矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2025.06.02

家賃債務保証市場に関する調査を実施(2025年)

家賃債務保証市場規模は2029年度には3,500億円を超える水準まで拡大。事業用家賃債務保証市場規模については約547億円に達すると予測する。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の家賃債務保証市場を調査し、家賃債務保証市場の動向および将来展望を明らかにした。

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【図表:家賃債務保証市場推移と予測】

【グラフ:家賃債務保証市場推移と予測】
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:事業者売上高ベース
  • 注:市場規模は居住用と事業用の合算値
  • 注:2025年度見込値、2026年度以降予測値

【図表:事業用家賃債務保証市場推移と予測】

【グラフ:事業用家賃債務保証市場推移と予測】
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:事業者売上高ベース
  • 注:家賃債務保証市場規模の内数
  • 注:2025年度見込値、2026年度以降予測値

 

家賃債務保証市場の概況

2024年度の家賃債務保証市場規模(居住用と事業用の合算値)は、事業者売上高ベースで2,548億5,700万円(前年度比106.7%)まで拡大?し、2025年度には2,723億9,000万円(同106.9%)まで拡大する見通しである。

2020年4月の民法改正により、連帯保証人制度に債務限度額の上限の明記など新たなルールが設けられたことで、貸主・借主の双方にとって連帯保証人の確保がより困難なものとなった。貸主にとっては限度額が決まるため貸倒リスクが高まるといったリスクが生じ、借主にとっては責任の明確化により、連帯保証が敬遠されることが想定されるなど、貸主・借主の双方にとって連帯保証人の確保がより複雑・リスクのあるものとなった。この結果、より簡便、且つリスク管理のしやすい家賃債務保証へのニーズが急速に高まった。

また、高齢化や核家族化、外国人労働者の受け入れ拡大などの社会構造の変化を背景として、連帯保証人に依存しない仕組みとして、家賃債務保証の必要性が拡大している。加えて、貸主や物件の管理会社にとって、家賃滞納リスクの軽減、滞納時の回収業務の外部化・効率化、入居促進(家賃債務保証を使えば、連帯保証人が不要になるため、貸主が入居申し込み者に貸しやすくなる)などのメリットがあり、導入が進んでいる。

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家賃債務保証市場の注目トピック

■事業用家賃債務保証の拡大
近年、拠点の分散化、シェアオフィスの拡大など、法人による賃貸契約ニーズの高まりに伴い、家賃債務保証の重要性が一層増している。法人契約においては、個人契約と比較して審査が難しく、居住用と異なり、保証条件の設定(入・退去時の様々なトラブルを想定した要件設定)も多岐にわたる傾向にある。そのため、保証会社による適切な審査・リスク管理が不可欠となっている。

また、家賃債務保証を導入することで、従来入居時に必要とされていた高額な保証金の支払いを軽減することも可能となる場合がある。これにより、保証金の負担が障壁となって入居を断念していた法人にとっても、入居のハードルが下がり、物件選択の幅が広がる効果が期待される。

こうした背景から、法人向け物件における事業用家賃債務保証の活用は今後さらに拡大する可能性があり、事業用家賃債務保証市場規模は、2025年度から2029年度までの年平均成長率(CAGR)約 14.4 %で拡大し、2029年度には約547億円に達すると予測する。オーナー(物件所有者)・管理会社双方にとっても、新たな需要の獲得や空室対策として有効な手段になると考える。

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家賃債務保証市場の将来展望

家賃債務保証市場規模は2025年度から2029年度までの年平均成長率(CAGR)約 6.7 % の拡大基調を維持し、2029年度には3,529億4,100万円(事業者売上高ベース、居住用と事業用の合算値)に達すると予測する。

その背景としては、居住用に加えて事業用家賃債務保証の広がりが挙げられる。居住用に関しては、すでに家賃債務保証の浸透が進んでおり、高齢者や在留外国人の増加により、引き続き需要拡大が見込まれる。加えて、家賃債務保証サービスの高度化も市場拡大を後押ししている。高齢者向けの見守り機能や入・退去時のさまざまなトラブル対応など、付加価値のあるサービスが拡充され、貸主・借主双方のニーズを満たしていくものとみる。
家賃債務保証は、安心・安全な賃貸契約の実現を支える社会的意義の高いサービスであり、今後も継続的に成長すると考える。

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

  • 総世帯数および単身世帯数推移(2001~2030年(予測))
  • 高齢者のみの世帯数推移(2010~2023年)
  • 認定制度創設後の家賃債務保証会社の全体像
  • 外国人在留者数推移(2015~2024年)
  • 日本全国の借家の1ヵ月あたり平均家賃推移(2003~2023年)
  • 東京都23区のマンションの1ヵ月あたり平均家賃推移(2008~2024年)
  • 家賃債務保証市場規模推移(全用途:2022~2025年見込み)
  • 家賃債務保証市場シェア(全用途:2024年度)
  • 家賃債務保証市場規模推移(居住用:2022~2025年見込み)
  • 家賃債務保証市場規模推移(事業用:2022~2025年見込み)
  • 家賃債務保証市場シェア(事業用:2024年度)
  • 家賃債務保証市場規模予測(全用途:2024~2029年度予測)
  • 家賃債務保証市場規模予測(居住用:2024~2029年度予測)
  • 家賃債務保証市場規模予測(事業用:2024~2029年度予測)
  • 業績関連
    • 営業利益推移(百万円)
    • 営業利益率推移(%)
    • EBITDA推移(百万円)
  • 新規保証推移(百万円)
  • 総保証額推移(百万円)
  • 新規契約件数推移(千件)
  • 保有契約件数推移(千件)
  • 代位弁済率推移(%)
  • 代位弁済回収率推移(%)
  • 協定不動産会社数推移(社)
  • 拠点数推移(店)
  • 組織体制
  • 主要参入企業一覧
  • 家賃債務保証ビジネスの全体像
  • 主要家賃債務保証会社の業務動向
  • 主要家賃債務保証会社の実績動向
  • 家賃債務保証市場規模推移(居住用/事業用別)
  • 主要家賃債務保証会社の居住用家賃債務保証に関する取組み
  • 主要家賃債務保証会社の事業用家賃債務保証に関する取組み
  • 主要家賃債務保証会社の審査に関する取組み
  • 主要家賃債務保証会社の債権管理・回収に関する取組み
  • 主要家賃債務保証会社のDXに関する取組み
  • 主要家賃債務保証会社の組織体制
  • 主要家賃債務保証会社の人材採用戦略
  • 主要家賃債務保証会社の退職防止策
  • 家賃債務保証市場規模予測(居住用/事業用別)
  • 主要家賃債務保証会社の課題
  • 主要家賃債務保証会社の展望
  • 日本セーフティー
  • 全保連
  • オリコフォレントインシュア
  • ジェイリース
  • Casa
  • 株式会社イントラスト
  • あんしん保証
  • USEN TRUST

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調査要綱

調査対象:主要家賃債務保証会社
調査期間:2025年1月~5月
調査方法:当社専門研究員による直接面談を主体に文献調査等を併用

※家賃債務保証市場とは:本調査における「家賃債務保証市場」とは、個人や法人(個人事業主を含む)が賃貸物件またはテナントを契約する際に、家賃債務保証会社と保証契約を締結し、一定の保証料を支払うことで、万一家賃の支払いが滞った場合に保証会社が家賃を立て替える制度を指す。従来は、入居時に連帯保証人を付けることが一般的であったが、2020年4月の民法改正により、連帯保証の債務限度額の上限設定など法的制約が強化されたことで、家賃債務保証の活用が急速に広まり、現在では入居形態としては主流となっている。なお、市場規模は居住用と事業用を合算し、事業者売上高ベースで算出している。

<市場に含まれる商品・サービス>
家賃債務保証

高野 淳司(タカノ ジュンジ) 主任研究員
数多くの取材を通して得ることの出来た「生の情報」を元に、お客様が抱えている問題にしっかり耳を傾け、もっとも効果的な解決方法を発見できる調査を提案することをモットーとしています。

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