矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

アナリストオピニオン
2020.06.17

価値向上を図る共通ポイント 他事業者との提携により活用範囲を拡大

ペイメント領域において事業者の提携が進んでいる。本稿では共通ポイント事業者と他事業者の提携状況を中心に記載する。共通ポイント事業者各社は、提携を通じて共通ポイントが蓄積・利用できる範囲を拡大し、ポイントの価値向上に努めている。具体的には、公共交通インフラや、携帯電話、決済サービス、Webサービスなど様々な分野でポイントを活用できるように取り組んでいる。さらに、オンライン決済における共通ポイントに関する取り組みについても取り上げる。

交通インフラの利用で蓄積できる楽天ポイント

共通ポイント「楽天ポイント」を提供する楽天ペイメントは、2019年6月にJR東日本とキャッシュレス化の推進に向けた連携を発表した。2020年5月よりQRコード決済サービス「楽天Pay」上でSuicaが発行可能となり、アプリ内で発行したSuicaを楽天カードでチャージすることで、楽天ポイントを蓄積できるようになった。
さらに、今後はアプリ内で楽天ポイントからSuicaへのチャージもできるようにするなど、機能拡充を図る予定である。

日常で蓄積できる範囲を広げたPonta

共通ポイント「Ponta」を提供しているロイヤリティ マーケティングは、2019年12月にKDDIとの提携を発表した。Pontaポイントとau WALLETポイントが統合され、Ponta会員は携帯電話料金などのau関連サービスの支払いにより、Pontaポイントを蓄積できるようになっている。

さらに、2020年5月からQRコード決済サービス「au PAY」の利用を通じて、Pontaポイントが貯まるようになった。
ローソンにおいてau PAYでのPontaポイントの高還元を実施している。2020年6月よりauの携帯電話ユーザでなくても、 ローソンにおいてau PAYで決済すると4%のPontaポイントを上乗せされ、Pontaカード提示と合わせて常時5%の還元となる。加えて、au PAY カードによるau PAYへのチャージや、auの携帯電話利用、ポイント増量キャンペーンを実施する日「三太郎の日」などを通じて、追加のPontaポイントを付与される。こうしたことから、ローソンで発行されるPontaポイントは拡大する可能性がある。

Webサービスでの蓄積・利用が拡大するdポイント

共通ポイント「dポイント」を提供するNTTドコモは、2020年2月にメルカリおよびメルペイと、顧客の更なる利便性とサービス向上、キャッシュレス推進、新規事業の検討などを目的とした業務提携を発表した。
同年5月より、dアカウントとメルカリIDを連携させることで、顧客基盤の拡大を図っている。これにより、メルカリにおいてdポイントが蓄積、使用できるようになる。また、QRコード決済サービスであるd払いとメルペイにおいて、電子マネー残高とポイント残高を連携し、ポイントのシームレスな利用の実現に向けて取り組む。
こうしたことから、dポイントにおいては、メルカリの月間アクティブユーザ1,657万人(2020年6月期第3四半期時点)のうち、これまでdポイントを蓄積・使用していなかったユーザを取り込める可能性が高まる。メルカリ経由で発行されるdポイントが生じることは、dポイント発行額の拡大につながるだろう。

また、同社は同年1月にリクルートと業務提携契約を締結した。2020年度第3四半期を目途に、dアカウントとリクルートIDを連携し、リクルートグループが提供するWebサービスの利用を通じてdポイントが蓄積・使用できるようになる。
リクルートグループが提供するWebサービスでは、以前からPontaポイントが蓄積・使用できる。昨今リアル店舗では複数の共通ポイントを導入する取り組みがみられる。オンラインにおいても、同様の動きが進んでいく可能性がある。その際、オンラインにおいては、決済とポイントサービスをスムーズに連携することが、ポイントサービスの利用率向上につながるだろう。たとえば、ポイントサービスのアカウントで手軽にログインできる仕組みが求められると考える。ID決済との連携などを通じて、オンラインにおいても会員にとって選択されやすいポイントサービスを構築していく動きが進んでいくとみる。

共通ポイントが蓄積・使用できるオンライン決済サービス

共通ポイントが活用できるオンライン決済サービスについて整理する。
まず、楽天ペイ(オンライン決済)は、楽天会員が楽天以外のECサイトにおいて、 楽天IDとパスワードのみでオンライン決済ができるサービスである。楽天IDに登録しているクレジットカード情報を利用して決済し、決済時には楽天ポイントの蓄積および利用が可能である。

Pontaポイントの蓄積・利用が可能なオンライン決済サービスには、リクルートIDを用いて決済できるリクルートかんたん支払いが挙げられる。また、dアカウントとリクルートIDが連携予定であるため、今後リクルートかんたん支払いにおいても、dポイントが蓄積・使用できるようになる可能性がある。
一方で、2020年6月現在、au PAYはオンライン決済に対応していない。リアル店舗においてau PAY経由でPontaポイントを高還元する取り組みがみられ、今後au PAYがネット上の決済機能を拡充するかについて注目したい。

dポイントにおいては、d払い(ネット)が該当サービスとなる。電話料金合算払いや、d払い残高からの支払い、dカードをはじめとするクレジットカード決済、dポイント充当など、支払方法の選択肢が幅広いことが特徴となっている。

Tポイントに関しては、Tポイントプログラム(オンライン決済)を導入しているECサイトにおいて、決済する際に会員はTポイントを蓄積または使用できる。Tポイント情報サイト「Tサイト」で導入事業者のECサイトを紹介するため、導入事業者にとってはT会員が送客される点がメリットとなる。

新型コロナの影響に伴い、EC事業に進出する事業者が増加すると予想できる。そのため、オンライン決済における共通ポイント付与は、ポイント発行額拡大につながる鍵になりうると考える。

※「QRコード」は、株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

関連リンク

■レポートサマリー
ポイントサービス市場に関する調査を実施(2020年)
ポイントサービス市場に関する調査を実施(2019年)
EC決済サービス市場に関する調査を実施(2020年)

■アナリストオピニオン
マルチポイント化が進む中、店舗から求められる共通ポイントとは?
ポイントカード発行の真の目的はFSP実現にあり

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井上 圭介(イノウエ ケイスケ) 研究員
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