矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2019.09.19

国内FinTech(フィンテック)市場に関する調査を実施(2019年)

FinTech系ベンチャー企業の国内市場規模推移は、前年比42.7%。2022年度には1兆2,102億円と拡大予測。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内FinTech市場を調査し、現況、領域別の動向、および将来展望を明らかにした。

「国内FinTech(フィンテック)市場に関する調査を実施(2019年)」 小見出し一覧

 

国内FinTech(フィンテック)の市場概況

2018年度の国内FinTech(フィンテック)市場規模(FinTech 系ベンチャー企業売上高ベース)は、前年度比42.7%増の2,145億円であった。法律的・技術的・物理的な支援環境が急速に整いつつあるなか、FinTechにおける官民の取組みも活発化している。

【図表:FinTech(フィンテック)系ベンチャー企業の国内市場規模推移予測】

図表:FinTech(フィンテック)系ベンチャー企業の国内市場規模推移予測
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:FinTech系ベンチャー企業売上高ベース
  • 注:2019年度見込値、2020年度以降予測値
  • 注:本調査より市場定義を5領域としたため、過去の公表値とは異なる

金融庁による銀行法の改正に伴い、全金融機関が2018年3月までに「電子決済等代行業者との連携及び協働に係る方針」を打ち出し、現在各金融機関がAPI(Application Programming Interface)の公開に向けた整備を進めている。また、革新的なFinTechサービスの創出を後押しすべく、経済産業省の生産性向上特別措置法に基づき、「新技術等実証制度※1(規制のサンドボックス制度)」が設置された。既に金融分野では、ブロックチェーン※2や新たな保険商品に関するプロジェクトが金融庁から認定を受けており、引き続き積極的な活用が期待されている。

現下、各金融機関はAPIの接続に向けた整備を進めているが、APIの整備はベンチャー企業などとの協業を促進するための金融インフラであることから、整備のための先行投資は重要である。特に更新系(資金移動系)APIの整備には相応のIT投資が必要であることから、今後のベンチャー企業などとの協業を見据えた各金融機関における積極的な先行投資が期待される。

また、民間においては大手町や兜町など、都内のFinTech産業拠点の活性化が進んでいる。各拠点ではミートアップ(私的な会合形式のビジネスマッチング)が積極的に開催されている。加えて、アイデアソン(異なる分野や専門領域のメンバーが集まり、議論を通じてアイデアを練っていく手法)や視察ツアーなど取組みの幅が広がってきている。​

※1. 新技術等実証制度とは、革新的な事業やサービスを育成する上で、現行法の規制を一時的に停止する仕組みで、 所管官庁に届け出て、相談の上、試験的に事業を進める手法
※2. ブロックチェーンとは利用者同士をつなぐ P2P(ピアツーピア)ネットワーク上のコンピュータを活用し、権利移転取引などを記録、認証するしくみ

▲小見出し一覧に戻る

 

国内FinTech(フィンテック)市場の注目トピック

■ブロックチェーン(プラットフォーム/クリプトカレンシー)の拡大
プラットフォーム領域は、実証実験が続いたため市場規模の伸びは限定的であった。しかし、最近では地方銀行によるブロックチェーンの活用事例も出てきており、徐々に活用に向けた動きが広がりつつある。また、新技術等実証制度(規制のサンドボックス)においてもブロックチェーンを使った実証実験が行われており、更なる活用が見込まれる。

一方、クリプトカレンシー(仮想通貨)の領域は、大規模な不正流出などを契機として多くの仮想通貨取引所が業務改善命令を受け、業績は一時低迷したものの、市場環境の健全化をめざし、セキュリティや内部管理態勢の構築・強化などに最優先で取組んできていることから、今後の成長が期待できるものとみる。

▲小見出し一覧に戻る

 

国内FinTech(フィンテック)市場の将来展望

FinTech(フィンテック)を領域別にみてみると、家計簿・資産管理アプリ分野については地方銀行の導入や継続性といった観点から拡大しており、また融資分野においてはソーシャルレンディングに加えてAIスコアを用いた新サービスも登場していることから、今後も拡大すると予測する。さらにブロックチェーンにおいては、地方銀行による活用事例が出てきており、新技術等実証制度(規制のサンドボックス)等の支援環境を活用した更なる取組みの拡大が見込まれる。

​こうした官民一体となった取組みにより、2022年度の国内FinTech(フィンテック)市場規模(FinTech系ベンチャー企業売上高ベース)は1兆2,102億円に達すると予測する。

▲小見出し一覧に戻る

 

参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

第1章 総論
  • FinTechとは
    • 日本における主たるFinTechベンチャー企業
  • FinTech市場概況
  • 次世代金融に向けた動き―協業/店舗/ITインフラのあり方
    • 銀行システムとFinTech系ソリューションとの接続
    • APIを公開する上での公開範囲
    • API公開「整備済み」金融機関の推移
    • API公開における対応方針
    • 都市銀行における個人向け/法人向けAPI対応方針
    • 地方銀行における個人向け(参照系/更新系)API対応方針
    • 地方銀行における法人向け(参照系/更新系)API対応方針
    • インターネット専業銀行における個人向け/法人向けAPI対応方針
    • 地方銀行グループにおける店舗の統合・集約に向けた取組み
    • CD/ATM設置台数の推移
    • 重視する顧客との接点
    • メガバンクグループの取組み事例
    • 地方銀行の取組み事例
    • ベンダーによる支援ソリューションの例
    • クラウドサービス等の利用の現状と先行き
    • 三菱UFJフィナンシャル・グループにおける本格活用に向けたステップ
    • 主たるベンダーによる金融機関のクラウド活用に対する見解
    • SIer各社が支援するさまざまなブロックチェーン活用事例
  • 領域別FinTech市場規模予測(2017年度~2022年度)
    • FinTech系ベンチャー企業の市場規模推移予測(2017年度~2022年度)
    • 融資領域の市場規模推移予測(2017年度~2022年度)
    • 投資・運用サービス領域の市場規模推移予測(2017年度~2022年度)
    • ブロックチェーン領域の市場規模推移予測(2017年度~2022年度)
    • 家計簿管理・資産管理アプリ領域の市場規模推移予測(2017年度~2022年度)
    • 金融機関向けセキュリティサービス領域の市場規模推移予測(2017年度~2022年度)

 

第2章 金融機関の実態と取組み
  • 3メガバンクグループの取組み状況
    • グループ別の連結業務利益の推移
    • 各グループのオープン・イノベーションに対するスタンスの違い
    • 各グループのFinTech牽引部隊の概要
    • 3メガバンクのFinTechに関する取組み状況
    • 国内株式委託手数料のケース
    • 協業、出資に対する考え方や取組み状況
    • APIの提供に関する見解
  • 地方銀行・第二地方銀行の取組み状況
    • 地方銀行の業績推移
    • 第二地方銀行の業績推移
    • 地域銀行の本業利益と本業赤字銀行数の推移
    • 地方銀行におけるFinTechに関する取組み分類
    • 最近3年以内に、企業はどの金融機関から融資の勧誘を受けたか(複数回答)
    • 最近の地方銀行再編の事例一覧
    • 地方銀行におけるシステム共同化の状況
  • ネット専業銀行の取組み状況
    • 異業種による金融関連の動向
    • ネット銀行における取組みパターン(2018年~2019年7月)

 

第3章 ITベンダーの実態と取組み
  • SIerの取組み状況
    • 大手SIer各社のFinTechに関する取組み
  • クラウドベンダーの取組み状況―AWSの動向

 

第4章 領域別ベンチャー企業の実態と取組み
  • 融資
    • ソーシャルレンディング
    • AI融資(個人/法人)
  • 投資・運用サービス
  • ブロックチェーン
    • プラットフォーム(ブロックチェーン)
    • クリプトカレンシー(暗号資産)
  • 家計簿・資産管理アプリ
  • 金融機関向けセキュリティサービス

 

第5章 個別企業の実態
三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ、iBankマーケティング、住信SBIネット銀行、NTTデータ、電通国際情報サービス、アマゾン ウェブ サービス ジャパン、LINE(金融事業)、SBIソーシャルレンディング、お金のデザイン、FOLIO、ZEROBILLBANK JAPAN、ソラミツ、ディーカレット、Chaintope、Nayuta、Basset、マネーフォワード、バンクガード

…ほか

▲小見出し一覧に戻る

 

関連リンク

■レポートサマリー
ブロックチェーン(Blockchain)活用サービス市場に関する調査を実施(2019年)
国内FinTech(フィンテック)市場に関する調査結果 2015

■アナリストオピニオン
FinTechの更なる急拡大を後押しする注目動向
FinTech市場拡大に向けて注視していくべきポイント――スクリーンスクレイピングの現状と今後の銀行によるAPI公開をめぐる課題
国内におけるブロックチェーン活用に関する現状と課題

■同カテゴリー
[ICT全般]カテゴリ コンテンツ一覧
[情報サービス/ソリューション]カテゴリ コンテンツ一覧
[コンテンツ/アプリケーション]カテゴリ コンテンツ一覧
[金融・決済]カテゴリ コンテンツ一覧

▲小見出し一覧に戻る

オリジナル情報が掲載された ショートレポート を1,000円でご利用いただけます!
【ショートレポートに掲載されているオリジナル情報】
  ●注目トピックの追加情報
     家計簿・資産管理アプリ
     融資(ソーシャルレンディング/AI融資)
  ●将来展望の追加情報

以下の 利用方法を確認する ボタン↓から詳細をご確認ください。

利用方法を確認する


調査要綱

調査対象:金融機関、ITベンダー、異業種からの参入企業、FinTech系ベンチャー企業
調査期間:2019年6月~8月
調査方法:当社専門研究員による直接面談取材、電話調査および文献調査などを併用

※FinTech(Financial Technology)および FinTech(フィンテック)市場とは:FinTech(フィンテック)とは金融(Finance)と技術(Technology)を掛け合わせた造語である。従来の金融機関では提供できなかった領域においてIT技術を活用して提供する金融サービスを意味する。

本調査におけるFinTechは次のように分類し、「融資(ソーシャルレンディング/AI融資)」「投資・運用サービス」「ブロックチェーン(プラットフォーム/クリプトカレンシー)」「家計簿・資産管理アプリ」「金融機関向けセキュリティサービス」の5領域を対象とする。​国内FinTech市場規模は従来の金融機関が提供していない、革新的なサービスやその基礎技術を提供するベンチャー企業に焦点を当て、当該ベンチャー企業の売上高ベースで算出している。なお、本調査より市場定義を5領域としたため、過去の公表値とは異なる。

<市場に含まれる商品・サービス>
融資(ソーシャルレンディング/AI融資)、投資・運用サービス、ブロックチェーン(プラットフォーム/クリプトカレンシー)、家計簿・資産管理アプリ、金融機関向けセキュリティサービス

関連マーケットレポート
山口 泰裕(ヤマグチ ヤスヒロ) 研究員
ITを通じてあらゆる業界が連携してきています。こうした中、有望な業界は?競合・協業しうる企業は?参入障壁は?・・・など戦略を策定、実行に移す上でさまざまな課題が出てきます。現場を回り実態を掴み、必要な情報のご提供や戦略策定のご支援をさせて頂きたいと思います。お気軽にお声掛け頂ければと思います。

YanoICT(矢野経済研究所ICT・金融ユニット)は、お客様のご要望に合わせたオリジナル調査を無料でプランニングいたします。相談をご希望の方、ご興味をお持ちの方は、こちらからお問い合わせください。

YanoICTサイト全般に関するお問い合わせ、ご質問やご不明点がございましたら、こちらからお問い合わせください。

東京カスタマーセンター

03-5371-6901
03-5371-6970

大阪カスタマーセンター

06-6266-1382
06-6266-1422