矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2019.10.29

来店型保険ショップ市場に関する調査を実施(2019年)

保険ショップ来店型販売の2019年市場規模は減少予測となるが、安定的に推移している。新規契約件数についても若干の減少を予測。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の来店型保険ショップ市場を調査し、市場の動向、市場規模(新契約年換算保険料)、新規契約件数、将来展望を明らかにした。

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来店型保険ショップ市場の概況

2016年5月の改正保険業法施行以来、乗合保険代理店である来店型保険ショップ業界は、とりわけ大きな転換点を迎えた。その前年には、専業の大手来店型保険ショップ経営企業の多くで、業法改正を見据えた財務基盤の強化を目的として、生命保険会社との協業が始まった。その後も地方の有力来店型保険ショップ経営企業で、地元の有力地方銀行や有力証券会社との業務・資本提携が進んだ。

2017年度は、標準利率の引下げを背景とした一部保険商品の販売停止や保険料の値上げなどの逆風にさらされる一面もあり、営業収益が減少する企業もあった。一方で、顧客ニーズの新たな発掘によって資産形成タイプ、生前給付タイプの保険商品販売拡大、更には法人向け生命保険の拡販によって巻き返しが図れた面があり、2017年度の来店型保険ショップの市場規模(新契約年換算保険料ベース)を前年度比106.0%の1,994億円となった。また、2017年度の来店型保険ショップの新規契約件数は196万件と推計した。

【図表:来店型保険ショップの新契約年換算保険料(市場規模)推移】

図表:来店型保険ショップの新契約年換算保険料(市場規模)推移
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:各事業者の会計(決算)年度における新契約年換算保険料ベース
  • 注:2018年度は見込値、2019年度は予測値

2018年度も、予定死亡率の引下げ等に伴う死亡保障を含む保険商品の値下げの影響を受けるものの、資産形成タイプ、生前給付タイプの保険商品販売の拡大継続などから、依然、市場の潜在余地は高く推移した。しかし、来店顧客数の減少による店舗数の減少が影響したことで伸び率は微減し、2018年度の来店型保険ショップの市場規模は前年度比105.9%の2,112億円の見込みである。また、2018年度の来店型保険ショップの新規契約件数は208万件を見込む。

【図表:来店型保険ショップの新規契約件数推移】

図表:来店型保険ショップの新規契約件数推移
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:各事業者の会計(決算)年度における新規契約件数ベース
  • 注:2018年度は見込値、2019年度は予測値

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来店型保険ショップ市場の注目トピック

■~店舗数の減少は業界全体に広がりつつあるが、異業種小売業との協業も拡大~
来店型保険ショップを経営する企業が展開する、来店型保険ショップの店舗数を前回調査のと今回調査の両方で店舗数が判明した185社で集計すると、2018年4月時点の2,644店から2019年6月現在では2,497店と147店の減少という結果であった。

一昨年、昨年と業法改正対応による影響から出店スピードにブレーキがかかる中で、店舗数減少は近隣店との競合過多や来店者数の減少が影響しており、特に店舗数の少ない地場の経営企業に加え、中堅・大手の来店型保険ショップ経営企業の一部でも店舗の統廃合が広がっている。業界内では、従来の郊外型や駅前型、インストア型の店舗では、新規出店の場所に手詰まり感があり、新たな出店施策を試みており、異業種小売店舗などと協業するケースも現れている。

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来店型保険ショップ市場の将来展望

2019年度は、販売手数料体系の見直しが進む中、依然として新規契約数の拡大が続いている来店型保険ショップ経営企業もあるが、一部の企業では新契約状況に鈍化傾向が見える。

また、引き続き店舗数が減少していること、訪問型サービスによる契約が盛り返していること、前年度並みの法人向け生命保険の販売実績が見込めないことなどから、2019年度の来店型保険ショップの市場規模(新契約年換算保険料ベース)を前年度比93.4%の1,973億円と予測する。2019年度は減少予測となるが、ここ数年の動きを見ると市場は2,000億円前後の規模で安定的に推移している。また、2019年度の来店型保険ショップの新規契約件数は前年度比99.5%の207万件と若干の減少を予測する

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

■市場の成り立ちと背景
■来店型保険ショップの位置づけ
■業界動向

  • 業界を取り巻く動向
  • 主な業界動向
  • 参入している異業種
  • 生命保険、生保子会社、銀行等の保険ショップの取組み
  • 異業種、大手資本算入の影響、効果
  • 生命保険会社の取組み
  • 新たな動き
  • 参入の目的
  • 財務基盤強化、事務効率化の事例
  • 個人への訪問の注力状況と予定
  • 法人向け生命保険の市場規模(新規年換算保険料)
  • 法人への注力状況
  • 保険販売以外の商品・サービス
  • FD宣言とKPI公表の現状
  • FD宣言の推移
  • 顧客本位の業務運営の取組み
  • 手数料体系の見直しの影響、効果
  • 店舗数の増減変化
  • 規模別に見た店舗数の増減

■市場規模

  • 市場規模推移(新契約年換算保険料)
  • 生命保険業界全体(個人保険)の新契約年換算保険料
  • 来店型保険ショップの年間新規契約件数
  • 生命保険業界全体(個人保険)の年間新規契約件数
  • 生命保険(個人)の種類別構成の推移
  • 損害保険の種類別構成
  • 来店型保険ショップの生命保険・新契約件数の種類別構成(各社直近年度)
  • 来店型保険ショップの損害保険・新契約件数の種類別構成(各社直近年度)

■来店型店舗展開の現状
■生命保険のチャネル別契約構成の推移
■満足度の変化と満足度が増減した項目
■業界構造

  • 来店型保険ショップ経営企業
  • 主な来店型保険ショップの概念整理
  • 生命保険の代理店数推移
  • 損害保険の実在代理店数推移
  • 乗合代理店の推移
  • 来店型保険ショップ経営企業の設立時期
  • 来店型保険ショップ経営企業の従業員数構成
  • 来店型保険ショップ経営企業の資本金構成
  • 来店型保険ショップ経営企業の平均出店店舗数
  • 来店型保険ショップ経営企業の店舗数増減率
  • 提携保険会社数の動向【平均】
  • 規模別提携保険会社数の動向【2018年4月現在】【2019年6月現在】
  • 提携保険会社数

■事業戦略
■各社の課題と今後
■各社の差別化策
■将来展望
■業界の展望
■来店型ショップ業界の展望
■業界の課題
■業界の課題への各社の捉え方

■経営実態

  • 収益動向
  • 各社の営業収入の推移
  • 各社の当期純利益の推移

■営業戦略

  • 新規開拓策
  • 既存顧客の囲い込み策
  • 顧客利便性向上のための施策
  • 集客方法での課題
  • 対策、今後の方針
  • 来店誘致策
  • 選定条件
  • 提案商品の見直し例、他
  • 選定、提案等システムの導入状況
  • 店舗数別の提携保険会社数【2ヵ年比較】
  • 生保の売れ筋、高シェア会社・商品
  • 損害保険の注力方針、販売方針
  • 来店型保険ショップ経由の損害保険・新契約数の種類別構成(2018年度)
  • 今後の注目商品

■顧客獲得実績

  • 契約者数の推移
  • 保有実績
  • 新契約実績
  • 生命保険の継続率
  • 損害保険の更改率

■顧客動向と属性

  • 現状の顧客層とターゲット層
  • 新規顧客の変化
  • 顧客の来店目的、ニーズ変化
  • 生命保険会社の来店ショップ向け商品動向、顧客の契約動向
  • 「ほけんの窓口グループ」における新規顧客の相談内容

■店舗運営戦略

  • 店舗展開地域と今後の展開
  • 店舗展開の現状と今後
  • 店舗数推移
  • 立地、出店形態、商圏
  • 店舗規模、1店当たりの人員数
  • 店舗運営の課題と対策
  • 来店型保険ショップとの協業策
  • ほけんの窓口グループ(株)
  • (株)アイリックコーポレーション
  • ほけん選科(株)
  • アフラック生命保険(株)

★取材に協力頂いた企業や情報開示を行なっている企業が少ないため、参考数値として例示に留まる項目もあります

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調査要綱

調査対象:来店型保険ショップ経営の乗合代理店、生命保険会社等
調査期間:2019年7月~9月
調査方法:当社専門研究員による直接面接取材

※来店型保険ショップとは:本調査における来店型保険ショップとは、複数の保険会社と提携した乗合代理店とし、市場規模は同店舗で販売される保険商品について、各事業者における会計(決算)年度の新契約年換算保険料ベースにて算出した。

<市場に含まれる商品・サービス>
個人向け生命保険及び損害保険、法人向け生命保険及び損害保険

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