株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のBtoB掛け払い(請求書払い)サービス市場を調査し、現況、参入企業の動向、および将来展望を明らかにした。
【図表:BtoB掛け払いサービス市場規模推移と予測】
法人同士の取り引きでは一般的に商品納品後に請求書を送付し、小切手・手形や現金、口座振替、銀行振込などの支払手段が利用されてきたが、現在は銀行振込による支払いが主流となっている。
BtoB掛け払い(請求書払い)サービスは、 企業間取引における決済業務(与信審査、請求書発行、入金確認・督促)を代行し、与信から請求業務、債権保証までワンパッケージで提供するサービスである。BtoB掛け払いサービスは 2011年に2社の企業でサービスが開始された後、2017年から2020年にかけて複数の企業が新規参入し、近年、急速に市場が拡大している。
2022年度のBtoB掛け払いサービス市場は、サービス提供事業者取扱高ベースで前年度比134.1%の1,993億5,400万円に達し、2023年度には2,594億4,100万円まで拡大する見込みである。背景としては、中小企業を中心に、人手不足等から事務処理の効率化やコスト削減へのニーズが高まっており、従来の掛け払いでは請求書発行や入金管理などの事務作業が発生し、経理担当者への負担増が課題となっていた。BtoB掛け払いサービスではこれらの作業を代行することで、担当者の負担を軽減し、業務効率化を実現することが可能となる。
■法対応による、サービスニーズの高まり
2022年1月の電子帳簿保存法改正や2023年10月のインボイス制度施行は、中小企業にとって大きな事務負担となっており、従来の経理処理から大きく変化していく事が求められている。これらの制度に対応するには専用システムの導入や運用ノウハウが必要となるが、中小企業では人材や資金面での制約から、対応が難しいという側面がある。
BtoB掛け払いサービスは、請求書発行・保存の電子化、与信審査、代金回収、入金確認・督促など、請求業務全般を代行するサービスであるため、上記の様な企業課題を解決するための手段として、とくに小額で大量に請求書を発送している事業者を中心に注目が集まっている。
2027年度のBtoB掛け払いサービス市場は、約7,400億円まで拡大すると予測する。 インボイス制度や電子帳簿保存法などの法改正が相次いでおり、DX推進と相まってBtoB掛け払いサービス市場は拡大傾向にある。また、中小企業の資金繰りニーズの高まりに加え、大企業の業務効率化へのニーズを獲得する事で市場拡大が進むと考える。
■サマリー
■レポートサマリー
●国内キャッシュレス決済市場に関する調査を実施(2021年)
●EC決済サービス市場に関する調査を実施(2024年)
■アナリストオピニオン
●BNPLはクレジットカード市場にとって脅威となるか
●キャッシュレスによる店舗等の支援を
●キャッシュレス4.0~デジタル通貨の台頭によるキャッシュレス社会の進展~
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調査対象:BtoB掛け払いサービス提供事業者
調査期間: 2023年10月~2024年2月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話によるヒアリング、ならびに文献調査併用
※BtoB掛け払い(請求書払い)サービス市場とは:本調査におけるBtoB掛け払いサービスとは、企業間取引における決済業務(与信審査、請求書発行、入金確認・督促)の全てを代行し、回収リスク(支払い延長・未払い、貸し倒れ)を保証し、与信から請求業務、債権保証までワンパッケージで提供するサービスを指す。市場規模は、サービス提供事業者の取扱高ベースで算出した。
<市場に含まれる商品・サービス>
企業間取引における掛け払い(請求書払い)サービス(債権譲渡型を含む)
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