矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2024.08.29

ポイントサービス市場に関する調査を実施(2024年)

スの2023年度市場規模は約2.7兆円と推計。キャッシュレス決済の普及やポイ活の一般化がポイント発行額を押し上げる要因に。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のポイントサービス市場を調査し、現況、参入企業の動向、および将来展望を明らかにした。

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【図表:国内ポイントサービス市場規模予測】

【図表:国内ポイントサービス市場規模予測】
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:ポイント発行額ベース。
  • 注:2024年度は見込値、2025年度以降は予測値。
  • 注:特定の企業・団体や企業グループが提供するサービス・商品の購入等に対して、発行されるポイントやマイレージ等を対象とし、市場規模は民間企業によるポイント発行額で算出している。

 

ポイントサービス市場の概況

2023年度の国内ポイントサービス市場規模(ポイント発行額ベース)は、2兆6,569億円まで拡大し、2024年度には前年度比104.7%の2兆7,831億円になる見込みである。

2020年度以降、コロナ禍で一部の業種では消費が落ち込んでいたが、既に多くの業種で2019年度以前に近い水準まで消費が回復傾向にあり、国内におけるポイント発行額は拡大基調にある。
共通ポイントサービス提供事業者では、引き続き消費者が日常利用する店舗・サービスを対象に加盟店の開拓を進めており、加盟店舗数は拡大している。また、キャッシュレス決済の進展により、コード決済やクレジットカードの取扱高が増加したことで、ポイント発行額は伸長した。
さらに、ポイントを効率的かつ最大限獲得する活動、いわゆる「ポイ活」が消費者間で一般化したことで、ポイントを意識的に獲得するユーザーが増加したことも、ポイント発行額を押し上げる要因となった。

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ポイントサービス市場の注目トピック

■ポイントを中心とした経済圏の拡大
共通ポイントサービス提供事業者は、一部事業者を除き、自社またはグループ企業間で通信回線やコード決済、クレジットカード、証券、保険、銀行、ECなど様々なサービスを提供し、いわゆる「経済圏」を構築している。各社は、経済圏として消費者が日常的に利用するサービスを複数提供することで、ユーザーとの長期的な関係構築を図り、顧客一人ひとりの生涯にわたる価値、つまりLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の向上を狙う。ポイントはその経済圏において、サービスの利用に応じて発行され、ユーザーへのサービス利用を促すなど、中心的な役割を果たしている。

また、経済圏のなかには、提供しているサービスの利用度合いに応じて、コード決済やEC決済時のポイント還元率を高めるプログラムを提供しているものがある。その高い還元率の獲得を目的に、一部のユーザーでは利用するサービスを特定の経済圏に集中させる動きも見られる。
それらのポイントを中心とした経済圏における会員基盤と各サービスのIDを連携することで、ユーザー属性データおよび購買データの一元化が可能となり、事業者はユーザー一人ひとりに向けて最適化されたマーケティング施策を実施しやすくなる。今後も、ポイント経済圏を志向する事業者においては、LTV向上のため、ユーザーが日常で利用するサービスの強化や拡充を行いながら、自社サービスに対するキャンペーンで積極的にポイントを発行すると考えられる。

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ポイントサービス市場の将来展望

キャッシュレス決済の普及やポイント経済圏の拡大、共通ポイント加盟店の拡大、ハウスポイント提供企業の増加などの要因により、今後も市場は成長し、2028年度の国内ポイントサービス市場規模は3兆2,838億円まで拡大すると予測する。

キャッシュレス決済の普及率上昇に伴い、今後もクレジットカードやコード決済の取扱高は増える見込みで、それに応じてポイント発行額も伸びる。また、ポイント経済圏を志向する事業者においては、自社サービスの利用に応じたポイントの発行に加え、新規ユーザーの獲得を目的としたキャンペーンの積極的な実施が見込まれることからも、共通ポイント発行額が増加すると予測する。
さらに、ポイント経済圏の拡大は、加盟店に対してもプラスに働く。加盟店としては、積極的にポイントを貯める利用者やポイントの利用される機会が豊富なほど、販促の観点で有効となる。そのため、共通ポイントサービス提供事業者は経済圏内で豊富にポイントを発行し、加盟店で充当するといった一連のサイクルの確立が欠かせない。

​なお、共通ポイント以外に、ハウスポイントを導入する事業者の増加も見込まれる。これまで、ポイントサービスは流通・小売業での集客・囲い込みの観点での利用が多かったが、今後は新たな業態でもポイントサービスの活用が進むとみられる。新たにポイントサービスを導入する事業者では、ポイントによる集客や囲い込みに加えて、会員組織化を通じた会員データの獲得に重きが置かれるようになると考える。

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

  • ポイント発行額推移(2020~2024年度見込)
  • ポイント発行額の業績別シェア(2023年度)
  • 国内ポイント発行額予測(2023~2028年度予測:億円)
  • 業種別ポイント発行額推移と予測(2020~2028年度予測)
  • 共通ポイントサービス/ポイント交換サービスの分類
  • 主要共通ポイントサービスの概要
  • ポイント付与(共通ポイントサービス提供事業者が利用者に共通ポイントを付与)
  • ポイント充当(利用者が消費する共通ポイントが加盟店の商品・サービスに充当)
  • 加盟店における共通ポイント発行手数料(1ポイント当たり)
  • 共通ポイントサービス市場規模推移(ポイント発行額ベース)
  • 共通ポイントサービス市場シェア(ポイント発行額ベース)
  • PayPayポイントを含む共通ポイントサービス市場規模推移(ポイント発行額ベース)
  • PayPayポイントを含む共通ポイントサービス市場シェア(ポイント発行額ベース)
  • 業界・提携先別ポイント
  • 事業戦略
  • 加盟店拡大に向けた取組み
  • スマートフォンアプリを活用した取組み
  • データ分析やCRMに関する取組み
  • 金融サービスに関する取組み
  • 今後の方向性
  • 課題
  • 市場に関する見解
  • 共通ポイントサービス市場規模予測(ポイント発行額ベース)
  • 共通ポイントサービス市場シェア(2028年度:ポイント発行額ベース)
  • PayPayポイントを含む共通ポイントサービス市場規模予測(2028年度:ポイント発行額ベース)
  • PayPayポイントを含む共通ポイントサービス市場シェア(2028年度:ポイント発行額ベース)
  • 共通ポイントサービス提供事業者の実態
    • 楽天ペイメント株式会社(楽天ポイントカード)
    • 株式会社NTTドコモ(dポイント)
    • 株式会社ロイヤリティ マーケティング(Ponta)
    • CCCMKホールディングス株式会社(Vポイント)
    • PayPay株式会社(PayPayポイント)
  • 主要ポイント交換サービスの概要
  • ポイント交換サービス市場規模推移(流通額ベース)
  • ポイント交換サービス提供事業者の実態
    • ジー・プラン株式会社(Gポイント)

■マイレージ

  • 主要マイレージサービスの概要
  • マイルの発行動向
  • 事業戦略
  • ロイヤリティプログラムに関する取組み
  • キャッシュレス決済とマイルの融合に向けた取組み
  • データ分析に関する取組み
  • マイル流通額拡大に向けた取組み
  • 課題
  • 今後の方向性
  • マイレージサービス提供事業者の実態
    • ANA X株式会社(ANAマイレージクラブ)
    • 日本航空株式会社(JALマイレージバンク)
■流通系
  • 主要コンビニエンスストアの導入ポイント
  • スーパーマーケットのポイントカード導入率推移(2018~2023年)
  • ポイントカード種類別導入率推移(2021~2023年)
  • ポイントカードの還元率推移(2021~2023年)
  • 導入済みの決済手段推移(2021~2023年)
  • 売上に占める各決済手段の割合(2021~2023年)
  • 今後導入予定の決済手段(2021~2023年)
  • スーパーマーケット全店売上高推移(2019~2023年)
  • 主な家電量販店のポイントサービスの比較
■鉄道事業者
  • 主要鉄道事業者のポイントサービス
■ポイントサイト
  • 主要ポイントサイト運営事業者の概要
  • ポイントサイト市場規模推移(売上高ベース)
  • 主要ポイントサイトの会員獲得に向けた取組み
  • コンテンツの拡充に関する取組み
  • AI活用に関する取組み、考え方
  • データ活用や顧客対応に関する取組み
  • 事業者の課題
  • 事業者の今後の方向性
  • 市場に対する考え方
  • ポイントサイト事業者の実態
    • 株式会社オズビジョン(ハピタス)
    • 株式会社セレス(モッピー)
    • GMOメディア株式会社(Point Town byGMO)
    • 株式会社PTX(Powl)
■クレジットカード
  • ショッピング取扱高推移(イシュアベース)
  • クレジットカード市場のポイント発行額推移
■電子マネー
  • 主要プリペイド型非接触IC型電子マネーの実績動向
  • 非接触IC型電子マネーの決済額推移
  • 非接触IC型電子マネーにおけるポイント発行額推移
■コード決済
  • コード決済市場規模推移(2020~2024年度見込)
  • コード決済におけるポイント発行額推移(2020~2024年度見込)

 

  • 主要ポイント管理・顧客管理システム/CRM-FSPソリューション製品一覧
  • 事業戦略
  • データ分析やCRMに関する取組み
  • スマートフォンアプリの活用に関する取組み
  • マルチ決済への対応
  • 課題
  • 今後の方向性
  • 市場への見解
  • ポイントソリューション事業者の実態
    • 大日本印刷株式会社(POINT TACTiX)
    • 株式会社日立ソリューションズ(PointInfinity)
    • 富士通Japan株式会社(ValueFront ポイントサービス)
    • 株式会社ピーカチ(P+KACHI)

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関連リンク

■レポートサマリー
ポイントサービス市場に関する調査を実施(2023年)
共通ポイント・ハウスポイントに関する法人アンケート調査を実施(2021年)

■アナリストオピニオン
価値向上を図る共通ポイント 他事業者との提携により活用範囲を拡大
マルチポイント化が進む中、店舗から求められる共通ポイントとは?
ポイントカード発行の真の目的はFSP実現にあり

■同カテゴリー
[金融・決済]カテゴリ コンテンツ一覧

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調査要綱

調査対象:共通ポイントサービス提供事業者、マイレージサービス提供事業者、ポイントサイト運営事業者、ポイント交換サービス提供事業者、ポイント関連ソリューションベンダなど
調査期間:2023年4月~7月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mailによるヒアリング調査、ならびに文献調査併用

※ポイントサービス市場とは:本調査におけるポイントサービス市場は、特定の企業・団体や企業グループが提供するサービスや商品の購入等に対して、発行されるポイントやマイレージ等を対象とし、市場規模は民間企業によるポイント発行額で算出している。
ポイントの総発行額には、特定の企業が発行するハウス(自社ブランドの)ポイントやマイレージに加え、特定の決済(クレジットカード、電子マネー、コード決済等)により付与されるポイント、業種・業態に関わらず提携先で利用できる共通ポイント(Vポイント、Ponta、楽天ポイント、dポイント等)などが含まれる。

<市場に含まれる商品・サービス>
ポイントサービス、共通ポイントサービス、マイレージ、ポイントサイト、ポイント交換サービス、ポイントソリューション

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宮村 優作(ミヤムラ ユウサク) 研究員
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