矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

アナリストオピニオン
2015.04.16

成長と変革を目指す中小企業に対するNetSuiteの有効性

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経営環境の変化の中で勝ち残りを図る中小企業

日本企業のうち中小企業は企業数で9割、従業員数で7割を占める。日本経済を支える存在と言えるが、中小企業を取り巻く経営環境は急激に変化しつつある。少子高齢化、国内市場の減少、業界内での競争激化、大企業の海外シフトなど、経済・社会環境の変化によって厳しさは増している。中小企業の数は減少傾向が続いており、経営者の高齢化と円滑な事業継承が課題となっている。
他方で、現在の環境は危機だけではなくチャンスにもつながっている。情報化の進展に伴い、中小企業でも低コストで効率的に販路の獲得やマーケティングを行えるようになった。また、グローバル化の進展で中小企業でも海外進出が進んでいる。また、海外進出の目的も、安価な労働力の活用より、現地の需要獲得がより重視されている。業種も製造業はもとより、流通、外食サービス、アパレル、情報通信など多岐に亘り、海外を市場として新たな事業の展開を図るという積極的な姿勢がみられる。

このように、中小企業は複雑でめまぐるしく変化する競争環境の中で勝ち残りを迫られている。事業の存続と成長を目指すためには、自ら戦略的にシナリオを描き、正しい方向へ舵取りを進めるべきであろう。その際の重要なテーマとしては「発展的な事業継承」「M&A」「海外展開」が挙げられる。
本レポートは、これらのテーマへの対応を図る中小企業に向け、経営を支援する情報システムのあり方について考察する。

【図表:中小企業の経営におけるポイント】
【図表:中小企業の経営におけるポイント】

 

矢野経済研究所作成
※出所:総務省・経済産業省 「平成24年経済センサス」。
※常用雇用者 300 人以下(ゴム製品製造業は 900 人以下、旅館,ホテルは 200 人以下、卸売業、サービス業(ソフトウェア業、情 報処理・提供サービス業、旅館,ホテルを除く)は 100 人以下、小売業、飲食店は 50 人以下)又は資本金 3 億円以下(卸売業 は 1 億円以下、小売業、飲食店、サービス業(ソフトウェア業及び情報処理・提供サービス業を除く)は 5,000 万円以下)の企 業を中小企業とする。

中小企業の基幹システムに求められる要件とクラウドERPの有効性

日本では、成長と発展を目指し事業運営に尽力しながらも、基盤となるデータの管理を疎かにする経営者も少なくない。しかし、自社の現状を正しく見極め行動を起こすための指針となるのは情報であり、新鮮で明確な裏付けのあるデータを持たないことは成長の阻害要因になりかねない。基幹システムへの投資は合理的な選択肢と言えるだろう。その際に重視すべきポイントは以下の3点であると考える。

①変化に柔軟に対応できる
中小企業には、成長による規模の拡大、M&A、競争環境の変化、事業内容の変化、海外進出等、社内外で様々な「変化」が想定される。情報システムも多様な状況に応じて変化や進化に柔軟に対応できるものが良い。
②迅速に導入でき、導入後の維持管理の負担が少ない
機会損失につながる可能性があるため、カスタマイズや導入に長時間費やすことは避けたい。また、人材が限られる中小企業では、導入後のバージョンアップやバックアップなどの負担軽減を考慮する必要がある。
③経営実態の分析と把握が行える
過去の実績として決算書類や各種集計表を作成するためにシステムを導入するのではなく、タイムリーに経営の実態を把握できることが望ましい。

これらの要件を満たす有効な選択肢の一つがクラウドの活用である。クラウド活用のメリットを考えれば、中小企業のERPにおいても積極的に検討すべき選択肢であり、経営課題解決に向けた現実的な解であるといえるだろう。日本ではまだクラウドERPの利用率は低く、財務会計システムにSaaS(ASPを含む)を使っている企業の割合は2.3%(2014年 矢野経済研究所調べ)に留まるが、トレンドは明らかに変化しつつある。矢野経済研究所では、中長期的には、基幹システムの利活用においてクラウドサービス(ハイブリッドクラウドを含む)の利用が主流となると予測している。

【中小企業がクラウドを活用するメリット】

◆持たざる経営の実践として、サーバやソフトウェア等の資産を持つ必要がない
◆短期間で導入でき、経営のスピードアップに貢献する
◆柔軟性、拡張性が高く、企業の成長やM&Aなどの変化に対応しやすい
◆自社にシステム運用人員を置く必要がなく、システムのTCO(維持管理の手間や費用)を削減できる
◆海外拠点での利用に適しており、迅速な立ち上げやグローバルでの全体最適の実現に役立つ
◆バックアップ、セキュリティ対策などのインフラ管理を自社で行う必要がなく、安全性が高い

クラウドERPであるNetSuiteのユーザ企業の利用実態と評価

米国発の代表的なクラウドERPの一つがNetSuiteだ。2015年3月現在、グローバルで24,000以上の組織および団体のユーザがある。日本市場では2009年より日本企業向けにローカライズされた「NetSuite-Release J」を提供しており、2015年以降中小企業へのアプローチを強化していく考えである。
矢野経済研究所では、NetSuiteのユーザ企業にヒアリングを行い、利用状況や目的、利用者の立場での評価を調査した。本レポートで紹介するのは、新潟市に本社を置き、コインパーキング「フレンドパーク」事業や駐車場の管理業務請負事業を行う株式会社新総企である。
新総企は、M&Aによる企業価値向上に成功した事例として注目される。同社は2008年に大手投資ファンドの株式会社リバーサイド・パートナーズの援助のもとMBOを実現し、2012年に丸紅系のアイ・シグマ・キャピタル株式会社に譲渡されている。
1983年の創業以来新潟市で実績を積んできたが、駐車場ビジネスは参入障壁が低く市場環境は厳しさを増していた。競争力を向上させ成長を図るため、リバーサイドの資本が入った時点で、システムを含めた経営の見直しに着手した。
管理部部長の氏平 正彦氏は、「我々は経営の変革を目指していたので、意思決定に役立つ情報を迅速に把握できるシステムを導入したいという要望が強かった。その目的にかなったのがNetSuiteで、ダッシュボードを自社で柔軟にカスタマイズできる点が決め手となった。」という。

同社では、NetSuiteで設定したKPIの設定と絞り込みを行い、売上や利益などの会計データ以外にも、稼働率、駐車台数、新規駐車場の立ち上がり状況等の営業情報も指標としている。導入後の大きな変化は、ダッシュボードでリアルタイムに情報を把握し、正確なデータに基づいた施策をタイムリーに行えるようになったことだ。思い込みや勘で楽観的な見通しを立てることがなくなり、金額変更などの実施効果を正しく検証できるようになった。また、8年経ちデータが蓄積されたことで過去のデータの推移を参照して将来の見通しも予測できるようになったという。氏平氏は、「NetSuiteでは、短期のデータを長期のトレンドの一部として俯瞰して分析することもできる。事業全体の見通しのイメージが描けるようになったので、事業計画立案のためにも活用している。」と説明する。

新総企はNetSuiteの導入後の経営改善により、着実な事業拡大を果たしている。2014年の売上高は、2007年時点と比較して67%増、駐車場数は75か所から220か所で2倍以上となった。課題であった県外進出にも成功し、埼玉・長野・福島他・北陸及び関東まで事業エリアは拡大している。氏平氏は「データを味方につけていたからこそ、自信を持って県外進出を行えた。商機を逃すことなく更なる成長を目指したい。日々接しているNetSuiteが企業の成長に貢献している。」と語った。

【図表:株式会社新総企の会社概要】
【図表:株式会社新総企の会社概要】

矢野経済研究所作成

NetSuiteの選択に関する考察

これまでのレポートをふまえると、NetSuiteは経営管理を向上させたいという明確な意思がある企業に適しているとみられる。情報システムはあくまでツールであり、導入しただけで効果が出るものではない。目的と目指す効果が明確であれば、NetSuiteはビジネスの意思決定を支援に力を発揮するだろう。
日本では、クラウドERPはまだ利用率が低く選択肢が限られるなか、ネイティブなクラウドサービスで海外での利用にも適したNetSuiteの重要性は今後一層高まるだろう。

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小林 明子(コバヤシ アキコ) 主任研究員
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