株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の来店型保険ショップ市場を調査し、市場の動向、市場規模(新契約年換算保険料)、新規契約件数、将来展望を明らかにした。
【図表:来店型保険ショップの市場規模(新契約年換算保険料)推移】
対面販売が主流であった来店型保険ショップ市場は、2019年度は新型コロナウイルスの影響を大きく受けた。その後、2020年春から始まったWeb相談が顧客の非接触ニーズを捉え相談件数が増加し、オンラインで契約まで完結できる従来保険商品も増え、また地域によっては徹底した感染対策の下での集客イベントの再開、オンラインセミナーでの集客などにより、医療保険を中心に新規契約数も伸びた。そのようなことから、2020年度の来店型保険ショップの市場規模(新契約年換算保険料)は増加に転じ、前年度比8.0%増となる1,965億円を見込む。また新規契約件数は同7.9%増となる206万件の見込みである。
■対面・非対面のハイブリッド対応の進化、顧客接点ポイントの強化が急務
生命保険業界は2019年度下半期から2020年度上半期にコロナ禍の影響を受けた。生命保険会社でも営業職員によるオンライン相談の導入など非対面ニーズへの取組みが始まり、来店型保険ショップ等でもWeb相談を導入して1年が経過した。
2021年1月に保険業法施行規則、監督指針の一部改正が行われ、来店型保険ショップで実施されていたWeb相談からWeb完結で契約までできる従来保険商品が広がり、DXの推進によって一層、顧客利便性も向上してきている。来店型保険ショップに限らず生命保険会社においても、非対面営業・販売のインフラ構築への取組みが積極化し、対面と非対面のハイブリッド化を加速、生産性アップ、効率化、新規顧客開拓促進、既存顧客の囲い込みが期待されている。
DXの推進下では、生命保険各社と販売代理店の協力・関係強化による非対面相談~契約の仕組みづくりと対応が急務であるが、加えてインターネットに不慣れな顧客層と根強い対面ニーズへの継続的な取組み、更には新たな顧客接点の強化が課題となっている。
2020年6月に改正法案が成立した「金融商品の販売等に関する法律」は「金融サービスの提供に関する法律」に改称され、2021年11月に施行された。これにより新たに金融サービス仲介業を創設することになり、インターネットの普及やペーパーレス化、キャッシュレス化の進展など消費者が求める金融サービスも急速に大きく変わろうとしている。
多様な金融サービスをワンストップで提供できる、フィナンシャルサービス業としての来店型保険ショップへの道も開かれることになり、また異業種から新規参入を促すことにつながり、業界の活性化に期待がもたれている。
2021年度は依然コロナ禍の影響は残りそうだが、そうした動向を背景に対面と非対面のハイブリッド相談のブラッシュアップ、また長生きリスクと資産形成のニーズを取り込むことで一層の契約数拡大を見込み、2021年度の来店型保険ショップ市場規模(新契約年換算保険料)を前年度比13.4%増の2,228億円、新規契約件数を234万件と予測する。
■レポートサマリー
●生命保険の販売チャネルに関する調査を実施(2024年)
●生命保険の販売チャネルに関する調査を実施(2023年)
●来店型保険ショップ市場に関する調査を実施(2022年)
●来店型保険ショップ市場に関する調査を実施(2020年)
●生命保険の営業職員アンケート調査を実施(2023年)
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調査対象:従来型の生命保険会社、ネット保険会社、来店型保険ショップ経営企業、オンライン型や保険関連サイトを運営する乗合代理店など、保険募集実績がある企業、新規参入企業等。
調査期間:2021年8月~10月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用
※来店型保険ショップとは:本調査における来店型保険ショップとは、複数の保険会社と提携した乗合代理店とし、市場規模は同店舗で販売される保険商品について、各事業者における会計(決算)年度の新契約年換算保険料ベースにて算出した。
<市場に含まれる商品・サービス>
個人向け生命保険及び損害保険、法人向け生命保険及び損害保険
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