矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2024.05.29

産業用3Dプリンタ世界市場に関する調査を実施(2024年)

産業用3Dプリンタはメーカー出荷ベース・金額ベースともに金属3Dプリンタが大きく伸びると予測。2023年の世界市場規模は30,000台となった。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、産業用3Dプリンタ世界市場の調査を実施し、需要分野別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

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【図表:産業用3Dプリンタ世界市場規模推移と予測】

【図表:産業用3Dプリンタ世界市場規模推移と予測】
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:メーカー出荷台数ベース
  • 注:2024年以降は予測値
  • 注:CAGRは2019年から当該年までの年平均成長率

 

産業用3Dプリンタ世界市場の概況

2023年の産業用3Dプリンタ世界市場規模(メーカー出荷台数ベース)は、前年比113.2%の3万台となった。

新型コロナウイルス感染症流行の影響を受け、導入検討中の案件の停止など、停滞感のあった産業用3Dプリンタ市場は、2021年以降順調に成長している。サプライチェーンの分断や医療物資の不足などで産業用3Dプリンタによる物資の製造や加工が注目されたことが、同市場に対して一定程度プラスに働き、市場の回復は早まった。今後、市場を牽引していくのは金属を材料とする産業用3Dプリンタで、成長率は樹脂を材料とする産業用3Dプリンタよりも大きくなると予測する。

​産業用3Dプリンタを利用して製造されているものをみると、最終製品が増加基調にあるほか、量産を視野に入れるユーザーも多い。地域別では、欧米、特に欧州の市場が活発であるほか、インドや韓国などの市場も成長している。

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産業用3Dプリンタ世界市場の注目トピック

■金属3Dプリンタの出荷台数が増加
産業用3Dプリンタは大別すると樹脂を材料とする装置、金属を材料とする装置がある。出荷台数別にみれば樹脂を材料とする装置の市場の方が大きいが、金属を材料とする産業用3Dプリンタへの需要が高まっている。

国内市場においても同様の傾向にあり、金属を材料とする装置の出荷台数が増加基調にある。2024年には国内の産業用3Dプリンタ出荷台数のうち、1割以上が金属3Dプリンタになる見込みである。

近年は産業用3Dプリンタメーカーとして金属3Dプリンタ市場に参入する企業が増加しているだけでなく、日本で購入できる海外メーカーの金属3Dプリンタも増えている。こうした点も国内の金属3Dプリンタ市場成長の一因だと考える。

また、金属3Dプリンタの出荷台数が増加している理由のひとつに、最終製品の造形に対する需要の拡大が挙げられる。これは主に試作コスト削減や自由な形状での造形を期待してのことである。また、材料交換が容易になったことも増加要因だと考える。金属3Dプリンタの装置選定の観点として材料交換の容易性を挙げるユーザーは多い。最近は材料ユニット(材料を入れるケース)を交換すれば短時間で材料交換をすることが可能になりつつある。この点も市場拡大の要素のひとつと考える。

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産業用3Dプリンタ世界市場の将来展望

産業用3Dプリンタ市場は装置の性能向上、後処理や受託造形などの周辺サービスの充実、材料の種類の増加、ソフトウェア機能の拡充などにより、最終製品の造形、量産を行うユーザーが拡大し、引き続き成長すると予測する。

成長率でみるとメーカー出荷台数ベース、メーカー出荷金額ベースともに金属3Dプリンタの伸びが大きくなると予測する。また、産業用3Dプリンタを利用して製造されているものの割合は試作や治具(加工・組み立て・検査などに用いる補助工具)が大きい。この点は、今後市場が成長しても変わらないと考える。これは最終製品の造形が増えたからといって試作・治具の製造が減少するわけではなく、最終製品、試作、治具いずれの造形も増えていくためである。

こうした中、産業用3Dプリンタ世界市場規模(メーカー出荷台数ベース)の2019年から2025年までの年平均成長率(CAGR)は8.9%で推移し、2025年にはメーカー出荷台数が3万5,000台になると予測する。

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

  • 3Dプリンタの出荷台数/売上高(2019~2025年予測/世界)
  • 3Dプリンタの出荷台数/売上高(2019~2025年予測/国内)
  • 樹脂/金属別 3Dプリンタの出荷台数(2021~2025年予測/国内)
  • 3Dプリンタの方式(ASTMによる7分類)
  • 方式別 3Dプリンタの出荷台数(2023~2025年予測/国内)
  • 需要分野別 3Dプリンタの出荷台数(2023~2025年予測/国内)
  • デジタル技術の活用に向けたものづくり人材確保の取組内容(複数回答)
  • デジタル技術の活用に向けた自社の既存の人材に対する育成の取組内容(複数回答)
  • 民間や公的な教育訓練機関に求めるデジタル技術に関連する研修(複数回答)
  • 3Dプリンタ材料世界市場規模推移・予測(2019年~2022年見込+2026年予測)
  • 受託造形サービス市場規模(2019~2025年予測/国内)
  • 株式会社アスペクト
  • 株式会社NTTデータ ザムテクノロジーズ
    • EOS M 290仕様
    • 3社によるサーキュラーエコノミーの仕組み
    • エントリーモデル仕様
  • オリックス・レンテック株式会社
    • 導入支援サービスの流れ
  • 株式会社ストラタシス・ジャパン
  • 株式会社ソディック
    • LMP450仕様
  • 合同会社DMM.com
  • 株式会社ニコン
    • 装置スペック
    • インペラ造形の事例
  • 日本積層造形株式会社
    • 新たな設計思想によるものづくり
    • ワンストップサービスの提供と事業領域の拡大
    • レーシングカー用アップライト軽量化(参考事例)
  • マークフォージド・ジャパン株式会社
  • マテリアライズジャパン株式会社
  • 丸紅情報システムズ株式会社
    • F3300仕様
    • Desktop Metal製品ラインアップ
  • 三菱電機株式会社
    • AZシリーズ仕様
    • EZ300の主な仕様
  • 株式会社ミマキエンジニアリング

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調査要綱

調査対象:3Dプリンタメーカー、販売代理店、関連サービス提供事業者等
調査期間:2023年12月~2024年4月
調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用

※産業用3Dプリンタとは:本調査における産業用3Dプリンタとは、3次元データをもとに樹脂や金属などの積層によって、立体物を造形する装置を指し、主な製品タイプとしては造形方式や使用する材料の違いにより、粉末床融合方式(PBF)、指向性エネルギー方式(DED)、材料噴射方式(MJT)、材料押出方式(MEX)などがある。
本調査では、本体価格100万円以上の装置を産業用3Dプリンタとする。

<市場に含まれる商品・サービス>
産業用3Dプリンタ

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