矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

Daily column

2 25
2026
「KDDIなど、au Starlink Stationを活用し山岳トンネルの遠隔巡回実証に成功」
KDDI、KDDIスマートドローン 、清水建設の三社は2月9日、北海道縦貫自動車道 七飯町 のトンネル新設工事の建設現場で、衛星ブロードバンド通信「Starlink」を活用した「au Starlink Station」と、自動離着陸機能を備えたドローンポート「Skydio Dock for X10」を活用し、遠隔巡回の実証(以下、本実証) を実施したと発表した。本実証で三社は通信ケーブルの追加工事等を行わず、山岳トンネル坑内のドローンの自律航行を実現した。これにより、ドローンカメラの映像を基に遠隔で坑内を巡回できることを確認した。 KDDIスマートドローンによると、衛星通信をバックホールとした通信エリア化により「Skydio Dock for X10」を活用した山岳トンネル坑内の遠隔巡回の成功は、国内初 という(2026年2月9日時点)。   山岳トンネルの建設現場では、強大な土圧に伴う掘削面 等の変状、排水設備の故障による冠水などに即時対応するため、定常的に坑内を監視する必要がある。特に長期休工中にも対応が必要となるため、人による定時巡回が一般的である。 定期巡回の際には、トンネル坑内の通信環境を整備するため、掘削の進捗に応じて作業員が固定カメラやWi‑Fi機器を設置し、通信ケーブルの延伸、移設・再設定を行う。こうした作業が必要となる一方、通信環境が脆弱なため、仮に機器を設置したとしても、トンネル坑内全体を確認することができないという課題があった。   本実証では、建設現場を無人化し、「Skydio Dock for X10」に格納された「Skydio X10」が、あらかじめ設定されたスケジュールに基づき自動で離陸、その後トンネル内を自律航行し、「Skydio X10」の高精度カメラによって撮影した映像をリアルタイムで、遠隔地の3拠点(東京と北海道)へ伝送した。このように遠隔地から坑内巡回を実施することで、作業員の現場への移動時間削減、安全確保につなげることができる。 建設業界はかねてから、人手不足が指摘されている。一方、建設後50年以上経過した社会インフラは増加しており、新設や維持管理・修繕需要は、これから加速度的な増加が見込まれている。こうしたニーズに応えるためにも、大手企業がトンネルやダムなど多様な現場での実証実験を積み重ね、自動化技術の社会実装を主導することが求められている。ユースケースを積み重ね、その成果を業界全体で共有することで、国内の社会インフラの持続可能性を担保できるといえる。
2 24
2026
【今週の"ひらめき"視点】米国への留学生、20万人減。優秀な人材を日本へ呼び込むチャンス!
当社代表が最新のニュースを題材に時代の本質、変化の予兆に切り込みます。   2月17日、文部科学省は東北大学、筑波大学、広島大学の3大学11学部に対して外国人留学生の定員枠拡大特例を2026年度から認めると発表した。特例の認定に際しては定員の充足率、財政状況などの要件に加えて、「必須条件ではない」としながらも教育の質の向上と受け入れ環境整備にあてるための「授業料の値上げ」に関する方針が問われた。 国立大学は、それぞれの大学の裁量で決定できる授業料は“標準額53万5800円の1.2倍まで”と制限されている。しかし、昨年、国は留学生を対象にこの上限規制を撤廃、これを受けて東北大学は2027年度以降に入学する留学生の授業料を90万円、約1.7倍に引き上げると発表した。筑波大、広島大も値上げの方針を決定している。2024年、外国人留学生の総数は33万6708人、約9割がアジア圏からであり、新興・途上国からの留学希望者も増えつつある。大学は値上げ分を適切に留学生支援に投じるとともに地域と連携した支援体制づくりを進めていただきたい。 さて、こう書くと「留学生ばかりが優遇され、日本人が冷遇されている」といった声も聞こえてくる。国は、国費外国人留学生(11,157人)のための185億円を含め、留学生の受け入れ拡大のために総額271億円の国費を準備する(R7年度要求・要望額、文部科学省)。とは言え、日本人学生には給付型の奨学金が1,954億円、貸与型をあわせると1兆613億円の経済的支援が用意される(R7年度予算、日本学生支援機構)。対象者数は国費外国人留学生の180倍に相当する規模である。そもそも優秀な学生が経済的理由で進学を諦めることのないようにする制度と優秀な外国人留学生を日本に呼び込むための施策は狙いが異なる。 米商務省によると2025年の米国への海外からの留学生は127万人、前年比13.5%減となった。日本からの留学生も1割減の2万8千人にとどまった。言うまでもなくトランプ政権による移民政策と厳格な入国規制が背景にある。政府は「2033年までに外国人留学生を40万人に拡大する」との計画である。そう、今が好機である。しかしながら、本当のゴールは“40万人”のその先にある。卒業後も彼らが自分自身の未来を日本というフィールドに思い描けるような社会をつくること、ここが最終目標だ。そうあってはじめて多様な文化的背景を持った若く優秀な才能が日本の成長原資となり得る。 今週の“ひらめき”視点 2026.2.15 - 2.19 代表取締役社長 水越 孝
2 20
2026
「老朽インフラの維持管理で注目されるITモニタリング➁」
■ITモニタリング対象 インフラモニタリングでの主対象となる橋梁、道路及びトンネルの概況を記載する。主要インフラである橋梁及びトンネルでは、2020年以降に建設後50年を超えるものが急速に増える見通しであり、この両施設がインフラモニタリングで最大のターゲットになる。   ◇橋梁 ・橋長2m以上の橋梁数は全国で約70万橋 ・管理者別構成は、市町村68%、政令市7%、都道府県19%、国4%、高速道路会社2% ・市町村が管理する橋梁(約48万橋)の中で、通行止めや通行規制が掛っているところが約2,000ケ所。この数は、毎年10%以上の割合で増えている(5年で倍増) ・現在では、町の50%、村の70%で土木技術者がいない、もしくは不足していると見られる ・2020年代以降、全国橋梁で一斉に建設後50年超となることから、予防保全的な橋梁マネジメントニーズが不可欠になった   ◇トンネル ・道路トンネル数は全国で約10,300本 ・管理者別構成は、市町村23%、政令市3%、都道府県46%、国13%、高速道路会社15% ・国交省及び高速道路事業者が管理しているトンネルのうち、高度経済成長期に建設されたものが全体の25%を占める ・国交省が策定した「道路トンネル定期点検要領(2014年6月)」では、定期点検の実施頻度を5年に1回としている   ◇道路 ・道路タイプ別では、高速道路9,351km、一般国道66,657km、都道府県道143,046km、市町村道1,066,459kmで、道路総延長は1,285,431k ・全体の83.0%が市町村道で圧倒的な比重。以下、11.1%が都道府県道、一般国道は5.2%、高速自動車国道は0.7%と構成比的には若干程度 ・高速道路及び直轄国道などでは、ほぼインフラの維持管理に向けた取り組みがなされている。しかし市町村道などでは予算的な制約もあって、維持管理でのカバー率は低い   ※続くかもしれない
2 19
2026
「老朽インフラの維持管理で注目されるITモニタリング①」
日本のインフラストックは累計800兆円超と言われているが、その老朽化が急速に進展している。民間の鉄道や高速道路事業者などでは、維持管理(安全・安心)・モニタリングへの資本投下は一定水準が維持されているが、一方で行政(国や自治体など)の関連予算は中・長期的には厳しい状況が予想される。そのため老朽インフラ対応では、特に地方自治体を中心とした行政の取り組みは課題になる。   現在、日本の債務残高(国と地方を含めた長期債務残高)は1,000兆円を超えており、これに借入金や政府短期証券を含めるとゆうに1,500兆円前後にたっする規模になる。このため、債務残高のGDP比では主要先進国の中では極端に大きな比率を占めている。加えて、日本の高齢化率(65歳以上人口比率)は世界トップクラスで、当然、今後の社会保障関連予算の膨張も見込まれる。 このような財政状況ではインフラの新設は難しく、必然的に既設インフラの長寿命化が重要になる。しかし目視点検をベースとした座組では、人的・予算的な制約もあって、全インフラを点検することは不可能である。現実には、点検や保全対応ができないインフラも出ている。   ここでIoTを始めとしたITテクノロジーをベースとした「ITモニタリングビジネス」が注目される。この仕組み(予防保全的な仕組み)の導入で、インフラの維持管理に係る保全コストの抑制、業務効率の向上・省人化、さらには老朽インフラ対応問題の改善が期待できる。つまり既設インフラの寿命延長を実現することで、従来とは違ったメンテナンスサイクルを創出するのである。 ※続く

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11 28
2025
2025 SDV時代における車載アプリケーション市場の徹底研究 ~アーキテクチャとビジネスモデルの将来像~
従前より車載ソフトウェア市場をウォッチしてきたが、今回は車載アプリケーション側にフォーカスした調査を実施した。車載アプリケーションについて、従来より各ドメイン(車両制御/ADAS系/ボディ系/情報系)に紐づく形でアプリケーションが存在し、サイロ化の状態にある。E/Eアーキテクチャもドメインベースで機能ごとに分割する形で構成してきた。 そうしたなか、トヨタ自動車のビークルOS「Arene」をはじめとしたビークルOSの登場に伴い、ドメイン間の連携をとるための統合化層(HAL)を設け、当初は情報系およびボディ系の一部をカバーしてきたものの、徐々にADAS系へとカバー範囲が拡充していくにつれ、サイロは縮小しドメイン間の連携に向けた動きが徐々に出てきている。 また、アプリケーションも徐々にAIや生成AIを取り込みながら、ドメイン間の連携などの進化も背景に、コンシェルジュサービスやIVIを用いたサービスを筆頭に、よりパーソナライズされたアプリケーションが出てくる可能性がある一方、アプリケーションの開発に際しては、スマートデバイスのそれと異なり、安全確保に係る各種規制を押さえた開発が必要となる。本レポートにおいてはアプリケーションの広がりと併せて主たる規制などについても取り上げた。 本調査においては、車載アプリケーション市場について、車載アプリケーションと車載プラットフォーム(ビークルOSなど)に区分したうえで、各々の市場について市場規模と併せて、アーキテクチャの変遷など以下3点を中心に明らかにする。 (1)車載アプリケーション市場の市場規模(2021年~2030年) (2)プラットフォームサービスおよびアプリケーションに関するアーキテクチャおよびその変遷(2018年~2030年) (3)車載アプリケーションにおけるビジネスモデル

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