矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

アナリストオピニオン
2013.02.19

ベンダー総合満足度第1位はJBCC

1位に僅差で続くリコージャパン、NECネクサソリューションズ

矢野経済研究所では、2012年10月に『国内企業のIT投資実態と予測2012』を発刊した。本レポートは日本国内の民間企業および自治体などを対象に記名式の郵送アンケートを行い、その結果を分析した資料である。
資料の中から、メインベンダーに対する総合満足度の結果について述べたい。

アンケートでは、「貴社の情報システム全般において、メインベンダーはどこになりますか?」と質問をし、社名を回答してもらうと同時に、各項目について当該ベンダーの満足度を回答してもらった。

★項目

  • 業務分析・システム設計
  • プロジェクトマネジメント
  • 最終製品の品質
  • コスト
  • 運用・保守・サポート
  • 継続意向

今回の調査では、446のユーザーからおよそ150のベンダー名が挙がった。10以上のユーザーが名前を挙げたベンダーについて総合満足度をみると、トップ5は以下の結果となった。

【図表:10以上のユーザーから回答があったベンダーに対する総合満足度】
10以上のユーザーから回答があったベンダーに対する総合満足度

矢野経済研究所推計
注:調査期間は2012年7月27日~8月24日まで。ユーザーは、評価項目に対し、それぞれ4段階(1~5は大変満足、まぁ満足、やや不満、大変不満、6は長期的に継続、数年は継続、変更もありうる、変更検討中・予定)で評価した。その評価を満足度が高い順に100点、67点、34点、1点に配点し、各評価項目の満足度とした。
注:各ユーザーの全評価項目による平均から総合満足度を算出した。
注:ランキング対象は10以上のユーザーから名前が挙がった企業。

総合満足度第1位は67.55点のJBCC、0.89点差でリコージャパンが、1.01点差でNECネクサソリューションズが続いている。

顧客満足度を高める施策は、当然JBCC、リコージャパン、NECネクサソリューションズ以外の企業でも行われている。
しかし、この3社が高い顧客満足度を得た理由はどこにあるのか。今回、JBCC、リコージャパン、NECネクサソリューションズに取材に行き、高い顧客満足度を得た秘訣について話を聞いた。

当該3社は、いずれもそれぞれ特長ある方法で顧客満足度を高める施策を行っていたが、それ以外にも共通点があった。それは、社員のモチベーションを向上させる取り組みに対しても積極的であるという点だ。
顧客満足度を高める施策の効果を最大限に引き出すためには、社員のモチベーションも高くなければならないということだろう。
また、製品を手掛ける人間、サービスを行う人間のモチベーションの高さが顧客に対し、より良い製品を作り、より良いサービスを届けることに繋がっているといえる。
顧客満足度の向上は、共通の課題となっているはずである。
ここでは、JBCC、リコージャパン、NECネクサソリューションズの顧客の声を聞く取り組みと社員のモチベーションを向上させる取り組みを紹介する。

JBCC~誰にでもあるチャンス~

2012年4月にJBグループの中核企業として新たなスタートを切ったJBCCは、500名を超えるSEを抱える技術者集団である。アプリケーション開発系、基盤系の人材・技術の融合により、多様化、高度化する顧客の要望に応える提案力、問題解決力の強化に注力している。

そんなJBCCの印象は、「実直」である。JBCCが展開するソリューションは、全て自社で何度も調査分析、技術検証を重ね、自信を持って世に出したものだ。

JBCCは、顧客満足度第1位という結果について、「カスタマーファースト」を合言葉に、市場における「声」に敏感であり続けたことが一因ではないかと見ている。
JBCCでは、声に敏感であり続けるための取組みとして、「お客様満足度調査」を毎年実施している。これは、日常の活動で顧客が抱える課題や要望を理解すると共に、顧客から評価や意見を聞くものだ。
JBCCでは、この「お客様満足度調査」の結果や日頃の顧客の声をテーマに、全職種のメンバーがチームを結成し、業務に密着したCS活動を実施している。

また、ITの活用・運用を支援するという面においては、「SMAC(Solution Management and Access Center)」というセンターを持つ。SMACは顧客のITインフラをミッションクリティカルにサポートするセンターで、万が一のトラブルが発生した場合には、経験豊かな専任のスタッフが最新の設備を駆使し、強力にサポートする体制を取っている。センターは横浜、大阪の他、大漣(中国)にもあり、グローバルなサポートも可能となっている。
このように、JBCCでは顧客の声を早期にキャッチし、フォローしていく取組みがなされている。

さらに、JBCCは、社員のモチベーションを向上させる取組みにも前向きな姿勢を取っている。
例えば、表彰制度がそれである。JBCCでは、営業担当者のように一目で功労がわかる者だけではなく、業務担当者などスタッフであっても表彰の対象になっている。
表彰機会は、年1回、半期、四半期、毎月など様々だが、毎月行われている表彰は事業所単位であるため、社員にとっても表彰されるチャンスは多い。
加えて、IT業界で求められるスピードに対応するため、結果的には失敗が発生したとしても、新しいことに挑戦した社員については評価している。
このように、職種や場所、内容によって差を設けないことが社員のモチベーションアップに繋がり、全社一体となって顧客の方を向ける礎となっている。

リコージャパン~お客様起点が生み出す複合的効果~

オフィスのトータルソリューションを提供するリコージャパンは、リコー製の複合機やプリンタを中心としたデジタル画像機器の販売、ITサービスなどの提供に加え、リコーグループが全国で培ってきた社内実践のノウハウやソリューション提案力などを融合させ、顧客とともに経営課題の解決、企業価値向上へと繋がる新しい価値を創出する「価値共創パートナー」を目指す。

リコージャパンは、高い顧客満足度を得た理由について、リコージャパンのビジネスコンセプトである「Customer’s Customer Success~お客様のその先のお客様にまで届く価値を創出する~」を実践できた結果だと見ている。
これらの要となるのは、リコーグループの関連会社である「リコーテクノシステムズ」(画像機器やIT環境の保守サービスを提供)や「リコーITソリューションズ」(情報システムの設計・開発などを提供)と連携して実現した「ワンストップサービス」と、「センター&オンサイトサービス」の2点である。

まず、「ワンストップサービス」の点についてみると、リコージャパンは導入から保守まで、顧客のITに関する全てを支えることが可能である。
リコージャパンといえば複合機やプリンタのイメージが強い。顧客のITを支える数々のソリューションの根底には複合機、プリンタ及びその周辺ソリューションで培ったノウハウが活きているからである。
複合機やプリンタの性質上、長期間の利用が前提条件となるため、導入して終わりではなく、保守まできちんと行うという精神が根付いた。これが、現在のワンストップサービスに結びついたのである。

次に、「センター&オンサイトサービス」の点についてみる。
保守サービスを提供するリコーテクノシステムズの拠点数は全国384拠点である。拠点数の多さは、顧客の「困った」という声に対し、迅速に対応するためである。迅速な対応を可能とするためには、情報伝達の機能が正しく運用されていなければならない。問合せ窓口(センター)に電話をしたがなかなか繋がらない、届いた声がいつまでも現場担当者(オンサイト)に届かないということでは、顧客からの満足は得られないからである。
問合せ窓口を複数設ける、現場担当者に声が届くまでのフローをしっかりと確立するなどといった工夫が迅速な対応を可能にしている。

また、リコージャパンでは、人材育成の面で「社員一人ひとりが活き活きと活躍できるように」ということを基本方針の1つとし、業績以外も評価対象となる表彰制度や、社員のモチベーションを高めるための専門の部署を設けるなどして、社員のモチベーション向上を図り、顧客の声に応えられる人材を育成している。
社員のモチベーションの高さが効果的、効率的なサービスを生むためである。

NECネクサソリューションズ~顧客満足度を高める秘密の箱~

NECネクサソリューションズは、NECグループの一員として、「NECグループビジョン2017」の実現に向け、「まごころITサービス」をモットーに、顧客の課題解決に貢献していく。

NECネクサソリューションズが顧客起点の取組みを行う上で欠かせないものが「お客様の声の箱(VOC)」である。VOCは、社員がいつでも顧客の声に耳を傾けることができるよう、日々の顧客からの声を収集し、活用するためのデータベースで、社員であれば誰でも閲覧可能である。
VOCには、顧客からの要望や不満だけではなく、賞詞も登録されている。これらの顧客の声は、最低月1回開催のOBM(Open Box Meeting)を開いて行うミーティングで共有、意見交換されている。
2001年の設置当初こそわが子同然のシステムに対するマイナスの言葉から目を背けたがる社員もいたが、顧客からの声が教訓として活かせることがわかると、自らの学びと成長のため、積極的にOBMを開くようになった。今では、OBMを開くことが社員の間に定着している。
また、もう1つのVOCとして、CS調査を通じて顧客から直接届く声(Web上のVOC)には、役職者がコメントを付ける。顧客からの要望や不満については迅速にコメントが付けられたが、顧客からの賞詞にはコメントが付かないことが多かった。
しかし、社員が率先して顧客に価値を提案するためには、業績評価以外の方法で社員のモチベーションを上げることが必要であった。
顧客の喜びが嬉しさを生み、嬉しさから顧客のためのソリューションが創られるからである。そのため、顧客からの賞詞にも社員の頑張りを評価するコメントを付ける役職者が増えてきた。
このように、顧客の声(VOC)を大切にする取り組みが定着し、顧客からの課題を解決するため、社員が互いに協力しあう小集団活動が生まれた。

小集団活動とは、顧客に高い価値を提供することを目指し、現場のチームが全員参加で日常の業務の中に見える化や仕事の創意工夫を組み込んでいく活動である。
社長だけではなく、本部長も現場に出向きチームメンバーとざっくばらんな本音の意見交換の上、励まし、フィードバックを行う。

このように、チームとしての土台をつくることを大切にし、円滑な意見交換やアイデアが生まれやすくするための土台・風土作りを継続していることが会社の方向性と社員の方向性の合致へと繋がった。

小山 博子(コヤマ ヒロコ) 上級研究員
直接お話を聴かせて頂ける機会を大切にしています。冷静かつ緻密な分析を行い、有意義な情報のご提供をさせて頂きますとともに、「やって良かった」と思って頂ける調査のご提案を致します。

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