矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2025.03.14

機械系CAE市場に関する調査を実施(2024年)

機械系CAEの国内市場は幅広い業種で半導体需要が継続、自動車開発のソフトウェア化などをけん引役として継続的な成長が続く見通し。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内外の機械系CAE市場を調査し、現況、参入事業者の動向、将来展望を明らかにした。ここでは、国内市場についての分析結果を公表する。

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【図表:機械系CAE国内市場規模推移・予測】

【図表:機械系CAE国内市場規模推移・予測】
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:事業者売上高ベース
  • 注:2024年は見込値

 

機械系CAE市場の概況

2022年の機械系CAE国内市場規模(事業者売上高ベース)は、前年比106.5%の901億6,400万円となった。2022年はロシアによるウクライナ侵攻で原材料価格が高騰、インフレの加速により半導体不足や自動車部品供給網の混乱に伴い、日本の製造業は大きな影響を受ける結果となった。また、中国のゼロコロナ政策は年末まで継続され、入国や行動制限など経済活動の停滞により、自動車の減産を余儀なくされた。

2023年は半導体の製造能力が増強され、幅広い業種において半導体需要が盛り上がりを見せた。特に自動車の電動化対応に伴い、車載電池などの開発が進むほか、ECU(Electronic Control Unit)の統合化やSoC(System on a Chip)に係る研究開発が進展した。こうした自動車開発のソフトウェア化の流れも加速してきており、機械系CAEツールにとって追い風となった。
また、Euro NCAP(欧州新車評価プログラム)において、2026年からVT(Virtual Testing:シミュレーションを用いた事前検証)の導入が盛り込まれたことで、衝突解析を中心に機械系CAEの新たな需要が生まれてきた。こうした背景から、2023年の機械系CAE国内市場規模は前年比107.6%の970億1,400万円と推計した。

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機械系CAE市場の注目トピック

■ギガキャストやVT、ソフトウェア化を背景として、自動車業界を中心に機械系CAEは伸長
自動車業界は多くの機械系CAEメーカーにとって、特にメイン顧客の一角を占めており、その動向は機械系CAE市場の伸びに大きな影響を与える。
そうした中で、自動車業界は複数要因から機械系CAEの活用を積極的に活用しており、ここでは3つの要因を挙げたい。

まず自動車開発のソフトウェア化が進むなか、ソフトウェアを更新して機能や性能を高めるSoCについて、世界中で研究開発が進んでおり、半導体需要の伸びに寄与している。
2つ目は、ギガキャスティング(精密鋳型に溶融したアルミニウムを注入し、大型部品を一括成形する鋳造技術)の導入に向けて大手自動車メーカーが動き出しており、機械系CAEを活用した研究開発や生産現場での需要がより一層広がってきている。
3つ目は、Euro NCAPにおいてVT(Virtual Testing)が採用され、2026年の前面衝突・側面衝突VTを皮切りに、3年ごとに要求項目やレベルを上げる動きがある。こうしたEuro NCAPへのVTの採用に伴い、衝突解析を筆頭に機械系CAEの引き合いが増えていく見通しである。

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機械系CAE市場の将来展望

2024年は、半導体の需要が順調に推移し、自動車業界においてもソフトウェア化やVTに係る需要も引き続き継続している。加えてギガキャスティングの導入に向けた動きもあり、機械系CAEを活用する需要は研究開発や生産現場でより一層広がってきている。こうした背景もあり、2024年の機械系CAE国内市場規模は前年比107.4%の1,041億8,300万円を見込む。

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

  • 全世界における機械系CAE市場規模推移メーカー出荷ベース、2022年~2024年)
  • 全世界における機械系CAE売上高シェア(2022年~2024年)
  • 全世界における機械系CAE売上高シェア(円グラフ、2023年、2024年)
  • 全世界における機械系CAE市場規模推移予測(2020年~2027年)
  • 地域別機械系CAE市場規模推移予測(2020年~2027年)
  • 地域別売上高シェア(円グラフ、2023年、2024見込)
  • ソフトウェアライセンス、サポート・保守・サービス別市場規模推移予測(2020年~2027年)
  • ソフトウェアライセンス、サポート・保守・サービス別売上高シェア(円グラフ、2023年、2024年見込み)
  • 機械系CAE市場規模推移(2022年~2024年)
  • 日本における機械系CAE売上高シェア(2022年~2024年)
  • 日本における機械系CAE売上高シェア(円グラフ、2023年、2024年)
  • 日本国内における機械系CAE市場規模推移予測(2020年~2027年)
  • 日本におけるソフトウェアライセンス、保守・サポート・サービス別市場規模推移予測(メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • 日本におけるソフトウェアライセンス、保守・サポート・サービス別売上高シェア(2023、2024)
  • 日本におけるソフトウェアライセンス市場規模推移予測(2020年~2027年)
  • 日本におけるソフトウェアライセンス売上高シェア(2022年~2024年)
  • 日本におけるソフトウェアライセンス売上高シェア(円グラフ、2023年、2024年)
  • 日本における保守・サポート・サービス市場規模推移予測(2020年~2027年)
  • 日本における保守・サポート・サービス売上高シェア(2022年~2024年)
  • 日本における保守・サポート・サービス売上高シェア(円グラフ、2023年、2024年)
  • 機械系CAE市場規模推移予測
  • アプリケーション別売上高シェア(円グラフ、2023年、2024年)
  • 構造解析(線形)市場予測(メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • 構造解析(線形)メーカー別売上高の推移(2022年~2024年)
  • 構造解析(線形)メーカー別売上高シェア(円グラフ、2023年、2024年)
  • 構造解析(非線形)市場予測(メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • 構造解析(非線形)メーカー別売上高の推移(2022年~2024年)
  • 構造解析(非線形)売上高シェア(円グラフ、2023年、2024年)
  • 機構解析市場予測(メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • 機構解析メーカー別売上高の推移(2022年~2024年)
  • 機構解析売上高シェア(円グラフ、2023年、2024年)
  • 衝突解析市場予測(メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • 機構解析メーカー別売上高の推移(2022年~2024年)
  • 衝突解析売上高シェア(円グラフ、2023年、2024年)
  • プレス成形解析市場予測(メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • プレス成形解析メーカー別売上高の推移(2022年~2024年)
  • プレス成形解析売上高シェア(円グラフ、2023年、2024年)
  • 樹脂射出成形解析市場予測(メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • 樹脂射出成形解析メーカー別売上高の推移(2022年~2024年)
  • 樹脂射出成形解析売上高シェア(円グラフ、2023年、2024年)
  • 鋳造解析市場予測(メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • 鋳造解析メーカー別売上高の推移(2022年~2024年)
  • 鋳造解析売上高シェア(円グラフ、2023年、2024年)
  • 鍛造解析市場予測(メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • 鍛造解析メーカー別売上高の推移(2022年~2024年)
  • 鍛造解析売上高シェア(円グラフ、2023年、2024年)
  • 熱流体解析市場予測(メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • 熱流体解析メーカー別売上高の推移(2022年~2024年)
  • 熱流体解析売上高シェア(円グラフ、2023年、2024年)
  • 磁場解析市場予測(メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • 磁場解析メーカー別売上高の推移(2022年~2024年)
  • 磁場解析売上高シェア(円グラフ、2023年、2024年)
  • 音響解析市場予測(メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • 音響解析メーカー別売上高の推移(2022年~2024年)
  • 音響解析売上高シェア(円グラフ、2023年、2024年)
  • MEMS解析市場予測(メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • MEMS解析メーカー別売上高の推移(2022年~2024年)
  • MEMS解析売上高シェア(円グラフ、2023年、2024年)
  • 1DCAE市場規模推移予測(メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • 1DCAEメーカー別売上高の推移(2022年~2024年)
  • 1DCAE売上高シェア(円グラフ、2023年、2024年)
  • 数値解析市場推移予測(メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • 数値解析メーカー別売上高の推移(2022年~2024年)
  • 数値解析売上高シェア(円グラフ、2023年、2024年)
  • バイオロジクス市場規模推移予測(メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • バイオロジクスメーカー別売上高の推移(2022年~2024年)
  • バイオロジクス売上高シェア(円グラフ、2023年、2024年)
  • 計算化学市場規模推移予測(メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • 計算化学メーカー別売上高の推移(2022年~2024年)
  • 計算化学売上高シェア(円グラフ、2023年、2024年)
  • アライドエンジニアリング
  • アンシス・ジャパン
  • ヴァイナス
  • エムエスシーソフトウェア
  • オートデスク
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  • JSOL
  • ダッソー・システムズ(SIMULIA)
  • ダッソー・システムズ(BIOVIA)
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  • アルテアエンジニアリング
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  • CoreTech System
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  • フローサイエンスジャパン
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  • クオリカ
  • サイエンス ソリューションズ
  • サイバネットシステム
  • 先端力学シミュレーション研究所
  • ソフトウェアクレイドル
  • プロメテック・ソフトウェア

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関連リンク

■レポートサマリー
機械系CAE市場に関する調査を実施(2022年)
機械系CAE市場に関する調査を実施(2020年)

■アナリストオピニオン
電通総研が手掛けるCAEソリューションを通じた社会変革に向けた取組み
日本でも実機試験に加えてバーチャル試験も必須となるか――NCAP におけるVirtual Testingの採用動向
使いやすく覚えやすい、トレーニングレスのプリ/ポストプロセッサを提供――エムエスシーソフトウェアの取組み動向

■デイリーコラム
【発刊裏話】「2024 CAE市場の実態と展望」
【アナリスト便り】CAE市場は快晴ではないものの引き続き伸長する見通し

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   Aパターン
  • セグメント別の動向
    • 全世界の機械系CAE市場は、2022年から2023年にかけて若干ブレーキも、その後は徐々に回復
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調査要綱

調査対象:機械系CAEメーカー等
調査期間:2024年10月~2025年1月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用

※機械系CAE市場とは:CAE(Computer Aided Engineering)とは、コンピュータにより製品の設計や開発工程を支援する旨の概念をさす。本概念を実現する際のツールとして、機械系システムの強度や流体における抵抗などの特性を解析対象とする機械系CAEに加えて、1DCAEなどのモデルベース開発ツール、数値計算を支援する数値解析などのCAEがある。
本調査における機械系CAE市場とは、構造解析や熱流体解析、樹脂成形解析、鋳造解析など前者の機械系CAEを対象とし、事業者売上高ベースで算出した。

<市場に含まれる商品・サービス>
機械系CAE(構造解析や熱流体解析、樹脂成形解析、鋳造解析など)

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