レポートサマリー
2024.08.09
フィールドワーク支援ソリューション市場に関する調査を実施（2024年）
フィールドワーク支援ソリューション市場は、遠隔・リモート志向の定着や導入費用の低廉化などもあり、市場が急拡大している。今後も人手不足などを背景に伸長が続く見込み。
株式会社矢野経済研究所（代表取締役社長：水越孝）は、国内のフィールドワーク支援ソリューション市場を調査し、需要分野別やシステムタイプ別、デバイス別の動向、主なソリューション事例、将来展望などを明らかにした。
「フィールドワーク支援ソリューション市場に関する調査を実施（2024年）」 小見出し一覧
- フィールドワーク支援ソリューション市場の概況
- フィールドワーク支援ソリューション市場の注目トピック
- フィールドワーク支援ソリューション市場の将来展望
- 参考：このレポートに掲載されている主なデータ一覧
- 関連リンク
【図表：フィールドワーク支援ソリューション市場規模推移・予測】
- 矢野経済研究所調べ
- 注：事業者売上高ベース
- 注：2024年度は見込値、2025年度以降は予測値
フィールドワーク支援ソリューション市場の概況
2023年度のフィールドワーク支援ソリューション市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比37.5％増の902億円と急拡大した。市場は、コロナ禍を経て定着した「遠隔・リモート志向」や現場作業者をサポートする「実効性の高いソリューション」の登場、「システム／ソリューション」導入費用の低廉化などもあり、2022年度から急速に拡大している。尚、コロナ禍で保留・停止となっていたプロジェクトが復活したことも、その奏功要因となっている。
需要分野別に2023年度の市場をみると、案件単価の大きなインフラ設備やエネルギー設備、建設／土木、倉庫／物流、製造／工場、運輸、警備・セキュリティでシステム導入件数が多く、特に建設／土木及び倉庫／物流、警備・セキュリティといった分野でのタブレット系ソリューションが堅調であった。また、倉庫／物流では、現場向け音声認識サービスといったAI活用型ソリューションも登場しており、生成AIの普及に伴う需要喚起への期待もある。
また、2023年度の市場内訳としては、「機器・デバイス関連」が30～35%、「SI／システム開発」は40～50%、「ネットワーク／クラウド／サポート／その他」が20～25%を占めると推測する。
フィールドワーク支援ソリューション市場の将来展望
■建設／土木分野でのフィールドワーク支援ソリューション
建設／土木分野での現場作業者の業務をサポートするシステムとしては、日報／台帳作成をデジタル入力化する台帳ソリューションを始めとしたデジタル活用、ドローン／ロボット活用による自動化・効率化、重機・建機などの遠隔操作、作業現場の遠隔モニタリング／3D化などが挙げられる。このように建設／土木分野でのIT化／DX化が進められている。
また、国土交通省では、調査・測量から設計、施工、検査、維持管理・更新までの全ての建設業務プロセスでICT等を活用する「i-Construction」を推進しており、建設現場の生産性を2025年度までに2016年度比で2割向上させることを目指している。
さらに大手ゼネコンを中心として、現場でのAI活用、AR／VR活用も始まっており、それらを使った様々なソリューション（作業支援、効率化、遠隔支援・遠隔臨場、研修／トレーニング、安全管理、健康管理など）も展開されている。
フィールドワーク支援ソリューション市場の将来展望
2024年度以降、倉庫／物流や運輸、建設／土木、製造／工場といった案件規模の大きな需要分野に加えて、料飲（料理飲食）／外食や流通／小売、警備・セキュリティといった比較的規模の小さな案件が多い分野においても、フィールドワーク支援ソリューションの普及が進む見通しである。
大手外食店舗では、VR（Virtual Reality）やHMD（Head Mounted Display）を活用したデジタル研修も始めており、VRアプリとHMDを活用して入店案内から精算まで、ホールスタッフに求められる一連の業務を学べるプログラムが開発されている。このツールは、クレーム時のトラブルシューティングなど、偶発的な事象でのシミュレーション対応研修にも効果を発揮している。
フィールドワーク支援ソリューションは、中・長期的にも現場での人手不足や現場作業者の高齢化への対策、さらには働き方改革やワークスタイル変革の実現に資するソリューションとしての普及・拡大が確実視される。2024年度以降、毎年30%前後の伸長が続く見込みで、2030年度のフィールドワーク支援ソリューション市場規模は5,790億円に達すると予測する。
参考：このレポートに掲載されている主なデータ一覧
- フィールドワーク支援ソリューションでの要素技術／ターゲット
- フィールドワーク支援ソリューションで実現すること
- フィールドワーク支援ソリューション市場規模推移（システムベース）
- フィールドワーク支援ソリューション市場規模推移（デバイスベース）
- フィールドワーク支援ソリューション市場規模推移（金額ベース）
- フィールドワーク支援ソリューションの需要分野別内訳（システムベース）
- フィールドワーク支援ソリューションのデバイス別内訳（システムベース）
- フィールドワーク支援ソリューションで実現するソリューション
- 業務支援ソリューションのイメージ
- 健康・安全管理ソリューションのイメージ
- 教育・研修／トレーニング／技術・ノウハウ継承ソリューションイメージ
- フィールドワーク支援ソリューションのサービスイメージ
- ターゲット分野×デバイス別の将来性評価
- フィールドワーク支援ソリューション関連サービス一覧
- フィールドワーク支援ソリューションの今後のイメージ
■建設／土木
- 建設投資・許可業者数・就業者数推移
- 主要ゼネコンのDXへの取組み状況
- ドローン（UAV）を活用した測量事例
- DXを活用した施工系ソリューション
- DXを活用した維持管理ソリューション事例
- 建設各社の健康・安全ソリューション事例
- 施工管理アプリ事例
- 現場写真整理用途でのタブレット活用事例
- 遠隔操作・現場支援ソリューション事例
- 遠隔操作・遠隔作業支援ソリューション関連サービス一覧
- XRを活用したソリューション事例
- ロボット活用ソリューション事例
- ドローン活用ソリューション事例
- 遠隔臨場で活用されるソリューション事例
- セーフィーの遠隔臨場のシステムとツール（SAFIE POCKET通信の仕組み）
- リストバンド型バイタルセンサーによる安全管理システムの仕組み
- ヘルスケアモニタリングソリューション事例
- VR／AR等による安全衛生ツール事例
- フィールドワーク支援ソリューション関連サービス一覧
- 製造業の共通課題と実態／認識
- 企業DX推進施策の全体像
- テクノロジー活用によるイノベーションイメージ
- Canon RFID 位置情報ソリューション
- 位置情報活用によるソリューション一覧
- 遠隔作業支援／遠隔監視ソリューション概要
- 主なVR／AR／MR ソリューション一覧
- AGV／AMR／業務用ロボット一覧
- 協働ロボット一覧
- AI外観検査ソリューション一覧
- NECソリューションイノベータの労働事故予防ソリューション概念図
- 音声合成／音声認識：NEC 現場作業支援ソリューション
- 作業者の健康・安全管理ソリューション一覧
- 物流業界の概要
- フィジカルインターネット事業のコンセプト
- 伊藤忠商事など5社によるフィジカルインターネット事業（各社の役割）
- 求貨求車マッチングソリューション事例
- ドラマッチの配送マッチングソリューションの仕組み
- 倉庫シェアリングソリューション事例
- トラック予約受付システム LogiPullの概念図
- トラック予約受付システム事例
- 配車システムのソリューション事例
- NECソリューションイノベータのTMS「ULTRAFIX」の概念図
- 物流ドローントライアル事例
- 倉庫／物流向けサービス一覧
- 倉庫作業と求められる機能
- 倉庫業務におけるフィールドワークソリューション事例
- ロジスティードソリューションズ社のWMS
- 大手ベンダー、物流大手のWMSシステム
- 汎用WMS内容
- 特定業界向けWMSソリューション事例
- 小規模事業者向け、その他のWMSソリューション事例
- 主な自動倉庫システムメーカー
- 倉庫での現場作業支援関連ソリューション事例
- JUKIの居眠り運転防止「スリープバスター」の概要
- SGが提供するテレマティクスソリューション
- 物流倉庫向け5S活動支援ソリューション
- フィールドワーク支援ソリューション関連サービス一覧
- タクシー運転手数の推移
- 乗合バス運転手数の推移
- 鉄道旅客数量の2019年と2023年の月次推移比較
- スマートグラスを活用したソリューションの事例
- ウェアラブルデバイスを活用したソリューションの事例
- タブレット端末を活用したソリューションの事例
- スマートフォンを活用したソリューション事例
- ネットワークカメラを活用したソリューションの事例
- 位置情報デバイスを活用したソリューション事例
- デバイス別の現場作業支援ソリューション
- インフラ施設／エネルギー設備向け現場作業支援事例
- 生産性向上／効率化での現場作業支援ソリューションイメージ
- インフラ施設／エネルギー設備向け生産性向上／効率化事例
- インフラ施設／エネルギー設備保全向けの研修・トレーニング事例
- 令和5年度 国土交通省・公共事業関係予算での注目ポイント
- 建設後50年以上経過する社会資本
- 社会インフラでのIT活用の現状と今後の見通し
- 社会インフラ向けITソリューションが期待される背景
- アドバンスト・メディアの取り組み
- Holoeyesのフィールドワーク支援ソリューション
- 医療／ヘルスケア分野における現場支援の取り組み
- ローカル5Gをベースとした救急医療体制構築のトライアル事例
- 医療（遠隔医療）でのIoT／在宅医療向けオンライン診療システム
- フェムテック等サポートサービス実証事業の概要
- 令和4（2022）年度の実証実験の採用企業
- アプリ、AI診断・解析での取り組み事例
- 介護職員数の推移
- 介護関連職種における給与（月給）の推移
- 介護関連職の離職率の推移
- 今後必要な介護職員数見込み
- 介護分野における機器・システムの利用場所
- 介護職員の業務内容
- 介護職員の年齢別構成比
- 介護サービス事業における生産性向上のためのガイドライン
- 介護システム市場への参入状況
- 介助型介護ロボットでの主要参入企業
- 介護向けアシストスーツ事例
- ロボット農機事例
- 農業機械の安全性確保の自動化レベル
- リモコン草刈機の事例
- 農業用ドローンの事例
- 農林水産／畜産でのIoT活用の現状
- 農林水産／畜産でのIoT活用の見通し（3～5年後）
- 農林水産／畜産でのIoT／データ活用事例
- スマート農業を推進するための補助金の事例
- 農業データ連携基盤（WAGRI）の運営・活用状況
- 警備業者の警備員数別状況
- 警備業務区分ごとの警備業者の状況
- 画像認識AIを使った主な防犯ソリューション技術
- バーチャル警備システムの概要
- バーチャル警備システムの機器構成
- バーチャル警備システム月額レンタル料
- ALSOK AI カメラシステムの概要
- C-SParXの概要
- C-SParXの主要スペック
- セコムドローンXX主要スペック
- 清掃ロボットの事例
- 警備ロボットの事例
- エレベーター監視・点検システムの事例
- 空調監視・点検システムの事例
- トイレのIoT化事例
- 品出し・商品運搬を担うロボットの事例
- 店内巡回・在庫管理を行うロボット事例
- AIを活用した需要予測・自動発注システムの事例
- 遠隔接客・バーチャル接客などでのコミュニケーションツール活用事例
- TTGの無人決済店舗ラインナップ
- 温度管理ソリューション事例
- カメラ画像／その他のフィールドワーク支援ソリューション事例
- スマートデバイスを用いるオーダー・POSレジシステムの事例
- 寿司ロボットの事例
- 調理自動化機器の事例
- 配膳ロボットの事例
- 清掃ロボットの事例
- ロボット開発ベンチャー／スタートアップによる開発の事例
- 料飲／外食の従業員教育でVR＆HMDを活用するメリット
- 防犯向けカメラソリューションでの基礎データ
- 防犯／見守りでの次世代トレンド
- 防犯向け業務支援ソリューション
- 見守り業務向け支援ソリューション
関連リンク
■レポートサマリー
●フィールドワーク支援ソリューション市場に関する調査を実施（2022年）
●フィールドワーク支援ソリューション市場に関する調査を実施（2020年）
■アナリストオピニオン
●国策の後押しもあり、建設現場でのテクノロジー活用が急速に進む！
●現場の人手不足を解消するITソリューション市場が442億円規模に拡大、withコロナ時代でも遠隔／リモートをキーワードに拡大基調を予測！
●人手不足が深刻化する中で、ITテクノロジーは回答を出せるのか？
■同カテゴリー
●[ICT全般]カテゴリ コンテンツ一覧
●[通信/放送/ネットワーク]カテゴリ コンテンツ一覧
●[情報サービス/ソリューション]カテゴリ コンテンツ一覧
●[コンテンツ/アプリケーション]カテゴリ コンテンツ一覧
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Aパターン
- セグメント別の動向
- フィールドワーク支援ソリューション市場規模推移（システムベース）
- フィールドワーク支援ソリューション市場規模推移（デバイスベース）
- 分野別のフィールドワーク支援ソリューション内訳（システムベース）
- 注目トピックの追加情報
- 倉庫／物流でのフィールドワーク支援ソリューション
- 警備・セキュリティでのフィールドワーク支援ソリューション
- 将来展望の追加情報
調査要綱
調査対象：ITベンダー、SIer、デバイスメーカー、通信事業者、ユーザ事業者、インフラ運営事業者など
調査期間：2024年4月～7月
調査方法：当社専門研究員による直接面談（オンライン含む）、電話による調査、アンケート調査、ならびに文献調査併用
※フィールドワーク支援ソリューションとは：フィールドワーク支援ソリューションとは、スマートデバイスやタブレットを始めとした IT機器やICTテクノロジーを活用した、ユニフォームを着て作業する現場作業者の業務をサポートするシステムを指す。これらのシステムは現場作業者の業務負担の低減や、作業効率の向上、働き方改革やワークスタイル変革への対応、教育・トレーニングへの支援、ノウハウ継承支援などを目的として導入される。
本調査におけるフィールドワーク支援ソリューション市場規模は、タブレットやスマートフォン、 HMD（Head Mounted Display）、スマートグラス、ウェアラブルデバイス(時計、バンド、 ウェアタイプ等）、ドローン、IoT型ロボットなどの端末やデバイス、機器／設備販売に付随するサービス、システム開発費（パッケージ／ソリューション／SI）、 通信モジュール、通信費、プラットフォーム・クラウド利用料、運用管理費などを対象として、 事業者売上高ベースで算出した。なお、PoC／実証案件も含む。
＜市場に含まれる商品・サービス＞
フィールドワーク支援ソリューションシステム
関連マーケットレポート
- 2022 フィールドワーク支援ソリューション市場の実態と展望 ～メタバース時代における現場作業支援ソリューションの実態～
- 2020 フィールドワーク支援ソリューション市場の実態と展望 ～人手不足対応、働き方改革、ノウハウ継承／教育・トレーニングに向けたICT活用～
- 2018 フィールドワーク支援ソリューション市場の実態と展望 －工場・建設・物流・医療など現場作業のスマート化による人材不足解消への挑戦－
早川 泰弘（ハヤカワ ヤスヒロ） 主任研究員
YanoICT(矢野経済研究所ICT・金融ユニット)は、お客様のご要望に合わせたオリジナル調査を無料でプランニングいたします。相談をご希望の方、ご興味をお持ちの方は、こちらからお問い合わせください。
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