矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2026.04.03

ステーブルコイン市場に関する調査(2026年)

ステーブルコイン市場は2030年度に約14.7兆円規模を予測。プログラマビリティ領域、B2B、B2Cにおけるユースケースの確立が成長への鍵に。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、ステーブルコイン市場を調査し、将来展望を明らかにした。

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【図表:ステーブルコイン市場予測】

【グラフ:ステーブルコイン市場予測】
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:ステーブルコインの残高ベースで算出
  • 注:2025年度は見込み値、2026年度以降は予測値

 

ステーブルコイン市場の概況

ステーブルコインとは、法定通貨と同等の価値を持つように設計された暗号通貨トークンである。

ステーブルコイン市場(残高ベース)は、2025年度には約30億円まで拡大する見通しであり、2030年度には約14.7兆円に達すると予測する。トークン化預金を含めた広義のステーブルコインの市場予測(残高ベース)では、2030年度には30兆円規模まで拡大するとみる。

改正資金決済法ではステーブルコインを「電子決済手段」として法的に位置付け、発行主体・取扱業者・媒介業者の全ての事業者を制度圏に明確に取り込み管理する枠組みを構築している。この制度全体には、決済の安全性を最優先とする政策的なスタンスが反映されている。投資や資産運用を目的とするものではなく、「現金と等価の決済手段としての信頼性を確保すること」が中心的な目標として掲げられている。

2025年10月にJPYC(Japan Yen Coin)が資金移動型ステーブルコインを発行し、日本におけるステーブルコインの発行拡大機運が高まっており、信託型ステーブルコインの発行にも期待が掛かっている。

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ステーブルコイン市場の注目トピック

■プログラマブル・マネーの台頭
ステーブルコインのユースケースに関しては、B2Bや海外送金のほか、B2Cや給与支払いなどの生活インフラに近い領域での活用が見込まれるが、中でも利用可能性が特に高いのはプログラマブル・マネーとみている。AIエージェントの活用により、資金の利用条件や実行タイミングを自動制御する「プログラマブル・マネー」の実用化が進む可能性がある。

特に投資・運用領域においては、より早期に実用化が進むと予測する。例えば、あらかじめ期待リターンやリスク許容度といった投資パフォーマンスの条件を設定し、その範囲内で最適な投資対象を選定する仕組みや、実際の投資金額に上限を設けた上で自動執行するモデルなどが考えられる。これは、従来のAI投資を一段階高度化した形であり、プログラマブル・マネーと組み合わせることで、より精緻かつ統制の効いた運用が可能になると期待されている。

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ステーブルコイン市場の将来展望

ステーブルコインは既存取引の一部を代替するだけでなく、プログラマブル・マネーによる「新たな商流」を創出する。ステーブルコイン市場の拡大は、投資・運用領域におけるプログラマブル・マネーで顕在化するとみている。

2026年度には、AIによる自動投資アルゴリズムとステーブルコインが直結することで、24時間365日、即時かつ精緻な資金移動が可能となる。この「AI×プログラマブル・マネー」のシナジーにより、2026年度には市場残高が急拡大する見通しである。利用者の構成をみると、取引の大半は機関投資家および個人投資家による運用目的が占めるとみられる。資金移動業型ステーブルコインは、その柔軟性とスマートコントラクト(あらかじめ決められたルールに基づいて、自動的に実行される契約プログラム)との親和性の高さから、投資エコシステムの基盤通貨として機能する。一方、B2BやB2Cでの利用は普及に時間を要し、2030年度時点でも全体の1割未満に留まると予測される。

ステーブルコインの台頭により、既存の銀行ビジネス全体にも構造的な変化が生じるとみている。今後、金融取引がオンチェーン化していく中で、手数料収入や預金を基盤とした従来型の金融機関のビジネスモデルは、変革が求められるようになるとみている。中長期スパンでみると、既存金融とオンチェーン金融の勢力図が大きく塗り替わるとみている。

2026年度は、具体的なユースケースと収益モデルを発見するフェーズとなり、技術の実証段階から実際の使用用途の開発、持続的な収益モデルの検証へと移行する年であり、理想的な成長シナリオに向けた転換点になるとみる。

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

  • 他分野における主な仲介業:金融業態別仲介業の比較表
  • 日本ステーブルコイン市場における発行主体
  • ステーブルコイン市場予測(2025年~2030年予測)
  • 暗号資産区分別時価総額および構成比
  • 暗号資産市場の主要構成資産
  • 各主要資産の規制的性格および重要論点
  • 主な制度設計要素
  • 米国主要関連法案概要
  • ステーブルコインとCBDCの制度的役割の整理
  • ステーブルコインとCBDCの相互関係の整理
  • 民間ステーブルコインの基本構造と政策論点
  • USDC・USDTの主要利用場面の整理
  • 主要ステーブルコイン市場規模およびシェア(2026年1月中旬発酵残高ベース、推計値シェア)
  • シンガポール主要参加事業者:金融機関
  • シンガポール主要参加事業者:デジタル資産・ブロックチェーン企業
  • シンガポール主要参加事業者:決済・プラットフォーム
  • マレーシアの重要事業者
  • フィリピンにおける重要市場参加者
  • ベトナムにおける決済・インフラ関連機関
  • JPYC
  • SBIホールディングス
  • TIS
  • ディーカレットDCP
  • Stripe
  • HashPort
  • Ginco

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関連リンク

■アナリストオピニオン
ステーブルコイン市場の現状と拡大可能性

■デイリーコラム
●ビザ、ステーブルコイン連動カードを100カ国超へ拡大  ―カード決済網がステーブルコインを取り込み始めた
https://www.yanoict.com/daily/show/id/1524
https://www.yanoict.com/daily/show/id/1525
https://www.yanoict.com/daily/show/id/1526

■同カテゴリー
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調査要綱

調査対象:ステーブルコイン事業者及びステーブルコイン関連事業者
調査期間:2025年10月~2026年2月
調査方法:当社専門研究員による直接面談を主体に文献調査等を併用

※ステーブルコイン市場とは:ステーブルコインとは、法定通貨と同等の価値を持つように設計された暗号通貨トークンである。2023年6月に施行した改正資金決済法はステーブルコインを「電子決済手段」として法的に位置付け、発行主体・取扱業者・媒介業者の全ての事業者を制度圏に明確に取り込み管理する枠組みを構築した。法定通貨担保型のステーブルコインは、現金や現金同等物を担保とすることで、1:1の価値の裏付けを維持するものである。
ステーブルコイン市場は発行額から償還額を差し引いた発行残高ベースで算出している。
なお、ステーブルコイン市場には金融機関が銀行法に基づいて発行する(広義のステーブルコインといわれる)トークン化預金は含まない。

<市場に含まれる商品・サービス>
ステーブルコイン、ステーブルコイン発行支援サービス

高野 淳司(タカノ ジュンジ) 主席研究員
数多くの取材を通して得ることの出来た「生の情報」を元に、お客様が抱えている問題にしっかり耳を傾け、もっとも効果的な解決方法を発見できる調査を提案することをモットーとしています。

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