矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

2021.04.28

【アナリストオピニオン】「使えないシステム」をなくしDXを支える新たなソリューション、ナビゲーションツールの可能性③

テックタッチ株式会社

■ナビゲーションツールで創業したスタートアップ企業
テックタッチの代表の井無田氏が、新卒入社した金融機関にて業務遂行のために様々なシステム操作と格闘した経験をもとに、共同創業者の日比野氏と独自の製品を開発。2019年2月に製品提供開始。
テックタッチのナビゲーションの種類には、操作手順を最初から最後までリアルタイムで教えるガイドと、間違いやすい部分に絞り入力補助を行うツールチップがある。システム導入当初はガイドで定着を図り、操作に慣れた後は、実行頻度が低い操作・入力のみツールチップで注意を促すといった使い分けができる。

■日本市場のニーズに合わせた製品開発
テックタッチの最大の特徴は「使いやすさ」と「対象システムの範囲」であるという。日本企業は米国企業と異なり、社内にITエンジニアを置く企業は少ない。ITエンジニアの素養がなくとも、ガイドの設計・導入ができる製品の使いやすさとサポート体制に重点を置いた。テックタッチを導入した企業およそ40社のうちほとんどが自社でナビゲーションを構築しており、ITエンジニアではないシステム管理者や現場部門が担当しているため、簡単で短期間にコンテンツ構築できる操作性が強みとなっている。
また、対応するシステムは、SaaS/パッケージ製品から自社開発システムまで多様である。日本企業に数多存在するIE10以下で稼働するレガシーシステムであっても対応できる。

こうした日本のシステム産業への理解を活かし、コンサルティングなども含めて顧客企業に丁寧に対応することを重視したい考えだ。

■大手企業での導入事例を相次いで発表
もっとも利用頻度が多いのは、新規システム導入時の従業員オンボーディング(ユーザ教育コストの圧縮、社内問合せ工数の削減、マニュアルの作成やメンテナンスの負担軽減など)、レガシーシステムの開発代替(問合せ工数、差戻し工数削減や入力データ精度向上を開発費用削減しながら実現可能)である。さらに、同社は「気軽に周囲に質問しづらいリモート時代となって大きくニーズが高まり、生産性や社員満足度への貢献が実感され始めている。」とも指摘する。

このようなニーズを捉え、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社の全社員15,000名への全店展開(2019年11月11日付あいおいニッセイ同和損害保険株式会社プレスリリースより)、三菱UFJ銀行の全行員33,000名向けの導入(2021年2月8日付テックタッチ株式会社プレスリリースより)など、大企業への全社導入が発表されている。

NTTテクノクロス株式会社

■NTT研究所のUI拡張技術を活かして開発されたBizFront
NTTテクノクロスは2019年にUI改善ツールとしてBizFrontの提供を開始した。NTT研究所が特許を取得する「UI拡張技術」を適用している。これは、既存のWebシステムを追加開発することなく、操作の簡易化や自動化などの機能を持つUIを画面に追加することができる技術である。
元は、NTT社内の電話回線に関連して、入力項目が1000項目以上などもあり複雑でマニュアルも分厚いシステムに対して、オペレータの入力を支援するソリューションとして開発された経緯がある。
製品ラインナップには、Webシステムに対応し、システム入力フォームなどに機能を追加しUIを改善/拡張できるBizFront/SmartUIと、全てのWindowsアプリに対応し、画面上に注釈やヘルプ、ガイド、リンクなどを表示できるBizFront/アノテーションの2種類がある。

■高機能と自由度の高さが強み
雛形となる文章の自動挿入、入力漏れや入力忘れなどのチェック、プルダウン制御など様々な対応が可能であり、同社は「ユーザ企業の要望に柔軟に対応することができる機能の高さが強みとなる」という。例えば、稟議書の入力において、購買のための稟議か、契約のための稟議かによって、入力支援の内容を変えるといった自由度の高い制御も実現可能である。
そのため、ナビゲーションはBizFrontの用途の一つであり、入力省力化や入力ミス削減・入力統制など、より幅広い目的で利用可能な点が特徴となる。高度な要求に対しては、NTTテクノクロスやパートナー企業が拡張UI部分の構築サービスを提供する。
導入企業は、現在利用しているシステムについて、マニュアルの作成に手間がかかる、マニュアルを作成しても読まれないなどの課題を解決する目的でBizFrontを利用することが多い。

■他製品との連携も検討、いっそうの業務効率化支援を図る
取りまわしの良いクライアントプログラムであること・API呼出が可能であること・外部実行ファイルの呼出が可能であることから、他製品との連携も積極検討しているという。例えばRPAと組み合わせ、人が判断して入力する部分はBizFrontを使うことで、業務手順全体のDXを進めることができ、いっそうの業務効率化や生産性向上が実現できる。
入力支援のニーズが高いコールセンターもターゲットの一つであるが、今後はより幅広い業務に対してもBizFrontを提案していきたい考えだ(小林明子)。

※全文は以下よりご覧いただけます

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/311

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■レポートサマリー
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DX(デジタルトランスフォーメーション)に関する動向調査を実施(2020年)

■アナリストオピニオン
RPA市場に見るDXの理想と現実

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