株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内のアフィリエイト市場を調査し、市場概況、アフィリエイトサービス事業者(ASP)の動向を明らかにした。
【図表:国内アフィリエイト市場規模推移と予測】
【図表:事業者セグメント別(モール型・独自型/主要ASP/その他新興ASPなど)シェア】
2024年から2025年にかけての主要アフィリエイトサービス事業者(ASP)の業績は、以前と比べて成長鈍化の傾向がみられる。一部広告主の業績低迷による予算縮小や、KPI評価の厳格化に伴う広告単価の下落、成果効率の低下が主な要因である。加えて、生成AIの普及や検索環境の変化により、ユーザーの情報取得行動が変化し、アフィリエイトサイトへの流入減少も影響している。
一方、ECモール型や特定分野では堅調な需要が続いており、市場全体は底堅く推移している。こうした状況を踏まえ、2024年度の国内アフィリエイト市場規模は前年比106.5%の4,379億円、2025年度は同105.0%の4,598億円に達すると見込む。
■AIの進展がアフィリエイト市場に与える影響とASP売上への影響
●AIの進展がアフィリエイト市場に与える影響
AI技術の進展は、アフィリエイト市場に対して多面的な影響を及ぼしている。ポジティブな側面として、広告クリエイティブ制作支援、営業支援、データ分析などの効率化が挙げられる。AIの活用により、従来は外注や多大な工数を要した制作業務が低コストかつ短時間で実施可能となり、広告主・メディア・ASPの運用効率が向上している。また、分析精度の向上によりアフィリエイトの貢献度が再評価され、予算配分の見直しにつながる可能性もある。
一方、AI要約機能の普及により検索結果からの流入が減少しており、SEOメディアを中心にトラフィック低下が生じている。今後はAIの活用が市場の機会とリスクの双方として作用するとみる。
●ASP売上への影響:現時点では限定的
主要ASP各社へのヒアリング結果によると、2024~2025年時点において、AIの進展がASPの売上に直接的かつ大幅なマイナス影響を及ぼしている状況は限定的である。AI Overviewsの導入等に伴い、オーガニック流入やクリック数の減少といったトラフィック面での変化は一部で確認されているものの、それがASP全体の売上減少に直結している事例は現時点では多くない。
その要因として、AI要約の引用元にアフィリエイトメディアが含まれることにより一定の成果が維持されている点や、影響が主としてSEOメディアに集中しており、SNSや動画等の他流入経路によって補完されている点が挙げられる。
一方、SEO依存度の高い一部メディアや特定ジャンルでは成果減少が見えつつあり、本格的な影響は中長期的に顕在化するとみている。
今後のアフィリエイト市場は、成長局面から成熟・再編局面へ移行しつつ、緩やかな成長率で推移すると見込まれる。現状では主要ASPの業績に成長率の鈍化傾向が見られるものの、今後は各社の事業戦略や注力領域の違いによって、業績面での差が拡大していくと当社では予測する。
今後、主要ASPにおいては、既存市場を巡る競争が一段と激化する中で、AIへの対応力や有力なメディアネットワークの構築が競争優位性を左右する重要なポイントになると当社では考える。
一方、EC利用率の上昇やEC化率の拡大を背景に、モール型アフィリエイトは引き続き堅調な成長を維持すると予測する。
これらの要因を踏まえると、アフィリエイト市場は過去のような年率10%を超える高成長は見込みにくいものの、中期的には年平均成長率(CAGR)約6%台の安定成長が続き、2029年度には市場規模が約5,883億円に達するものと予測する。
■レポートサマリー
●アフィリエイト市場に関する調査を実施(2025年)
●アフィリエイト市場に関する調査を実施(2024年)
●アフィリエイト市場に関する調査を実施(2022年)
●アフィリエイト市場に関する調査を実施(2021年)
●アフィリエイト市場に関する調査を実施(2020年)
■アナリストオピニオン
●AIの普及とアフィリエイトの再評価
■デイリーコラム
●【アナリスト便り】「2026アフィリエイト市場の動向と展望」を発刊
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調査対象:アフィリエイトサービス事業者(ASP:アフィリエイトサービスプロバイダ)、業界団体等
調査期間:2025年11月~2026年1月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)ならびにアンケート調査、文献調査併用
※アフィリエイト市場とは:アフィリエイトとは、Webサイトやブログ、SNSなどに、ある企業サイトへの広告(リンク)を張り、閲覧者がそのリンクを経由して当該企業のサイトで会員登録したり商品を購入すると、Webサイトやブログ、SNSなどのサイトオーナーに成果(コンバージョン)が発生した時に、一定額の報酬が支払われるという広告手法を指す。
本調査におけるアフィリエイト市場とは、①各種広告主とサイトオーナーを仲介し、広告主から広告料・手数料を得て、サイトオーナーに報酬を支払うASP(代理店)型、②仮想ショッピングモール出店事業者から取り扱い商品の販促目的で広告料・手数料を得て、サイトオーナーに報酬を支払うモール型、③自社のショッピングサイトにある商品・コンテンツの販促目的で自社が広告主となり、サイトオーナーに報酬を支払う独自型、④アフィリエイトに必要なトラッキングシステムや分析ツールを提供し、報酬を得るプラットフォーム型を対象とした。
なお、国内アフィリエイト市場規模はアフィリエイト広告の成果報酬額、手数料、諸費用(初期費用、月額費用、オプション費用等)などを合算し、算出している。
<市場に含まれる商品・サービス>
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