矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2025.12.26

ビジネスプリンタ市場に関する調査を実施(2025年)

ビジネスプリンタの世界市場、オフィスプリンタの国内市場を調査。需要全体は成長基調にあるものの、オフィス向けと業務・産業向けで二極化する可能性が高いと考える。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、ビジネスプリンタの世界市場、オフィスプリンタ国内市場を調査し、各出力機器の出荷台数・出荷金額、利用動向、参入企業シェア・動向、将来展望を明らかにした。ここでは一部の市場規模、ならびに分析結果を公表する。

「ビジネスプリンタ市場に関する調査を実施(2025年)」 小見出し一覧

【図表:オフィスプリンタ国内市場推移と予測】

【グラフ:オフィスプリンタ国内市場推移と予測】
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:メーカー出荷ベース(左軸は出荷数量、右軸は出荷金額)
  • 注:オフィスプリンタ国内市場規模はページプリンタ中-低速とMFP(複合機/複写機)を対象とし、合算値として算出している。
  • 注:2025年度以降は予測値

 

ビジネスプリンタ市場の概況

本調査におけるビジネスプリンタとは、オフィス向けのページプリンタ中-低速、業務・産業向けのラベル印刷やデジタル印刷、オンデマンド(POD)印刷が可能なプロダクションプリンタ、A2判以上の大きさの印刷ができるLFP(大判プリンタ、インクジェット方式)を対象とし、世界市場規模を算出している。

2024年度のビジネスプリンタ世界市場規模は、出荷台数ベースで前年度比107.6%の1,107万5,239台、出荷金額ベースで前年度比104.9%の1兆2,954億2,500万円となった。

ビジネスプリンタのうち、ページプリンタ中-低速においては、オフィス再編や在宅勤務の定着に伴う需要減が進行している。
また、業務・産業向けのプロダクションプリンタにおいては、2023年度以前ライトユーザー向けで比較的廉価モデルが伸長したことで、プロダクションプリンタ全体の裾野が一定の広がりをみせたが、2024年度は当該モデルの一巡感もあり、大幅な伸長には至らなかった。一方で、上位モデルへの移行が進んでいることによって、単価上昇による売上伸長が見られた。
LFP市場では、環境負荷軽減への対応を背景に、既存の有機溶剤系からの転換が行われ、市場を伸ばしていた水性系が一巡感から成熟市場に移り変わろうとしている。

ビジネスプリンタの出荷台数の継続的な増加にはメーカー各社は今後、ユーザー企業需要に応じた製品提案力そのものや、AI活用などのプリンタに付加価値を付けた差別化戦略を強化、充実させていく必要があると考える

▲小見出し一覧に戻る

 

ビジネスプリンタ市場の注目トピック

■オフィスプリンタ国内市場
国内におけるオフィスプリンタとは、ビジネスプリンタのうち、ページプリンタ中-低速とMFP(複合機/複写機)を対象にしている。

2024年度におけるオフィスプリンタ国内市場規模は、出荷台数ベースで、前年度比101.7%の121万6,933台、出荷金額ベースでは前年度比96.7%の3,489億8,000万円となった。新型コロナウイルス禍の回復需要の落ち着きによる急激な需要低下の影響を最小限にするため、2023年度から行われていた一部メーカーの出荷調整が完了したことで出荷台数ベースでは、一時的に需要が増加したが、出荷金額ベースでは縮小している。これは製品の平均単価がページプリンタ中-低速よりも高いMFPの出荷台数がマイナスになったことが影響している。

国内のオフィスプリンタ市場は、オフィス需要の低下やペーパーレス化の進展などにより、基本的には減少基調となっている。そのような中、一部のメーカーなどで合弁会社を設立する動きもあり、生産部品やサプライチェーンの共通化など、参画企業の生産効率の向上や各社の持つ技術力を共有し、これらを活用した相乗効果による市場の持ち直しが期待される。

▲小見出し一覧に戻る

 

ビジネスプリンタ市場の将来展望

2025年度のビジネスプリンタ世界市場規模は、出荷台数ベースで前年度比98.2%の1,088万30台、出荷金額ベースで同101.7%の1兆3,179億7,500万円になると予測する。

2025年度以降、世界市場におけるビジネスプリンタの需要は、全体で見れば依然として成長基調にあるものの、その成長はオフィス向けプリンタと業務・産業向けプリンタで二極化する可能性が高いと考える。すでに多くの企業において導入が進んでいるオフィス向けプリンタ市場は成熟しており、今後は高付加価値化、高単価化による売上伸長が主体となる。一方で、業務・産業向けプリンタ市場においてはアナログ印刷からデジタル印刷へのシフトが進んでおり、なかでも商業印刷やLFPの分野は、成長の余地も大きい。アナログ印刷の比率が高い分野へのデジタル印刷需要の開拓など、個別需要の深掘りをしていく必要がある。

▲小見出し一覧に戻る

 

参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

  • ビジネスプリンタの出荷台数及び売上高(2021~2027年度予/世界)
  • ビジネスプリンタの出荷台数及び売上高(2021~2027年度予/国内)
  • オフィスプリンタの出荷台数及び売上高(2021~2027年度予/国内)
  • ページ・中-低速の出荷台数及び売上高(2021~2027年度予/世界)
  • ページ中-低速のメーカー別出荷台数及び売上高(2023~2025年度予/世界)
  • ページ中-低速の出荷台数シェア(2023~2025年度予/世界)
  • ページ中-低速の売上高シェア(2023~2025年度予/世界)
  • ページ中-低速のチャネル別動向(2024年度/国内)
  • ページ中-低速の地域/国別出荷台数(2024年度)
  • ページ中-低速のカラー・モノクロ別構成(2024年度)
  • ページ中-低速の用紙サイズ別構成(2024年度/世界)
  • ページ中-低速の用紙サイズ別構成(2024年度/国内)
  • MFPの出荷台数及び売上高(2021~2027年度予/国内)
  • MFPのメーカー別出荷台数及び売上高(2023~2025年度予/国内)
  • MFPの出荷台数シェア(2023~2025年度予/国内)
  • MFPの売上高シェア(2023~2025年度予/国内)
  • MFPのチャネル別構成(2024年度/国内)
  • MFPのカラー・モノクロ及び用紙サイズ別出荷台数(2024年度/国内)
  • プロダクションプリンタの出荷台数及び売上高(2021~2027年度予/世界)
  • 方式別 プロダクションプリンタの出荷台数(2024年度/世界)
  • プロダクションプリンタの出荷台数/売上高(2021~2027年度予/国内)
  • カテゴリ別 プロダクションプリンタの成長率(2023~2025年度予/国内)
  • カテゴリ別 プロダクションプリンタの構成比(2023~2025年度予/国内)
  • プロダクションプリンタの集計対象製品
  • プロダクションプリンタ対象機種一覧
  • プロダクションプリンタの出荷台数/シェア(2024年度/世界)
  • 方式別 プロダクションプリンタの出荷台数シェア(2024年度/世界)
  • プロダクションプリンタの出荷台数(2023~2025年度予/国内)
  • プロダクションプリンタの出荷台数シェア(2023~2025年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(カラー上位)の出荷台数(2023~2025年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(カラー上位)出荷台数シェア(2023~2025年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(カラー中速)の出荷台数(2023~2025年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(カラー中低速Mid①)出荷台数(2023~2025年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(カラー中高速Mid②)出荷台数(2023~2025年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(カラー中速)出荷台数シェア(2023~2025年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(カラーLight-Pro)の出荷台数(2023~2025年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(カラーLight-Pro)出荷台数シェア(2023~2025年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(高速インクジェット)出荷台数(2023~2025年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(高速インクジェット)出荷台数シェア(2023~2025年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(モノクロ・全体)の出荷台数(2023~2025年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(モノクロ・全体)出荷台数シェア(2023~2025年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(モノクロ・商業印刷系)出荷台数シェア(2023~2025年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(モノクロ・トランザクション系)(2023~2025年度予/国内)
  • プロダクションプリンタの売上高/シェア(2024年度/世界)
  • 方式別 プロダクションプリンタ売上高シェア(2024年度/世界)
  • プロダクションプリンタの売上高(2023~2025年度予/国内)
  • プロダクションプリンタの売上高シェア(2023~2025年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(カラー上位)の売上高(2023~2025年度予/国内)
  • プロダクション(カラー上位)売上高シェア(2023~2025年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(カラー中速)の売上高(2023~2025年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(カラー中速)売上高シェア(2023~2025年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(カラーLight-Pro)売上高(2023~2025年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(カラーLight-Pro)売上高シェア(2023~2025年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(高速インクジェット)売上高(2023~2025年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(高速インクジェット)売上高シェア(2023~2025年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(モノクロ・全体)売上高(2023~2025年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(モノクロ・全体)売上高シェア(2023~2025年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(モノクロ・商業印刷系)売上高(2023~2025年度予/国内)
  • プロダクションプリンタ(モノクロ・トランザクション系)売上高シェア(2023~2025年度予/国内)
  • プロダクションプリンタのチャネル別構成(2024年度/国内)
  • 主要各社の商流と顧客の状況(2024年度)
  • プロダクションプリンタの地域/国別出荷台数(2024年度/全体)
  • プロダクションプリンタの地域/国別出荷台数(2024年度/インクジェット)
  • プロダクションプリンタの地域/国別出荷台数(2024年度/カラー)
  • プロダクションプリンタの地域/国別出荷台数(2024年度/モノクロ・全体)
  • LFP(IJ方式)の出荷台数及び売上高(2021~2027年度予/世界)
  • LFP(IJ方式)の出荷台数及び売上高(2021~2027年度予/国内)
  • LFP(IJ方式)の集計対象製品
  • LFPインクジェット方式 対象機種一覧(サイン&グラフィック)
  • LFPインクジェット方式 対象機種一覧(汎用)
  • LFPインクジェット方式 対象機種一覧(テキスタイル専用機/汎用機)
  • LFP(IJ方式)での用途拡大の状況
  • LFP(IJ方式)の主な用途例
  • LFP(IJ方式)の出荷台数(総計)とシェア(2023~2025年度予/世界)
  • LFP(IJ方式/水性系)の出荷台数とシェア(2023~2025年度予/世界)
  • LFP(IJ方式/水性系/CAD汎用)の出荷台数とシェア(2023~2025年度予/世界)
  • LFP(IJ方式/水性系/S&G全体)の出荷台数とシェア(2023~2025年度/世界)
  • LFP(IJ方式/水性系/S&G/純粋分(ラテックス、テキスタイルを除く))の出荷台数とシェア(2023~2025年度/世界)
  • LFP(IJ方式/ソルベント系)の出荷台数とシェア(2023~2025年度予/世界)
  • LFP(IJ方式/ソルベント系/プリント&カット機除)の出荷台数とシェア(2023~2025年度予/世界)
  • LFP(IJ方式/UV系)の出荷台数とシェア(2023~2025年度予/世界)
  • LFP(IJ方式)の出荷台数(総計)とシェア(2023~2025年度予/国内)
  • LFP(IJ方式/水性系)の出荷台数とシェア(2023~2025年度予/国内)
  • LFP(IJ 方式/水性系/CAD汎用)の出荷台数とシェア(2023~2025年度予/国内)
  • LFP(IJ方式/水性系/S&G全体)の出荷台数とシェア(2023~2025年度予/国内)
  • LFP(IJ方式/ソルベント系)の出荷台数とシェア(2023~2025年度予/国内)
  • LFP(IJ方式/UV系)の出荷台数とシェア(2023~2025年度予/国内)
  • LFP(IJ方式)の売上高(総計)とシェア(2023~2025年度予/世界)
  • LFP(IJ方式/水性系)の売上高とシェア(2023~2025年度予/世界)
  • LFP(IJ方式/ソルベント系)の売上高とシェア(2023~2025年度予/世界)
  • LFP(IJ方式)の売上高(総計)とシェア(2023年~2025年度予/国内)
  • LFP(IJ方式/水性系)の売上高とシェア(2023~2025年度予/国内)
  • LFP(IJ方式/ソルベント系)の売上高とシェア(2023~2025年度予/国内)
  • LFP(IJ方式)の地域/国別出荷台数(2024年度/世界)
  • テキスタイル専用プリンタ出荷台数及び売上高(2021~2027年度予/世界)
  • テキスタイル専用プリンタの方式別出荷台数(2023~2025年度予)
  • テキスタイル専用プリンタの集計対象製品
  • ラテックスプリンタの出荷台数及び売上高(2021~2027年度予/世界)
  • UVプリンタの出荷台数及び売上高(2021~2027年度予/世界)
  • LFP(卓上・小型機)プリンタの出荷台数及び売上高(2021~2027年度予/世界)
  • LFP(卓上・小型機)プリンタの集計対象製品
  • LFP(卓上・小型機)プリンタの主要参入企業
  • メーカー別LFP(卓上・小型機)プリンタの出荷台数(2023~2025年度予)及びシェア(2023~2025年度予)
  • イーデーエム株式会社
  • 株式会社日本HP
  • エトリア株式会社
  • セイコーエプソン株式会社(エプソン販売株式会社)
  • キヤノン株式会社
  • コニカミノルタ株式会社
  • 株式会社SCREENグラフィックソリューションズ
  • 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
  • ブラザー工業株式会社
  • 株式会社ミマキエンジニアリング
  • 株式会社ミヤコシ
  • 武藤工業株式会社
  • 株式会社リコー

▲小見出し一覧に戻る

 

関連リンク

■レポートサマリー
業務・産業向けプリンタ世界市場に関する調査を実施(2024年)

■アナリストオピニオン
2つの合弁会社がもたらす業界再編への期待
プリンタの新たな可能性をどこに見出すか?

■デイリーコラム
【発刊裏話】「2025年 ビジネスプリンタ市場の実態と展望」
【アナリスト便り】「2025年 ビジネスプリンタ市場の実態と展望」を発刊

■同カテゴリー
[周辺機器]カテゴリ コンテンツ一覧
[グローバル・海外]カテゴリ コンテンツ一覧

▲小見出し一覧に戻る

 

オリジナル情報が掲載されたショートレポートをお求めやすい価格でご利用いただけます!

【ショートレポートに掲載されているオリジナル情報】
   Aパターン
  • 注目セグメント別の動向
    • UVプリンタ市場
  • 注目トピックの追加情報
  • 将来展望の追加情報
以下の 利用方法を確認する ボタン↓から詳細をご確認ください

利用方法を確認する


調査要綱

調査対象:プリンタメーカー・販売店、パートナー事業者等
調査期間:2025年4月~6月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mail等によるヒアリング調査併用

※ビジネスプリンタとは:本調査におけるプリンタ(出力機器)とは、①オフィス向け(ページプリンタ中-低速)、②業務・産業向け(プロダクションプリンタ、インクジェット方式のLFP(Large Format Printer:大判プリンタ)を対象とした。また、LFP(大判プリンタのインクジェット方式)市場の内数には、テキスタイル専用プリンタ(ダイレクト捺染プリンタ、ガーメントプリンタ、昇華転写プリンタ専用機、DTF(Direct to Film)プリンタ)や、ラテックスプリンタ、UVプリンタ、LFP(卓上・小型機)を含んでいる。
本調査におけるビジネスプリンタとは、オフィス向けのページプリンタ中-低速、業務・産業向けのラベル印刷やデジタル印刷、オンデマンド(POD)印刷が可能なプロダクションプリンタ、A2判以上の大きさの印刷ができるLFP(大判プリンタのインクジェット方式)を対象とし、世界市場規模を算出している。また、国内におけるオフィスプリンタとは、ビジネスプリンタのうち、ページプリンタ中-低速とMFP(複合機/複写機)を対象にしている。

<市場に含まれる商品・サービス>
プロダクションプリンタ、LFP(インクジェット方式)、ページプリンタ中-低速

関連マーケットレポート
山内 翔平(ヤマウチ ショウヘイ) 研究員
ICTの分野では、最新の動向やトレンドが絶え間なく変わり、新陳代謝の激しい業界です。 有意義かつ新鮮な情報をご提供するために、現場の声を直接お聞きし、お客様に寄り添った提案ができるよう、努めてまいります。

YanoICT(矢野経済研究所ICT・金融ユニット)は、お客様のご要望に合わせたオリジナル調査を無料でプランニングいたします。相談をご希望の方、ご興味をお持ちの方は、こちらからお問い合わせください。

YanoICTサイト全般に関するお問い合わせ、ご質問やご不明点がございましたら、こちらからお問い合わせください。

東京カスタマーセンター

03-5371-6901
03-5371-6970

大阪カスタマーセンター

06-6266-1382
06-6266-1422