レポートサマリー
2023.12.13
ERP市場動向に関する調査を実施(2023年)
2022年のERPパッケージライセンス市場は1,406億円。IT投資は戦略的な投資であるという理解が進んでおり、DXに関連したERP投資が続く。
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のERPパッケージライセンス市場を調査し、参入企業・ユーザ企業の動向、将来展望を明らかにした。
【図表:ERPパッケージライセンス市場規模推移・予測】
- 矢野経済研究所調べ
- 注:ERPパッケージベンダーのライセンス売上高(クラウドのサブスクリプション売上高を含む)を、エンドユーザー渡し価格ベースで算出した。
- 注:2023年以降は予測値。
2022年のERPパッケージライセンス市場は、エンドユーザ渡し価格ベースで1,406億4,000万円、前年比10.9%増となった。
2021年はコロナ禍によるマイナスの影響が軽微となったことに加えて、先送りされた案件の多くが順当にスタートし、2020年の買い控え分が積み重なったことが市場を押し上げ、2021年の同市場は前年比9.3%増の1,268億6,000万円となった。2022年は、2021年の伸び率をさらに上回る成長を遂げた。
2022年の主な成長要因としては、以下の5点である。
- ビジネス環境の変化や好調な企業収益などから、DX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みが戦略フェーズから実践フェーズに移り始めた。
- 企業のIT投資への意欲が高まっており、レガシーシステムのリプレイスや、DXの一環としての経営基盤への投資といった従来からのニーズが継続した。
- 中堅以下の企業を中心に、インボイス制度や電子帳簿保存法の改正に向けた対応への需要が急拡大した。
- 大手企業を中心に、これまで自社開発(オンプレミス)が中心であった生産管理システムなどについて、パッケージ等の導入が進み始めた。
- ERPの複数モジュール採用による案件の大型化が進む。また、クラウドERPを利用する企業も増加を続けている
▲小見出し一覧に戻る
■DXに関連したERP投資が続く
かつてはコスト削減が主目的であったIT投資も、近年は戦略的な投資であるという理解がユーザー企業において進んでいる。
2020年9月には経済産業省から「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会報告書」(人材版伊藤レポート)が発表され、人的資本を企業の源泉と位置づけ、経営戦略の下で人的資本の価値を引き出す施策の必要性が説かれた。これに伴い、人材戦略を経営戦略に紐づけようとする動きも出たが、人的資本の状況把握やデータ化に課題があることを認識した企業も多かった。
経営基盤(ヒト・モノ・カネ)を効率的に管理するためには、経営基盤を一元管理し、有効活用する方法(データドリブン経営)が有用と言える。ここ数年、ERP市場が堅調に推移している背景には、リプレイスであっても、単なるレガシーシステムのリプレイスではなく、経営基盤を再構築するためのリプレイス(攻めのDX/攻めのIT投資)が進んでいるという実態があると考える。
もちろん、この動きは大企業に留まるものではない。中堅中小企業においても、きっかけが保守切れに伴うシステムのリプレイスであっても、検討・導入を進める際にはDXを意識する中堅中小企業が増加している。ERPのリプレイスというだけでは、経済産業省が2018年に指摘した「2025年の崖」問題が言うところのDXとは乖離があるが、戦略的な投資、としてであればDXに関連したERP投資は確実に進んでいると言える。
▲小見出し一覧に戻る
2023年も案件大型化の流れが継続していること、またインボイス制度への対応が10月まで続くとみられることなどから、市場の伸び率は2022年を上回り、2023年のERPパッケージ市場は前年比11.5%増の1,568億1,000万円になると予測する。
その理由としては、ユーザー企業のIT投資に対する意欲が引き続き旺盛であること、また「2025年の崖」問題や急速なビジネス環境の変化に対応すべく、クラウドERPの導入が増加することなどが挙げられる。 一方、今後市場の成長を鈍化させる要因になり得るのは、世界各地の戦争・紛争の激化や、極端な気象変動関連の事象、インフレ率上昇や物価高騰、さらなる円安など為替変動等の影響による、経済状況の悪化である。しかし、足元の弱含みの景況下においても、IT投資が堅調であることが伺えることから、2023年は2ケタ増を見込む。
▲小見出し一覧に戻る
- ERPパッケージライセンス売上高推移(エンドユーザ渡し価格ベース)(2018~2025年予測)
- 貴社の景況
- 日銀短観(ソフトウェア投資額)
- 設備投資額(ソフトウェア投資額を含む、土地購入額を除く)
- 全体市場におけるライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2022年)
- 大手企業向け(年商500億円以上)ライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2022年)
- 中堅中小企業向け(年商500億円未満)ライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2022年)
- (参考)ERP総売上高の推移<ベンダー出荷ベース>(2022~2023年予)
- 業種別 ERPパッケージ売上高比率(エンドユーザ渡し価格ベース)(2022年)
- 業種別 ERPライセンス売上高の推移(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
- モジュール別 ERPパッケージ売上高比率(エンドユーザ渡し価格ベース)(2022年)
- モジュール別 ERPライセンス売上高の推移(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
- 企業規模別 ERPパッケージ売上高比率(エンドユーザ渡し価格ベース)(2022年)
- 企業規模別 ERPライセンス売上高の推移(エンドユーザ渡し価格ベース)(2018~2023年予測)
- クラウドの区分と定義
- ERPパッケージのクラウド売上高の推移(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2024年予測)
- 2022年クラウド全体(IaaS・PaaSとSaaSを含む)の売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)
- 2022年クラウド全体(SaaSのみ)の売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)
- 電子インボイスとデジタルインボイスの違い
- 開示の観点から重視するサステナビリティ分野
- サステナビリティデータの収集等(データ収集に関する課題)
- ERPパッケージのエンドユーザ渡し価格によるライセンス売上高推移(2018~2025年予測)
- ERPパッケージのベンダー出荷価格によるライセンス売上高推移(2018~2025年予測)
- ERPベンダー出荷価格による総売上高推移(2018~2025年予測)
- ユーザ企業の年商規模別ERPライセンス売上高推移(2018~2023年予測)
- 大手企業/SMBにおけるERPライセンス売上高推移(2018~2023年予測)
- 業務ソリューション(モジュール)別ERPライセンス売上高推移(2021~2023年予測)
- 業種別ERPライセンス売上高推移(2021~2023年予測)
- ERPパッケージのクラウド売上高推移(2021~2024年予測)
■総市場におけるERPパッケージのライセンス売上高シェア
- 総市場におけるERPライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
- 総市場におけるERPライセンス売上高シェア(ベンダー出荷価格ベース)(2021~2023年予測)
■大手企業向けERPパッケージのライセンス売上高シェア
- 大手企業向け(年商500億円以上)ERPパッケージのライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
- 大手企業向け(年商1,000億円以上)ERPパッケージのライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
■中堅・中・小企業向けERPパッケージのライセンス売上高シェア
- 中堅・中小企業向け(年商500億円未満)ERPパッケージのライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
- 中堅・中小企業向け(年商100億円未満)ERPパッケージのライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
- 中堅・中小企業向け(年商50億円未満)ERPパッケージのライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
■ERPパッケージのソリューション(モジュール)別ライセンス売上高シェア
- 財務会計管理ソリューションのライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
- 人事給与管理ソリューションのライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
- 販売在庫管理ソリューションのライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
- 生産・物流管理ソリューションのライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
■年商規模別 ERPパッケージのソリューション(モジュール)別ライセンス売上高シェア
【年商50億円未満】
- 年商50億円未満の企業向け財務会計管理ソリューションのライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
- 年商50億円未満の企業向け人事給与管理ソリューションのライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
- 年商50億円未満の企業向け販売・在庫管理ソリューションのライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
- 年商50億円未満の企業向け生産・物流管理ソリューションのライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
【年商100億円未満】
- 年商100億円未満の企業向け財務会計管理ソリューションのライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
- 年商100億円未満の企業向け人事給与管理ソリューションのライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
- 年商100億円未満の企業向け販売・在庫管理ソリューションのライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
- 年商100億円未満の企業向け生産・物流管理ソリューションのライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
【年商100-500億円未満】
- 年商100-500億円未満の企業向け財務会計管理ソリューションのライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
- 年商100-500億円未満の企業向け人事給与管理ソリューションのライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
- 年商100-500億円未満の企業向け販売・在庫管理ソリューションのライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
- 年商100-500億円未満の企業向け生産・物流管理ソリューションのライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
【中堅・中小企業(年商500億円未満)】
- 中堅・中小企業(年商500億円未満)向け財務会計管理ソリューションのライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
- 中堅・中小企業(年商500億円未満)向け人事給与管理ソリューションのライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
- 中堅・中小企業(年商500億円未満)向け販売・在庫管理ソリューションのライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
- 中堅・中小企業(年商500億円未満)向け生産・物流管理ソリューションのライセンス売上高シェア (エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
【年商500-1000億円未満】
- 年商500-1,000億円未満企業向け財務会計管理ソリューションのライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
- 年商500-1,000億円未満企業向け人事給与管理ソリューションのライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
- 年商500-1,000億円未満企業向け販売・在庫管理ソリューションのライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
- 年商500-1,000億円未満企業向け生産・物流管理ソリューションのライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
【年商1000億円以上】
- 年商1,000億円以上企業向け財務会計管理ソリューションのライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
- 年商1,000億円以上企業向け人事給与管理ソリューションのライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
- 年商1,000億円以上企業向け販売・在庫管理ソリューションのライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
- 年商1,000億円以上企業向け生産・物流管理ソリューションのライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
【大手企業(年商500億円以上)】
- 年商500億円以上企業向け財務会計管理ソリューションのライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
- 年商500億円以上企業向け人事給与管理ソリューションのライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
- 年商500億円以上企業向け販売・在庫管理ソリューションのライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
- 年商500億円以上企業向け生産・物流管理ソリューションのライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
■業種別ERPパッケージのライセンス売上高シェア
- 加工組立製造業向けライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
- プロセス製造業向けライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
- 流通業向けライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
- サービス業向けライセンス売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
■ERPパッケージのクラウド売上高シェア
- クラウド全体(IaaS/PaaS/SaaS)売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
- SaaSのみ売上高シェア(エンドユーザ渡し価格ベース)(2021~2023年予測)
■IFSジャパン株式会社
■インフォアジャパン株式会社
■株式会社内田洋行
■SAPジャパン株式会社
■SCSK株式会社
■株式会社NTTデータ・ビズインテグラル
■株式会社OSK
■株式会社オービック
■株式会社オービックビジネスコンサルタント
■GRANDIT株式会社
■株式会社クレオ
■スーパーストリーム株式会社
■日本オラクル株式会社
- Oracle Fusion Cloud ERP
- Oracle NetSuite
■日本電気株式会社(EXPLANNER) ■日本電気株式会社(FlexProcess) ■日本マイクロソフト株式会社 ■ビジネスエンジニアリング株式会社
■株式会社日立ソリューションズ/株式会社日立システムズ ■富士通株式会社/富士通Japan株式会社
- GLOVIA iZ/GLOVIA きらら/GLOVIA smart
- GLOVIA SUMMIT
■株式会社マネーフォワード ■株式会社ミロク情報サービス
■株式会社ワークスアプリケーションズ ■株式会社Works Human Intelligence ■ワークデイ株式会社
▲小見出し一覧に戻る
■レポートサマリー
●ERP及びCRM・SFAにおけるクラウド基盤利用状況の法人アンケート調査を実施(2022年)
●ERP及びCRM・SFAにおけるSaaS利用状況の法人アンケート調査を実施(2020年)
●ERP及びCRM・SFAにおけるSaaS利用状況の法人アンケート調査を実施(2018年)
■アナリストオピニオン
●ERP市場と「2025年」を巡る問題
●「次世代ERP」のリリースラッシュが起きているのはなぜか
●ERPをクラウド化する3つの理由
●戦略的な経営を実現するクラウドERP NetSuiteが支える企業変革
●ERPパッケージの顧客ロイヤルティ調査で人事・給与分野において最高評価を得たZeeM
■同カテゴリー
●[エンタープライズ]カテゴリ コンテンツ一覧
●[ソフトウェア]カテゴリ コンテンツ一覧
▲小見出し一覧に戻る
オリジナル情報が掲載されたショートレポートを1,000円でご利用いただけます!
同タイトル、市場調査資料の一部の内容について、概要をまとめたリーズナブルな調査資料です。
※プレスリリースに以下の情報が追加されています。
- セグメント別の動向
- 注目トピックの追加情報
- 将来展望の追加情報
以下の 利用方法を確認する ボタン↓から詳細をご確認ください
利用方法を確認する
調査要綱
調査対象:ERPパッケージベンダー
調査期間:2023年6月~9月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用
※ERPパッケージライセンス市場とは:ERP(Enterprise Resource Planning)パッケージとは、財務会計、人事給与、販売管理、生産管理などの基幹業務データを統合する情報システムを構築するための基幹業務管理パッケージソフトウェアを指す。
本調査におけるERPパッケージライセンス市場は、ERPパッケージベンダーのライセンス売上高(クラウドのサブスクリプション売上高を含む)をエンドユーザ渡し価格ベースで算出した。なお、コンサルティング・SI等、保守サポートなどの関連売上高は含まない。
<市場に含まれる商品・サービス>
ERPパッケージ
関連マーケットレポート
小山 博子(コヤマ ヒロコ) 主任研究員
直接お話を聴かせて頂ける機会を大切にしています。冷静かつ緻密な分析を行い、有意義な情報のご提供をさせて頂きますとともに、「やって良かった」と思って頂ける調査のご提案を致します。