矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

2026.03.31

「ビザ、ステーブルコイン連動カードを100カ国超へ拡大  ―カード決済網がステーブルコインを取り込み始めた」②

2近年、ステーブルコインは暗号資産の投資手段というより、国境を越えた資金移動のインフラとして利用される事例が増えている。特に為替変動が大きい、あるいはドルへのアクセスが制限されている一部の国では、ドルの代替手段や海外送金手段として利用されるケースも報告されている。

今回の発表のもう一つの軸がストライプだ。ストライプは米国の決済インフラ企業で、開発者が提供されるAPIを通じてオンラインサービスにカード決済機能を直接統合できるプラットフォームである。電子商取引やSaaS企業が自社で決済システムを構築することなく、決済処理や精算を実行できる環境を提供することで成長してきた。B2B決済インフラに強みを持ち、消費者向け決済プラットフォームで知られるペイパル(PayPal)と並び、グローバルオンライン決済市場の主要事業者として言及されることが多い。

ストライプは、2024年10月ステーブルコインインフラ企業ブリッジを約11億ドルで買収すると発表し、審査を経て2025年2月に買収を完了した。ブリッジはステーブルコインを基盤とした決済・精算インフラを提供する企業であり、今回のビザとの協力拡大も、こうした事業拡張の流れの中で位置付けられる。

こうした動きは日本市場とも無関係ではない。ストライプは日本を含む複数の国で決済インフラを提供しており、日本企業の中にもストライプを通じて海外決済を受け取ったり、オンライン決済システムを構築したりする事例が少なくない。事業者の立場から見ると、「ステーブルコイン連動カード」の拡大は新たな決済手段の登場というより、カードネットワークとブロックチェーンベースの決済インフラが結び付くことで、決済や精算の選択肢が広がる動きと捉えることができる。また日本では2023年、ステーブルコインに関する法制度が整備され、銀行、資金移動業者、信託会社などが発行主体となり得る枠組みが整えられた。近年は主要金融機関がステーブルコインの活用可能性を検討する動きも見られており、海外で進むカードネットワークとステーブルコインインフラの結合事例は、日本の金融市場においても制度や事業モデルの接点を考える上で参考となる可能性がある。

 

※当社では、日本およびグローバルステーブルコイン市場に関するレポート「2026年版 ステーブルコイン市場の実態と展望」を発刊しており、最新動向の調査・分析を継続しています。

曺 銀瑚(ゾ ウノ) 研究員
AIが第4次産業革命を牽引すると言われています。その最前線で、日々膨大な情報と技術革新に直面している分野がまさにICT・金融です。このような急速に変化する時代の流れの中でも、揺らぐことなく成長し続けるビジネス洞察力を培えるよう、正確かつ鋭い知識情報を提供するパートナーとしてこれからも最善を尽くします。

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