矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

2025.07.06

高臨場のライブビューイングを実現、NTT Comとヤマハが新技術

 NTTコミュニケーションズとヤマハは5月28日、臨場感の高いライブビューイングを実現する共同開発技術「GPAP over MoQ」の実証実験を実施した。遠隔地でもライブ会場と連動した舞台演出が可能になるほか、音声などを転送する際の遅延を最小0.1秒程度に抑えることができる。

 

 背景にあるのは、映画館などで配信するライブビューイングの市場規模の拡大だ。注目を集める一方、配信時に主に衛星通信などを利用するため、映像や音声を転送するとライブ本会場との間でタイムラグが生じ、双方向でのやり取りが難しい現状があった。

 「GPAP over MoQ」はこうした課題を解決する。ヤマハの開発システム「GPAP」、NTTコミュニケーションズの研究するメディア転送技術「MoQ」を組み合わせている。

 具体的にはGPAPは舞台演出に関するデータをwav形式に統一し、記録・再生する。従来、音声や照明といったデータは異なるフォーマットで保存していたため、複雑な信号処理を必要とするシンクロ再生はハードルが高かったという。他方、MoQは次世代プロトコルで、インターネットを利用し配信すると発生する3秒程度の遅延を抑えることができる。こうした二つの技術を掛け合わせることで、ライブ会場と同様の空間を遠隔地でも再現し、コール&レスポンスができるようになる。

 

 同日、ヤマハ銀座店で行われた実験では、実際に同店内の2会場をつないで音楽ライブ配信を行った。観客の手拍子やコールも演奏とほぼずれることはなく、演奏者も「距離や場所の制約を越えて空気感を共有できた」と感想を示していた。

 

 今後NTTコミュニケーションズはMoQのW3C/IETFでの国際標準仕様化をめざすとともに、26年度中の有償提供に向けて取り組んでいくという。ヤマハはGPAPを利用したこれまでの実証実験から、双方向でのコミュニケーションに対する反響の高さに注目。「コミュニケーションという文脈で、より付加価値を高めていきたい」としている。(川口 御生

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