株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の民間企業を対象として郵送アンケート調査を実施し、ERP及びCRM・SFAといった業務ソフトウェアの利用状況を明らかにし、SaaSの利用率について分析した。
【図表:SaaSの利用率と次回システム更新時のSaaS導入予定】
2020年7月から12月にかけて、国内の民間企業を対象としてERP(財務・会計、人事・給与、販売管理、生産管理・SCM)とCRM・SFAの導入実態に関する郵送アンケート調査を実施し、565件の回答を得た。
今回の調査では、ERPのシステム更新予定がある企業における「次回SaaS導入予定」という回答比率が大きく上昇した。財務・会計は2018年の9.1%から2020年には18.2%と2倍増え、人事・給与は2018年の9.0%から2020年には26.0%となり約3倍近く増えた。
現在、SaaSを利用している比率は、財務・会計で3.4%、人事・給与で5.8%に留まる。しかし、SaaSの利用に対する関心は大きく高まっていることがわかった。
CRM・SFAは次回SaaS導入予定の回答率が36.7%と5分野中もっとも高いが、現在SaaSを利用している比率も32.9%に達しており、すでにSaaSの利用が一般的になっている。
■コロナ禍でのクラウド需要増が追い風
これまでも、ERPのクラウド化は着実に進展していた。こうしたなか、2014年~2018年の変化は緩やかだったものの、今回の調査で急伸した。
この背景には、新型コロナウイルスの感染拡大でオンライン化が進展し、テレワークが普及する状況で、クラウドサービスの需要が高まっている影響があると考える。ERPなどの業務ソフトウェアにおいても、withコロナ・ポストコロナのビジネス環境において利便性が高いSaaSに対するニーズが拡大している。
今後は特に、企業による業務の違いが少ないため、SaaSで利用しやすいバックオフィス分野(財務・会計、人事・給与)でSaaSの利用が拡大する見込みである。
販売管理及び生産管理・SCMは、企業ごとに異なるシステムを利用する傾向が強く、SaaSの種類もまだ少ないが、ユーザニーズの変化を受けて一部ベンダーにおいてSaaS提供の取り組みが始まるものと期待される。
CRM・SFAは、引き続きSaaSが市場を牽引する見通しである。
■回答企業のプロフィール
■レポートサマリー
●ERP及びCRM・SFAにおけるクラウド基盤利用状況の法人アンケート調査を実施(2022年)
●ERP市場動向に関する調査を実施(2024年)
■アナリストオピニオン
●ERP市場と「2025年」を巡る問題
●「次世代ERP」のリリースラッシュが起きているのはなぜか
●ERPをクラウド化する3つの理由
●戦略的な経営を実現するクラウドERP NetSuiteが支える企業変革
●ERPパッケージの顧客ロイヤルティ調査で人事・給与分野において最高評価を得たZeeM
●ERPパッケージ顧客満足度調査結果 総合満足度でトップとなったのはSuperStream
●製造業の国際競争力強化をITから支援するERP
●成熟したERP市場で求められる経営支援力
●厳しい環境下で高まるユーザ企業のERPへの期待
■同カテゴリー
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調査対象:日本国内の民間企業
調査期間:2020年7月~12月
調査方法:記名式郵送アンケート調査、ならびに文献調査を併用
※ERP(Enterprise Resource Planning)とは:ERPとは、財務・会計、人事・給与、販売管理、生産管理・SCMなど基幹業務データを統合する情報システムを構築するための基幹業務管理ソフトウェアを指す。
※CRM(Customer Relationship Management)、SFA(Sales Force Automation)とはCRMとは、企業が顧客管理や顧客サービス向上を行うCRMシステムを構築するためのソフトウェアを指す。SFAとは、営業担当者の行動管理や効率化を図るためのソフトウェアを指す。
<本法人アンケート調査について>
本調査では、日本国内の民間企業を対象として、ERP(財務・会計、人事・給与、販売管理、生産管理・SCM)やCRM・SFAなどの業務ソフトウェアの導入実態(パッケージ利用、SaaS利用、クラウド基盤[PaaS/IaaS]利用、自社開発システム利用状況、導入時期、更新予定、利用満足度、ERPへの投資意欲等)に関する郵送アンケート調査を実施した。
<市場に含まれる商品・サービス>
財務・会計システム、人事・給与システム、販売管理システム、生産管理システム・SCM、CRM・SFA、SaaS
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