矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2026.03.17

クラウド基盤(IaaS/PaaS)サービス市場に関する調査を実施(2026年)

クラウド基盤(IaaS/PaaS)サービス市場規模は拡大傾向を維持。2025年はマイグレーションとハイブリッドクラウド・マルチクラウド環境の採用が増加。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内のクラウド基盤(IaaS/PaaS)サービス市場を調査し、現況、クラウドベンダ動向、新サービス普及状況、将来展望等を明らかにした。

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【図表:クラウド基盤(IaaS/PaaS)サービス市場規模推移と予測】

【グラフ:クラウド基盤(IaaS/PaaS)サービス市場規模推移と予測】
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:事業者売上高ベース
  • 注:2026年以降は予測値
  • 注:市場規模にSaaS(Software as a Service)は含まれない
  • 注:表中のCAGRは、2023年から当該年までの年平均成長率

 

クラウド基盤(IaaS/PaaS)サービス市場の概況

2025年のクラウド基盤(IaaS/PaaS)サービスの市場規模(事業者売上高ベース)は、前年比118.9%の2兆7,100億円と推計する。市場の成長を牽引するのは、オンプレミス環境からクラウド環境へのマイグレーションと、ハイブリッドクラウド・マルチクラウドの戦略的な活用拡大である。この2つの要因は近年続くトレンドであるが、マイグレーションにおいてはその対象が変化しており、ハイブリッドクラウド・マルチクラウド環境においては企業の構築・運用姿勢が変わってきている。

マイグレーションについては、標準的なOSで動作する情報系システムや、依存関係の少ない検証環境といった比較的移行しやすいシステムはすでにクラウドへの移行が進んでおり、現在は旧来の設計で構築された複雑なシステムの移行フェーズに入っている。これらは移行に時間を要するケースも多いが、それだけ継続的な需要が見込まれる領域でもある。

ハイブリッドクラウド・マルチクラウドの活用においては、かつては結果的にそうした構成になっていた企業が多かったが、近年は全社最適の観点から戦略的な設計に基づき、複数のクラウド基盤を組み合わせたITインフラ環境を実現する企業が増えている。各パブリッククラウドの特性を活かした構成や、オンプレミス/プライベートクラウドを意図的に活用するという、用途に応じたクラウド利用が広がり、扱うシステムやデータが増加し、市場拡大に寄与している。

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クラウド基盤(IaaS/PaaS)サービス市場の注目トピック

■台頭するソブリンクラウド
ソブリンクラウド(Sovereign Cloud)について現時点で明確な定義はないが、主に特定の国・地域の法律や規制に準拠し、データの保管・処理・運用がその国・地域内で完結するクラウドサービスと言える。国際情勢の変化や他国の政治的判断によって自国の重要なシステムやデータが利用できなくなるリスクを回避するため、自国内および域内でコントロール可能なソブリンクラウドの必要性が世界中で高まっている。加えて、重要インフラの保護やサプライチェーンリスクの管理、技術的自立性が国家安全保障の観点から不可欠であると認識されるようになり、その土台となるクラウド基盤サービスの安全性・信頼性の確保が求められている。

近年、日本においては、国産クラウドとして長年クラウド基盤サービスを提供してきた事業者によるソブリンクラウドを標榜するサービスが増加している。これまでオンプレミスに限定されていた重要システムが、クラウド事業者のサービス拡充・機能強化により、クラウド基盤サービスの利便性を享受できるような土壌が整い始めた。

ソブリンクラウドを必要とするデータやシステムは、クラウド市場全体から見れば限定的である。しかし、これまでクラウド化できなかった重要システムこそ、クラウドの持つスケーラビリティや運用効率、最新技術へのアクセスといったメリットを享受すべき対象といえる。機密性の高いデータやデータ主権に関する要件が厳格なシステムはソブリンクラウドに配置し、それ以外の領域では他のパブリッククラウドを柔軟に活用するという、用途に応じたマルチクラウド・ハイブリッドクラウド戦略が広がっている。ソブリンクラウドは、こうした戦略の一翼を担う存在として、企業のデジタル基盤を構成する重要な要素になると予測する。

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クラウド基盤(IaaS/PaaS)サービス市場の将来展望

クラウド基盤(IaaS/PaaS)サービス市場(事業者売上高ベース)は引き続き拡大し、2029年には5兆2,200億円に達すると予測する。2023年から2029年のCAGRは18.0%である。

成長を牽引する最大の要因はAI(人工知能)である。2025年時点ではPoC(概念実証)段階にとどまる企業が多いが、今後は実用化・本番稼働フェーズへの移行が進む見込みである。大手クラウド事業者はAI関連サービスの拡充に注力しており、それらのサービス利用が増加することで市場全体の規模は大きく押し上げられると予測する。

また、AI活用によるデータ量の増大に加え、OTT (Over The Top)サービスの利用拡大やIoT・5Gの普及も加わることで、データ総量は増大し続け、その保存・処理・分析を担うストレージやコンピューティングリソースの需要が拡大する。さらに、現在オンプレミスで稼働している基幹システムが段階的にクラウドへ移行することでも、継続的な需要が生まれる。

一方、データの機密性を理由にパブリッククラウドではなく意図的にオンプレミスやプライベートクラウドを選択する企業も増加しており、パブリッククラウドの利用拡大に一定の影響を与える可能性がある。こうした抑制要因はあるものの、複数の成長ドライバーが市場を牽引し、クラウド基盤サービス市場は今後も拡大基調を維持すると予測する。

※OTT (Over The Top)サービス:インターネット回線を通じて動画・音楽・通話などのサービスを提供する事業者・サービスの総称。

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

■クラウド基盤サービス市場の動向

  • クラウドコンピューティングの分類
  • クラウド基盤(IaaS/PaaS)サービスの売上高(2023~2029年予測)
  • 業種別 クラウド基盤サービスの売上高と構成比(2024~2026年予測)
  • 売上高規模別 クラウド基盤サービスの売上高と構成比(2024~2026年予測)
  • IaaS/PaaS別 クラウド基盤サービスの売上高と構成比(2023~2029年予測)
  • クラウド基盤(IaaS/PaaS)サービスの売上高シェア(2024~2026年予測)
  • コントロールが求められる主な3つの主権
  • 基幹インフラ制度の概要
  • システム特性を評価する9項目
  • セキュリティ・クリアランス制度の概要
  • プライベートクラウドサービスの売上高(2023~2029年予測)
■アンケート結果の分析
  • クラウドコンピューティングの分類
  • クラウドコンピューティングの利用状況と利用移行
  • パブリッククラウドの利用状況別 生成AIの利用状況
  • ITベンダのクラウド基盤 利用状況推移(2010~2025年)
  • 業種別 パブリッククラウドの利用状況と利用意向(利用中/検討中)(2025)
  • 売上高規模別 パブリッククラウドの利用状況と利用意向(利用中/検討中)(2025)
  • パブリッククラウドの利用率(2013~2025年)
  • プライベートクラウド(自社クラウド基盤)の利用率(2010~2025年)
  • 利用開始予定時期
  • パブリッククラウドの予算感
  • 参考:パブリッククラウドの予算感(1社除く)
  • パブリッククラウド利用予算の推移(2013~2025年)
  • 利用中のパブリッククラウド(MA)
  • 導入検討中のパブリッククラウド(MA)
  • パブリッククラウドの利用目的(MA)
  • 将来クラウド移行したいシステムの割合
  • 「0%(一切移行しない)」の推移(2014~2023,2025)
■集計編
  • プロフィール
    • 業種
    • 売上高規模
    • 従業員数規模
    • 情報システム要員数規模
  • 利用状況
    • プライベートクラウド(自社クラウド基盤)の利用率
    • プライベートクラウド(自社クラウド基盤)の導入/導入予定時期
    • パブリッククラウド(SaaSを除く)の利用率
    • パブリッククラウド(SaaSを除く)の導入/導入予定時期
    • 利用中/検討中のパブリッククラウド(SaaSを除く)(MA)
    • パブリッククラウド(SaaSを除く)の利用予算
    • パブリッククラウド(SaaSを除く)の利用目的(MA)
    • 社内全システムのうちクラウド移行したい割合
■アンケート票

 

  • 国内データセンターのラック数(2022~2028年予)
  • サービス形態別 国内データセンターのラック数(2022~2028年予)
  • 補助対象となる4類型
  • クラウドプログラムの事業スキーム
  • クラウドプログラムの認定実績(2026年2月時点)
  • データセンター・半導体工場の電力需要の見通し(2026年1月時点)
  • エリア別 データセンター・半導体工場の電力需要の見通し(2026年1月時点)
  • エリア別の電力需給における自然エネルギーの割合(2024年度)
  • アマゾンウェブサービスジャパン合同会社
  • SCSK株式会社
  • 株式会社NTTデータ
  • NTTドコモビジネス株式会社
  • グーグル・クラウド・ジャパン合同会社
  • KDDI株式会社
  • 日本オラクル株式会社
  • 日本電気株式会社
  • 日本マイクロソフト株式会社
  • 株式会社野村総合研究所
  • 富士通株式会社
  • 株式会社IDCフロンティア
  • 株式会社アット東京
  • NTTドコモビジネス株式会社
  • NTTPCコミュニケーションズ株式会社
  • MCデジタル・リアルティ株式会社
  • Coltデータセンターサービス・ジャパン・オペレーティング合同会社
  • 日本電気株式会社
  • 富士通株式会社
  • MiTASUN株式会社

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関連リンク

■レポートサマリー
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日本の生成AIイノベーションを加速させるAWSジャパンの独自支援
活性化するパートナープログラム Salesforceの新たな取組み
先端企業のリアルイベントにみるITトレンド
変革に向けて動き出す中小企業

■デイリーコラム
【アナリスト便り】「2026年版 クラウド基盤(IaaS/PaaS)・データセンターサービス市場の動向と展望」を発刊
【発刊裏話】「2026年版 クラウド基盤(IaaS/PaaS)・データセンターサービス市場の動向と展望」

■同カテゴリー
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調査要綱

調査対象:国内クラウドベンダ、データセンターサービス事業者、国内民間企業等
調査期間:2025年11月~2026年2月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mailによるヒアリング調査、郵送及びWebによる法人アンケート調査併用

※クラウド基盤(IaaS/PaaS)サービスとは:本調査における IaaS(Infrastructure as a Service)、PaaS(Platform as a Service)とは、いずれもパブリッククラウド(サービス提供事業者のクラウド基盤)を利用し、インターネット経由で提供される仮想化技術、自動化技術等を施したクラウドコンピューティング環境をさす。
クラウド基盤サービス市場規模は、クラウドベンダ(サービス提供事業者)の事業者売上高ベースにて算出した。なお SaaS(Software as a Service)は含まない。

<市場に含まれる商品・サービス>
IaaS、PaaS

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宮村 優作(ミヤムラ ユウサク) 研究員
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