矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

デイリーコラム


2026.06.12

「無料オンラインセミナー ITユーザトレンドセミナー 2026 AI活用の実態と課題」

6月25日(木)15時~ JEITA×矢野経済研究所

ITユーザトレンドセミナー 2026 AI活用の実態と課題~ 小さく始めて大きく育てるAI活用:最新データ × 実践事例~

を開催いたします。

ITユーザトレンドセミナー 2026 AI活用の実態と課題~ 小さく始めて大きく育てるAI活用:最新データ × 実践事例~ | WHATSセミナー | 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所

本セミナーは無料です。オンライン開催でアーカイブ配信もあるため、お気軽にお申込み頂けますと幸いです。

 

AIに関するセミナーはたくさんあると思いますが、本セミナーでは実際にAIを活用されている企業の3名にもご登壇頂きます。

社内に情報システム部門などない中での活用は「何から手を付ければいいか」などのご参考になるかと思います。

2026.06.11

「厳しさか癒しか、生成AIのリスクコントロール」

ChatGPTなど言語系生成AIが日常のものとなったが、昨今のニュースをみているとそのリスクも生じ始めたようだ。

 

生成AIは、ユーザー感情を逆なでしない設計になっており、長く使うと「肯定され続けるリスク」が生じるとも指摘されている。具体的には、①疑う力が低下、②創造力が低下、③打たれ弱さが増長、④周りも自分と同じ意見と思いこむ、といったことが言われている。

 

一方で、仕事に使っていると生成AIは大変役に立つ相棒のようになってもいる。いわゆる壁打ち相手などはプロンプト次第で実に厳しく、的確な指摘を返してくれることも多い。また、自分にはない視点から意見を述べてくれることも多い。

 

「生成AIを日常的に使っている」といっても、使うことで自分が更に強くなることも、更に弱くなることも、どちらもあるということだ。競争を前提とする仕事の世界では強くなることを求め、そうでない世界では癒しや甘えを満たすことにも使える。

どちらに使ってもいいが、あまりに癒しや甘えに流されれば、待っているのは怠惰だけ。それがいいとは思えない。

 

汎用ツールであるがゆえに、自律的に利用することが大切なのであろう。となれば、少なくとも未成年に対しては、適切な指導が大切になる。まずは大人が使いこなさねばなるまい。

2026.06.10

「SPEXA 2026」

2026年5月27日(水)から29日(金)にかけて、東京ビッグサイトにて、宇宙ビジネス展「第三回 SPEXA 2026」が開催された。
SPEXAは、ロケット打ち上げから人工衛星の設計・製造・運用、部品・素材、地上システム、衛星データ利活用、宇宙空間利用、関連サービスまで、宇宙ビジネスの上流から下流までを横断的に扱う日本では最大級の宇宙関連の展示会である。

 

本展を通じて印象的だったのは、「宇宙ビジネス」という言葉が、もはやNASAやJAXAに象徴されるような、未知の空間を探査・開拓するフロンティア的活動(アカデミック・学術領域)だけを意味しているわけではない、ということである。宇宙は、遠く隔たった特別な場所であるだけではない。それは地上の防災、インフラ維持管理、建設計画、行政サービスを支える観測基盤として、私たちの生活圏に入り込み始めている。

 

その例として分かりやすいのが、スカパーJSATの展示である。「スカパー」と聞くと、多くの人はテレビサービス(衛星放送)を想起しやすい。しかし、スカパーJSATグループは、宇宙事業とメディア事業を両輪とする企業であり、テレビ事業はその一側面にすぎない。

 

同社の展示では、SAR(※)衛星データを活用した「LIANA」というサービスが紹介されていた。LIANAは、スカパーJSAT、日本工営、ゼンリンの3社が共同で開発を手掛ける、斜面やインフラの変動をモニタリングできるサービスである。SAR衛星データを用いて、Web上で地表面やインフラの微小な変動を可視化し、地すべり、斜面、軟弱地盤、埋立地、道路や空港などの変動把握に活用できる。
※SAR:Synthetic Aperture Radar、合成開口レーダー。衛星から地表にマイクロ波を照射し、その反射を解析することで、地表面の状態や変動を観測する技術。光学衛星と異なり、雲や夜間の影響を受けにくい点に特徴がある。

 

LIANAの意義は、宇宙技術そのものの高度さよりも、そのサービスが地上の具体的な意思決定に資する点にある。従来であれば現地調査や個別測量など、人力に頼っていた地盤・斜面・インフラの変動把握を、衛星データによって広域的・継続的に確認できる。自治体、インフラ事業者、建設コンサルタントなどにとっては、危険箇所の把握、予防保全、調査対象の絞り込み等に活用できる可能性がある。

 

本展を通して見えてきたのは、宇宙ビジネスが「宇宙へ行く産業」から、「宇宙を使って地上の課題を解く産業」へと広がっているということだ。衛星、ロケット、通信、観測、データ解析といった宇宙関連技術は、それ自体が高度な技術領域である。しかし現在の宇宙ビジネスでは、それらが防災、建設、インフラ、行政、物流、農業、海洋監視といった地上の産業課題に接続されることで、単なる先端技術ではなく、具体的なサービスや市場として姿を現し始めている。

 

そういった点で、SPEXA 2026は、宇宙産業の先端技術を並べる場であると同時に、宇宙関連ビジネスがどのように社会実装され、既存産業の課題解決に組み込まれていくのかを可視化する展示会であった。

(熊谷波留弥)

2026.06.09

「IFS Connect」

IFSが5月27日に「IFS Zero」の提供開始を発表しました。本製品は、エージェント型排出量管理オペレーティングシステムで、企業がスコープ1、スコープ2、スコープ3の各カテゴリーにわたる炭素排出量を測定、開示、最適化することを可能にします。
現在私はERPのレポートの取材中ですが、不透明感が漂う中、環境系の需要はトーンダウンしているのかと思いきや、全くもってそうではないという話が各社から出ています。
特にIFSには最高サステナビリティ責任者もいるなど、環境分野への注力がうかがえます。本製品の効果についても、既に年間数百時間の業務時間削減などといった値で出ています。
今回の発表は、自社フラグシップイベント「IFS Connect」内で行われました。

通常、こうしたイベントでは顧客の参加割合が高いですが、今回は65%がまだ顧客にはなっていない人とのこと。

IFSおよび、同社が提供するソリューションへの関心の高さがうかがえました。

2026.06.08

【今週の"ひらめき"視点】局地的豪雨の夏、今年も再び。水害に万全の備えを

当社代表が最新のニュースを題材に時代の本質、変化の予兆に切り込みます。

5月28日、世界気象機関(WMO)と英国気象庁は世界の気象予測に関する報告書を公表、2026年から2030年における世界の平均気温は「産業革命前に比べ1.3℃から1.9℃上昇し、この5年間に観測史上最高気温が更新される確率は少なくとも86%に達する」という。また、温暖化に伴う海氷の減少や海水温の上昇は高緯度地域の降水量を増加させる一方、南半球では降水量が減少、太平洋赤道域ではエルニーニョの発生可能性が高まる、と予測する。

実際、欧州はWMOの予測を先取りするかのような熱波に見舞われている。英国では5月の最高気温を更新、フランス西部では熱波警報が発令、スペイン、イタリアでも記録的な暑さが続く。日本の“春”も過去2番目の高温を記録、5月中旬には九州で猛暑日も観測された。もはや「平年」と比較することの意味が失われるほどに「異常」な暑さが世界で常態化している。

筑波大と北海道大は、「日本の上空には大量の水蒸気が流れ込む“大気の川”があって、この川の流れの強度が温暖化の進行とともに増大、過去42年間で8.3%強まった。そして、こうした変化が線状降水帯など極端に強い雨を降らす要因となっている」との研究成果を発表した(5月22日)。なるほど、“これまでに経験したことのない”と形容される局地的豪雨が毎年毎年多発する一因が、遠のくばかりのパリ協定と反比例するかのように増大する“大気の川”の流量にある、ということか。

2014年から2023年までの10年間、水害被害の総額は7兆5千億円をこえる。そのうち4割が下水道から雨水が溢れ出す内水氾濫で、とりわけ都市部では7割が内水氾濫による(国交省)。こうした状況を受け、国も下水道の排水能力の向上など都市浸水対策を強化する。しかしながら、事業の達成率は全国平均で62%に止まる(2022年時点)。とここまで書いたところで台風6号の接近により筆者の事務所近くを流れる神田川にもレベル4(氾濫危険警報)が発出された。日本気象協会によると「2026年は台風の日本列島への接近数が平年並みか平年より多くなる」とのことである。台風、豪雨による被害が最小の夏になることを願う。


今週の“ひらめき”視点 2026.5.31 - 6.4
代表取締役社長 水越 孝

2026.06.05

「NEC 調達交渉AIエージェントサービスの運用を開始」

NECは、独自のAI技術「自動交渉AI」を活用した「NEC 調達交渉AIエージェントサービス」をNECグループ会社に導入し、本年4月から運用を開始したと発表した(2026年5月26日)。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001341.000078149.html

自動交渉AIは、人間が介在することなく、システムが自律的に取引先と交渉を行い、最適な合意形成を支援するという。従来は調達担当者が実施していた業務をAIに任せることで、取引交渉に費やされる時間を削減し、需要変動への迅速な対応と業務効率の向上を狙うとする。

NECは、NEC自身をゼロ番目のクライアントとして先端テクノロジーを実践する「クライアントゼロ」の考え方を持っている。本取組もそれに沿ったものであろう。
とはいえ自社の課題をテーマにA Iエージェントの開発に取組むのは同社のみではない。どのベンダーもスピード感をもって動いており、今年はAIエージェント元年になるだろう。大いに楽しみである。

2026.06.04

「高市政権の産業政策(重点投資17分野の設定)」①

世界的に国主導での成長産業投資が活発になる中で、日本政府では産業政策として「重点投資の17分野(集中支援対象が61製品・技術)」を選定。具体的には、AI・半導体、量子、航空・宇宙、創薬・先端医療など、成長投資と位置付けた12分野、危機管理投資として位置付けた12分野を選定(重複あり)。国として強力に投資を進めていくとともに、併せて民間投資の呼び水となることも狙っている。

 成長投資は、経済成長に結びつく量子、バイオ、コンテンツ、創薬・先進医療などの分野を想定。また社会におけるリスク低減を目指す危機管理投資では防災・国土強靭化、マテリアル(重要鉱物)、防衛産業、海洋分野などを想定している。尚、両者共通分野として、AI・半導体、造船、航空・宇宙、デジタルサイバーセキュリティ、情報通信など7分野がある。

 この政策の眼目は、「自立性の確保」と「不可欠性の確立」にあり、厳しさを増す国際情勢の中で、日本の経済安保も含めた立ち位置の強化を狙ったものである。世界中で成長産業への投資が活発になる中で、日本政府の取り組みが奏功するか注目される。

2026.06.03

【アナリスト便り】「サイバーセキュリティレポート発刊のご案内 -IT資産管理市場担当より」

5月28日に発刊した『2026AI時代のサイバーセキュリティ市場の現状と展望』にて、「IT資産管理市場」分野の取材・執筆を担当しました。
 
IT資産管理ツールの登場から数十年が経ち、成熟期にあるといわれる市場ですが、今回の取材を通してその成長は止まるどころか、むしろ新たなフェーズへ突入していると実感しました。
働き方の多様化に伴うクラウドシフトが加速し、業務で利用するアプリケーションやサービスが混在する中、IT資産管理はもはや単なる「棚卸し」作業にとどまりません。こうしたIT環境の複雑化に伴い、セキュリティの土台としての機能や、他製品との連携・拡張性を備えたIT資産管理ツールへのニーズが高まっています。
さらに、昨今のインシデント事例の多発により、IT資産管理は情報システム部門のみの領域ではなく、経営層が注視すべき最重要課題の一つとなりました。こうした潮流とともに、IT資産管理ツールの役割は今後も変化・進化を続けていくものと考えています。
 
本レポートでは、IT資産管理市場のみならず、サイバーセキュリティ市場全体やサイバー保険など関連分野についても、各社の取組動向を整理しています。ぜひご覧いただけますと幸いです。
 
『2026 AI時代のサイバーセキュリティ市場の現状と展望』(2026年5月28日発刊)
2026.06.02

【アナリスト便り】「サイバーセキュリティレポート発刊のご案内-サイバー保険分野担当より」

5月28日に『2026 AI時代のサイバーセキュリティ市場の現状と展望』を発刊しました。本レポートでは、AI時代におけるサイバーセキュリティ市場の動向分析に加え、関連する市場についても整理していますが、その中で私はサイバー保険の分野を担当しました。
サイバーセキュリティの取材を進める中で感じたのは、サイバーリスクの質が大きく変化してきている点です。従来は個人情報漏えいといった個別のインシデントに対するリスクが中心でしたが、近年はサイバー攻撃によって事業活動への影響が大きくなり、経営リスクとしての側面が強まってきているようです。


こうした変化を受けて、保険の提供内容にも変化が見られます。近年では、補償にとどまらず、インシデント対応支援や予防サービスと組み合わせた形で提供されるケースも増えています。保険が単なる「事後補償」から、「リスクマネジメントの一部」へと位置づけが変わりつつあるようにも感じました。


今回の取材では大手損害保険会社様にサイバー保険の取組状況についてヒアリングさせていただきました。現状の市場動向をどのように捉えているのか、また今後の展望をどのように見ているのかについても整理しています。ご協力いただいた企業の皆様、この場を借りて御礼申し上げます。


なお、本レポートでは企業へのアンケート分析に加え、サイバー保険のみならず、サイバーセキュリティ市場やアイデンティティ管理市場、IT資産管理市場といった関連分野についても、企業様へのヒアリングを通じて取組動向を整理しています。ぜひご覧いただけますと幸いです。
 
『2026 AI時代のサイバーセキュリティ市場の現状と展望』(2026年5月28日発刊)
https://www.yano.co.jp/market_reports/C68100700

2026.06.01

【今週の"ひらめき"視点】米中、月面基地計画。地上の覇権争いを宇宙へ持ち出すな

当社代表が最新のニュースを題材に時代の本質、変化の予兆に切り込みます。

5月26日、宇宙開発ベンチャー(株)ispace(アイスペース)とJALグループは、アイスペース社が2028年に予定している月面着陸ミッションにおけるペイロード(荷物)輸送サービス契約を締結したと発表した。“次世代へ受け継ぐ箱舟”(ARGO PROJECT)と名付けられた事業は、人類の文化や人々の営みの記録を災害や紛争によって失われることのない“月”で保管し、未来の人類に継承するプロジェクトで、JALグループは地域の特産品や時代を象徴する工業製品を月へ運ぶ輸送枠を自治体や企業に販売する。

しかしながら、果たして「月」はARGO PROJECTが想定する「地球の紛争リスク」を回避できるのか。24日、中国は宇宙飛行士3人を乗せた「神舟23号」の打ち上げに成功、25日には宇宙ステーション「天宮」とドッキングした。中国は2030年までに有人月面着陸を実現、30年代半ばにはロシアと共同で月面基地を建設する計画だ。その翌日、米国は有人月探査プロジェクト「アルテミス計画」の工程表を発表、2029年までに建設地点の調査を進め、30年代には大型の居住施設を月面に建設すると発表した。

月面だけではない。宇宙空間における米中の競争も熾烈化しつつある。米国はスペースX社の通信衛星コンステレーション「Starlink」を含め既に7000機~9000機の人工衛星を運用、現在、1000機程度とされる中国も2030年までに1万5000機の低軌道衛星を配備する計画である。とは言え、そもそも天体を含む宇宙空間は1967年に発効された宇宙条約の第2条において「いずれの国家も領有権を主張することは出来ない」と定めている。ただ、国際法に対する信任が揺らぎつつある地上の現状にあって、ましてや宇宙だ。国際条約の有効性は心もとない。

2010年、英国の宇宙物理学者スティーブン・ホーキング博士(1942-2018)は地球外生命が存在する可能性は高いとしたうえで、もしも彼らが地球に現れるとすれば「自らの故郷である惑星の資源を使い果たした後、地球を新たな資源の供給地、新たな居住地とみなした時である。コロンブスの北米大陸への上陸が先住民にとって脅威となったように地球人にとって好ましくない結果となる」と警告した。「宇宙から国境線は見えなかった」とは日本人初のスペースシャトル搭乗員、毛利衛氏の言葉である。地球が氏の言葉通り本当に1つになれるのはホーキング博士の懸念が現実になった時でしかないのか。いや、私たちはもう少し賢くありたい。


今週の“ひらめき”視点 2026.5.24 - 5.28
代表取締役社長 水越 孝

2026.05.29

【発刊裏話】「2026AI時代のサイバーセキュリティ市場の現状と展望」

初めてのサイバーセキュリティレポート、ということで、取材にご協力頂いた皆様、ありがとうございました。

最初はサイバーセキュリティ市場全体の市場規模を出せればそれでよし、と思っていたのですが、取材をさせて頂く過程で、「市場が伸びることはわかっているのだけど、どこの領域がどの程度伸びるのかが気になる」というお言葉を頂戴しました。

確かにそうだと思い、製品とサービス、また製品を4つの分野に分けてそれぞれ市場規模を算出するところにたどりつけました。

貴重なご意見、ありがとうございました。

本市場に限らず、皆様からのそうしたお声、お待ちしております。

2026.05.28

【アナリスト便り】「2026AI時代のサイバーセキュリティ市場の現状と展望」を発刊

お待たせいたしました。本日、ようやく矢野経済研究所からサイバーセキュリティのレポートを発刊いたしました。

本レポートではサイバーセキュリティ市場の他、アイデンティティ管理市場、IT資産管理市場、サイバー保険市場を扱っています。

私は主にサイバーセキュリティ市場全体とアイデンティティ管理市場、アンケート編を担当しました。

やはり今、市場ではアイデンティティ管理市場が盛り上がっていると感じましたし、トレンドはAI対AIなのだなと実感しました。

セキュリティツールもある程度はコモディティ化しています。そうした中、各社が何を強みにしているのか、非常に興味深い結果になったかと思います。

2026.05.27

【個別調査のご案内】

矢野経済研究所では、企業様からのご依頼に基づき、オリジナルの市場調査の業務も行っております。

弊社の既存レポートでは知りたい内容が充分に満たせない、単なる調査結果だけではなくコンサルテーションも頼みたい、といった要望にも対応いたします。

HPやメール、お電話等でご相談頂ければ、担当者からご連絡させて頂きます。費用の見積もりまでなら無料で対応いたしますので、市場データの収集やコンサルティングなどでお困りの方は是非お気軽にご相談ください。

詳細は、下記をご覧ください。

http://www.yanoict.com/service/service_e

2026.05.26

「Astemoと日立の協業にみる、SDVの先にある“AI定義車”時代」

Astemo株式会社と株式会社日立製作所は2026年5月20日、車両の智能化を加速する運転支援AIの開発基盤の構築・活用に向けて協業すると発表した。両社は、実走行データとデジタルツインで再現・創出したシナリオデータを組み合わせ、運転支援AIの学習・検証・展開を一体で回す基盤を2026年度末までに構築する方針を示している。さらに、AIの判断プロセスを可視化し、ブラックボックス化を防ぐオープンなプラットフォームとして、自動車メーカーやサプライヤーなどのパートナーにも提供していく考えだ。

https://www.hitachi.com/content/dam/hitachi/global/ja_jp/press/files/2026/05/0520a.pdf

今回の発表では、具体的な運転支援機能の高度化ではなく、「AIをどう開発し、どう鍛え、どう安全に活用していくか」という視点で述べられている点が印象的だった。SDV(Software-Defined Vehicle)では、ソフトウェア更新によって機能を高めることが競争力の源泉とされてきたが、運転支援や自動運転の領域では、もはやソフトウェアだけでは差はつきにくい。実走行では再現しにくい危険シナリオや、部品の劣化、性能ばらつき、急なブレーキ操作といった複合条件まで含め、今後はAIを継続的に学習・検証できる環境そのものが競争力となると推測する。

話は変わるが、2026年4月、日産自動車が打ち出した長期ビジョンの中で「AIDV(AI-Defined Vehicle)」を事業の中核に位置付けた。日産は、AIドライブ技術とAIパートナー技術を組み合わせることで、移動そのものを進化させ、クルマの価値を再定義していく構想を示している。今回のAstemoと日立の協業も、SDVの延長線上にある取り組みというより、むしろAIが車を定義していく世界=AIDVを下支えする産業基盤づくりの第一歩として捉えることができる。

さらにAstemoと日立製作所は、将来的にこの基盤をモビリティ分野だけでなく、物流やエネルギーなど他産業とのデータ連携にもつなげる構想を示している。こうなると、車はもはや単体製品ではなく、AIを基盤とした巨大なエコシステムの中心となる可能性も秘めており、非常に興味深い。

2026.05.22

「NTTドコモビジネスのAI SOCから見える、AI時代のサイバー防御の変化」

NTTドコモビジネスは2026年5月20日、AIを活用してサイバー攻撃の脅威分析や自動対処を行う「AI SOC」サービスの提供を開始したと発表し、同日にオンラインで記者説明会がありましたので参加しました。

※NTTドコモビジネスのAI SOCに関するニュースリリース

https://www.ntt.com/about-us/press-releases/news/article/2026/0520.html
今回新たに発表されたAI SOCサービスは、同社が独自に開発したAIエージェントによるログ分析機能を強化した「AI Advisor」と、セキュリティアラートに対して自動で対応を行う「マネージドSOAR」を組み合わせたもので、サイバー攻撃の検知から対処までを一体で行う仕組みになっています。
今回の説明を聞いていて改めて感じたのは、サイバー攻撃のスピードがかなり速くなっている点です。説明会では、調査会社のデータを引用したうえで、攻撃者が侵入してから被害を拡大させるまでの時間(いわゆるブレイクアウトタイム)が平均29分まで短縮しているという話がありました。これだけ短い時間になると、人手で一つひとつ対応していては追いつかない、というのは理解できます。
加えて、同社の説明では企業側のセキュリティ人材の不足も課題として挙げられていました。もともと専門人材が限られている中で、対応すべきインシデントが増え、それも短時間で判断が求められるとなると、従来の体制では難しい場面も増えているのだと思います。
こうした背景を踏まえた今回のAI SOCは、AIによる自動対応を前提とした設計になっている点が特徴的です。AI Advisorでログを相関分析しながら脅威を検知し、その後はマネージドSOARによって自動で対処を行う流れです。説明によると、脅威はおおよそ10分程度で特定され、その後のアラートの約95%は自動で処理されるとのことで、人を介さないことを前提としています。一方で、完全に人が不要というわけではなく、最終的な対応や例外的なケースに備えて専門家が関与する体制も残しています。
AIを使った攻撃に対して、AIで防御するという構図は、少し前まではAIがサポートするところまでの話にとどまっていると思っていました。しかし、今回のNTTドコモビジネスのAI SOCのように、具体的なサービスとして提供されているのを見ると、実際の現場では「AI対AI」の構図が必要になっているのだと感じます。ブレイクアウトタイムも今後さらに短くなっていく可能性があることを考えると、こうした自動化の流れは一層進んでいくのかもしれません。
サイバーセキュリティの領域は、これまで人が判断し対応してきた部分が多い分野でしたが、今後はAIが担う領域が徐々に広がっていくのではないかと感じました。人が行う対応から、AIが前提となる対応へと、少しずつ変わり始めている段階に来ているのかもしれません。
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なお、当社矢野経済研究所では、5月下旬に「2026年 AI時代のサイバーセキュリティ市場の現状と展望」を発刊予定です。セキュリティツール導入におけるボトルネックや最新トレンドを整理し、AI時代におけるセキュリティ対策の現状と将来動向について、アンケート調査や取材をもとに分析しています。ぜひお手に取っていただく機会がありますと幸いです。
https://www.yano.co.jp/market_reports/C68100700

2026.05.21

「ENEOSの事例にみる企業による保険代理店事業の見直し」

「ENEOSの事例にみる企業による保険代理店事業の見直し」
保険ブローカー企業であるマーシュジャパンは2026年5月15日、ENEOSホールディングス株式会社からENEOS保険サービス株式会社の株式取得およびENEOSマテリアルトレーディング株式会社の保険代理店事業を取得することで合意したと発表した。
https://www.marsh.com/jp/ja/about/media/2026-marsh-eneos.html
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近年、企業における保険代理店事業を手放す動きが相次いでいる。今回のマーシュジャパンは、2025年11月にも三菱電機グループの保険代理店である三菱電機保険サービスの株式取得を完了しており、同様の動きは他の大企業にも広がっている。例えば、三菱ケミカルグループは2024年11月にダイヤリックスが手掛ける保険代理店事業をエーオンジャパンへ譲渡し、三菱マテリアルも2025年11月、グループ会社である菱光サービスの保険代理店事業をエムエスティ保険サービスへ譲渡する方針を決定。また、2024年2月にはジェイテクトがグループ会社の保険代理店事業を豊通保険パートナーズへ譲渡することを発表するなど、同様の再編が進んでいる。
こうした動きの背景としては、保険代理店事業が多くの企業にとって非中核事業であることに加え、制度・規制対応の負担増があるとみられる。保険業法の改正対応やガバナンス強化、顧客本位の業務運営など、対応すべき要件は年々増えており、本業が保険ではない企業にとっては、継続的に体制を維持する負担は小さくない。
その結果として、保険代理店機能を外部の専門事業者へ移管し、自社は本業へリソースを集中させる動きが進んでいると考えられる。一方で、保険の専門事業者側から見れば、顧客基盤をまとめて獲得できる機会でもあり、業界としては集約の流れが一段と進んでいく可能性が高いだろう。

2026.05.20

「トラックショーで見えたトラックの高度化」

2026年5月14日(木)~16日(土)にかけてパシフィコ横浜で開催されていた「トラックショー」を見に行きました。トラック本体から部品、塗装、運送業界向けソリューションまで、幅広い分野の企業が出展しており、業界全体の動向を俯瞰できる展示会でした。
その中でも今回、個人的に印象に残ったのが外資系メーカーのトラックです。自動車の分野ではIT化やデジタル技術の進展が広く知られていますが、トラックにおいても同様の流れが進んでいることを改めて感じました。
例えば、出展していたボルボ・トラックでは、Volvo FHシリーズの新モデルにおいてサイドミラーを廃し、車内モニターで周囲を確認できるカメラモニターシステムが採用されていました。通常ビューと広角ビューの切り替えや、周囲状況を把握するための表示アシストなどが搭載されており、安全性向上に向けたさまざまな工夫が見られます。実際に外観を見るとミラーがない分、車体がすっきりとしているのが印象的でした。
また、「ボルボ・コネクト」と呼ばれるサービスも紹介されておりました。同サービスは、車両の状態や燃料消費、位置情報などをリアルタイムで可視化し、一元的に管理できる仕組みとなっています。トラックは10年以上使用されるケースも一般的であり、こうした機能が標準的に組み込まれていくことで、ドライバーや運送会社が後付けの機器を導入する手間は今後減っていく可能性があります。
一方で、こうした機能がどの程度のコストで提供されるのか、運送事業者にとって負担となるのかといった点も気になるところです。ただ、データの可視化や運行管理の高度化といった観点では、安全運転や経営管理の両面でメリットが期待できる領域でもあります。
自動車分野で進んできたデジタル化・高度化の流れは、トラックにも広がりつつあります。今回の展示会を通じて、トラックも「走るだけの存在」から「データを活用するプラットフォーム」へと変化していく過程にあるのではないかと感じました。

2026.05.19

「PayPay上場後初の決算発表、決済・金融の両輪での成長を継続」

2026年5月7日、PayPayは2026年3月期(FY2025)の決算発表を行った。同社は2026年3月に米NASDAQ市場へ上場しており、今回が上場後初の通期決算発表となる。
https://ir.paypay.ne.jp/jp/
 
2026年3月期の営業収益は3,807億円(前期比27%増)、調整後EBITDA(利払い/税引き/減価償却前の利益)は1,111億円(同89%増)となった。営業収益のうち、59%を決済手数料等、41%を金融+決済金利が占める構成となっており、両者ともに対前年25%増を超える高成長を実現している。
 
同社の決済セグメントにおいては、GMV(決済取扱高)が19兆円に達し、内訳としてはPayPay残高が10.8兆円、PayPayクレジットが4.6兆円、PayPayカードが3.5兆円となった。GMVの堅調な拡大に加え、決済手数料率の高いオンライン決済の構成比の増加や、PayPayカードの金融関連残高の増加に伴う金利収入の拡大もあり、セグメント全体で成長基調を継続している。
金融サービスセグメントにおいても、PayPay銀行の預金口座数が1,000万口座を超え、PayPay証券の口座数も173万口座(前年同期比36万口座増)に拡大するなど成長を続けており、金融関連収益の成長率は決済関連収益を上回った。
 
上記の通り、同社は収益基盤の多様化を進めており、今後も祖業である決済と、新たな柱である金融の両輪での成長を目指している。その第一歩として、PayPay銀行がPayPay加盟店向けのレンディングサービスの本格提供を開始した。同サービスでは膨大な決済データに基づく独自の与信モデルを通じ、必要な資金の即自貸出を実現可能であり、PayPayとしてはこのサービスをデータドリブンなプロダクトの象徴と位置づけている。この一例に限らず、決済・銀行・証券などあらゆる領域でサービスの再定義に取り組んでいく方針である。
 
近年は、キャッシュレス決済サービス市場の参入事業者各社ともに、決済を起点として銀行・投資・保険といった金融サービスを総合的に提供する取組みに注力している。2025年10月にNTTドコモが住信SBIネット銀行を連結子会社化(2026年8月には「ドコモSMTBネット銀行」へ商号変更を予定)したことで、国内の主要なコード決済事業者のすべてがグループ内に銀行を保有する形となった。その中で、PayPayの好調を示した今回の決算発表の通り、国内のキャッシュレス市場においては決済という「点」に留まらず、多様な金融サービスを含めた「面」での争いの様相がますます強まっていくと見込む。

2026.05.18

【今週の"ひらめき"視点】未成年のSNS依存症、世界で深刻化。大人は子供たちを守れるか

当社代表が最新のニュースを題材に時代の本質、変化の予兆に切り込みます。

 

5月5日、日本と欧州連合(EU)は“日EUデジタルパートナーシップ閣僚会議”を開催、プラットフォーム事業者に対する監督体制の強化、信頼性のあるデータの流通、個人情報保護、海底ケーブル防護などについて高いレベルで緊密な協力体制を構築するとの共同声明を発表した。

プラットフォーマー規制については“安全なオンライン環境”、とりわけ、オンライン上における未成年者保護の重要性が強調された。EUでは利用者の保護や違法コンテンツへの対応を既にプラットフォーム事業者に義務付けており(デジタルサービス法、2024年)、日本でも個人の権利を侵害する情報の削除を求める法律が施行されている(情報流通プラットフォーム対処法、2025年)。

しかしながら、有害コンテンツの規制だけで子供たちの権利、健康、安全を守ることはできない。無限スクロールや昼夜を問わない通知など、アクセス数に応じて収益が発生するSNS固有のビジネスモデルそのものが中毒性を誘発する有害技術であり規制すべき、との声も高まる。昨年暮れには豪州で、今年3月にはインドネシアで16歳未満のSNS利用が禁止された。仏、デンマーク、ノルウェー、トルコ、ギリシャ、マレーシアでも禁止に向けた議論が進む。日本でもSNSに起因する被害児童は1566人に達しており(令和7年、警察庁)、10代の7%にSNSの病的利用の疑いが認められる※という。対策は急務である。

人類が誕生して600万年、産業革命から200年、初代iPhoneから19年、LINEがサービスを開始して15年、ChatGPTのリリースから3年半だ。イノベーションの速度はあまりに急激で、産業構造が変わり、暮らし方が変わり、社会と個人の関係も変わった。そして、そこに馴染めない人は社会不適合とされる。見渡せば誰も彼もがスマホ片手にSNSだ。いつの日か各国のSNS規制などなんらの効果もなく、SNS依存者が世界に溢れ、やがて人類の首が15度下向きに進化した未来に、そうならなかった人はSNS適応障害などと病人扱いされるのであろうか。いやそれはご免だ。
※出所:「ネット・ゲーム使用と生活習慣に関する実態調査(2024)」、独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター


今週の“ひらめき”視点 2026.5.3 - 5.14
代表取締役社長 水越 孝

2026.05.15

「IoTの普及で「非保有型社会化」が進む?」

今後のビジネスシーンにおいて、IoT活用の拡大が見込まれる領域での方向性を「保有」を軸として考えた。

 生産機械・設備や物流機器・設備、自動車、医療/医療機器などでは徐々に自社保有が減少して、中期的には「サービス提供」、「コト売り」、「サブスク型」のビジネスにシフトすると見る。つまりIoTベースの仕組みになることで、遠隔での稼働監視が可能になり、自前で維持管理・運用を行う必要性が薄れてくる。そうなると保有する意味も薄れ、結果として「保有を前提としない新たなサービスモデル」が増えると考える。ここでのイメージは、カーシェアや従量課金タイプのビジネスモデル(MFPモデルなど)などが想定される。またエネルギー分野や社会インフラ(鉄道、道路、空港など)、水道事業などでは、保有と運用管理を切り分ける形が増えており、これも保有が減る流れである。この場合、運用管理を担うのは、IoTベースの仕組みを提供する事業者が予想される。

 このように、IoTが社会基盤化するのに伴い、「保有」を前提とした社会が変容し、「持たざる社会」が広がっていくのではないかと愚考する。

2026.05.14

「長引く円安」

コロナ禍の最中である2022年3月頃から始まった円安基調は、4年が経過した2026年5月現在でも継続し、同年5月8日現在では1㌦が155~160円の超円安である。

為替変動の影響はグローバル企業の業績に大きな影響があるが、近年の海外事業は現地生産型が増えたので、国内生産&輸出時代よりは為替の影響は減っている。尚、為替動向を見る場合、国際決済はドル主体なのでドル円動向に注目する。

為替変動の影響を円高と円安に分けて考察する。

円高では、鉱物資源や原油、部品・半製品などの原材料調達コストが低下する。そのため、輸入や輸入品を扱う企業にはメリットは大きい。しかし輸出企業では逆風になる。現地価格を維持しようとすれば、輸出価格(製品価格)を下げる必要があり、企業の利益は減る。また外貨建て資産を円にしようとした場合、円高では資産が目減りすることになる。

一方で円安では、原材料や輸入品価格の上昇があり、特に輸入品を扱い且つ、値上げが難しい業界やエネルギー企業、原材料消費型産業(運輸・物流業、素材メーカーなど)にはデメリットが大きい。その一方で、輸出企業の利益アップ効果は大きい。またインバウンド系産業(旅行業、観光業、宿泊業、外国人向けサービス業など)では、円安による訪日外国人客の増加効果が見込まれる。

以前は「円安=経済には追い風」であったが、日本メーカーの海外生産が増えたこともあり、以前ほどの円安メリットは受けていない。またGDPの国際比較を考えた場合、通常は米ドル換算となるため、単純化すると「円高で日本のGDPが増える」、「円安で日本のGDPが減る」といった事が起こる。

2023年に「日本とドイツのGDP逆転劇」も、ドイツ産業の高い生産性といったファンダメンタルに加えて、円安による名目GDPの目減り(ドル建て換算)が大きな要因であった。

2026.05.13

「海事産業におけるサイバーセキュリティの重要性を改めて感じた”Sea Japan 2026”」

少し前になりますが、4月に東京ビッグサイトで開催されていた海事産業の展示会「Sea Japan 2026」に参加してきました。きっかけは、ホルムズ海峡を巡る緊張など、地政学リスクを背景に船舶の航行が滞り、物流に影響が及ぶニュースを目にする機会が増えたことです。日本は輸入依存度が高い国であり、海運の安定性が揺らぐことによる影響は決して小さくありません。こうした理由を背景に、近年の海事産業の動向を確認したいと思い、会場を訪れました。
会場では、環境対応や自動化、デジタル化など、様々なテーマで企業が出展していましたが、全体を通じて特に印象に残ったのが「セキュリティ」というキーワードでした。外航分野では、Starlinkに代表される低軌道衛星通信の活用が進んでおり、従来の静止衛星通信と比べて、陸上に近い感覚で常時通信が可能になりつつあります。船舶が「つながる」ことは、運航管理や効率化の面で大きなメリットをもたらす一方で、新たなリスクも生み出していると感じました。
船舶はAISなどにより位置情報が可視化されています。もし通信やシステムがサイバー攻撃を受け、誤った情報が伝達されるような事態が起これば、船舶の安全運航だけでなく、物流全体に深刻な影響を及ぼす可能性があります。戦争や紛争によって航路が止まるケースとは異なり、サイバーリスクによって「見えない形で物流が止まる」可能性が、現実のものとして意識されるようになってきました。
地政学リスクを完全に回避することは難しい一方で、サイバーセキュリティについては、技術や運用によってリスクを下げる余地があります。輸入依存度の高い日本にとって、海運の安定は経済活動の基盤です。Sea Japan2026は、海事産業におけるセキュリティ対策の重要性が、今後さらに高まっていくことを改めて認識させる展示会でした。

2026.05.12

「量子コンピュータ市場についてのレポートを制作中です」

現在、量子コンピュータ市場についてレポートを制作中です。
2020年、2021年と発刊して以降、間が空いておりましたので、関連文献を読み漁ったり、取材などを進めるなかで技術動向や政策動向のキャッチアップを進めています💦


さて、量子コンピュータといえば、さまざまな国の企業への取材も多く、前回はカナダや米国、英国、仏国、スペインなどの企業に取材を進めてきました。今回は左記の国に加えて、インドやオーストラリアをはじめ、さまざまな国の企業に取材依頼を進めるなか、同領域に対する各国の関心の高まりと本気度を感じています(国からの出資や補助金などを受けたうえ、当該国のトップクラスの大学からのスピンアウト企業も多く、まさに国の威信をかけて挑んでいる感じがする)。


こうした海外企業と取材をしていますと、時折、「貴方もコチラに来なさい、美しい場所がたくさんあるぞ。通訳くらいしてやるよ」と素敵な申し出を頂くことがあります(笑)
今年は何か国にバーチャル訪問(=オンライン取材)できるでしょうか。7月末発刊となっておりますので、お楽しみに☆

2026.05.11

「SAP Experience Center Tokyoリニューアルオープン」

4月28日にSAPジャパンがリニューアルオープンした「SAP Experience Center Tokyo」の見学会を開催しました。

 

本センターは、クラウドおよびAIを活用したSAPの最新ソリューションを体験型で紹介する施設です。
今回のリニューアルでは、Industry 4.0の実践を体現するラボである「S.Factory」を刷新(他に2つの体験型エリアがある)。
同社社長の堀川氏は、冒頭の説明の中で、日本企業のグローバル競争力強化に必要な5つの視点(ヒト・組織・業務プロセス・データ/システム)について言及しましたが、このラボではこれら5つの視点を実際に感じることができました。
人手不足、熟練者の退職は多くの企業が抱えている課題のひとつです。データ/システムで「ヒト」がこうした方が良い、まで示してくれた結果に驚きました。
仮に熟練度が不足していた場合、そこを補うことができるようになれば褒めてくれる結果も出るようです。

 

データ/システムも褒めて伸ばしてくれる世界になってきました。「ヒト」も含まれたIndustry 4.0の世界が見えたような気がします。
※写真は今回体験した事例に基づいてシステムが出してくれたレポートの一例

2026.05.08

「Salesforce、中堅・中小企業におけるAgentforceの活用事例を紹介」

2026年4月27日、セールスフォース・ジャパン(以下、Salesforce)はAgentforceユーザー企業の活用事例を紹介するプレス・アナリスト向け説明会を開いた。Salesforceは近年、中堅・中小企業への展開を進めている。2025年11月に中堅・中小企業向けに無料で使えるCRM「Free Suite」の提供を開始し、2026年3月にはAI機能を標準搭載した「Agentforce in Suites」やSlackで完結するCRM「Slack CRM」等のラインナップを拡充している。Salesforceのグローバル全体の傾向をみると、中堅・中小企業領域の伸びが大きいという。この領域では、変化に対して前向きに挑戦し、試行錯誤を重ねながら機動的に改善サイクルを回す企業が多く、そうした特性がAgentforceの展開を後押ししているようだ。
 
当日は、ユーザー企業として中古住宅のリノベーションを手掛けるスクールバス空間設計株式会社の田中氏が登壇した。スクールバス空間設計には1名のインサイドセールスが在籍しているが、約3,000件ものリードが追いかけられておらず、試算すると年間8.1億円もの機会損失が生じていた。この課題解決の手段として選んだのがAgentforceで、AI営業エージェント「Frank」として実装した。Frankにより既存スタッフでは追いきれなかったリードに対し、24時間365日、顧客の状況に寄り添いながらアプローチし続ける仕組みを実現した。導入からわずか3カ月で、資料請求数は211%増、AI経由の商談化率は75%に達し、2,650万円の成約を獲得した。スクールバス空間設計は、Frankを導入した時点で完成された万能な存在とは捉えておらず、定期的なチューニングを重ねながら育てていくチームメンバーとして迎え入れて活用しているという。
 
人手不足は企業規模を問わない共通課題だが、中堅・中小企業にとっては事業継続そのものを左右する深刻なリスクである。AIエージェントが担う役割は、単なる業務効率化にとどまらず、人が足りないために逃してきた商機の回収と、事業成長の両輪を支えるものへと広がりつつある。中堅・中小企業へのAI活用が着実に裾野を広げていくなかで、人手不足を一因とする企業倒産の減少にも期待したい。

2026.05.07

【今週の"ひらめき"視点】後退する民主主義。世界は“普遍的価値”を取り戻せるか

当社代表が最新のニュースを題材に時代の本質、変化の予兆に切り込みます。

 

4月21日、アムネスティ・インターナショナルは世界の人権の現状に関する年次報告書を発表した。イスラエルのガザにおけるジェノサイド、ヨルダン川西岸への違法入植の拡大、ロシアによるウクライナの民間インフラへの空爆、米イスラエルのイランへの武力行使等を列挙したうえで、国際法を無視し、多国間体制に背を向け、力による支配と収奪を試みるこれらの国々の指導者を“政治的・経済的捕食者”と非難した。

また、米国、中国、ロシアといった大国に加え、アジア、中東、アフリカ、南米の多くの国で政権に対する異議申し立てを犯罪化し、抗議者を不当に拘束するなど、市民に対する暴力的な弾圧が拡大していると指摘、「彼らの行動原理は異論を封じ込め、“他者”とみなした者を非人間化することに基づく」と断じる。

世界の民主主義の達成度を示す指標にEIU民主主義指数(英エコノミスト誌)とヨーテボリ大学のV-Dem(スウェーデン)があるが、いずれも民主主義の停滞、後退を示す。EIUによると2024年時点で完全な民主主義国家は世界の15%、人口ベースで6.6%に過ぎない。V-Demは「2025年の自由民主主義指数は1970年代後半の水準まで低下、世界の至る所で強権的指導者が生まれ、権威主義化が進んでいる」と指摘する。とりわけ、米国の自由民主主義指数は2024年の0.79から2025年に0.57へ急落、「自由民主主義」国家の区分から脱落した。

政治・経済・軍事力を振りかざし、あからさまに自国利益を追求する大国の振る舞いが世界の空気を一変させる。国連憲章、国際法への信頼が霞む中、世界中がそれぞれの政治的立場、地政学的条件において“ますます厳しくなる安全保障環境”を自国の物語に変換、これが強権化の土壌となる。「政治的・経済的捕食者たちは、多国間体制は死んだという。しかし、彼らがそう主張するのはそれが非効率だからではなく自身の覇権と支配に資していないから」とアムネスティのカラマール事務総長は看破する。世界は法の支配にもとづく秩序を取り戻せるか、私たちは大きな岐路にある。


今週の“ひらめき”視点 2026.4.19 - 4.30
代表取締役社長 水越 孝

2026.05.01

「Stripe、エージェンティックコマースへの対応準備に関する調査を実施」

2026年3月、主にEC事業者に対してオンライン決済サービスなどを提供するStripeは、ECで事業を展開している国内企業を対象に、エージェンティックコマースへの対応の準備状況に関する調査を実施し、調査結果を明らかにした。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000117.000077879.html

 

エージェンティックコマースとは、商品の検索や比較から購入まで、オンラインショッピングにおける一連の購買行動を、AIエージェントが代行する仕組みを指す。2025年9月、OpenAIは米国において、ChatGPTとの会話内で商品の購入まで完結させる「インスタント・チェックアウト」と、EC事業者側との連携仕様である「エージェンティック・コマース・プロトコル(ACP)」を公開した。また、2026年には、GoogleがAIエージェントと各種システムをつなぐ標準プロトコル「ユニバーサル・コマース・プロトコル(UCP)」の展開を開始し、米国のGoogle検索のAIモードやGeminiアプリを通じて、「Etsy」や「Wayfair」といった提携ブランドでの直接購入を可能にしている。このように、米国においてエージェンティックコマースは実用段階に入りつつあり、日本国内においても将来的な本格展開が見込まれる。

 

本調査は、日本国内においてEC事業を展開する従業員1,000名以上の企業を対象に実施された。Stripeは、「約6割の企業が導入を検討していると回答。その内、64.4% の企業が3年以内の導入を計画。」という調査結果を発表している。

 

この調査結果からも、日本におけるエージェンティックコマースの本格稼働は近づいていると言える。また、それに伴い、消費者の購買行動だけでなく、EC事業やオンライン決済事業の様相も変化すると考える。例えば、AmazonのようなECプラットフォームの在り方が変化する可能性があるし、EC事業者に対して各種決済手段との接続代行サービスを提供する決済代行業者は、今後GeminiやChatGPTなど複数のAIエージェントとの接続を代行する役割も求められるようになる可能性もある。当社は国内の主要決済代行業者への取材を定期的に実施しているため、取材の中でエージェンティックコマースへの対応に関する動向も積極的に追っていきたい。

2026.04.30

インフラ設備点検/農業向けを中心にドローン活用サービスが急拡大③

ドローン活用サービス/ソリューションにおける問題点・課題

ドローン活用における課題の一つとして、オペレータ確保が挙げられる。ドローン操縦には、国家資格である「無人航空機操縦者技能証明」の取得が必要などの要件がある。特に、産業用途での活用が進む中、高度な操縦技術とデータ処理スキルを兼ね備えた人材が不可欠で、十分な数のオペレータを確保できるかどうかはドローンサービスの拡大では重要である。
またドローン活用が進むにつれ、ドローンの衝突を避けるなど、ドローンを安心・安全・効率的に活用するための制度や配慮も必要となる。2023年4月、日本発のドローン運行管理システム(UTM)に関する国際規格が発行された。ここではUTMに必要な機能と各機能の構造、相互の関連性、関連用語の定義等が整理されており、一定空域内を飛行する全てのドローンの機体情報を共有し、衝突事故の防止を支援する役割などを持つ。
この他にも、安全保障上の観点から、国産もしくは欧米製ドローンへのシフトが推奨されている。しかし現実には、中国製ドローンとの価格差は大きく、すぐに転換できる状況にはないと考える。
以下には、ドローン活用における問題点・課題を記載する。

【図表:ドローン活用における問題点・課題】

 

ドローン活用サービス/ソリューションの展望

ドローン活用による業務改善イメージを大別すると、以下の通り。

①見える化/データを基礎とした現場把握、効率化/コスト削減/省人化
②判断支援/シミュレーション機能の向上

 

現在のドローン活用では、航空測量の代替や人手不足対応に代表される前者(①)に主眼が置かれている。しかしドローン活用シーンの拡大や、画像解析能力に優れたAIテクノロジーの進展により、今後は後者が主体となる見通しである。そして5~10年といった時間軸では、ドローンを基盤としたCPS/デジタルツインの実現がターゲットの一つになるであろう。
また近年の機体価格の低廉化は、当該ビジネスの敷居を下げる効果がある。
さらにAIを始めとしたテクノロジー活用は、ドローン活用サービス/ソリューションのビジネスモデルに大きな変化を起こしている。具体的には、「従来のモノ売りビジネス(機体販売/運用代行/保守・メンテナンスサービス)」から、「コト売り(完全自動運行やデータ解析を付随したソリューション販売)」へと業態転換が進んでいる。その結果、ドローン活用サービスといったサービスカテゴリーが、「ソリューションサービス業」あるいは「ソリューション提供サービス業」といった業態になる蓋然性が高い。
このような変革が進む根底には、一貫した社会課題である「人手不足に起因した業務効率化/省人化志向」、「働き方改革の実践(就労環境の改善)」といった外部環境、社会的な要請もある。
尚、日本政府は、経済安保の観点から、国産ドローンの拡大を支援する方針で、2030年までに年産8万台の体制整備を目指している模様である。

2026.04.28

インフラ設備点検/農業向けを中心にドローン活用サービスが急拡大②

AIによるドローン活用への追い風

ドローン活用を考えた場合、高解像度情報を取得できることや取得データのリアルタイム性、対応の柔軟性などから、AIとの親和性が高い。
例えば、橋梁などのインフラ点検においては、ドローンの機動性と近接撮像力とAIの画像解析力を組み合わせれば、より高度な点検(劣化診断/高頻度点検など)を行える。さらに、現場や建物周辺の高精度監視など、監視カメラだけでは対応が難しいケースにおいても、「ドローン×AI」の座組を使えば、リアルタイム&柔軟&高精細に状況識別が可能になる。
このように「ドローン×AI」の座組は、ドローン活用を高度化するポテンシャルがある。言い換えればドローンは、「AI向けの現場データ収集プラットフォーム」と言えよう。
以下にはドローンとAIの親和性を整理した。

【図表:ドローンとAIの親和性について】

 

2026.04.27

インフラ設備点検/農業向けを中心にドローン活用サービスが急拡大①

日本におけるドローン活用の変遷

日本では、2010年代前半からドローン活用サービス/ソリューションが様々な分野で始まり、電力鉄塔/送電線などのインフラ設備点検、農薬・肥料散布、被災エリアでの状況確認といった災害支援用途などを中心に浸透が進んだ。
その後、法規制/運用面での追い風が強まった2020年前後からはドローンの社会実装が加速し、通信鉄塔/送電鉄塔の点検、太陽光発電設備点検、橋梁点検(高速道路、鉄道など)、農薬・肥料散布、各種測量業務などでは広く実運用フェーズに入っている。そして2026年3月時点では、先行した通信鉄塔/送電鉄塔点検や農業向けを中心に、ドローン活用は急速に進展している。
尚、ドローンと競合する人工衛星や航空機、ヘリコプター、人手作業との対比におけるドローン活用サービスの強み・特徴としては、以下の点が指摘できる。

  • 高精細な画像・データ取得が可能(近接撮像が出来る)
  • リアルタイム性/迅速対応(人工衛星や航空機よりもセンシングに向けての準備期間が短い)
  • 運用コストが廉価(目的によるが一般的にはコスト削減可能)
  • トンネル内や管路内、建物内での運用が可能
  • より精密な農薬や肥料散布が可能(ピンポイントでの散布が出来る)

分野別のドローン活用

上述したように、現状ではライフライン系(電力・通信鉄塔点検、ケーブル点検など)、農業(肥料・農薬散布など)、防災(被災状況監視・把握、発災時対応支援など)、民間インフラ系(高速道路・鉄道の橋梁点検/トンネンル点検、コンクリート構造物点検など)でドローン実装が先行している。
この他にも、建設・土木(現場の進捗管理など)、公的インフラ系(港湾、空港、ダム、河川、上下水道などでの点検業務等)といった領域でも、PoCから実装への移行が進みつつある。
さらにドローン活用は、利便性やコスト優位性などから、従来は航空機やヘリコプター、人工衛星などが提供していたサービス(土地家屋調査、ナラ枯れ調査、被災エリアでの損害確認など)からの代替も進んでいる。以上の点を踏まえた上で、以下にはドローン活用サービス/ソリューションの適用イメージを記載した。

【図表:分野別のドローン活用サービス/ソリューション】

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