矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

Daily column

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2025
「auペイメント、auフィナンシャルサービスの合併が発表」
2025年9月1日、auペイメントとauフィナンシャルサービスが、2026年7月1日付(予定)で合併することが発表された。本合併は、決済事業戦略の一元化と事業推進の加速を目的に、auペイメントを存続会社とした吸収合併の形で実施される。 https://www.au-payment.co.jp/news/news2025/r20250901_2.html   auペイメントはコード決済サービス「au PAY」のサービス運営事業、auフィナンシャルサービスはクレジットカード「au PAYカード」事業やローン事業などを展開しており、両社ともにKDDIグループおよびauフィナンシャルグループに属する事業者である。   KDDIグループでは2019年2月より、スマートフォンを入口として、利用者に総合的な決済・金融体験を提供する「スマートマネー構想」を掲げている。同構想の一環として、同年4月には中間金融持株会社であるauフィナンシャルホールディングスを設立し、銀行・決済・資産運用・保険を集約したauフィナンシャルグループを構築した。 auフィナンシャルグループは、スマートマネー構想に基づいて、au PAYを軸として「貯める」「支払う」「増やす」「借りる」「備える」といった利用者のお金に関わる活動をワンストップでサポートするサービスの拡充を進めている。今回の合併も、グループとして提供するサービス間の連携強化や、クロスユースの促進を目指した施策であると言える。   キャッシュレス決済の定着により市場の競争は激化しており、キャッシュレス決済事業者各社は「経済圏」の構築によるユーザーの囲い込みに注力しているが、競合グループにおいてはコード決済、クレジットカードなどの各サービスをそれぞれ別の会社が運営する形式が主流である。その中で、auフィナンシャルグループが先行して合併という施策を打ったことで、今後は競合においても合併を含めたグループ再編の動きが加速する可能性が考えられる。(都築 励)
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2025
AWS、自動車業界における自社の取り組みに関する勉強会を開催  
アマゾン ウェブ サービス ジャパン(以下、AWSジャパン)は、「第3回 自動車業界におけるAWSの取り組み(生成AI活用)に関する記者勉強会」を、2025年8月21日(木)に開催した。   AWSジャパンは、「ソフトウェア・ディファインド・ビークル(SDV)」の実現に向けた取組みが加速する自動車業界において、SDVの実現に向けたクラウドの必要性や果たす役割、自動車業界の変革にAIがどういった影響をもたらすのかなどについて、深堀していくことを目的として、この勉強会をシリーズで開催している。          2025年5月、7月にもそれぞれ、「AWSの自動車業界向けの取り組み・支援について」、「SDV領域におけるAWSの取り組み」をテーマとして開催した。第3回目となる今回は、「自動車業界におけるAIの活用状況、最新の生成AI活用事例紹介」をテーマとして取り上げた。    当日は、AWSジャパンの岡本氏(エンタープライズ技術本部 自動車・製造グループ本部長)、梶本氏(自動車事業本部 プリンシパルソリューションズアーキテクト)の2名が登壇し、自動車業界におけるAI需要の高まりに加えて、企業における生成AIの活用実例を紹介した。     具体例として、AIのリーズニングモデル(注1)を用いてパーソナライズされた最適ルートプランニングや、AIエージェントを活用したIVI(車載インフォテインメントシステム)の仕様変更対応によるリードタイム短縮などを挙げた。最後には参加者からの質問にも応じた。   今回の勉強会は、AWSからみた自動車業界における生成AI活用の現状と可能性を示す場となり、参加者にとっても最新知見を把握する貴重な機会となった。 (鈴木 蒼)   (注1)AIが事実や情報に基づいて論理的に考え、問題を解決するための結論・結果を導き出すこと
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2025
DX総合EXPO開催 インターセクトが示す「業務特化AI」の実装力
DX総合EXPO/ビジネスイノベーションJapanが、7月23~25日の3日間、千葉県の幕張メッセにて開催された。展示会には280社が出展し、出展者によるセミナーやトップ企業の経営幹部が登壇する特別講演も実施するなど、盛況なイベントとなった。      当展示会では、出展企業の 1つであるインターセクト株式会社が、業務特化型のAIエージェントを手軽に構築できる汎用プラットフォーム「 Askhub」を展示し ていた。   「 Askhub」は、AIエージェントが自律的かつ、自由度高くタスクを遂行することを可能にするAIエージェントプラットフォームとなっており、『高いカスタマイズ性』、『シンプルさ』、『組織運用性』の3点を強みにしている。カスタマイズ性では、8,000を超える外部ツールとの連携が可能であり、シンプルさについては、誰もがAIエージェントの構築が可能な点にある。プラットフォーム内のチャットで、AIアシスタントに業務内容を指示するだけで、AIアシスタントが自動的にプロンプトや社内データ、外部ツールなどの最適設定を行い、AIエージェントを構築する。構築されたAIエージェントは、AIアシスタントの指示・設定に従い、ファイルの作成や編集、検索、WEB探索等のタスクを自律的に遂行する。インターセクトの担当者は、このシンプルさが、AIエージェントの導入や運用のハードルを大きく下げると期待を寄せている。   さらに、 同プラットフォームは、独自開発した検索拡張生成(RAG)を搭載し、回答精度の向上を実現している。AI-OCRを活用した、画像等を含むデータの抽出や、ベクトル検索とキーワード検索のハイブリッド検索による、関連性の高い情報の抽出が可能である。     今回の展示会は、使用する部署(ターゲット)別や製品別の7つの専門展で構成されていた。従来は個人的な利用のフェーズにあった生成AIの活用や業務の自動化が、組織的な運用のフェーズへと移行している印象を受けた。それぞれの現場課題に即した具体的な提案が多く見られ、生成AIの“実装フェーズ”へのシフトを実感した展示会だった。   多くの企業がAIツールの導入や運用にハードルを感じている。しかし、「 Askhub」を活用することで、そのハードルが低くすることができる。チャットで指示を出すと、AIアシスタントが最適な設定を行い、使い慣れたツール上で AIエージェントが自律的にタスクをこなしてくれる。そのため、業務効率化の幅がかなり広がると感じた。  (鈴木 蒼)

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2025
2025 車載用ソフトウェア市場の実態と展望 vol.1 協力会社編 ~SDVを巡る半導体メーカーを中心とした攻防と中国の動向~
車載用ソフトウェア市場について、従来、制御系がメインであるものの、近年ではADASなどの高度化に伴い、ECUの搭載数が年々増加してきた結果、搭載体積やコストの増加などの課題が取りざたされている状況にある。 そうしたなか、上記課題を解決すべく従来のECUを統合ECUへと収れんしていくとともに、日本のOEMやサプライヤーは、トヨタ自動車の車載OS「Arene」を含め、CASEを志向した次世代の車載ソフトウェア(≒車載IT系)を構築すべく、協力会社に対して研究開発案件を積極的に出している状況にある。そして直近においては、マイコンメーカーやIT系半導体メーカーがSDVを旗印としてSDVソリューションの提供を開始、従来の車載IT系を飲み込みつつあり、将来的には制御系の一部もカバーしていく可能性もあるとみられている。 そこで本調査においては、CASEなどを今後、実現していくなかで、協力会社(ソリューションベンダーおよびマイコンメーカー、IT系半導体メーカー)の視点から制御系、車載IT系、SDVの構成比がどのように移り変わっていくのか、また実際のアーキテクチャの変遷を含め、以下4点について明らかにすることを目的としている。 (1)車載用ソフトウェアに関するアーキテクチャ (2)車載用ソフトウェア市場の市場規模 (3)同市場における制御系/車載IT系/SDV別シェア (4)同市場における参入企業別シェア

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