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2017.07.06
iPhoneに支配される中古携帯電話市場

中古スマートフォンの流通状況と国内市場の現状

2017年6月3日、4日に開催された日本情報経営学会(JSIM)の第74回全国大会「IoTによる産業融合と創造情報経営」(東京理科大学)において青森公立大学の木暮祐一先生が「中古スマートフォン流通の国際動向と国内流通の将来展望」と題する研究論文を発表された。論文を要約すると

  • 中古スマートフォンの国際流通は(米)Apple「iPhone」のみ成立している状況
  • 中古iPhoneの国際取引は香港にて行われ、最近では中近東、アフリカ、中南米にまで流通
  • 中古iPhoneの部品供給体制は非常に充実しており、パッケージを含めた新品再生が可能な状況
  • 中古iPhoneの再生工場が存在。新興国市場やMVNOにて取り扱われている
  • 日本市場は中古iPhoneの供給市場として介在。日本製はコンディションが良好で取引価格は高価

 

【図表:国内中古携帯電話市場規模(台数ベース)】

日本の中古携帯電話市場は弊社「2016年度版国内MVNO・SIMフリー・中古端末市場動向調査」に拠れば2016年度は384万9,000台(スマートフォンは238万1,000台)、2017年度は435万8,000台(スマートフォンは282万6,000台)の見通しとなっている。スマートフォンの需要はApple「iPhone」に集中しており、Androidスマートフォンの需要はSONY「Xperia」やサムスン電子「Galaxy」など一部の製品に留まっている。海外に於いてもサムスン電子「Galaxy」シリーズが辛うじて中古市場を形成しているに過ぎない。

木暮先生も指摘されていたが、Apple「iPhone」の新品は非常に高価な事もあり、新興国市場ではより安価な中古品の需要は大きい。それに対し日本市場は実質0円での販売は無くなったものの、iPhone7(32GB)の新規契約なら実質価格は1万円(税別)で依然として安価に入手可能であり、日本ではiPhoneの中古需要はそれほど大きくはないように見える。しかしMVNO事業者による「格安スマホ」での利用ニーズやインバウンド需要があり、決して需要は少なくない。MVNO事業者各社もiPhoneの販売が実現すれば契約者数を増やせると見ており、これまでもAppleと供給に向けた交渉を行ってきたとされる。しかし、取扱条件をはじめとした敷居が非常に高く実現には至っていない。

そんな状況下、UQモバイルやワイモバイルといった大手通信事業者のサブブランドがiPhoneの取扱いを開始した。両社は4インチディスプレイを搭載した「iPhone5S」「iPhoneSE」を取扱う事で親会社との差別化を図っている。主なターゲットは中高生、大学生をはじめとする若年層でリーズナブルな月額利用料も相まってサブブランド2社の契約数を大きく押し上げている。
新品iPhoneの販売手法も多様化しており、KDDIのグループ企業にあたるJ:COMでは現在、Apple認定の整備済みiPhone6sを取り扱い、BIGLOBEはKDDIに買収される以前に香港から輸入したiPhoneを販売していた。(現在は取扱い終了、現在は「エコたん」と提携し中古iPhoneを販売している。)

大手通信事業者は「下取りプログラム」を提供

大手通信事業者は機種変更等の端末購入時に下取りプログラムを実施している。通信事業者取扱い全機種が対象となっているが、特にiPhoneについては高値で買い取りされている。買い取金額は購入端末代金に充てたり、ポイントにする事が可能であるがキャンペーン時には増額されるケースが散見される。iPhoneが高値で買い取りされている理由として下記が挙げられる。

  • 顧客囲い込み
  • 海外に流通市場が存在。日本で使用されていたiPhoneは高値で取引されている
  • Appleと通信事業者間に存在する台数コミットメントを達成させる為の販売促進策に活用
  • 中古市場への流通阻止

 

結果、通信事業者によって買い取りされた中古iPhoneは国内市場には一切流通させずに海外で売却されている。

中古携帯電話業界団体「RMJ」設立

2017年3月には大手中古携帯電話取扱事業者8社による任意団体「リユースモバイル・ジャパン」(RMJ)が設立された。RMJの設立理由として

  • リユース(中古)携帯電話市場の認知度向上
  • 法令順守
  • 関係省庁との連携
  • 関係事業者及び業界団体との連携
  • リユース携帯電話の透明性確保
  • 業界及び事業者の育成

 

等が挙げられている。RMJとしても大手通信事業者の下取りプログラムについて、主に高価買取について疑問を呈しており、今後総務省タスクフォースでの議題として取り扱って貰うべく活動している。
一方でRMJ未加盟の中古事業者はRMJの取り組みに一定の評価をしつつも、大手通信事業者の下取りサービスへの規制と国内市場への中古スマートフォン流通量増加については冷静に見ており現状でも受給バランスは保たれていると見る向きも多い。また通信事業者の下取りサービスは個人情報データ削除を通信事業者の責任の下に行っており、消費者としても高く買い取って貰えることに加え安心して手放せ、且つワンストップで対応して貰える等、メリットも大きい。

大手家電量販店での取り扱いや海外から輸入の可能性

大手家電量販店では中古家電、PC、AV機器等を取り扱うリユースビジネスを強化する方向にあるものの、中古携帯電話を取り扱う可能性は低いと見られる。最大の理由として、取引先(通信事業者)が中古携帯電話を取り扱う事を望まないことや、商材の確保が難しいことが挙げられる。特に後者について一部の量販店で下取りや買取りサービスを実施しているが、買取り金額で通信事業者による下取りサービスの価格に適わないことが大きな要因となっている。

また、昨今話題となっているSIMフリースマートフォンは、価格が比較的安価であることやMVNO事業者とのセット契約によって割引されることもあり、中古を購入するメリットは少ないことも挙げられる。しかしHuawei「P9」に見られるプレミアムスマートフォンの人気が定着し市場が形成されれば、中古市場でも需要が生まれるかもしれない。

最も需要があるiPhoneを海外から輸入して販売するのは「技適」が障害となりハードルが高い。国内で流通したものを再整備して販売する事も考えられるものの、コストが見合うかが疑わしい。また、メーカーサポートが受けられる可能性は極めて低く消費者にとってもリスクが大きいと言わざるを得ない。

今後の見通し

国内のスマートフォン市場は新品では市場の過半数を握っている。大手通信事業者3社は最重要商品として位置づけて販売に注力している。
日本市場はiPhoneの年間出荷台数の約7%を占める市場で米国、中国に次ぐ重要な市場と位置付けられている。また市場シェアで過半数を占めるのは日本のみであり、iPhoneが最も高い競争力を持つ数少ない市場である事は間違いなく、iPhone7では同社として珍しくNFC(モバイルFeliCa)に対応するといったローカル対応を図った。Appleにとって日本市場は絶えず新製品が売れて貰わなくてはならない市場であり、絶えずiPhoneを供給し続けるために生み出された手法が通信事業者による下取りプログラムである。Appleとしては中古iPhoneが日本市場に流通する事は看過できない事であり、大手通信事業者としても台数コミットメントを達成するには下取りプログラムの維持は最重要課題と言え、市場価格より高く買い取ってでも維持する必要がある。実質0円廃止や販売奨励金削減により余剰となった予算を下取りプログラムに転嫁しただけの話である。

消費者がiPhoneを利用するならば通信事業者経由で新品を購入し、通信事業者の下取りプログラムを利用するのが最もお得にiPhoneを利用する方法となっている。
iPhoneの高度に作りこまれたインターフェースとアプリケーション環境による生態系は多くのユーザーにとって非常に快適である。良くも悪くも国内の携帯電話市場はAppleの掌の上で踊らされている状況にあり、同社のコントロールが行き届いている間は中古携帯電話市場についても巧みにコントロールされてしまうのではないだろうか?

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賀川 勝(カガワ スグル)上級研究員

新興国が先進国に取って替わり世界経済を牽引している現在、市場が成熟化するスピードも早くなっています。 そのような状況下でお客様にとって本当に価値ある情報を最適なタイミングでご提供出来る様、常に心掛けております。

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