矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2025.07.09

PLM市場に関する調査を実施(2025年)

2024年度の国内PLM市場規模は前年度比6.3%増の761億2,500万円となった。AI・生成AI活用機能の実装が進展し、今後も市場は成長を継続。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、PLM市場を調査し、カテゴリ別や業種別の動向、今後の展望を明らかにした。ここでは、国内PLM市場規模推移、一部の分析結果を公表する。

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【図表:国内PLM市場規模推移】

【図表:国内PLM市場規模推移】
  • 矢野経済研究所調べ。
  • 注1:PLMシステムメーカー出荷金額ベース。
  • 注2:市場規模にはハードウェア売上高を含まず、サービス・保守メンテナンス売上高を含む。
  • 注3:2025年度見込値。
  • 注4:本調査より市場定義の再定義を行ったため、過去公表値とは異なる。

 

PLM市場の概況

2024年度の国内PLM市場規模は、システムメーカー出荷金額ベースで前年度比6.3%増の761億2,500万円となった。

PLM(Product Lifecycle Management)は、製品情報の一元管理が可能であることから、企画から開発・設計、また製造、保守までを含む一連のプロセス、すなわちエンジニアリングチェーンにおける製品データの流通基盤となっている。ユーザー企業は、PLMを用いて過去の製品情報や顧客情報等のデータに基づいた開発・設計・製造を行うことにより、製品を効率的に提供できるほか、より付加価値の高い製品を市場へ投入できるようになる。近年のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の流れによりこれらの効果が再注目され、ユーザー企業のPLM導入・活用を後押ししている。

加えて、2021年ごろからの国内企業物価指数※1上昇等により、日本の名目GDP※2は押し上がっており、製造業の業績も好調である。また、製造業における設備投資額およびソフトウェア投資も上昇傾向であり、ユーザー企業におけるPLM投資意欲も堅調さをみせている。

​さらに、PLMベンダー企業各社においても、データの一元管理の重要性の周知や有力企業でのPLM活用事例の共有などを意欲的に行っており、ユーザー企業のPLMに対する投資促進や実運用進展に寄与した。

※1. データ出所:日本銀行調査統計局「企業物価指数」
※2. データ出所:内閣府「国民経済計算(GDP統計)」

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PLM市場の注目トピック

■AI・生成AI活用機能の実装により、一層の業務効率化を見込む
データを管理・活用するPLMは、データの分析・要約を得意とする生成AIと親和性が高い。また、3Dモデル・図面の形状読み取りや関連文書等との紐づけは、それに特化したAIが担うことで、高精度かつ効率的に行えるようになってきている。

現時点ではすでに、ベンダー企業において「PLM上で生成AIがどのように活用できるか」についての議論が進展しており、具体的な機能として実装され、ユーザー企業による実用検討段階に入っている。今後、生成AI活用事例が広く紹介されることで関心が高まり、ユーザー企業ならびにライセンス数が増えるものとみる。これに伴い、ユーザーニーズを踏まえながら生成AIの情報検索等の機能も強化されていき、その結果、まずは業務時間の短縮と効率化、データ共有の活性化等の効果が表れてくると考える。

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PLM市場の将来展望

2025年度の国内PLM市場規模は、システムメーカー出荷金額ベースで前年度比6.5%増の810億8,000万円を見込む。

円安から円高傾向への転換期となった2024年度を経て、2025年度は、日本の製造業にとって先行き不透明な経済環境になると考える。PLM市場は製造業の業績および投資姿勢に大きく影響を受けるため、米国の関税政策等の影響を受け、日本の製造業の投資意欲が減速すれば、市場拡大の阻害要因になり得る。

一方で、DX推進の流れは今後も続き、ユーザー企業において製品データの一元管理・活用に向けた取り組みが引き続き行われ、PLM実装も進んでいく。加えて、生成AIの活用・機能追加によるPLMの高付加価値化・高価格化が進展するとともに、ベンダー企業各社の積極的な導入・サポート姿勢も継続していることから、今後も拡大基調を予測する。

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

  • PLMソリューション売上高推移(日本国内、2023~2025年度見込)
  • 製造業におけるソフトウェア投資額の推移
  • 生成AI活用に関する各社の取組
  • DXの定義
  • ユーザ年商規模別PLMソリューション売上高推移(日本国内)
  • 製造ソリューションの活用状況
  • 業種別PLMソリューション売上高推移(日本国内)
  • モノづくりプロセスおよびエンジニアリングチェーンとサプライチェーン
  • 業務システム間におけるデータ連携の実態
  • PLMソリューション売上高推移(日本国内、2023~2028年度予測)
  • 機械系CAD売上高推移(日本国内、2022年度~2024年度見込)
  • 3D CAD売上高シェア(日本国内、2023年度)
  • 機械系CAE売上高推移(日本国内、2022年~2024年見込)
  • 機械系CAE売上高シェア(日本国内、2023年)
  • EDA売上高推移(日本国内、2022年度~2024年度見込)
  • 3D EDA売上高シェア(日本国内、2023年度)
  • PLMソリューション売上高推移(日本国内、2023~2025年度見込)
  • PLM/PDM売上高推移(日本国内、2023~2025年度見込)
  • PLM/PDM売上高シェア推移(日本国内、2023~2025年度見込)
  • ビューア/DMU売上高推移(日本国内、2023~2025年度見込)
  • ビューア/DMU売上高シェア推移(日本国内、2023~2025年度見込)
  • 業種別PLMソリューション売上高推移(日本国内、2023~2025年度見込)
  • 電気・電子機器製造業に対するPLMソリューション売上高推移(日本国内、2023~2025年度見込)
  • 電気・電子機器製造業に対するPLMソリューション売上高シェア推移(日本国内、2023~2025年度見込)
  • 精密機械製造業に対するPLMソリューション売上高推移(日本国内、2023~2025年度見込)
  • 精密機械製造業に対するPLMソリューション売上高シェア推移(日本国内、2023~2025年度見込)
  • 産業機械製造業に対するPLMソリューション売上高推移(日本国内、2023~2025年度見込)
  • 産業機械製造業に対するPLMソリューション売上高シェア推移(日本国内、2023~2025年度見込)
  • 自動車・輸送用機器製造業に対するPLMソリューション売上高推移(日本国内、2023~2025年度見込)
  • 自動車・輸送用機器製造業に対するPLMソリューション売上高シェア推移(日本国内、2023~2025年度見込)
  • エネルギー・プロセス製造業に対するPLMソリューション売上高推移(日本国内、2023~2025年度見込)
  • エネルギー・プロセス製造業に対するPLMソリューション売上高シェア推移(日本国内、2023~2025年度見込)
  • ユーザ企業年商規模別PLMソリューション売上高推移(日本国内、2023~2025 年度見込)
  • 大企業向け(年商500億円以上)PLMソリューション売上高推移(日本国内、2023~2025年度見込)
  • 大企業向け(年商500億円以上)PLMソリューション売上高シェア推移(日本国内、2023~2025年度見込)
  • 中堅・中小企業向け(年商500億円未満)PLMソリューション売上高推移(日本国内、2023~2025年度見込)
  • 中堅・中小企業向け(年商500億円未満)PLMソリューション売上高シェア推移(日本国内、2023~2025年度見込)
  • 世界地域別PLMソリューション売上高推移(全世界、2023~2025年度見込)
  • PLMソリューション売上高シェア推移(全世界、2023~2025年度見込)
  • アラスジャパン合同会社
  • シーメンス株式会社
  • 株式会社図研プリサイト(図研グループ)
  • ダッソー・システムズ株式会社
  • デジタルプロセス株式会社(富士通グループ)
  • 日本電気株式会社(NEC)
  • PTC ジャパン株式会社
  • 富士通株式会社(富士通グループ)
  • ラティス・テクノロジー株式会社

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関連リンク

■アナリストオピニオン
製造業におけるデータ利活用を支えるPLM Aras Innovator

■デイリーコラム
【発刊裏話】「2025 PLM市場の実態と展望 ~製造業エンジニアリング領域を中心としたデータソリューション~」
【アナリスト便り】「2025 PLM市場の実態と展望 ~製造業エンジニアリング領域を中心としたデータソリューション~」を発刊

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[ソフトウェア]カテゴリ コンテンツ一覧

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調査要綱

調査対象: PLMシステムメーカー
調査期間:2025 年4月~6月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話や電子メールによるヒアリング調査、ならびに文献調査併用

※PLM市場とは:PLM(Product Lifecycle Management)とは、開発・生産からメンテナンス、あるいはリサイクルにいたるまでの、製品のライフサイクル全般にわたり管理しようという概念である。本調査におけるPLM市場は、その概念の実現のために用いられる製造業向けPLM、PDM(Product Data Management)、およびビューア、DMU(Digital Mock-Up)を対象とし、システムメーカー出荷金額ベースで算出した。なお、市場規模にはハードウェア売上高を含まず、サービス・保守メンテナンス売上高を含む。また各カテゴリの詳細は以下参照。

PLM(Product Lifecycle Management):
エンジニアリングチェーンにおける製品情報全般を管理・活用するためのソフトウェア
PDM(Product Data Management):
製品の開発工程において、設計・開発に関わる情報を一元管理するためのソフトウェア
ビューア:
3D データファイルの内容を表示するためのソフトウェア
DMU(Digital Mock-Up):
デジタル上の試作品を用いて、製品の外見、内部構成などを検討するためのソフトウェア

<市場に含まれる商品・サービス>
PLM/PDM、ビューア/DMU

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佐藤 祥瑚(サトウ ショウコ) 研究員
絶えずイノベーションが起こり、市場をとりまく環境が変化する中、決断に役立つ情報が必要であると考えております。誠実な調査を行い、知識と経験を積み上げ、価値ある情報を提供できるよう精進して参ります。   

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