矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2024.10.17

POSターミナル市場に関する調査を実施(2024年)

国内POSターミナル市場は約10万台での横ばい推移が続く。今後は流通小売業の人手不足によるセルフレジの台頭やコンビニのシステム入れ替え時に大幅な増加が期待される。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のPOSターミナル市場の調査を実施し、リテールソリューション動向やPOSシステム関連事業者の戦略、市場の将来展望を明らかにした。

「POSターミナル市場に関する調査を実施(2024年)」 小見出し一覧

【図表:国内POSターミナル市場予測】

【図表:国内POSターミナル市場予測】
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:メーカー出荷(台数、金額)ベース
  • 注:2024年度は見込値、2025年度以降は予測値
  • 注:POSシステムは、サーバやPOSターミナル(端末)、POSソフトウェア、その他周辺機器から構成されるが、本調査ではPOSターミナル(端末)の市場規模を算出した。
  • 但し、クラウド上のPOSソフトウェアを市販のタブレット(端末)で利用するサービス、タブレットPOSは対象としていない。

 

POSターミナル市場の概況

国内のPOSターミナル市場は、コロナ禍において投資を控えていた流通小売業各社がシステムへの投資を再開したことが影響し回復をみせた結果、2022年度のPOSターミナル市場は、メーカー出荷台数は前年度比106.4%となる96,773台となった。但し、メーカー出荷金額では前年度を下回る376億3,900万円(同94.0%)となっている。
2023年度はさらに回復傾向が顕著となり、出荷台数は107,837台(同111.4%)となった。また昨今のインフレ傾向およびPOS端末のセルフ化による製品単価の上昇が影響し、出荷金額でも452億2,100万円(同120.1%)となった。

▲小見出し一覧に戻る

 

POSターミナル市場の注目トピック

■深刻化する人手不足を背景にセルフレジが台頭
流通小売業における人手不足は深刻なものになっており、特に「レジ係」と「品出し係」に関しては深刻な状況になっている。そうした中、これまで急速に普及してきたセミセルフレジであったが、今後はチェックアウト業務が不要となるフルセルフレジに需要がシフトすることが考えられる。
その最大の理由は人手不足の深刻度が増しているためである。セミセルフレジはチェックアウト業務の人員を必要とするため、今後はPOSシステムにおけるニーズはフルセルフレジが中心に展開されていくものと考える。また、特許問題等の理由からセミセルフレジを供給するベンダが限定されることも背景にあり、ユーザー企業は開発競争に拍車がかかるフルセルフレジを有力な選択肢とするだろう。

今後のPOSレジの形態としては、従来からある設置型のフルセルフタイプのレジに加えて、カートタイプのレジとスマホを活用したスマホレジの二つが台頭してくるとみる。カートタイプのレジは主にタブレットをカートに搭載したセルフレジと言え、スマホレジは顧客もしくは店舗保有のスマートフォンで利用客自身がスキャニングするセルフレジである。今後は、チェッカーの人員を究極まで削減できるこのタイプのチェックアウトシステムが大きく需要を伸ばすものと予測する。

▲小見出し一覧に戻る

 

POSターミナル市場の将来展望

国内のPOSターミナル市場は大手の流通小売チェーンのシステム更新時に大きく需要を伸ばすが、それを除けば大きな成長は見込まれず、横ばいもしくはなだらかに縮小していく見通しである。
2024年度のPOSターミナル市場は出荷台数は107,410台(前年度比99.6%)だが、セルフタイプレジへの置き換えから出荷金額は473億9,500万円(同104.8%)になると予測する。2025年度は112,781台(同105.0%)に対し、競争激化からセルフタイプレジの製品単価低下を見込み、同90.4%となる428億5,700万円と予測する。

2026年度と2027年度には大手コンビニエンスストアチェーンのシステム更新による、POSターミナル入れ替え需要が生じる見込みで大幅増を予測する。コンビニのPOSシステムは前回も3大チェーンがほぼ同じ時期に一気に入れ替えたため、次回もほぼ同じような時期に一度に需要が集中する見通しである。
そのため、出荷台数は2026年度が135,337台(前年度比120.0%)、2027年度は175,938台(同130.0%)に拡大を予測する。出荷金額では2026年度が514億2,800万(同120.0%)、2027年度は703億7,500万(同136.8%)になると予測する。

▲小見出し一覧に戻る

 

参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

  • 物販系分野のBtoC-ECの市場規模
  • 物販系分野のBtoC-EC市場規模及びEC化率の経年推移
  • 市場規模推移(2020年度~2024年度見込)
  • 2021年度 メーカーシェア(台数ベース)
  • 2021年度 メーカーシェア(金額ベース)
  • 2022年度 メーカーシェア(台数ベース)
  • 2022年度 メーカーシェア(金額ベース)
  • 2023年度 メーカーシェア(台数ベース)
  • 2023年度 メーカーシェア(金額ベース)
  • 需要分野構成比推移(数量)
  • 需要分野構成比推移(金額)
  • 需要分野別動向
    • 百貨店
    • GMS
    • ショッピングセンター
    • コンビニエンスストア
    • 食品スーパー
    • ホームセンター
    • ドラッグストア
    • 量販専門店
    • 飲食店
    • サービスステーション
    • その他、個店
  • 市場規模予測(2024年度見込~2027年度予測)
  • 主な参入企業
    • 無料タブレットPOS
    • 有料タブレットPOS
  • タブレットPOS市場規模推移(2021年度~2023年度)
  • タブレットPOS市場規模予測(2024年度見込~2026年度予測)
  • POSターミナル ハード&ソフト
    • 株式会社ヴィンクス
    • NECプラットフォームズ株式会社
    • 株式会社寺岡精工
    • 東芝テック株式会社
    • 株式会社富士通
  • タブレットPOSシステム
    • 株式会社スマレジ
    • 日本電気株式会社
    • 株式会社ユビレジ
  • POS関連ソリューション
    • 株式会社セキュア
    • 日本電気株式会社
    • 富士通株式会社
  • 本部基幹システム市場の概況
    • 株式会社サイバーリンクス
    • 東芝テック株式会社
    • 日本電気株式会社
  • 需要予測・自動発注システム市場の概況
    • ソフトバンク株式会社
    • 株式会社シノプス
    • 株式会社日立製作所
    • 富士通Japan株式会社
  • ネットスーパー構築システム市場の概況
    • 株式会社10X
    • 株式会社Diezon
    • スーパーサンシ株式会社

▲小見出し一覧に戻る

 

関連リンク

■レポートサマリー
店舗向け画像解析ソリューション市場の調査を実施(2021年)

■アナリストオピニオン
カートレジを使ってみた
省人化イノベーションにリソースを集中せよ
流通業とITのただならぬ関係

■同カテゴリー
[コンピュータ/システム]カテゴリ コンテンツ一覧
[アプライアンス(専用端末)]カテゴリ コンテンツ一覧
[ソフトウェア]カテゴリ コンテンツ一覧

▲小見出し一覧に戻る

 

オリジナル情報が掲載されたショートレポートを1,000円でご利用いただけます!

【ショートレポートに掲載されているオリジナル情報】
   Aパターン
  • セグメント別の動向
    • タブレットPOS市場規模推移
    • 大規模チェーンを侵食しつつあるタブレットPOS
  • 注目トピックの追加情報
  • 将来展望の追加情報
以下の 利用方法を確認する ボタン↓から詳細をご確認ください

利用方法を確認する


調査要綱

調査対象:POSシステム関連事業者(POSターミナルメーカー、POSソフトウェアベン ダ、タブレットPOSベンダ)、本部基幹システムベンダ、需要予測・自動発注システムベンダ、ネットスーパー構築システムベンダ等、ユーザ企業(大手量販店システム担当者等)
調査期間:2024年6月~9月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用

※POSターミナル市場とは:POS(Point Of Sales system)とは、販売時点売上管理システムともいわれ、物品販売の売上実績を単品で管理し集計するシステムをさす。POSシステムは、サーバやPOSターミナル(端末)、POSソフトウェア、その他周辺機器から構成される。
本調査におけるPOSターミナル市場は、POSターミナル(端末)の市場規模をメーカー出荷(台数、金額)ベースで算出した。
但し、クラウド上のPOSソフトウエアを市販のタブレット(端末)で利用するサービス、タブレットPOSは対象としていない。

<市場に含まれる商品・サービス>
POSターミナル、POSシステム

関連マーケットレポート
忌部 佳史(インベ ヨシフミ) 理事研究員
市場環境は大胆に変化しています。その変化にどう対応していくか、何をマーケティングの課題とすべきか、企業により選択は様々です。技術動向、経済情勢など俯瞰した視野と現場の生の声に耳を傾け、未来を示していけるよう挑んでいきます。

YanoICT(矢野経済研究所ICT・金融ユニット)は、お客様のご要望に合わせたオリジナル調査を無料でプランニングいたします。相談をご希望の方、ご興味をお持ちの方は、こちらからお問い合わせください。

YanoICTサイト全般に関するお問い合わせ、ご質問やご不明点がございましたら、こちらからお問い合わせください。

東京カスタマーセンター

03-5371-6901
03-5371-6970

大阪カスタマーセンター

06-6266-1382
06-6266-1422