レポートサマリー
2025.12.02
国内企業のIT投資に関する調査を実施(2025年)
2025年度の国内民間企業のIT市場は、Windows10サポート終了の対応で規模が拡大。その後も成長を予測する。生成AIをはじめ、AI活用への投資も活発化している。
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、2025年度の国内民間企業のIT投資実態と今後の動向について調査を実施した。
【図表:国内民間IT市場規模推移・予測】
- 矢野経済研究所調べ
- 注:会計年度、且つIT投資額ベース
- 注:2025年度以降は予測値
- 注:民間IT市場には、ハードウェア、ソフトウェア、サービス等を含み、公共分野(官公庁や自治体)や民間小規模事業者 によるIT投資を対象としない
【図表:海外拠点でIT投資が増加している分野(2011年度、2025年度)】
- 矢野経済研究所調べ
- 注:調査時期:2025年度調査;2025年5月~9月、2011年度調査;2011年6月~7月、調査(集計)対象:2025年度調査;国内民間企業(プロセス製造業,加工組立製造業,サービス業,流通業,金融業)500社、2011年度調査;売上高100億円以上かつ海外に拠点を持つ企業212社、調査方法:2025年度調査;郵送・メールアンケート調査、複数回答、2011年度調査;郵送アンケート調査、複数回答
- 注:2025年度調査、2011年度調査の上位5項目(2025年度は5位が2項目あるため6項目)を掲載。
- 注:2025年度調査の「増加している分野はない」を除く。
- 注:2011年度調査は「不明、未回答」を除いて再集計。
2024年度の国内民間IT市場(ハード・ソフト・サービス含む、公共分野や民間小規模事業者除く)は、IT投資額ベースで前年度比5.1%増の15兆8,200億円と推計した。2024年度は大企業を中心に老朽化した基幹系・情報系システムのリプレイスが堅調だった。また、ランサムウェア等の高度化するサイバー攻撃への対応を目的としたセキュリティ関連投資等も加速し、IT投資額が拡大した。
▲小見出し一覧に戻る
■海外拠点では「情報セキュリティ」へのIT投資が堅調
本調査(2025年調査)では、国内の民間企業にアンケート調査を行い、500社からIT投資に関する回答を得た。そのうち、海外に拠点を持つ企業(164社)に対し、「海外拠点でIT投資が増加している分野」を尋ねた(複数回答)。結果は、「増えている分野はない」(39.0%)が最多であったものの、具体的な投資分野としては「情報セキュリティ」(31.1%)が最も多く、次いで「生産管理システム」(18.9%)となった。
当社が2011年度に実施した同様の調査結果※と比較すると、企業の優先分野は大きく変化している。2011年度は「生産管理システム」(57.7%)がトップで、「会計システム」(40.4%)、「販売管理システム」(32.7%)が続き、「情報セキュリティ」(20.2%)は4番目であった。
今回の調査で「情報セキュリティ」が投資分野の事実上のトップとなった背景には、世界的にサイバー攻撃の脅威が増大していることがある。海外拠点を持つ企業にとって、グループ全体での情報セキュリティ対策は、極めて重要な経営課題になっていると言える。
※2011年度調査:矢野経済研究所「2011 日本企業のグローバルIT戦略」(2011年9月発刊)に基づく再集計値、n=104、複数回答。2011年度は「不明・未回答」を除外し、2025年度は「増加している分野はない」を比較図表から除外している。両調査は回答企業属性や設問設計、調査手法が異なるため、単純比較には留意が必要である。
▲小見出し一覧に戻る
国内民間企業のIT市場規模は、2025年度は前年度比5.8%増の16兆7,300億円、2026年度は同3.9%増の17兆3,900億円、2027年度は同3.1%増の17兆9,300億円と予測する。
2025年度は、Windows10のサポート終了に伴うOS移行やPCの買替需要が発生し、ハードウェアへの投資が増加している。あわせて、レガシーシステムの刷新やセキュリティ強化、業務システムのクラウド移行が進み、投資は順調に拡大すると予測する。さらに、生成AIをはじめとしたAIの活用に関する投資も活発化している。この投資には、AI関連サービスの利用料だけでなく、AIを最大限活用するためのデータ基盤の構築といった土台作りのための支出を含み、それぞれが大きく拡大する見通しである。
2026年度以降は、OS移行やPCの買替需要は2025年度ほどではないが残るため、その対応への支出は翌年まで続く。また、基幹システムの刷新や業務システムのクラウド移行、AI活用等への支出がIT投資額を押し上げる要因となる。一方で、円安や物価高、人手不足によるコスト上昇は投資計画の遅延・縮小要因になり得る。このような環境下では、必要度の高い領域から優先順位を付け、内製化の活用や標準化・自動化でコストとスピードを両立することが重要である。
▲小見出し一覧に戻る
- 貴社の景況判断BSI
- 日銀 短観 業況判断の推移
- 設備投資額(ソフトウェア投資額を含む、土地購入額を除く)
- 生産・販売のための設備(BSI)
- サービス産業動態統計調査 情報通信業 月間売上高 年平均推移
- 情報通信業の月間売上高 前年同月比推移(2019年1月~2025年7月)
- 企業向けサービス価格指数(2025年4月確報~7月確報)(2020年平均=100、%)
- 国内民間IT市場規模推移(2021年度~2027年度予測)
- 国内民間IT市場規模推移(ハード/ソフト/サービス別 2021~2027年度予測)
- 国内民間IT市場構成比推移(ハード/ソフト/サービス別 2021~2027年度予測)
- 国内民間IT市場規模推移(業種別 2021~2027年度予測)
- 国内民間IT市場構成比推移(業種別 2021~2027年度予測)
- 売上高・営業利益・社外IT支出比率(2023年度を1とした場合の変化)
- 全業種共通
- プロセス製造業
- 加工組立製造業
- サービス
- 流通
- 金融
- 業種別売上高・営業利益・社外IT支出比率(2023年度を1とした場合の変化)
- 業種別今後3年間の増加ソフトウェアおよびIT投資の目的
■アンケートについて
■IT投資額の現状と今後の予測
- 社外IT支出(平均・2023~2027予測、通年回答社のみ)
- 業種別 社外IT支出額(平均・2023~2027予測 通年回答社のみ)
- 業種別 社外IT支出額(平均・2023~2027予測 通年回答社のみ・3社除く)
- 売上高規模別 社外IT支出額(平均・2023~2027予測、通年回答社のみ)
- 売上高規模別 社外IT支出額(平均・2023~2027予測、1,000億円未満・通年回答社のみ・1社除く)
- 従業員数規模別 社外IT支出額(平均・2023~2027予測 通年回答社のみ)
- 社内ITコスト(平均・2023~2025予測)(通年回答社のみ)
- 売上高規模別 社内ITコスト(平均・2023~2025予測)(通年回答社のみ)
- 従業員数規模別 社内ITコスト(平均・2023~2025予測)(通年回答社のみ)
- 社内・社外コスト構成比(平均IT投資額)(2023~2025予測)(通年回答社のみ)
■売上高とIT投資について
- 売上高及び営業利益率推移(平均・2023~2025予想 通年回答社のみ)
- 売上高に対するIT投資比率(2024年度)
- 売上高に対する社外IT支出比率(2014~2024年度/業種別)
■ハード・ソフト・サービスへの支出
- 内訳別 社外IT支出額(積上・平均・2024~2026予測)
- 内訳別 社外IT支出額(積上・平均・2024~2026予測)(通年回答)
- クラウドサービスの利用状況の推移(2014~2024年)
- ハード支出額(平均・2024~2026予測)
- 参考:クライアントPCの構成比(2013)
- 内訳別 ソフト投資額(平均・2024~2026予測)
- ソフト投資額 スクラッチ/パッケージ構成比(平均・2024~2026予測)
- 内訳別 サービス支出額(積上・平均・2024~2026予測)
- 内訳別 サービス構成比(積上・平均・2024~2026予測)
■IT投資戦略
- 業種別・売上高規模別・従業員数規模別 IT投資の目的別支出額・構成比(2024)
- IT投資の目的別支出額の構成比推移(2014~2024)
- 今後3年間でIT投資が増加するソフトウェアの推移(2011~2025)(MA)
- 業種別 今後3年間でIT投資が増加するソフトウェア(AI(生成AIを含む)と回答した割合)
- 今後3年間におけるIT投資の目的の推移(2011~2025)(MA)
- 今後3年間におけるIT投資の目的推移/項目(2021~2025)(MA)(上位5つ)
■内製化について
- 内製化の現在の状況
- 再掲:社内ITコスト(平均・2023~2025予測)(通年回答社のみ)
- 業種別 内製化の状況 「既に取組んでいる」と回答した企業の割合
- 今後3年間でIT投資が増加するソフトウェア(全体,金融業)
- 売上高規模別 内製化の状況 「既に取組んでいる」と回答した企業の割合
- 外部委託したい領域(複数回答)
- 売上高規模別 外部委託したい領域 上位3つ(複数回答)
- 期待する内製化支援(複数回答)
- 内製化状況別 期待する内製化支援(複数回答)
■海外拠点に対するIT投資について
- 業種別 海外拠点の有無(2025)
- 海外IT投資を決定する拠点(2025)
- 海外で利用しているベンダ(複数回答)
- 業種別・売上高規模別・従業員数規模別 海外拠点におけるIT投資額および投資比率(2025)
- 海外拠点におけるIT投資額およびIT投資比率(2011、2025)
- 業種別・売上高規模別・従業員数規模別 海外IT投資の地域別比率(2025)
- 現地法人設備投資額の推移(地域別)(2014~2023)
- 海外IT投資の地域別比率(2011、2025)
- 中国都市部非私営企業における就業者平均賃金(1995、2000、2005、2010、2015~2023年)
- IT投資が増加している地域(複数回答)(2025)
- 業種別 IT投資が増加している地域(複数回答)(2025)
- 海外IT投資が増加している分野(複数回答)(2025)
- 海外IT投資が増加している分野(複数回答)(2011、2025)
■プロフィール
- 業種
- 売上高規模
- 従業員数規模
- 情報システム要員数規模
- 情報システム子会社
■IT投資額(非整合)の推移
- 社内外コスト別 IT投資額(平均・2023~2025予測)
- 業種別 IT投資額(平均・2023~2027予測)
- 売上高規模別 IT投資額(平均・2023~2027予測)
- 従業員数規模別 IT投資額(平均・2023~2027予測)
■社外IT支出額の内訳の推移
- 内訳別 社外IT支出額(平均・2024~2026予測)
- 業種別 社外IT支出額(平均・2024~2026予測)
- 売上高規模別 社外IT支出額(平均・2024~2026予測)
- 従業員数規模別 社外IT支出額(平均・2024~2026予測)
- IT投資額(構成比)
- 売上高に対するIT投資比率
■T投資の現状と目的について
- IT投資の目的別支出額(2024)
- 今後3年間でIT投資が増加するソフトウェア(3つまで)
- 今後3年間におけるIT投資の目的(3つまで)
■内製化について
- 内製化の状況
- 外部委託したい領域
- 期待する内製化支援
■海外拠点に対するIT投資について
- 海外拠点の有無
- 海外IT投資の意思決定拠点
- 海外拠点のIT投資額
- 地域別のIT投資比率
- IT投資が増加している海外地域(複数回答)
- 海外で投資が増加している分野(複数回答)
- 海外拠点で利用しているベンダ(複数回答)
■アンケート票
▲小見出し一覧に戻る
■レポートサマリー
●国内企業のIT投資に関する調査を実施(2024年)
●国内企業のIT投資に関する調査を実施(2023年)
●国内企業のIT投資に関する調査を実施(2022年)
●国内企業のIT投資に関する調査を実施(2021年)
●国内企業のIT投資に関する調査を実施(2020年)
●国内企業のIT投資に関する調査を実施(2019年)
■アナリストオピニオン
●海外に向けられる熱視線
●「2025年の崖」が目前に迫る 先行き不透明な時代のIT投資
●2024年のITトレンドを振り返る
●国内IT産業とトランプ新政権~湧き上がる不安と期待
●IT業界 2023年を振り返るならもちろん生成AI
■デイリーコラム
●【発刊裏話】「2025年国内企業のIT投資実態と予測」
●【アナリスト便り】「2025年国内企業のIT投資実態と予測」を発刊
■同カテゴリー
●[ICT全般]カテゴリ コンテンツ一覧
▲小見出し一覧に戻る
オリジナル情報が掲載されたショートレポートをお求めやすい価格でご利用いただけます!
【ショートレポートに掲載されているオリジナル情報】
Aパターン
- 注目セグメント別の動向
- 注目トピックの追加情報
- 将来展望の追加情報
以下の 利用方法を確認する ボタン↓から詳細をご確認ください
利用方法を確認する
調査要綱
調査対象: 国内の民間企業等
調査期間:2025年6月~10月
調査方法:民間企業に対するアンケート調査、ならびに文献調査併用
※国内民間IT市場とは:本調査における国内民間IT市場とは、国内の民間企業のハードウェア、ソフトウェア、保守関連や運用管理・アウトソーシング等のサービス、ASP・クラウド等のオンライン・サービス他を対象として、IT投資額ベースにて算出した。公共分野(官公庁や自治体)や民間小規模事業者によるIT投資を対象としない。
また、同時に下記の要領で、民間企業に対しIT投資に関するアンケート調査を実施し、IT投資実態と今後の動向について、明らかにした。
※アンケート調査期間:2025年6月~9月、調査対象:国内民間企業等500件、調査方法:質問票送付は郵送及びeメール、回答は郵送及びオンラインを併用した。
<市場に含まれる商品・サービス>
国内民間企業のIT投資(ハードウェア、スクラッチ開発とパッケージ導入【カスタマイズを含む】等のソフトウェア、保守関連や運用管理・アウトソーシング等のサービス、ASP・クラウド等のオンライン・サービス、回線利用料、その他コンサルティングなど)
関連マーケットレポート
宮村 優作(ミヤムラ ユウサク) 研究員
価値ある情報を提供しながら、その情報の活かし方も重要だと考えています。絶え間なく変化する業界の動向を発信するとともに、お客様や業界全体の課題解決に貢献できるパートナーを目指してまいります。