株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のアフィリエイト市場を調査し、市場概況、アフィリエイトサービス事業者(ASP)の動向を明らかにした。
【図表:国内アフィリエイト市場規模推移と予測】
2023年度はクレジットカード系やカードローン等金融分野における一部広告主の予算縮小やコロナ禍以降急成長したEC分野の成長が鈍化したことで、前年度に比べて成長率は減少し、2023年度の国内アフィリエイト市場規模は前年度比107.2%の4,113億4,000万円となった。
2024年度も引き続き金融分野とEC分野において成長鈍化がみられる。一方、コロナ禍をきっかけにオンライン診療に関する法改正が行われ、オンラインクリニック分野のアフィリエイト需要が拡大している。また、2023年からステマ(ステルスマーケティング)規制が実施され、業務停止や罰金処分が課せられている。一部のアフィリエイトサービス事業者(ASP)の売上が縮小したり、新興ASPの中には淘汰されるような影響も出ると考えられる。
このような状況を踏まえ、2024年度の国内アフィリエイト市場規模は、前年度比106.5%の4,382億円の見込みである。
■不正行為への取り締まり強化により、業界全体の健全化が進展
2023年10月からステマ規制が実施され、メディアやASPにおいて、広告であることを隠して商品やサービスを宣伝する不正行為に対する管理体制が非常に重要となった。
また、2024年にかけて、これまで不正行為で売上を伸ばしていた悪質な事業者に対して、実際に業務停止や罰金処分が多く課されるようになり、アフィリエイト業界全体において健全化が進んでいくとみられる。最近では、特にSNSやYouTubeなどの広告プラットフォーム上で、「著名人なりすまし」の投資詐欺や、SNS系ロマンス詐欺が社会問題となっており、各広告プラットフォームの規制がさらに厳格化している。
2025年以降、新たな法規制がアフィリエイト業界に導入される見込みで、不正行為を繰り返す悪質業者は徐々に市場から淘汰されていくと期待されている。
国内アフィリエイト市場は今後も拡大していくものの、過去に比べて伸長率は穏やかに推移していくと予測する。
市場成長の要因としては、新たにアフィリエイトを利用する広告主やオンラインクリニックのような新規ジャンルからのアフィリエイト参入、若年層アフィリエイターによるメディア参加の増加、新しいECプラットフォームの登場などが挙げられる。
近年、ECの利用率の増加と共にモール型のビジネスによるアフィリエイト需要は好調に伸びている。これに加え、新たな大型ECプラットフォーム運営企業による自社アフィリエイトプログラムが登場する可能性は十分にあると考えられる。さらに、近年アフィリエイトに対する法規制の整備が進み、市場の健全化が進展している。これにより、不正が多発している他の広告プラットフォームにおける広告予算がアフィリエイトに流れてくる可能性もあると考えられる。
上記のような要因から、2023年度から2028年度までのアフィリエイト市場のCAGR(年平均成長率)は7.2%となり、2028年度の国内アフィリエイト市場規模は5,835億円に達すると予測する。
■レポートサマリー
●アフィリエイト市場に関する調査を実施(2024年)
●アフィリエイト市場に関する調査を実施(2022年)
●アフィリエイト市場に関する調査を実施(2021年)
●アフィリエイト市場に関する調査を実施(2020年)
■アナリストオピニオン
●AIの普及とアフィリエイトの再評価
■デイリーコラム
●【発刊裏話】「2025アフィリエイト市場の動向と展望」
●【アナリスト便り】「2025アフィリエイト市場の動向と展望」を発刊
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調査対象:アフィリエイトサービス事業者(ASP:アフィリエイトサービスプロバイダ)、業界団体等
調査期間:2024年11月~2025年1月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)ならびにアンケート調査、文献調査併用
※アフィリエイト市場とは:アフィリエイトとは、Webサイトやブログ、SNSなどに、ある企業サイトへの広告(リンク)を張り、閲覧者がそのリンクを経由して当該企業のサイトで会員登録したり商品を購入すると、Webサイトやブログ、SNSなどのサイトオーナーに成果(コンバージョン)が発生した時に、一定額の報酬が支払われるという広告手法を指す。
本調査におけるアフィリエイト市場とは、①各種広告主とサイトオーナーを仲介し、広告主から広告料・手数料を得て、サイトオーナーに報酬を支払うASP(代理店)型、②仮想ショッピングモール出店事業者から取り扱い商品の販促目的で広告料・手数料を得て、サイトオーナーに報酬を支払うモール型、③自社のショッピングサイトにある商品・コンテンツの販促目的で自社が広告主となり、サイトオーナーに報酬を支払う独自型、④アフィリエイトに必要なトラッキングシステムや分析ツールを提供し、報酬を得るプラットフォーム型を対象とした。
なお、国内アフィリエイト市場規模はアフィリエイト広告の成果報酬額、手数料、諸費用(初期費用、月額費用、オプション費用等)などを合算し、算出している。
<市場に含まれる商品・サービス>
各種のアフィリエイトサービス
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