株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のアフィリエイト市場を調査し、市場概況、アフィリエイトサービス事業者(ASP)の動向を明らかにした。
【図表:国内アフィリエイト市場規模推移と予測】
2021年度の国内アフィリエイト市場規模は前年度比8.8%増の3,505億3,000万円と推計した。予算を抑えていた広告主の出稿が例年通りの傾向に戻り、市場は順調に伸びている。分野別では2021年度も引き続きコロナ禍の影響によりエステティックサロンなどの来店型や旅行業などの一部分野で業績低迷が続いていたが、一方で、金融やオンライン講座などのオンライン特化型サービス分野が大きく成長した。
2022年度はコロナ禍で在宅時間の増加により急増した分野(ビデオ・オン・デマンドなどの映像配信、食品宅配、インターネットなどの通信分野関連など)は落ち着いたものの、コロナ禍で打撃を受けた分野の回復や広告主のアフィリエイト広告への予算拡大、新規分野(オンラインを想定した新生活様式に合わせたサービスや商品分野)の開拓により、前年度以上の成長率が見込まれ、2022年度の国内アフィリエイト市場規模は前年度比9.7%増の3,846億5,000万円を見込んでいる。
■消費者庁ガイドライン強化による市場健全化の取り組み
近年、アフィリエイト広告に対する消費者庁のガイドラインが強化され、市場の健全化が図られている。2022年2月には消費者庁の「アフィリエイト広告等に関する検討会」から報告書が出され、景品表示法に基づく指針(「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」)が改定された。これにより行政ガイドラインにアフィリエイトに関する事項が追加された。
消費者に誤認を与えうるアフィリエイト広告を排除していくことが現行のアフィリエイト市場の大きな課題である。アフィリエイトサービス事業者(ASP)の多くは景品表示法に基づく指針の強化について、市場の健全化のための正しい取り組みであると認識しており、悪質な広告や事業者が排除されることによって中長期的にはアフィリエイト市場成長の促進要因になるものとみている。
現下、主要なアフィリエイトサービス事業者(ASP)の業績が堅調に推移し、さらに新興ASPによる取り扱いが増えることから市場は拡大基調にある。
業種別では、金融とインターネット通販(EC)分野が堅調に拡大している。2020年はコロナ禍の影響により、消費者のオンラインでの消費行動が活発化した。このような傾向は今後も継続し、オンラインでの情報量がさらに増加すると予想されることから、アフィリエイト市場も拡大するものとみる。
今後の市場成長性については、新興ASPによる取り扱いの増加や新規分野の開拓、新規広告主の市場参入、広告主のアフィリエイト広告への予算拡大などにより、2023年度から2026年度までの年平均成長率(CAGR)は10.0%で推移し、2026年度の国内アフィリエイト市場規模は5,639億円に達すると予測する。
■レポートサマリー
●アフィリエイト市場に関する調査を実施(2024年)
●アフィリエイト市場に関する調査を実施(2021年)
●アフィリエイト市場に関する調査を実施(2020年)
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調査対象:アフィリエイトサービス事業者(ASP:アフィリエイトサービスプロバイダ)、業界団体等
調査期間:2022年11月~2023年1月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびにアンケート調査、文献調査併用
※アフィリエイト市場とは:アフィリエイトとは、Webサイトやブログ、SNSなどに、ある企業サイトへの広告(リンク)を張り、閲覧者がそのリンクを経由して当該企業のサイトで会員登録したり商品を購入すると、Webサイトやブログ、SNSなどのサイトオーナーに成果(コンバージョン)が発生した時に、一定額の報酬が支払われるという広告手法を指す。
本調査におけるアフィリエイト市場とは、①各種広告主とサイトオーナーを仲介し、広告主から広告料・手数料を得て、サイトオーナーに報酬を支払うASP(代理店)型、②仮想ショッピングモール出店事業者から取り扱い商品の販促目的で広告料・手数料を得て、サイトオーナーに報酬を支払うモール型、③自社のショッピングサイトにある商品・コンテンツの販促目的で自社が広告主となり、サイトオーナーに報酬を支払う独自型、④アフィリエイトに必要なトラッキングシステムや分析ツールを提供し、報酬を得るプラットフォーム型を対象とした。
なお、国内アフィリエイト市場規模はアフィリエイト広告の成果報酬額、手数料、諸費用(初期費用、月額費用、オプション費用等)などを合算し、算出している。
<市場に含まれる商品・サービス>
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