株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内キャッシュレス決済市場の調査を実施し、市場概況やサービス提供事業者の事業戦略、2025年度までの将来予測を明らかにした。
【図表:国内キャッシュレス決済市場予測】
キャッシュレス決済サービスは、サービス提供事業者(主にイシュアとして、クレジット決済やプリペイド決済、デビット決済サービスを提供する事業者の他、キャリア決済やコンビニ決済、後払い決済等のサービス提供事業者が存在する)と、加盟店の新規開拓・管理をするアクワイアラから構成される。
新型コロナウイルス感染拡大で一部の消費活動は抑えられたものの、非接触での決済ニーズの高まりやコード決済の利用が増加し、スマートフォンを用いた支払いが日常生活に浸透しており、モバイル決済の更なる拡大が見込まれる。
2020年度の国内キャッシュレス決済市場(現金以外の支払い手段での決済総額)は、市場の大半を占めるクレジットカードの決済額は横ばいに推移したものの、コード決済やハウス型プリペイド、ポストペイ(後払い)型電子マネーなどが市場を牽引したことにより約98兆円に達し、2021年度は約104兆円まで拡大する見込みである。
■モバイルアプリを通じたキャッシュレス決済利用の増加
コロナ禍において物販系やデジタルコンテンツなどのECの売上高は拡大している一方で、リアル店舗では来店客数の回復が求められている。その対策として、店舗と顧客との間のコミュニケーション頻度や量を増やすことが必要となり、加盟店への支援策としてキャッシュレス決済サービス事業者がモバイルアプリの提供に力を注いでいる。
例えば、コード決済事業者は、モバイルアプリを利用して、利用範囲を限定した特典クーポンや加盟店からのアプリ利用者へのメッセージの配信など、加盟店への送客をはかるOMO(Online Merges with Offline)につなげている。
また、モバイルアプリはキャッシュレス決済に加え、ショッピングや飲食(事前)注文、タクシー配車、ゲームなど様々な機能を持つミニアプリを搭載したスーパーアプリ化を進めており、アプリ利用者が使用機会を増やすことで、コード決済金額の更なる拡大につながるものと考える。
今後、コロナ禍で抑制された消費活動の活発化や国が推進するキャッシュレス比率の上昇などを背景として、クレジットカードの利用が増加するとともに、コード決済をはじめとする様々なプリペイド決済も更なる拡大を遂げる見通しである。2025年度のキャッシュレス決済市場は約153兆円まで拡大すると予測する。
■レポートサマリー
●BtoB掛け払いサービス市場に関する調査を実施(2024年)
●EC決済サービス市場に関する調査を実施(2024年)
●クレジットカード市場に関する調査を実施(2023年)
●国内コード決済市場に関する調査を実施(2022年)
●国内コンタクトレス決済(非接触決済)市場に関する調査を実施(2020年)
■アナリストオピニオン
●日本におけるキャッシュレス決済の変遷
●BNPLはクレジットカード市場にとって脅威となるか
●キャッシュレスによる店舗等の支援を
●キャッシュレス4.0~デジタル通貨の台頭によるキャッシュレス社会の進展~
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調査対象:キャッシュレス決済サービス提供事業者
調査期間:2021年12月~2022年1月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用
※キャッシュレス決済市場とは:本調査におけるキャッシュレス決済市場は、クレジットカード、プリペイドカード、デビットカード、キャリア決済などの現金以外の支払い手段で決済(支払)された金額を指し、市場規模は決済額ベースで算出している。
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