矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

Daily column

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2026
「PayPay上場後初の決算発表、決済・金融の両輪での成長を継続」
2026年5月7日、PayPayは2026年3月期(FY2025)の決算発表を行った。同社は2026年3月に米NASDAQ市場へ上場しており、今回が上場後初の通期決算発表となる。 https://ir.paypay.ne.jp/jp/   2026年3月期の営業収益は3,807億円(前期比27%増)、調整後EBITDA(利払い/税引き/減価償却前の利益)は1,111億円(同89%増)となった。営業収益のうち、59%を決済手数料等、41%を金融+決済金利が占める構成となっており、両者ともに対前年25%増を超える高成長を実現している。   同社の決済セグメントにおいては、GMV(決済取扱高)が19兆円に達し、内訳としてはPayPay残高が10.8兆円、PayPayクレジットが4.6兆円、PayPayカードが3.5兆円となった。GMVの堅調な拡大に加え、決済手数料率の高いオンライン決済の構成比の増加や、PayPayカードの金融関連残高の増加に伴う金利収入の拡大もあり、セグメント全体で成長基調を継続している。 金融サービスセグメントにおいても、PayPay銀行の預金口座数が1,000万口座を超え、PayPay証券の口座数も173万口座(前年同期比36万口座増)に拡大するなど成長を続けており、金融関連収益の成長率は決済関連収益を上回った。   上記の通り、同社は収益基盤の多様化を進めており、今後も祖業である決済と、新たな柱である金融の両輪での成長を目指している。その第一歩として、PayPay銀行がPayPay加盟店向けのレンディングサービスの本格提供を開始した。同サービスでは膨大な決済データに基づく独自の与信モデルを通じ、必要な資金の即自貸出を実現可能であり、PayPayとしてはこのサービスをデータドリブンなプロダクトの象徴と位置づけている。この一例に限らず、決済・銀行・証券などあらゆる領域でサービスの再定義に取り組んでいく方針である。   近年は、キャッシュレス決済サービス市場の参入事業者各社ともに、決済を起点として銀行・投資・保険といった金融サービスを総合的に提供する取組みに注力している。2025年10月にNTTドコモが住信SBIネット銀行を連結子会社化(2026年8月には「ドコモSMTBネット銀行」へ商号変更を予定)したことで、国内の主要なコード決済事業者のすべてがグループ内に銀行を保有する形となった。その中で、PayPayの好調を示した今回の決算発表の通り、国内のキャッシュレス市場においては決済という「点」に留まらず、多様な金融サービスを含めた「面」での争いの様相がますます強まっていくと見込む。
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2026
【今週の"ひらめき"視点】未成年のSNS依存症、世界で深刻化。大人は子供たちを守れるか
当社代表が最新のニュースを題材に時代の本質、変化の予兆に切り込みます。   5月5日、日本と欧州連合(EU)は“日EUデジタルパートナーシップ閣僚会議”を開催、プラットフォーム事業者に対する監督体制の強化、信頼性のあるデータの流通、個人情報保護、海底ケーブル防護などについて高いレベルで緊密な協力体制を構築するとの共同声明を発表した。 プラットフォーマー規制については“安全なオンライン環境”、とりわけ、オンライン上における未成年者保護の重要性が強調された。EUでは利用者の保護や違法コンテンツへの対応を既にプラットフォーム事業者に義務付けており(デジタルサービス法、2024年)、日本でも個人の権利を侵害する情報の削除を求める法律が施行されている(情報流通プラットフォーム対処法、2025年)。 しかしながら、有害コンテンツの規制だけで子供たちの権利、健康、安全を守ることはできない。無限スクロールや昼夜を問わない通知など、アクセス数に応じて収益が発生するSNS固有のビジネスモデルそのものが中毒性を誘発する有害技術であり規制すべき、との声も高まる。昨年暮れには豪州で、今年3月にはインドネシアで16歳未満のSNS利用が禁止された。仏、デンマーク、ノルウェー、トルコ、ギリシャ、マレーシアでも禁止に向けた議論が進む。日本でもSNSに起因する被害児童は1566人に達しており(令和7年、警察庁)、10代の7%にSNSの病的利用の疑いが認められる※という。対策は急務である。 人類が誕生して600万年、産業革命から200年、初代iPhoneから19年、LINEがサービスを開始して15年、ChatGPTのリリースから3年半だ。イノベーションの速度はあまりに急激で、産業構造が変わり、暮らし方が変わり、社会と個人の関係も変わった。そして、そこに馴染めない人は社会不適合とされる。見渡せば誰も彼もがスマホ片手にSNSだ。いつの日か各国のSNS規制などなんらの効果もなく、SNS依存者が世界に溢れ、やがて人類の首が15度下向きに進化した未来に、そうならなかった人はSNS適応障害などと病人扱いされるのであろうか。いやそれはご免だ。 ※出所:「ネット・ゲーム使用と生活習慣に関する実態調査(2024)」、独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター 今週の“ひらめき”視点 2026.5.3 - 5.14 代表取締役社長 水越 孝
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2026
「長引く円安」
コロナ禍の最中である2022年3月頃から始まった円安基調は、4年が経過した2026年5月現在でも継続し、同年5月8日現在では1㌦が155~160円の超円安である。 為替変動の影響はグローバル企業の業績に大きな影響があるが、近年の海外事業は現地生産型が増えたので、国内生産&輸出時代よりは為替の影響は減っている。尚、為替動向を見る場合、国際決済はドル主体なのでドル円動向に注目する。 為替変動の影響を円高と円安に分けて考察する。 円高では、鉱物資源や原油、部品・半製品などの原材料調達コストが低下する。そのため、輸入や輸入品を扱う企業にはメリットは大きい。しかし輸出企業では逆風になる。現地価格を維持しようとすれば、輸出価格(製品価格)を下げる必要があり、企業の利益は減る。また外貨建て資産を円にしようとした場合、円高では資産が目減りすることになる。 一方で円安では、原材料や輸入品価格の上昇があり、特に輸入品を扱い且つ、値上げが難しい業界やエネルギー企業、原材料消費型産業(運輸・物流業、素材メーカーなど)にはデメリットが大きい。その一方で、輸出企業の利益アップ効果は大きい。またインバウンド系産業(旅行業、観光業、宿泊業、外国人向けサービス業など)では、円安による訪日外国人客の増加効果が見込まれる。 以前は「円安=経済には追い風」であったが、日本メーカーの海外生産が増えたこともあり、以前ほどの円安メリットは受けていない。またGDPの国際比較を考えた場合、通常は米ドル換算となるため、単純化すると「円高で日本のGDPが増える」、「円安で日本のGDPが減る」といった事が起こる。 2023年に「日本とドイツのGDP逆転劇」も、ドイツ産業の高い生産性といったファンダメンタルに加えて、円安による名目GDPの目減り(ドル建て換算)が大きな要因であった。

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2026
2026 AI-DV(AI定義車両)市場の実態と展望 ~SDV/車載ソフト市場の構造大変革、産業OS・都市OS化を目指す未来~
本レポートは従来、『車載用ソフトウェア市場の実態と展望 vol.2 OEM、Tier.1、2編』と題して継続してきたレポートの最新版である。従来の車載ソフトウェア市場の動向を押さえるとともに、2028年以降、クラウドベンダーの存在感が高まってきた際に、車載ソフトウェア市場にどのような影響を与えるのか、OEMやTier.1、2に加えて、クラウドベンダー等との意見交換を通じて、シナリオを検討、2035年までの方向性を提示していく。 特にCASEからSDVへと移り変わるなか、AIエージェントを筆頭にAIを積極的に取入れていく動きが勃興、まだ定義はかなり曖昧ではあるものの、「AI-DV」との言葉が出始めており、タイトルの変更を行った。本レポートでは、OEMおよびサプライヤーの視点から制御系や車載IT系、SDV、今後勃興が想定されるAI-DVの構成比がどのように移り変わっていくのか、また実際のアーキテクチャの変遷を含め、以下4点について明らかしていく。 (1)車載ソフトウェア市場の市場規模 (2)車載ソフトウェア市場における制御系/車載IT 系/SDV/AIDV 別シェア (3)車載ソフトウェア市場における参入企業別シェア (4)車載ソフトウェアに関するアーキテクチャ(2018年/2025年/2028年/2030年)

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