ここ数年でIoT向け通信規格が多様化している。
従来の主力であった有線に加えて、各種無線通信規格(セルラー回線、WiFi、Bluetooth、Zigbee、SIGFOX、LoRa、ZETA、ELTRES、Sidewalk、Wi-Fi HaLow、Wi-SUN、LTE-M、NB-IoT、RFIDなど)が広く普及するにつれ、様々な用途・場所でのIoTネットワークの構築が可能となってきた。
このようなIoT基盤の強化&多様化は、社会におけるAI活用/現場実装の追い風になっている。特に無線ネットワークの普及・拡大は、「IoT×AI」の座組を実装レベルに押し上げたと言えよう。
IoTデータを効率的/効果的に活用するには、必然的にAI活用がポイントとなる。この文脈においては、生成AIの登場は、極めて大きなインパクトを発揮した。具体的には、従来は一部のITエンジニアのものであった現場でのAI活用シーンを、現場レベルにまで広げた点が指摘できる。この事により、新たなAI活用シーンが劇的に広がり、合わせてデータ活用の可能性を高める効果もあった。
以下、分野別の「IoT×AI」活用事例を取りまとめた。尚、これはあくまでも実装が確認できた事例である
上述した分野は、今後も人手不足が見込まれており、「IoT×AI」活用による業務効率化への期待は非常に大きい。尚、「AI×IoT」の成功には、データの「質と量」が重要である。そして高品質なデータを大量に収集・蓄積する上では、IoTの座組は必須になる。つまりIoTデータにより、AI の精度向上や新たな解析手法の導入が可能になり、より一層の「AI×IoT」の現場実装を促進するサイクルが回りだすと考える。
以下には、分野別の「AI×IoT」の適用用途イメージを記載する。
【図表:AI×IoTの活用イメージ】
矢野経済研究所作成
産業分野でのAI実装を考えた場合、いくつかの課題が存在する。
まずAI活用では収集データが前提となるため、セキュリティ対策が必須である。ここでは、IoT デバイスやIoTネットワークのセキュリティ強度を高めることや、エッジ処理の高度化などでサイバー攻撃/データ漏洩リスクを低減することが必須である。
さらにAIの判断への配慮も重要になる。AI による判断に問題はないか(偏ったデータに依存してないか)、さらには、特に流通/小売や見守り/セキュリティ用途などではプライバシーを侵害していないかなどを考慮する必要は常に付きまとう課題である。
AIテクノロジーは日々進化しており、その可能性には社会的な期待が大きい。そしてAI活用を強化する上では、「AI×IoT」の座組が必須である。
将来的には、「AIを上手に使う」ことで産業・ビジネスを高度化させるだけでなく、社会課題の解決に資するソリューションの創出が考えられる。このためAI実装は、効率化、コスト削減といった面だけでなく、社会全体で共有する必要があるテーマであろう。
AIは人が活用するツールであり、AIの能力を最大限に引き出し、社会進歩に資するためには、「IoT×AI」の座組のもと、「人とAIの協調」に配慮することが不可欠となってくると考える。
(早川泰弘)
■レポートサマリー
●IoT/M2M市場に関する調査を実施(2024年)
●IoT/M2M市場に関する調査を実施(2023年)
■アナリストオピニオン
●産業向けIoTの本命は「製造」or「運輸・物流」or「自動車」?
●注目されるIoT社会実現までの道筋
●将来的にM2Mの社会インフラ化が進む
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