矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2025.09.29

IoT/M2M市場に関する調査を実施(2025年)

2024年度の国内M2M市場規模は2,990億円と推計。人手不足の深化や労働時間の適正化など外部要因が相まって、市場は引き続き高い伸びを示す。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内及び世界のM2M市場、国内のIoT市場を調査し、市場規模、セグメント別の動向、参入企業動向、注目動向、将来展望を明らかにした。ここでは、国内M2M市場規模推移・予測について、公表する。

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【図表:国内M2M市場規模推移・予測】

【表・グラフ:国内M2M市場規模推移・予測】
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:事業者売上高ベース
  • 注:2025年度は見込値、2026年度以降は予測値
  • 注:M2Mを実現するためのネットワーク、デバイス、プラットフォーム、システム、運用管理などを対象とした。

 

IoT/M2M市場の概況

本調査では、M2M(Machine to Machine:機器間通信)を対象とし、分野別の需要動向や市場規模、及び推移を調査した。
2024年度の国内M2M市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比12.4%増の2,990億円と推計した。2024年度では、自動車分野を中心とした「コネクテッド化の進行」、コロナ禍後に社会全般で広まった「遠隔・リモート志向の定着」、日本社会での構造問題である「人手不足の深化/ベテラン作業者の減少・ノウハウ継承問題」、さらに社会課題であった「労働時間の適正化/働き方改革の定着」といった外部環境が相まって、国内M2M市場は引き続き高い伸びを示した。

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IoT/M2M市場の注目トピック

■生成AIとIoT
IoTは大量データを収集して、「現場の見える化」を始め、「異常値の検出・検知/閾値ベースの予兆検知」、「稼働状況の把握」などを実現してきた。IoTでは生成AIを活用する事で、さらに以下のような付加価値を創出できると考えられる。

  • 異常値の解釈(なぜ異常値が出たのか? その原因は何か? 異常値の影響はあるのか?)
  • 過去事例との比較考量(過去にも同じようなことは起きなかったか? その結果どうなったのか? 過去の原因は何だったのか?)
  • 自然言語でのレポートティング( 「この異常値は過去事例では○○リスクがある」、「○○が原因で異常値が出たが、○○により正常値に戻る」などのレポートを生成するイメージ) ​
  • 従来は人が行っていた判断を生成AIが代替する[精度の高いEBPM(Evidence-Based Policy Making)の実現、判断の背景要因を明確化する、行政での政策決定の自動化など]

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IoT/M2M市場の将来展望

2025年度以降の国内M2M市場は、引き続き年率10%程度の堅調な伸長を継続し、2030年度の同市場は5,320億円に成長すると予測する。
要因としては、まずは5G対応通信モジュールの登場により、カメラ・画像系ソリューション等での新たなM2M需要の創出がある。さらに、今後は新車販売のうち通信機能を持った「コネクテッドカー」の比率が高まり、自動車関連カテゴリーでの回線数増加効果も大きい。加えて、近年、LPWA(Low Power Wide Area)や920MHz帯を中心とした新たなIoTネットワークの普及も進んでおり、この影響も新たなM2M需要の創出に奏功している。
以上のようなことを勘案すると、国内M2M市場は2030年度に向けて引き続き高い成長を遂げる見通しである。

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

  • レイヤー別の主なプレイヤー
  • M2M/IoTビジネスでの技術的な環境要因
  • IoT領域への新規参入事例
  • M2Mの特徴と通信方式
  • IoTとM2M
  • 「生成AI×IoT」で期待されるソリューション
  • 周波数帯別のIoT向けネットワーク
  • IoT向けネットワークの特徴/概要
  • IoTネットワークに求められる機能と用途
  • マルチキャリア系ソリューション一覧
  • IoTビジネス向けバックアップ回線規模の推計値
  • 衛星データ活用が期待される分野
  • 衛星データ活用サービス市場規模推移(2022~2030年度予測)
  • 衛星データビジネスの需要分野別内訳(2022~2030年度予測)
  • 用途別・業務別の衛星データ活用ビジネス(2023年度)
  • 衛星データ関連情報
  • IoT活用イメージ及び問題点・課題
  • 「IoT×ドローン」が注目される背景
  • ドローンで利活用するデータ種類
  • ドローンデータソリューション事例
  • ドローンデータの利活用イメージ
  • 国内M2M市場規模推移(M2M売上ベース:2021~2031年度予測)
  • 国内M2M市場規模推移(累計M2M回線数ベース:2021~2031年度予測)
  • 世界M2M市場規模推移(M2M関連売上ベース:2021~2031年度予測)
  • 世界M2M市場規模推移(累計M2M回線数ベース:2021~2031年度予測)
  • 国内M2M市場の内訳(2024年度)
  • 世界M2M市場の内訳(2024年度)
  • 海外の有力M2M/IoT関連事業者の事業動向
  • カテゴリー別のM2M市場規模推移(国内累計回線数)
  • カテゴリー別の構成比推移(%)
  • 国内 IoT市場規模推移(IoT売上ベース:2021~2031年度予測)
  • 国内 IoT市場の内訳(2024年度)
  • CPS/デジタルツイン市場規模予測(2022~2031年度予測)
  • 工場デジタル化/IoT化の流れ
  • 工場でのデジタル化/IoT化の投資規模推計
  • 主な製造設備・機器に関する基礎データ(2024年度)
  • デジタル化/IoT活用の蓋然性が高い設備・機器
  • 対象業種
  • AI×IoTの活用イメージ
  • 鉄塔点検向けAI活用イメージ
  • セキュリティロボット「cocobo(ココボ)」の概要
  • エネルギー関連でのM2M市場規模推移(累計回線数ベース:2021~2031年度予測)
  • 流通/運輸・物流関連でのM2M市場規模推移(累計回線数ベース:2021~2031年度予測)
  • 設備・機器監視分野でのM2M市場規模推移(累計回線数ベース:2021~2031年度予測)
  • 「M2M×製造」によるイノベーションイメージ
  • 自動車関連でのM2M市場規模推移(累計回線数ベース:2021~2031年度予測)
  • その他分野でのM2M市場規模推移(累計回線数ベース:2021~2031年度予測)

■国内企業

  • 株式会社ABEJA
  • BIPROGY株式会社
  • 株式会社GUGEN
  • KDDI株式会社
  • MODE, Inc.
  • 株式会社YE DIGITAL
  • 株式会社ウフル
  • 株式会社オプティム
  • 株式会社ソラコム
  • 沖電気工業株式会社
  • 東芝デジタルソリューションズ株式会社
  • 日鉄ソリューションズ株式会社
  • 日本電気株式会社
  • 三菱電機株式会社
  • 横河電機株式会社

■海外企業

  • Cisco(アメリカ)
  • Digi International(米国)
  • Ericsson(スウェーデン)
  • PTC(Parametric Technology Corporation:アメリカ)
  • Telefónica, S.A.(スペイン)
  • Telenor Group(ノルウェー)

 

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関連リンク

■アナリストオピニオン
IoT向けネットワークの多様化が、「IoT×AI」の現場実装を加速させる!
産業向けIoTの本命は「製造」or「運輸・物流」or「自動車」?
将来的にM2Mの社会インフラ化が進む

■デイリーコラム
【発刊裏話】「2025年版 IoT/M2Mマーケット~遠隔モニタリング実装が進むIoT/M2M、マルチキャリア需要への期待も高まる~」
【アナリスト便り】「2025年版 IoT/M2Mマーケット~遠隔モニタリング実装が進むIoT/M2M、マルチキャリア需要への期待も高まる~」を発刊

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調査要綱

調査対象:ITベンダー、システムインテグレータ、IoTプラットフォーマー、ITベンチャー、海外事業者等
調査期間:2025年5月~8月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話による調査、アンケート調査、ならびに文献調査併用

※M2M市場とは:M2M(Machine to Machine:機器間通信)とは、人が介在せずに、主に携帯電話 / PHS通信規格に準じた通信モジュールを内蔵した機器・デバイス間で情報のやり取りをする仕組みを指す。
本調査におけるM2M市場規模は、M2Mを実現するためのネットワーク(ネットワーク機器、回線使用料/通信費含む)、デバイス(通信モジュール、センサーデバイスなど)、プラットフォーム(クラウド利用料含む)、システム(システム開発費、パッケージ、ミドルウェアなど)、運用管理などを対象として、各事業者の売上高ベースで算出した。

※IoTとは:本調査におけるIoT(Internet of Things)は、既存のM2M領域に加えて、社会インフラやエネルギー設備、建設機械・重機、パソコン、 スマートフォン、タブレット端末、人(SNSなどの情報)、農林水産・畜産、家電・住設機器、資材・物流機器、防犯・セキュリティサービス、見守りサービスなど、ネットワーク接続下にある全てのモノやコトを包含したシステムを指す。​そのため本調査におけるIoTは、M2Mを包括する上位概念に位置する。

<市場に含まれる商品・サービス>
ネットワーク(ネットワーク機器、回線使用料/通信費含む)、デバイス(通信モジュール、センサーデバイスなど)、プラットフォーム(クラウド利用料含む)、システム(システム開発費、パッケージ、ミドルウェアなど)、運用管理費など

関連マーケットレポート
早川 泰弘(ハヤカワ ヤスヒロ) 主任研究員
産業調査/マーケティング業務は、「机上ではなく、現場を回ることで本当のニーズ、本当の情報、本当の回答」が見つかるとの信念のもと、関係者各位との緊密な関係構築に努めていきます。日々勉強と研鑽を積みながら、IT業界の発展に資する情報発信を目指していきます。

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