矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2020.10.01

世界の携帯電話契約サービス数・スマートフォン出荷台数調査を実施(2020年)

2020年は前年比87.8%の12億496万台の見込。新型コロナウイルスの影響は特にスマホ出荷台数に甚大な影響を与え、米中摩擦の影響で5G普及が遅延する可能性。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、日本を含む世界主要33市場(32カ国1地域)の携帯電話サービス契約数やスマートフォンやフィーチャーフォンの市場を調査し、通信事業者別契約数や各種の出荷台数を予測し、メーカーシェアなどを明らかにした。 ここでは、世界の携帯電話サービス契約数、ハンドセット(スマートフォン+フィーチャーフォン)、5Gスマートフォン出荷台数予測について、公表する。

「世界の携帯電話契約サービス数・スマートフォン出荷台数調査を実施(2020年)」 小見出し一覧

【図表:世界の携帯電話契約サービス数予測】

図表:世界の携帯電話契約サービス数予測
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:携帯電話サービス契約数ベース。
  • 注:2020年は見込値、20021年以降は予測値。

【図表:世界のハンドセット、スマートフォン、5Gスマートフォン出荷台数予測】

図表:世界のハンドセット、スマートフォン、5Gスマートフォン出荷台数予測
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:メーカー出荷台数ベース。
  • 注:2020年は見込値、2021年以降は予測値。
  • 注:ハンドセットとは、スマートフォンとフィーチャーフォンの合算値。
  • 注:5Gスマートフォンはスマートフォンの内数。

 

世界の携帯電話契約サービス数・スマートフォン出荷台数の市場概況

世界の携帯電話サービス契約数は世界の最大市場である中国、インドの伸びが鈍化傾向にあり、また先進国市場は契約数が頭打ちとなり増加余地が限定されるものの、アフリカや中南米の伸びは依然大きい。一方で、先進国市場及び一部の市場ではポストペイド(後払い)契約の推進とプリペイド(前払い)契約における本人確認手続きの厳格化により、使用されていないプリペイド契約が抹消され、契約数が大きく減少した市場が存在している。

2019年の世界の携帯電話サービス契約数は、81億274万7,000契約だった。2020年はアフリカや中南米では伸びが期待できるものの、新型コロナウイルス(COVID-19)による経済活動の停滞により新規契約数の増加は大きく鈍化する事で、前述のプリペイド契約の減少分を補完できず、2020年の世界の携帯電話契約サービス数は前年比99.5%の80億6,251万契約に減少する見込みである。

一方、世界の携帯電話端末市場はASEANやインド、アフリカ向けのスマートフォン出荷台数が増加しているものの、最大市場である中国は経済の伸び悩みにより大幅に減少しており、先進国市場についても減少基調にある。

2019年の世界のハンドセット(スマートフォン+フィーチャーフォン)の出荷台数は、メーカー出荷台数ベースで16億8,721万5,000台(前年比97.8%)で、そのうちスマートフォンの出荷台数は13億7,259万台(同96.8%)だった。スマートフォンは新興国での需要は拡大傾向にあるものの、先進国では頭打ちとなっており、また中国での需要が急速に落ち込んでおり、横這いから減少基調となった。2020年の世界のハンドセット出荷台数は14億7,040万台(前年比87.1%)で、スマートフォンの出荷台数は12億496万台(同87.8%)を見込む。市場は頭打ち感が強いのに加え、COVID-19の影響で特に第2四半期(4-6月期)に端末出荷、販売が大きく減少しており、第3四半期(7-9月期)以降には市場が動き出したものの、減少分を取り返すには至らず、大きく減少する見通しである。

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世界の携帯電話契約サービス数・スマートフォン出荷台数の注目トピック

■COVID-19(新型コロナウイルス)の影響
多くの国々で外出自粛となる中でも、携帯電話サービス、データ通信サービスの利用はSNSやゲーム、動画配信のサービス利用拡大を背景に比較的堅調にある。一方で、2020年第1四半期(1-3月期)後半及び第2四半期(4-6月期)は多くの通信事業者がオンラインでの事務対応を進めたものの、販売店への来店者数が急減したため、新規契約や端末販売は大きく減少した。

携帯電話端末市場についても同様で、需要が急減したことに加え、工場の操業停止などにより部品調達が遅れ、製造の遅延が発生した。その結果、年末商戦向け新製品の発表を遅らせる端末メーカーも出ている。また、新製品の販促活動はオンライン中心となり、実機を手にする機会が減少している。

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世界の携帯電話契約サービス数・スマートフォン出荷台数の将来展望

2020年のスマートフォン世界市場は元々、市場の頭打ち感が強く、大きな増加が期待できなかった中で、COVID-19や米中摩擦の影響により、大きな打撃を被る見通しである。特にCOVID-19の影響で世界経済が停滞した結果、スマートフォンの製造、流通が停滞し、需要も減退した。その結果、2020年はほぼ全ての端末メーカーが前年割れを余儀なくされる見込みである。

2021年以降に世界経済が再び活性化すれば、それに付随する形で携帯電話サービス契約数も緩やかに回復する見通しである。しかし、通信事業者各社は新規契約時の本人確認を強化しており、増加ペースは鈍化していくことが見込まれる。

スマートフォンについては、普及価格帯の製品についても5G対応が急速に進む見通しである。

その他、ディスプレイの大画面化や折りたたみ製品の導入、複数カメラモジュールや高画質撮影機能の搭載といった性能向上が図られているものの、他のスマートデバイスとの連携をはじめとする、5G時代に即した製品開発が求められていくと考える。

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

  • 米中対立の経過
  • 日本の主なスマートフォン向け部品メーカーと取り扱い製品
  • 新型コロナウイルス感染者数推移
  • 代表的な新型コロナウイルス抑え込み対策
  • 主要国の2020年4~6月期GDP実質成長率
  • 主要国の2019年~2021年 GDP実質成長率
  • 大手IT企業の2020年第二四半期決算
  • グローバル通信事業者 契約数上位企業
  • 主要事業者契約数
    • 中国移動
    • Singtel
    • Vodafone
    • Bhaltiairtel
    • RelianceGio
    • 中国電信
    • 中国聯通
    • Telefonica
    • America Movil
    • MTS
    • Vimpelcom(Beeline)
    • Telenor
    • Etisalat
    • MTN
    • Telkomcel
    • T-mobile
    • Orange
    • AT&T
    • Axiata
    • Verizon
    • Ooredoo
    • TIM
  • 世界携帯電話契約数、世界人口実績・予測
  • 携帯電話契約数実績・予測
  • 地域別 携帯電話契約数実績・予測
  • 2020年地域別携帯電話契約数見込シェア
  • 主要市場移動体通信サービス契約数
  • 5G導入動向(2020年8月現在)
  • 主要市場の5G周波数
  • 通信システム別契約数実績/予測
  • 市場別 5G携帯電話契約数実績・予測
  • 地域別 5G携帯電話契約数実績・予測
  • 2020年 5G地域別携帯電話契約数見込シェア
  • 日本
  • 中国
  • 韓国
  • 中華民国(台湾)
  • タイ
  • ベトナム
  • マレーシア
  • インドネシア
  • フィリピン
  • ミャンマー
  • バングラディシュ
  • インド
  • パキスタン
  • オーストラリア
  • 英国
  • ドイツ
  • フランス
  • イタリア
  • スペイン
  • ポーランド
  • ロシア
  • 米国
  • カナダ
  • メキシコ
  • ブラジル
  • アルゼンチン
  • イラン
  • トルコ
  • サウジアラビア
  • エジプト
  • 南アフリカ
  • ケニア
  • ナイジェリア
  • ハンドセット(フィーチャーフォン+スマートフォン)出荷台数実績・予測
  • 2019年ハンドセット(フィーチャーフォン+スマートフォン)メーカー別出荷台数シェア
  • 2020年ハンドセット(フィーチャーフォン+スマートフォン)メーカー別出荷台数見込シェア
  • ハンドセット(フィーチャーフォン+スマートフォン)地域別 出荷台数実績・予測
  • 2019年ハンドセット(フィーチャーフォン+スマートフォン)地域別シェア
  • ハンドセット(フィーチャーフォン+スマートフォン)市場別 出荷台数実績・予測
  • フィーチャーフォン メーカー別出荷台数実績・予測
  • 世界市場フィーチャーフォン メーカー別出荷台数実績・予測
  • 2020年フィーチャーフォン メーカー別出荷台数見込シェア
  • フィーチャーフォン地域別 出荷台数実績・予測
  • 2020年フィーチャーフォン地域別出荷台数見込シェア
  • フィーチャーフォン市場別 出荷台数実績・予測
  • スマートフォン メーカー別出荷実績・予測
  • 2019年 スマートフォン メーカー別出荷台数シェア
  • スマートフォン 地域別出荷実績・予測
  • 2020年 スマートフォン地域別出荷台数見込シェア
  • スマートフォン市場別 出荷台数実績・予測
  • スマートフォン 価格帯別出荷台数実績/予測
  • スマートフォン  ディスプレイサイズ別出荷実績/予測
  • 5Gスマートフォン メーカー別出荷実績・予測
  • 5Gスマートフォン 地域別出荷実績・予測
  • 5Gスマートフォン市場別 出荷台数実績・予測
  • スマートフォン向けSoC主要メーカー製品リスト(2020年5月現在)
  • サムスン電子
  • Apple
  • 華為技術(Huawei)
  • OPPO
  • VIVO
  • Xiaomi(小米)
  • Transsion
  • LG 電子
  • Lenovo・Motorola
  • ZTE
【収録内容】
  • 製品カテゴリ別出荷台数実績/予測
  • ハンドセット地域別出荷台数実績/予測
  • スマートフォン地域別出荷台数実績/予測
  • スマートフォン 価格帯別出荷台数実績/予測
  • スマートフォン ディスプレイサイズ別出荷台数実績/予測
  • メイン/サブブランド別出荷台数実績/予測
  • ハンドセット 市場別 出荷台数実績/予測(スマートフォンのみ除く)
  • スマートフォン 市場別 出荷台数実績/予測
  • 5Gスマートフォン 市場別 出荷台数実績/予測
  • 国内タブレット出荷台数実績・予測
  • 2020年 国内タブレット出荷台数見込シェア
  • 国内タブレット OSプラットフォーム別出荷台数実績・予測
  • グローバル市場パソコン出荷台数実績・予測
  • グローバル市場パソコン/タブレット市場規模推移
  • タブレット メーカー別出荷台数実績・予測
  • タブレット2019年メーカー出荷台数シェア 
  • タブレット地域別出荷実績・予測
  • タブレット OS別出荷実績/予測
  • Apple
  • サムスン電子
  • Amazon
  • Lenovo(聯想)
  • 華為技術(Huawei)
  • Microsoft
【収録内容】
  • タブレット地域別出荷台数実績/予測
  • タブレット OS 別出荷台数実績/予測
  • タブレット ディスプレイサイズ別出荷台数実績/予測
  • ウェアラブルデバイス国内市場規模推移
  • ウェアラブルデバイス グローバル市場 出荷台数実績/予測
  • スマートウォッチ メーカー別出荷台数実績・予測
  • 2020年 国内  スマートウォッチ出荷台数見込シェア
  • グローバル市場 スマートウォッチ メーカー別出荷台数実績・予測
  • 2020年 グローバル市場スマートウォッチ メーカー別出荷台数見込シェア
  • スマートバンド メーカー別出荷台数実績・予測
  • 国内 スマートバンド メーカー別出荷台数実績・予測
  • 2020年 国内 スマートバンド メーカー別出荷台数見込シェア
  • グローバル市場 スマートバンド メーカー別出荷台数実績・予測
  • 2020年 グローバル市場 スマートバンド メーカー別出荷台数見込シェア
  • 国内ワイヤレスヘッドホン メーカー別出荷台数実績・予測
  • グローバル市場 ワイヤレスヘッドホン メーカー別出荷台数実績・予測
  • 国内   HMD カテゴリ別出荷台数実績・予測
  • 国内 HMD フルスペック機 メーカー別出荷台数実績・予測
  • 国内 HMD スマートフォン装着型 メーカー別出荷台数実績・予測
  • 国内 HMD ゲームコンソール メーカー別出荷台数実績・予測
  • 国内 HMD 自己完結型メーカー別出荷台数実績・予測
  • グローバル市場 HMD 製品カテゴリ別出荷台数実績・予測
  • グローバル市場 HMD 製品メーカー別出荷台数実績・予測
  • グローバル市場 HMD フルスペック機 メーカー別出荷台数実績・予測
  • グローバル HMD スマートフォン装着型 メーカー別出荷台数実績・予測
  • グローバル HMD ゲームコンソール メーカー別出荷台数実績・予測
  • グローバル HMD 自己完結型メーカー別出荷台数実績・予測

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関連リンク

■レポートサマリー
世界の携帯電話契約サービス数・スマートフォン出荷台数調査を実施(2021年)
中国のスマートフォンメーカー7社の調査を実施(2020年)
携帯電話の世界市場に関する調査を実施(2019年)

■アナリストオピニオン
5G導入を目前に控える国内市場と相次いで参入する中国メーカーの見通し
スマホ市場における中国メーカーの躍進
Huawei(ファーウェイ/華為技術)の行方
危機的状況にあるHuawei(ファーウェイ/華為技術)の現状と市場見通し
急速に進化するスマートフォンの高速充電技術と課題
スマートフォン搭載インターフェイスの大きな変化と意味するもの

■同カテゴリー
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調査要綱

調査対象:国内・海外移動体通信事業者(キャリア)、移動体通信端末メーカー・部品メーカー、EMS(Electronics Manufacturing Service) / ODM(Original Design Manufacturing)企業他 
調査期間:2020年4月~8月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(国内・中国・台湾、オンライン含む)、セミナー取材、ならびに文献調査併用

※移動体通信サービスとは:移動体通信サービスとは移動体通信事業者(Mobile Network Operator)が提供する、①音声通話、②データ通信サービスの総称を指す。課金方法には、プリペイド(先払い)方式とポストペイド(後払い)方式が存在し、現在は4G(第4世代移動体通信方式)によるサービスが主流である。
また、世界のハンドセット出荷台数とは、日本を含む世界主要33市場(32カ国1地域)におけるスマートフォン(5Gを含む)、フィーチャーフォンを対象として、メーカー出荷台数ベースで算出した。但し、セルラー機能搭載タブレットやWi-Fiルーター等は除く。

<市場に含まれる商品・サービス>
移動体通信サービス(音声通話、データ通信)、スマートフォン、フィーチャーフォン、タブレット、ウェアラブルデバイス(スマートウォッチ、スマートバンド、HMD他)

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