矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2021.06.25

工場デジタル化市場に関する調査を実施(2021年)

人手不足や省エネへの取組みを背景に、製造現場では多様なデジタル活用が起こっている。国内工場では、クラウドを利用した次世代型のメンテナンスやモニタリングによる見える化が進むなど、IoTの活用が急速に注目されてきている。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内の工場デジタル化市場を調査し、製造現場におけるIoT活用実態やサービス化する製造業の動向、スマートファクトリー/デジタル工場やデジタルツイン/CPSへの取り組みなどを明らかにした。ここでは、工場デジタル化市場規模予測について、公表する。

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【図表:国内の工場デジタル化市場予測】

【図表:国内の工場デジタル化市場予測】
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:ユーザー企業の発注金額ベース
  • 注:2020年度以降すべて予測値
  • 注:ハードウェア、ソフトウェア、プラットフォーム(クラウド)利用料、工事(電気設備・通信設備)、SI・コンサルティング、サービスサポート、保守メンテナンス要員派遣などを含む。

 

工場デジタル化市場の概況

国内の工場では多くの業種・業態において、生産設備・機器の保全やライン稼働監視などで、IoT/クラウド、AIなどを使った異常・故障監視、稼働監視、保全、エネルギー使用量の見える化などの次世代型のメンテナンス/見える化が始まっている。さらには品質管理や外観検査など検品、生産最適化、作業者支援といった部分でもIT活用が広がっている。この背景には、製造現場における人手不足や生産性向上、省エネルギーといった工場由来のテーマの他、IoTを始めクラウド、センサーシステム、AI/解析ソリューションなどのIT技術の進展、および各種のハードウェアやサービスの低廉化がある。

これらにより、製造現場では多様なデジタル活用が起こっており、2020年度の国内の工場デジタル化市場規模を、ユーザー企業の発注金額ベースで1兆5,760億円と予測する。

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工場デジタル化市場の注目トピック

■IoT活用による次世代メンテナンス/次世代型の見える化が進む
生産設備・機器の稼働データをクラウドにアップロードし、そのデータを機器メーカーやメンテナンス事業者なども利活用することで、異常検知や予兆保全、CBM(状態基準保全)といった高度な保全や次世代メンテナンスを実現し、ダウンタイムの最小化を図る取り組みが進んでいる。実際に、既にCBMで100件(PoC:Proof of Conceptを含む)ほどの実績を持つITベンダーもあり、ここ1年で倍増した模様である。

また、例えばコンプレッサーの利用コストの8割前後が電気代(残りがイニシャルコスト、メンテナンスコスト、部品など)と言われ、コンプレッサーでは省電力化(電気代削減)が大きな訴求力を持つことは明白で、この部分でIoTモニタリングによる電力使用量の「次世代見える化」ニーズは大きい。

さらに近年、大型設備(ボイラーやコンプレッサー、ポンプなど)では、初めから通信機能(IoT機能)が組み込まれているケースが増えている。そのため、工場や生産ラインを新設するユーザー企業や省人化・省力化志向の強いユーザー企業、人手不足が深刻なユーザー企業などでは、生産現場でのIoT活用が急速に注目される状況となってきた。

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工場デジタル化市場の将来展望

コロナ禍で2020年度中は保留になったプロジェクトの復活や、工場でも遠隔/リモート、省人化、接触レスなどのシステム構築志向もあり、2021年度の国内の工場デジタル化市場規模を、ユーザー企業の発注金額ベースで1兆6,760億円(前年度比6.3%増)になると予測する。

2025年度に向けては、一部業種での設備投資自体の停滞は見込まれるものの、輸送用機械器具製造業や電子部品・デバイス・電子回路製造業、生産用機械器具製造業などでの旺盛な工場向けシステム投資意欲を背景に、堅調に推移する見通しである。加えて、その他業種の既存工場でも老朽化した生産設備・機器の更新需要、省人化・自動化対応ニーズの高まりがあり、工場デジタル化市場は堅調に推移すると予測する。

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

  • 対象事業者
  • 対象領域
  • 対象業種
  • 「IoT×製造」によるイノベーション
  • 製造現場でIT/IoTが注目される背景
  • 工場での基礎データ(2018年度)
  • 製造向けシステム投資額推移(2020~2025年度予測)
  • 業種分類別のシステム投資額推移(2020~2025年度予測)

■食料品製造業(従業者4人以上の事業所)

  • 従業員規模別の内訳
  • 食料品製造業における主要業種・業態
  • 主な業種における有力プレイヤー
  • 食料品製造業での工場デジタル化投資額推移(2020~2025年度予測)
■飲料・たばこ・飼料製造業(従業者4人以上の事業所)
  • 従業員規模別の内訳
  • 飲料・たばこ・飼料製造業における主要業種・業態
  • 主な業種における有力プレイヤー
  • 飲料・たばこ・飼料製造業での工場デジタル化投資額推移(2020~2025年度予測)
■繊維工業(従業者4人以上の事業所)
  • 従業員規模別の内訳
  • 繊維工業における主要業種・業態
  • 主な業種における有力プレイヤー
  • 繊維工業での工場デジタル化投資額推移(2020~2025年度予測)
■パルプ・紙・紙加工品製造業(従業者4人以上の事業所)
  • 従業員規模別の内訳
  • パルプ・紙・紙加工品製造業における主要業種・業態
  • 主な業種における有力プレイヤー
  • パルプ・紙・紙加工品製造での工場デジタル化投資額推移(2020~2025年度予測)
■印刷・同関連業(従業者4人以上の事業所)
  • 従業員規模別の内訳
  • 印刷・同関連業における主要業種・業態
  • 主な業種における有力プレイヤー
  • 印刷・同関連業での工場デジタル化投資額推移(2020~2025年度予測)
■化学工業(従業者4人以上の事業所)
  • 従業員規模別の内訳
  • 化学工業における主要業種・業態
  • 主な業種における有力プレイヤー
  • 化学工業での工場デジタル化投資額推移(2020~2025年度予測)
■石油製品・石炭製品製造業(従業者4人以上の事業所)
  • 従業員規模別の内訳
  • 石油製品・石炭製品製造業における主要業種・業態
  • 主な業種における有力プレイヤー
  • 石油製品・石炭製品製造業での工場デジタル化投資額推移(2020~2025年度予測)
■プラスチック製品製造業(従業者4人以上の事業所)
  • 従業員規模別の内訳
  • プラスチック製品製造業における主要業種・業態
  • 主な業種における有力プレイヤー
  • プラスチック製品製造業での工場デジタル化投資額推移(2020~2025年度予測)
■ゴム製品製造業(従業者4人以上の事業所)
  • 従業員規模別の内訳
  • ゴム製品製造業における主要業種・業態
  • 主な業種における有力プレイヤー
  • ゴム製品製造業での工場デジタル化投資額推移(2020~2025年度予測)
■窯業・土石製品製造業(従業者4人以上の事業所)
  • 従業員規模別の内訳
  • 窯業・土石製品製造業における主要業種・業態
  • 主な業種における有力プレイヤー
  • 窯業・土石製品製造業での工場デジタル化投資額推移(2020~2025年度予測)
■鉄鋼業(従業者4人以上の事業所)
  • 従業員規模別の内訳
  • 鉄鋼業における主要業種・業態
  • 主な業種における有力プレイヤー
  • 鉄鋼業での工場デジタル化投資額推移(2020~2025年度予測)
■非鉄金属製造業(従業者4人以上の事業所)
  • 従業員規模別の内訳
  • 非鉄金属製造業における主要業種・業態
  • 主な業種における有力プレイヤー
  • 非鉄金属製造業での工場デジタル化投資額推移(2020~2025年度予測)
■金属製品製造業(従業者4人以上の事業所)
  • 従業員規模別の内訳
  • 金属製品製造業における主要業種・業態
  • 主な業種における有力プレイヤー
  • 金属製品製造業での工場デジタル化投資額推移(2020~2025年度予測)
■はん用機械器具製造業(従業者4人以上の事業所)
  • 従業員規模別の内訳
  • はん用機械器具製造業における主要業種・業態
  • 主な業種における有力プレイヤー
  • はん用機械器具製造業での工場デジタル化投資額推移(2020~2025年度予測)
■生産用機械器具製造業(従業者4人以上の事業所)
  • 従業員規模別の内訳
  • 生産用機械器具製造業における主要業種・業態
  • 主な業種における有力プレイヤー
  • 生産用機械器具製造業での工場デジタル化投資額推移(2020~2025年度予測)
■業務用機械器具製造業(従業者4人以上の事業所)
  • 従業員規模別の内訳
  • 業務用機械器具製造業における主要業種・業態
  • 主な業種における有力プレイヤー
  • 業務用機械器具製造業での工場デジタル化投資額推移(2020~2025年度予測)
■電子部品・デバイス・電子回路製造業(従業者4人以上の事業所)
  • 従業員規模別の内訳
  • 電子部品・デバイス・電子回路製造業における主要業種・業態
  • 主な業種における有力プレイヤー
  • 電子部品・デバイス・電子回路製造業での工場デジタル化投資額推(2020~2025年度予測)
■電気機械器具製造業(従業者4人以上の事業所)
  • 従業員規模別の内訳
  • 電気機械器具製造業における主要業種・業態
  • 主な業種における有力プレイヤー
  • 電気機械器具製造業での工場デジタル化投資額推移(2020~2025年度予測)
■情報通信機械器具製造業(従業者4人以上の事業所)
  • 従業員規模別の内訳  
  • 情報通信機械器具製造業における主要業種・業態
  • 主な業種における有力プレイヤー
  • 情報通信機械器具製造業の工場デジタル化投資額推移(2020~2025年度予測)
■輸送用機械器具製造業(従業者4人以上の事業所)
  • 従業員規模別の内訳
  • 輸送用機械器具製造業における主要業種・業態
  • 主な業種における有力プレイヤー
  • 輸送用機械器具製造業の工場デジタル化投資額推移(2020~2025年度予測)
  • 株式会社ABEJA
  • PTCジャパン株式会社
  • 株式会社YE DIGITAL(旧:安川情報システム)
  • 株式会社アマダ
  • 株式会社インターネットイニシアティブ
  • エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
  • オムロン株式会社
  • クオリカ株式会社
  • ケーザー・コンプレッサー株式会社
  • 株式会社小松製作所(コマツ)
  • 株式会社 シーイーシー
  • ダイキン工業株式会社
  • 株式会社デンソーウェーブ
  • 東芝デジタルソリューションズ株式会社
  • 日本電気株式会社
  • パナソニック産機システムズ株式会社
  • 株式会社日立産機システム
  • 株式会社日立製作所
  • ファナック株式会社
  • 株式会社マクニカ・富士エレ ホールディングス
  • 三井情報株式会社
  • 三菱電機株式会社
  • 横河電機株式会社

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関連リンク

■レポートサマリー
IoT関連市場への新規参入動向調査を実施(2020年)
IoT/M2M(機器間通信)市場に関する調査を実施(2020年)
フィールドワーク支援ソリューション市場に関する調査を実施(2020年)

■アナリストオピニオン
IoT関連ビジネスへの参入では、成果を可視化しやすい領域へのアプローチを目指せ
産業向けIoTの本命は「製造」or「運輸・物流」or「自動車」?
人手不足が深刻化する中で、ITテクノロジーは回答を出せるのか?
2018年はIoT元年になるか?
注目されるIoT社会実現までの道筋

■同カテゴリー
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調査要綱

調査対象:ITベンダー・SIer、機器・装置メーカー、ユーザー企業及び系列の情報システム事業者、アプリベンダーなど
調査期間:2021年3月~5月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話やアンケートによる調査、ならびに文献調査併用

※工場デジタル化市場とは:本調査における工場デジタル化市場とは、ハードウェア、ソフトウェア、プラットフォーム(クラウド)利用料、工事(電気設備・通信設備)、SI・コンサルティング、サービスサポート、保守メンテナンス、要員派遣などを対象として、ユーザー企業の発注金額ベースで算出した。但し、ユーザー企業が機器・装置等を調達し、内製で対応する分は含まない。

※参考情報
国内工場・製造分野での次世代モニタリングシステム普及率を予測(2018年)(2019年2月25日発表)
故障予知ソリューション動向に関する調査を実施(2017年)(2017年8月30日発表)

<市場に含まれる商品・サービス>
遠隔監視/モニタリングシステム、IoTシステム(データ収集)、クラウド/IoTプラットフォーム、画像系/カメラソリューション、AR/VRソリューション、台帳ソリューション、デジタルツイン/CPS(Cyber-Physical System)など

関連マーケットレポート
早川 泰弘(ハヤカワ ヤスヒロ) 主任研究員
産業調査/マーケティング業務は、「机上ではなく、現場を回ることで本当のニーズ、本当の情報、本当の回答」が見つかるとの信念のもと、関係者各位との緊密な関係構築に努めていきます。日々勉強と研鑽を積みながら、IT業界の発展に資する情報発信を目指していきます。

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