株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、ビジネスプリンタの世界市場、オフィスプリンタ国内市場を調査し、各出力機器の出荷台数・出荷金額、利用動向、参入企業シェア・動向、将来展望を明らかにした。ここでは一部の市場規模、ならびに分析結果を公表する。
【図表:ビジネスプリンタ世界市場推移と予測】
2025年度のビジネスプリンタ世界市場規模(メーカー出荷ベース)は、出荷台数が前年度比97.9%の1,083万7,146台、出荷金額が前年度比101%の1兆3,083億1,000万円となった。
カテゴリ別にみると、プロダクションプリンタは、出荷台数が前年度比101.0%の9万3,781台、出荷金額が前年度比103.0%の6,467億2,000万円となり、微増で推移した。LFP(インクジェット方式)は、出荷台数が前年度比101.0%の33万4,030台、出荷金額が前年度比100.8%の2,950億8,000万円となり、こちらも微増を維持した。一方、構成比の大きいページ中-低速プリンタは、出荷台数が前年度比97.7%の1,040万9,335台となり、オフィス需要の低下やペーパーレス化の進展を背景に減少基調が鮮明になった。
国内市場規模(メーカー出荷ベース)は、2025年度の出荷台数が前年度比99.2%の125万500台となった。ページ中-低速プリンタが前年度比97.2%の52万2,500台と減少した一方、MFPは前年度比100.7%の68万4,620台と微増に転じた。プロダクションプリンタは、出荷台数が前年度比98.9%の1万687台と微減となったものの、出荷金額は前年度比100.4%の573億1,500万円と微増を維持した。LFP(インクジェット方式)は出荷台数が前年度比101.2%の3万2,693台、出荷金額が前年度比101.3%の204億9,000万円と底堅く推移した。
■プロダクションプリンタにおける高速インクジェット方式の拡大とデジタルシフトの加速
プロダクションプリンタ市場では、電子写真方式が依然として市場の大半を占めているものの、インクジェット方式の存在感が着実に高まっている。
世界市場では、2025年度のプロダクションプリンタにおける方式別出荷台数の構成比は、電子写真方式(カラー)と電子写真方式(モノクロ)が合計98.1%を占める一方、インクジェット方式は1.8%にとどまる。ただし、インクジェット方式は多品種・小ロット印刷や、宛名など一枚ごとに内容を変えて印刷するバリアブル(可変)印刷への対応力、色の表現性、刷版を製版して印刷するオフセット印刷に匹敵する品質を強みとして、緩やかながら拡大が続いている。
国内市場では、高速インクジェット機の2025年度出荷台数は増加基調を維持した。オフセット印刷からデジタル印刷への転換を検討するユーザーの拡大、ラベル印刷分野でのデジタル機へのリプレイス需要、軟包装をはじめとする産業印刷分野での小ロット対応ニーズが市場拡大を後押ししている。環境規制への対応意識の高まりを背景に、製版工程が不要でCO2排出量の削減にも寄与するデジタル印刷機への関心は引き続き高まっており、アナログ印刷からデジタル印刷へのシフトが今後も継続するとみる。また、ラベル印刷分野はアナログ印刷の比率が依然として高く、デジタル機への転換余地が大きい分野と言える。
2026年度以降のビジネスプリンタ世界市場規模は、カテゴリごとの方向性がより明確になるとみる。ページ中-低速プリンタは、オフィス需要の縮小とペーパーレス化を背景に減少基調が続き、2026年度の世界出荷台数は前年度比98.5%の1,025万1,500台(メーカー出荷ベース)と予測する。一方、プロダクションプリンタはインクジェット方式やラベル印刷分野を中心に緩やかな拡大が見込まれ、LFP(インクジェット方式)もインクを瞬時に硬化することで消費電力を大幅に低減できるUV系プリンタや環境に配慮した製品を中心に底堅く推移するとみる。
国内市場規模は、2026年度のプロダクションプリンタは出荷台数が前年度比99.5%の1万633台、出荷金額が前年度比100.5%の575億7,300万円(メーカー出荷ベース)と横ばいでの推移を予測する。MFPは印刷機としてだけではなく、ITサービスと組み合わせたソリューション提案の深化と業界再編による影響から、2026?2028年度にかけて前年度比101%前後での手堅い推移が見込まれる。
2028年度に向けた中期的な展望としては、オフィスプリンタの構造的な縮小を前提としつつ、MFPのITサービス等との連携強化、プロダクションプリンタの高付加価値化、LFP(インクジェット方式)の用途拡大・環境対応が市場維持の要素になるとみる。
ビジネスプリンタ世界市場規模は、2028年度にかけて出荷台数ベースでは緩やかな減少基調が続く一方、上位モデルやUV系プリンタ、業務支援ソリューションとの組み合わせにより、出荷金額ベースでは一定の下支えが期待される。ハードウェア単体の性能競争から、ワークフロー自動化・AI活用・環境対応・用途開発を含めたソリューション提案力が市場維持・拡大の鍵となる局面が続くとみる。
■レポートサマリー
●ビジネスプリンタ市場に関する調査を実施(2025年)
●業務・産業向けプリンタ世界市場に関する調査を実施(2024年)
■アナリストオピニオン
●ラベルプリンタはデジタル印刷領域の新たな事業の柱となるか
●2つの合弁会社がもたらす業界再編への期待
●プリンタの新たな可能性をどこに見出すか?
■デイリーコラム
●【発刊裏話】2026年 ビジネスプリンタ市場の実態と展望
●【アナリスト便り】「2026年 ビジネスプリンタ市場の実態と展望」を発刊
■同カテゴリー
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調査対象:プリンタメーカー・販売店、パートナー事業者等
調査期間:2026年4月~6月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mail等によるヒアリング調査併用
※ビジネスプリンタとは:本調査におけるプリンタ(出力機器)とは、オフィスや商業印刷・産業印刷の現場で使用される、①プロダクションプリンタ、②ページ中-低速プリンタ、③MFP(Multi-Function Printer:複写機/複合機)、④インクジェット方式のLFP(Large Format Printer:大判プリンタ)を対象としている。また、LFP(インクジェット方式)市場の内数には、テキスタイル専用プリンタ(ダイレクト捺染プリンタ、ガーメントプリンタ、昇華転写プリンタ専用機)、ラテックスプリンタ、UVプリンタ、LFP(卓上・小型機)を含んでいる。
ビジネスプリンタ世界市場は、プロダクションプリンタ、ページ中-低速プリンタ、LFP(インクジェット方式)、の3カテゴリとし、ビジネスプリンタ国内市場は、これにMFPを加えた4カテゴリを対象とする。
<市場に含まれる商品・サービス>
プロダクションプリンタ、ページ中-低速プリンタ、MFP(複写機/複合機)、LFP(インクジェット方式)
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