「M2M」という言葉をご存知でしょうか?
最近では新聞や雑誌にも取り上げられる機会が増え、一般化した感もあります。当然これを目にした事のある人も増えたかと思いますが、念のために簡単に説明します。
M2MはMachine to Machineの略語で、簡単に言えば「機器間通信」となります。人が間に入らずに、機器・デバイス間で情報のやり取りをする仕組みです。近年では、動物と機器間での通信を「A2M(Animal to Machine)」、人間と機器間での通信を「H2M(Human to Machine)」、さらには多くのものがネットワークに繋がるという意味で「IoT(Internet of Things)」といった言葉も出てきております。
M2Mの具体事例としては、「自販機に通信機を搭載して、従来は人が行っていた在庫管理情報や故障情報などを自動的に収集、遠隔管理する」ような仕組みがあります。既に実用化されているカテゴリーとしては、電力・ガス・水道テレメタリング、河川・火山情報収集、自販機管理、建機・重機/エレベータなどの遠隔監視・制御、工場など産業分野での遠隔監視・制御、運輸・交通分野での運行管理・位置情報、農業・畜産での営農支援などがあります。
以前にもM2Mは脚光を浴びましたが、最近になって再注目され、その実用化が進展する背景には、以下のような点が指摘できます。
矢野経済研究所作成
上記要因の中でも、特にコスト面(システム開発コストの低廉化)及びワイヤレス環境の深化が大きなポイントだったと思います。
近年のビジネスシーンでは、情報収集力及び情報分析力での優劣が大きな比重を占めています。また業務効率向上や事業スピードアップのためには、M2Mを基盤とした仕組みの導入が、競争優位を確保する上でのキーポイントになると判断されます。
そして今後のM2Mでは、世界的にも拡大が見込まれるスマートシティ/スマートコミュニティにおける中核機能・中核技術としても期待され、中・長期的には社会インフラ的な位置づけになると予想します。つまり未来社会においては、電気やガス、水道、インターネットなどと同じく、どの都市、どの事業所、どの家庭にも入ってくる社会基盤になると予想します。
参考までに、弊社で推測したワールドワイドにおける累計M2M市場規模(累計M2M回線数ベース)は、2012年度の1億5,890万回線(日本市場構成比7.2%)が、2020年度には6.6億回線(同5.2%)に達すると見ております。伸長要因は、アプリケーション分野の拡大と、中国を始めとして新興国での需要拡大です。特にインフラや建物モニタリングへのM2M導入では、新興国シフトが顕在化すると予想します。
矢野経済研究所推計
(早川泰弘)
■レポートサマリ
●IoT/M2M市場に関する調査を実施(2024年)
●IoT/M2M市場に関する調査を実施(2023年)
■アナリストオピニオン
●産業向けIoTの本命は「製造」or「運輸・物流」or「自動車」?
●2018年はIoT元年になるか?
●注目されるIoT社会実現までの道筋
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