株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のアフィリエイト市場を調査し、市場概況、アフィリエイトサービス事業者の動向を明らかにした。
【図表:国内アフィリエイト市場規模推移と予測】
2020年度のアフィリエイト市場規模は前年度比104.0%の3,221億円となった。2020年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、出稿量が減少し打撃を受けた分野(業種)もあったが、一方で巣ごもり需要などで急拡大した分野もあり、前年度から微増となった。
2021年度に入り、予算を抑えていた広告主の出稿が例年通りの傾向に戻ってきて、主要ASP(アフィリエイトサービスプロバイダ)各社の業績も回復あるいは成長する見込みである。ただし、業種別にみると、コロナ禍の長期化により、旅行業やエステティックサロンなどの店舗来店型の一部分野で引き続き業績低迷が続いている。一方、金融やオンライン特化型サービスなどの分野は大きく成長している。
また、コロナ禍で引き続きECの利用率が上昇し、Amazonや楽天などプラットフォーム(ECモール)に店舗を持ちながら、自社サイトでもアフィリエイト広告を展開する事業者の業績が非常に伸長しており、2021年度のアフィリエイト市場は前年度比108.4%の3,491億円と見込む。
■消費者庁の介入など、市場の健全化を図る取り組みの強化
2021年度の注目トピックとしては、市場の健全化を図る取り組みの強化があげられる。消費者庁の本格的な是正への取り組みやアフィリエイト広告等に関する検討会の開催などにより、悪質なアフィリエイト広告の撤退が本格化している。
2021年6月に規制違反のアフィリエイト広告に対する行政処分が実際に出されたことが背景となり、健康食品や化粧品、サプリメント等の広告主がアフィリエイト広告を終了するケースや、提携サイトを一気にクローズドして一部のメディアのみでアフィリエイト広告を展開するようになった事例が増えている。
このような行政の取り組みに対しては、ルールを守ってアフィリエイト広告を展開している広告主やASPには追い風として認識されている。虚偽・誇大広告によって売り上げを伸ばしている競合他社が排除され、適正な予算でより多くの有力なアフィリエイターと提携するチャンスが得られるとともに、市場の健全化が進むことでルールを守っているASPや広告主においてはビジネスを展開しやすい環境が整うため、中長期には市場成長のポジティブな要因になるであろう。
今後のアフィリエイト市場は10%前後の伸長率で推移し、2025年度のアフィリエイト市場規模は5,146億円まで拡大するものと予測する。 2022年度以降はコロナ禍がある程度落ち着くことで、リベンジ消費が発生する可能性や、大手広告代理店がASP事業を始めるケースなどの新規市場参入、新興勢力のASP成長、広告主におけるアフィリエイト広告のニーズ拡大、EC市場の成長、Amazonや楽天などモール型ASPの業績拡大などの要因から、アフィリエイト市場は引き続き成長する見通しである。
■クレジットカード市場
<ASP>
■レポートサマリー
●アフィリエイト市場に関する調査を実施(2024年)
●アフィリエイト市場に関する調査を実施(2022年)
●アフィリエイト市場に関する調査を実施(2020年)
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調査対象:アフィリエイトサービス事業者(ASP:アフィリエイトサービスプロバイダ)、広告代理店、業界有識者
調査期間:2021年11月~2022年1月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびにアンケート調査、文献調査併用
※アフィリエイトとは:アフィリエイトとは、Webサイトやブログ、SNSなどに、ある企業サイトへの広告(リンク)を張り、閲覧者がそのリンクを経由して当該企業のサイトで会員登録したり商品を購入すると、Webサイトやブログ、SNSなどのサイトオーナーに成果(コンバージョン)が発生した時に、一定額の報酬が支払われるという広告手法を指す。
本調査におけるアフィリエイトとは、①各種広告主とサイトオーナーを仲介し、広告主から広告料・手数料を得て、サイトオーナーに報酬を支払うASP(代理店)型、②仮想ショッピングモール出店事業者から取扱い商品の販促目的で広告料・手数料を得て、サイトオーナーに報酬を支払うモール型、③自社のショッピングサイトにある商品・コンテンツの販促目的で自社が広告主となり、サイトオーナーに報酬を支払う独自型、④アフィリエイトに必要なトラッキングシステムや分析ツールを提供し、報酬を得るプラットフォーム型を対象とした。
※アフィリエイト市場とは:本調査におけるアフィリエイト市場は、アフィリエイト広告の成果報酬額、手数料、諸費用(初期費用、月額費用、オプション費用等)などを合算し、算出した。
<市場に含まれる商品・サービス>
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