する直前の時期だったと記憶している。「これは成功するだろうな」と直感した。FOLIOは2015年12月に設立なのでちょうど今年で10年。たった10年で脅威的な成長を遂げたのはさすがというほかない。

これまでに数百社に及ぶスタートアップの創業者に取材をしたり情報交換をしているが、倒産した企業や他社に買収された企業、そしてFOLIOのようにとんでもない成長を遂げた企業と、その運命はさまざま。成功の可否に関わらず、日夜生まれているスタートアップが我々の日常をどう変えていくのか、楽しみで仕方ないし、私も1社でも多く、そうした企業を取り上げていきたいと考えている。(山口 泰裕

2025.06.09

「KDDIのRCSサービス開始がもたらすA2P市場の転換」(5/20)

KDDI株式会社とSupership株式会社は、2025年5月20日より法人向けメッセージ配信サービス「KDDI Message Cast」を通じて、日本国内でAndroidおよびiOSの標準メッセージアプリを対象とするRCS(Rich Communication Services)の配信を開始した。KDDIによると、両プラットフォームへの同時対応は国内初であり、従来SMSを中心としてきたA2P(Application-to-Person)型コミュニケーション方式における技術的転換の可能性を示す事例といえる。

https://biz.kddi.com/topics/2025/news/019/

 

従来のA2P SMSは、高い開封率および到達率を背景に、マーケティング、認証、行政通知といった分野で依然として主要なチャネルとして機能している。しかしその一方で、一方向かつテキスト主体という構造的な限界も指摘されてきた。そこでKDDIは、A2P SMSの抱える課題に対する現実解として今回、RCSの配信を開始した。RCSはこうした制約を補完する次世代型のメッセージング技術として注目されており、画像や動画、ボタン型メニューといった視覚的要素や双方向インターフェースを備えている。また、応答を促すボタンや、予約・問い合わせ対応といった機能がメッセージ内で完結することで、従来のコールセンターやWebフォームを介さず、直感的な顧客行動の誘導が可能となる。さらに、企業認証機能により、セキュリティおよび信頼性の向上も期待できる。

 

とりわけ、金融・インフラ・物流など、「リカーリング(Recurring)」が求められる業界においては、RCSを通じて一方的な通知型から、その場でやりとりができる仕組みに変えることで、企業と顧客の関係をより実用的な形に再構築できると見込まれる。例えば、支払いの案内や手続きがその場で処理できるようになることで、企業(配信元)と顧客(受け手)の距離が縮まり、継続的な関係づくりにもつながるだろう。

 

RCSの商用開始は、顧客接点におけるコミュニケーション品質向上を意図した一例と捉えることができるが、一方で、個人の端末や通信環境による安定性の確保、SMSに比するコスト構造、コンテンツやユーザージャーニー設計の複雑さといった課題も存在する。今後、ユースケースの拡大とユーザーの受容状況に応じて、A2P市場におけるRCSの比重が変化していくと考えられる。(曺 銀瑚

2025.06.06

デジタル庁がJPKI導入事業者一覧を更新(05/16)

デジタル庁は2025年5月16日、公的個人認証サービス(JPKI)に対応する民間プラットフォーム事業者の一覧を更新した。JPKIはマイナンバーカードのICチップに搭載された電子証明書を活用し、オンラインでの本人確認や文書の改ざん防止を可能にする仕組みである。本サービスは、銀行口座開設やローン契約など多様な民間サービスに導入されており、2025年4月末時点で717社が利用している。導入理由としては、セキュリティ強化、顧客サービスの向上、事務コスト削減といった点が挙げられる。

 

https://www.digital.go.jp/policies/mynumber/private-business/jpki-introduction

 

JPKIは当初、銀行等の口座開設時の本人確認での利用が大部分を占めていた。この利用方法は現在も拡大中であるが、加えてイベント、マッチングアプリでの活用事例が増加傾向にある。健康保険証・運転免許証のマイナンバーカードへの一本化の影響もなどでマイナンバーカードの普及率が高まっており、JPKIの利用場面の拡大が見込まれる。(石神明広)

2025.06.05

「6G時代におけるネットワーク・ビジョンと実証:『Network for AI』の実現を目指したロボット共同開発プロジェクト」②

3. 「Network for AI」実現に向けたコンセプトロボット開発プロジェクト
ドコモは2024年より『6G Harmonized Intelligence』プロジェクトをスタートし、ロボット・AI・デザイン分野の多様な専門家および企業との協業に取り組んでいる。本プロジェクトは、「Network for AI」の実現に向けた初動的な取り組みであり、将来的に想定されるさまざまなユースケースの実証および技術要件の具体化を目的としている。現在、ドコモを中心とした以下の3社が、6Gの低遅延・高信頼通信技術を活用したロボットの共同開発を実施しており、今後も多くのパートナーの参加が予定されている。

 

・アスラテック株式会社:既存のセンサーやカメラを排除し、外部デバイスとの通信によって制御される「ハーモナイズドセンサレスロボット」を開発
・ピクシーダストテクノロジーズ株式会社(PxDT)と筑波大学:人間とAI・ロボットとのインタラクションを想定した「コンポーザーとグルーバー」を開発
・ユカイ工学株式会社:自然生態系と共生しながら自律的に行動する「DENDEN」を開発

 

4. まとめ
本プロジェクトは、単なる技術的性能の追求を超え、人間のコミュニケーションを模倣・補完し得る通信インフラの必要性を実証することにその意義を持つ。分野横断的な連携や通信基盤の融合によって具現化された本開発事例は、6Gの社会実装に向けた技術的実現性と制度的正当性の両面を裏付ける重要な検証事例として意義を持ち、今後の展開が注視される。

2025.06.04

「6G時代におけるネットワーク・ビジョンと実証:『Network for AI』の実現を目指したロボット共同開発プロジェクト」①

https://www.docomo.ne.jp/binary/pdf/info/news_release/topics_250519_c1.pdf

1. 概要
2030年頃の商用化を目標に研究開発を進めている第6世代移動通信システム(6G)は、単なる技術的進化にとどまらず、社会構造および人間・機械間関係性を根本から再定義するための基盤インフラとして位置付けられている。これに対し、NTTドコモは6Gにおける5つの価値を提唱し、中でも「AIのためのネットワーク(Network for AI)」の価値から、AI・ロボット・機械が人間と共存しながら最大限に性能を発揮できるネットワークインフラの実現を目指している。ドコモはまた、複数の企業と連携して開発した3種のコンセプトロボットを通じて、6Gにおける技術的方向性および実効性の検証を行っている。

 

2. ドコモが掲げる「6Gが目指す5つの価値」
ドコモは、2020年1月に『ドコモ6G ホワイトペーパー』を公表し、2030年の商用サービス実現を見据えた次世代通信システムのコンセプトを公開した。その後、国内外キャリアやベンダーとの協力を通じて、実証実験、標準化、技術要件の策定などを継続的に推進している。ドコモが提示した「6Gの5つの社会的・技術的価値」は以下である。

 

(1)サステナビリティ(Sustainability):IOWN(光電融合を基盤とする低消費電力・高速通信技術)およびAIによるネットワーク制御を組み合わせ、エネルギー効率の最大化とカーボンニュートラルの実現を図る。
(2)効率化(Efficiency):ネットワーク構造の簡素化、運用効率の向上、周波数資源の最適利用などを通じて、コストと性能の両立を目指す。
(3)顧客体験(Customer Experience):感覚伝達型の新しいコミュニケーション、精密な測位・センシング、障害耐性と継続性を備えた通信など、6Gならではの差別化された顧客体験の提供を志向する。
(4)AIのためのネットワーク(Network for AI):AI・ロボット・機械が自律的に学習・判断可能な環境を構築し、人と調和的に共働する「社会的AI」のネットワークレベルでの実現を目指す。
(5)コネクティビティ・エブリウェア(Connectivity Everywhere):衛星通信やHAPSなどの非地上系ネットワークと地上系ネットワークの統合により、場所を問わず安定した接続性を確保する。

 

とりわけ「Network for AI」は、高信頼・低遅延・多接続といった特性が要求される「超知能(ASI: Artificial Super Intelligence)」時代の中核アーキテクチャであり、単なるAI基盤を超えて、人間・機械間協働の基盤を提供する構造として期待されている。

 

2025.06.03

「さくらインターネット、フルマネージドの生成AI向け実行基盤「さくらの生成AIプラットフォーム」を提供開始」(5/14)

さくらインターネットは2025年5月14日、生成AIアプリケーション向けのフルマネージド型実行基盤「さくらの生成AIプラットフォーム」の提供を開始した。

https://www.sakura.ad.jp/corporate/information/newsreleases/2025/05/14/1968219471/

 

本サービスは、ユーザの選択次第で基盤からアプリケーションまで、国産サービスのみで揃えることもできる。

 

ITに関しては海外のサービスを利用するケースが多い。日本の文化、慣習にも強いと推測される国産サービスの発展を期待したい。(小山博子)

2025.06.02

「NEC、自然関連財務情報開示タスクフォース(以下 TNFD)レポートの作成にAgentic AIを活用すると発表」

NECは、年内に開示予定の自然関連財務情報開示タスクフォース(以下 TNFD)レポートの作成にAgentic AIを活用すると発表した(5/20)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000929.000078149.html

 

TNFDレポート作成業務に向けてAgentic AIを適用し、調査、リスク・機会抽出、リスク評価、執筆・レビュー、広報の5つのタスクを実行する機能を開発する。既に一部で活用しており、調査では専門ガイダンス読込にかかる時間を92%削減したという。

 

この取り組みはNECの「クライアントゼロ」(自社をゼロ番目のクライアントとして新技術を実践するもの)として行われる。
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特定業務向けの生成AIサービスは次々に発表されている。今年は情報を追いかけるのも容易ではなくなるペースのようだ(忌部佳史)

2025.05.30

「エヌ・エフ・ラボラトリーズ:Purple Flairを開発」

NTTコミュニケーションズの子会社であるエヌ・エフ・ラボラトリーズは、2025年5月15日、実践型サイバーセキュリティ学習システム「Purple Flair(パープルフレア)」を開発したと発表した。「Purple Flair」はAI技術を活用し、学習者一人ひとりの理解度や進捗に応じた問題を出題するアダプティブラーニング機能を備えている。これにより、個別最適化された学習環境を提供を可能となる。
同システムでは、ワンクリックでクラウド上に実践環境を構築でき、学習者はブラウザーのみで演習に取り組むことができる。AIが操作履歴を解析してスキルを判定し、最適なアドバイスや適切な難易度の演習問題を提供することで、初心者から上級者までスキル向上を支援する。日本のサイバーセキュリティ人材の不足が深刻化する中、実践的なスキル習得のハードルを下げる可能性がある。
お知らせ | N.F.Laboratories Inc.
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「Purple Flair」は、AIを活用したアダプティブラーニングと実践環境の提供により、初心者から上級者まで幅広い層に対応できる点が強みである。企業における研修や教育現場での活用が進めば、サイバーセキュリティ人材の裾野を広げる有力な手段となるだろう。(小田 沙樹子

2025.05.29

「NTTデータ マーケティング系のAIエージェントサービスを発表(5/19)」

NTTデータは、AIエージェントサービス「LITRON Marketing(リトロンマーケティング)」を2025年6月から提供開始すると発表した(5/19)
同社はLITRON Marketingにより、マーケティング業務の負荷を最大6割削減することを見込むという。
具体的には、マーケティング戦略の企画~評価まで一気通貫で自律的に支援・代行するとしている。
https://nttdata.com/global/ja/news/release/2025/051900/
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同社は2027年度末までに、このサービスで累計100億円の売上を目指している。矢野経済の調査では生成AIの利用はまだユーザ企業に浸透しているとはいえないなか、今後の注目はAIエージェントへと移っている。早期の市場確立を期待したい。

2025.05.28

「国立研究開発法人情報通信研究機構、VRで飛行体験をすることで高所恐怖が低減されることを実証(5/14)」

国立研究開発法人情報通信研究機構未来ICT研究所 脳情報通信融合研究センターの研究グループは、VR空間で低空を自由に飛行する体験によって、VRで高所を歩行した際の恐怖反応が低減することを実証した。「自分は飛行できるので落下しても危険ではない」という行動ベースの予測を形成し、恐怖反応を抑える点が特徴であり、新たな恐怖消去法につながる成果となっている。

https://www.nict.go.jp/press/2025/05/14-1.html

本研究はVRを用いている点では曝露療法と共通するが、その核は繰り返しではなく行動予測である。曝露療法は、不安を引き起こす状況を複数回経験させて恐怖を徐々に弱める方法である。本実験は一回の飛行体験で高所恐怖が低減した点が曝露療法とは異なる。

この成果の背景には、最新のVRゴーグルがもたらす高い没入性能があると感じている。私も先日Apple Vision Proを試したが、ゴーグルを装着するだけで現実に近い体験が得られた。これほどの技術なら確かに本当に空を飛べるようになるという感覚を持つことも納得できる。現実世界で空を飛ぶ体験を整備するのはハードルが高い。一方で、VRなら室内で簡便に再現できる。こうした技術進歩が、恐怖症治療の選択肢を大きく広げるだろう。(今野慧佑)

2025.05.27

「NTT西日本グループ:Cybersecurity Primary Careを開始」

NTT西日本グループは、2025年5月より自治体や企業向けに「Cybersecurity Primary Care」を開始する。これは、日常の健康管理という「プライマリ・ケア」の考え方をサイバーセキュリティに取り入れたもので、特別な対策ではなく日常的な管理として捉える発想に基づいている。セキュリティ相談窓口をはじめ、セキュリティ診断、ASM(Attack Surface Management)、SOC(Security Operation Center)などを通じ、総合的な支援を提供する。

この取り組みの背景には、近年高度化するサイバー攻撃と国内のセキュリティ人材不足がある。こうした社会課題に対し、NTT西日本グループは、利用者に寄り添う「セキュリティのかかりつけ医」として、予防から復旧まで一貫した支援を行う。2025年10月からは、段階的に新規提供と既存サービスの拡充を予定しており、「健康管理」「予防」「検査・診断」「治療」といったカテゴリで幅広く展開される計画となっている。

地域社会のサイバーセキュリティ意識を高める「Cybersecurity Primary Care」の取り組み開始について ~NTT西日本グループが「セキュリティのかかりつけ医」として自治体や企業のセキュリティを総合的にサポート~|ニュースリリース|NTTビジネスソリューションズ

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セキュリティ対策を「かかりつけ医」に例えることで、サイバーセキュリティをより身近で相談しやすい体制に構築している点は興味深い。今後、同サービスがどれほど企業や自治体に利用されていくか、注目していきたい。(小田 沙樹子

2025.05.26

【FinTech Journalで月1回、連載してます】

FinTech Journalさんで月1回連載しているのですが、最近新しい記事を掲載頂きました。

生成AIについて、プロンプトなどの「使う技術」にフォーカスが当たることが多い。しかしながら、「ゴミを入れてもゴミしか出てこない」とはよく言ったもので、そもそものデータ自体が整備されていなければ、どんなに使う技術が向上しようと、精度向上には結びつきません。というわけで、本稿ではデータクレンジングを含めたデータマネジメントがより一層重要になるよーというお話を展開してます。

お陰さまで多くの方にご笑覧、共感頂いていると聞いており有難い限りです。少しでも皆さまのお役に立ちましたら幸いです。

 

https://www.sbbit.jp/article/fj/162579

2025.05.23

「相模鉄道、スマートデバイスで移動支援を強化」

相模鉄道は日立製作所の移動制約者ご案内業務支援サービスを2025年5月1日から運用開始した。このサービスは駅係員が車いすや白杖利用者の列車乗降サポート業務をスマートデバイス上で完結できるものである。

ホームドアのICタグにスマートデバイスをかざすだけで乗車位置入力が可能となり、ヒューマンエラーを防止。2026年上期には全駅でホームドア整備が完了予定であり、利用者の安全確保を強化する。

相模鉄道が日立の移動制約者ご案内業務支援サービスを導入:2025年5月12日

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かつて毎日のように利用していた路線において、スマートデバイスを活用した車いすや白杖利用者への支援が進んでいることに感心を覚えた。これからもITの力によって地域の安心・安全な移動環境の整備が進むことを期待したい。(小田沙樹子)

2025.05.22

量子コンピュータ時代に備え、安全かつ高速な電子署名技術が登場(NTT)

日本電信電話株式会社(NTT)は、スイスETH Zurich、米UC Berkeley、フィンランドAalto University、イタリアBocconi University、米JPMorgan社との共同研究により、わずか2ラウンドの通信で複数関係者による署名を安全に実現する世界初の耐量子閾値署名(しきい値署名、threshold signature)方式「Ringtail」を開発した。本技術は、管理者が一人である場合に起こりうる「単一障害点リスク」の排除や、電子投票システム、政府機関における行政サービス、企業システム・財務管理、暗号資産ウォレット、分散型金融(DeFi)、分散型自律組織(DAO)など、次世代Web3.0インフラにおける中核的なセキュリティソリューションとなることが期待される。

 

耐量子(Post-Quantum)とは、今後迫りくる量子コンピュータのアルゴリズムによって解読されないように設計された暗号アルゴリズム的特性を指す。量子コンピュータは、現在の公開鍵暗号方式を従来の古典的アルゴリズムと比べ高速で解読できるため、これに対抗可能な新たな暗号技術が数学的な安全性を担保する形で設計されている。(曺 銀瑚)

 

暗号インフラは一度導入されると後から変更することが極めて困難なため、量子コンピュータの実用化を見据えた事前対策が不可欠である。特に企業や政府システム、金融産業における重要機能を担う閾値署名においては、分散環境と多数承認の要件を満たす必要があり、2ラウンドで高効率・高安全性を実現する「Ringtail」技術の登場は注視すべきだ。

 

従来のシステムでは、単一管理者が全権を握る電子署名方式が持つ限界が指摘されてきた。承認システムの分散化、暗号資産ウォレットにおける単一鍵の分散管理や盗難対策といったニーズに応える手法が閾値署名だ。閾値署名では秘密鍵を複数に分割し、あらかじめ定めた数以上の協力があって初めて有効な署名が生成される仕組みである。

 

今回、NTTが開発したRingtail技術は ▲高い安全性:将来の量子コンピュータによる攻撃に対する耐性を確保 ▲効率性:署名プロセスにおいて関係者間の通信を2ラウンドで完結させて応答遅延を克服し、通信量を最小化することで実用的な速度を確保 ▲グローバル実証:アジア・欧州・北米・南米・オセアニアの5大陸にまたがる環境における署名生成を実証し、分散環境下における高い実用性を確認した。

 

本次世代分散署名技術は多人数承認を必要とするあらゆるセキュリティシステムや、脱中央集権型Web3.0インフラへ適用できると見込まれる。なお、単なる暗号化手段にとどまらず、ネットワークアーキテクチャ全体の信頼性を根本から強化する分散型暗号技術サービスとして、行政・金融・ブロックチェーン分野における基盤インフラとして活躍することが期待される。(曺 銀瑚)

 

https://group.ntt/jp/newsrelease/2025/05/12/250512a.html

 

2025.05.21

ソニー銀行が勘定系システムを刷新、ほぼ全システムがクラウド化へ。その狙いはどこにある?

ソニー銀行は、同社の勘定系システムを刷新、2025年5月から新勘定系システムとして、富士通の勘定系ソリューション「Fujitsu Core Banking xBank(クロスバンク)」を採用、稼働を開始すると発表した。

富士通によると、同ソリューションはクラウドネイティブなアプリケーション構造を持っており、ネット銀行らしくさまざまな商品・サービス、取引機能をマイクロサービス化して実装、ビジネスアジリティの強化を図ったとする。ニュースリリースから察するに従来の勘定系システムはオンプレミスをベースとし、周辺システムのみ先行してクラウド化を進めてきたようだ。今回の新勘定系を契機に、勘定系を含むほぼ全システムのクラウド化を実現したとしている。

新勘定系ソリューションの特徴の1つとして、クラウドべースの強みである、スケーラビリティやマイクロサービスアーキテクチャに加えて、外部APIを挙げており、フロントチャネルの追加や外部接続先の追加が容易になった点を挙げる。

 

■ニュースリリース

富士通のソリューションを採用したソニー銀行様の新勘定系システムが稼働開始 : 富士通

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さて、リリースではシステムの全体像を掲載しているが、外部APIについて、どのようなAPIを公開しているかが気になるところ。通常、銀行のAPIは大きく参照系と更新系に区分され、どのようなAPIを公開するかによって、当該銀行の姿勢が見えるといってもよい。

参照系をメインとして更新系のAPIが少ないとすれば、それは中身がクラウド化されただけで、APIを通じて新たなアプリケーションを構築するサードパーティ側からすれば、メリットは少ないといえる。他方、更新系APIについても積極的に公開しているとすればメリットは大きく、コスト削減等以外でクラウド化した意味があるといえよう。そうした意味では、本システムに刷新した狙いは単にコスト削減やスケーラビリティなどに留まるのか、外部との連携によるイノベ―ティブな取組みなどを見据えたものなのか見えてこず、少し残念なところである。(山口 泰裕)

 

注)

参照系・・・口座情報を参照するためのAPI

更新系・・・口座の振込や振替など、資金移動を伴う取引を行うためのAPI

2025.05.20

「パナソニックは新型ゲーミングネックスピーカーを発表」

パナソニック株式会社は、ワイヤレスゲーミングネックスピーカー「SC-GNW30」を2025年6月中旬より発売すると発表した。本製品は4つのスピーカーを搭載し、耳を塞がずに迫力のサラウンドサウンドを実現。低遅延2.4GHz専用無線技術により映像と音のずれを抑え、快適なゲームプレイ環境を提供する。
新たにHDMI接続とBluetooth®接続に対応したことで、PCや家庭用ゲーム機、テレビ、スマートフォンなど多様なデバイスで使用可能となった。専用アプリ「SOUNDSLAYER Engine」もWindows PC専用からMacOS、Android™、iOSと対応範囲を拡大している。

 

https://news.panasonic.com/jp/press/jn250512-1

 

少し前までゲームプレイにおいてワイヤレス機器は画面と体験の遅延が没入感を阻害すると懸念されていた。しかし技術進化により、マウスやキーボードを含めゲーム環境のワイヤレス化が進んでいる。今回発表された「SC-GNW30」は長時間プレイでも耳を塞がず音の臨場感を提供し、ゲーマーにとって快適性と没入感を同時に実現できる点が魅力である。(今野慧佑)

2025.05.19

【今週の”ひらめき”視点】知財の黒字幅、前年割れ。知財で稼ぐ未来の実現に向けて基盤研究の強化を

当社代表が最新のニュースを題材に時代の本質、変化の予兆に切り込みます。

5月12日、財務省が2024年度の国際収支状況の速報を発表した。モノの輸出額から輸入額を引いた貿易収支は4兆480億円の赤字、サービス収支は2兆5767億円の赤字、配当や利子所得など海外との投資取引を示す第1次所得は41兆7114億円の黒字、経常収支の総計は30兆3771億円(前年度比116.1%)の黒字となり、昨年に続き過去最大を更新した。

経常収支の押上要因の1つが円安を背景としたインバウンドである。39百万人(前年度比134.7%)に迫る訪日外国人旅行者からの“受取”は8兆8805億円、一方、その1/3に留まる出国者による“支払”は2兆1940億円、結果、旅行収支の収支尻は対前年度比158%、6兆6864億円の黒字となり、サービス収支の赤字幅の縮小に貢献した。まさに“観光で稼ぐ日本”の姿が見えてくる。円安は海外直接投資からの収益増にも貢献、第1次所得収支の黒字は4年連続で拡大、41兆7114億円となった。こちらも“海外で稼ぐ日本”が数字に反映されている。

経常収支から読み取れるトレンドは肌感覚で感じる日本経済の構造変化そのままである。ただ、気になる点もある。コロナ禍の2020年、当社は上場会社の経営企画担当者に向けて「アフターコロナにおける日本経済の成長ビジョン」を問うアンケートを実施した。そこで支持された日本の将来像は“研究開発型の科学技術立国”であり“文化、コンテンツ、ソフト立国”である。つまり、“知財で稼ぐ日本”が日本の目指すべき未来となる。ところが、知的財産権等使用料の受取は7兆9495億円、収支は3兆3739億円といずれも“旅行”の数値を下回るとともに、収支は前年を割り込んだ(前年度比97.6%)。

2024年3月、科学技術振興機構(JST)は日本の研究力の低下を警告した緊急シンポジウムを開催した。会議は「論文数は多いが“トップ10%被引用論文数”が少ない」という事実から出発、「論文引用率の低さは特許と相関する」として、「研究テーマそのものが遅れている」と結論づける。そのうえで「基盤研究における競争的資金への極端な偏りが問題であり、海外の大学並みに競争的資金の5倍程度の公的資金による経常的な研究費の予算化が必要である」と提言した。インバウンドへの過度な依存を押さえ、自立した未来を築くためにも基盤研究に対する国レベルにおける投資の在り方を早急に見直す必要がある。


今週の“ひらめき”視点 5.4 – 5.15
代表取締役社長 水越 孝

2025.05.16

「道路システムのDX推進:国土交通省が方向別交通量データをAPIで提供」

国土交通省は、データ活用による施策の効率化・高度化やオープン・イノベーションを目指す「xROAD」の取組として、道路関係データのオープン化を推進している。その一環として、2025年5月12日より、全国約2,600箇所の直轄国道で機械観測された方向別交通量データ(5分値・1時間値)を取得できるAPIの公開を開始した。提供する交通量データは、5分値は過去1ヶ月分、1時間値は過去3ヶ月分が対象となる。

方向別交通量データは、日本道路交通情報センター(JARTIC)のウェブサイトを通じて提供されるAPIを使用し、交通量データと観測地点の位置情報データを組み合わせて取得することができる。交通量を地図上で確認したい場合は、「道路データプラットフォーム」も利用可能となっている。

報道発表資料:全国の直轄国道の交通量データを取得可能なAPI を公開開始します<br>~<ruby>xROAD<rp>(</rp><rt>クロスロード</rt><rp>)</rp></ruby> の取組として、道路関係データのオープン化を推進~ - 国土交通省

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リアルタイムかつ高精度な交通量データのオープン化により、渋滞予測、都市計画、物流の最適化など、さまざまな分野での利活用が期待される。一方で、こうしたデータの活用を促進するためには、民間事業者との継続的な連携や、活用事例の共有を通じた知見の蓄積などが重要となるだろう。(小田沙樹子)

2025.05.15

【経済産業省はウラノス・エコシステム・プロジェクト制度に基づき2プロジェクトを選定(5/9)】

経済産業省は、「ウラノス・エコシステム・プロジェクト制度」に基づいて、産業データ連携の促進に向けた優良な取組として自動車・蓄電池のCFP・DDデータ及び電力データに関連する2プロジェクトを選定した(5/9)

 

経済産業省は、企業や業界、国境をまたぐ横断的なデータ連携・システム連携の実現を目指す取組として、「ウラノス・エコシステム(Ouranos Ecosystem)」を推進している。ライバルは欧州のGAIA-X、CATENA-Xなどである。

 

参考:2021 データ・プラットフォーム戦略研究 ~欧州GAIA-Xの与える影響~
https://www.yano.co.jp/market_reports/C62126300

 

拡大の取組としてウラノス・エコシステム・プロジェクト制度があり、今回、下記2つのプロジェクトが選定された。

 

1.自動車・蓄電池のカーボンフットプリントおよびデューデリジェンスのデータ連携プロジェクト

2.電力データ提供プロジェクト

 

欧州電池規則に押される形で進められたウラノス・エコシステムであるが、日本から世界市場をリードしていくような動きを期待したい。(忌部佳史)

2025.05.14

【NTTコミュニケーションズは西武ライオンズ 「音響XR技術を活用した新しい野球観戦」の実現に向けた実証実験を実施】

NTTコミュニケーションズは西武ライオンズとの共創の一環として「音響XR技術を活用した新しい野球観戦」の実現に向けた実証実験を実施すると発表した(5/12)

音響XR技術対応のオープンイヤー型イヤホン「耳スピ」を用いて、球場の生音声とリアルタイム音声解説を高い臨場感で体験できるイベントを開催するという。

オープンイヤー型イヤホンは耳を塞がない構造であるため、球場ならではの臨場感や周囲のファンとのコミュニケーションを妨げることなく、音声解説を楽しむことが可能。

さらにNTT ExCパートナーによる音響XR技術を活用した音響加工とリアルタイム配信により、解説者の声があたかも隣の席から聞こえてくるような臨場感を再現し、ファンエンゲージメントの更なる向上をめざすとしている。

https://ntt.com/.../press.../news/article/2025/0512.html

YanoICTには野球ファンも多く、ICTを使った取組は個人的に歓迎したいところです。

(忌部佳史)

2025.05.12

【懸賞金 総額約8億円💰 NEDO懸賞金活用型プロジェクト「GENIAC-PRIZE」開始】

NEDOは、生成AIの利活用促進を目的とした新たな懸賞金活用型プロジェクト「GENIAC-PRIZE」を2025年5月9日から開始すると発表した。

GENIAC-PRIZEでは、生成AIによる解決が望まれる以下の4テーマそれぞれに即した具体的なニーズに基づく生成AIサービスに成果に応じた懸賞金を授与する。これにより、生成AIサービスの開発と実導入を促すとしている。

賞金総額は4テーマの合計額で総額約8億円。

2025年5月から12月が応募者による開発、実証等の期間となっており、2026年1月から3月に審査、表彰式は2026年3月末となっている。

 

テーマ

・製造業における暗黙知の形式知化

・カスタマーサポートの生産性向上

・官公庁における審査業務(特許審査業務をモデルとする)の効率化

・安全性向上に資する技術開発

 

仮に4テーマで分けるなら1テーマあたり2億円。懸賞金の多寡にはさまざまな意見はあろうが、ベンチャー企業の発掘や技術力のある有望人材とのアクセスなど懸賞金を超える価値があるはずだ。その成果に期待したい。

 

https://www.meti.go.jp/press/2025/05/20250509002/20250509002.html

2025.05.09

NTTがNTTデータ完全子会社化を発表

NTTは5/8、NTTデータ(グループ)を完全子会社化すると発表した。投資総額は2.37兆円を見込むという。 

取材を通じ、NTTデータは他のNTTグループ企業とは異なる独特の企業風土を持っていると感じている。今回の狙いは下記とされているが、NTTという巨大企業のの子会社になることで、はたして意思決定の迅速化につながるかはやや疑問が残るところだ。

 

■NTTデータ 子会社化の狙い 

①機動的な成長投資によるグローバルソリューションのポートフォリオ強化 

②NTTグループのリソースおよびケイパビリティの連携強化 

③意思決定の迅速化およびコスト競争力の向上

2025.05.07

【トルコランプ作り体験に行ってきました】

先日友人たちとトルコランプ作りの体験に行ってきました。トルコランプとは、モザイクガラスで彩られたガラスのランプのことです。体験では、ランプのガラス部分に自分たちで好きなように模様を考え、モザイクガラス貼っていく作業をしました。約2時間半の体験時間になるのですが、作業に没頭したためか、あっという間に体験が終了しました。その後お店の方コーティングなどの仕上げの作業をしていただきます。体験の1か月後に友人たちとお店に引き取りに行き、みんなで完成品の見せあいをしました。各々の個性が出ており、どれも素敵なトルコランプとなりました。体験に没頭する時間、出来上がりを見るワクワク感、癖になりそうでほかの体験もしてみたい気持ちでいっぱいです。次は器づくりをしたいなと思っております。 

※2024年12月現在の近況報告です。

2025.05.02

【NEC、持続可能なデータセンター運用を実現するオープンソース”CDIM”を公開】

NECは2025年4月28日、次世代データセンター向けにオープンソースソフトウェア「Composable Disaggregated Infrastructure Manager」(CDIM)をGitHubに公開した。

 

2030年にはICTが世界の電力消費の20%を占め、それに伴いデータセンターの電力消費も増加すると予測されている。そのようななか、Composable Disaggregated Infrastructure(以下、CDI)を活用することで、必要な時に必要なコンピューティングリソースを柔軟に接続し、効率的な利用が可能になる。CDIMは、CDIにおける煩雑な運用管理を簡素化し、マルチベンダー環境の互換性を維持することを支援する。

同製品の特徴は下記の通り。

■特長
統合管理機能: サーバーやデバイスの増加に伴う管理の複雑さを軽減。
構成変更機能: Infrastructure as Code (IaC) によりシステム全体の構成をコードで一元管理。
マルチベンダー対応: プラグイン機構により異なるリリースベンダー間での互換性を確保。

2025.04.30

【発刊裏話】2025 衛星データ活用ビジネスの実態と展望 ~分野別/用途別の衛星データ活用実態の徹底分析~

2025年度に入ってすぐに、いわゆる「トランプ関税(相互関税、一律関税など)」が発動され、世界経済を大きく揺るがしています。多くの産業分野では、このインパクトは甚大です。しかし宇宙関連ビジネスでは、関税よりも「政府効率化省(DOGE)」の動きが注目されます。
政府効率化省(DOGE)は米政府予算に大ナタを振るっており、NASA予算も御多分に漏れないと見られています(イーロン・マスク氏は返り血を浴びる感じ)。これは米国での話ですが、日本にも影響すると考えています。さらに2030年度に向けた展望では、「ドローン」の存在が大きな変動要因となってくると見ています。
現状では運用面での課題もあって、ドローン活用基盤は万全ではありません。しかし5年先となると、これが大きく動く可能性があります。そうなると、衛星よりも柔軟性が高いドローンの方が社会課題の解決に資する部分が大きい感じもします。
衛星データ活用をテーマにしたレポートを発刊しておいて何ですが、「衛星vsドローン」の行方には注目しています(業務の棲み分けが図られる可能性が大きい)。(早川泰弘/小田沙樹子)

2025.04.28

【アナリスト便り】「2025衛星データ活用ビジネスの実態と展望~分野別/用途別の衛星データ活用実態の徹底分析~」を発刊

2025年4月21日、「2025衛星データ活用ビジネスの実態と展望~分野別/用途別の衛星データ活用実態の徹底分析~」を発刊しました。
本レポートでは、日本における宇宙関連ビジネスの現状を踏まえた上で、分野別・業務別の衛星データ利活用状況、関連市場規模及び規模推移、2030年に向けたマーケット展望、衛星データ活用サービスと競合するドローンサービスの研究などを行いました。
近年では、米スペースX社に代表される民間宇宙企業が台頭し、人工衛星の打ち上げコストの低廉化及び、打ち上げ頻度の増加が進展しております。これにより、いわゆる衛星コンステレーションに代表される大量の衛星打ち上げが可能になり、衛星データの入手コストが低下。合わせて、衛星データを解析する生成AIを始めとしたデータ解析技術の進展もあり、ここ数年で様々なソリューションが登場しています。
衛星データ需要は従来、官需に依存していました。具体的には、自治体業務(土地測量、
家屋異動判読、耕作放棄地確認、防災関連など)における現場での人手不足(技術者・技能者)や予算不足があり、その解決策の一つとして衛星データ活用が活性化しています。つまり、このような外部環境変化及び技術の進展が、衛星データ活用サービスの賦活化に大きく作用していると考えます。
今回は新規テーマとして発刊したマーケティング資料ですが、ぜひ関連マーケット評価、分析における基礎資料として活用してください。(早川泰弘/小田沙樹子)

2025.04.25

【今週の"ひらめき"視点】総人口の減少幅、過去最大。地域間競争で日本の縮小は反転しない

当社代表が最新のニュースを題材に時代の本質、変化の予兆に切り込みます。

4月14日、総務省は「2024年10月1日時点における外国人を含む日本の総人口が1億2380万2千人、前年比55万人減(▲0.44%)、死亡者が出生児を上回る“自然減”は89万人で過去最大」と発表した。総人口のうち日本人は1億2029万6千人で前年比89万8千人減(▲0.74%)、外国人は350万6千人、同34万2千人増(+9.8%)。外国人の増加は傾向的ではあるが、現状では“焼石に水”と言えよう。

総人口に占める割合は東京がトップで11.5%、これに神奈川7.5%、大阪7.1%、愛知6%、埼玉5.9%、千葉5%と続く。首都圏1都3県で29.9%、首都圏+大阪+愛知で43.0%、都市部の寡占状況は変わらない。年齢別では文字通り“少子高齢化”が加速、15歳未満の総人口に占める割合は11.2%と過去最低(前年比34万3千人減)、65歳以上は29.3%と過去最高(同1万7千人増)、とりわけ75歳以上の割合は16.8%(同70万人増)に達している。

こうした中、各自治体は自身の人口減少に歯止めをかけるべく、移住・定住促進策や子育て支援の手厚さ、独自性で競い合っている。しかしながら、都道府県別で人口増となったのは東京と埼玉のみで、いずれも“社会増”。すなわち、他地域からの流入であって“自然減”を“社会増”が上回った結果である。東京は首都ゆえの圧倒的な求心力と子供関連施策の充実ぶりが奏功していると言えるが、その東京であっても2023年の婚姻件数は2019年比で▲17%(全国平均は▲21%)、自然減の反転は期待できない状況にある。

自治体間競争を否定するものではない。しかし、“移動”で全体が増えるわけではない。この構造は“ふるさと納税”と類似する。確かに都市から地方への流れは生み出した。個別にみれば恩恵を受けた自治体は少なくない。一方、返礼品コストや地方交付税による減収補填を鑑みると全自治体の行政サービス財源の総和は減少している。日本が人口置換率2.07を割り込んだのは1974年だ。半世紀もの無策の結果が今である。その今から半世紀後、2075年の人口は約8700万人と推定される。50年後の日本はどうあるべきか、この問いを出発点に目先の奪い合いを越えた、持続的で総合的な施策を考えてゆきたい。


今週の“ひらめき”視点 4.13 – 4.17
代表取締役社長 水越 孝

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