矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2018.10.02

フィールドワーク支援ソリューションシステム設置数を予測(2018年)

団塊世代が作業現場から去り、現場での人手不足がより顕在化する2020年度以降、システム設置数は急速に増加すると予測。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、2018年の国内のフィールドワーク支援ソリューション市場を調査し、産業分野や業務内容別の需要動向を明らかにし、今後の設置システム数を予測する。

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フィールドワーク支援ソリューション市場の概況

作業現場においては、2000年代の後半から人手不足や人材育成(教育・トレーニング)、ノウハウ継承、作業者の安全/健康管理などを目的として、ITテクノロジーの活用が始まった。そしてここ数年は、IoTの普及及びスマートデバイスの進化により、この両者を融合した様々な現場作業者の仕事をサポートするシステムの導入が検討されるようになってきた。

2017年度における国内のフィールドワーク支援ソリューションシステム設置数を前年度比192.6%の4,970システムと推計した。但し、現時点ではPoC(概念実証)や実証試験の段階に留まる案件が多く、ITベンダーによる既設SI案件の一要素として提供されているものも少なくない。中には無償サービスとして提供されるケースもあり、フィールドワーク支援ソリューションとして外販されている事例は極めて少ないといえる。

【図表:フィールドワーク支援ソリューションシステム設置数推移と予測】

図表:フィールドワーク支援ソリューションシステム設置数推移と予測
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:エンドユーザーシステム設置数量ベース。設置数には、PoC(概念実証)や実証試験の段階にあるシステムも含む。
  • 注:2018年度は見込値、2019年度以降は予測値。
  • 注:ユニフォームを着て作業する現場作業者の仕事をサポートするITテクノロジーを用いたシステムを指し、IoT/ネットワークを基盤として、作業補助・支援による業務負担低減や作業効率向上、人材育成・教育、ノウハウ継承、安全対策などを目的として導入される。
  • 注:システムはIoT/インターネット接続機能を持つ、スマートデバイスやスマートフォン、タブレット、カメラ、各種ロボット、ドローンなどの各種デバイス・機器から構成される。

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フィールドワーク支援ソリューション市場の注目トピック

製造業/建設業向けソリューション動向
ここ数年では、IoTの普及及びスマートデバイスの進化により、この両者を融合した様々な現場作業支援の仕組みが検討、導入されるようになってきた。具体的には、IoTの活用により現場でのビジネス構造(事業推進体制)が変化し、併せて各種スマートデバイスの活用によって、ビジネスプロセス全体を変革するビジネスモデル構築が可能になってきたと考える。

例えば、生産設備・機械やインフラ設備などの保全業務において、従来のベテラン作業者の経験と勘に頼っていた判断や評価のノウハウをデータ化し、それを可視化することで業務の「見える化」につなげる。その結果、ベテラン作業者だけでなく、中堅作業者、さらには新人でも保全業務をそつなくこなせるようにすることが期待され、作業全体の効率化と併せて、継続性の高い事業構造に転換できることが可能となる。

このように、‘IoT×スマートデバイス’によるフィールドワーク支援ソリューションシステムの導入は、ビジネスモデル変革につながる可能性がある。特に製造業及び建設業で期待が大きいと考える。

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フィールドワーク支援ソリューション市場の将来展望

2014~2015年度頃からは、医療や介護/ヘルスケア、製造業、建設業、運輸/倉庫業、物流などの産業分野を中心に、徐々にフィールドワーク支援ソリューションの実用化が始まっている。

しかし、当該ソリューションが本格的に普及し始めるのは、団塊世代が作業現場から去っていき、現場での人手不足がより顕在化する2020年度以降になる見込みである。

2020年度以降システム設置数は急速に増加し、2022年度の国内フィールドワーク支援ソリュー ションシステム設置数は27,000システムになると予測する。

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

  • フィールドワーク支援ソリューションでのターゲット
  • フィールドワーク支援ソリューションの活用範囲
  • ターゲット分野別のデバイス/ツール別の期待度
  • フィールドワーク支援ソリューションに適用されるIT技術
  • フィールドワーク支援ソリューションの背景要因
  • フィールドワーク支援ソリューションの構造
  • 期待される製造/建設向けソリューション
  • フィールドワーク支援ソリューション関連サービス一覧
  • フィールドワーク支援ソリューション市場規模推移(システムベース)
  • フィールドワーク支援ソリューション市場規模推移(デバイス・機器ベース)
  • フィールドワーク支援ソリューションの内訳(分野別)
  • フィールドワーク支援ソリューションの内訳(デバイス・機器別)
  • 厳しい作業環境のある現場
  • 主要分野における心理学的アプローチの状況
  • 主要事業者の取り組み
    • ANAビジネスソリューション(株)
    • (株)オージス総研(行動観察リフレーム本部)
    • 公益財団法人大原記念労働科学研究所
    • 建設業労働災害防止協会(建災防)
    • (有)日本ヒューマンファクター研究所(JIHF)
  • 現場作業者向け研修・トレーニングメニュー

■製造

  • 保安面でのメリット内容
  • 収益面でのメリット内容
  • スマホ/タブレットを活用した事例
  • MOVERIOパートナー企業/アプリケーション
  • スマートグラスを活用した事業推進事例
  • HMDを活用した事業推進事例
  • VR・AR×リアルハプティクス関連製品
  • NECプラットホームズの音声対話支援システム
  • RFID/ビーコン/GPSを活用した事業推進事例
  • 石油化学プラントでのドローン活用事例
  • 中小ベンチャーにおける協働ロボットの開発・導入事例
  • 産業用ロボットメーカーの協調型ロボット
  • トレーサビリティ/検品での作業支援事例
  • 生体情報を用いた健康管理
  • 生体情報を活用した作業者の健康管理事例
  • 製造業におけるアシストスーツ活用事例
■建設
  • タブレットサービス基盤の活用事例
  • 自動化技術/ロボット開発・導入事例
  • マッチング内容
  • i-Construction推進コンソーシアムにおいてマッチングされた内容
  • 竹中工務店におけるBIMの推進事例
  • CIMの推進・活用事例
  • トンネル工事でのAI活用事例
  • バイタル情報活用による作業者の健康管理事例
  • アシストスーツの導入検討事例
■運輸/倉庫・物流
  • 居眠り・眠気探知システム事例
  • その他のスマートデバイス事例
  • 倉庫作業支援におけるスマートデバイスの活用事例
  • 作業支援ロボット(物流ロボット)を活用したシステム開発事例
  • 倉庫業務での作業支援ロボット導入事例
  • 物流向けシステム事例
  • ドローンの安全な利活用のための技術開発と環境整備
  • 物流におけるドローン活用のロードマップ
  • ドローンの実装/開発事例
  • ドローン実証実験/UTM事業/その他
■医療/ヘルスケア
  • ウェアラブル端末による従業員向け健康増進事例
  • スマート衣料の開発状況
  • ウェアラブル端末の商品化事例
  • スマホ/タブレット活用診療支援スマートデバイス/システム
  • その他スマートデバイス事例
  • 国産手術支援ロボットの開発動向
  • 保健医療分野におけるAI活用施策
  • 画像診断でのAI活用サービス一覧
  • 医療関連業務での支援事例
■介護
  • 介護ロボット/IoT・AI関連での開発状況
  • 介護ロボット/IoT・AI関連での導入状況
  • 地方/ベンチャー企業による取組み
  • 介護職員向けアシストスーツ事例
■インフラ(主にインフラ保全)
  • インフラ向け現場作業支援の事例
  • ARとウェアラブル端末による作業支援
  • インフラ向けの生産性向上事例
  • インフラ向けの研修・トレーニング事例
  • インフラ分野での作業者の安全管理事例
■ビル管理/警備
  • ビル管理における業務区分
  • ロボットを活用したビル管理業務の推進事例
  • タブレット/スマートフォン/スマートグラスを活用した事業推進事例
  • スマートグラスを活用した事業推進事例
  • ドローンを活用した事業推進事例
  • カメラ活用(AI・画像解析)の推進事例

 

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関連リンク

■レポートサマリー
フィールドワーク支援ソリューション市場に関する調査を実施(2024年)
フィールドワーク支援ソリューション市場に関する調査を実施(2022年)
フィールドワーク支援ソリューション市場に関する調査を実施(2020年)

■アナリストオピニオン
国策の後押しもあり、建設現場でのテクノロジー活用が急速に進む!
現場の人手不足を解消するITソリューション市場が442億円規模に拡大、withコロナ時代でも遠隔/リモートをキーワードに拡大基調を予測!
人手不足が深刻化する中で、ITテクノロジーは回答を出せるのか?

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調査要綱

調査対象:国内の主要ソリューション事業者
調査期間:2018年2月~8月
調査方法:当社専門研究員による直接面談、ならびに電話調査、アンケート調査、文献調査を併用

※フィールドワーク支援ソリューションとは:本調査におけるフィールドワーク支援ソリューションとは、ユニフォームを着て作業する現場作業者の仕事をサポートするITテクノロジーを用いたシステムを指し、IoT/ネットワークを基盤として、作業補助・支援による業務負担低減や作業効率向上、人材育成・教育、ノウハウ継承、安全対策などを目的として導入される。
製造業、建設業、インフラ/防災、運輸/倉庫業、物流、警備業、医療、介護/ヘルスケア、ビル管理業、農林水産業などの産業分野で、導入のためにPoC(Proof of Concept:概念実証)や実証試験が開始されている。また、システムはIoT/インターネット接続機能を持つ、スマートグラスやスマートウォッチ、ストレッチャブルデバイス(ウェアタイプ、バンドタイプなど)、HMD(Head Mounted Display)等のスマートデバイス、スマートフォン/タブレット、カメラ、各種ロボット、ドローンなどの各種デバイス・機器から構成される。
※参考資料
・国内M2M市場に関する調査を実施(2018年)

<市場に含まれる商品・サービス>
フィールドワーク支援ソリューションシステム

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早川 泰弘(ハヤカワ ヤスヒロ) 主任研究員
産業調査/マーケティング業務は、「机上ではなく、現場を回ることで本当のニーズ、本当の情報、本当の回答」が見つかるとの信念のもと、関係者各位との緊密な関係構築に努めていきます。日々勉強と研鑽を積みながら、IT業界の発展に資する情報発信を目指していきます。

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