矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

Daily column

7 3
2026
「高市政権の産業政策(重点投資17分野の設定)」③
世界では、社会主義国だけではなく資本主義国においても、特定産業(例えばAI関連、核融合、航空宇宙など)に投資を続ける産業政策が、一種の流行になっている。 米国では、民主党政権(バイデン政権)、共和党政権(トランプ政権)に関わらず、巨額の産業投資が行われている。例えばトランプ政権の掲げる「アメリカファースト」も、製造業の国内回帰を狙った政策をフレーズ化したものであろう。 計画経済である社会主義国の中国では、10年ほど前に「中国製造2025」を掲げ製造強国、科学技術強国を目指している。これは、結果的に米国をはじめとする西側諸国の警戒心を呼び起こすことになったが、現在に至るまで堅持されている。尚、EVでの躍進も、この政策の奏功事例であろう。 またEUでも、グリーントランスフォーメーションやデジタルトランスフォーメーションを中心とした、巨額の産業投資を行っている(気候変動対策に主眼がある)。但し、2020年の投資開始後に、ウクライナ戦争やホルムズ海峡危機などがあり、実際の取り組みに変更、修正が生じていると考えられる。 このように、巨額の財政出動をともなう成長投資強化の流れは世界的に続いており、ここでの高市政権のかじ取りが注目される。
7 1
2026
「PLMとローコードの連携がもたらす製造業DXの新たな可能性」
電通総研とシーメンスが2026年6月16日に開催したイベント「~グローバルの最新事例に学ぶ『攻め』の製造DX~AI・Data・ローコード、そしてPLMをどう繋ぎ、どう業務で活かすか?」に参加しました。 基調講演では、ものづくり系YouTuberのものづくり太郎氏が、NVIDIAの最先端事例を交えながら「PLMとAIの融合を無視すれば、日本の製造業に未来はない」と強い危機感を示しました。 PLMやAIが現場に定着しない背景には、作り込まれたシステムと現場業務の「分断」という課題があります。これに対し電通総研の尾林氏は、PLMを直接改修するのではなく、現場との「緩衝材」としてローコードプラットフォーム(Mendix)を活用し、両者をつなぐアプローチを提唱。デモでは、Excelによる成果物管理や設計変更のレビューなどを迅速にアプリ化し、PLMデータを使って「その場で判断し、業務を動かす」実践的な仕組みを披露しました。 これまでの製造業におけるDXは、現場側がシステムの仕様に合わせる傾向があり、柔軟性を奪う要因となっていました。しかし、今回の「システムと現場を”つなぐ”」という思想は、データを強固に守りつつ現場の改善スピードを落さないための現実的な解決策になると考えます。 特に、現場が使い慣れたExcelからスムーズに移行でき、複数システムの情報を一元化した上で、その場で意思決定を下すことができるMendixのデモは、多くの企業が課題とする運用の形骸化を防ぎ、早い段階で効果を発揮しやすい仕組みであると感じました。これからの日本の製造業がグローバルで勝ち残るためには、現場の人間とAIがスムーズに連携し、現場主導で自律的に業務が回り出す環境が必要となるだろうと考えました。
6 30
2026
「PayPayによる生命保険業界への参入がもたらすもの②-包括提携に見るサービス拡張と今後の可能性-」
回は、PayPayによるT&Dフィナンシャル生命の子会社化について取り上げました。今回は同日に発表されたT&Dホールディングスとの包括業務提携の内容を見ていきます。 https://about.paypay.ne.jp/pr/20260604/02/ T&Dフィナンシャル生命の子会社の発表と同日に、PayPayとT&Dホールディングスによる包括業務提携も発表されました。具体的には、①PayPayアプリを通じた太陽生命商品の販売、②AIを活用した業務効率化、③スマートシニアシティ構想、④マーケティング連携、⑤健康増進・認知症予防サービスの検討、といった取り組みが示されています。 この内容を見ると、単なる販売チャネルの拡張にとどまらず、グループ全体でのサービス連携を志向していることが分かります。①ではPayPayアプリを通じた保険販売が想定されていますが、②以降は業務やデータ、さらにはヘルスケア領域にまで踏み込んだ取り組みとなっています。 特に、健康増進や認知症予防といったテーマは、太陽生命がこれまで力を入れてきた分野でもあり、PayPayの親会社であるソフトバンクグループが取り組むヘルスケア領域とも親和性が高いように思われます。 また、「スマートシニアシティ」といったキーワードも含まれていることから、今回の提携は単に若年層向けのデジタル金融サービスの拡張というよりも、むしろシニア層を含めた幅広い顧客基盤の獲得を視野に入れている可能性もあります。PayPay側がシニア顧客への接点を強化していく狙いもあるのかもしれません。 一方で、デジタルサービスを通じてどこまで保険が浸透するのかという点は重要な論点です。短期の自動車保険や季節性の保険商品であれば比較的気軽に加入しやすい側面がありますが、生命保険のように長期かつ保障内容が複雑な商品については、同様の形でデジタル完結が進むのかはまだ見通しにくい部分があります。 今回の取り組みが、生命保険の販売や提供の在り方をどこまで変えていくのか。PayPayが先行事例となるのかという点も含め、今後の展開を注視していきたいところです。

Main Contents Topics

5 28
2026
2026 AI時代のサイバーセキュリティ市場の現状と展望
近年は、AIによる攻撃が急増しています。被害報告も増える中、経営層のサイバーセキュリティに対する意識は高くなっており、サイバーセキュリティ=「IT部門が担う技術的なもの」から「事業を継続するための経営基盤そのもの」という認識が広がり始めています。本調査レポートでは、各ベンダーの取組から広くサイバーセキュリティ市場について言及するとともに、サイバー保険、IT資産管理、アイデンティティ管理の各市場についても焦点をあてるとともに、実務者へのアンケート結果から得られたリアルな市場の温度感についても触れています。 本レポートは2026年5月に発刊したサイバーセキュリティに関するレポートで、市場規模にはハード、ソフト、サービスを含みます。 調査期間は2026年3月~5月、アンケートは2025年6月~9月に実施しています。 各市場の成長率は下記の通りです。 サイバーセキュリティ市場の2025年度の市場規模は前年度比9.2%増 アイデンティティ管理(IDaaS)市場の2025年度の市場規模は前年度比16.7%増 IT資産管理市場の2025年度の市場規模は前年度比11.7%増 サイバー保険市場の2030年度のCAGR(年平均成長率)は109.4% ※2025年度からのCAGR
3 11
2026
2026 AI-DV(AI定義車両)市場の実態と展望 ~SDV/車載ソフト市場の構造大変革、産業OS・都市OS化を目指す未来~
国内AI-DV(SDV)の最新動向やアーキテクチャ、市場規模、将来予測を網羅した調査資料。 2018年/2025年/2028年/2030年におけるアーキテクチャの変遷と各年におけるプレイヤーの関係性の変化などを記載。今後のAI-DVに対応するうえで必要な情報を収録。 2025年の国内車載ソフトウェア市場は8,766億円を見込み、2030年には2兆円に達すると予測。 2026年3月に矢野経済研究所発行。 本レポートは従来、『車載用ソフトウェア市場の実態と展望 vol.2 OEM、Tier.1、2編』と題して継続してきたレポートの最新版である。従来の車載ソフトウェア市場の動向を押さえるとともに、2028年以降、クラウドベンダーの存在感が高まってきた際に、車載ソフトウェア市場にどのような影響を与えるのか、OEMやTier.1、2に加えて、クラウドベンダー等との意見交換を通じて、シナリオを検討、2035年までの方向性を提示していく。 特にCASEからSDVへと移り変わるなか、AIエージェントを筆頭にAIを積極的に取入れていく動きが勃興、まだ定義はかなり曖昧ではあるものの、「AI-DV」との言葉が出始めており、タイトルの変更を行った。本レポートでは、OEMおよびサプライヤーの視点から制御系や車載IT系、SDV、今後勃興が想定されるAI-DVの構成比がどのように移り変わっていくのか、また実際のアーキテクチャの変遷を含め、以下4点について明らかしていく。 (1)車載ソフトウェア市場の市場規模 (2)車載ソフトウェア市場における制御系/車載IT 系/SDV/AIDV 別シェア (3)車載ソフトウェア市場における参入企業別シェア (4)車載ソフトウェアに関するアーキテクチャ(2018年/2025年/2028年/2030年)

YanoICT(矢野経済研究所ICT・金融ユニット)は、お客様のご要望に合わせたオリジナル調査を無料でプランニングいたします。相談をご希望の方、ご興味をお持ちの方は、こちらからお問い合わせください。

YanoICTサイト全般に関するお問い合わせ、ご質問やご不明点がございましたら、こちらからお問い合わせください。

東京カスタマーセンター

03-5371-6901
03-5371-6970

大阪カスタマーセンター

06-6266-1382
06-6266-1422