矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2024.08.23

デジタルマーケティング市場に関する調査を実施(2024年)

2024年のデジタルマーケティング市場は前年度比114%を見込み、今後も拡大傾向は続くと予測。生成AI活用の関心は、ベンダー、ユーザー企業双方ともに高まっている。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のデジタルマーケティング市場を調査し、市場概況、参入企業の動向や将来展望を明らかにした。ここでは、CRM、MA、CDP市場の市場規模推移・予測について公表する。

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【図表:デジタルマーケティング市場規模推移・予測】

【図表:デジタルマーケティング市場規模推移・予測】
  • 矢野経済研究所調べ
  • 注:事業者売上高ベース
  • 注:2024年は見込値、2025年以降は予測値
  • 注:市場規模は、MA、CRM(SFAを含む)、CDPを対象とした

 

デジタルマーケティング市場の概況

2023年の国内のデジタルマーケティング市場規模は、事業者売上高ベースで3,019億9,000万円と推計した。2024年の同市場は前年比114.0%の3,442億5,000万円に成長すると見込む。

CRM/SFAおよびMAでは大手企業だけでなく中小企業による活用が増加傾向にあり、導入するユーザー企業の層が拡大している。かつてのように大企業が大規模な投資をするケースは少なくなっていくが、未開拓の層を中心に今後も市場は拡大していく見通しである。CDPに関しては成長期であり、今後も拡大していく見込みである。
また、CRM/SFAやMAなど様々なデジタルマーケティングツールの導入が進んだことで、ユーザー企業の内部に様々なデータが蓄積されるようになった。さらにAIの活用が進んでいることで、AIの学習に用いる社内データの重要性が高まっている点も市場の追い風になっている。

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デジタルマーケティング市場の注目トピック

■現行業務の一部に機能を組み込むことで、生成AIの活用が促進
デジタルマーケティングと生成AIは非常に相性が良い。デジタルマーケティングでは、オウンドメディアにおいてブログやメルマガなど大量のコンテンツが作成される。生成AIはコンテンツ生成に優れているため、ユーザー企業の業務を助ける存在になっている。デジタルマーケティングのツールに実装されている生成AI機能に関してもメール文章などのコンテンツ生成が中心である。

生成AIは大きな話題になっている一方で、ビジネスでの活用が進んでいないのが実態である。多くのユーザー企業で利用されているChatGPTも優れたコンテンツは生成できるが、具体的な活用方法はユーザーが検討しなければならない。このように実際のビジネスにおける活用イメージが湧きにくい点が、生成AIの活用における課題になっている。
​そこで、デジタルマーケティングツールのベンダーではまずは利用ハードルを下げ、現行業務の一部に生成AI機能を組み込むことで、ユーザーの負担を軽減するように努めている。例えば、文章の作成であればあらかじめプロンプトテンプレートが設けられているため、ユーザーによるプロンプト(ユーザーが入力する指示や質問)の作成が簡易になっている。また、議事録作成などの要約も数クリック程度で利用できるようになっている。そのため、生成AI利用に際して新たな技術を身に着ける必要がない。
ユーザーとしても生成AIを使いこなすという感覚よりも、あくまで業務効率や業績を上げるための手段として生成AIの機能を利用しているのである。こうした事例のように、成果が分かりやすく、かつ利用ハードルが低い機能であることが非常に重要になっていると考える。

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デジタルマーケティング市場の将来展望

デジタルマーケティング市場は今後も拡大していく見込みである。
短期的な視点では、ユーザー企業の層が厚くなっている影響が大きい。これまで大手企業を中心に導入されていたデジタルマーケティングツールが中小企業でも導入されるようになった。さらに地方企業におけるデジタル化も進められるようになっている。
ベンダー視点でみると、未開拓のユーザー企業層が未だ多いことを意味する。中小企業への導入は大手企業に比べると1社あたりの単価は小さい。しかし、既に多くの事例が示されている市場であるため、それらを参考にすることで成果に結びつけやすい環境が整っている。ツールの使い方だけでなく、デジタルマーケティング全体の支援を実施していくことで、ベンダーは成功事例を早期に積み上げることが重要になる。

中長期的な視点において重要になっていくのが生成AIとデータ活用だろう。2023年以降、あらゆる産業で生成AIが活用されるようになっている。中でもデジタルマーケティングは生成AIの活用が盛んな市場の1つであり、コンテンツの生成など様々な取り組みが行われている。
感度の高いユーザー企業では独自の実証実験が始まっている。その数はまだ少ないが成果が出ており、それらの事例がベンダーによって紹介されることで新たに活用に取り組む企業は増えていく。技術的なハードルも高いため、急激に増加する可能性は低いが、ベンダーおよびユーザー企業双方とも生成AIとデータ活用への関心は高まっている。今後もデジタルマーケティング市場に対してポジティブな影響をもたらしていくと考える。

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参考:このレポートに掲載されている主なデータ一覧

  • デジタルマーケティング市場規模推移(2023年~2027年予測)
  • 業種別 市場規模推移(2023年~2024年見込)
  • 業種内訳
  • 生成AIの立ち位置
  • 生成AIの主な種類
  • CRM/SFA市場規模推移(2023年~2027年予測)
  • 業種別 CRM/SFA市場規模推移(2023年~2024年見込)
  • CRM/SFAベンダーシェア(2023年~2024年見込:事業者売上高ベース)
  • 株式会社EVERRISE
    • INTEGRAL-COREの主な機能
    • JetJunctionの主な機能
  • HubSpot Japan株式会社
    • 各製品の価格表
  • 株式会社NIコンサルティング
    • Sales Force Assistantシリーズ 製品比較
  • SATORI株式会社
    • 「SATORI」機能一覧
  • 株式会社ジーニー
    • ジーニーにおけるサービスの位置づけ
  • シナジーマーケティング株式会社
    • Synergy!主な機能
    • Synergy!LEAD機能
  • 株式会社シャノン
    • SHANON MARKETING PLATFORMの主な機能
  • 株式会社セールスフォース・ジャパン
    • SMarketing Cloud製品ラインナップ
  • ソフトブレーン株式会社
    • マーケティングオートメーション機能 esm marketing
  • トレジャーデータ株式会社
    • Treasure Data CDPの機能
  • 株式会社マツリカ
    • Mazrica Sales案件ボード
  • 株式会社unerry
    • unerry提供サービス一覧
  • 株式会社ジオロジック
    • GeoLogic Adターゲットメニュー概要
  • 株式会社フリークアウト・ホールディングス
  • 株式会社ブログウォッチャー
    • PPAD特徴

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関連リンク

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調査要綱

調査対象:CRM/SFA、MA、CDPベンダー等
調査期間:2024年4月~7月
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、一部電話やメールによる調査、ならびに文献調査併用

※デジタルマーケティング市場とは:デジタルマーケティングとは、企業がデジタルマーケティングを実施する際に活用するソフトウェアやアプリケーションを指す。本調査におけるデジタルマーケティング市場では、MA(Marketing Automation)、CRM(Customer Relationship Management)、CDP(Customer Data Platform)に関するツールを対象とする。
なお、各ツールの定義については以下の通りである。

(1)MA
大量の見込み顧客(既存顧客を含む)を一元管理した上で評価を行い、設計したシナリオに基づいて個別に育成することで確度の高い商談を創出するツール。
(2)CRM
顧客との関係性を構築するために顧客の個人情報、問い合わせ履歴などの情報を管理するツール。具体的には以下のような機能を有するものを指す。
SFA(セールスフォースオートメーション)
Call Center(コールセンター)
Marketing Analytics(マーケティング・アナリティクス)
Field Support(フィールドサポート)
本調査で選定したCRMツールはこれら機能を一部分のみ有するものやその他の機能を有するものも含まれている。
(3)CDP
複数のチャネルで蓄積していた顧客データを収集・統合・分析するためのプラットフォーム。

<市場に含まれる商品・サービス>
MA、CRM(SFAを含む)、CDP

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