矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2022.07.22

機械系CAE市場に関する調査を実施(2022年)

2021年の機械系CAE国内市場規模は847億円となり、回復傾向にある。エネルギー価格の高騰で設計・開発に係る解析需要の高まりが期待され、機械系CAE市場にとってはビジネスチャンスとなる可能性も。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内外の機械系CAE市場を調査し、現況、参入事業者の動向、将来展望を明らかにした。ここでは国内市場についての分析結果を公表する。

「機械系CAE市場に関する調査を実施(2022年)」 小見出し一覧

【図表:機械系CAE国内市場規模推移・予測】

【図表:機械系CAE国内市場規模推移・予測】
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:事業者売上高ベース
  • 注:2022年以降は予測値

 

機械系CAE市場の概況

2020年の機械系CAE国内市場規模(事業者売上高ベース)は前年比1.7%減の822億5,500万円となった。2021年の同市場は同2.9%増の846億5,400万円となり、回復傾向にある。
2020年から2021年は新型コロナウイルス感染拡大防止のための行動制限により、経済活動は大きく落ち込んだ。しかし、日本の製造業各社は在宅勤務に伴うクラウド化への対応を含めたICT投資を継続しており、ソフトウェアライセンス収入やサポート・保守・サービス収入は減少しておらず、2020年の機械系CAE国内市場への影響はマイナス2%程度に留まった。

▲小見出し一覧に戻る

 

機械系CAE市場の注目トピック

■エネルギー価格高騰における機械系CAEへの影響
ロシアによるウクライナ侵攻に伴い、エネルギー価格の高騰が日本経済を直撃している。事態の長期化に伴い、原子力発電所の再稼働や再生可能エネルギーの活用も対策検討の1つとなると考えられる。
まず原子力発電所の再稼働については、原子力規制委員会が決めた新規制基準の審査をクリアしなければならず、CAEの解析結果を含めて膨大な技術文書を提出する必要がある。そのため、設計や開発に係る解析需要が高まるとみる。次に太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーへの転換については、欧州を中心に洋上風力発電に注目が集まっている。日本においても、2019年には「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」が施行され、洋上風力発電設備を設置しやすくなった。そのようなことから、設計・開発に係る解析需要が今後高まる可能性がある。加えて、波力発電や地熱発電などの発電設備設計・開発に係る解析需要の高まりも期待される。
さらに石油精製および石油化学系プラントの建設が活発化している。ここでの設計に関わる解析需要として、熱流体解析や構造解析のほか、1DCAE、計算化学なども含まれる。
以上のようなことから、エネルギー価格の高騰は、機械系CAE市場にとってはビジネスチャンスとなる可能性がある。

▲小見出し一覧に戻る

 

機械系CAE市場の将来展望

2022年の機械系CAE国内市場規模は、前年比5.4%増の891億8,500万円と予測する。2022年に入り、円安傾向が続いており、自動車や電機など輸出型製造業の業績は大きく回復する傾向にある。それは、機械系CAEにもプラスに働くものと考える。
また、建設分野においては、建築物の3次元モデルで調査や設計、施行から維持管理まで管理するBIM(Building Information Modeling)の普及により、CAEが活用される機会が増えている。今後、建設業向けのCAE需要は、大きく拡大する見通しである。

▲小見出し一覧に戻る

 

参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

  • 機械系CAEの出荷状況(全世界)
  • 機械系CAEの出荷状況(日本国内)
  • 機械系CAE売上高の推移(2017-2022年)
  • 機械系CAE市場予測(全世界/メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • 機械系CAE地域別市場予測(全世界/メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • ソフトウェアライセンス、サポート・保守・サービス別市場予測(全世界/メーカー出荷ベース/2020/2027予測)
  • 機械系CAE市場予測(日本国内/メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • ソフトウェアライセンス、サポート・保守・サービス別市場予測(日本国内/メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • ソフトウェアライセンス市場予測(日本国内/メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • サポート・保守・サービス市場予測(日本国内/メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • アプリケーション別市場予測(日本国内/メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • 構造解析(線形)市場予測(日本国内/メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • 構造解析(非線形)市場予測(日本国内/メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • 機構解析市場予測(日本国内/メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • 衝突解析市場予測(日本国内/メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • プレス成形解析市場予測(日本国内/メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • 樹脂射出成形解析市場予測(日本国内/メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • 鋳造解析市場予測(日本国内/メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • 鍛造解析市場予測(日本国内/メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • 熱流解析市場予測(日本国内/メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • 磁場解析市場予測(日本国内/メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • 音響解析市場予測(日本国内/メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • MEMS解析市場予測(日本国内/メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • その他機械系CAE市場予測(日本国内/メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • 1DCAE市場予測(日本国内/メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • 数値解析市場予測(日本国内/メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • バイオロジクス市場予測(日本国内/メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • 計算化学市場予測(日本国内/メーカー出荷ベース/2020-2027予測)
  • 機械系CAE売上高推移(全世界)
  • 機械系CAE売上高シェア(全世界)
  • 地域別売上高の推移(全世界)
  • ソフトウェアライセンス、サポート・保守・サービス別売上高の推移(全世界)
  • 機械系CAE売上高推移(日本国内)
  • 機械系CAE売上高シェア(日本国内)
  • ソフトウェアライセンス、保守・サポート・サービス別売上高の推移(日本国内)
  • ソフトウェアライセンス売上高の推移(日本国内)
  • ソフトウェアライセンス売上高シェア(日本国内)
  • サポート・保守・サービス売上高の推移(日本国内)
  • サポート・保守・サービス売上高シェア(日本国内)
  • 機械系CAEアプリケーション別売上高推移(日本国内)
  • 構造解析(線形)売上高の推移(日本国内)
  • 構造解析(線形)メーカー別売上高の推移(日本国内)
  • 構造解析(非線形)売上高の推移(日本国内)
  • 構造解析(非線形)メーカー別売上高の推移(日本国内)
  • 機構解析売上高の推移(日本国内)
  • 機構解析メーカー別売上高の推移(日本国内)
  • 衝突解析売上高の推移(日本国内)
  • 衝突解析メーカー別売上高の推移(日本国内)
  • プレス成形解析売上高の推移(日本国内)
  • プレス成形解析メーカー別売上高の推移(日本国内)
  • 樹脂射出成形解析売上高の推移(日本国内)
  • 樹脂射出成形解析メーカー別売上高の推移(日本国内)
  • 鋳造解析売上高の推移(日本国内)
  • 鋳造解析メーカー別売上高の推移(日本国内)
  • 鍛造解析売上高の推移(日本国内)
  • 鍛造解析メーカー別売上高の推移(日本国内)
  • 熱流体解析売上高の推移(日本国内)
  • 熱流体解析メーカー別売上高の推移(日本国内)
  • 磁場解析売上高の推移(日本国内)
  • 磁場解析メーカー別売上高の推移(日本国内)
  • 音響解析売上高の推移(日本国内)
  • 音響解析メーカー別売上高の推移(日本国内)
  • MEMS解析売上高の推移(日本国内)
  • MEMS解析メーカー別売上高の推移(日本国内)
  • その他機械系CAE売上高の推移(日本国内)
  • その他機械系CAEメーカー別売上高の推移(日本国内)
  • 1DCAE売上高推移(日本国内)
  • 1DCAEメーカー別売上高の推移(日本国内)
  • 数値解析売上高推移(日本国内)
  • 数値解析メーカー別売上高の推移(日本国内)
  • バイオロジクス売上高推移(日本国内)
  • バイオロジクスメーカー別売上高の推移(日本国内)
  • 計算化学売上高推移(日本国内)
  • 計算化学メーカー別売上高の推移(日
  • 機械系CAE
    • 構造解析(線形)
    • 構造解析(非線形)
    • 機構解析
    • 衝突解析
    • プレス成形解析
    • 樹脂成形解析
    • 鋳造解析
    • 鍛造解析
    • 熱流体解析
    • 磁場解析
    • 音響解析
    • MEMS解析
    • その他
  • 機械系に属さない解析ソフト
    • 1DCAE
    • 数値解析
    • バイオロジクス
    • 計算化学
  • アルテアエンジニアリング
  • アンシスジャパン
  • ヴァイナス
  • MSCソフトウェア
  • シーメンスDIソフトウェア
  • ソフトウェアクレイドル
  • ダッソー・システムズ
  • 海外メーカー(アルファベット順)
    • Altair Engineering
    • Ansys
    • Autodesk
    • AutoForm Engineering
    • CoreTech System
    • Dassault Systems
    • DS SolidWorks
    • ESI Group
    • Flow Science
    • FunctionBay
    • MSC Software
    • Siemens DI Software
  • 国産メーカー(50音順)
    • 株式会社アライドエンジニアリング
    • 株式会社ヴァイナス
    • クオリカ株式会社
    • サイエンス ソリューションズ株式会社
    • サイバネットシステム株式会社
    • 株式会社JSOL
    • 株式会社先端力学シミュレーション研究所
    • 株式会社ソフトウェアクレイドル
    • 株式会社テクノスター
    • 東レエンジニアリングD ソリューションズ株式会社
    • プロメテック・ソフトウェア株式会社

▲小見出し一覧に戻る

 

関連リンク

■レポートサマリー
機械系CAE市場に関する調査を実施(2020年)
CAD/CAM/CAEシステム市場に関する調査を実施(2022年)

■同カテゴリー
[エンタープライズ]カテゴリ コンテンツ一覧

▲小見出し一覧に戻る

 

オリジナル情報が掲載されたショートレポートを1,000円でご利用いただけます!

同タイトル、市場調査資料の一部の内容について、概要をまとめたリーズナブルな調査資料です。
※プレスリリースに以下の情報が追加されています。
  • 注目トピックの追加情報
  • 将来展望の追加情報
以下の 利用方法を確認する ボタン↓から詳細をご確認ください

利用方法を確認する


調査要綱

調査対象:機械系CAEメーカー等
調査期間:2022年1月~5月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用

※機械系CAE市場とは:CAE(Computer Aided Engineering)とは、コンピュータにより製品の設計や開発工程を支援するという概念であり、それを実現するためのツールとして、機械系システムの強度や流体における抵抗などの特性を解析対象とする機械系CAEや、1DCAEなどのモデルベース開発ツール、数値計算を支援する数値解析などその他のCAEがある。
本調査における機械系CAE市場とは、構造解析や熱流体解析、樹脂成形解析、鋳造解析など、前者の機械系CAEを対象とし、事業者売上高ベースで算出した。

<市場に含まれる商品・サービス>
機械系CAE(構造解析や熱流体解析、樹脂成形解析、鋳造解析など)

関連マーケットレポート
山口 泰裕(ヤマグチ ヤスヒロ) 主任研究員
ITを通じてあらゆる業界が連携してきています。こうした中、有望な業界は?競合・協業しうる企業は?参入障壁は?・・・など戦略を策定、実行に移す上でさまざまな課題が出てきます。現場を回り実態を掴み、必要な情報のご提供や戦略策定のご支援をさせて頂きたいと思います。お気軽にお声掛け頂ければと思います。

YanoICT(矢野経済研究所ICT・金融ユニット)は、お客様のご要望に合わせたオリジナル調査を無料でプランニングいたします。相談をご希望の方、ご興味をお持ちの方は、こちらからお問い合わせください。

YanoICTサイト全般に関するお問い合わせ、ご質問やご不明点がございましたら、こちらからお問い合わせください。

東京カスタマーセンター

03-5371-6901
03-5371-6970

大阪カスタマーセンター

06-6266-1382
06-6266-1422